有価証券報告書-第96期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/19 16:50
【資料】
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【項目】
95項目

対処すべき課題

(1)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境を見ますと、これまでにない大きな変化、不確実な世界が到来しております。社会・人々の価値観の変容、デジタル革命といわれる技術革新の加速、産業構造の水平化・複層化、新たなエコシステムの出現等、これまでの既成概念のディスラプションが至るところで起こる時代であり、当社グループにとって機会と脅威が同時に到来しております。変化は成長オポチュニティとなる一方で、既存ビジネスモデルは陳腐化リスクにさらされており、これまでのように商品軸をベースとするアプローチだけではもはやソリューションは作り出せなくなると考えております。
(2)新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響について
新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、広範な分野において事業を多角的に展開する当社グループにも様々な影響を及ぼす可能性があります。金融・リース事業や輸送機関連ビジネス、石油・ガス開発、鉄鉱石、石炭、銅鉱山開発等の事業は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を複合的に受けることを免れることは難しい見通しです。一方で、電力・インフラ事業等の安定収益型事業やアグリ事業・食料関連といった生活に欠かせないライフライン関連事業は安定的な収益基盤として当社の業績に貢献し、化学品、エネルギー等、産業全体を支えるトレード事業も商量減少による減益は避けられないものの収益貢献が継続する見通しです。これらの見通しは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が、翌連結会計年度の上半期中にピークを迎え、その後徐々に収束に向かうものの、世界経済・景気が回復基調に戻るには相当の時間を要する見込みであること、具体的には、2020年度の下半期以降においても緩やかな回復に留まり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が、2021年度まで影響が残るという想定に基づくものです。
(3)会社の経営の基本方針
当社グループは、丸紅グループの在り姿「Global crossvalue platform」を定めるとともに、経営戦略の基本方針「2030年に向けた長期的な企業価値向上を追求する」を明示した3ヵ年の中期経営戦略「Global crossvalue platform 2021」(以下、GC2021)を策定し、2019年度よりスタートしております。
丸紅グループの在り姿「Global crossvalue platform」
・時代が求める社会課題を先取りし、事業間、社内外、国境、あらゆる壁を突き破るタテの進化とヨコの拡張により、社会・顧客に向けてソリューションを創出します。
・丸紅グループを一つのプラットフォームとして捉え、グループの強み、社内外の知、ひとり一人の夢と夢、志と志、さまざまなものを縦横無尽にクロスさせて新たな価値を創造します。
(4)中期経営戦略「GC2021」の修正について
当連結会計年度の大幅赤字決算により財務基盤の早急な回復が必要になったことに加え、上述の通り新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により経営環境が大幅に悪化したことから、今後、当社グループの事業活動への影響が長期化することを覚悟し、世界各国のグループ社員、顧客・パートナーの安全確保を第一に、経営基盤の強化・再構築に徹底的に取り組むべく、2020年5月7日に以下の及び<株主還元方針>を公表しております。
「財務基盤の再生・強化」
・当連結会計年度の大幅赤字決算を受け、財務基盤の再生・強化を最優先課題としてキャッシュ・フロー重視の経営を徹底
・3ヵ年累計株主還元後フリーキャッシュ・フローの黒字により債務返済を優先し、2021年度末のネットDEレシオ1.0倍程度へ
「事業戦略の強化」
・GC2021で掲げる成長戦略の基本方針は変えない
・既存事業基盤の強化と新たなビジネスモデル創出により中長期的な企業価値向上を追求する
● コスト削減を含む既存事業の強化・底上げを徹底し、持続的かつ強靭な事業基盤を構築する
● 新型コロナウイルス感染症収束後の世界経済、社会課題、成長領域、ビジネスモデルの変化を見据え、資産の入れ替え・優良化に取り組む
● 過去の事業投資パフォーマンスを総括し、リスクマネジメントの更なる拡充・強化を図る
<株主還元方針>・連結配当性向25%以上を維持し、各年度における配当金は期初に公表する予想配当金を下限とする現行の配当方針を継続
・2020年度の配当金については、15円/株(中間7.5円/株、期末7.5円/株)とし、これを下限とする
・財務基盤の再生・強化を優先し、GC2021期間中の自己株式の取得は実施しない
(将来に関する記述等についてのご注意)
本報告書に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が当有価証券報告書提出日現在において入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。