有価証券報告書-第71期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/29 15:11
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103項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当期の日本経済は、総じて緩やかな景気回復基調を維持したものの、物価上昇に伴う実質賃金の低下なども見られ、個人消費は依然として先行き不透明な状況で推移いたしました。
出版業界におきましては、デジタルコンテンツの浸透などを背景に雑誌・コミックの販売が顕著に減少し、加えて輸送費の高騰もあり、出版物流ネットワークの維持が懸念される状況となりました。一方、書籍の販売については、児童書や学習参考書をはじめとして堅調に推移し、文具・雑貨やカフェ等を併設した複合型書店も消費者の支持を得て増加いたしました。
こうした状況下、当社は、データに基づく店頭品揃えの見直しや、複合化による多様な価値の創出を提案し、さらにデジタル社会に適応した新たな店頭サービスの実現に努めました。また、中長期的な市場の趨勢を見据え、事業領域の拡大と経営基盤の一層の強化を図り、安定的な収益確保に向けた取り組みを進めました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,423百万円増加し、341,513百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,870百万円増加し、235,243百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ446百万円減少し、106,269百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は4,437億円余、前期比6.8%の減収となり、売上原価の抑制やコスト削減を計ったものの、営業利益は前期比29.4%の減益、経常利益は前期比42.9%の減益となりました。
特別損益を加味した税金等調整前当期純利益も前期比55.3%の減益となり、最終的に法人税等を控除いたしました親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比73.3%減益の7億円余となりました。
なお、当社グループは出版物等卸売事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益1,919百万円に、売上債権及び仕入債務の増減、有価証券の取得及び売却、貸付による収支等を加減した結果、当連結会計年度末には49,789百万円となり、前年同期と比べ9,163百万円増加しております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に仕入債務の増加による資金の増加分や、売上債権の減少による資金の増加分等を加減した結果、12,779百万円の増加となり、前年同期と比べ7,199百万円増加しております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産や投資有価証券等の取得及び売却による収支に、貸付金の回収と支出を加減した結果、2,061百万円の減少となり、前年同期と比べ4,028百万円減少しております。
財務活動によるキャッシュ・フローは、株主配当金の支払やリース債務の返済による資金の減少等により、2,106百万円の減少となり、前年同期と比べ1,393百万円減少しております。
③販売及び仕入実績
a.販売実績
当社グループの事業は出版物等卸売事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
なお、最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
㈱セブン-イレブン・ジャパン65,74413.856,51312.7

b.仕入実績
当社グループの事業は出版物等卸売事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における仕入実績は、383,440百万円(前年同期比8.0%減)となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループ経営陣は連結財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末日における資産・負債の数値及び連結会計期間における損益の数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければならず、売掛債権、固定資産及び偶発債務等に関し、経営陣は過去の実績や現在の状況をふまえ引当金の計上等の見積りに対して合理的かつ継続的判断を行っておりますが、実際の結果は当初の見積りと異なる場合があります。
当社グループは、以下の重要な会計方針が当社グループの連結財務諸表作成において特に重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.たな卸資産
「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、 4.会計方針に関する事項 (3)重要な引当金の計上基準」に記載しております。
b.固定資産の減損
当社グループが保有する有形固定資産の価値が著しく下落し、投資額の回収が見込めない場合には減損を計上しており、株式については、時価があるものは取得価額を時価が著しく下回った場合に、時価のないものについては、投資額の回収が見込めない場合に評価損を計上しております。
c.引当金等
貸倒引当金、返品調整引当金等の引当金については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、 4.会計方針に関する事項 (3)重要な引当金の計上基準」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)経営成績
売上高は443,751百万円(前年同期比6.8%減)となり、前連結会計年度より32,155百万円減少しております。
売上総利益は、効率的な仕入施策を実施した結果、59,541百万円(前年同期比3.5%減)となりました。
これに対して販売費及び一般管理費は、諸経費の削減に取り組みましたが、55,088百万円(前年同期比0.6%減)となりましたが、売上総利益の減少分をカバーできず、営業利益は4,452百万円(前年同期比29.4%減)、経常利益は2,413百万円(前年同期比42.9%減)となりました。
特別損益は、特別利益に固定資産売却益や投資有価証券売却益を計上、特別損失は固定資産除却損や投資有価証券評価損などを計上し、税金等調整前当期純利益は1,919百万円(前年同期比55.3%減)となり、法人税等の税金費用を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は758百万円(前年同期比73.3%減)となりました。
2)財務状態
ア.キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
イ.資金需要
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金において出版物等の仕入にかかるもののほか、運賃、荷造費及び人件費等の営業費用であります。
設備投資資金においては、有形固定資産の取得等にかかるもののほかソフトウエアの取得等であります。
ウ.財務政策
当社グループの運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金または借入等により資金調達をすることとしております。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
●出版マーケットに対する取り組み
第一に、時代の変化に対応した新しい書店モデルの具現化に取り組みました。主力商材である出版物に関しては、当社とお取引先との情報共有ツールであるTONETSネットワークを駆使し、データに基づき仮説を構築して個別の品揃え提案に活かしました。また、文具・雑貨・カフェを軸とした複合売場開発を進め、時間消費型の書店づくりをさらに拡大いたしました。
第二に、ネットビジネスに対する競争力の強化を図りました。具体的には、ECプラットフォームであるe-honの機能を強化し、店頭定期購読サービス「ざっしの毎号留置便」を開始するなどリアルとネットの融合を推進いたしました。また、新型レジ「POS V」を開発し、出版業界で初めて複数の共通ポイントを書店店頭に導入したほか、当社独自の「店頭活性化プロジェクト」等を通じて、ネットも含めた広い範囲からの集客に努めました。
第三に、出版物流を取り巻く環境変化に対応するため、当社グループを挙げて一層の物流業務効率化に取り組みました。さらに、出版社・小売店・輸送会社・物流協力会社等と連携し、日本出版取次協会の一員として、雑誌発売日の変更や休日配送の見直しなど、物流問題の抜本的解決に向けた取り組みを進めました。
●出版マーケットの課題
雑誌・コミックの販売不振は今後も継続するものと予測されます。当社グループの基幹事業である出版卸売業において、その収益は雑誌・コミック流通に支えられており、販売不振の影響を最小化するための収益構造改革が急務となっております。企業収益力、財務基盤の改善・強化を図るべく、書籍流通事業の生産性向上とマルチメディア商材を中心とした取扱商材の拡大に取り組んでまいります。
また、雑誌・コミック市場の縮小は総流通量の減少に繋がり、加えて荷物の小口化と配送先の増加は、慢性的なドライバー不足と相まって輸送効率を悪化させております。輸送会社の疲弊による輸送費の高騰は当社グループの収益に悪影響を及ぼしており、当社グループは今後も業界各社と非競争分野での連携を推し進めると共に、物流インフラ・情報インフラに積極的に投資し、一層の物流効率化を図ってまいります。
●出版卸売業の中長期的展望
出版物やCD・DVD等の流通を主とする出版卸売業は目まぐるしい技術革新と競争環境の変化にさらされ、構造的な転換点を迎えております。返品率悪化に見られるように従来型の委託販売制度と事業環境とのミスマッチも顕在化してきており、当社グループは委託販売制度の質的転換の必要性を認識し、取次・書店における仕入機能・販売機能の再定義とその強化に努めてまいります。
●事業領域の拡大
第一に、出版総合商社としての枢要な分野であるマルチメディア事業の強化を図りました。出版社・メーカーとタイアップして製造卸機能を高め、当社オリジナル商品を多数企画し、取引先書店を通じて市場に投入いたしました。
第二に、高成長が期待される海外マーケット対策に注力いたしました。世界各地の大型出版イベントで日本事務局としての役割を担いながら、グローバルな事業展開を見据えて国内外のパートナーとの関係強化に努めました。その結果、国際的な版権仲介事業においては前年度を上回る実績を上げました。さらに、当社オリジナル商品を含む企画商品について、中国を始めとする海外ECサイトを中心に、販路の拡大に取り組みました。
なお、国際的活動及び海外販路拡大については、法律または貿易取引規制、その他税制度等の予期しない変更、企業活動にとって不利な政治的・経済的変動、テロ・戦争・その他要因による社会的混乱といったリスクを内在していることを認識し、海外に拠点を有する関連会社等を通じた情報収集・リスク精査に努め、リスク極小化を図ってまいります。
また、新事業領域への進出や既存事業における取扱商材の拡大、商圏確保及びマーケティングノウハウ等の獲得のためにも、M&A及び企業間提携は重要であると認識しており、必要に応じて関係する事業の買収等についても検討をしてまいります。
●中長期的な経営基盤の強化
第一に、本社再構築・物流再配置計画を立案し、本社不動産の有効活用と書籍新刊物流の効率化の観点から、複数の具体案の比較検討を進め、次年度の計画着手につなげました。
第二に、運賃等の経費負担増加に対応するため、全社的にコスト削減に取り組みました。業務改善や経費削減の視点から各職場が課題解決に取り組む「ハイクオリティ運動」では、改善手法を全社的に水平展開した事例や、複数の職場が共同で業務改善に当たる事例が増加しました。さらに当期は若手社員を中心とする全社推進委員会を設置し、経費削減に向けた組織横断的な活動を促進いたしました。
第三に、コンプライアンス意識の強化を図るため、全社業務総点検の実施を経てコンプライアンス・マニュアルを制定いたしました。併せてコンプライアンス相談窓口を設置し、研修を通じて改めて全社に趣旨の徹底を図りました。
第四に、人材育成と活躍推進に取り組みました。当期も公募派遣研修や営業スキル検定試験を始めとして研修制度の拡充を図り、学び続ける社風の醸成に努めました。また、ワークライフ・バランス支援制度などを通じて女性や若手職員の活躍を促進してきた結果、当期末には管理職に占める女性の割合も12%まで高まりました。
c.資本の財源及び資金の流動性
資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、当社グループの出版販売業に係る商品仕入代金や配送運賃等の支払、貸金業を営む上での転貸資金の確保、各事業における一般管理費等があります。また、設備資金需要としては、物流拠点及び店舗開発のための有形固定資産投資や、情報処理のための無形固定資産等があります。
財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っており、運転資金及び設備資金につきましては、基本的に当社において子会社各社の経営状況とともに把握しております。
当社グループの主要業務である出版販売業に係る商品仕入代金や配送運賃等の支払資金に関しては、企業間信用に基づく掛仕入とこれまでに蓄積してきた内部留保や、金融機関からの借入を資金の源泉としており、安定した支払いを実現しております。
また、貸金業を営む上での転貸資金は主に金融機関からの借入で賄っておりますが、金融機関には十分な借入枠を有しており、当社グループの維持拡大、運営に必要な運転、設備資金の調達は今後も十分可能であると考えております。

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