有価証券報告書-第30期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/24 11:36
【資料】
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【項目】
114項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月24日)現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準により作成されております。
連結財務諸表の作成に際し経営者が採用した会計基準や、資産・負債及び収益・費用の計上並びに開示に影響を与える見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性により、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
①売上高
当連結会計年度の売上高は312億43百万円となり、前連結会計年度に比べ18.0%増加しました。
このうち、設計開発ソリューション事業は、米国ケイデンス社製半導体設計用(EDA)ソフトウェアについて、長期契約の更新や既存顧客の需要増により概ね好調に推移いたしました。自社製CPUボード等の組込み製品は、インフラ向けの受注増等により好調に推移いたしました。また、ガイオ・テクノロジー株式会社の組込みソフト検証ツール及びエンジニアリングサービスは、自動車メーカー向けを中心に引き続き堅調に推移いたしました。一方、三栄ハイテックス株式会社のLSI設計受託ビジネスは、顧客開発スケジュールの遅れに伴い稼働率が一時的に落ち込んだ影響などにより収益性がやや低下いたしました。アイティアクセス株式会社は、受託開発は振るわなかったものの、組込みソフトウェアのライセンス販売が売上に貢献いたしました。
その結果、当事業の売上高は174億72百万円となり、前連結会計年度に比べ5.3%増加しました。
一方、プロダクトソリューション事業は、自社製テストシステムについて、引き続き海外向け出荷が一服しているものの、国内向けは従来のメモリー向けの他、イメージセンサー向けテスターの出荷が加わり好調に推移いたしました。ハードディスク部門・デバイス部門においては、OA市場やテレビ市場向けの受注回復等により堅調に推移いたしましたが、高画質デジタル機器対応チップの取引終息により売上高は減少いたしました。また、STAr Technologies, Inc.は信頼性試験装置が売上に寄与いたしました。
その結果、当事業の売上高は137億70百万円となり、前連結会計年度に比べ39.3%増加しました。
②売上原価、販売費及び一般管理費
EDAソフトウェアや自社製CPUボード等の組込み製品、組込みソフト検証ツール、自社製テストシステムが好調だったこと等により利益率が改善し、売上高に対する売上原価の比率は74.5%と、前連結会計年度に比べ1.5ポイント減少しました。また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ23.4%増加し、69億45百万円となりました。これは主に、のれん償却額の増加や、新規に連結子会社が増加したことなどによるものであります。
この結果、当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度に比べ40.0%増加し、10億12百万円となりました。
③営業外損益
当連結会計年度の不動産賃貸料は、テナントの入居率をほぼ維持できたことから4億36百万円となり、前連結会計年度に比べ1.5%増加しました。一方、不動産賃貸費用は前連結会計年度に比べ2.4%増加して3億25百万円となっております。
この結果、当連結会計年度の経常利益は前連結会計年度に比べ23.9%増加し、11億62百万円となりました。
④特別損益
当連結会計年度の特別利益は前連結会計年度に比べ517.7%増加し、52百万円となりました。これは主に、ギガヘルツテクノロジー株式会社を完全子会社化したことに伴い段階取得に係る差益を計上したことなどによるものであります。一方、特別損失は前連結会計年度に比べ91.6%減少し、7百万円となりました。これは主に、前連結会計年度に計上した段階取得に係る差損がなくなったことなどによるものであります。
この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ40.6%増加し、12億7百万円となりました。
⑤法人税等
当連結会計年度の法人税等は前連結会計年度に比べ41.3%増加し、4億44百万円となりました。
この結果、当期純利益は前連結会計年度に比べ40.2%増加し、7億62百万円となりました。
また、法人税等の税金等調整前当期純利益に対する比率は36.8%となり、前連結会計年度に比べ0.2ポイント増加しました。
⑥非支配株主に帰属する当期純損益
当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は22百万円(前連結会計年度は8百万円の非支配株主に帰属する当期純損失)となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ33.8%増加し、7億40百万円となりました。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、160億34百万円となり、前連結会計年度末に比べ89百万円減少しました。これは主に、現金及び預金が増加したものの、受取手形及び売掛金や商品及び製品が減少したためであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、137億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億7百万円減少しました。これは主に、有形固定資産の売却や減価償却等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、52億42百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億23百万円減少しました。これは主に、支払手形及び買掛金が減少したためであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、5億28百万円となり、前連結会計年度末に比べ49百万円減少しました。これは主に、役員退職慰労引当金が減少したためであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、240億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億75百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が増加したためであります。この結果、自己資本比率は78.8%となり、前連結会計年度末に比べ1.3ポイント上昇しております。
②キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載しております。
③財政政策
当社グループの運転資金につきましては、まず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を使用し、不足分について金融機関からの借入などによる調達を実施することとしております。長期借入金や社債などの長期資金の調達につきましては、金利動向などの調達環境を考慮の上、調達規模や調達手段を適宜判断して実施することとしております。
また、自己株式につきましては、財政状態や株価などの状況に応じ、取得について機動的に検討することとしております。
(4)経営戦略の現状と見通し
当社グループを取り巻く先端エレクトロニクス業界は、プロダクト・ライフサイクルが短く、かつ常に最先端プロダクトを求められ、安定した利益維持のためには市場ニーズを先取りした柔軟かつスピーディーな経営判断及び行動、長期的視野に立った経営資源の有効活用が必須のものとなっております。
当社グループは、欧米企業との幅広いネットワーク及び日本市場における強い販売力をベースにし、「設計開発ソリューション事業」、「プロダクトソリューション事業」の2つの事業を柱として事業拡大、成長を図ってまいりました。設計開発ソリューション事業に関しては、主要ベンダーとの関係強化を図りつつお客様への提案力やサポート力を高め、ユニークな自社製品の開発などにより、新規に成長性の高い市場の開拓を行ってまいります。プロダクトソリューション事業に関しては、当社グループの高いエンジニアリング力を活かした製品群を揃えることでお客様のニーズにワンストップで応え、需要を最大限に取込むことにより事業の拡大を目指してまいります。
当社グループは、中長期的な戦略としてソリューションベンダーへの転換を図ってまいります。EDAソフトウェアや半導体テスター、組込みソフトや自社製CPUボード等のビジネスで培った経験を活かし、半導体・エレクトロニクス業界のみならず、今後成長が見込める市場に対して様々なソリューションを提供してまいります。
また、今後はこうしたソリューションを、アジアを中心にグローバルに展開することを重要な経営戦略と位置づけております。そのためには、海外企業への販売やサービス提供が可能となる自社製品や自社独自のサービスを拡充していくことが必要であると認識しており、研究開発やM&A等を含め、より一層新規事業開発に注力してまいります。
当社グループは、これまで以上に連結グループとしての企業経営を意識した運営を行い、中長期的に株主をはじめとした関係の方々に対して様々な形で貢献させて頂くことを重視してまいります。