有価証券報告書-第86期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 14:01
【資料】
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【項目】
120項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものであります。
当社グループは、2021年度から2024年度までの4年間を対象とする第6次中期経営計画を策定しました。その前提条件となる外部環境課題として、ファスニング事業においては、コロナ禍を契機にサステナビリティの重要性が高まり、今後、アパレル消費の減少や、消費に対する過剰供給の反動により縫製品市場が縮小し、ファスニング製品の総需要が大きく減少する可能性を見込んでいます。またそれに伴い、最大ボリュームゾーンであるStandard市場を中心に更なる価格競争力と必要量の短納期化(「適時・適材・適量」)への要望が高まると想定しており、これらに対応するためのデジタル技術を活用した業務設計が求められると考えております。AP事業においては、日本国内では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響の長期化もあり、住宅新設市場の回復スピードは緩やかになると見込まれますが、在宅勤務の増加による新たな需要もあり、リフォーム市場は回復すると予測されています。海外では、北米ではワクチン接種の拡大に伴い、直近の市場は回復の傾向がみられるものの、北米、アジア地域では感染症拡大の影響が継続、中国ではターゲットである超高級市場が引き続き低迷するなど、事業環境は厳しい状況が継続すると予測されています。
第6次中期経営計画においては、前中期の経営ビジョン「Technology Oriented Value Creation 『技術に裏付けられた価値創造』」を継承する一方で、その最重要ポイントとして新たに掲げる「持続可能な社会の実現に向けた創造力」のもと、同じく前中期から継承する「商品力と提案力」、「技術力と製造力」の4つの力に加え、これらを実現するための、年齢、性別、国籍や価値観等の違いを超えた「多様人財」の活用を掲げてまいります。
YKKグループの経営体制においては、2020年度に当社とYKK AP㈱の資本と事業運営体制を見直したことを受けて、工機技術本部をファスニング事業とAP事業にそれぞれ融合し、各事業に特化した設備開発と機械製造のエンジニアリングをよりスピーディに行う体制へと変更します。そして、両事業を新設するテクノロジー・イノベーションセンターが技術面から支え、それぞれの事業競争力を高めていく体制とします。この体制変更を受け、当社はファスニング事業を中核とした世界5極経営体制のもと、「新常態下での持続的成長~多様な顧客要望の実現と顧客創造~」を、YKK AP㈱はAP事業を中核とした連結経営体制のもと、「商品による社会価値の提供とモノづくり改革の実現」を中期事業方針に掲げ、事業を推進してまいります。
なお、未曾有の事態に陥った当期においては、不確実性の高い事業環境を見極めることを最優先事項とし、第6次中期における数値目標は、来年度にかけて立案してまいります。
①ファスニング事業
ファスニング事業では、第6次中期事業方針として「新常態下での持続的成長」を掲げ、アフターコロナに想定される大きな市場の変化をチャンスと捉えて、技術に裏付けられた価値創造に一層取り組んでまいります。また、サステナビリティを事業の根幹に据え、ソーシャルグッドな会社であり続ける事を目指し、第5次中期で掲げた「より良いものを、より安く、より速く」というスローガンに「よりサステナブルに」を加え、持続可能な社会に貢献する事業活動を展開してまいります。
第6次中期においては、前中期に引き続き「Value Conscious」、「Standard」、「BOP」の各カテゴリーの下、Standardを最重要カテゴリーと位置付け更なる事業成長に向けた各種施策に取り組むとともに、上記の中期事業方針を受けた事業の方向性として「フラットな組織体制」、「サステナビリティ強化」、「商品企画・開発強化」、「徹底したコスト競争力追求」、「デジタル活用強化」に取り組んでまいります。
「フラットな組織体制」については、2021年度より当社の組織を事業本部制から「営業本部」、「製造・技術本部」、「管理本部」の機能別組織を軸とした3本部体制に変更し、営業本部では営業と開発が融合する事で商品開発機能だけでなく商品企画機能、また開発した商品を販売に繋げる取り組みの強化を進め、製造・技術本部では工機技術本部とファスニング事業本部の生産技術が一体となって設備開発およびコスト競争力の強化を進めてまいります。また、これまで世界6極経営体制としてきた海外地域経営体制を5極経営体制に変更すると同時に、商圏と商流の特性等を考慮した6つの事業地域を設け、各地域のビジネスリーダーを中心とした事業運営を行い、急激に変化する事業環境に即応出来る体制を構築します。
「サステナビリティ強化」については、2050年までに「気候中立」の実現を目指し策定した「YKKサステナビリティビジョン2050」に基づき、気候・資源・水・化学物質・人権の各カテゴリーでの取組みを強化するとともに、商品軸では「NATULON®」の基幹商品化等、環境対応商品や持続可能な素材を積極的に展開します。
「商品企画・開発強化」については、営業機能と商品開発機能を融合し、商品開発プロセスの強化を進めるとともに、例えば、軽さ、薄さ、柔らかさを追求した止水ファスナーである「FLATKNIT®AquaGuard®」等の付加価値商品の販促を、営業と商品開発が一体となって加速させていきます。
「徹底したコスト競争力追求」については、事業競争力の根幹にある基幹商品のコスト競争力を徹底的に強化します。そのために、製造プロセスの見直しと競争力を最大化するライン設計を行うとともに、外部技術の活用推進も含め、市場競争の更なる激化を踏まえた設備開発速度向上に取り組んでまいります。
「デジタル活用強化」については、「デジタル業務企画室」を新設し、顧客との繋がりや事業スピードを向上するためのデジタル技術を活用した業務設計・導入推進に取り組んでまいります。また、製造現場では、AIやロボット、IoT技術を活用し、無停止・無人生産ラインの構築や製造のDX化(Digital Transformation)を推進し、ものづくり強化とともにスマートファクトリー化を目指して取り組んでまいります。
そして投資計画については、合理化投資の継続的な実施により競争力強化を図るとともに、サステナビリティやデジタル関連への投資の拡大を推進してまいります。
②AP事業
AP事業では、これまでのYKK精神・経営理念に加え、パーパス「Architectural Products で社会を幸せにする会社。」を設定し、第6次中期事業方針を「商品による社会価値の提供とモノづくり改革の実現」とし、国内外AP事業一体となった活動を推進してまいります。商品による社会価値の提供では、安全・安心・省エネ・省施工・防災・換気など、社会の要請に応える商品を提供してまいります。モノづくり改革の実現では、工機部門の融合による技術力強化、また、プラットフォーム化、スマートファクトリー化により構造改革を進めてまいります。
住宅事業では、高付加価値化による需要創造に向けて、商品による社会価値を提供していく方針の中、省エネ、換気では高断熱化率2024年度80%を目指し、「APW 330」の仕様追加やアルミ樹脂複合窓「エピソードⅡ」を2021年4月に発売し、「APW 330」、「APW 430」(樹脂窓)とアルミ樹脂複合窓により高断熱化を推進してまいります。安全・安心では、高窓や収納網戸で使用される操作ひものループレス化を2021年4月より全ての住宅商品へ展開し、安全性を大幅に向上いたします。
エクステリア事業では、漏水リスクを低減して豊富なデザインを持ち、省施工による建築コスト低減を図ることができる「ルシアスバルコニー」や商品リニューアルで外構一式提案力の向上により、提案強化を図ってまいります。
リノベーション事業では、性能向上リノベーションの普及拡大、リフォーム専用商品の拡販と合わせて、グリーン住宅ポイント制度に対応した開口部の断熱改修や新常態対応、防災の追加工事提案を進めてまいります。
ビル事業では、事業戦略の更なる強化として首都圏強化と改装強化に取り組んでまいります。首都圏強化では、ビル新工場を建設し、首都圏における製造供給体制の再編を進めるとともに、営業施策として展示・提案の場を活用した営業接点強化、出荷リードタイムの大幅短縮や製販業務統合による業務効率化を図り、製販一体での受注強化と収益力強化を進めてまいります。また、改装強化では、集住・非居住への提案強化による改装市場創造に取り組んでまいります。
海外においては、北米のビル建材では、断熱商品強化と西海岸、中西部での販売強化、住宅建材は高付加価値商品の拡販と新規顧客の開拓を図るとともに、Erie Architectural Products Group(以下、エリーAP社)では新規チャネルを開拓してまいります。中国では、コスト構造改革による中高級市場への参入や改装市場での事業強化、玄関ドア市場への参入に取り組んでまいります。台湾では、新商品投入によるコスト競争力強化で販売拡大、インドネシアでは、コストダウンによる新規チャネル開拓で販売拡大、インドでは、販売エリアの拡大とAP基幹商品の投入に取り組んでまいります。また、ファサード事業においては、改装物件と新規中規模物件の受注強化を進めてまいります。

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