訂正有価証券報告書-第67期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2016/04/14 16:04
【資料】
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【項目】
108項目

対処すべき課題

水産物卸売市場業界は、世界的な水産資源の減少と資源保全のための漁獲規制の強化などによって供給量が減少し、欧米を中心とした需要増により生産価格の上昇が続いております。加えて、政府・日銀の経済金融政策を背景にした円安の影響でわが国では輸入水産物の調達コストが上昇、国産水産物も不安定な水揚げの影響を受けて単価の上昇が続いております。他方、産地直送の増加などにより水産物の市場経由率が低下し、いわゆる市場外流通がますます増加しており、市場内だけに止まらず市場外との販売競争が激しさを増しております。また、少子高齢化に加え近年は単身生活者の増加により消費構造が急速に変化、これに対応するため量販店、外食産業とも流通、加工、販売の各段階で改革、改善を急いでおり、当社グループを取り巻く経営環境は厳しさを増してきております。
このような状況の中、当社グループは主力の水産物卸売事業を中心にグループ各社が持つ冷蔵保管、リテールサポート、物流・在庫管理等の各機能を有機的に結び付け、そのシナジーを最大限に発揮できるよう事業構築を進めてまいりました。今後も、当社グループの得意分野である生鮮水産物の集荷販売をさらに拡充させるとともに、卸売市場における公共的使命を担う企業として食の安全・安心の重要性を従来にも増して強く認識し、消費者が安心して食することのできる安全な商品の取り扱いに最大限の注力をしてまいる所存です。
さらに、品質管理委員による一層の品質管理の向上、債権管理強化等による健全な財務体質の構築、商品の適正在庫量の管理強化、物流費等のコスト削減、顧客ニーズに対応した新商品開発、グループ内人員配置の適正化、グループ会社間の連携による拡販などに意を用いてまいります。
このほか、平成28年3月に完成予定の豊洲新市場の建設が平成26年度から本格化いたしますが、閉鎖型、高床式、多層階になる新市場での物流費のコストアップを抑えるため、築地市場とは違ったシステム化、協業化などより一層の工夫が必要となります。豊洲新市場の開場が迫るなかで、当社グループを挙げて物流の効率化に向け英知を結集するとともに、市場内同業各社との協力を強化してまいる所存であります。
また、従来から協力関係にありました東北地区、北海道地区における同業卸売会社との業務提携にも引き続き取り組み、当社グループを取り巻く経営環境の変化に対し迅速かつ着実に対処してまいりますとともに、東日本大震災からの復興を急ぐ三陸等の被災地における取引先との協力体制をさらに強固にしてまいりたいと存じます。
冷蔵倉庫事業におきましては、平成26年1月に千葉県市川市に完成した物流・流通センターおよび同年2月に中国大連市に完成した冷蔵倉庫の確実な運営体制と集荷体制を構築し、また、グループ会社との連携による保管から末端までのトータル物流サービスを担って着実な事業の拡充を図ってまいります。
不動産賃貸事業におきましては、現有賃貸物件のサービス向上やメンテナンス強化等によって稼働率を高めるとともに、荷役事業におきましては、築地市場における合理的な人員配置と効率的な荷役業務運営によって収益の確保を図り、また、関連業務のさらなる拡大に力を注いでまいります。
当社グループは、関連事業も含めて水産物卸売市場業界の中核として取引先各位に信頼され、社会から必要とされる企業グループとして努力してまいります。