有価証券報告書-第75期(2024/01/01-2024/12/31)

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2025/03/27 15:41
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150項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当グループは、印字記録媒体、事務用消耗品等のメーカーとして「技術力と行動力で顧客の満足を得て国際社会に貢献し充実発展する」を基本理念としております。人間性の尊重、合理性の追求を柱とし、新技術に対する挑戦を通じて、独創的なアイデアを製品化し世に広めていくことで社会に貢献することを目指しております。
(2) 目標とする経営指標
当グループは、新製品開発と既存事業の拡充により利益ならびに売上高を極大化することを経営方針の一つとしております。これらを反映する売上高および営業利益に加え、自己資本利益率(ROE)を主な経営指標とし、継続的な向上に努めております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
① 2024年12月期の業績について
当グループでは、経営環境がますます不連続かつ不確実に変化する厳しいものとなることが想定されるなか、それまでの中期経営計画の取り組みにおいて積み上げてきた成果を糧としつつ、持続的かつ飛躍的な成長を目指すという思いを込めて、2023年12月期から2025年12月期まで3ヶ年の中期経営計画を策定しました。
飛躍・成長する3年
[中期経営方針 2023~2025]
1. 自らが経営者目線で考え、チャレンジ
する人財の育成
2. 市場ニーズ、ビジネス環境の変化に
迅速かつ柔軟に対応する
3. 成長ドライブを支える開発力・もの
づくり力の強化
中期経営計画 2025年度目標
連結売上高 11,000百万円
連結営業利益 1,050百万円
連結経常利益 1,100百万円
連結当期純利益 700百万円
自己資本利益率[ROE] 5.9%

しかしながら、後記24ページ「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、販売面では新規取引先の開拓や既存取引先のシェアアップ・掘り起こしなどに注力しましたが、中国・欧州市場での低迷が顕著となり、力強さに欠ける状況が続きました。また、生産面では長期間におよぶ円安の影響も相俟って原材料・燃料価格の上昇・高止まりの影響などを受け厳しい状況が継続しました。その結果、2024年12月期の業績は、前年度対比で改善したものの、若干ながら営業赤字を計上するなど、厳しい結果となりました。
主たる製品群における売上高の主な増減要因は下表のとおりであります。
・製品群別売上高(2024年12月期と2023年12月期との比較)
製品群2023年
12月期
[百万円]
2024年
12月期
[百万円]
増減額
[百万円]
(増減率%)
主な要因
TTM(注1)4,7985,174+375( 7.8%)軽包装用リボンは堅調に推移。加えてバーコード用リボンの拡販に注力。
インパクトリボン665738+73
( 11.0%)
市場の縮小傾向は継続しているが、用途・案件の選択と集中にもとづく営業活動を展開。
テープ類1,5722,043+470
( 29.9%)
海外を中心とした新規取引先での販売増、既存取引先の新規開発品が牽引。
機能性フィルム321370+48
( 15.0%)
半導体加工プロセス用の新規開発製品での販売増。
その他276289+12
( 4.6%)
-
プラスチック成形
(注2)
589367▲221
(▲37.6%)
長期化する円安により日系企業を中心とする取引先の需要の落ち込み影響など。
合計8,2258,984+759
( 9.2%)

(注1)「TTM」はサーマルトランスファーメディアの略称。以下同じ。
(注2)プラスチック成形は、子会社エフシー ベトナム コーポレーションにて事業展開。
・連結経営指標 推移
連 結 経 営 指 標2023年
12月期
2024年12月期2025年12月期
中期経営
計画
2024年11月
修正発表
実績中期経営
計画
予測
売上高(百万円)8,22510,2009,1008,98411,0009,100
営業利益(百万円)▲77460060▲151,05080
経常利益(百万円)▲668630140941,10070
当期純利益(百万円)▲85640040039770020
自己資本利益率[ROE] ①(%)▲8.03.53.83.85.90.2
株主資本コスト ②(%)3.7--3.0--
エクイティスプレッド①-②(%)(注3)▲11.7--0.8--

(注3)エクイティスプレッド=ROE-株主資本コスト(CAPM)
なお、株主資本コスト(CAPM)=リスクフリーレート+β(ベータ値)×リスクプレミアム
② 当社NEW VISIONについて
2024年12月期の結果を受け、これまでの考えを変え考動していくため、社員から「フジコピアンとして将来こうありたい、こうなりたい」という視点でのアイデアを募り、長期ビジョンの見直しを行いました。経済環境がますます先行き不透明に変化するなか、当社を取り巻く環境や市場ニーズは変化します。この環境変化にも柔軟にかつ敏速に対応するため、新たな気づきや新規ビジネスの足掛かりとなる取り組みとして「ありたい姿・志」を設定しました。
当社 NEW VISION
“コンバーティング技術” × “コア技術”
で未来を塗りかえる

“コンバーティング技術”とは、「処方設計技術」「ブレンド技術」「塗工/表面処理技術」「加工技術」
“コア技術”とは、「接着・粘着・吸着」と「剥離」というトレードオフとなる機能を一つの製品の中でバランスよく両立する界面制御技術
コンバーティング技術とこれまで培ってきたコア技術を掛け合わせ、コピアンパッション(情熱+協力+挑戦)とコピアンプライド(プロフェッショナルであることに誇りを持ち、とことん楽しみながら“ものづくり”にチャレンジすること)でさらに磨き上げていく。
そして、社員同士、お客様、関係するすべての人と技術をつなぎ合わせることで新たな価値を共に創り、より良い未来へと塗りかえたいという願いが込められています。
③ 2025年12月期について
前記のとおり2024年12月期において、特に売上高が伸び悩んだ要因は、主に以下の2点であると考えております。
1) 「開発チャレンジテーマ」の立ち上げ遅れ
中期経営計画の重点課題「新製品・新規事業の開発」の主要分野である「開発チャレンジテーマ」の売上は、後記のとおり前年度比で伸ばしておりますが、一部立ち上げ遅れのテーマがあり、力強さに欠けました。

2)「コアビジネス」の伸び悩み
経済環境がますます不透明になるなか、一部大手取引先における販売の伸び悩みにより、取引先の在庫調整が長期化したことなどが全体の売上高・利益に影響しました。

2025年12月期につきましては、有望な「開発チャレンジテーマ」へ集中的にリソースを投入することによる早期立ち上げを推進いたします。加えて、機能性フィルムを「第三の柱」とすべく、コンサルタント等を活用し現在の開発テーマ以外の用途展開を図り、売上の拡大に繋げてまいります。
また、「コアビジネス」においても、従来積極的に販売展開してこなかった製品の掘り起こしに加え、TTM、テープ類分野での環境対応にかかる製品の提案を行うなど、「顧客基盤の強化」、「顧客満足度の向上」に注力することにより、トップラインの売上高を向上させ利益の回復・拡大を図ります。
④ 中期経営計画における重点課題の取り組み状況 中期経営計画の4つの重点課題にかかる取り組み状況は下表のとおりであります。
イ.新製品・新規事業の開発
重点課題の概要
・成長に向けた領域・テーマの明確化と推進
・開発体制の強化
2024年12月期までの主な取り組み状況今後の課題
・計画遅れとなっている開発テーマもあるが、 前年度比で売上高伸長
・新規開発案件の売上高実績 2024年12月期 830百万円 (2023年12月期 実績 595百万円)
・開発技術調査能力向上
・TTM分野の用途開発継続(各種マーキング技術)
・TTM、テープ類分野での環境対応にかかる技術開発、製品化の検討継続
・要素技術の拡充 産学連携継続(京都工芸繊維大学、九州大学、京都大学の3校)
・未実現の開発チャレンジテーマ、営業チャレンジテーマの取り組み加速
・機能性フィルムを「第三の柱」とすべく、現在の開発テーマ以外の用途展開検討、および企画検討中テーマの早期具現化
・開発技術調査能力向上の継続
・TTM分野の用途展開(各種マーキング技術)の継続
・産学連携の継続とノウハウの取り込み継続TTM、テープ類分野での環境対応にかかる技術開発・製品化の継続推進

ロ.ものづくり力・生産性の強化
重点課題の概要
・安全第一
・生産性のさらなる強化
環境に配慮した効率的な原材料の使用
コストダウン活動
・生産技術革新
設備投資によるさらなる生産性の向上(自社設計による技術力強化を含む)
新規事業に向けた生産体制の構築
2024年12月期までの主な取り組み状況今後の課題
・安全第一の啓蒙、安全パトロールの実施
・環境に配慮した効率的な原材料の使用にかかるプロジェクト活動は順調に進捗
・コストダウンについては、計画に対し、2023年12月期は96%、2024年12月期は165%の達成率
・スリット加工工程において、作業性改善のための自社設計による設備更新を実施
(2023~2024年12月期で5台)
・新規対象市場における規格要求事項と検査運用状況の確認を継続
・安全ルールの見直し、およびルール遵守
・安全教育の一層の強化
・全員参加型での安全第一への取り組み継続
・環境に配慮した効率的な原材料使用のプロジェクト継続
・2025年度のコストダウン計画達成に向けた取り組み推進
・自社設計による設備更新に関する2025年度テーマの推進
・新規対象市場の品質保証体制構築のための社内教育継続
・将来の成長を見据えた生産キャパアップ策の検討・推進

ハ.人財育成
重点課題の概要
・既往人事制度のモニタリング、PDCA機能の発揮による高度化
チャレンジを評価する人事制度の運用、中核人財育成、女性活躍推進など
・従業員エンゲージメント向上のための施策推進
・経営課題(サステナビリティ)としての「人的資本」への投資
2024年12月期までの主な取り組み状況今後の課題
・ベースアップ実施(2023年8月給与から)
平均2.75%(ベースアップ分のみ)
・初任給一律8,000円アップ(2024年4月新卒者より)
・チャレンジを評価する新・人事評価制度の運用継続
・チャレンジの評価に対する後押しとして、管理職のコーチング研修実施
(プロコーチによるコーチング体験)
・2023年および2024年新卒者
計画23名 実績18名
・2023年および2024年経験者採用
計画28名 実績20名
・非正規社員からの正社員登用:実績13名
・2024年12月31日現在の女性活躍推進法の目標項目にかかる進捗状況
・労働者に占める女性の割合:19%
・管理職に占める女性の割合: 5%
・男性の子の看護休暇取得対象者に対する
取得者比率:32%
・自己啓発支援につき、
2023年度51名 1,157千円
2024年度47名 960千円
・健康経営優良法人認定取得に向けた準備を開始
・従業員エンゲージメント
・健康経営優良法人認定制度における健康経営度調
査の回答実施
・従業員エンゲージメント調査の実施と課題の把握
・チャレンジを評価する新・人事評価制度の運用継続
・処遇にかかるモニタリング継続
・経験者採用の継続、新卒採用の強化
大学・高専・高校との関係強化、および広告媒体以外の採用活動サービス導入
・女性活躍推進法の目標達成に向けた対応継続
<2021年4月~2026年3月の目標>・労働者に占める女性の割合:13%から15%
・管理職に占める女性の割合:4%から10%
・男性の看護休暇取得対象者に対する
取得者比率:5%から30%
・自己啓発支援制度利用者の一層の増加
・健康経営優良法人認定取得にかかる課題明確化と取り組み
→認定取得を目指す
・従業員エンゲージメントを高める施策検討
・人的資本投資にかかるKPIとしてワークエンゲージメント(仕事に対する活力、熱意、没頭)の評点
(平均点)4点以上(7点満点)に目標設定して施策の実施
(2024年5月調査結果3.53点)

ニ.カーボンニュートラルへの取り組み
重点課題の概要
・CO2排出量の削減目標
対象範囲:日本国内拠点(国内子会社を含む)
排出対象:Scope1、Scope2(注4)
削減目標:2019年度を基準として、2030年度にCO2排出量を30%削減
・岡山工場におけるLNGの優先使用(重油をできる限り使用しない)
・岡山工場における高効率設備の導入
・各拠点における省電力機器・照明などの導入
・海外子会社エフシー ベトナム コーポレーション(FCVN)におけるScope1、Scope2の削減
・Scope3の算定および削減(日本国内拠点)
2024年12月期までの主な取り組み状況今後の課題
・CO2排出量の推移については、15ページをご参照。
・岡山工場が属する工業団地にてLNGを一括購入し、パイプラインにて供給を受ける運営を2023年1月より継続
・岡山工場において、重油使用ボイラーをLNG熱媒ボイラーに置き換え実施(4台)本社にて高効率の熱交換機への更新
・岡山工場におけるLED照明の追加導入
本社におけるLED照明の導入
・FCVNにおけるScope1、Scope2のCO2排出量算定を完了。
・2025年目処に超高効率ボイラー導入を検討
・岡山工場におけるLED照明の追加導入
・再生可能エネルギーの導入検討。検討対象例として、電力会社におけるパッケージ導入検討(電力の○%が再生可能エネルギー等)
・Scope3(日本国内拠点)において構成比の高いカテゴリー1(購入した製品・サービス)を対象として購買先へのアンケート調査を検討

(注4)Scope1:自社での燃料の燃焼などによる直接排出
Scope2:他社から供給された電力・熱・蒸気の使用による間接排出
Scope3:Scope2以外の間接排出(自社事業の活動に関連する他社の排出)

⑤ サステナビリティに関する課題への取り組みについて
当社では、サステナビリティに関する課題として、「気候変動問題への対応」、「人的資本投資およびダイバーシティ(女性活躍推進を中心に)」および「知的財産への投資について」の3点に重要性(マテリアリティ)を置き、優先的に取り組んでおります。
イ.気候変動問題への対応
・課題の概要、取り組み実績および今後の課題については、前記14ページ「ニ.カーボンニュートラルへの取り組み」に記載のとおりです。
なお、2019年度から2024年度までの日本国内拠点におけるScope1、Scope2にかかるCO2排出量の推移は後記のとおりです。
工場における生産量に応じて変動する面はありますが、前記の取り組みによりCO2削減に努めてまいります。
・日本国内拠点におけるScope1およびScope2のCO2排出量実績推移(注5)
2019
年度
2020年度2021年度2022年度2023年度2024
年度
Scope1CO2排出量(トン)6,8236,4325,8296,3425,6046,186
Scope2
(注6)
マーケット基準CO2排出量(トン)8,3117,1276,4887,2426,3357,540
ロケーション基準CO2排出量(トン)6,1885,5595,4895,9505,1586,123
Scope1+Scope2 合計
※Scope2はマーケット
基準採用
CO2排出量(トン)15,13413,55912,31713,58411,93913,726
2019年度比
削減率(%)
-▲10.4%▲18.6%▲10.2%▲21.1%▲9.3%

(注5)電力会社における年度の排出係数の公表時期が翌年の夏ごろとなるため、2023年度までは実績値を記載。2024年度は2023年の排出係数を使用した予測値を記載。
(注6)Scope2におけるマーケット基準:各拠点の契約電力会社の排出係数を用いて算定。
Scope2におけるロケーション基準:全国平均係数を用いて算定。
ロ.人的資本投資およびダイバーシティ(女性活躍推進を中心に)
・課題の概要、取り組み実績および今後の課題については、前記13ページ「ハ.人財育成」に記載のとおりです。
ハ.知的財産への投資について
・当社は1950年の創立以来、画期的な製品開発を実現することにより市場を切り拓き、「開発志向型企業」としてのスタイルを確立してまいりました。
・従いまして、当社にとって知的財産は何ものにも代えがたい重要な資産であります。
・現在、原則2ヶ月に1度、関係取締役・執行役員による「特許出願審査委員会」を開催しており、新たな開発技術について特許出願の是非を議論したうえで特許を出願しております。
・その結果、この10年間、国内外の特許保有件数は常に200件程度をキープしており、研究開発費はもちろんのこと、特許につきましても相応の出願・維持コストをかけるなど、知的財産への投資を続けております。
今後も、質の高い特許を数多く出願できるよう開発技術力の向上に努めてまいります。
・当社における国内外の特許保有件数推移(単位:件)
2015
年度
2016
年度
2017
年度
2018
年度
2019
年度
2020
年度
2021
年度
2022
年度
2023
年度
2024
年度
国内193184194186193177168172169169
海外35343433333631282828
合計228218228219226213199200197197


(4) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
経営環境につきましては、ウクライナや中東情勢等の長期化による資源化価格の高止まり、欧州や中国の景気減速懸念、米国での保護主義政策を掲げる第2次トランプ政権の発足など、国内外のいずれの環境とも、ますます不連続かつ不確実に変化する厳しいものとなることが想定されます。
優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題につきましては、国内外の拠点を活用して、特長ある付加価値の高い新製品を積極的に市場投入していくほか、既存製品のコストダウン実現によるシェアアップなどにより、販売拡大を図るとともに、収益を確保するべく、「(3) 中長期的な会社の経営戦略」にも掲げております重点課題に優先的に取り組んでまいります。

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