有価証券報告書-第58期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/26 11:19
【資料】
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【項目】
140項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
宝飾品を通じて、人類の高い文化生活に貢献するために、広く世界に市場を求め、人間性豊かな理想の会社を築き、永遠の繁栄を図ることを経営の理念としております。
また、社業を通じて、株主・取引先・社員の最大多数の最大幸福の実現を目指し、社員一人一人が誠実に働くことを経営の基本方針としております。
(2)目標とする経営指標
グループ内事業部門単位別損益管理制度のもと、常に収益力、キャッシュ・フローの改善、資産の効率運用を第一義的に考えており、効率性を計る指標としてROA(総資産経常利益率)を重視しております。
(3)経営環境
現在の経済環境としては、地震や豪雨など自然災害のリスクへの懸念が高まるなか、企業収益の改善による設備投資や個人消費の改善などにより、景気は緩やかに拡大しました。しかしながら、世界的な貿易摩擦や地政学リスクへの懸念や、それに伴う不安定な株式市場、消費税率引き上げに対する心理的影響など、先行きは依然不透明な状況にあります。
当社グループのおかれたジュエリー業界では、高額品の売上やインバウンド売上等による堅調な販売動向がみられるものの、購買行動の多様化もあり全体としては消費者の節約志向が続いており、国内市場規模の停滞、海外ブランドとの競争激化、国内有力ブランドとの市場シェア争い、ECビジネスとリアル店舗の競争に係る取引先小売業の衰退などの脅威要因が考えられますが、一方で事業継承問題等によるM&A機会の増加など、当社グループにとっては成長の機会も存在しております。
この様な環境の中、グループ売上高については、現在の規模を維持しつつ、収益力の回復および企業基盤の再構築に努めることを目標とした当連結会計年度を終え、将来性のある販売チャネルや商品ブランドに対し重点的に経営資源を投入する「選択と集中」方針を引き続き維持し、収益性や社員の生産性を高め、各経営指標を改善し、財務基盤の安定化とキャッシュ・フローを重視した経営を行ってまいります。
(4)経営戦略
グループ経営ビジョン
(ⅰ)事業規模の維持と収益力の向上による新規事業の育成
既存の事業部門については、事業規模の拡大よりも収益力の向上を重視し、生み出したキャッシュ・フローでの新規事業の育成を目指す。グループ各社に求められる役割の明確化とグループ内での補完関係を強化し、相乗効果が発揮できるグループ企業群としての収益性向上を目指す。
(ⅱ)差別化戦略による競争優位性の確立
グループ会社の既存事業部門としての、宝飾店向け卸売事業、百貨店向け卸売事業、小売専業の子会社、地金系商材を中核とした宝飾品卸売事業会社、またOEM対応等メーカー機能を有する生産事業部門および生産事業会社、それぞれの特性、強みを活かし、各販売チャネルを通じて提供する商品ブランドやサービスの質的向上による差別化を促し、取引先や消費者から信頼・支持され、社会から必要とされる企業集団を目指す。
また、消費者購買行動の変化に対応し、それぞれの販売チャネルに対して独自性があり差別化できる自社ブランド群の再構築に取り組み、業界競合環境の中での競争優位性を確固たるものとする。
(ⅲ)景気変動に左右されない強い収益基盤の確立
・グループ会社全社が経常利益の黒字を確保するため、グループ会社各社がそれぞれの収益性指標ならび生産性指標を定め、各社の特性・強みを活かした営業戦略を確実に実行する。
・「選択と集中」の考え方を基軸とし、生産性の向上、ローコストオペレーションを目指した業務改革を実施し、収益基盤の安定化再構築を図る。
(ⅳ)働き甲斐のある企業グループに変容
働き方に対する社会の考え方の変化や、人材市場の現状に適合する労働環境、新たな人事制度を整備し、かつ過去10年間で大きく変容した当社グループの業容にマッチするHRMを実践することにより、従業員にとって、満足感・公平感が高く、働き甲斐があり、ロイヤリティの高い企業集団となることを目指す。
(5)会社の対処すべき課題
次期の見通しにつきましては、国内では消費税増税といった大きな経済環境の変化があるなか、ジュエリー業界の市場環境は、富裕層の堅調な消費動向の一方で、中間層の節約志向や消費の多様化によって依然として全体的な消費者の節約志向が想定されます。
この様な状況を踏まえ、新商品の充実、百貨店等の店舗ごとに富裕層向け商品展開、事業提携先との取引深耕、東京オリンピック関連商品の取扱等により、事業規模・収益の増強を図ります。また、当社の製造能力の増進により、OEM(Original Equipment Manufacturing)販売の強化、その他販売商品の内製化を広げることで収益力の強化を進めてまいります。