有価証券報告書-第101期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
①コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、コーポレート・ガバナンス体制の構築にあたり、「透明性と説明責任の向上」及び「経営の監督と執行の役割分担の明確化」を重視しています。「透明性と説明責任の向上」のために、当社は、社外取締役及び社外監査役の視点を入れての経営監督及び監視機能の強化を図るとともに、情報開示に係る内部統制体制を整備し、公正開示の原則の下、役職員が説明責任の遂行にあたることとしています。また、「経営の監督と執行の役割分担の明確化」のために当社は執行役員に業務執行の権限を大幅に委譲した上で、取締役会が執行役員の業務執行を監督します。国内の16事業本部及び海外の3地域本部のそれぞれを統括する事業本部長及び地域本部長は、同時に執行役員でもあり、連結グループの機動性のある業務執行にあたります。
当社は、監査役による監査機能の実効性を高める一方、会社業務に通暁した社内取締役を中心とした実態に即した経営が総合商社の業態に必要であると判断し、監査役会設置会社の形態によるコーポレート・ガバナンスを採用する一方、「透明性と説明責任の向上」、及び「経営の監督と執行の役割分担の明確化」を担保するため、社外取締役・社外監査役の参画を得た各種諮問機関の設置などを通じて実効性の高いコーポレート・ガバナンスを実現します。株主をはじめとするステークホルダーのために有効なコーポレート・ガバナンスを実現するため、以下の体制を構築し、維持しています。
(a)取締役会は経営執行及び監督の最高機関であり、その機能の確保のために、当社は取締役の人数を実質的な討議を行うのに適切な規模としています。また、社外取締役・社外監査役が委員として参加する諮問機関としてガバナンス委員会、指名委員会、報酬委員会を取締役会の下に設置しています。
(b)監査役は株主の負託を受けた独立の機関として取締役の職務執行を監査します。この目的のため、監査役は社内の重要会議への出席、各種報告の検証、会社業務の調査など多面的かつ有効な監査活動を展開し、必要な措置を適時に講じます。
当社のコーポレート・ガバナンスに対する基本的な考え方と方針については、「三井物産コーポレート・ガバナンス及び内部統制原則」としてまとめ、当社ウェブサイトに公表しています。
(https://www.mitsui.com/jp/ja/company/outline/governance/system/pdf/corp_gov.pdf)
また、当社は、2018年6月に公表された改訂コーポレートガバナンス・コードの各原則について、すべて実施しています。同コードの各原則に基づく開示については、国内証券取引所宛てに提出している「コーポレート・ガバナンス報告書」をご参照ください。
②当社におけるコーポレート・ガバナンス体制
(a)取締役会の状況
・当社は、2002年4月の執行役員制導入を契機に、取締役数を2002年6月に38名から11名に減員しました。2003年6月から社外取締役を選任、2015年6月の定時株主総会以降社外取締役5名を選任しています。本報告書提出時点において取締役14名のうち、執行役員を兼務する取締役は8名となっています。なお、取締役会は男性11名、女性3名(社外取締役)で構成されており、女性比率は21.4%です。
・取締役の人数は、実質的な討議を行うのに適切な規模としています。取締役の任期は1年として毎年改選しますが、再任を妨げないものとしています。
・会長が当社の取締役会を招集し議長にあたります。なお、当社における会長の役割は、主として経営の監督を行うことであり、執行役員を兼務せず、日常の業務執行には関与しません。
・取締役会は、取締役会付議・報告事項に関する内規に従い、当社の経営に関する基本方針、重要な業務執行に関する事項、株主総会の決議により授権された事項のほか、法令及び定款に定められた事項を決議し、また、法令に定められた事項及び重要な業務の執行状況につき報告を受けます。
・取締役会は原則毎月1回開催するほか必要に応じて随時開催します。2020年3月期は合計15回開催しました。
・また、すべての社外取締役及び社外監査役により構成される社外役員会議を設置し、経営上の重要事項について、社外役員間、または社外役員と社内取締役、常勤監査役、会計監査人、執行役員等との間で情報共有・意見交換を行っています。2020年3月期は合計15回開催し、経営方針、監査、事業本部の取組状況、人材育成等について、情報交換及び意見交換を行いました。
・当社は取締役会の諮問機関としてガバナンス委員会、指名委員会、報酬委員会の3つの委員会を設置しています。2015年6月に当社ガバナンス体制の強化を目的として各委員会の構成を見直しました。この結果、ガバナンス委員会の構成は過半数が社外役員となり、従来社外取締役が委員長を務めていた報酬委員会に加え、指名委員会の委員長も社外取締役となりました。また、2018年6月以降は、指名委員会の構成についても過半数が社外役員となりました。2019年6月以降は、報酬委員会の構成についても過半数が社外役員となり、本報告書提出時点では社外監査役が委員長を務めています。
・当社は、会社法第427条第1項に基づき、各社外取締役との間で、会社法第425条第1項に定める最低責任限度額まで社外取締役の責任を限定する契約を締結しています。
・本報告書提出時点の取締役会及び監査役会の構成は以下のとおりです。
-取締役会:
飯島彰己(議長)、安永竜夫、竹部幸夫、内田貴和、堀健一、藤原弘達、米谷佳夫、大間知慎一郎、吉川美樹、小林いずみ(社外取締役)、ジェニファー ロジャーズ(社外取締役)、サミュエル ウォルシュ(社外取締役)、内山田竹志(社外取締役)、江川雅子(社外取締役)
-監査役会:
鈴木愼、塩谷公朗、松山遙(社外監査役)、小津博司(社外監査役)、森公高(社外監査役)
・当社は取締役会の諮問機関として以下の3つの委員会を設置しています。本報告書提出時点の各委員会の構成は以下のとおりです。
-「ガバナンス委員会」
構成:委員長 会長(飯島彰己)
委員 社長(安永竜夫)、社外取締役3名(ジェニファー ロジャーズ・サミュエル ウォルシュ・江川雅子)、社内取締役1名(大間知慎一郎)、社外監査役1名(松山遙)
役割期待:当社のコーポレート・ガバナンスの継続的なモニタリング実施と更なる充実のための施策の検討を通じ、経営の透明性・公正性を高め、コーポレート・ガバナンスの継続的な向上を図る。
機能:当社のコーポレート・ガバナンスに係わる基本方針・施策に関する検討、並びに当社のコーポレート・ガバナンスの更なる充実のための施策として取締役会の構成・人数・議題の検討、及び指名委員会・報酬委員会での審議・検討事項の提案を含む取締役会の諮問委員会のあり方の検討。
-「指名委員会」
構成:委員長 社外取締役(小林いずみ)
委員 会長(飯島彰己)、社長(安永竜夫)、社外取締役1名(内山田竹志)、社外監査役1名(小津博司)
役割期待:当社取締役及び執行役員の指名プロセスに関し、社外役員が関与することにより透明性・客観性を高め、役員指名の公正性を担保する。
機能:当社取締役及び執行役員の指名に関する選解任基準・選解任プロセスの検討、最高経営責任者(CEO)等の後継者計画の策定、並びに取締役人事案に対する評価、並びに役員の解任に係る審議。
-「報酬委員会」
構成:委員長 社外監査役(森公高)
委員 社外取締役2名(小林いずみ・江川雅子)、社内取締役2名(内田貴和・藤原弘達)
役割期待:当社取締役及び執行役員の報酬に関する決定プロセスにつき、社外役員の関与により透明性と客観性を高めるとともに継続的なモニタリング実施を通じ、役員報酬の公正性を担保する。
機能:当社取締役及び執行役員の報酬・賞与に関する体系・決定プロセスの検討、並びに取締役報酬・賞与案に対する評価、並びに執行役員評価・賞与案に対する評価。
・取締役会は、毎年、各取締役の自己評価なども踏まえ、取締役会の実効性について、分析・評価を行い、その結果の概要を開示します。当連結会計年度の評価手続き及び結果の概要は、第4.4(1)④(a)(i)に記載のとおりです。
(b)業務執行・内部統制体制
・当社の経営執行における最高責任者は社長であり、国内の商品毎の事業本部長及び海外地域本部長等は、社長から業務執行上の権限を委譲され、また、社長に対して責任を負います。当社は、会社経営全般に関する基本方針及び重要事項を審議し決定するため経営会議を設置しています。経営会議は、取締役会長、社長(議長)、コーポレートスタッフ部門担当役員及び社長が指名する代表取締役または執行役員をもって構成し、原則として毎週開催されます。経営会議に付議された事項は構成員の協議の結果を徴して社長が決定します。
・社長直轄の組織である内部監査部が当社の内部統制の整備・運用状況を検証します。当社は、2011年4月のNASDAQ上場廃止及び同7月のSEC登録廃止の結果、2012年3月期以降、米国企業改革法への対応から本邦基準に則った内部統制の構築へと体制が移行しました。体制移行後においても、企業会計審議会が公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」並びに「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」に示されている内部統制の基本的枠組み(フレームワーク)の下、内部統制を(1)「業務の有効性と効率性の向上」、(2)「会計基準への準拠、及び財務報告の信頼性の確保」、(3)「法令、法令に準ずる規範、並びに経営理念及びこれを反映した各種行動規範を含む社内ルールの遵守」、(4)「会社資産の保全」の4つの目的を達成し、また、「統制環境」、「リスクの評価」、「統制活動」、「情報と伝達」、「監視活動(モニタリング)」、「IT(情報技術)への対応」の6つの要素にて構成される「経営者が業務執行組織を統制する仕組み」と位置づけ、従来と同水準の内部統制体制を継続しています。
・当社では、業務執行及び内部統制に係る各種主要委員会を以下のとおり設置し、益々増大・多様化する広範なリスク・業態に対応しています。
-「コンプライアンス委員会」
経営会議の下部組織(社外弁護士がオブザーバーとして参加)として、当社コンプライアンス体制の整備及びその有効性の維持・向上を図ります。
-「開示委員会」
経営会議の下部組織として、当社における法定開示・適時開示並びに重要なその他の開示物及び開示行為に関する原則・基本方針の策定や社内体制の整備、また開示情報の重要性・妥当性の判定・判断を行います。
-「J-SOX委員会」
経営会議の下部組織として、当社における内外連結ベースでの財務報告の信頼性を確保するための体制の整備、及びその有効性の維持・向上を図ります。
-「ポートフォリオ管理委員会」
経営会議の諮問機関として、ポートフォリオ戦略・投融資計画の策定、ポートフォリオのモニタリング、重要案件の個別審査にあたります。
-「情報戦略委員会」
経営会議の諮問機関として、全社情報戦略・IT戦略の策定、経営基盤構築や情報戦略推進体制に関する重要方針の策定とモニタリング等にあたります。
-「サステナビリティ委員会」
経営会議の下部組織として、社会と当社の持続可能性(サステナビリティ)をより意識した経営の推進に向けた企画・立案・提言を行います。
-「ダイバーシティ推進委員会」
経営会議の諮問機関として、当社ダイバーシティ推進の基本方針・基本計画の立案、重点課題の策定と推進を行います。
-「危機対策本部」
危機対応のための臨時・非常設の社長直轄組織として、危機対応に関する全ての事項について、通常の社内決定機関に代わって必要な意思決定を行います。本部長には社長があたります。
当社のコーポレート・ガバナンス及び内部統制の全体の仕組みを図示すると以下のとおりとなります。

③内部統制システムの整備状況
当社は、内部統制プロセスの構築にあたり、企業会計審議会が示している内部統制の基本的枠組みに則り、「業務の有効性と効率性の向上」、「会計基準への準拠、及び財務報告の信頼性の確保」、「法令、法令に準ずる規範、並びに経営理念及びこれを反映した各種行動規範を含む社内ルールの遵守」、「会社資産の保全」の達成を目的として、以下の制度を導入しています。
(a)リスク管理体制
多様な事業の履行に伴う損失の危険(「リスク」)は、各事業本部及び海外地域本部長等が委譲された権限の範囲内で管理します。当社の事業運営に伴うリスクには、信用リスク、市場リスク、関係会社の事業運営リスク、カントリーリスクなどの定量的リスクと、コンプライアンス・リスクやオペレーショナル・リスクのような定性的リスクがあります。各事業単位においては、定量的リスクへの対処として、ポジション限度や損切り限度の事前設定、専門部署によるポジションのモニタリングなどが、定性的リスクへの対処として、関連社内規則の遵守が義務付けられます。各事業本部及び海外拠点の長に委譲された権限を超えるリスクを負担する場合は、「稟議制度」により重要度に応じ、経営会議の決定、または、関係代表取締役若しくは関係役付執行役員の決裁を得ることを要します。
更に、「②当社におけるコーポレート・ガバナンス体制」に記載のとおり、執行役員及びコーポレートスタッフ部門の部長から構成される業務執行・内部統制体制に係る委員会として、ポートフォリオ管理委員会、コンプライアンス委員会、開示委員会、J-SOX委員会、サステナビリティ委員会、危機対策本部などの組織が全社レベルでのリスク管理体制の設計・整備や重要なリスクへの対処にあたります。コーポレートスタッフ部門各部は、担当する分野のリスクについて、全社ポジションの監視、所定の権限の範囲内でのコントロール、及び担当取締役及び執行役員の補佐にあたります。
(b)財務報告に係る内部統制
当社はSEC登録の廃止に伴い、2012年3月期以降は金融商品取引法に基づく内部統制報告制度へ準拠した対応を行っています。同対応について、当社は、全社的な統制に加え、会計・決算、IT、及び業務プロセスに係る内部統制の有効性につき評価対象部署による自己評価及び独立部署によるテスティングを実施してきました。これらを総合的に評価した結果、当社経営者は、2020年3月期の当社の財務報告に係る内部統制は有効であることを確認しました。
(c)情報システムの構築運営、情報セキュリティに関する内部統制
当社はIT利活用に対する基本理念を「IT基本方針」として宣言し、社員の更なる意識向上、ITガバナンスの浸透を図っています。
当社のグローバル・グループ情報戦略に係る重要方針に関しては、「情報戦略委員会規程」に基づいて設置された情報戦略委員会の審議を経て経営方針に沿い策定されています。
また、同委員会を中心とした体制のもと、情報システムの構築運営や情報セキュリティ面で必要となる以下の各規程の整備を通じて、情報漏えいリスク等の想定される各種リスクの管理を含む内部統制体制の強化を進めています。
「情報システム管理規程」:情報資産の調達・導入からその運用方法を規定。
「ITセキュリティ規程」:ITセキュリティ面でのシステム主管部の行動原則を規定。
「情報管理規程」 :情報リスク管理体制、情報管理に関する基本事項を規定。
「個人情報保護規程」 :事業遂行上必要となる個人情報の取扱に関する規程。(国内のみが対象)
「サイバーセキュリティ対策に関する規程」:サイバー攻撃等への予防及び事件発生時の緊急対策に関する規程。
(d)コンプライアンス体制
チーフ・コンプライアンス・オフィサーを委員長とするコンプライアンス委員会(「②当社におけるコーポレー
ト・ガバナンス体制」を参照願います)を設けているほか、部や室におけるライン職制によるコンプライアンス管理に加えて、国内外の各本部及び支社支店等にコンプライアンス統括責任者を設置しています。
当社は「三井物産役職員行動規範」を定め、また子会社においても同等の行動規範を定め、その継続的な点検により遵守状況の改善に努めています。さらに、グループ全体で共有すべきインテグリティやコンプライアンスに関する考え方を更に明確にするため、三井物産及びグループ各社を対象とする「三井物産グループ行動指針」を定めています。「三井物産役職員行動規範」及び「三井物産グループ行動指針」は当社ウェブサイトを参照願います。
当社は、内部通報窓口を社外弁護士及び第三者機関へのものも含め、全8ルート設置しています。国内関係会社においても、当社が指定している弁護士及び第三者機関をその関係会社の内部通報窓口として使えるようにし、匿名性を担保しつつ、より安心して利用できる報告・相談ルートを整備しています。海外拠点及び海外関係会社についても、現地の法令や特性を考慮しつつ報告・相談ルートを整備しています。また、当社は、内部通報を行った者に対し、当該内部通報を行ったこと自体を理由として不利な取り扱いを行うことを禁止し、その旨を社内規程において定め、周知徹底しています。コンプライアンス違反に対しては、就業規則に基づく懲戒を含め厳正に対応しています。
(e)特定事業管理制度
当社はDPF問題の発生を契機として、2005年4月に「特定事業管理制度」を制定しました。「環境関連事業」「メディカル・ヘルスケア・バイオ倫理関連事業」「補助金受給案件」及び「その他異例なレピュテ―ションリスクを内包する事業」の4事業領域を対象として社内審査を強化し、必要に応じてサステナビリティ委員会または社外専門家が委員として出席する環境・社会諮問委員会の答申を得、もしくはその他外部専門家の意見を聴取することとしています。また、環境や人権などの社会的リスクに知見のある専門家を常置し、これらに関連する新規・既存事業について必要に応じ助言を得ることとしています。
(f)企業集団における業務の適正を確保するための体制
当社は2006年3月に「三井物産コーポレート・ガバナンス及び内部統制原則」を定め、子会社に対しては法令その他に照らして合理的な限りこれに基づく内部統制を整備・運用せしめ、持分法適用会社に対しては、他出資者と連携して、同様の内部統制を整備・運用するよう働きかけることとしています。財務報告の信頼性を確保するための内部統制については、上述の財務報告に係る内部統制の取組みを参照願います。また、関係会社毎に当社役職員から関係会社主管者を置き、「関係会社主管者職務規程」に基づく管理にあたらしめています。また、関係会社への常勤監査役の差入にあたって、主要関係会社については主管事業部ではなく内部監査部から差入れるなど監査の独立性を強化しています。
④コーポレート・ガバナンスの充実に向けた最近1年間における実施状況
(a)コーポレート・ガバナンスの強化の取組み
当連結会計年度における当社コーポレート・ガバナンス強化の取組みは以下のとおりです。
(i)取締役会の実効性評価
当連結会計年度における取締役会の実効性評価を以下のとおり実施しました。
<評価方法>(1) 2019年12月に全取締役(14名)及び全監査役(5名)に対し、取締役会の構成、運営状況及び審議内容等に関するアンケートを実施(以下「2020年3月期アンケート」)しました。
(2) 2020年1月から2月上旬にかけて第三者評価機関による全取締役及び全監査役に対する個別インタビューを実施しました。
(3) 2月4日開催の社外役員会議(全社外取締役及び全社外監査役が出席)において、取締役会の実効性に関する意見交換を実施しました。
(4) 3月4日、第三者評価機関は、個別インタビューで集めた意見を無記名の形で取り纏め、全ての取締役及び監査役に報告(以下「第三者評価結果」)。同日、2020年3月期アンケート結果、社外役員会議結果、及び第三者評価結果を踏まえ、ガバナンス委員会において議論しました。
(5) 3月30日開催の経営会議での議論を経て、4月8日開催の取締役会において、ガバナンス委員会の答申を踏まえて議論した後、2020年3月期の取締役会の実効性の評価を確定しました。
<アンケートの項目>2020年3月期アンケートの質問票の大項目は以下のとおりです。設問ごとに、5段階で評価する方式としており、当該項目に関する自由コメント欄を設けています。更に、取締役会の実効性向上の進捗が把握できるよう、前年対比での改善の度合いについても3段階で評価することとしています。
Ⅰ.取締役会の構成
Ⅱ.取締役会の運営状況
Ⅲ.取締役会の審議
Ⅳ.取締役会の役割・責務
Ⅴ.諮問委員会
Ⅵ.取締役・監査役自身の職務執行
Ⅶ.取締役・監査役への支援
Ⅷ.総括
<実効性向上に向けた2020年3月期の取組み>2019年3月期の取締役会の実効性評価の結果を踏まえ、取締役会及び取締役会事務局は、2020年3月期は以下の点に取り組みました。
(1) 個別事業案件の深化
個別事業案件に関する取締役会資料では、当該事業の投融資保証金額が事業本部内において占める割合や収益貢献の程度を定量的に示す等事業本部戦略上の案件位置づけを明確化することにも努めました。また、大規模案件に関し、セグメント戦略等における位置付けや各国での全社リスクエクスポージャーに関する説明を行うなど、全社における案件位置付けや他事業へ与える影響を示す資料の充実を図ることにも取り組みました。更に、社外役員会議では、キャッシュ・フロー・アロケーション進捗報告を実施しました。
2020年3月期アンケートでは、個別事業案件の深化に関し、社外役員の大多数が肯定的に評価しています。個別事業案件に関する取締役会資料充実により、経営戦略を把握し理解する上で助けになり、その結果、より戦略的な審議ができるようになった旨の意見もありました。
(2) 合宿フリーディスカッションについて
2019年3月期の実効性評価結果も踏まえ合宿フリ―ディスカッションを継続実施し、2019年11月に当社横浜研修所にて、取締役及び監査役でのフリーディスカッションを行い、①コングロマリットとしての経営戦略、②Mitsui Diversity Managementにテーマを絞り活発な議論を実施しました。
2020年3月期アンケートでは、合宿フリーディスカッションに関し、社外役員の大多数が肯定的に評価しています。一方、宿泊を伴わないフリーディスカッションの追加実施を求める意見もありました。
(3) 取締役会の運営見直しについて
取締役会の運営面では、取締役会資料配布の更なる早期化に取り組んだ他、限られた時間の中で取締役会としてより重要な案件に集中して審議できるように運用面での工夫を図るべく、書面決議を用いることで、必要な案件に十分な審議時間を確保するよう継続的に取り組みました。更に、個別事業案件の取締役会資料では、経営会議における議論の内容を的確に紹介するよう取り組みました。
2020年3月期アンケートでは、取締役会の運営見直しに関し、社外役員の大多数が肯定的に評価しています。
(4) 諮問委員会に関する事項について
報酬委員会の活動状況や指名委員会の活動状況が取締役会に報告された他、2019年7月開催の取締役会で、各諮問委員会の活動計画を報告しました。
2020年3月期アンケートでは、社外役員の大多数が肯定的に評価しています。一方、ガバナンス委員会についてテーマ設定を年間計画として開催頻度を増やすべきとの意見やテーマについても委員会にて議論すべき等の意見もあり、更なる改善に向けた課題を認識しました。
(5) 実効性評価方法について
取締役会の実効性評価方法については、自己評価に加え、第三者評価を実施しました。
2020年3月期アンケートでは、今回の第三者評価結果を見て2021年3月期の方法を検討すべきとの主な意見がありました。この点、ガバナンス委員会で審議したところ、第三者機関による取締役会実効性評価は定期的に実施する方向で検討するとされました。
<評価結果の概要>(1) 第三者評価結果
第三者評価によれば、当社のガバナンスの実効性は、長年の真摯な取り組みの成果として、総じて高い水準にあると評価できるとの結果でした。また、インタビューにおいても、以下の点で肯定的な意見が多数を占めているとの第三者評価結果でした。
• 取締役会の構成に関し、社外役員の見識の高さに加え、ジェンダ―・国籍・世代に関する属性及び経営・行政・金融・法務・会計等に関する経験の両面を含む多様性が確保されている。
• 経営トップによるガバナンス・コンプライアンス・インテグリティに対する強いコミットメントの下、内部統制の仕組みと必要な組織体制が整備され、行動指針With Integrityの策定と徹底が図られている。
• 個別事業案件の取締役会資料では、定量・定性分析とともに全社・本部における収益・リスクの位置付けを示す等の工夫など、取締役会資料の充実が図られており、自由闊達で透明度の高い取締役会での議論が実施されている。
• 全社に亘る議題、戦略に関する議題、中長期ビジョンを議題として、取締役会、社外役員会議、フリーディスカッション、食事会等複数の場を設けることにより、全体課題が適切に取締役及び監査役において議論されている。
• 取締役会議長は、中立的傾聴姿勢であり、社内外役員意見を積極的にヒアリングするよう議事進行がなされており、個別事業案件につき社外取締役や監査役の意見・指摘を踏まえ、必要に応じ複数回の審議を実施するなどコンセンサスをベースとした多数決の原則不採用による議事進行による議事運営がなされている。
• 取締役会事務局は、事前ブリーフィングの充実を図っている他、取締役会の運営上の課題に対する継続的改善や社外取締役及び社外監査役に対するフィードバックへの真摯・丁寧な対応等真摯・丁寧な取締役への支援と不断の改善に取り組んでいる。
(2) 自己評価結果
第三者評価結果も踏まえ、2020年3月期アンケート、社外役員会議での意見交換、並びにガバナンス委員会及び取締役会での審議の結果、2020年3月期の取締役会の実効性については以下の内容が確認されました。
• 2019年3月期の課題である①「個別事業案件の深化」、②「合宿フリーディスカッション」、③「取締役会運営見直し」、④「諮問委員会」、⑤「実効性評価方法」について改善された旨の意見が多数。
• 取締役会の構成につき、社外取締役として女性や外国人の他、実業経営経験者の増加により多様性が進んでいる。
• 取締役会の運営状況につき、タブレット端末の活用によるペーパーレス化により取締役会資料の早期配布が定着したこと、経営会議での討議内容が適切に纏められていること、適切なスケジューリング等、取締役会事務局による支援は適切に行われている。
• 取締役会の審議に関し、審議項目数の適切さや書面決議の積極活用等を通じた効率化により、審議時間が十分確保されている。一方、取締役会において会社としての方向性や事業戦略が自由闊達に議論されている。また、社外役員会議や社外役員も交えた取締役・監査役によるフリーディスカッションにより、社外役員も全体戦略、方向性について理解を深める機会とし、幅広い議論が行われている。
• 取締役会には全社リスク・統合リスクについての管理体制等に関する報告が開始されるなど全社的・多角的なリスクを分析した結果が報告されており、かかる報告を踏まえ、取締役会では取締役・監査役各自の知見に基づき、リスクに関する指摘・検討が行われている。
• 社外取締役及び社外監査役が当社の事業、統制、環境についての理解を深めるために、社外役員会議の機会の増加や取締役会の事前ブリーフィング等を通じた必要な知識の習得等を行う機会及び費用は適切に確保されている。また、社外役員と経営陣、会計監査人、及び内部監査部門との定期的な意見交換の場を設けており、十分な連携体制も確保されている。
上記の内容を総括した結果、当社取締役会は、2020年3月期の取締役会の実効性は適切に確保されていると判断しました。一方で、実効性を更に高めていくための課題として、次に示す事項について取り組んでいく必要性が認識されました。
<更なる実効性向上に向けた取組み>(1) 取締役会運営上の対応事項
取締役会の運営上の対応事項に関連し、2020年3月期実効性評価の過程で取締役・監査役各位より聴取した意見を踏まえ、以下の対応に努めます。
① 検討中段階にある個別事業案件についての情報提供。
② 取締役会承認後案件についてのその後の進捗報告
③ 重要案件に関する事前ブリーフィングの時間延長
④ 減損案件についての投資段階での想定キャッシュ・フロー及びIRRの情報提供
⑤ 取締役会回数/時間見直し
⑥ 合宿を伴わないフリーディスカッションの追加実施
(2) 全体戦略の議論における取締役会実効性の更なる向上
取締役会での全体戦略の議論に関し、個別事業案件における戦略に関わる議論に関し一部の事業領域では議論が進んだが更に改善の余地があるとの意見や最近は企業戦略などについて、従来に比し積極的に議論されるようになったことを社外取締役として大変望ましいことと評価し更なる深化を期待するとの意見もありました。
これらの意見を踏まえ、当社全体戦略の議論が社外・社内取締役夫々の立場から活性化されることによる、当社取締役会実効性の更なる向上を図ります。
(3) 諮問委員会の役割の明確化について
取締役会の諮問委員会に関し、当該諮問委員会の役割について、監査役会設置会社での任意の諮問委員会として良い面を見極めながらその役割の明確化を図ることが重要との意見がありました。
これらの意見を踏まえ、各諮問委員会の役割期待の明確化を図り任意の諮問委員会としての更なる機能発揮に繋げます。
当社取締役会は、上記の点を含め、取締役会の実効性の維持・向上に引き続き取り組み、取締役会による経営に対する万全の監督を担保するとともに、持続的な企業価値の向上を目指します。
(ⅱ)その他の取組み
ア 取締役会の諮問機関の開催状況
・ガバナンス委員会は、合計3回開催し、取締役会の実効性評価、グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針への対応等につき、社外役員の視点も交えて討議を行いました。
・指名委員会は、合計4回開催し、取締役会の構成やバランスを検討し、取締役及び執行役員の選解任基準及びプロセスのレビューを行うとともに、取締役及び執行役員候補者が同選定基準に定める要件を充足していることを確認、また最高経営責任者(CEO)の後継者計画を審議しました。
・報酬委員会は合計4回開催し、取締役及び執行役員の報酬に関する体系・決定プロセス並びに執行役員の評価プロセスの検討を行い、役員報酬案に対する評価を行いました。
イ 社外役員会議の開催状況
社外役員会議を合計15回開催し、経営方針、監査、事業本部の取組状況、人材育成等について、社外役員と社内取締役、執行役員、常勤監査役及び会計監査人等との間で情報交換及び意見交換を行いました。
(b)内部統制強化のための諸施策
当連結会計年度における業務執行及び内部統制に係る委員会の取組みは以下のとおりです。
・コンプライアンス委員会、経営会議、取締役会において年2回コンプライアンス体制の状況につき報告、それぞれの場で活発に議論を行いました。また、役職員のコンプライアンスの徹底及びインテグリティの浸透の取組みとして、ハンドブックの配布、各種研修等を実施するとともに、2019年11月には、「インテグリティについて考える」をテーマにWith Integrity月間を設け、セミナー、意見・情報交換等を行いました。当社及び主要な国内関係会社において意識調査アンケートを実施し、当社グループでのコンプライアンス意識浸透状況を把握し、主要な国内関係会社には研修を行いハンドブックを配布する他、関係会社の実効的なコンプライアンス体制の整備・運用することに資するため「関係会社コンプライアンス体制整備ガイドライン」を策定、運用を開始するなど、関係会社におけるコンプライアンス体制強化に向けた支援を行いました。発見統制の更なる強化を目的として、コンプライアンスに関する問題で何かおかしいと思うことがあったら声を挙げる“Speak Up”を促すメッセージの継続的な発信、ポスターの社内掲示、内部通報制度紹介動画のイントラ掲載等の取組を進め、内部通報制度への信頼性向上に努めました。また、国内外の独占禁止法及び贈賄防止法に抵触するまたはその疑義のある事案について、海外現地法人や国内外子会社の役職員からの通報を当社本店法務部コンプライアンス室で一元的に受け付ける「グローバル・グループ・ホットライン」を導入しております。当連結会計年度は当該ホットラインの展開国の拡充を進めました。
・開示委員会は合計4回開催し、各種開示資料の開示方針を策定したほか、記載内容の妥当性の評価を行いました。
・J-SOX委員会は合計2回開催し、2020年3月期の財務報告に係る内部統制の状況の把握及び有効性の維持・向上に向けた全社的対応等の検討を行いました。
・ポートフォリオ管理委員会は、合計9回開催しました。事業ポートフォリオ戦略、投融資・リサイクル計画、資本効率、並びにキャッシュ・フロー、リスクアセット等の重要指標についての把握・分析を行いました。
・情報戦略委員会は、合計5回開催しました。Digital Transformationに関する各種取組みの確認や、2020年オフィス移転に向けたワークスタイル変革、業務プロセス見直しや基幹システム更新に関する討議を行いました。
・サステナビリティ委員会は合計5回開催し、サステナビリティに関わる経営方針及び事業活動に関する経営会議への提言、社会貢献活動及び三井物産環境基金の進捗報告や取組方針の策定を行いました。
・ダイバーシティ推進委員会は、構成員について委員長、人事総務部長、経営企画部長に加えて、新たに事業本部長2名とIR部長を受け入れメンバーを増強しました。開催頻度も年1回から3回に拡大し、2019年5月、10月、又、2020年3月に開催し、主に「Mitsui Engagement Survey2018」の定点観測、グローバルでのタレントマネジメント施策の確認、及び、女性管理職比率の目標値に関する方針を討議しました。
⑤その他当社定款規定について
(a)取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主の出席を要する旨を定款に定めています。また、取締役の選任決議は累積投票によらない旨も定款に定めています。
(b)自己の株式の取得の決定機関
当社は、機動的な資本政策の遂行を可能にするため、取締役会の決議をもって自己の株式を市場取引等により取得することができる旨を定款に定めています。
(c)株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会の円滑な運営を行なうため、会社法第309条第2項に定める株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって決する旨を定款に定めています。
(d)中間配当
当社は、株主への機動的な利益還元を行うため、取締役会の決議によって毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めています。
(e)取締役及び監査役の責任軽減
当社は、取締役及び監査役が、職務を遂行するにあたり、期待される役割を充分に発揮できるよう、取締役会の決議によって、法令の定める範囲内で、取締役及び監査役の責任を免除できる旨を定款に定めています。
①コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、コーポレート・ガバナンス体制の構築にあたり、「透明性と説明責任の向上」及び「経営の監督と執行の役割分担の明確化」を重視しています。「透明性と説明責任の向上」のために、当社は、社外取締役及び社外監査役の視点を入れての経営監督及び監視機能の強化を図るとともに、情報開示に係る内部統制体制を整備し、公正開示の原則の下、役職員が説明責任の遂行にあたることとしています。また、「経営の監督と執行の役割分担の明確化」のために当社は執行役員に業務執行の権限を大幅に委譲した上で、取締役会が執行役員の業務執行を監督します。国内の16事業本部及び海外の3地域本部のそれぞれを統括する事業本部長及び地域本部長は、同時に執行役員でもあり、連結グループの機動性のある業務執行にあたります。
当社は、監査役による監査機能の実効性を高める一方、会社業務に通暁した社内取締役を中心とした実態に即した経営が総合商社の業態に必要であると判断し、監査役会設置会社の形態によるコーポレート・ガバナンスを採用する一方、「透明性と説明責任の向上」、及び「経営の監督と執行の役割分担の明確化」を担保するため、社外取締役・社外監査役の参画を得た各種諮問機関の設置などを通じて実効性の高いコーポレート・ガバナンスを実現します。株主をはじめとするステークホルダーのために有効なコーポレート・ガバナンスを実現するため、以下の体制を構築し、維持しています。
(a)取締役会は経営執行及び監督の最高機関であり、その機能の確保のために、当社は取締役の人数を実質的な討議を行うのに適切な規模としています。また、社外取締役・社外監査役が委員として参加する諮問機関としてガバナンス委員会、指名委員会、報酬委員会を取締役会の下に設置しています。
(b)監査役は株主の負託を受けた独立の機関として取締役の職務執行を監査します。この目的のため、監査役は社内の重要会議への出席、各種報告の検証、会社業務の調査など多面的かつ有効な監査活動を展開し、必要な措置を適時に講じます。
当社のコーポレート・ガバナンスに対する基本的な考え方と方針については、「三井物産コーポレート・ガバナンス及び内部統制原則」としてまとめ、当社ウェブサイトに公表しています。
(https://www.mitsui.com/jp/ja/company/outline/governance/system/pdf/corp_gov.pdf)
また、当社は、2018年6月に公表された改訂コーポレートガバナンス・コードの各原則について、すべて実施しています。同コードの各原則に基づく開示については、国内証券取引所宛てに提出している「コーポレート・ガバナンス報告書」をご参照ください。
②当社におけるコーポレート・ガバナンス体制
(a)取締役会の状況
・当社は、2002年4月の執行役員制導入を契機に、取締役数を2002年6月に38名から11名に減員しました。2003年6月から社外取締役を選任、2015年6月の定時株主総会以降社外取締役5名を選任しています。本報告書提出時点において取締役14名のうち、執行役員を兼務する取締役は8名となっています。なお、取締役会は男性11名、女性3名(社外取締役)で構成されており、女性比率は21.4%です。
・取締役の人数は、実質的な討議を行うのに適切な規模としています。取締役の任期は1年として毎年改選しますが、再任を妨げないものとしています。
・会長が当社の取締役会を招集し議長にあたります。なお、当社における会長の役割は、主として経営の監督を行うことであり、執行役員を兼務せず、日常の業務執行には関与しません。
・取締役会は、取締役会付議・報告事項に関する内規に従い、当社の経営に関する基本方針、重要な業務執行に関する事項、株主総会の決議により授権された事項のほか、法令及び定款に定められた事項を決議し、また、法令に定められた事項及び重要な業務の執行状況につき報告を受けます。
・取締役会は原則毎月1回開催するほか必要に応じて随時開催します。2020年3月期は合計15回開催しました。
・また、すべての社外取締役及び社外監査役により構成される社外役員会議を設置し、経営上の重要事項について、社外役員間、または社外役員と社内取締役、常勤監査役、会計監査人、執行役員等との間で情報共有・意見交換を行っています。2020年3月期は合計15回開催し、経営方針、監査、事業本部の取組状況、人材育成等について、情報交換及び意見交換を行いました。
・当社は取締役会の諮問機関としてガバナンス委員会、指名委員会、報酬委員会の3つの委員会を設置しています。2015年6月に当社ガバナンス体制の強化を目的として各委員会の構成を見直しました。この結果、ガバナンス委員会の構成は過半数が社外役員となり、従来社外取締役が委員長を務めていた報酬委員会に加え、指名委員会の委員長も社外取締役となりました。また、2018年6月以降は、指名委員会の構成についても過半数が社外役員となりました。2019年6月以降は、報酬委員会の構成についても過半数が社外役員となり、本報告書提出時点では社外監査役が委員長を務めています。
・当社は、会社法第427条第1項に基づき、各社外取締役との間で、会社法第425条第1項に定める最低責任限度額まで社外取締役の責任を限定する契約を締結しています。
・本報告書提出時点の取締役会及び監査役会の構成は以下のとおりです。
-取締役会:
飯島彰己(議長)、安永竜夫、竹部幸夫、内田貴和、堀健一、藤原弘達、米谷佳夫、大間知慎一郎、吉川美樹、小林いずみ(社外取締役)、ジェニファー ロジャーズ(社外取締役)、サミュエル ウォルシュ(社外取締役)、内山田竹志(社外取締役)、江川雅子(社外取締役)
-監査役会:
鈴木愼、塩谷公朗、松山遙(社外監査役)、小津博司(社外監査役)、森公高(社外監査役)
・当社は取締役会の諮問機関として以下の3つの委員会を設置しています。本報告書提出時点の各委員会の構成は以下のとおりです。
-「ガバナンス委員会」
構成:委員長 会長(飯島彰己)
委員 社長(安永竜夫)、社外取締役3名(ジェニファー ロジャーズ・サミュエル ウォルシュ・江川雅子)、社内取締役1名(大間知慎一郎)、社外監査役1名(松山遙)
役割期待:当社のコーポレート・ガバナンスの継続的なモニタリング実施と更なる充実のための施策の検討を通じ、経営の透明性・公正性を高め、コーポレート・ガバナンスの継続的な向上を図る。
機能:当社のコーポレート・ガバナンスに係わる基本方針・施策に関する検討、並びに当社のコーポレート・ガバナンスの更なる充実のための施策として取締役会の構成・人数・議題の検討、及び指名委員会・報酬委員会での審議・検討事項の提案を含む取締役会の諮問委員会のあり方の検討。
-「指名委員会」
構成:委員長 社外取締役(小林いずみ)
委員 会長(飯島彰己)、社長(安永竜夫)、社外取締役1名(内山田竹志)、社外監査役1名(小津博司)
役割期待:当社取締役及び執行役員の指名プロセスに関し、社外役員が関与することにより透明性・客観性を高め、役員指名の公正性を担保する。
機能:当社取締役及び執行役員の指名に関する選解任基準・選解任プロセスの検討、最高経営責任者(CEO)等の後継者計画の策定、並びに取締役人事案に対する評価、並びに役員の解任に係る審議。
-「報酬委員会」
構成:委員長 社外監査役(森公高)
委員 社外取締役2名(小林いずみ・江川雅子)、社内取締役2名(内田貴和・藤原弘達)
役割期待:当社取締役及び執行役員の報酬に関する決定プロセスにつき、社外役員の関与により透明性と客観性を高めるとともに継続的なモニタリング実施を通じ、役員報酬の公正性を担保する。
機能:当社取締役及び執行役員の報酬・賞与に関する体系・決定プロセスの検討、並びに取締役報酬・賞与案に対する評価、並びに執行役員評価・賞与案に対する評価。
・取締役会は、毎年、各取締役の自己評価なども踏まえ、取締役会の実効性について、分析・評価を行い、その結果の概要を開示します。当連結会計年度の評価手続き及び結果の概要は、第4.4(1)④(a)(i)に記載のとおりです。
(b)業務執行・内部統制体制
・当社の経営執行における最高責任者は社長であり、国内の商品毎の事業本部長及び海外地域本部長等は、社長から業務執行上の権限を委譲され、また、社長に対して責任を負います。当社は、会社経営全般に関する基本方針及び重要事項を審議し決定するため経営会議を設置しています。経営会議は、取締役会長、社長(議長)、コーポレートスタッフ部門担当役員及び社長が指名する代表取締役または執行役員をもって構成し、原則として毎週開催されます。経営会議に付議された事項は構成員の協議の結果を徴して社長が決定します。
・社長直轄の組織である内部監査部が当社の内部統制の整備・運用状況を検証します。当社は、2011年4月のNASDAQ上場廃止及び同7月のSEC登録廃止の結果、2012年3月期以降、米国企業改革法への対応から本邦基準に則った内部統制の構築へと体制が移行しました。体制移行後においても、企業会計審議会が公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」並びに「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」に示されている内部統制の基本的枠組み(フレームワーク)の下、内部統制を(1)「業務の有効性と効率性の向上」、(2)「会計基準への準拠、及び財務報告の信頼性の確保」、(3)「法令、法令に準ずる規範、並びに経営理念及びこれを反映した各種行動規範を含む社内ルールの遵守」、(4)「会社資産の保全」の4つの目的を達成し、また、「統制環境」、「リスクの評価」、「統制活動」、「情報と伝達」、「監視活動(モニタリング)」、「IT(情報技術)への対応」の6つの要素にて構成される「経営者が業務執行組織を統制する仕組み」と位置づけ、従来と同水準の内部統制体制を継続しています。
・当社では、業務執行及び内部統制に係る各種主要委員会を以下のとおり設置し、益々増大・多様化する広範なリスク・業態に対応しています。
-「コンプライアンス委員会」
経営会議の下部組織(社外弁護士がオブザーバーとして参加)として、当社コンプライアンス体制の整備及びその有効性の維持・向上を図ります。
-「開示委員会」
経営会議の下部組織として、当社における法定開示・適時開示並びに重要なその他の開示物及び開示行為に関する原則・基本方針の策定や社内体制の整備、また開示情報の重要性・妥当性の判定・判断を行います。
-「J-SOX委員会」
経営会議の下部組織として、当社における内外連結ベースでの財務報告の信頼性を確保するための体制の整備、及びその有効性の維持・向上を図ります。
-「ポートフォリオ管理委員会」
経営会議の諮問機関として、ポートフォリオ戦略・投融資計画の策定、ポートフォリオのモニタリング、重要案件の個別審査にあたります。
-「情報戦略委員会」
経営会議の諮問機関として、全社情報戦略・IT戦略の策定、経営基盤構築や情報戦略推進体制に関する重要方針の策定とモニタリング等にあたります。
-「サステナビリティ委員会」
経営会議の下部組織として、社会と当社の持続可能性(サステナビリティ)をより意識した経営の推進に向けた企画・立案・提言を行います。
-「ダイバーシティ推進委員会」
経営会議の諮問機関として、当社ダイバーシティ推進の基本方針・基本計画の立案、重点課題の策定と推進を行います。
-「危機対策本部」
危機対応のための臨時・非常設の社長直轄組織として、危機対応に関する全ての事項について、通常の社内決定機関に代わって必要な意思決定を行います。本部長には社長があたります。
当社のコーポレート・ガバナンス及び内部統制の全体の仕組みを図示すると以下のとおりとなります。

③内部統制システムの整備状況
当社は、内部統制プロセスの構築にあたり、企業会計審議会が示している内部統制の基本的枠組みに則り、「業務の有効性と効率性の向上」、「会計基準への準拠、及び財務報告の信頼性の確保」、「法令、法令に準ずる規範、並びに経営理念及びこれを反映した各種行動規範を含む社内ルールの遵守」、「会社資産の保全」の達成を目的として、以下の制度を導入しています。
(a)リスク管理体制
多様な事業の履行に伴う損失の危険(「リスク」)は、各事業本部及び海外地域本部長等が委譲された権限の範囲内で管理します。当社の事業運営に伴うリスクには、信用リスク、市場リスク、関係会社の事業運営リスク、カントリーリスクなどの定量的リスクと、コンプライアンス・リスクやオペレーショナル・リスクのような定性的リスクがあります。各事業単位においては、定量的リスクへの対処として、ポジション限度や損切り限度の事前設定、専門部署によるポジションのモニタリングなどが、定性的リスクへの対処として、関連社内規則の遵守が義務付けられます。各事業本部及び海外拠点の長に委譲された権限を超えるリスクを負担する場合は、「稟議制度」により重要度に応じ、経営会議の決定、または、関係代表取締役若しくは関係役付執行役員の決裁を得ることを要します。
更に、「②当社におけるコーポレート・ガバナンス体制」に記載のとおり、執行役員及びコーポレートスタッフ部門の部長から構成される業務執行・内部統制体制に係る委員会として、ポートフォリオ管理委員会、コンプライアンス委員会、開示委員会、J-SOX委員会、サステナビリティ委員会、危機対策本部などの組織が全社レベルでのリスク管理体制の設計・整備や重要なリスクへの対処にあたります。コーポレートスタッフ部門各部は、担当する分野のリスクについて、全社ポジションの監視、所定の権限の範囲内でのコントロール、及び担当取締役及び執行役員の補佐にあたります。
(b)財務報告に係る内部統制
当社はSEC登録の廃止に伴い、2012年3月期以降は金融商品取引法に基づく内部統制報告制度へ準拠した対応を行っています。同対応について、当社は、全社的な統制に加え、会計・決算、IT、及び業務プロセスに係る内部統制の有効性につき評価対象部署による自己評価及び独立部署によるテスティングを実施してきました。これらを総合的に評価した結果、当社経営者は、2020年3月期の当社の財務報告に係る内部統制は有効であることを確認しました。
(c)情報システムの構築運営、情報セキュリティに関する内部統制
当社はIT利活用に対する基本理念を「IT基本方針」として宣言し、社員の更なる意識向上、ITガバナンスの浸透を図っています。
当社のグローバル・グループ情報戦略に係る重要方針に関しては、「情報戦略委員会規程」に基づいて設置された情報戦略委員会の審議を経て経営方針に沿い策定されています。
また、同委員会を中心とした体制のもと、情報システムの構築運営や情報セキュリティ面で必要となる以下の各規程の整備を通じて、情報漏えいリスク等の想定される各種リスクの管理を含む内部統制体制の強化を進めています。
「情報システム管理規程」:情報資産の調達・導入からその運用方法を規定。
「ITセキュリティ規程」:ITセキュリティ面でのシステム主管部の行動原則を規定。
「情報管理規程」 :情報リスク管理体制、情報管理に関する基本事項を規定。
「個人情報保護規程」 :事業遂行上必要となる個人情報の取扱に関する規程。(国内のみが対象)
「サイバーセキュリティ対策に関する規程」:サイバー攻撃等への予防及び事件発生時の緊急対策に関する規程。
(d)コンプライアンス体制
チーフ・コンプライアンス・オフィサーを委員長とするコンプライアンス委員会(「②当社におけるコーポレー
ト・ガバナンス体制」を参照願います)を設けているほか、部や室におけるライン職制によるコンプライアンス管理に加えて、国内外の各本部及び支社支店等にコンプライアンス統括責任者を設置しています。
当社は「三井物産役職員行動規範」を定め、また子会社においても同等の行動規範を定め、その継続的な点検により遵守状況の改善に努めています。さらに、グループ全体で共有すべきインテグリティやコンプライアンスに関する考え方を更に明確にするため、三井物産及びグループ各社を対象とする「三井物産グループ行動指針」を定めています。「三井物産役職員行動規範」及び「三井物産グループ行動指針」は当社ウェブサイトを参照願います。
当社は、内部通報窓口を社外弁護士及び第三者機関へのものも含め、全8ルート設置しています。国内関係会社においても、当社が指定している弁護士及び第三者機関をその関係会社の内部通報窓口として使えるようにし、匿名性を担保しつつ、より安心して利用できる報告・相談ルートを整備しています。海外拠点及び海外関係会社についても、現地の法令や特性を考慮しつつ報告・相談ルートを整備しています。また、当社は、内部通報を行った者に対し、当該内部通報を行ったこと自体を理由として不利な取り扱いを行うことを禁止し、その旨を社内規程において定め、周知徹底しています。コンプライアンス違反に対しては、就業規則に基づく懲戒を含め厳正に対応しています。
(e)特定事業管理制度
当社はDPF問題の発生を契機として、2005年4月に「特定事業管理制度」を制定しました。「環境関連事業」「メディカル・ヘルスケア・バイオ倫理関連事業」「補助金受給案件」及び「その他異例なレピュテ―ションリスクを内包する事業」の4事業領域を対象として社内審査を強化し、必要に応じてサステナビリティ委員会または社外専門家が委員として出席する環境・社会諮問委員会の答申を得、もしくはその他外部専門家の意見を聴取することとしています。また、環境や人権などの社会的リスクに知見のある専門家を常置し、これらに関連する新規・既存事業について必要に応じ助言を得ることとしています。
(f)企業集団における業務の適正を確保するための体制
当社は2006年3月に「三井物産コーポレート・ガバナンス及び内部統制原則」を定め、子会社に対しては法令その他に照らして合理的な限りこれに基づく内部統制を整備・運用せしめ、持分法適用会社に対しては、他出資者と連携して、同様の内部統制を整備・運用するよう働きかけることとしています。財務報告の信頼性を確保するための内部統制については、上述の財務報告に係る内部統制の取組みを参照願います。また、関係会社毎に当社役職員から関係会社主管者を置き、「関係会社主管者職務規程」に基づく管理にあたらしめています。また、関係会社への常勤監査役の差入にあたって、主要関係会社については主管事業部ではなく内部監査部から差入れるなど監査の独立性を強化しています。
④コーポレート・ガバナンスの充実に向けた最近1年間における実施状況
(a)コーポレート・ガバナンスの強化の取組み
当連結会計年度における当社コーポレート・ガバナンス強化の取組みは以下のとおりです。
(i)取締役会の実効性評価
当連結会計年度における取締役会の実効性評価を以下のとおり実施しました。
<評価方法>(1) 2019年12月に全取締役(14名)及び全監査役(5名)に対し、取締役会の構成、運営状況及び審議内容等に関するアンケートを実施(以下「2020年3月期アンケート」)しました。
(2) 2020年1月から2月上旬にかけて第三者評価機関による全取締役及び全監査役に対する個別インタビューを実施しました。
(3) 2月4日開催の社外役員会議(全社外取締役及び全社外監査役が出席)において、取締役会の実効性に関する意見交換を実施しました。
(4) 3月4日、第三者評価機関は、個別インタビューで集めた意見を無記名の形で取り纏め、全ての取締役及び監査役に報告(以下「第三者評価結果」)。同日、2020年3月期アンケート結果、社外役員会議結果、及び第三者評価結果を踏まえ、ガバナンス委員会において議論しました。
(5) 3月30日開催の経営会議での議論を経て、4月8日開催の取締役会において、ガバナンス委員会の答申を踏まえて議論した後、2020年3月期の取締役会の実効性の評価を確定しました。
<アンケートの項目>2020年3月期アンケートの質問票の大項目は以下のとおりです。設問ごとに、5段階で評価する方式としており、当該項目に関する自由コメント欄を設けています。更に、取締役会の実効性向上の進捗が把握できるよう、前年対比での改善の度合いについても3段階で評価することとしています。
Ⅰ.取締役会の構成
Ⅱ.取締役会の運営状況
Ⅲ.取締役会の審議
Ⅳ.取締役会の役割・責務
Ⅴ.諮問委員会
Ⅵ.取締役・監査役自身の職務執行
Ⅶ.取締役・監査役への支援
Ⅷ.総括
<実効性向上に向けた2020年3月期の取組み>2019年3月期の取締役会の実効性評価の結果を踏まえ、取締役会及び取締役会事務局は、2020年3月期は以下の点に取り組みました。
(1) 個別事業案件の深化
個別事業案件に関する取締役会資料では、当該事業の投融資保証金額が事業本部内において占める割合や収益貢献の程度を定量的に示す等事業本部戦略上の案件位置づけを明確化することにも努めました。また、大規模案件に関し、セグメント戦略等における位置付けや各国での全社リスクエクスポージャーに関する説明を行うなど、全社における案件位置付けや他事業へ与える影響を示す資料の充実を図ることにも取り組みました。更に、社外役員会議では、キャッシュ・フロー・アロケーション進捗報告を実施しました。
2020年3月期アンケートでは、個別事業案件の深化に関し、社外役員の大多数が肯定的に評価しています。個別事業案件に関する取締役会資料充実により、経営戦略を把握し理解する上で助けになり、その結果、より戦略的な審議ができるようになった旨の意見もありました。
(2) 合宿フリーディスカッションについて
2019年3月期の実効性評価結果も踏まえ合宿フリ―ディスカッションを継続実施し、2019年11月に当社横浜研修所にて、取締役及び監査役でのフリーディスカッションを行い、①コングロマリットとしての経営戦略、②Mitsui Diversity Managementにテーマを絞り活発な議論を実施しました。
2020年3月期アンケートでは、合宿フリーディスカッションに関し、社外役員の大多数が肯定的に評価しています。一方、宿泊を伴わないフリーディスカッションの追加実施を求める意見もありました。
(3) 取締役会の運営見直しについて
取締役会の運営面では、取締役会資料配布の更なる早期化に取り組んだ他、限られた時間の中で取締役会としてより重要な案件に集中して審議できるように運用面での工夫を図るべく、書面決議を用いることで、必要な案件に十分な審議時間を確保するよう継続的に取り組みました。更に、個別事業案件の取締役会資料では、経営会議における議論の内容を的確に紹介するよう取り組みました。
2020年3月期アンケートでは、取締役会の運営見直しに関し、社外役員の大多数が肯定的に評価しています。
(4) 諮問委員会に関する事項について
報酬委員会の活動状況や指名委員会の活動状況が取締役会に報告された他、2019年7月開催の取締役会で、各諮問委員会の活動計画を報告しました。
2020年3月期アンケートでは、社外役員の大多数が肯定的に評価しています。一方、ガバナンス委員会についてテーマ設定を年間計画として開催頻度を増やすべきとの意見やテーマについても委員会にて議論すべき等の意見もあり、更なる改善に向けた課題を認識しました。
(5) 実効性評価方法について
取締役会の実効性評価方法については、自己評価に加え、第三者評価を実施しました。
2020年3月期アンケートでは、今回の第三者評価結果を見て2021年3月期の方法を検討すべきとの主な意見がありました。この点、ガバナンス委員会で審議したところ、第三者機関による取締役会実効性評価は定期的に実施する方向で検討するとされました。
<評価結果の概要>(1) 第三者評価結果
第三者評価によれば、当社のガバナンスの実効性は、長年の真摯な取り組みの成果として、総じて高い水準にあると評価できるとの結果でした。また、インタビューにおいても、以下の点で肯定的な意見が多数を占めているとの第三者評価結果でした。
• 取締役会の構成に関し、社外役員の見識の高さに加え、ジェンダ―・国籍・世代に関する属性及び経営・行政・金融・法務・会計等に関する経験の両面を含む多様性が確保されている。
• 経営トップによるガバナンス・コンプライアンス・インテグリティに対する強いコミットメントの下、内部統制の仕組みと必要な組織体制が整備され、行動指針With Integrityの策定と徹底が図られている。
• 個別事業案件の取締役会資料では、定量・定性分析とともに全社・本部における収益・リスクの位置付けを示す等の工夫など、取締役会資料の充実が図られており、自由闊達で透明度の高い取締役会での議論が実施されている。
• 全社に亘る議題、戦略に関する議題、中長期ビジョンを議題として、取締役会、社外役員会議、フリーディスカッション、食事会等複数の場を設けることにより、全体課題が適切に取締役及び監査役において議論されている。
• 取締役会議長は、中立的傾聴姿勢であり、社内外役員意見を積極的にヒアリングするよう議事進行がなされており、個別事業案件につき社外取締役や監査役の意見・指摘を踏まえ、必要に応じ複数回の審議を実施するなどコンセンサスをベースとした多数決の原則不採用による議事進行による議事運営がなされている。
• 取締役会事務局は、事前ブリーフィングの充実を図っている他、取締役会の運営上の課題に対する継続的改善や社外取締役及び社外監査役に対するフィードバックへの真摯・丁寧な対応等真摯・丁寧な取締役への支援と不断の改善に取り組んでいる。
(2) 自己評価結果
第三者評価結果も踏まえ、2020年3月期アンケート、社外役員会議での意見交換、並びにガバナンス委員会及び取締役会での審議の結果、2020年3月期の取締役会の実効性については以下の内容が確認されました。
• 2019年3月期の課題である①「個別事業案件の深化」、②「合宿フリーディスカッション」、③「取締役会運営見直し」、④「諮問委員会」、⑤「実効性評価方法」について改善された旨の意見が多数。
• 取締役会の構成につき、社外取締役として女性や外国人の他、実業経営経験者の増加により多様性が進んでいる。
• 取締役会の運営状況につき、タブレット端末の活用によるペーパーレス化により取締役会資料の早期配布が定着したこと、経営会議での討議内容が適切に纏められていること、適切なスケジューリング等、取締役会事務局による支援は適切に行われている。
• 取締役会の審議に関し、審議項目数の適切さや書面決議の積極活用等を通じた効率化により、審議時間が十分確保されている。一方、取締役会において会社としての方向性や事業戦略が自由闊達に議論されている。また、社外役員会議や社外役員も交えた取締役・監査役によるフリーディスカッションにより、社外役員も全体戦略、方向性について理解を深める機会とし、幅広い議論が行われている。
• 取締役会には全社リスク・統合リスクについての管理体制等に関する報告が開始されるなど全社的・多角的なリスクを分析した結果が報告されており、かかる報告を踏まえ、取締役会では取締役・監査役各自の知見に基づき、リスクに関する指摘・検討が行われている。
• 社外取締役及び社外監査役が当社の事業、統制、環境についての理解を深めるために、社外役員会議の機会の増加や取締役会の事前ブリーフィング等を通じた必要な知識の習得等を行う機会及び費用は適切に確保されている。また、社外役員と経営陣、会計監査人、及び内部監査部門との定期的な意見交換の場を設けており、十分な連携体制も確保されている。
上記の内容を総括した結果、当社取締役会は、2020年3月期の取締役会の実効性は適切に確保されていると判断しました。一方で、実効性を更に高めていくための課題として、次に示す事項について取り組んでいく必要性が認識されました。
<更なる実効性向上に向けた取組み>(1) 取締役会運営上の対応事項
取締役会の運営上の対応事項に関連し、2020年3月期実効性評価の過程で取締役・監査役各位より聴取した意見を踏まえ、以下の対応に努めます。
① 検討中段階にある個別事業案件についての情報提供。
② 取締役会承認後案件についてのその後の進捗報告
③ 重要案件に関する事前ブリーフィングの時間延長
④ 減損案件についての投資段階での想定キャッシュ・フロー及びIRRの情報提供
⑤ 取締役会回数/時間見直し
⑥ 合宿を伴わないフリーディスカッションの追加実施
(2) 全体戦略の議論における取締役会実効性の更なる向上
取締役会での全体戦略の議論に関し、個別事業案件における戦略に関わる議論に関し一部の事業領域では議論が進んだが更に改善の余地があるとの意見や最近は企業戦略などについて、従来に比し積極的に議論されるようになったことを社外取締役として大変望ましいことと評価し更なる深化を期待するとの意見もありました。
これらの意見を踏まえ、当社全体戦略の議論が社外・社内取締役夫々の立場から活性化されることによる、当社取締役会実効性の更なる向上を図ります。
(3) 諮問委員会の役割の明確化について
取締役会の諮問委員会に関し、当該諮問委員会の役割について、監査役会設置会社での任意の諮問委員会として良い面を見極めながらその役割の明確化を図ることが重要との意見がありました。
これらの意見を踏まえ、各諮問委員会の役割期待の明確化を図り任意の諮問委員会としての更なる機能発揮に繋げます。
当社取締役会は、上記の点を含め、取締役会の実効性の維持・向上に引き続き取り組み、取締役会による経営に対する万全の監督を担保するとともに、持続的な企業価値の向上を目指します。
(ⅱ)その他の取組み
ア 取締役会の諮問機関の開催状況
・ガバナンス委員会は、合計3回開催し、取締役会の実効性評価、グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針への対応等につき、社外役員の視点も交えて討議を行いました。
・指名委員会は、合計4回開催し、取締役会の構成やバランスを検討し、取締役及び執行役員の選解任基準及びプロセスのレビューを行うとともに、取締役及び執行役員候補者が同選定基準に定める要件を充足していることを確認、また最高経営責任者(CEO)の後継者計画を審議しました。
・報酬委員会は合計4回開催し、取締役及び執行役員の報酬に関する体系・決定プロセス並びに執行役員の評価プロセスの検討を行い、役員報酬案に対する評価を行いました。
イ 社外役員会議の開催状況
社外役員会議を合計15回開催し、経営方針、監査、事業本部の取組状況、人材育成等について、社外役員と社内取締役、執行役員、常勤監査役及び会計監査人等との間で情報交換及び意見交換を行いました。
(b)内部統制強化のための諸施策
当連結会計年度における業務執行及び内部統制に係る委員会の取組みは以下のとおりです。
・コンプライアンス委員会、経営会議、取締役会において年2回コンプライアンス体制の状況につき報告、それぞれの場で活発に議論を行いました。また、役職員のコンプライアンスの徹底及びインテグリティの浸透の取組みとして、ハンドブックの配布、各種研修等を実施するとともに、2019年11月には、「インテグリティについて考える」をテーマにWith Integrity月間を設け、セミナー、意見・情報交換等を行いました。当社及び主要な国内関係会社において意識調査アンケートを実施し、当社グループでのコンプライアンス意識浸透状況を把握し、主要な国内関係会社には研修を行いハンドブックを配布する他、関係会社の実効的なコンプライアンス体制の整備・運用することに資するため「関係会社コンプライアンス体制整備ガイドライン」を策定、運用を開始するなど、関係会社におけるコンプライアンス体制強化に向けた支援を行いました。発見統制の更なる強化を目的として、コンプライアンスに関する問題で何かおかしいと思うことがあったら声を挙げる“Speak Up”を促すメッセージの継続的な発信、ポスターの社内掲示、内部通報制度紹介動画のイントラ掲載等の取組を進め、内部通報制度への信頼性向上に努めました。また、国内外の独占禁止法及び贈賄防止法に抵触するまたはその疑義のある事案について、海外現地法人や国内外子会社の役職員からの通報を当社本店法務部コンプライアンス室で一元的に受け付ける「グローバル・グループ・ホットライン」を導入しております。当連結会計年度は当該ホットラインの展開国の拡充を進めました。
・開示委員会は合計4回開催し、各種開示資料の開示方針を策定したほか、記載内容の妥当性の評価を行いました。
・J-SOX委員会は合計2回開催し、2020年3月期の財務報告に係る内部統制の状況の把握及び有効性の維持・向上に向けた全社的対応等の検討を行いました。
・ポートフォリオ管理委員会は、合計9回開催しました。事業ポートフォリオ戦略、投融資・リサイクル計画、資本効率、並びにキャッシュ・フロー、リスクアセット等の重要指標についての把握・分析を行いました。
・情報戦略委員会は、合計5回開催しました。Digital Transformationに関する各種取組みの確認や、2020年オフィス移転に向けたワークスタイル変革、業務プロセス見直しや基幹システム更新に関する討議を行いました。
・サステナビリティ委員会は合計5回開催し、サステナビリティに関わる経営方針及び事業活動に関する経営会議への提言、社会貢献活動及び三井物産環境基金の進捗報告や取組方針の策定を行いました。
・ダイバーシティ推進委員会は、構成員について委員長、人事総務部長、経営企画部長に加えて、新たに事業本部長2名とIR部長を受け入れメンバーを増強しました。開催頻度も年1回から3回に拡大し、2019年5月、10月、又、2020年3月に開催し、主に「Mitsui Engagement Survey2018」の定点観測、グローバルでのタレントマネジメント施策の確認、及び、女性管理職比率の目標値に関する方針を討議しました。
⑤その他当社定款規定について
(a)取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主の出席を要する旨を定款に定めています。また、取締役の選任決議は累積投票によらない旨も定款に定めています。
(b)自己の株式の取得の決定機関
当社は、機動的な資本政策の遂行を可能にするため、取締役会の決議をもって自己の株式を市場取引等により取得することができる旨を定款に定めています。
(c)株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会の円滑な運営を行なうため、会社法第309条第2項に定める株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって決する旨を定款に定めています。
(d)中間配当
当社は、株主への機動的な利益還元を行うため、取締役会の決議によって毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めています。
(e)取締役及び監査役の責任軽減
当社は、取締役及び監査役が、職務を遂行するにあたり、期待される役割を充分に発揮できるよう、取締役会の決議によって、法令の定める範囲内で、取締役及び監査役の責任を免除できる旨を定款に定めています。