有価証券報告書-第71期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米国では個人消費や民間投資などが底堅く推移し、企業活動も生産・輸出が回復するなど拡大基調を維持しました。また、欧州では各国で国政選挙が続き、政情面での不安定要素はありましたが、実体経済面では緩やかな拡大基調が続きました。中国では当局の景気下支え策の効果により、インフラや不動産の開発投資が持ち直した他、企業活動の活発化による雇用・所得環境の改善が個人消費を牽引するなど成長を維持しました。その他の新興諸国でも欧米諸国や中国の堅調な景気による輸出の持ち直しや資源価格の回復に伴い、個人消費や設備投資など内需も堅調に推移しました。
一方、国内経済は、北朝鮮問題や米中通商摩擦などの動向により、為替や金利、株式市場が影響を受ける局面があったものの、海外景気の緩やかな回復を受けて輸出が回復基調にあった他、所得や雇用状況の改善に伴い、住宅投資や個人消費も底堅く推移して、企業の生産活動も緩やかに回復、建設需要や設備投資も持ち直すなど、全体としては安定した推移となりました。
このような環境において、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度後半から上昇傾向に転じた鋼材や金属資源の価格が前連結会計年度に比べ高い水準にあったことなどから、前連結会計年度比18.3%増の1,791,118百万円となりました。また、利益面では、営業利益は、金属原料事業の増益などにより、前連結会計年度比11.9%増の26,217百万円に、経常利益は、営業利益の増加に加え前連結会計年度には差損であった為替差損益が当連結会計年度においては差益に転じたことなども寄与し、前連結会計年度比11.3%増の25,502百万円に、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益の減少や法人税等の増加はあったものの、前連結会計年度比6.1%増の17,354百万円になりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
鉄鋼事業
鋼材需要が製造業分野、建設土木分野ともに堅調に推移する中、供給面での制約もあり、需給が引き締まりました。また、鋼材価格は原料価格の上昇や需給のタイト化を反映して、上げ基調が強まり、前連結会計年度に比べ高い水準となりました。利益面では、鋼材価格の上昇ペースは徐々に鈍化してきたものの、年度前半の鋼材価格の上昇局面では、製造業向けの紐付き・流通業向け店売分野で利幅が拡大し、全体の利益を押し上げました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比18.4%増の931,948百万円、セグメント利益は前連結会計年度比12.4%増の20,324百万円となりました。
金属原料事業
合金鉄価格の上昇などにより販売価格が前連結会計年度に比べ高い水準にあったことに加え、クロム系やマンガン系の合金鉄、ステンレス母材の拡販が収益を押し上げました。また、当連結会計年度から持分法適用会社となったSAMANCOR CHROME HOLDINGS PROPRIETARY LIMITEDからの持分法投資損益は損失になったものの、前連結会計年度には赤字となっていた昭和メタル㈱の損益が回復したことも利益増に寄与しました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比50.9%増の203,200百万円、セグメント利益は前連結会計年度比250.7%増(約3.5倍)の4,958百万円となりました。
非鉄金属事業
中国の環境規制や堅調な需要などに支えられてアルミニウムや銅などの国際商品価格が強含みで推移したことに加え、銅スクラップなどの販売増が収益の増加に寄与しました。また、前連結会計年度の為替差損が当連結会計年度では差益に転換したことも利益を押し上げました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比25.1%増の99,060百万円、セグメント利益は前連結会計年度比87.9%増の2,038百万円となりました。
食品事業
海外産地の水揚げ量の減少や漁獲枠の縮小、低い在庫水準に起因して、エビ・カニ類やサケ類を中心とした商品価格が前連結会計年度に比べ高い水準にあり、取扱量も堅調に推移したことが売上高を押し上げました。一方、利益面では、一部商品の国内市況が高値が続いたことによる需要停滞により年央から軟調に転じた一方で、海外産地価格の高止まりによる仕入コストの上昇のため、前連結会計年度に比べ利幅が縮小しました。これらの結果、当事
業の売上高は前連結会計年度比11.8%増の99,477百万円、セグメント利益は前連結会計年度比63.2%減の1,057百万円となりました。
石油・化成品事業
原油価格は産油国の協調減産などにより緩やかな上昇基調を持続し、石油製品価格も元売会社の価格政策により前連結会計年度よりも高い水準にありましたが、ガソリンや灯油などのスポット取引の大幅な減少が収益を下押ししました。加えて利益面では、前連結会計年度に好採算だった輸入日用雑貨品販売の利益が平準化して減少したことも減益要因となりました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比9.0%減の240,695百万円、セグメント利益は前連結会計年度比12.0%減の2,164百万円となりました。
海外販売子会社
舶用石油の商権を移管したシンガポールでの取扱い増に加え、タイやシンガポールでの非鉄金属スクラップ販売やインドネシア、北米などでの鋼材販売の増加が収益を押し上げました。これらの結果、売上高は前連結会計年度比27.2%増の221,678百万円、セグメント利益は前連結会計年度比383.4%増(約4.8倍)の950百万円となりました。
その他の事業
木材事業では住宅メーカー向けなどで販売を伸ばしたものの、ユーロ安による仕入コストの上昇により利幅が縮小した他、前連結会計年度に収益に大きく寄与した機械事業でのレジャー機械の物件完工が、当連結会計年度においては発生しなかったことも収益を押し下げました。これらの結果、売上高は前連結会計年度比4.9%増の76,598百万円、セグメント利益は前連結会計年度比54.7%減の691百万円となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、売上債権や投資有価証券の増加などにより、前連結会計年度末比24.2%増の861,965百万円となりました。
負債は、主に仕入債務や長短借入金の増加などにより、前連結会計年度末比26.0%増の658,264百万円となりました。そのうち、有利子負債は、前連結会計年度末比25.4%増の325,562百万円となり、当連結会計年度末のネット負債倍率は、1.5倍となりました。
純資産は、当連結会計年度から連結子会社となった日本南ア・クロム㈱の非支配株主持分が増加したことや親会社株主に帰属する当期純利益の積み上がりなどにより、前連結会計年度末比18.7%増の203,700百万円となりました。しかしながら、当連結会計年度末の自己資本比率は、自己資本の増加に比べ、負債や非支配株主持分の増加幅が大きかったことから、前連結会計年度末の24.5%から21.8%に低下しました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ7,649百万円(28.1%)増加し、34,855百万円となりました。
これは主に売上高の上昇に伴う運転資金需要の増加や引き続き旺盛な投融資向け資金需要を反映して、長期借入金による調達などを増やしたことによるものであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による支出は19,755百万円となりました(前連結会計年度は3,959百万円の収入)。これは主に売上高の上昇により、売上債権やたな卸資産の増加幅が拡大するなど運転資金需要が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による支出は39,971百万円となり、前連結会計年度に比べ21,543百万円(116.9%)の増加となりました。これは主に投資有価証券の取得に係る支出や長期貸付金の実行額が増加したことによるものであります。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは、59,727百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による収入は66,435百万円となり、前連結会計年度に比べ50,987百万円(330.1%)の増加となりました。これは主に投資資金や運転資金需要の増加に対応して、長期借入金による調達が増加したことによるものであります。
④ 受注及び販売の実績
a. 受注実績
受注実績と販売実績との差異は僅少なため、受注実績の記載は省略しております。
b. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、前連結会計年度及び当連結会計年度における当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっての重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項4 会計方針に関する事項」をご参照ください。なお、有価証券や固定資産の評価、貸倒引当金や賞与引当金等における見積り及び判断・評価については、過去の実績や足元の状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況
売上高は、前連結会計年度後半から鋼材や金属資源などの価格が上げ基調に転じていたところに、鉄鋼事業や金属原料事業中心に販売量の増加も相まって、スポット取引の市場規模が縮小している石油・化成品事業以外の事業は増収となり、前連結会計年度に比べ18.3%増の1,791,118百万円となりました。そのうち、国内売上高は前連結会計年度に比べ14.6%増の1,302,944百万円、海外売上高は前連結会計年度に比べ29.3%増の488,174百万円となりました。
売上原価は、商品価格上昇による仕入単価の上昇や販売増に伴う仕入量の増加などにより、前連結会計年度に比べ18.6%増の1,718,922百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、給料・福利厚生費などの人件費や旅費交通費の増加に加え、新規連結した子会社分の経費の増加などにより、前連結会計年度に比べ11.9%増の45,977百万円となりました。
営業外収益は、貸付に対する受取金利が増加したほか、前連結会計年度での為替差損が為替差益に転じたことなどから、前連結会計年度に比べ16.4%増加し4,531百万円となりました。また、営業外費用は、有利子負債の増加に伴う支払利息や銀行手数料の増加、持分法投資損失などにより、前連結会計年度に比べ18.9%増加し5,246百万円となりました。
特別利益は、関係会社の事業整理に伴う損失を過年度に引き当てていたところ、実際の損失が想定より縮小できたことから引当金の戻り益が発生しましたが、前連結会計年度に比べ、固定資産や投資有価証券の売却益が減少したことから、前連結会計年度に比べ56.3%減少の678百万円となりました。一方、特別損失は、子会社の取扱製品の品質保証費用を345百万円引き当てました他、譲渡が決まったコイルセンターの阪和鋼板加工(江西)有限公司の出資金について評価損を計上しましたが、投資有価証券評価損が減少したことから、前連結会計年度に比べ42.5%減少の744百万円となりました。
法人税等は、前連結会計年度には売却した不動産について過年度に認識していた減損損失等を損金算入したことによる軽減効果が若干ありましたが、当連結会計年度では実効税率に近い水準となったため、前連結会計年度に比べ23.6%増加し、8,315百万円となりました。
当期純利益は、前連結会計年度に比べ4.2%増加の17,120百万円となり、その内、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ6.1%増加の17,354百万円となりました。その結果、1株当たり当期純利益金額は、前連結会計年度の400.89円に対し、427.04円となりました。
③ 当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績等に影響を与える要因は、「2 事業等のリスク」に記載の通りです。
当社の主たる事業である商社事業において、影響が大きいものは、商品価格の動向であります。価格のトレンドや国内外の需給動向を確認しながら、売りと仕入のタイミングを図っていきます。特に在庫取引を行う商品については、買う時期と数量を慎重に判断して行います。鉄鋼事業では流通業向け店売り市場が縮小しており、以前ほど大量の在庫を保有することはなくなったため、市況下落による評価損も昨今は限定的ではあるものの、商品価格の変動幅が過去に比べて大きくなり、変動速度も速くなっており、実需以外の要因も影響を及ぼすため、市況動向の見極めが一層重要になっております。
次に、海外との取引において、決済通貨と表示通貨が異なる場合には、表示通貨への換算の際に為替変動の影響を受けます。個別の取引においては、原則として為替予約などにより為替変動による影響を最小限にするように対処しておりますが、決算期末での債権債務の期末レートへの換算替えにおいては、評価損益が発生することがあり、変動幅や速度によっては、全体の損益が影響を受けることがあります。
また、当社グループは、運転資金や投融資資金を金融機関からの借入や社債発行などにより調達しており、金利変動や金融市場の動向、格付などにより、事業の採算や借入コストが影響を受けます。取引仲介における口銭や手数料収入の利率を金利変動に応じて変動させたり、金利スワップ等でコスト増を抑制するなどの対応はしておりますが、金融市場の大きな変動の中では全体の損益が影響を受けることがあります。
次に、当社グループの取引は掛け売りやユーザンスを与えるものも多く、それらは各取引先に対する厳格な審査・与信管理の下に信用枠を設定しています。取引先の信用状態については、常に各営業担当が確認しており、会社としても社員の与信管理能力の強化や信用保険・ファクタリング等による債権保全に努めておりますが、不測の倒産等が発生した場合には、売上債権の全額を回収できず、貸倒れとなることもあり、全体の損益が影響を受けることがあります。
また、当社グループは様々な商品やサービスを取り扱っており、その品質については、仕入先や委託加工先と提携して万全を期していますが、時に品質基準を満たさないもの、不良なものが発生することがありえます。従来、商社は品質に問題があった場合には仕入先や加工先にその保証責任を負わせておりましたが、品質欠陥に対する社会的な影響が大きくなっている昨今、商社も品質管理に一層の注意を払うことが必要になっており、その対応によっては保証費用や信用低下などにより全体の損益が影響を受けることがあります。なお、当社では平成30年4月より、品質安全環境管理部を新設し、協力業者も含めた品質管理体制の強化を進めています。
当社グループとしては、上記以外の業績に影響を与えるリスク要因に対しても、あらかじめ可能な限り対処策を講じることで、影響の軽減に努めてまいります。
④ 当社グループの資本の財源及び資金の流動性
(キャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が3,959百万円の収入であったことに対し、当連結会計年度においては19,755百万円の支出となりました。これは、前連結会計年度の半ばから売上高が増加して運転資金需要が増加傾向に転じたものが、当連結会計年度では売上高が一段と増加し、売掛金やたな卸資産が増加して運転資金需要がさらに増加したことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて21,543百万円多い39,971百万円の支出となりました。これは、SAMANCOR CHROME HOLDINGS PROPRIETARY LTD.株式をはじめとした投資有価証券の取得による支出の増加や、出資先への長期貸付金の実行による支出が発生したことなどによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて50,987百万円多い66,435百万円の収入となりました。これは、投資有価証券などの取得のための投資資金や売上高の増加に伴う運転資金需要の増加に対応して、長期借入金による調達などを増やしたことによるものであります。
(財務政策)
当社グループは、運転資金及び投融資資金につきましては、銀行借入による調達を主としておりますが、安定的かつ機動的な流動性確保のため、資金調達ソースの多様化を図り、資本市場における社債並びにコマーシャル・ペーパー発行による調達も随時行っております。また、金融機関との間で総額80,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。
銀行借入につきましては、運転資金の調達には、主に長期借入金を利用することで安定的な資金を確保するとともに、日常の資金需要の変動については短期借入金により対応しております。当連結会計年度末現在の短期借入金残高は81,722百万円であり、主な通貨は日本円であります。長期借入金残高は1年以内の返済予定額34,522百万円を含めて182,124百万円であります。
社債につきましては、主に運転資金の調達を目的に利用しており、当連結会計年度末現在の社債発行残高は、普通社債50,176百万円であります。当社は市場環境や財政状態の変化に対応した機動的な社債発行を可能にするため、発行登録制度を利用しており、当連結会計年度末現在の国内公募普通社債発行登録枠の未使用枠は、40,000百万円であります。
当社グループは総合的な企業価値の向上と持続的な企業成長を標榜しており、事業の拡大に必要な資金需要に対応した効率的な資金調達を図り、健全な財務バランスを追求していく方針であります。
⑤ セグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容
鉄鋼事業の売上高は前連結会計年度に比べ18.4%増の931,948百万円、セグメント利益は12.4%増の20,324百万円となりました。鋼材需要は人手不足や物流面の課題などにより、期待されたような盛り上がりには欠けましたが、各製造業分野および建設分野とも堅調に推移し、当社の取扱量も前連結会計年度を若干上回る水準を達成しました。また、価格面では前連結会計年度後半から主原料価格の上昇を受けて、鉄鋼メーカーが値上げ方針を打ち出して以降、製造業向け紐付き価格、流通業向け店売り価格ともに上昇し、国際市況も中国の地条鋼生産禁止措置を受けて、供給がタイト化したことから、強含みで推移する期間が長く、売上高の増加に寄与しました。利益面でも市況の上昇により、店売り分野で子会社含め増益となった他、海外のコイルセンターで販売価格の値上げが先行して進んだことによる利幅の増加や現地通貨高による為替差益の発生などから、増益となりました。
金属原料事業の売上高は前連結会計年度に比べ50.9%増の203,200百万円、セグメント利益は250.7%増(約3.5倍)の4,958百万円となりました。中国での鋼材の増産により副原料である合金鉄の需要が増加する一方で、環境規制などの影響もあり、合金鉄価格が上昇、ニッケル価格も当連結会計年度当初は鉱石輸出の再開の動きなどから弱い時期があったものの、その後、供給不足懸念などもあり持ち直して、金属価格は全般的に高い水準にありました。加えて生産者に一部出資もしているクロム系やマンガン系の合金鉄の取り扱いが伸びたことも売上高を押し上げました。また、利益面では、販売増による利益増に加え、前連結会計年度では赤字だった昭和メタル㈱の収益改善や年度末に円高に転じたことによる外貨建て債務の時価換算益も寄与しました。
非鉄金属事業の売上高は前連結会計年度に比べ25.1%増の99,060百万円、セグメント利益は87.9%増の2,038百万円となりました。LMEなどの国際商品価格は中国での環境規制や米国の追加関税などの影響もあり、強含みで推移、中国で雑品スクラップの規制が強化されたことから、品質の良い銅スクラップの取り扱いが増えたことも売上高を押し上げました。また、利益面では、銅スクラップやアルミニウムスクラップの販売収益の増加に加え、前連結会計年度の為替差損が当連結会計年度では差益となったことも増益要因となりました。
食品事業の売上高は前連結会計年度に比べ11.8%増の99,477百万円、セグメント利益は63.2%減の1,057百万円となりました。海外の産地では水揚げが低調であったり、漁獲量の枠が削減された一方で、現物在庫は低水準にあったことから、カニやエビ、サケ類の価格は総じて高止まりし、取扱数量も前連結会計年度比若干増となったため、増収となりました。一方、利益面では、前連結会計年度では高値の販売価格に対して、仕入れコストが上昇途上であったため、利幅が広がりましたが、当連結会計年度では仕入れコストがさらに上昇する中で、販売市況は高値が続いたことから需要が弱まり、一部商品で軟調に転じたことから利幅が縮小し、減益となりました。
石油・化成品事業の売上高は前連結会計年度に比べ9.0%減の240,695百万円、セグメント利益は12.0%減の2,164百万円となりました。原油価格はOPECの協調減産などにより緩やかな上昇基調を維持し、石油製品の販売価格も元売りの価格政策により、上昇基調にありましたが、元売り業界の再編の影響から、従来、商社が取り扱ってきたスポット取引や元売り間の需給調整取引市場が大きく縮小し、取扱量を落とした結果、減収となりました。また、利益面でも石油販売数量の減少による収益低下に加え、前連結会計年度はレジ袋などの輸入化成品雑貨類がコスト低下により採算が良く、利益を押し上げましたが、当連結会計年度では利幅が平準化したことも、利益を引き下げました。
海外販売子会社の売上高は前連結会計年度に比べ27.2%増の221,678百万円、セグメント利益は383.4%増(約4.8倍)の950百万円となりました。シンガポールに舶用石油の商権を移管したことからシンガポールの石油製品の取扱いが増加した他、タイやシンガポールでの非鉄金属スクラップ類やインドネシアや米国での鋼材販売が増加したことも売上高を押し上げました。また、利益面ではシンガポールやインドネシアでの売上高の増加に伴う利益増加が寄与し、増益となりました。
その他の事業の売上高は前連結会計年度に比べ4.9%増の76,598百万円、セグメント利益は54.7%減の691百万円となりました。木材事業では住宅メーカー向けの直需取引を増やし、売上規模を拡大していますが、利益面では為替変動の影響などからコスト増となり、減益となりました。また、機械事業では前連結会計年度ではレジャー機械の完工収入が利益に貢献しましたが、当連結会計年度では完工がなかったことから減収減益となりました。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米国では個人消費や民間投資などが底堅く推移し、企業活動も生産・輸出が回復するなど拡大基調を維持しました。また、欧州では各国で国政選挙が続き、政情面での不安定要素はありましたが、実体経済面では緩やかな拡大基調が続きました。中国では当局の景気下支え策の効果により、インフラや不動産の開発投資が持ち直した他、企業活動の活発化による雇用・所得環境の改善が個人消費を牽引するなど成長を維持しました。その他の新興諸国でも欧米諸国や中国の堅調な景気による輸出の持ち直しや資源価格の回復に伴い、個人消費や設備投資など内需も堅調に推移しました。
一方、国内経済は、北朝鮮問題や米中通商摩擦などの動向により、為替や金利、株式市場が影響を受ける局面があったものの、海外景気の緩やかな回復を受けて輸出が回復基調にあった他、所得や雇用状況の改善に伴い、住宅投資や個人消費も底堅く推移して、企業の生産活動も緩やかに回復、建設需要や設備投資も持ち直すなど、全体としては安定した推移となりました。
このような環境において、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度後半から上昇傾向に転じた鋼材や金属資源の価格が前連結会計年度に比べ高い水準にあったことなどから、前連結会計年度比18.3%増の1,791,118百万円となりました。また、利益面では、営業利益は、金属原料事業の増益などにより、前連結会計年度比11.9%増の26,217百万円に、経常利益は、営業利益の増加に加え前連結会計年度には差損であった為替差損益が当連結会計年度においては差益に転じたことなども寄与し、前連結会計年度比11.3%増の25,502百万円に、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益の減少や法人税等の増加はあったものの、前連結会計年度比6.1%増の17,354百万円になりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
鉄鋼事業
鋼材需要が製造業分野、建設土木分野ともに堅調に推移する中、供給面での制約もあり、需給が引き締まりました。また、鋼材価格は原料価格の上昇や需給のタイト化を反映して、上げ基調が強まり、前連結会計年度に比べ高い水準となりました。利益面では、鋼材価格の上昇ペースは徐々に鈍化してきたものの、年度前半の鋼材価格の上昇局面では、製造業向けの紐付き・流通業向け店売分野で利幅が拡大し、全体の利益を押し上げました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比18.4%増の931,948百万円、セグメント利益は前連結会計年度比12.4%増の20,324百万円となりました。
金属原料事業
合金鉄価格の上昇などにより販売価格が前連結会計年度に比べ高い水準にあったことに加え、クロム系やマンガン系の合金鉄、ステンレス母材の拡販が収益を押し上げました。また、当連結会計年度から持分法適用会社となったSAMANCOR CHROME HOLDINGS PROPRIETARY LIMITEDからの持分法投資損益は損失になったものの、前連結会計年度には赤字となっていた昭和メタル㈱の損益が回復したことも利益増に寄与しました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比50.9%増の203,200百万円、セグメント利益は前連結会計年度比250.7%増(約3.5倍)の4,958百万円となりました。
非鉄金属事業
中国の環境規制や堅調な需要などに支えられてアルミニウムや銅などの国際商品価格が強含みで推移したことに加え、銅スクラップなどの販売増が収益の増加に寄与しました。また、前連結会計年度の為替差損が当連結会計年度では差益に転換したことも利益を押し上げました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比25.1%増の99,060百万円、セグメント利益は前連結会計年度比87.9%増の2,038百万円となりました。
食品事業
海外産地の水揚げ量の減少や漁獲枠の縮小、低い在庫水準に起因して、エビ・カニ類やサケ類を中心とした商品価格が前連結会計年度に比べ高い水準にあり、取扱量も堅調に推移したことが売上高を押し上げました。一方、利益面では、一部商品の国内市況が高値が続いたことによる需要停滞により年央から軟調に転じた一方で、海外産地価格の高止まりによる仕入コストの上昇のため、前連結会計年度に比べ利幅が縮小しました。これらの結果、当事
業の売上高は前連結会計年度比11.8%増の99,477百万円、セグメント利益は前連結会計年度比63.2%減の1,057百万円となりました。
石油・化成品事業
原油価格は産油国の協調減産などにより緩やかな上昇基調を持続し、石油製品価格も元売会社の価格政策により前連結会計年度よりも高い水準にありましたが、ガソリンや灯油などのスポット取引の大幅な減少が収益を下押ししました。加えて利益面では、前連結会計年度に好採算だった輸入日用雑貨品販売の利益が平準化して減少したことも減益要因となりました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比9.0%減の240,695百万円、セグメント利益は前連結会計年度比12.0%減の2,164百万円となりました。
海外販売子会社
舶用石油の商権を移管したシンガポールでの取扱い増に加え、タイやシンガポールでの非鉄金属スクラップ販売やインドネシア、北米などでの鋼材販売の増加が収益を押し上げました。これらの結果、売上高は前連結会計年度比27.2%増の221,678百万円、セグメント利益は前連結会計年度比383.4%増(約4.8倍)の950百万円となりました。
その他の事業
木材事業では住宅メーカー向けなどで販売を伸ばしたものの、ユーロ安による仕入コストの上昇により利幅が縮小した他、前連結会計年度に収益に大きく寄与した機械事業でのレジャー機械の物件完工が、当連結会計年度においては発生しなかったことも収益を押し下げました。これらの結果、売上高は前連結会計年度比4.9%増の76,598百万円、セグメント利益は前連結会計年度比54.7%減の691百万円となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、売上債権や投資有価証券の増加などにより、前連結会計年度末比24.2%増の861,965百万円となりました。
負債は、主に仕入債務や長短借入金の増加などにより、前連結会計年度末比26.0%増の658,264百万円となりました。そのうち、有利子負債は、前連結会計年度末比25.4%増の325,562百万円となり、当連結会計年度末のネット負債倍率は、1.5倍となりました。
純資産は、当連結会計年度から連結子会社となった日本南ア・クロム㈱の非支配株主持分が増加したことや親会社株主に帰属する当期純利益の積み上がりなどにより、前連結会計年度末比18.7%増の203,700百万円となりました。しかしながら、当連結会計年度末の自己資本比率は、自己資本の増加に比べ、負債や非支配株主持分の増加幅が大きかったことから、前連結会計年度末の24.5%から21.8%に低下しました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ7,649百万円(28.1%)増加し、34,855百万円となりました。
これは主に売上高の上昇に伴う運転資金需要の増加や引き続き旺盛な投融資向け資金需要を反映して、長期借入金による調達などを増やしたことによるものであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による支出は19,755百万円となりました(前連結会計年度は3,959百万円の収入)。これは主に売上高の上昇により、売上債権やたな卸資産の増加幅が拡大するなど運転資金需要が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による支出は39,971百万円となり、前連結会計年度に比べ21,543百万円(116.9%)の増加となりました。これは主に投資有価証券の取得に係る支出や長期貸付金の実行額が増加したことによるものであります。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは、59,727百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による収入は66,435百万円となり、前連結会計年度に比べ50,987百万円(330.1%)の増加となりました。これは主に投資資金や運転資金需要の増加に対応して、長期借入金による調達が増加したことによるものであります。
④ 受注及び販売の実績
a. 受注実績
受注実績と販売実績との差異は僅少なため、受注実績の記載は省略しております。
b. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 外部顧客への売上高(百万円) | 前連結会計年度比増減率(%) |
| 鉄 鋼 事 業 | 920,269 | 18.6 |
| 金 属 原 料 事 業 | 198,330 | 50.9 |
| 非 鉄 金 属 事 業 | 97,356 | 25.3 |
| 食 品 事 業 | 98,876 | 11.5 |
| 石 油 ・ 化 成 品 事 業 | 233,926 | △9.0 |
| 海 外 販 売 子 会 社 | 167,388 | 49.5 |
| そ の 他 | 74,970 | 5.0 |
| 計 | 1,791,118 | 18.3 |
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、前連結会計年度及び当連結会計年度における当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっての重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項4 会計方針に関する事項」をご参照ください。なお、有価証券や固定資産の評価、貸倒引当金や賞与引当金等における見積り及び判断・評価については、過去の実績や足元の状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況
売上高は、前連結会計年度後半から鋼材や金属資源などの価格が上げ基調に転じていたところに、鉄鋼事業や金属原料事業中心に販売量の増加も相まって、スポット取引の市場規模が縮小している石油・化成品事業以外の事業は増収となり、前連結会計年度に比べ18.3%増の1,791,118百万円となりました。そのうち、国内売上高は前連結会計年度に比べ14.6%増の1,302,944百万円、海外売上高は前連結会計年度に比べ29.3%増の488,174百万円となりました。
売上原価は、商品価格上昇による仕入単価の上昇や販売増に伴う仕入量の増加などにより、前連結会計年度に比べ18.6%増の1,718,922百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、給料・福利厚生費などの人件費や旅費交通費の増加に加え、新規連結した子会社分の経費の増加などにより、前連結会計年度に比べ11.9%増の45,977百万円となりました。
営業外収益は、貸付に対する受取金利が増加したほか、前連結会計年度での為替差損が為替差益に転じたことなどから、前連結会計年度に比べ16.4%増加し4,531百万円となりました。また、営業外費用は、有利子負債の増加に伴う支払利息や銀行手数料の増加、持分法投資損失などにより、前連結会計年度に比べ18.9%増加し5,246百万円となりました。
特別利益は、関係会社の事業整理に伴う損失を過年度に引き当てていたところ、実際の損失が想定より縮小できたことから引当金の戻り益が発生しましたが、前連結会計年度に比べ、固定資産や投資有価証券の売却益が減少したことから、前連結会計年度に比べ56.3%減少の678百万円となりました。一方、特別損失は、子会社の取扱製品の品質保証費用を345百万円引き当てました他、譲渡が決まったコイルセンターの阪和鋼板加工(江西)有限公司の出資金について評価損を計上しましたが、投資有価証券評価損が減少したことから、前連結会計年度に比べ42.5%減少の744百万円となりました。
法人税等は、前連結会計年度には売却した不動産について過年度に認識していた減損損失等を損金算入したことによる軽減効果が若干ありましたが、当連結会計年度では実効税率に近い水準となったため、前連結会計年度に比べ23.6%増加し、8,315百万円となりました。
当期純利益は、前連結会計年度に比べ4.2%増加の17,120百万円となり、その内、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ6.1%増加の17,354百万円となりました。その結果、1株当たり当期純利益金額は、前連結会計年度の400.89円に対し、427.04円となりました。
③ 当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績等に影響を与える要因は、「2 事業等のリスク」に記載の通りです。
当社の主たる事業である商社事業において、影響が大きいものは、商品価格の動向であります。価格のトレンドや国内外の需給動向を確認しながら、売りと仕入のタイミングを図っていきます。特に在庫取引を行う商品については、買う時期と数量を慎重に判断して行います。鉄鋼事業では流通業向け店売り市場が縮小しており、以前ほど大量の在庫を保有することはなくなったため、市況下落による評価損も昨今は限定的ではあるものの、商品価格の変動幅が過去に比べて大きくなり、変動速度も速くなっており、実需以外の要因も影響を及ぼすため、市況動向の見極めが一層重要になっております。
次に、海外との取引において、決済通貨と表示通貨が異なる場合には、表示通貨への換算の際に為替変動の影響を受けます。個別の取引においては、原則として為替予約などにより為替変動による影響を最小限にするように対処しておりますが、決算期末での債権債務の期末レートへの換算替えにおいては、評価損益が発生することがあり、変動幅や速度によっては、全体の損益が影響を受けることがあります。
また、当社グループは、運転資金や投融資資金を金融機関からの借入や社債発行などにより調達しており、金利変動や金融市場の動向、格付などにより、事業の採算や借入コストが影響を受けます。取引仲介における口銭や手数料収入の利率を金利変動に応じて変動させたり、金利スワップ等でコスト増を抑制するなどの対応はしておりますが、金融市場の大きな変動の中では全体の損益が影響を受けることがあります。
次に、当社グループの取引は掛け売りやユーザンスを与えるものも多く、それらは各取引先に対する厳格な審査・与信管理の下に信用枠を設定しています。取引先の信用状態については、常に各営業担当が確認しており、会社としても社員の与信管理能力の強化や信用保険・ファクタリング等による債権保全に努めておりますが、不測の倒産等が発生した場合には、売上債権の全額を回収できず、貸倒れとなることもあり、全体の損益が影響を受けることがあります。
また、当社グループは様々な商品やサービスを取り扱っており、その品質については、仕入先や委託加工先と提携して万全を期していますが、時に品質基準を満たさないもの、不良なものが発生することがありえます。従来、商社は品質に問題があった場合には仕入先や加工先にその保証責任を負わせておりましたが、品質欠陥に対する社会的な影響が大きくなっている昨今、商社も品質管理に一層の注意を払うことが必要になっており、その対応によっては保証費用や信用低下などにより全体の損益が影響を受けることがあります。なお、当社では平成30年4月より、品質安全環境管理部を新設し、協力業者も含めた品質管理体制の強化を進めています。
当社グループとしては、上記以外の業績に影響を与えるリスク要因に対しても、あらかじめ可能な限り対処策を講じることで、影響の軽減に努めてまいります。
④ 当社グループの資本の財源及び資金の流動性
(キャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が3,959百万円の収入であったことに対し、当連結会計年度においては19,755百万円の支出となりました。これは、前連結会計年度の半ばから売上高が増加して運転資金需要が増加傾向に転じたものが、当連結会計年度では売上高が一段と増加し、売掛金やたな卸資産が増加して運転資金需要がさらに増加したことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて21,543百万円多い39,971百万円の支出となりました。これは、SAMANCOR CHROME HOLDINGS PROPRIETARY LTD.株式をはじめとした投資有価証券の取得による支出の増加や、出資先への長期貸付金の実行による支出が発生したことなどによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて50,987百万円多い66,435百万円の収入となりました。これは、投資有価証券などの取得のための投資資金や売上高の増加に伴う運転資金需要の増加に対応して、長期借入金による調達などを増やしたことによるものであります。
(財務政策)
当社グループは、運転資金及び投融資資金につきましては、銀行借入による調達を主としておりますが、安定的かつ機動的な流動性確保のため、資金調達ソースの多様化を図り、資本市場における社債並びにコマーシャル・ペーパー発行による調達も随時行っております。また、金融機関との間で総額80,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。
銀行借入につきましては、運転資金の調達には、主に長期借入金を利用することで安定的な資金を確保するとともに、日常の資金需要の変動については短期借入金により対応しております。当連結会計年度末現在の短期借入金残高は81,722百万円であり、主な通貨は日本円であります。長期借入金残高は1年以内の返済予定額34,522百万円を含めて182,124百万円であります。
社債につきましては、主に運転資金の調達を目的に利用しており、当連結会計年度末現在の社債発行残高は、普通社債50,176百万円であります。当社は市場環境や財政状態の変化に対応した機動的な社債発行を可能にするため、発行登録制度を利用しており、当連結会計年度末現在の国内公募普通社債発行登録枠の未使用枠は、40,000百万円であります。
当社グループは総合的な企業価値の向上と持続的な企業成長を標榜しており、事業の拡大に必要な資金需要に対応した効率的な資金調達を図り、健全な財務バランスを追求していく方針であります。
⑤ セグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容
鉄鋼事業の売上高は前連結会計年度に比べ18.4%増の931,948百万円、セグメント利益は12.4%増の20,324百万円となりました。鋼材需要は人手不足や物流面の課題などにより、期待されたような盛り上がりには欠けましたが、各製造業分野および建設分野とも堅調に推移し、当社の取扱量も前連結会計年度を若干上回る水準を達成しました。また、価格面では前連結会計年度後半から主原料価格の上昇を受けて、鉄鋼メーカーが値上げ方針を打ち出して以降、製造業向け紐付き価格、流通業向け店売り価格ともに上昇し、国際市況も中国の地条鋼生産禁止措置を受けて、供給がタイト化したことから、強含みで推移する期間が長く、売上高の増加に寄与しました。利益面でも市況の上昇により、店売り分野で子会社含め増益となった他、海外のコイルセンターで販売価格の値上げが先行して進んだことによる利幅の増加や現地通貨高による為替差益の発生などから、増益となりました。
金属原料事業の売上高は前連結会計年度に比べ50.9%増の203,200百万円、セグメント利益は250.7%増(約3.5倍)の4,958百万円となりました。中国での鋼材の増産により副原料である合金鉄の需要が増加する一方で、環境規制などの影響もあり、合金鉄価格が上昇、ニッケル価格も当連結会計年度当初は鉱石輸出の再開の動きなどから弱い時期があったものの、その後、供給不足懸念などもあり持ち直して、金属価格は全般的に高い水準にありました。加えて生産者に一部出資もしているクロム系やマンガン系の合金鉄の取り扱いが伸びたことも売上高を押し上げました。また、利益面では、販売増による利益増に加え、前連結会計年度では赤字だった昭和メタル㈱の収益改善や年度末に円高に転じたことによる外貨建て債務の時価換算益も寄与しました。
非鉄金属事業の売上高は前連結会計年度に比べ25.1%増の99,060百万円、セグメント利益は87.9%増の2,038百万円となりました。LMEなどの国際商品価格は中国での環境規制や米国の追加関税などの影響もあり、強含みで推移、中国で雑品スクラップの規制が強化されたことから、品質の良い銅スクラップの取り扱いが増えたことも売上高を押し上げました。また、利益面では、銅スクラップやアルミニウムスクラップの販売収益の増加に加え、前連結会計年度の為替差損が当連結会計年度では差益となったことも増益要因となりました。
食品事業の売上高は前連結会計年度に比べ11.8%増の99,477百万円、セグメント利益は63.2%減の1,057百万円となりました。海外の産地では水揚げが低調であったり、漁獲量の枠が削減された一方で、現物在庫は低水準にあったことから、カニやエビ、サケ類の価格は総じて高止まりし、取扱数量も前連結会計年度比若干増となったため、増収となりました。一方、利益面では、前連結会計年度では高値の販売価格に対して、仕入れコストが上昇途上であったため、利幅が広がりましたが、当連結会計年度では仕入れコストがさらに上昇する中で、販売市況は高値が続いたことから需要が弱まり、一部商品で軟調に転じたことから利幅が縮小し、減益となりました。
石油・化成品事業の売上高は前連結会計年度に比べ9.0%減の240,695百万円、セグメント利益は12.0%減の2,164百万円となりました。原油価格はOPECの協調減産などにより緩やかな上昇基調を維持し、石油製品の販売価格も元売りの価格政策により、上昇基調にありましたが、元売り業界の再編の影響から、従来、商社が取り扱ってきたスポット取引や元売り間の需給調整取引市場が大きく縮小し、取扱量を落とした結果、減収となりました。また、利益面でも石油販売数量の減少による収益低下に加え、前連結会計年度はレジ袋などの輸入化成品雑貨類がコスト低下により採算が良く、利益を押し上げましたが、当連結会計年度では利幅が平準化したことも、利益を引き下げました。
海外販売子会社の売上高は前連結会計年度に比べ27.2%増の221,678百万円、セグメント利益は383.4%増(約4.8倍)の950百万円となりました。シンガポールに舶用石油の商権を移管したことからシンガポールの石油製品の取扱いが増加した他、タイやシンガポールでの非鉄金属スクラップ類やインドネシアや米国での鋼材販売が増加したことも売上高を押し上げました。また、利益面ではシンガポールやインドネシアでの売上高の増加に伴う利益増加が寄与し、増益となりました。
その他の事業の売上高は前連結会計年度に比べ4.9%増の76,598百万円、セグメント利益は54.7%減の691百万円となりました。木材事業では住宅メーカー向けの直需取引を増やし、売上規模を拡大していますが、利益面では為替変動の影響などからコスト増となり、減益となりました。また、機械事業では前連結会計年度ではレジャー機械の完工収入が利益に貢献しましたが、当連結会計年度では完工がなかったことから減収減益となりました。