有価証券報告書-第29期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

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2014/06/13 10:13
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業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済財政政策への期待や平成32年東京オリンピック開催決定、また雇用・所得環境の持ち直しの兆しなどにより、消費マインドが大きく改善したことに加え、平成26年4月の消費税率引き上げ前の駆け込み需要により、個人消費を中心に景気回復の軌道に乗り始めました。
住宅市場におきましても、被災住宅の再建、金利・地価の先高感、消費税率引き上げ前の駆け込み需要などを背景に、平成25年度4-3月の新設住宅着工数は98万戸で前年同期比11%増、新設戸建木造持家着工数も29万戸で同13%増と、堅調に推移しました。一方、注文戸建住宅市場においては、消費税率据置きに関する経過措置の適用がなくなった平成25年10月以降、駆け込み需要の反動が顕在化し、受注において苦戦を強いられました。
このような状況の下、当社におきましては、中期経営計画「“異端でメジャー”ステージアップ5ヵ年計画」(“異端”の深化<=個性追求>による差別化戦略と“メジャー”の実現に向けた規模拡大戦略により、平成29年3月期に連結売上高180億円、営業利益率8%、ROE18%の実現を目指す)の2期目を迎え、「プロ集団化発進」(社員各々がプロ意識をもってプロ集団を形成し、より高い次元の付加価値を創出する)をスローガンに掲げ、全社一丸となって目標達成に向け邁進してまいりました。
まず、当連結会計年度における具体的取組みとして、BESSの家での暮らしには欠かせないウッドデッキライフや薪ストーブライフを提案し、期間限定のガジェット(ユニークな遊具や置物など)を用意するなどして、BESSブランドの“異端”を深化させるとともに、顧客の成約を後押しするフェアを順次開催しました。
一方の“メジャー”を目指すための重要施策である営業拠点の拡充につきましては、拠点の質を高めるべく、特約店(=比較的小規模な販売会社)制度を廃止する一方、販社資格基準を厳しくした関係で、平成26年3月31日時点の契約販社数は26社と前期末比1社減になりました。また、営業拠点数は39拠点(直営2、連結子会社の株式会社BESSパートナーズ<以下、BP社>2、販社35)で前期末比1拠点の増加に止まりましたが、これまで空白エリアであった首都圏や四国地方も出店が進み開設準備中の拠点を含めると45拠点となっております。営業員数は、成約稼動ベースで154名(前期末132名)と増加しましたが、目論見よりは進捗が遅れ気味となっております。
(連結業績の概要)
当連結会計年度における連結業績につきましては、増収増益となりました。
連結売上高におきましては、豊富な期首契約残高と上期の好調な契約獲得に加えて、平成25年1月にオープンした直営のBESS藤沢展示場(神奈川)が売上に貢献し始めたこともあり、過去最高の12,087百万円(前年同期比18.2%増)となりました。
また、利益面では、藤沢展示場の年間を通じた管理費負担や本社移転に伴う費用発生に加え、広報宣伝費や人件費等の先行費用の投下もありましたが、増収効果と販管費コントロールにより、連結営業利益は897百万円(前年同期比30.4%増)、経常利益は908百万円(前年同期比34.2%増)、当期純利益は576百万円(前年同期比45.5%増)と、いずれも過去最高額となりました。
一方、契約(受注)高におきましても、展示場来場者の増加と消費増税前の駆け込み需要を背景に、当連結会計年度は前期の過去最高を更新する11,676百万円(前年同期比11.9%増)となりました。この結果、契約(受注)残高は6,733百万円(前年同期比11.9%増)となりました。全国BESS展示場への新規来場者数は、26,567件(前年同期比14.8%増)と年間を通じて高水準に推移しましたが、下期にはこれを契約に結びつけられていないという課題が浮き彫りになりました。この状況を真摯に受けとめ今後は、集客を受注・契約に確実につなげるべく、商品・営業面を中心に、方策を実行してまいります。
(報告セグメントの業績概要)
当社グループの単一事業であるBESS事業は、暮らしのブランド『BESS』の下、“「住む」より「楽しむ」BESSの家”をスローガンに、個性的で楽しい暮らし方のデザインにまで踏み込んで開発した企画型住宅(=ログハウス等の自然派個性住宅)の提供を行っており、住宅引渡時点での顧客満足以上に、暮らしをスタートさせた後の顧客の「“ユーザー・ハピネス”の実現」を使命としています。
その業績概要については、以下の4つの報告セグメントに区分され、以下の通りであります。
(注)当連結会計年度から、より合理的な経営判断を行うために、セグメント利益計算上の営業費用負担、セグメント資産及び負債のグルーピングを変更しております。
以上の変更については、「第5 経理の状況」中、「1(1)連結財務諸表」の(セグメント情報等)に記載の通りであります。
① 直販部門
連結売上高の24.9%を占める直販部門は、東京・代官山の「BESSスクエア」及び平成25年1月にオープンした神奈川県「BESS藤沢」の直営展示場2拠点で、東京・神奈川圏を中心とする顧客との直接の工事元請契約に基づき、BESS企画型住宅等の提供を主要事業としております。
当連結会計年度におけるセグメント売上高は、豊富な期首契約残と上期の好調な契約獲得及びBESS藤沢展示場の貢献により、前期比29.3%増加の3,016百万円となり、セグメント利益は、前期比43.3%増加の285百万円となりました。
一方、セグメント契約(受注)高でも、BESS藤沢展示場での神奈川県央、湘南、西湘各地区の顧客開拓効果に加え、近年の取り組み(顧客の資金や土地制約等への対応など)の成果により、3,705百万円(前年同期比32.4%増)と伸長しました。
なお、BESS藤沢展示場は、エリア販売拠点であるとともに、全国の地区販社に対する現実的な経営モデルのプロトタイプとしての役割を担い、一方のBESSスクエアはブランド発信基地として全国展示場のフラッグシップの役割を強めてまいりました。
② 販社部門
連結売上高の60.7%を占める販社部門は、パートナーシップ(=フランチャイズ)契約に基づく全国の地区販社に対して、BESSブランドと販売システム等を提供するとともに、BESS企画型住宅のキット部材等を供給する事業を行っております。
当連結会計年度におけるセグメント売上高は8,020百万円(前年同期比13.5%増)、セグメント利益は1,578百万円(前年同期比11.3%増)となりました。
一方、セグメント契約(受注)高は、6,166百万円と前年同期比1.4%の増加にとどまりました。上期の好調な契約獲得があったものの、平成25年10月以降は消費税増税の駆け込み需要の反動等により契約が伸び悩みました。引き続き、集客の受け皿としてのFC体制(拠点数及び営業員数)の拡充に一層注力するとともに、課題となった職方不足等による納期・工期の長期化に対しても、部材プレカット化やパネル材の使用率アップ等の現場生産性の向上施策を推進することにより、納期・工期短縮に取り組んでまいります。
③ BP社
国内連結子会社であり、連結売上高の13.8%を占めるBP社は、経営不振に陥った販社の事業を引き継ぎ、札幌地区及び岐阜地区のBESS単独展示場を販売拠点として、顧客との直接の工事元請契約により、BESS企画型住宅等の提供を主要事業としております。
当連結会計年度においては、豊富な期首契約残と上期の好調な契約獲得を背景に、セグメント売上高は1,666百万円(前年同期比25.7%増)となり、セグメント利益でも前年同期比973.4%増加の25百万円と営業黒字を確保いたしました。売上の原資となるセグメント契約(受注)高においても、上期下期ともに、堅調に推移した結果、1,744百万円(前年同期比17.6%増)となりました。
④ 北米部門
連結売上高の0.6%を占める北米部門は、連結子会社BIG FOOT MANUFACTURING INC.(以下、BFM社)の保有するカナダ工場で、カントリーログハウスを主力とするキット部材を製造し、日本(北米部門売上高のうち当社との内部取引は90.4%)及び北米市場に供給しております。
当連結会計年度におけるセグメント売上高は、736百万円と前年同期比1.9%減少となりました。セグメント利益におきましては、販管費の圧縮により、6百万円の損失と前年同期11百万円の損失から若干改善しました。なお、平成25年10月から、BFM社とCNW社(米国連結子会社CNW Log Homes of America,Inc.)の経営体制を変更するとともに、これまでの北米販売の拡大からBFM社のログハウス工場としての強みを最大限引き出す方針に軌道修正しました。これに伴い、北米のマーケティング業務委託先CNW社を平成26年2月に解散するとともに、その他北米での販売活動を大幅に縮小し、販売費の圧縮を進めました。
(2)キャッシュ・フローの状況
連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、堅調な営業活動を反映し、3,096百万円となり、前連結会計年度末2,371百万円に対し725百万円の増加となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローは、799百万円の増加(前年同期は519百万円の減少)となりました。
これは、売上伸長に伴う営業債権増加281百万円(前年同期は205百万円の増加)、そして法人税等の支払216百万円(前年同期は397百万円)等の資金減少要因を、税金等調整前当期純利益908百万円(前年同期は672百万円)及び減価償却費165百万円(前年同期は137百万円)等による資金増加要因が上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、251百万円の減少(前年同期は555百万円の減少)となりました。
これは主に、新本社移転等に伴う差入保証金の差入による支出142百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、168百万円の増加(前年同期は174百万円の減少)となりました。
これは、長期借入金の返済による支出523百万円(前年同期は1,001百万円)、配当金の支払125百万円(前年同期は107百万円)等の資金減少要因を、長期借入による資金増加800百万円(前年同期は1,000百万円)等の資金増加要因が上回ったことによるものであります。