有価証券報告書-第76期(2025/01/01-2025/12/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当グループは、印字記録媒体、事務用消耗品等のメーカーとして「技術力と行動力で顧客の満足を得て国際社会に貢献し充実発展する」を基本理念としております。人間性の尊重、合理性の追求を柱とし、新技術に対する挑戦を通じて、独創的なアイデアを製品化し世に広めていくことで社会に貢献することを目指しております。
(2) 目標とする経営指標
当グループは、新製品開発と既存事業の拡充により利益ならびに売上高を極大化することを経営方針の一つとしております。これらを反映する売上高および営業利益に加え、自己資本利益率(ROE)を主な経営指標とし、継続的な向上に努めております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
① 前回中期経営計画「飛躍・成長する3年」(2023年12月期~2025年12月期)について
当グループでは、経営環境がますます不連続かつ不確実に変化する厳しいものとなることが想定されるなか、それまでの中期経営計画の取り組みにおいて積み上げてきた成果を糧としつつ、持続的かつ飛躍的な成長を目指すという思いを込めて、2023年12月期から2025年12月期まで3ヶ年の中期経営計画を策定しました。
しかしながら、販売面では新規取引先の開拓や既存取引先のシェアアップ・掘り起こしや新規開発チャレンジテーマ立ち上げに注力しましたが、中国・欧州市場の低迷が顕著となり、かつ開発チャレンジテーマの立ち上げ遅れも重なり、力強さに欠ける状況が続きました。
また、生産面では長期間におよぶ円安の影響も相俟って原材料・燃料価格の上昇・高止まりの影響などを受け厳しい状況が継続しました。その結果、2025年12月期の業績は、前年度比で大幅な業績悪化となり株主のみなさまのご期待に沿うことができない結果となりました。これにより、誠に遺憾ながら3年連続で営業利益が赤字となり、会計基準にもとづき多額の減損処理を実施することとなりました。
こうした状況下、当社は2026年12月期中を目処に政策保有株式(上場企業)の保有ゼロに向けた売却を進め、内部留保の充実、配当原資の確保ならびに資金の確保に努めます。
(2025年12月31日現在での政策保有株式(上場企業)の時価総額:約13億円、含み益:約8億円)
・数値目標(前回中期経営計画の最終年度である2025年度の目標)
・製品群別売上高(2022年12月期~2025年12月期の推移)
(注1)「TTM」はサーマルトランスファーメディアの略称。以下同じ。
(注2)プラスチック成形は、子会社エフシー ベトナム コーポレーションにて事業展開。
※百万円以下は、切捨て
・連結経営指標実績推移(2022年12月期~2025年12月期の推移と2026年12月期予測)
(注3)エクイティスプレッド=ROE-株主資本コスト(CAPM)
なお、株主資本コスト(CAPM)=リスクフリーレート+β(ベータ値)×リスクプレミアム
・前回中期経営計画における重点課題の取り組み状況
(注4)京都工芸繊維大学
・研究室に当社の研究開発者を常駐派遣(2021年2月~2025年1月)
・有機合成技術を活用した新素材の研究開発を実施
・社内に有機合成技術のノウハウを取り込み、必要な設備を導入のうえ基礎合成の実験を推進中
九州大学
・九州大学発の分離ナノ膜を用いた大気中のCO2を直接回収する技術および回収後のCO2を燃料等に変換する技術などの実用化検討に参画
・この技術は、地球環境再生に向けた持続可能な資源環境の実現に向けて注目されている
・九州大学の当該研究は、内閣府が推進するムーンショット型研究開発事業(未来社会を展望し、困難だが実現すれば大きなインパクトが期待される大胆な発想にもとづく挑戦的な研究開発を実施する事業)に採択されている
京都大学
・京都大学が研究中の合成高分子による濃厚ポリマーブラシの実用化に向けた取り組みに参画
・主に、高弾性特性、超低摩擦特性、生体適合性という優れた機能を有し、さまざまな用途への展開が期待される
・濃厚ポリマーブラシは、長いひも状のポリマー(高分子)の形態を制御することによりまっすぐに伸ばし、高密度に配列させたブラシ系の状態になったもの
(注5) Scope1:自社での燃料の燃焼などによる直接排出
Scope2:他社から供給された電力・熱・蒸気の使用による間接排出
Scope3:Scope2以外の間接排出(自社事業の活動に関連する他社の排出)
② 東京証券取引所が定める上場維持基準の適合に向けた状況
2025年3月14日開示の「上場維持基準の適合に向けた計画に基づく進捗状況について」により各種取り組みを進めてまいりました。しかしながら、東京証券取引所が定める上場維持基準に対し、2025年12月31日の基準日において「流通株式時価総額」が適合していないことを確認し、2026年より改善期間に入っております。
詳細は、2026年3月17日開示の「上場維持基準への適合に向けた計画に基づく進捗状況(改善期間入り)について」にてお示ししております。
https://www.fujicopian.com/company/ir.html
③ 新中期経営計画(2026年12月期~2030年12月期)について
イ.中期経営計画の計画期間、建て付けおよび数値目標について
※詳細は2026年3月5日開示「2025年12月期決算説明および中期経営計画(2026-2030)」をご参照。
(https://www.fujicopian.com/company/ir.html)
・新中期経営計画については、当社の置かれた厳しい経営環境を勘案し、計画期間を従来の3年間のところ2026年12月期から2030年12月期までの5年間に変更、最終年度2030年の収益目標は、売上110億円、営業利益10億円、ROE7.3%です。
・また、新中期経営計画では、11ページに記載の反省点を踏まえ環境変化に対し柔軟に即時対応し計画を確実に達成するため、毎年計画を見直すローリング方式を採用しました。
・数値目標(2025年実績~2030年までの計画)
ロ.中期経営方針について
中期経営方針は、FCX80 [~守る/変える~] です。
中期経営計画の最終年度となる2030年は当社創業80周年を迎えます。
輝かしい80周年とするため、中期経営方針には [変革] を意味する「フジコピアン トランスフォーメーション80」と [未来創造] を意味する「フューチャークリエーション80」の二つの思いを込めております。
新中期経営方針の概念図
↓
↓
ハ.重点経営課題
重点経営課題については、環境分析(外部・内部)、これまでの反省をもとに以下3点としております。
● 戦略の見直しによる成長(製品群)
事業ポートフォリオ変革(当社の強みと成長性による選択と集中)
事業ポートフォリオ分析(次ページの図表ご参照)より、当社の強みと成長性による選択と集中を行い、トップラインの売上高を向上させ収益の回復・拡大、および事業ポートフォリオの変革を図ります。「象限B」において創出されるキャッシュを「象限A」や「象限C」における事業のうち有望なテーマに絞り優先度をつけながら投資します。
・コアビジネスの強化(拡大・伸長+変革・改善)
・新製品・新規事業の創出
・コスト競争力の強化
● 人的資本投資
戦略を実現するためにルーティン業務に埋没することなく、自らが経営者目線で考え、従業員一人ひとりが経営パートナーとして活躍できるように人財の採用、育成、活用を行います。
・人的資本への投資
・人的資本の拡充
・従業員エンゲージメントを高めるための施策
・組織風土(情熱+協力+挑戦)の醸成
● カーボンニュートラルへの取り組み
日本国内拠点におけるScope1、2の削減目標は、当社新中期経営計画の最終年となる2030年度に2019年度を基準として30%の削減としております。
Scope1対応
・LNGの優先使用
・高効率設備の導入
・バイオ燃料の導入
Scope2対応
・省電力機器・照明の導入
・再生可能エネルギーの導入

● 基盤収益事業(収益基盤の立て直し)
テープ類、インパクトリボンは低い成長率ながら当社が高い市場占有率・収益率を有し、これまで蓄積してきた顧客基盤を有する事業です。本事業については、対象市場・顧客および用途を明確に絞り込んだ拡販、並行してコストダウンを進めることにより、キャッシュ創出力を高める基盤事業として位置付けております。
● 中核的成長事業(成長加速)
TTMは当社が世界で初めて製品化を行った中核的事業であり、比較的高い成長率ながら、国内においては高い市場占有率を有している一方、海外の市場占有率は低く、成長加速の可能性のある事業と位置付けております。本事業については、コストダウン、廉価版開発によりコスト競争力を高めた製品を国内/海外市場の伸長用途での拡販を行います。またユーザーで事前に印刷版を必要としないオンデマンド印刷方式を大手取引先と連携・推進しており、本技術の本格量産化により、中核的事業の成長を加速してまいります。
● 戦略的育成事業(次世代の成長の創出)
機能性フィルムは当社事業ポートフォリオのなかでも、成長性および市場占有率の両面において最も伸長余地が大きく、中長期的な成長を担う事業と位置付けております。当社は、「接着・粘着・吸着」と「剥離」というトレードオフとなる機能を一つの製品の中で両立する界面制御技術を有しており、特定の市場領域、用途において競争優位性を確立できるポテンシャルがあると考えております。今後は、経営資源を重点的に配分し、電子・光学・精密加工分野に絞り込み製品展開を行うことで中長期的な成長へつなげてまいります。
なお、具体的な取り組み(施策)については、11ページに記載の反省点を踏まえKPI(重要業績達成指標)・責任部署を設定しました。また事業戦略推進体制の見直しとして、新たに社長をリーダーとした事業戦略推進プロジェクトを立ち上げ、各施策のKPI管理、および状況に応じた戦略・戦術の見直しを行い、早期にPDCAを回すことにより確実に成果をあげてまいります。
また開発チャレンジテーマの立ち上げ遅れに対しては、設計開発・生産設計・生産技術・購買など複数部門が協力し、同時並行で業務を進めることで、効率的に開発を進める「コンカレントエンジニアリング」を導入することにより、開発リードタイムを短縮し、早期立ち上げにつなげます。
④ サステナビリティに関する課題への取り組みについて
イ.気候変動問題への対応
・「①前回中期経営計画「飛躍・成長する3年」(2023年12月期~2025年12月期)について」、「③新中期経営計画(2026年12月期~2030年12月期)について」は前記のとおりです。
・日本国内拠点におけるScope1およびScope2のCO2排出量実績推移(注6)
(注6) 電力会社における年度の排出係数の公表時期が翌年の夏ごろとなるため、2024年度までは実績値を記載。
2025年度は2024年の排出係数を使用した予測値を記載。
(注7)Scope2におけるマーケット基準:各拠点の契約電力会社の排出係数を用いて算定。
Scope2におけるロケーション基準:全国平均係数を用いて算定。
ロ.人的資本投資およびダイバーシティ(女性活躍推進を中心に)
・「①前回中期経営計画「飛躍・成長する3年」(2023年12月期~2025年12月期)について」、「③新中期経営計画(2026年12月期~2030年12月期)について」は前記のとおりです。
ハ.知的財産への投資
・当社は1950年の創立以来、画期的な製品開発を実現することにより市場を切り拓き、「開発志向型企業」としてのスタイルを確立してまいりました。
・従いまして、当社にとって知的財産は何ものにも代えがたい重要な資産であります。
・現在、原則2ヶ月に1度、関係取締役・執行役員による「特許出願審査委員会」を開催しており、新たな開発技術について特許出願の是非を議論したうえで特許を出願しております。
・その結果、この10年間、国内外の特許保有件数は常に200件程度をキープしており、研究開発費はもちろんのこと、特許につきましても相応の出願・維持コストをかけるなど、知的財産への投資を続けております。
今後も質の高い特許を数多く出願できるよう開発技術力の向上に努めてまいります。
・当社における国内外の特許保有件数推移(単位:件)
(4) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の経営環境につきましては、わが国経済は緩やかな回復基調の継続が期待されますが、一方で、国内物価の高騰に加え、国際情勢における地政学リスク、欧州や中国の景気動向、米国の通商政策の影響ならびに金融資本市場の変動等により依然として先行き不透明な状況が続くことが予想されます。
優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題につきましては、国内外の拠点を活用して、特長ある付加価値の高い新製品を積極的に市場投入していくほか、既存製品のコストダウン実現によるシェアアップなどにより、販売拡大を図るとともに、収益を確保するべく、「(3) 中長期的な会社の経営戦略」にも掲げております重点経営課題に優先的に取り組んでまいります。
(1) 会社の経営の基本方針
当グループは、印字記録媒体、事務用消耗品等のメーカーとして「技術力と行動力で顧客の満足を得て国際社会に貢献し充実発展する」を基本理念としております。人間性の尊重、合理性の追求を柱とし、新技術に対する挑戦を通じて、独創的なアイデアを製品化し世に広めていくことで社会に貢献することを目指しております。
(2) 目標とする経営指標
当グループは、新製品開発と既存事業の拡充により利益ならびに売上高を極大化することを経営方針の一つとしております。これらを反映する売上高および営業利益に加え、自己資本利益率(ROE)を主な経営指標とし、継続的な向上に努めております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
① 前回中期経営計画「飛躍・成長する3年」(2023年12月期~2025年12月期)について
当グループでは、経営環境がますます不連続かつ不確実に変化する厳しいものとなることが想定されるなか、それまでの中期経営計画の取り組みにおいて積み上げてきた成果を糧としつつ、持続的かつ飛躍的な成長を目指すという思いを込めて、2023年12月期から2025年12月期まで3ヶ年の中期経営計画を策定しました。
しかしながら、販売面では新規取引先の開拓や既存取引先のシェアアップ・掘り起こしや新規開発チャレンジテーマ立ち上げに注力しましたが、中国・欧州市場の低迷が顕著となり、かつ開発チャレンジテーマの立ち上げ遅れも重なり、力強さに欠ける状況が続きました。
また、生産面では長期間におよぶ円安の影響も相俟って原材料・燃料価格の上昇・高止まりの影響などを受け厳しい状況が継続しました。その結果、2025年12月期の業績は、前年度比で大幅な業績悪化となり株主のみなさまのご期待に沿うことができない結果となりました。これにより、誠に遺憾ながら3年連続で営業利益が赤字となり、会計基準にもとづき多額の減損処理を実施することとなりました。
こうした状況下、当社は2026年12月期中を目処に政策保有株式(上場企業)の保有ゼロに向けた売却を進め、内部留保の充実、配当原資の確保ならびに資金の確保に努めます。
(2025年12月31日現在での政策保有株式(上場企業)の時価総額:約13億円、含み益:約8億円)
・数値目標(前回中期経営計画の最終年度である2025年度の目標)
| 2025年度 当初目標 | 2025年度 期初目標 | 2025年度 実績 | |
| 連結売上高 | 11,000百万円 | 9,100百万円 | 8,475百万円 |
| 連結 営業利益 | 1,050百万円 連結売上高 営業利益率9.5% | 80百万円 連結売上高 営業利益率0.9% | ▲230百万円 連結売上高 営業利益率▲2.7% |
・製品群別売上高(2022年12月期~2025年12月期の推移)
| 製品群 | 2022年 12月期 [百万円] | 2023年 12月期 [百万円] | 2024年 12月期 [百万円] | 2025年 12月期 [百万円] | 2025年の 前年比 増減額 [百万円] (増減率%) | 主な要因 |
| TTM(注1) | 5,118 | 4,798 | 5,174 | 5,096 | ▲78 ( ▲1.5%) | 主力のバーコード用リボン、テープ・チューブ用途で伸長、一方開発チャレンジテーマの一部で立ち上げ遅れ |
| インパクトリボン | 745 | 665 | 738 | 840 | +102 (+13.8%) | 競合他社からの当社シェア奪取活動を展開 |
| テープ類 | 2,595 | 1,572 | 2,043 | 1,442 | ▲600 (▲29.4%) | 海外におけるコアビジネスの減少と一部取引先の在庫調整の長期化による影響大 |
| 機能性フィルム | 404 | 321 | 370 | 402 | +32 (+8.8%) | 欧州・中国での自動車関連の回復遅れはあったものの、半導体加工プロセス用の新規開発製品および既存品の新規用途拡大での販売増 |
| その他 | 268 | 276 | 289 | 256 | ▲32 (▲11.2%) | - |
| プラスチック成形 (注2) | 719 | 589 | 367 | 436 | +68 (+18.6%) | 営業努力が奏功し、成形ビジネスにつき受注回復傾向 |
| 合計 | 9,851 | 8,225 | 8,984 | 8,475 | ▲508 ( ▲5.7%) |
(注1)「TTM」はサーマルトランスファーメディアの略称。以下同じ。
(注2)プラスチック成形は、子会社エフシー ベトナム コーポレーションにて事業展開。
※百万円以下は、切捨て
・連結経営指標実績推移(2022年12月期~2025年12月期の推移と2026年12月期予測)
| 連 結 経 営 指 標 | 2022年 12月期 | 2023年 12月期 | 2024年 12月期 | 2025年 12月期 | 2026年 12月期 | |
| 売上高 | (百万円) | 9,851 | 8,225 | 8,984 | 8,475 | 9,000 |
| 営業利益 | (百万円) | 545 | ▲774 | ▲15 | ▲230 | 150 |
| 経常利益 | (百万円) | 644 | ▲668 | 94 | ▲162 | 120 |
| 当期純利益 | (百万円) | 490 | ▲856 | 397 | ▲2,701 | 550 |
| 自己資本利益率[ROE] ① | (%) | 4.5 | ▲8.0 | 3.8 | ▲29.2 | 6.7 |
| 株主資本コスト ② | (%) | 3.2 | 3.7 | 3.0 | 2.7 | - |
| エクイティスプレッド①-② | (%)(注3) | 1.3 | ▲11.7 | 0.8 | ▲31.9 | - |
(注3)エクイティスプレッド=ROE-株主資本コスト(CAPM)
なお、株主資本コスト(CAPM)=リスクフリーレート+β(ベータ値)×リスクプレミアム
| 前記のとおり2025年12月期において、特に売上高が伸び悩んだ要因は、主に以下イ、ロの2点であると考えておりますが、取り組み態勢面においては、早期にPDCAを回せていなかったこと、具体的には、市場環境の変化に応じた戦略・戦術の見直しが後手に回った点、それにより経営資源配分の最適化が不十分だった点が挙げられると考えております。 イ.「コアビジネス」の伸び悩み 経済環境がますます不透明になるなか、テープ類を中心に従来からのコアビジネスが減少傾向であったことや、また一部の取引先の在庫調整が長期化したことなどが全体の売上高・利益に影響しました。 | ![]() |
| ロ.「開発チャレンジテーマ」の立ち上げ遅れ 中期経営計画の重点課題「新製品・新規事業の開発」の主要分野である「開発チャレンジテーマ」の売上は、一部立ち上げ遅れのテーマがあり、前年度比で減少しました(後記)。 |
・前回中期経営計画における重点課題の取り組み状況
| 重点課題項目と計画の概要 | 取り組み実績 |
| (ⅰ)新製品・新規事業の開発 ・成長に向けた領域・テーマの明確化と推進 ・開発体制の強化 | ・計画遅れとなっている開発テーマがあり前年度比 で売上高減少 ・新規開発案件の売上高推移 2023年12月期 実績595百万円 2024年12月期 実績830百万円 2025年12月期 実績743百万円 ・開発技術調査能力向上 ・TTM分野の用途開発継続 (各種オンデマンドマーキング技術) ・TTM、テープ類および機能性フィルム分野での環境対応にかかる技術開発、製品化の検討継続 (基材レス ディファレンスフィルムの開発完了) ・要素技術の拡充 産学連携継続 京都工芸繊維大学、九州大学、京都大学の3校(注4) |
| (ⅱ)ものづくり力・生産性の強化 ・安全第一 ・生産性のさらなる強化 環境に配慮した効率的な原材料の使用 コストダウン活動 ・生産技術革新 設備投資によるさらなる生産性の向上 (自社設計による技術力強化を含む) | ・安全第一の啓蒙、安全パトロールの実施 ・環境に配慮した効率的な原材料の使用にかかる プロジェクト活動は順調に進捗 ・コストダウン(主に変動費)については、計画に対 し、 2023年12月期は96%、2024年12月期は165%、 2025年12月期は74%の達成率 ・固定費(製造固定費および販管費)は、2025年12月期計画に対し7.6%削減 ・スリット加工工程において、作業性改善のための自社設計による設備更新を実施 (2023年12月期~2025年12月期で5台) |
| 重点課題項目と計画の概要 | 取り組み実績 |
| (ⅲ)人財育成 ・既存人事制度のモニタリング、PDCA機能の発揮による高度化 チャレンジを評価する人事制度の運用、中核人財育成、女性活躍推進など ・人財の多様性(女性活躍推進) 女性活躍推進法(計画期間:2021年4月~2026年3月)の目標に向けた対応 ・労働者に占める女性の割合:15.0% ・管理職に占める女性の割合:10.0% ・男性の子の看護休暇取得対象者に対する 取得者比率:30.0% ・従業員エンゲージメント向上のための施策推進 ・経営課題(サステナビリティ)としての「人的資本」への投資 | ・ベースアップ実施(2023年8月給与分から) 平均2.75%(ベースアップ分のみ) ・初任給一律8,000円アップ(2024年4月新卒者より) ・チャレンジを評価する新人事評価制度の運用継続 ・チャレンジの評価に対する後押しとして、管理職のコーチング研修実施(プロコーチによるコーチング体験) ・新卒採用(3年間の計画33名に対して):実績24名 ・経験者採用(3年間の計画41名に対して):実績32名 ・非正規社員から正社員登録(3年間):実績12名 ・女性活躍推進法行動計画(2025年12月31日現在) ・労働者に占める女性の割合:18.0% ・管理職に占める女性の割合:9.3% ・男性の子の看護休暇取得対象者に対する 取得者比率:38.7% ・自己啓発支援につき、 2023年度:51名、1,157千円 2024年度:47名、 960千円 2025年度:42名、 822千円 ・健康経営優良法人認定取得に向けた取り組み ・健康経営度調査による課題の把握 ・外部機関を利用した健康セミナーを開催 ・従業員エンゲージメント向上のための施策推進 ・エンゲージメント調査の実施 ・タウンホールミーティングの実施(継続中) |
| (ⅳ)カーボンニュートラルへの取り組み ・CO2排出量の削減目標 対象範囲:日本国内拠点(国内子会社を含む) 排出対象:Scope1、Scope2(注5) 削減目標:2019年度を基準として 2030年度にCO2排出量を30%削減 ・岡山工場におけるLNGの優先使用 (重油をできる限り使用しない) ・岡山工場における高効率設備の導入 ・各拠点における省電力機器・照明などの導入 ・海外子会社エフシー ベトナム コーポレーション(FCVN)におけるScope1、Scope2の削減 ・Scope3の算定および削減(日本国内拠点)(注5) | ・CO2排出量の推移については、17ページをご参照 ・岡山工場が属する工業団地にてLNGを一括購入し、 パイプラインにて供給を受ける運用を2023年1月 より継続 ・岡山工場において、重油使用ボイラーをLNG熱媒ボイラーに置換え実施(4台) ・岡山工場において、超高効率ボイラーの導入(2台)、更新(4台) ・本社にて高効率の熱交換機への更新 ・岡山工場におけるLED照明の追加導入(継続中) 本社におけるLED照明の導入 ・FCVNにおけるScope1、Scope2のCO2排出量算定を完了 |
(注4)京都工芸繊維大学
・研究室に当社の研究開発者を常駐派遣(2021年2月~2025年1月)
・有機合成技術を活用した新素材の研究開発を実施
・社内に有機合成技術のノウハウを取り込み、必要な設備を導入のうえ基礎合成の実験を推進中
九州大学
・九州大学発の分離ナノ膜を用いた大気中のCO2を直接回収する技術および回収後のCO2を燃料等に変換する技術などの実用化検討に参画
・この技術は、地球環境再生に向けた持続可能な資源環境の実現に向けて注目されている
・九州大学の当該研究は、内閣府が推進するムーンショット型研究開発事業(未来社会を展望し、困難だが実現すれば大きなインパクトが期待される大胆な発想にもとづく挑戦的な研究開発を実施する事業)に採択されている
京都大学
・京都大学が研究中の合成高分子による濃厚ポリマーブラシの実用化に向けた取り組みに参画
・主に、高弾性特性、超低摩擦特性、生体適合性という優れた機能を有し、さまざまな用途への展開が期待される
・濃厚ポリマーブラシは、長いひも状のポリマー(高分子)の形態を制御することによりまっすぐに伸ばし、高密度に配列させたブラシ系の状態になったもの
(注5) Scope1:自社での燃料の燃焼などによる直接排出
Scope2:他社から供給された電力・熱・蒸気の使用による間接排出
Scope3:Scope2以外の間接排出(自社事業の活動に関連する他社の排出)
② 東京証券取引所が定める上場維持基準の適合に向けた状況
2025年3月14日開示の「上場維持基準の適合に向けた計画に基づく進捗状況について」により各種取り組みを進めてまいりました。しかしながら、東京証券取引所が定める上場維持基準に対し、2025年12月31日の基準日において「流通株式時価総額」が適合していないことを確認し、2026年より改善期間に入っております。
詳細は、2026年3月17日開示の「上場維持基準への適合に向けた計画に基づく進捗状況(改善期間入り)について」にてお示ししております。
https://www.fujicopian.com/company/ir.html
③ 新中期経営計画(2026年12月期~2030年12月期)について
イ.中期経営計画の計画期間、建て付けおよび数値目標について
※詳細は2026年3月5日開示「2025年12月期決算説明および中期経営計画(2026-2030)」をご参照。
(https://www.fujicopian.com/company/ir.html)
・新中期経営計画については、当社の置かれた厳しい経営環境を勘案し、計画期間を従来の3年間のところ2026年12月期から2030年12月期までの5年間に変更、最終年度2030年の収益目標は、売上110億円、営業利益10億円、ROE7.3%です。
・また、新中期経営計画では、11ページに記載の反省点を踏まえ環境変化に対し柔軟に即時対応し計画を確実に達成するため、毎年計画を見直すローリング方式を採用しました。
・数値目標(2025年実績~2030年までの計画)
| 2025年 実績 | 2026年 予測 | 2027年 目標 | 2028年 目標 | 2029年 目標 | 2030年 目標 | ||
| 売上高 | (百万円) | 8,475 | 9,000 | 9,300 | 9,800 | 10,400 | 11,000 |
| 営業利益 | (百万円) | ▲230 | 150 | 300 | 500 | 750 | 1,000 |
| 自己資本利益率[ROE] | (%) | ▲29.2% | 6.7% | 2.6% | 4.6% | 6.1% | 7.3% |
ロ.中期経営方針について
中期経営方針は、FCX80 [~守る/変える~] です。
中期経営計画の最終年度となる2030年は当社創業80周年を迎えます。
輝かしい80周年とするため、中期経営方針には [変革] を意味する「フジコピアン トランスフォーメーション80」と [未来創造] を意味する「フューチャークリエーション80」の二つの思いを込めております。
新中期経営方針の概念図
| 経営理念 | ||
| 我が社は技術力と行動力で顧客の満足を得て国際社会に貢献し充実発展する | ||
| 人間性の尊重 | 合理性の追求 | 願望(ゆめ)を現実(かたち)に |
↓
| FCLビジョン ~ありたい姿、志~ |
| 「コンバーティング技術」 × 「コア技術」 で未来を塗り替える |
| ※コンバーティング技術:「処方設計技術」「ブレンド技術」「塗工/表面処理技術」「加工技術」 |
| ※コア技術:「接着・粘着・吸着」と「剥離」というトレードオフとなる機能を一つの製品の中でバランスよく両立する界面制御技術 |
↓
| 中期経営方針(2026~2030) |
| FCX80[~守る/変える~] |
| (2030年に創業80年を迎える) |
| フジコピアン トランスフォーメーション80[変革]/フューチャークリエーション80[未来創造] |
| 「ルーティン業務に埋没することなく、一人ひとりが経営パートナーへ成長していく」 |
| 「守(しゅ:基本を守る)・破(は:型を破り応用する)・離(り:型から離れ独自の道を行く)にて |
| 技術、精神の成長を促し、「変革」 ・ 「未来創造」 を実現する。」 |
| 2030年度収益目標 売上110億円 営業利益10億円 ROE:5%以上 |
ハ.重点経営課題
重点経営課題については、環境分析(外部・内部)、これまでの反省をもとに以下3点としております。
● 戦略の見直しによる成長(製品群)
事業ポートフォリオ変革(当社の強みと成長性による選択と集中)
事業ポートフォリオ分析(次ページの図表ご参照)より、当社の強みと成長性による選択と集中を行い、トップラインの売上高を向上させ収益の回復・拡大、および事業ポートフォリオの変革を図ります。「象限B」において創出されるキャッシュを「象限A」や「象限C」における事業のうち有望なテーマに絞り優先度をつけながら投資します。
・コアビジネスの強化(拡大・伸長+変革・改善)
・新製品・新規事業の創出
・コスト競争力の強化
● 人的資本投資
戦略を実現するためにルーティン業務に埋没することなく、自らが経営者目線で考え、従業員一人ひとりが経営パートナーとして活躍できるように人財の採用、育成、活用を行います。
・人的資本への投資
・人的資本の拡充
・従業員エンゲージメントを高めるための施策
・組織風土(情熱+協力+挑戦)の醸成
● カーボンニュートラルへの取り組み
日本国内拠点におけるScope1、2の削減目標は、当社新中期経営計画の最終年となる2030年度に2019年度を基準として30%の削減としております。
Scope1対応
・LNGの優先使用
・高効率設備の導入
・バイオ燃料の導入
Scope2対応
・省電力機器・照明の導入
・再生可能エネルギーの導入

| 製品群 | 事業ポートフォリオ | 具体的な取り組み(施策) | ||
| TTM | 国内 | A | 中核的成長事業 | ・伸長用途での拡販(バーコード、軽包装、テープチューブ) ・オンデマンド印刷方式の拡販 (他印刷方式からTTM方式へのシフトを図り大手取引先と連携・推進) |
| 海外 | C | ・コストダウン、廉価版製品による伸長用途での拡販 | ||
| テープ類 | B | 基盤収益事業 | ・新興国への拡販 ・新製品投入によるシェア維持・拡大 (環境配慮型・次世代修正テープ) | |
| インパクトリボン | B | 基盤収益事業 | ・コストダウン ・競合他社からの当社シェア奪取 | |
| 機能性フィルム | C | 戦略的育成事業 | ・新製品「基材レス ディファレンスフィルム」を活用することなどによる電子、光学、精密加工分野でのシェアアップ | |
● 基盤収益事業(収益基盤の立て直し)
テープ類、インパクトリボンは低い成長率ながら当社が高い市場占有率・収益率を有し、これまで蓄積してきた顧客基盤を有する事業です。本事業については、対象市場・顧客および用途を明確に絞り込んだ拡販、並行してコストダウンを進めることにより、キャッシュ創出力を高める基盤事業として位置付けております。
● 中核的成長事業(成長加速)
TTMは当社が世界で初めて製品化を行った中核的事業であり、比較的高い成長率ながら、国内においては高い市場占有率を有している一方、海外の市場占有率は低く、成長加速の可能性のある事業と位置付けております。本事業については、コストダウン、廉価版開発によりコスト競争力を高めた製品を国内/海外市場の伸長用途での拡販を行います。またユーザーで事前に印刷版を必要としないオンデマンド印刷方式を大手取引先と連携・推進しており、本技術の本格量産化により、中核的事業の成長を加速してまいります。
● 戦略的育成事業(次世代の成長の創出)
機能性フィルムは当社事業ポートフォリオのなかでも、成長性および市場占有率の両面において最も伸長余地が大きく、中長期的な成長を担う事業と位置付けております。当社は、「接着・粘着・吸着」と「剥離」というトレードオフとなる機能を一つの製品の中で両立する界面制御技術を有しており、特定の市場領域、用途において競争優位性を確立できるポテンシャルがあると考えております。今後は、経営資源を重点的に配分し、電子・光学・精密加工分野に絞り込み製品展開を行うことで中長期的な成長へつなげてまいります。
なお、具体的な取り組み(施策)については、11ページに記載の反省点を踏まえKPI(重要業績達成指標)・責任部署を設定しました。また事業戦略推進体制の見直しとして、新たに社長をリーダーとした事業戦略推進プロジェクトを立ち上げ、各施策のKPI管理、および状況に応じた戦略・戦術の見直しを行い、早期にPDCAを回すことにより確実に成果をあげてまいります。
また開発チャレンジテーマの立ち上げ遅れに対しては、設計開発・生産設計・生産技術・購買など複数部門が協力し、同時並行で業務を進めることで、効率的に開発を進める「コンカレントエンジニアリング」を導入することにより、開発リードタイムを短縮し、早期立ち上げにつなげます。
④ サステナビリティに関する課題への取り組みについて
イ.気候変動問題への対応
・「①前回中期経営計画「飛躍・成長する3年」(2023年12月期~2025年12月期)について」、「③新中期経営計画(2026年12月期~2030年12月期)について」は前記のとおりです。
・日本国内拠点におけるScope1およびScope2のCO2排出量実績推移(注6)
| 2019 年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024 年度 | 2025 年度 | ||||
| Scope1 | CO2排出量 | (トン) | 6,823 | 6,432 | 5,829 | 6,342 | 5,604 | 6,372 | 6,345 | |
| Scope2 (注7) | マーケット基準 | CO2排出量 | (トン) | 8,311 | 7,127 | 6,488 | 7,242 | 6,335 | 7,212 | 5,981 |
| ロケーション基準 | CO2排出量 | (トン) | 6,188 | 5,559 | 5,489 | 5,950 | 5,158 | 5,914 | 5,259 | |
| Scope1+Scope2 合計 ※Scope2はマーケット 基準採用 | CO2排出量 | (トン) | 15,134 | 13,559 | 12,317 | 13,584 | 11,939 | 13,584 | 12,326 | |
| 2019年度比 削減率 | (%) | - | ▲10.4% | ▲18.6% | ▲10.2% | ▲21.1% | ▲10.2% | ▲18.6% | ||
(注6) 電力会社における年度の排出係数の公表時期が翌年の夏ごろとなるため、2024年度までは実績値を記載。
2025年度は2024年の排出係数を使用した予測値を記載。
(注7)Scope2におけるマーケット基準:各拠点の契約電力会社の排出係数を用いて算定。
Scope2におけるロケーション基準:全国平均係数を用いて算定。
ロ.人的資本投資およびダイバーシティ(女性活躍推進を中心に)
・「①前回中期経営計画「飛躍・成長する3年」(2023年12月期~2025年12月期)について」、「③新中期経営計画(2026年12月期~2030年12月期)について」は前記のとおりです。
ハ.知的財産への投資
・当社は1950年の創立以来、画期的な製品開発を実現することにより市場を切り拓き、「開発志向型企業」としてのスタイルを確立してまいりました。
・従いまして、当社にとって知的財産は何ものにも代えがたい重要な資産であります。
・現在、原則2ヶ月に1度、関係取締役・執行役員による「特許出願審査委員会」を開催しており、新たな開発技術について特許出願の是非を議論したうえで特許を出願しております。
・その結果、この10年間、国内外の特許保有件数は常に200件程度をキープしており、研究開発費はもちろんのこと、特許につきましても相応の出願・維持コストをかけるなど、知的財産への投資を続けております。
今後も質の高い特許を数多く出願できるよう開発技術力の向上に努めてまいります。
・当社における国内外の特許保有件数推移(単位:件)
| 2016 年度 | 2017 年度 | 2018 年度 | 2019 年度 | 2020 年度 | 2021 年度 | 2022 年度 | 2023 年度 | 2024 年度 | 2025 年度 | |
| 国内 | 184 | 194 | 186 | 193 | 177 | 168 | 172 | 169 | 169 | 164 |
| 海外 | 34 | 34 | 33 | 33 | 36 | 31 | 28 | 28 | 28 | 26 |
| 合計 | 218 | 228 | 219 | 226 | 213 | 199 | 200 | 197 | 197 | 190 |
(4) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の経営環境につきましては、わが国経済は緩やかな回復基調の継続が期待されますが、一方で、国内物価の高騰に加え、国際情勢における地政学リスク、欧州や中国の景気動向、米国の通商政策の影響ならびに金融資本市場の変動等により依然として先行き不透明な状況が続くことが予想されます。
優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題につきましては、国内外の拠点を活用して、特長ある付加価値の高い新製品を積極的に市場投入していくほか、既存製品のコストダウン実現によるシェアアップなどにより、販売拡大を図るとともに、収益を確保するべく、「(3) 中長期的な会社の経営戦略」にも掲げております重点経営課題に優先的に取り組んでまいります。
