有価証券報告書-第66期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/27 12:39
【資料】
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【項目】
120項目

対処すべき課題


<内部統制等について>当社グループでは会社法の規定に基づき、「内部統制システムに関する基本方針」を定め、誠実な業務の履行にグループ全体で取り組んでおります。特にコンプライアンスおよびリスク管理については、グループ・コンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、定期的に会合を開催しております。この委員会では、コンプライアンスを社内で推進するための対策を検討し、特に薬事法、独占禁止法および景品表示法(医療用医薬品卸売業公正競争規約)に関する法規等を、平成23年4月に制定した「共創未来グループ倫理綱領」において重要関連法規と定め、遵法活動を最優先事項とし、さらなる徹底を図っております。また、平成20年度より、金融商品取引法に定められた「財務報告に係る内部統制」が適用され、全社的な内部統制の有効性に関する評価を行い、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定し、当該業務プロセスについても内部統制の有効性に関する評価を行っており、引き続き内部統制の有効性の維持管理に努めてまいります。
<財務基盤について>財務面におきましては、今後とも収益重視の販売方針を堅持するなか、利益蓄積による純資産の充実を進め、財務体質の強化と自己資本の充実を図ってまいります。有利子負債依存度も低く、資金繰りは良好であります。平成26年3月末では、売上債権回転月数(6ヶ月平均)2.65ヶ月、商品回転月数(6ヶ月平均)0.80ヶ月となりました。今後も効率化推進に努め、売上債権回転月数(6ヶ月平均)2.50ヶ月、商品回転月数(6ヶ月平均)については災害対応のための営業所在庫も考慮し、0.65ヶ月の目標に挑戦いたします。
<事業継続計画について>東日本大震災の経験を踏まえ、停電対策として非常電源設備(発電機を含む)設置拠点の増強、24時間温度維持が可能な保冷コンテナの配備等を進める一方、基幹システムおよび周辺システムの完全二重化を実施しております。今後も営業情報システムの二重化等、種々の災害対策を実施してまいります。
また、本年3月には200メートル級の超高層建物における最高レベルの耐震性能があり、災害時にも48時間の自家発電機を設置しているグラントウキョウサウスタワー(東京都千代田区)へ本社機能の一部を集約いたしました。
<地球環境保全活動について>当社グループでは、東邦ホールディングス株式会社と東邦薬品株式会社を中心にして「地球環境保全活動」に積極的に取り組んでおります。
平成23年度から、国の緊急節電対策を受け、グループ全社規模で節電対策を展開いたしました。電力の需給問題が不安定な状況が続くことから、平成26年度におきましても、国民運動規模の緊急節電対策が展開されることが想定されます。
当社グループにおきましては、単なる節電に留まることなく、生産性の向上とエネルギーの合理的な使用を両立させる省エネ活動を推進してまいります。
《 医 薬 品 卸 売 事 業 部 門 》
<流通改善の推進について>平成24年3月に日本医薬品卸業連合会が発表した医療機関との取り引きについての声明を受け、未妥結・仮納入、総価取引、薬価差問題の是正、契約条件の事前明示と覚書による確認について、グループ全体で取り組んでおります。
また、平成22年4月より試行的に導入された「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」を主とする新薬価制度は、特許期間中の新薬の薬価を保護する一方で、新薬や未承認薬の開発を患者様目線で促すことが目的であり、医療機関の理解をいただきながら医薬品個々の価値に応じた価格形成を目指し、その定着に最大限の努力を傾注してまいります。
当社グループといたしましては、引き続き国民の視点に立った医薬品流通を確立し、医薬品卸としての存在価値を高めるべく、流通改善に取り組んでまいります。
<共創未来グループについて>東邦薬品株式会社を核とする共創未来グループは、売上高1兆円超のプレゼンスを有し、仕入れ・物流・基幹システム等の共同化を実現しております。また、完全子会社の東邦薬品株式会社を中心とした事業運営・管理体制としております。グループ経営資源の全体最適化と企業価値の最大化を図り、変化の激しい経営環境に対して迅速に対応していくことを目的として、平成25年7月1日付で、小泉薬品株式会社、平成25年10月1日付で、本間東邦株式会社、小川東邦株式会社、株式会社須江薬品、山口東邦株式会社と東邦薬品株式会社との事業統合を行いました。また、平成26年1月1日付で、沖縄東邦株式会社と沖繩沢井薬品株式会社との事業統合を行いました。
<葦の会について>葦の会につきましては、従来より積極的に共同販促を行いアローアンス(販促報奨金)を獲得するとともに、新たな卸機能の共同開発に向けた取り組みと協議を継続的に進めております。
<新たなビジネスモデルと業態開発に向けた取り組みについて>「全ては健康を願う人々のために」をコーポレートスローガンとする当社グループは、医療・医薬品を通じて国民の健康に奉仕する責務を負っております。社会構造が大きく変化し、高齢化や医療環境の変化に伴うニーズの多様化に応じた、新たな機能・サービスの在り方も追求する必要があります。「地域完結型医療」へと大きくシフトしようとしているなか、医師や看護師、ケアマネジャー、薬局・薬剤師等との多職種連携のもとでの地域医療・介護の充実に「医療材料の分割販売(サービス名:ENIFme)」を通じて貢献したいと考えております。一方、薬局業務におきましては、地域の医療・健康情報の発信拠点としての位置付けが明確になりました。当社は患者様や消費者が必要な薬を確実に手に入れることができるように、インターネット上で一般用医薬品を予約し調剤薬局で受け取ることができるウェブサイト「e健康ショップ」を展開しており、インターネットの利便性を生かしながら薬剤師の適正な服薬指導を受けることができるモデルとして、真の「かかりつけ薬局」の実現に貢献したいと考えております。
また、スペシャリティ医薬品は、希少疾患等の専門領域に特化した取り扱いの難しい薬剤が多くなるため、その流通にあたっては医薬品卸として、それぞれの製品の価値を実現し最大化すべく、新たな役割や機能が求められております。平成25年4月に設立した「オーファントラストジャパン株式会社」は、今後予想されるこうした市場環境の変化を背景に、これまで医薬品卸売事業で培ってきたスペシャリティ医薬品の一部独占販売のノウハウを生かした取り組みを行っております。
また、海外事業の取り組みとして、中国大手の医薬品・医療機器卸である「九州通医薬集団股份有限公司」(本社:中国湖北省武漢市)と、中国国内の病院・診療所、薬局に対し、日本および海外メーカー製品を中心とした医薬品・医療機器、健康食品・健康器具等の卸売りを主な事業とする合弁会社「湖北共創医薬有限公司」(本社:中国湖北省武漢市)を設立し、事業を展開しております。
<収益性について>共創未来グループのスケールメリットや経費低減への取り組みは同業他社のグループ化による水準を上回る状況に達しているものと判断しております。今後も、売上高総利益率の最大限確保に向けた取り組みや販管費率のさらなる低減のほか、国内市場での売上拡大が見込まれる新製品への取組強化や重点メーカーとの取引拡大、当社独占販売メーカーの取組強化などにより、得意先との連携強化を図ってまいります。また、次世代型卸機能の開発等に努め、新たな収益源としてのフィービジネスの開発、コンサルテーション機能の収益化に取り組んでまいります。
<事業インフラの一元化について>事業インフラの一元化につきましては、業務効率の改善と間接業務のコストの削減を行い、生産性アップを図るために、財務経理システム、人事給与システムを統一し、グループ各社の一般事務の集約・見直しによる標準化を推進してまいります。
<物流機能について>当社グループは、医薬品卸としての果たすべき使命を「安心、安全の医薬品流通の実現」と考えております。今後の取扱高の伸長や顧客への直送体制の拡大に対応すべく、トレーサビリティの一層の充実と東日本大震災を教訓とした災害対策を考慮した「TBC阪神」(兵庫県伊丹市)が昨年7月に、「TBC札幌」(北海道札幌市)が昨年10月に稼働いたしました。また、最先端の技術やロボットの採用により、過去に例のない自動化と効率化を進め、物流業務の人員削減と出荷精度「セブン9(=99.99999%)」を可能にした「TBC埼玉」(埼玉県久喜市)が昨年12月に稼働いたしました。全ての物流センターにおいて製造番号(ロット)と有効期限に基づくオートロケーション管理を実現し、倉庫内作業の省人化・効率化を図るためのロボット導入など物流設備のイノベーションを図ることにより、新たな保管ならびに配送システムを構築しております。ホストコンピューターおよび倉庫内管理システムの二重化、無停電装置の設置や定期的な災害訓練の実施等により、災害時にも医薬品を安定供給できる体制も整えております。
また、昨年7月には岩手県北上市に東北地区の物流機能の再構築のための用地を取得し、平成27年度の稼働を予定しております。
<営業スタイルの革新について>当社グループでは、卸機能強化の観点から、MS(医薬品卸の営業担当者)によるディテール活動に関する情報を迅速にきめ細かくMR(製薬メーカーの医薬情報担当者)に提供するため、メーカーとの情報交換システムの構築を図りました。 MSを支援する携帯端末「Meissa」(スマートフォン)から音声認識を活用して医師の反応等の報告を入力することにより、タイムリーかつ高品質な情報提供と、帰社後の内勤業務の削減を実現しております。
また、顧客支援を主とする提案型営業と医薬品プロモーションの両面を引き続き推進すると同時に、東京・西日本・札幌の3カ所のコールセンターでは、お得意先からの注文の処理や色々な商品に関する様々な問い合わせ、ドラッグインフォメーション、お得意先の要望や依頼等に対応しております。音声自動認識システムと CTI(Computer Telephony Integration)による応対品質の向上を図りました。さらに新ワークフローシステムによるコールセンターへの内勤業務の集約により効率化とサービスレベルの向上を図ってまいります。また、物流センターからの納品体制の見直し等による「営業と物流の一体改革」を主要な施策とする大胆な構造改革を強力に推進し、さらなる生産性の向上を追求してまいります。
<顧客支援システムについて>当社は徹底した顧客視点、患者様視点により、同業他社にはない独創的な発想で自社開発した顧客支援システムにより、医療機関の様々な経営課題の解決や一般消費者の利便性の追求にチャレンジしております。有料サービスとして展開する「ENIF(携帯型情報端末で受注や情報検索ができる双方向システム)」や「ENIファーマシー(医薬分業支援システム)」、「LXMATE-HeLios(診療予約システム)」、診療所における新患獲得のための「初診受付予約サービス」、「ENIFvoiceSP(音声認識薬歴作成支援システム)」、「ENIFwin Nex-Sus(統合型院内物流在庫管理システム)」、「ENIFme(医療材料分割販売)」等、当社グループの顧客支援システムは、その多彩な機能や利便性から当連結会計年度も普及が進んでおります。これらのシステムが浸透度を増していくにつれて、同業他社との差別化や取引安定化、事業効率化に資することが期待されます。サービスのさらなる改良と普及および新たなソリューションの開発については、今後においても営業戦略上の重要な課題であります。当連結会計年度においては、レセコン・電子薬歴一体型システム(製品名:ENI-Pharma)、レセコン連動型調剤POSシステム(製品名:ENI-POS)、薬局業務一元管理本部システム(製品名:ENIF本部)、在宅業務管理システム(製品名:在宅ENIF)の構成からなる「調剤ENI-Pharmaシリーズ」の販売を本格的に開始いたしました。レセコン・POS・在庫管理・在宅等、異なるシステムのネットワーク化を実現した低コストで高品質なシステムとして、高い評価をいただいております。
《 調 剤 薬 局 事 業 部 門 》
<調剤薬局事業について>当社グループでは、地域における「かかりつけ薬局」「健康づくり薬局」の育成と健全な経営を、独自の顧客支援システムを含めた営業力で全面的にサポートする一方、調剤薬局との垂直協業の具体的な展開においても、基本理念である「共創未来」の精神に立脚し、調剤薬局と処方元と患者様のつながりを大切にする機能型の新しいソフトアライアンスモデルを追求し、長期的な視野で安定収益事業に育成してまいります。今後グループ各社の管理業務の集約化等により、コストダウンを図りながら調剤薬局事業における全体最適の実現を目指してまいります。
また、地域医療において独立経営での存続を考える中堅中小の調剤薬局を支援するものとして、「薬局共創未来研究会」を立ち上げております。「薬局共創未来研究会」では、個々の薬局では対応困難な課題である5つの委員会(薬局機能強化・研修・商品開発・在宅支援・総務)や、エリアセミナーを定期的に開催し、問題・課題の解決を支援する取り組みを行っております。
<未来創研について>平成26年4月1日に、医療・医薬品流通・保険薬局等に関する調査・研究を通じ、これを踏まえた政策提言を行い、医療の在り方・医薬品流通業・保険薬局の果たすべき役割を明確にすることにより、医療と社会福祉に寄与することを目的とした外部有識者による「未来創研」(総研&シンクタンク)を設立いたしました。