訂正有価証券報告書-第53期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2016/10/28 16:17
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当社グループは、「最先端の技術と確かなサービスで、夢のある社会の発展に貢献します」という基本理念のもと、技術革新の激しいエレクトロニクス産業のなかで、半導体及びFPD製造装置のリーディングサプライヤーとして、ビジネスを積極的に展開しております。
① 長期的な経営方針
当社グループは、技術専門商社からスタートし、開発製造機能を持つメーカーへの移行、グローバルな販売・サポート体制の構築など、環境の変化をいち早く捉え、大胆に自らを変えて適応していくことにより、世界の市場に高い付加価値を提供してまいりました。また、当社は、半導体製造装置やその関連分野など、技術革新が新たな価値を生み、かつ高収益を期待できる事業分野において、独創的な技術で時代をリードすることにより成長を続けてきました。
当社の原動力は、創立時から継承されている徹底した顧客第一主義、技術革新を実現できる高い技術力、そして環境変化に柔軟かつ迅速に対応できる社員のチャレンジ精神です。
今後も技術革新による価値創出が見込まれる既存の事業分野を含め、エレクトロニクス技術を基盤とした成長分野において、当社で培った最先端技術を応用して事業創出に取り組み、ワールドクラスの高収益企業を目指してまいります。
② 中期経営計画
当社は、産業界と社会への貢献を通じ、利益を得て、企業価値を向上させることにより、「当社を信頼して投資していただいた株主の皆さまへの還元」と「社員とその家族を豊かにすること」ができると考えております。そのための具体的な成果目標として、当社は平成27年7月10日に、平成32年3月期までの中期経営計画を公表いたしました。
中期ビジョン
革新的な技術力と、多様なテクノロジーを融合する独創的な提案力で、半導体産業とFPD産業に高い付加価値と利益を生み出す真のグローバルカンパニー
ファイナンシャルモデル
半導体前工程製造装置の市場規模370億米ドルを前提とする、新たなファイナンシャルモデルを設定し、平成32年3月期までに達成することを目標としています。
半導体前工程製造装置市場規模370億米ドル
売上高9,000億円
営業利益率25%
ROE(自己資本利益率)20%

なお、半導体業界特有の景気循環変動の大きい市場特性に鑑み、仮に市場規模を300億米ドルとした場合においても、売上高7,200億円、営業利益率20%、ROE15%を達成できる経営体質を築いてまいります。
中期経営計画実現のための課題
IoT時代を近未来に迎え、半導体の需要は今後益々高まると考えられます。他方、半導体の微細化は10ナノメートル以下の領域に入ろうとしておりますが、これは原子を数十個並べた程度の大きさに相当し、まさに究極の微細加工領域への挑戦を意味します。半導体技術は変換点を迎えていると言われていますが、半導体デバイスの性能向上への要求は止まりません。これからも当社グループは、更なる微細加工技術を追求するとともに、新構造や新材料技術の導入、新たなパッケージ技術などの研究開発を同時進行的に進めます。顧客の技術要求水準が高くなることは、多様な技術を保有する当社グループにとって、事業拡大のチャンスです。今後益々、製造装置メーカーとしての当社の総合力が必要とされる時代になっていくことから、当社グループの持てる力を結集し、顧客に対して革新的なソリューションを提案できる技術集団として、業界を牽引していきたいと考えております。
このような状況のもと、新生東京エレクトロンは、半導体製造装置事業及びFPD製造装置事業に集中し、次に掲げる3つの強化項目に取り組んでおります。
3つの強化項目
・製品競争力強化
・顧客対応力強化
・利益体質強化

顧客の最先端技術ニーズに応えるためには、強い次世代製品を継続的に創出することが肝要と考えております。製品ごとに構成するビジネスユニットを基軸にしていた開発部隊を、開発・生産本部長の元に集約、一元化することにより、個々の工場、ビジネスユニットが持つ多様な技術を結集し、開発力・技術提案力を高めます。また、この一元化は、開発加速が必要なエリアへ重点的に人材を投入するなど、開発費とリソースの最適化や、新規製品の投入検討等、エンジニアが能力をいかんなく発揮できる機会の増加につながり、成長を実現することができると考えます。
また、顧客の寡占化が進行するなかで、顧客ごとに営業と技術それぞれの総合窓口を設けました。顧客とのコミュニケーションの密度を上げることで、顧客対応のスピードと精度を高めます。また、コミュニケーションの充実は市場環境変化や真の顧客ニーズへの理解を深めることにつながります。それを当社の開発戦略へ落とし込むことにより、顧客の期待以上のものを提案・提供する「顧客ニーズ創造型企業」を目指します。これらにより、とくに今後大きな市場成長及び当社製品による付加価値の増大が見込まれる分野であるエッチング、成膜、塗布・洗浄事業における、シェアと利益の拡大に努めます。
さらに、IoT時代を迎えると半導体用途が大幅に拡がり、汎用デバイスの需要も飛躍的に拡大すると考えられます。このような環境下においては、当社グループが持つ世界最大の納入済み装置実績は、フィールドソリューション事業の基盤となり、改造、パーツ、認定中古装置などの販売促進につながることが期待できます。
以上のような事業の成長計画の実現に取り組む一方で、ITシステムを強化し、ヒト・モノ・カネのリソースや、事業進捗の一元管理を進め、あらゆるリソースの重複や無駄を排除します。また、投資と抑制、効率化など、メリハリをつけてコントロールすることで、グローバル水準の収益力獲得を目指します。
当社グループは、社員がワクワクして躍動する夢と活力のある会社を目指しています。半導体製造装置及びFPD製造装置事業において、革新的新製品を継続的に創出すべく、成長に向けて新たなチャレンジを続けることができる会社、そして成果が出た際は公正な報酬を得ることができること、これが夢と活力のある会社の姿であると考えています。その実現のための基盤として、国境を問わない流動的な人材活用を実現し、職責と役割に応じた新しい報酬制度を構築します。
③ 資本政策の基本的な方針
上述の経営戦略や経営計画を踏まえ、資本政策の基本方針について、当社グループは以下のように考えております。
資本効率についての考え方
成長投資に必要な資金を確保しつつ、適切なバランスシート・マネジメントに基づき積極的な株主還元に努めてまいります。また、上述の中期経営計画に掲げるファイナンシャルモデルの実現に向け、主として営業利益率、総資産回転率を重視し、ROE(自己資本利益率)の向上を図ります。
株主還元策
・当社の配当政策は、業績連動型を基本とし、親会社株主に帰属する当期純利益に対する配当性向50%を目処とします。ただし、一株当たりの年間配当金は150円※を下回らないこととします。
2期連続で当期利益を生まなかった場合は、配当金の見直しを検討します。

・自己株式の取得については、機動的に実施を検討します。
④ 企業の社会的責任としての取り組み
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値を創出することが、株主及び顧客、取引先、地域社会をはじめとするステークホルダーに対する社会的責任であると考え、平成25年に制定したCSR方針のもと、専任組織を中心に重点課題を設定し、進捗のモニタリングを実施しております。
また、当社グループは、平成27年6月に電子産業サプライチェーンの労働・安全・環境・倫理の行動規範を定めるCSRアライアンスであるEICC®(Electronic Industry Citizenship Coalition®)に加盟しました。EICC®加盟にあたり、改めて当社グループ内への同規範の積極的な展開と浸透を目指すとともに、取引先と共同で業界全体のCSRを推進していきます。
加えて、当社グループでは、顧客工場における製品使用時の環境負荷を低減すべく、製品の省エネルギー化に取り組んでいます。平成26年度には今後5年間でエネルギー及び純水の使用量を10%削減するという目標を設定し、削減に努めております。
当社グループは、革新的な技術力と多様なテクノロジーを融合する独創的な提案力で、半導体産業とFPD産業に高い付加価値を生み出してまいります。その結果として顧客から世界ナンバーワンの評価を受け、株主や社員をはじめとする全てのステークホルダーに還元し、産業界に貢献していきたいと考えております。