有価証券報告書-第70期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/28 14:11
【資料】
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【項目】
120項目

対処すべき課題

(1)当社グループの現状の認識について
当社グループは住宅建築資材の流通業を主要事業とし、「快適で豊かな住環境の創造」という企業理念の下、より良い住宅資材を、適正価格で、お客様の要望される場所にお届けすることを目標に、営業活動を展開しております。
また、単にモノを販売するだけでなく、お客様に経営のノウハウを提供することで、お客様との共存共栄を図る仕組みづくりにも取り組んでおります。
このため、合併や子会社化を通じたグループの拡充・強化策を推進し、建築資材の安定供給企業としての信用力向上に努めてまいりました。
この結果、グループ企業数が増加したことから、グループの経営管理体制を強化するため、平成18年10月1日をもって当社は純粋持株会社へ移行いたしました。
純粋持株会社である当社がグループの経営管理機能を一段と強化し、事業展開の判断の迅速化と経営の透明性の向上に努めるとともに、グループ各社が連携して高い総合力を発揮できる企業グループを形成し、株主価値の更なる向上を目指したグループ経営を推進してまいります。
(2)当面の対処すべき課題の内容
平成28年度のわが国経済は、足元は海外経済の減速などから回復感の乏しい展開が続くものの、米国経済の回復基調継続を受けた輸出の増加や、労働需給の逼迫を背景とした家計の所得環境の改善などから、年度後半以降景気は底堅さを増していくものと予想されます。
住宅関連業界におきましては人口減少という構造要因はあるものの、雇用や所得環境の改善、政府の住宅支援策の拡充、歴史的な低金利といった下支え要因により、本年度の新設住宅着工戸数は944千戸、持ち家着工戸数は303千戸と、それぞれ前年度実績を若干上回る水準を予想しております。
(3)対処方針
平成27年度をもって終了した前中期経営計画の成果と課題を踏まえて、平成28年度を初年度とする3カ年の新たな中期経営計画を策定いたしました。
今次中期経営計画は、住宅着工戸数は概ね前中期経営計画並みの数字が見込まれるものの、消費税再増税の帰趨など不確実な要因もある中、引き続き成長拡大路線を維持し、量質両面で着実にグループ全体の成長を図ることとし、以下の基本方針の下、グループの営業基盤拡充・強化に積極的に取り組むことといたしております。
①収益力の更なる向上:工事機能を強化し施工分野の機能と領域を拡大することやプライベートブランド商品の拡充など付加価値の高い事業を強化するほか、木質系非住宅やリフォームなど、今後拡大が見込まれる分野を積極的に開拓する。
②業界再編に向けた取り組みの強化:住宅市場の市場規模が縮小する中、建材及び住設機器全般に視野を広げ、業界再編に向けた取り組みを積極的に展開する。事業承継の急速な進展が予想される川下の建材小売業界に対しても、グループ内企業を受皿に商圏の引き継ぎを推進する。
③経営体質の強化:業種・業態、商圏等を軸に組織の最適化を志向する、海外拠点の位置付けを見直す、資産の有効活用を図る、財務体質を改善しつつ調達力を強化する、人材育成及び活用の高度化を図るなどの施策を通じてグループの機動力を高め、筋肉質な経営基盤を構築する。
(4)具体的な取り組み状況等
業容の維持・拡大と収益力の着実な向上を図るためには、お客様と緊密な関係を築き、お客様の多様なニーズに対応できる体制の構築が不可欠であるとの認識の下、以下の課題に取り組んでおります。
① 営業拠点網の整備・再編
お客様のニーズ(必要な物を、必要な時に、必要な場所に届けて欲しい)にきめ細かく対応できる営業拠点網の整備とともに、営業拠点毎の採算性を確保する観点から、ジャパン建材株式会社を中心に、グループ全体で営業拠点網の見直し等を実施し、適宜必要な対策を講じております。
平成27年度におきましては、ジャパン建材株式会社が所沢営業所を開設したほか、株式会社銘林が大阪出張所、株式会社ブルケン東日本が弘前出張所、株式会社ブルケン四国が高松営業所、株式会社ハウス・デポ・プラスが福島完成品センターをそれぞれ開設し、営業拠点網の充実・強化を図りました。
一方で、株式会社ブルケン東日本がいわき営業所、株式会社ハウス・デポ関東がリフォームひろばをそれぞれ閉鎖、また株式会社銘林の小田原営業所をグループ内の新いずみ建装株式会社に譲渡するなど、営業拠点網の効率化に向けた見直しも実施いたしました。
今後もジャパン建材株式会社とグループ各社の其々の営業所の再配置等、グループ間での営業拠点網の見直しを含めた営業拠点整備を検討してまいります。
② グループ企業の再編・子会社化
ここ数年、規模の拡大と効率化により収益力改善を図る観点からグループ各社の再編を進めておりますが、平成27年度におきましては、MD建材株式会社をジャパン建材株式会社に統合したほか、株式会社ジェイ・ハート及び有限会社瀬川木工をジャパン建材株式会社が、株式会社内山を株式会社ブルケン東日本がそれぞれ子会社化いたしました。
平成28年度におきましても、引き続き子会社群の統合・再編やM&A等による営業基盤強化策を検討してまいります。
③ 木質系非住宅市場への取り組み強化
再生可能で環境にやさしい資源である木材は、耐久性、意匠性などにも優れた自然素材として注目を集めてお
り、平成22年に施行された「公共建築物等木材利用促進法」では、国が率先して低層公共建築物の木造化を打ち出すなど、木造・木質化への機運が高まっております。
当社グループには、合板や構造用LVL(単板積層材)を製造する株式会社キーテック、構造用集成材の製造、加工、建築工事を行う秋田グルーラム株式会社、集成材、天井板を製造する株式会社宮盛、木材等の販売やエクステリア商品の販売、施工、造園工事、建築工事の設計、施工、管理を行う物林株式会社、合板、木材他建材全般の販売と木構造建築、施工請負を行うジャパン建材株式会社があり、これらの企業がJK木構造グループを形成し、集成材・LVLの製造、工場でのプレカット、木構造設計から施工管理までトータルにサポートする体制を構築しております。
今後、構造躯体の木質化とともに、鉄筋コンクリートや鉄骨造建築物の内装の木質化も推進し、非住宅市場における木質系建材の更なる活用促進を検討してまいります。
④ 新興国市場の開拓
輸入商材の調達並びに新たな販売市場開拓の両面から海外事業を展開しておりますが、新中期経営計画におきましては、海外拠点毎の個別最適化ではなく、グループ全体の最適化を図るために各海外拠点がどのような機能を発揮していくか、という観点から位置付けを見直します。
経済が好調な米国においては、米国内の販売を強化すべく経営資源を投入する方針です。一方中国では、組織の整理・統合等も含めたガバナンス強化策を講じてまいります。ロシアはシベリアでの営業活動を縮小し、最大市場であるモスクワへの進出を検討しております。台湾も台中に加えて最大都市である台北にも駐在員を配置し、販売体制を強化いたします。また、ベトナム、マレーシアは、グループ中核企業であるジャパン建材株式会社の国内販売部門とも協力し、現地メーカーからの資材調達機能を強化してまいります。
⑤ 合板製造・木材加工部門の収益力強化
合板製造・木材加工部門の中核企業であります株式会社キーテックは、LVL事業部は好調であったものの、合板事業部においては、輸入原材料価格が高騰する一方で製品価格が低迷し、厳しい事業展開を余儀なくされました。
このような状況を踏まえて合板事業部では、針葉樹製品の生産を増加させるべく設備投資を実施、LVL事業部においても加工工場のライン増設を検討しております。
また、構造用集成材の製造、加工、建築工事を行う秋田グルーラム株式会社におきましても、外注加工の内製化とより高度な加工能力確保を目指して、プレカット工場を建設中です。
⑥ 請負工事の受注拡大に向けた体制整備
近年、施工現場における職人不足問題が深刻化しており、水廻り商品を中心に施工込みでの商品提供ニーズが高まっております。このような状況に対応するため、ジャパン建材株式会社内にエンジニアリング課を設置し、社内の有資格者増加、連携施工業者の多能工化など人材の確保や体制の構築を図っております。
今後も、新規施工分野の拡大やリフォーム・リノベーション現場における一括請負の推進など、請負工事の受注拡大に向けた体制整備への取り組みを強化してまいります。