有価証券報告書-第87期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/29 14:01
【資料】
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【項目】
124項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものであります。
当社グループは、2021年度から2024年度までの4年間を対象とする第6次中期経営計画を策定しています。その2年目となる2022年度の事業を取り巻く外部環境として、ウクライナ情勢が世界経済や需給状況、原材料・資材価格に与える影響、また環境意識の高まりを受けた規制動向や、中国における厳格なゼロコロナ政策が、世界経済および当社グループの中国国内の操業状況に与える影響を引き続き注視する必要があります。サプライチェーンの混乱や物流コストの上昇も継続しており、両事業のオペレーションや収益へ与える影響を見極めながら各種対応を行ってまいります。
ファスニング事業においては、アフターコロナの新常態を見据え、必要な時に、必要なものを、必要な分だけ供給する、「適時・適材・適量」への要求がますます高まると考えております。その具現化のために克服すべき課題として、経営の根幹に据えるとしたサステナビリティ、基幹商品の更なるコスト競争力強化、そしてこれらを支えるデジタル化が重要であると認識しております。
AP事業においては、日本国内では、新設住宅着工戸数は微減で推移していくと見込まれますが、リフォーム市場は補助金の効果が期待できるものの、資材の需給逼迫・価格高騰等の影響により前年並みと予測しております。また、住宅性能表示制度において省エネ上位等級が新設されたことを受けて、省エネ住宅が普及していくものと予測されております。資材の需給逼迫・価格高騰や円安影響による工事着工の遅れや延期、購買意欲の減退が懸念されます。海外では、米国ではビル市場は回復し、住宅市場は金利上昇の影響により軟調、中国では不動産規制継続により市場が低迷し、高級市場も縮小傾向、台湾では住宅市場は縮小傾向、インドネシアでは新型コロナウイルス感染症影響からの経済の回復に伴い住宅市場も徐々に回復すると見込まれております。
このような事業環境において、前中期から継承する第6次中期経営計画の経営ビジョン「Technology Oriented Value Creation 『技術に裏付けられた価値創造』」、そしてその最重要ポイントである「持続可能な社会の実現に向けた創造力」のもと、「商品力と提案力」、「技術力と製造力」の4つの力に加え、これらを実現するために、2021年度からの定年制度廃止も踏まえ、年齢、性別、国籍や価値観等の違いを超えた「多様人財」の活用を掲げ、引き続き事業を推進してまいります。
なお、当社グループは、2020年度に当社とYKK AP㈱の資本と事業運営体制を見直したことを受けて、2021年度より工機技術本部をファスニング事業とAP事業にそれぞれ融合し、各事業に特化した設備開発と機械製造のエンジニアリングをよりスピーディに行う経営体制に変更しております。同じく2021年度に新設した研究開発部門であるテクノロジー・イノベーションセンターでは、ファスニング事業とAP事業の競争力強化に直結する技術の深耕と、中長期を見据えた、将来的に両事業に資する新技術や新たな事業領域の探索を引き続き行ってまいります。
サステナビリティ推進の取組みとしては、グループ全体で更に高いレベルの環境経営を実現するため、2019年4月に環境への取組みの長期的な方向性を示すYKKグループ環境ビジョン2050「人と自然の未来をひらく」を策定し、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて取組みを進めております。このグループ環境ビジョンのもと、ファスニング事業においては、2020年10月に「YKKサステナビリティビジョン2050」を策定し、10項目のSDGs(国連サミットによって採択された持続可能な開発目標)重点項目の達成に向け、5つのテーマ(気候、資源、水、化学物質、人権)で取組みを進めています。その際に、社長をトップとする「サステナビリティ委員会」が主体となり、温室効果ガスの削減をはじめとしたファスニング事業の数値目標達成に向け、全社的な取組みや定期的なアセスメントを行い、取締役会に報告しております。AP事業においては、持続的な成長を牽引するため、2021年にパーパス「Architectural Productsで社会を幸せにする会社。」をベースに10項目のマテリアリティ(重要課題)を特定し、各推進部門を設けて取組みを強化しています。さらに、社長をトップとする「ESG全体会議」にて全社的な視点からマテリアリティの進捗確認を行うとともに、「マテリアリティ推進ワーキンググループ」を設置し、各所と連携を図りながらKPI管理を行っております。
上記の経営体制のもと、前中期に引き続き第6次中期経営目標として掲げる「売上高営業利益率8.0%以上」と「ROA5.0%以上」の達成と持続的な成長を目指し、事業競争力強化に取り組んでまいります。
①ファスニング事業
ファスニング事業では、第6次中期事業方針として「新常態下での持続的成長」を掲げ、アフターコロナに想定される大きな市場の変化をチャンスと捉えて技術に裏付けられた価値創造に一層取り組んでまいります。また、サステナビリティを事業の根幹に据え、ソーシャルグッドな会社であり続ける事を目指し、前中期で掲げた「より良いものを、より安く、より速く」というスローガンに「よりサステナブルに」を加え、持続可能な社会に貢献する事業活動を進めております。
2021年度は、新型コロナウイルス感染症の蔓延に起因する縫製シフトや資源及び副資材価格の高騰、ロジスティクスの混乱といった状況に対して、徹底したコストダウンの取組み、ファスニンググループ全体での供給能力の活用、デジタル技術の活用や適切な価格改定等の対策を実施してまいりました。2022年度に向けては、引き続き新型コロナウイルス感染症に影響される景気動向と各国政策リスク及びその他地政学的リスクを伴い、変化の激しい事業環境が予想されております。市場変化を好機とすべく、引き続き「Value Conscious」、「Standard」、「BOP」の各カテゴリーで、最重要カテゴリーと位置付ける「Standard」を中心に、更なる事業成長に向けた各種施策に取り組むとともに、上記の中期事業方針を受けた事業の方向性として「フラットな組織体制」、「サステナビリティ強化」、「商品企画・開発強化」、「徹底したコスト競争力追求」、「デジタル活用強化」に向けた取組みを進めてまいります。
「フラットな組織体制」については、2021年度より組織を「営業本部」、「製造・技術本部」、「管理本部」の機能別組織を軸とした3本部体制に変更し、営業本部では営業と開発が融合することで商品開発機能だけでなく商品企画機能、また開発した商品を販売に繋げる取組みの強化を進め、製造・技術本部では設備開発、機械製造が同じ部門となったことによる設備開発スピードの向上およびコスト競争力の強化を推進します。
「サステナビリティ強化」については、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指し策定した「YKKサステナビリティビジョン2050」に基づき、気候・資源・水・化学物質・人権の各カテゴリーでの取組みを強化するとともに、商品軸では「NATULON®」の基幹商品化推進、環境配慮商品として新めっき技術の「AcroPlating®」製品展開を引き続き進めてまいります。
「商品企画・開発強化」については、営業機能と商品開発機能を融合し、商品開発プロセスの強化を進めるとともに、サステナビリティを中心とした顧客・市場要望の実現に向け、各事業地域特性に応じた商品開発も併せて推進してまいります。
「徹底したコスト競争力追求」については、事業競争力の根幹にある基幹商品のコスト競争力を徹底的に継続強化しております。具体的には、Standardカテゴリー向けアイテムのコストダウンを目的とした個別プロジェクトの推進とそれによる設備価格の低減、合理化コストダウン活動及び日本本部の機能再編・融合を通じた事業コスト低減に向けた取組みを推進してまいります。
「デジタル活用強化」については、「YKKデジタルショールーム」開設に代表される、顧客と繋がる環境整備や事業スピードを向上するためのデジタル技術を活用した業務設計・導入推進に引き続き取り組んでまいります。また、製造現場では、AIやロボット、IoT技術を活用し、黒部工場にて昨年稼働を開始した無停止・無人生産ラインのプロトラインの改良を進めます。より一層、製造のDX化(Digital Transformation)を推進し、ものづくり強化とともにスマートファクトリー化を目指して取り組んでまいります。
そして投資計画については、サステナビリティやデジタル関連への投資を積極的に実施することに加え、新型コロナウイルス感染症の拡大による顧客動向や物流の混乱を踏まえて、各地の内製化をより進めるなど、事業地域毎の特性を考慮したバランスの取れた投資を実行してまいります。
②AP事業
AP事業では、パーパス「Architectural Productsで社会を幸せにする会社。」を実現するため、「商品による社会価値の提供とモノづくり改革の実現」を事業方針に掲げ、国内外AP事業一体となった活動を推進します。商品による社会価値の提供では、安全・安心・省エネ・健康・省施工・防災・換気等、社会の要請に応える商品を提供してまいります。モノづくり改革の実現では、工機部門の融合による技術力強化、プラットフォーム化・スマートファクトリー化によりモノづくり改革を進めるとともに、カーボンニュートラルに向けた技術開発にも取り組んでまいります。
原材料・資材価格の高騰への対応としては、まず営業では、価格改定の確実な実行と売価管理の徹底、高付加価値化の更なる推進を実行します。開発では、『省材料』『省施工』『省エネ』開発推進によるコストダウンと新技術・新材料、商品価値向上への挑戦を行っていきます。製造では、資材高騰・調達リスクへ徹底したコストダウンを行うとともに、DX推進とプラットフォーム化によるスマートファクトリーの稼働、カーボンニュートラル実現への技術深耕を図ります。全社対応としては、計画した設備投資の見直しと経費の抑制を行ってまいります。
住宅事業では、カーボンニュートラルに向けた住宅の省エネ化に貢献すべく、樹脂窓を中心とした窓の高断熱化と機能・デザインによる高付加価値化を推進します。窓の高断熱化については、住宅性能表示制度の省エネ上位等級の新設などを背景に一層拡大する高断熱窓需要に対応し、樹脂障子とアルミ樹脂複合枠を組み合わせた大開口商品の追加等を実施します。高付加価値化については、新リモコンシャッターや顔認証キーと自動開閉を組み合わせた玄関引戸など、機能性・デザイン性を高めた新商品を発売し、需要創造に取り組んでまいります。
エクステリア事業では、新築・外構分野においては、注文住宅に対して建物と外構の付加価値提案を、分譲住宅に対して建物と外構の街並み統一提案を強化します。後付け・リフォーム分野においては、「新折板屋根 ジーポートPro」による付加価値提案や、「新アルミ屋根 ルシアスカーポート」によるコーディネイト提案を行い、販売を強化してまいります。
ビル事業では、受注拡大に向けた首都圏強化と改装強化に取り組みます。首都圏強化においては、営業体制と商品提案の強化、さらに製造供給体制再編に向けて埼玉新工場を建設し、製造供給力を強化してまいります。改装強化では、断熱・換気等のニーズに対する提案を強化し、需要創造に取り組みます。
海外においては、北米のビル建材では西海岸での営業強化と断熱商品の販売拡大、住宅建材では新規顧客の開拓、エリーAP社では追求物件の営業強化による受注拡大を図ります。中国では、商品のコストダウンと中級商品の販売拡大、改装事業の拡大及び玄関ドア市場への本格参入に取り組みます。台湾では新商品投入による中高級ゾーンへの参入、インドネシアでは新規チャネル開拓と新商品投入による販売拡大、そしてインドでは高付加価値商品の提案と南部地域の営業強化に取り組みます。また、ファサード事業においては、改装物件と中規模物件の受注拡大を進めてまいります。

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