訂正有価証券報告書-第150期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
有報資料
中期経営計画
●中期経営計画「Be the Best, Be the One 2017」の総括
当社は、2015年度から3か年の経営計画である中期経営計画「Be the Best, Be the One 2017(BBBO2017)」において、当社のビジネスを取巻く諸環境の変化や経営課題を踏まえ、当社グループが一丸となって課題を克服し、成長軌道への回復に道筋をつけることをテーマに、経営改革・成長戦略の推進に取り組んできました。
① 定量計画
「BBBO2017」で掲げた定量計画の実績は以下のとおりです。
2017年度の連結純利益は、3,085億円となり、過去最高益を達成しました。また、同年度のROA、リスク・リターン及びROEはそれぞれ4.0%、13.4%及び12.5%となり、当初の目標を達成しました。財務方針に関しては、2017年度末時点でコア・リスクバッファー(注4)とリスクアセットのバランスの回復を達成し、「BBBO2017」の対象期間3年間合計の配当後フリーキャッシュ・フローの実績は、6,279億円となりました。
(注1) 取巻く事業環境の変化を踏まえ、2016年5月に定量計画を修正しました。
(注2) 「連結純利益」は、国際会計基準(IFRS)の「当期利益(親会社の所有者に帰属)」と同じ内容を示しています。
(注3) 2017年5月に2,300億円に修正しました。
(注4) 「コア・リスクバッファー」とは、「資本金」、「剰余金」及び「在外営業活動体の換算差額」の和から「自己株式」を差引いて得られる数値で、当社は、最大損失可能性額である「リスクアセット」を「コア・リスクバッファー」の範囲内に収めることを経営の基本としています。
② 経営改革の推進
「BBBO2017」では、コーポレートガバナンスの更なる強化、意思決定プロセスの見直し及びリスク管理の抜本的強化・見直しを行いました。経営会議を、社長の諮問機関から業務執行レベルの最高意思決定機関に変更し、多面的な議論を経て重要事項を決定する体制を整えました。
取締役会については、社外取締役を増員する一方で、社内取締役の数を減らして社外取締役の比率を高めたほか、取締役会の付議基準を見直し、経営計画の進捗状況や重要な委員会の活動状況などの報告事項を充実させて、経営の執行に対する監督機能を強化しました。また、取締役の指名・報酬の決定プロセスの透明性及び客観性を高めるため、取締役会の諮問機関として、社外取締役が委員長を務めかつ委員の過半数を占める「指名・報酬諮問委員会」を設置しました。リスク管理体制については、事業部門レベルと全社レベルの投融資委員会を開催し、投資の検討段階と実行段階のそれぞれにおいて、さまざまな角度から議論できる体制を整えたほか、投資評価基準の見直しや、投資実行後のモニタリング体制の見直しを行いました。
③ 成長戦略の推進
「BBBO2017」対象期間3年合計の投資実績は以下のとおりです。
当社が強みを有する自動車・輸送関連、生活・情報産業及び社会インフラ基盤の3つの分野を中心に投資を実行しました。また、エネルギー周辺分野、IoT・AI関連分野などの成長ポテンシャルの高い分野においては、組織間連携を通じ、全社プロジェクトとして取組む体制を強化しました。
当社グループが対処すべき課題
●経済見通し
世界経済は、先進国、新興国の双方において引続き景気回復の動きが続くものと見込まれます。ただし、米国の政策変更により一部の先進国や新興国の経済成長が抑制されることが懸念されます。
国内経済は、引続き訪日外国人旅行者による消費活動、企業の設備投資及び東京オリンピックの開催に向けた公共投資の増加が見込まれ、雇用・所得環境の改善により景気回復の動きが継続するものと期待されます。ただし、主要な輸出・投資先である米国・アジアの経済が悪化したり、エネルギー価格が更に上昇したりした場合には、景気の下押しリスクになると考えられます。
●『中期経営計画2020』~新たな価値創造への飽くなき挑戦~
①「中期経営計画2020」
当社は、今般、2018年度から2020年度までの3か年を対象とする「中期経営計画2020」を策定しました。「中期経営計画2020」では、IoT・AIなどテクノロジーの急速な発展により全産業のボーダレス化・複合化が加速し、産業構造が大きく変化するビジネス環境下において、引続き経営基盤の強化を図りながら、成長戦略の推進を中心に据えて、新しい価値創造への飽くなき挑戦に取組んでいきます。
② 成長戦略の推進
「中期経営計画2020」では、既存事業を徹底的に強化する「既存事業のバリューアップ」、中長期視点での「次世代新規ビジネス創出」及び有力な事業基盤・機能を掛合わせる「プラットフォーム事業の活用」の3つの施策を中心に取組むことで、成長戦略を推進していきます。
(1)既存事業のバリューアップ
鋼管事業、リース・ファイナンス事業、メディア事業などの既存の収益の柱を更に強化することに加え、資源上流の大型案件の完遂及び早期収益化や食料事業の収益拡大など、事業の成長ポテンシャルの追及・実現を図っていきます。また、次世代のモビリティ社会を見据えた事業の推進など、ビジネス環境の大きな変化にも、迅速に対応していきます。
(2)次世代新規ビジネス創出
加速度的にビジネス環境が変化する中で、大きな成長が見込まれる分野に経営資源を集中的に投下していきます。具体的には、「テクノロジー × イノベーション」「ヘルスケア」「社会インフラ」の3分野に3年合計で約3,000億円の資金を投下していきます。
「テクノロジー × イノベーション」分野については、デジタルトランスフォーメーション(注)の加速によるビジネスの高度化やビジネスモデルの変革、次世代ビジネスに繋がる新規事業開発に取組んでいきます。「ヘルスケア」分野については、高齢化や医療費の膨張がグローバルな社会課題となる一方、市場の急速な拡大が見込まれています。当社グループの有力な事業基盤や機能を活用し、IoT・AIなどの技術革新を活用したデジタルヘルス、医療費効率化に繋がる新たなビジネスモデル、新興国でのヘルスケア関連のインフラ拡充などへの取組を強化していきます。「社会インフラ」分野については、人口増大、都市化の進展や気候変動問題なども踏まえて、スマートシティ・都市開発、インフラ整備事業や、新技術を活用した環境配慮型ビジネスに取組んでいきます。
(3)プラットフォーム事業の活用
当社グループが有するさまざまな事業基盤や機能は、あらゆる「産業」「社会」「地域」に繋がる多くの「接点」を有しており、これが新たな価値を生み出す原動力になります。「顧客基盤」「通信・放送・ネットワーク」「リース・レンタル・シェアリング」「デジタルプラットフォーム」などの事業基盤や機能を活用しながら、事業と事業の掛合せや組織間の連携によって、新たな価値の創造に取組んでいきます。
これらの成長戦略を推進するための仕組みとして、「新規事業開発支援」「フルポテンシャルプラン」「アセットサイクルマネジメント」「デジタルトランスフォーメーション」の4つの「事業支援機能」の拡充に取組みます。
「新規事業開発支援」では、全社視点で次世代ビジネスを育成していく仕組み作りに取組んでいきます。「フルポテンシャルプラン」では、未だ所期の成果を上げるに至っていない改善余地のある事業会社や、更なる成長が見込まれる事業会社を対象に、事業価値最大化のための具体策を策定し、実行状況を重点的にモニタリングすることを通じて、全社ポートフォリオの更なる質の改善を図ります。「アセットサイクルマネジメント」では、他人資本の活用により、各事業の資産効率を上げるための支援を行います。「デジタルトランスフォーメーション」では、各分野の知見やプラットフォーム事業基盤にテクノロジーを掛合せることで、当社ビジネスモデルの変革を加速していきます。
(注) IoT、ビッグデータ、AIといった革新的なデジタル技術の進化を背景に、さまざまなビジネス領域で最先端のICT技術を活用した既存事業の高度化・新規事業開発。
③ 経営基盤の強化
(1)ガバナンスの高度化
「BBBO2017」では経営改革の推進を柱の一つとして掲げてきましたが、引続き、経営改革の実践に取組み、ガバナンスの高度化を図っていきます。具体的には、事業ポートフォリオ戦略に関する報告を充実させるなどして、取締役会におけるモニタリング機能を強化していくとともに、当社グループのガバナンスを強化すべく、内部統制推進を通じた事業会社の業務品質の向上に努めていきます。
(2)人材戦略の高度化
「Diversity & Inclusion ~多様な力を競争力の源泉に~」を基本コンセプトに、人材戦略の高度化を図ります。すなわち、当社グループの多様な人材の個性を認め尊重するとともに、一人ひとりのチャレンジを促し、強みを伸ばし、活かすことを主眼に、各種施策に取組んでいきます。例えば、さまざまな働き方を支援すべく働き方改革を推進します。また、グローバル連結ベースで、最適な人材を適時・適所に配置できる体制を整えていきます。
(3)財務健全性の向上
キャッシュ・フロー収益力を拡大していくとともに、事業の新陳代謝を継続的に進めていくことで積極的な資金回収を図る一方で、その回収したキャッシュを原資として、将来の成長に必要となる投融資を着実に実行すると同時に、引続き有利子負債の削減にも取組みます。また、コア・リスクバッファーとリスクアセットのバランスについては、引続きその維持に努めていきます。
3年間合計のキャッシュ配分は以下のとおりとしております。キャッシュ創出力が高まっていることに加え、資産入替えを積極的に進めていくことで1兆8,000億円のキャッシュ・インを見込みます。このキャッシュ・インを原資として、1兆3,000億円を投融資に、3,000億円を配当還元に充当する予定です。また、3年間合計の配当後フリーキャッシュ・フローを2,000億円以上確保し、これを有利子負債の返済に充てることで、更なる財務健全性の向上に努めます。
(注) 基礎収益CF=基礎収益-持分法による投資損益+持分法投資先からの配当
基礎収益=(売上総利益+販売費及び一般管理費(除く貸倒引当金繰入額)+利息収支+受取配当金)×(1-税率)+持分法による投資損益
④ 定量計画
2018年度は、当期利益を3,200億円、基礎収益を3,400億円と計画しております。資源ビジネスは資源価格の大幅な変動は見込んでいないものの、前期に一過性利益があったことの反動などにより減益が予想される一方、鋼管事業は市況回復に伴う需要増加などにより収益の改善が見込まれます。その他非資源ビジネスは電力EPC案件や不動産事業などを中心に、各部門の主要ビジネス・事業会社が堅調に推移することを見込んでおります。また、「中期経営計画2020」におけるROA、ROEについては、それぞれ4%以上、10%以上としております。

⑤ 配当方針
当社は、株主に対して長期にわたり安定した配当を行うことを基本方針としつつ、中長期的な利益成長による配当額の増加を目指して取組んでおります。「中期経営計画2020」においては、連結配当性向30%程度を目安に、基礎収益やキャッシュ・フローの状況等を勘案の上、配当額を決定します。2018年度の年間配当金は、連結業績の見通し3,200億円を踏まえ、1株当たり、75円とする予定です。
マテリアリティ(重要課題)への取組
社会課題の解決に向けて企業の果たす役割への期待や、環境・社会・ガバナンス(ESG)の側面が企業の評価や投資行動につながる機運が高まる中、住友の事業精神、住友商事グループの経営理念(注1)を踏まえ、事業活動を通じて、自らの強みを生かして優先的に取組むべき課題を、「社会とともに持続的に成長するための6つのマテリアリティ(重要課題)」として特定しました。
「社会とともに持続的に成長するための6つのマテリアリティ(重要課題)」を、事業戦略の策定や個々のビジネスの意思決定プロセスにおける重要な要素と位置付け、事業活動を通じて課題を解決することで持続的な成長を図っていきます。

(注1) 住友商事グループの経営理念については、「6 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの状況
③住友商事コーポレートガバナンス原則」をご参照ください。
(注2) Sustainable Development Goalsの略称。2030年までの世界規模の課題が盛り込まれた17の目標。2015年に国連総会で
全ての加盟国(193か国)により採択されました。

●中期経営計画「Be the Best, Be the One 2017」の総括
当社は、2015年度から3か年の経営計画である中期経営計画「Be the Best, Be the One 2017(BBBO2017)」において、当社のビジネスを取巻く諸環境の変化や経営課題を踏まえ、当社グループが一丸となって課題を克服し、成長軌道への回復に道筋をつけることをテーマに、経営改革・成長戦略の推進に取り組んできました。
① 定量計画
「BBBO2017」で掲げた定量計画の実績は以下のとおりです。
| 年度/期間 | 当初計画 | 修正計画(注1) (2016年5月) | 実績 | ||
| 利益計画 | 連結純利益(注2) | 2015年度 | 2,300億円 | - | 745億円 |
| 2016年度 | - | - | 1,709億円 | ||
| 2017年度 | 3,000億円以上 | 2,200億円以上 (注3) | 3,085億円 | ||
| ROA | 2017年度 | 3%以上 | 2.5%以上 | 4.0% | |
| リスク・リターン | 2017年度 | 10%以上 | 9.0%以上 | 13.4% | |
| ROE | 2017年度 | 10%程度 | 9.0%程度 | 12.5% | |
| 財務方針 | コア・リスクバッファーと リスクアセットのバランス | 2017年度末までに | バランス回復 | バランス回復 | バランス回復 |
| フリーキャッシュ・フロー | 3年合計 | +2,000億円 | +7,000億円 | +8,189億円 | |
| 配当後フリーキャッシュ・ フロー | 3年合計 | 黒字確保 | +5,000億円 | +6,279億円 | |
| 投資計画 | 3年合計 | 1兆2,000億円 | 1兆円 | 約8,900億円 | |
2017年度の連結純利益は、3,085億円となり、過去最高益を達成しました。また、同年度のROA、リスク・リターン及びROEはそれぞれ4.0%、13.4%及び12.5%となり、当初の目標を達成しました。財務方針に関しては、2017年度末時点でコア・リスクバッファー(注4)とリスクアセットのバランスの回復を達成し、「BBBO2017」の対象期間3年間合計の配当後フリーキャッシュ・フローの実績は、6,279億円となりました。
(注1) 取巻く事業環境の変化を踏まえ、2016年5月に定量計画を修正しました。
(注2) 「連結純利益」は、国際会計基準(IFRS)の「当期利益(親会社の所有者に帰属)」と同じ内容を示しています。
(注3) 2017年5月に2,300億円に修正しました。
(注4) 「コア・リスクバッファー」とは、「資本金」、「剰余金」及び「在外営業活動体の換算差額」の和から「自己株式」を差引いて得られる数値で、当社は、最大損失可能性額である「リスクアセット」を「コア・リスクバッファー」の範囲内に収めることを経営の基本としています。
② 経営改革の推進
「BBBO2017」では、コーポレートガバナンスの更なる強化、意思決定プロセスの見直し及びリスク管理の抜本的強化・見直しを行いました。経営会議を、社長の諮問機関から業務執行レベルの最高意思決定機関に変更し、多面的な議論を経て重要事項を決定する体制を整えました。
取締役会については、社外取締役を増員する一方で、社内取締役の数を減らして社外取締役の比率を高めたほか、取締役会の付議基準を見直し、経営計画の進捗状況や重要な委員会の活動状況などの報告事項を充実させて、経営の執行に対する監督機能を強化しました。また、取締役の指名・報酬の決定プロセスの透明性及び客観性を高めるため、取締役会の諮問機関として、社外取締役が委員長を務めかつ委員の過半数を占める「指名・報酬諮問委員会」を設置しました。リスク管理体制については、事業部門レベルと全社レベルの投融資委員会を開催し、投資の検討段階と実行段階のそれぞれにおいて、さまざまな角度から議論できる体制を整えたほか、投資評価基準の見直しや、投資実行後のモニタリング体制の見直しを行いました。
③ 成長戦略の推進
「BBBO2017」対象期間3年合計の投資実績は以下のとおりです。
| (単位:億円) | 投資額(2015年4月~2018年3月) | 主な投資実績 | |
| 3年合計計画 | 実績 | ||
| 自動車・輸送関連 | 3,800 | 2,500 | 米国建機レンタル事業、航空機エンジンリース事業、欧州自動車用鍛造部品事業 |
| 生活・情報産業 | 1,900 | 2,100 | 国内外不動産事業、国内ICT事業設備投資、ミャンマー通信事業追加投資 |
| 社会インフラ基盤 | 1,400 | 1,500 | 欧州洋上風力発電事業、ブラジル水事業、国内バイオマス発電事業 |
| 食料・農業 | 1,000 | 1,100 | アイルランド青果物生産・卸売事業、ブラジル農業資材直販事業 |
| 資源・エネルギー (上流権益を除く) | 500 | 300 | マレーシアマンガン製造販売事業 |
| 資源上流権益 | 1,400 | 1,400 | マダガスカルニッケル事業 |
| 合計 | 10,000 | 8,900 | |
当社が強みを有する自動車・輸送関連、生活・情報産業及び社会インフラ基盤の3つの分野を中心に投資を実行しました。また、エネルギー周辺分野、IoT・AI関連分野などの成長ポテンシャルの高い分野においては、組織間連携を通じ、全社プロジェクトとして取組む体制を強化しました。
当社グループが対処すべき課題
●経済見通し
世界経済は、先進国、新興国の双方において引続き景気回復の動きが続くものと見込まれます。ただし、米国の政策変更により一部の先進国や新興国の経済成長が抑制されることが懸念されます。
国内経済は、引続き訪日外国人旅行者による消費活動、企業の設備投資及び東京オリンピックの開催に向けた公共投資の増加が見込まれ、雇用・所得環境の改善により景気回復の動きが継続するものと期待されます。ただし、主要な輸出・投資先である米国・アジアの経済が悪化したり、エネルギー価格が更に上昇したりした場合には、景気の下押しリスクになると考えられます。
●『中期経営計画2020』~新たな価値創造への飽くなき挑戦~
①「中期経営計画2020」
当社は、今般、2018年度から2020年度までの3か年を対象とする「中期経営計画2020」を策定しました。「中期経営計画2020」では、IoT・AIなどテクノロジーの急速な発展により全産業のボーダレス化・複合化が加速し、産業構造が大きく変化するビジネス環境下において、引続き経営基盤の強化を図りながら、成長戦略の推進を中心に据えて、新しい価値創造への飽くなき挑戦に取組んでいきます。
② 成長戦略の推進「中期経営計画2020」では、既存事業を徹底的に強化する「既存事業のバリューアップ」、中長期視点での「次世代新規ビジネス創出」及び有力な事業基盤・機能を掛合わせる「プラットフォーム事業の活用」の3つの施策を中心に取組むことで、成長戦略を推進していきます。
(1)既存事業のバリューアップ
鋼管事業、リース・ファイナンス事業、メディア事業などの既存の収益の柱を更に強化することに加え、資源上流の大型案件の完遂及び早期収益化や食料事業の収益拡大など、事業の成長ポテンシャルの追及・実現を図っていきます。また、次世代のモビリティ社会を見据えた事業の推進など、ビジネス環境の大きな変化にも、迅速に対応していきます。
(2)次世代新規ビジネス創出
加速度的にビジネス環境が変化する中で、大きな成長が見込まれる分野に経営資源を集中的に投下していきます。具体的には、「テクノロジー × イノベーション」「ヘルスケア」「社会インフラ」の3分野に3年合計で約3,000億円の資金を投下していきます。
「テクノロジー × イノベーション」分野については、デジタルトランスフォーメーション(注)の加速によるビジネスの高度化やビジネスモデルの変革、次世代ビジネスに繋がる新規事業開発に取組んでいきます。「ヘルスケア」分野については、高齢化や医療費の膨張がグローバルな社会課題となる一方、市場の急速な拡大が見込まれています。当社グループの有力な事業基盤や機能を活用し、IoT・AIなどの技術革新を活用したデジタルヘルス、医療費効率化に繋がる新たなビジネスモデル、新興国でのヘルスケア関連のインフラ拡充などへの取組を強化していきます。「社会インフラ」分野については、人口増大、都市化の進展や気候変動問題なども踏まえて、スマートシティ・都市開発、インフラ整備事業や、新技術を活用した環境配慮型ビジネスに取組んでいきます。
(3)プラットフォーム事業の活用
当社グループが有するさまざまな事業基盤や機能は、あらゆる「産業」「社会」「地域」に繋がる多くの「接点」を有しており、これが新たな価値を生み出す原動力になります。「顧客基盤」「通信・放送・ネットワーク」「リース・レンタル・シェアリング」「デジタルプラットフォーム」などの事業基盤や機能を活用しながら、事業と事業の掛合せや組織間の連携によって、新たな価値の創造に取組んでいきます。
これらの成長戦略を推進するための仕組みとして、「新規事業開発支援」「フルポテンシャルプラン」「アセットサイクルマネジメント」「デジタルトランスフォーメーション」の4つの「事業支援機能」の拡充に取組みます。
「新規事業開発支援」では、全社視点で次世代ビジネスを育成していく仕組み作りに取組んでいきます。「フルポテンシャルプラン」では、未だ所期の成果を上げるに至っていない改善余地のある事業会社や、更なる成長が見込まれる事業会社を対象に、事業価値最大化のための具体策を策定し、実行状況を重点的にモニタリングすることを通じて、全社ポートフォリオの更なる質の改善を図ります。「アセットサイクルマネジメント」では、他人資本の活用により、各事業の資産効率を上げるための支援を行います。「デジタルトランスフォーメーション」では、各分野の知見やプラットフォーム事業基盤にテクノロジーを掛合せることで、当社ビジネスモデルの変革を加速していきます。
(注) IoT、ビッグデータ、AIといった革新的なデジタル技術の進化を背景に、さまざまなビジネス領域で最先端のICT技術を活用した既存事業の高度化・新規事業開発。
③ 経営基盤の強化
(1)ガバナンスの高度化
「BBBO2017」では経営改革の推進を柱の一つとして掲げてきましたが、引続き、経営改革の実践に取組み、ガバナンスの高度化を図っていきます。具体的には、事業ポートフォリオ戦略に関する報告を充実させるなどして、取締役会におけるモニタリング機能を強化していくとともに、当社グループのガバナンスを強化すべく、内部統制推進を通じた事業会社の業務品質の向上に努めていきます。
(2)人材戦略の高度化
「Diversity & Inclusion ~多様な力を競争力の源泉に~」を基本コンセプトに、人材戦略の高度化を図ります。すなわち、当社グループの多様な人材の個性を認め尊重するとともに、一人ひとりのチャレンジを促し、強みを伸ばし、活かすことを主眼に、各種施策に取組んでいきます。例えば、さまざまな働き方を支援すべく働き方改革を推進します。また、グローバル連結ベースで、最適な人材を適時・適所に配置できる体制を整えていきます。
(3)財務健全性の向上
キャッシュ・フロー収益力を拡大していくとともに、事業の新陳代謝を継続的に進めていくことで積極的な資金回収を図る一方で、その回収したキャッシュを原資として、将来の成長に必要となる投融資を着実に実行すると同時に、引続き有利子負債の削減にも取組みます。また、コア・リスクバッファーとリスクアセットのバランスについては、引続きその維持に努めていきます。
3年間合計のキャッシュ配分は以下のとおりとしております。キャッシュ創出力が高まっていることに加え、資産入替えを積極的に進めていくことで1兆8,000億円のキャッシュ・インを見込みます。このキャッシュ・インを原資として、1兆3,000億円を投融資に、3,000億円を配当還元に充当する予定です。また、3年間合計の配当後フリーキャッシュ・フローを2,000億円以上確保し、これを有利子負債の返済に充てることで、更なる財務健全性の向上に努めます。
(注) 基礎収益CF=基礎収益-持分法による投資損益+持分法投資先からの配当基礎収益=(売上総利益+販売費及び一般管理費(除く貸倒引当金繰入額)+利息収支+受取配当金)×(1-税率)+持分法による投資損益
④ 定量計画
2018年度は、当期利益を3,200億円、基礎収益を3,400億円と計画しております。資源ビジネスは資源価格の大幅な変動は見込んでいないものの、前期に一過性利益があったことの反動などにより減益が予想される一方、鋼管事業は市況回復に伴う需要増加などにより収益の改善が見込まれます。その他非資源ビジネスは電力EPC案件や不動産事業などを中心に、各部門の主要ビジネス・事業会社が堅調に推移することを見込んでおります。また、「中期経営計画2020」におけるROA、ROEについては、それぞれ4%以上、10%以上としております。

⑤ 配当方針
当社は、株主に対して長期にわたり安定した配当を行うことを基本方針としつつ、中長期的な利益成長による配当額の増加を目指して取組んでおります。「中期経営計画2020」においては、連結配当性向30%程度を目安に、基礎収益やキャッシュ・フローの状況等を勘案の上、配当額を決定します。2018年度の年間配当金は、連結業績の見通し3,200億円を踏まえ、1株当たり、75円とする予定です。
マテリアリティ(重要課題)への取組
社会課題の解決に向けて企業の果たす役割への期待や、環境・社会・ガバナンス(ESG)の側面が企業の評価や投資行動につながる機運が高まる中、住友の事業精神、住友商事グループの経営理念(注1)を踏まえ、事業活動を通じて、自らの強みを生かして優先的に取組むべき課題を、「社会とともに持続的に成長するための6つのマテリアリティ(重要課題)」として特定しました。
「社会とともに持続的に成長するための6つのマテリアリティ(重要課題)」を、事業戦略の策定や個々のビジネスの意思決定プロセスにおける重要な要素と位置付け、事業活動を通じて課題を解決することで持続的な成長を図っていきます。
(注1) 住友商事グループの経営理念については、「6 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの状況
③住友商事コーポレートガバナンス原則」をご参照ください。
(注2) Sustainable Development Goalsの略称。2030年までの世界規模の課題が盛り込まれた17の目標。2015年に国連総会で
全ての加盟国(193か国)により採択されました。
