有価証券報告書-第98期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/21 16:48
【資料】
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【項目】
127項目

業績等の概要

(1) 業績
≪当連結会計年度の業績≫
金額(百万円)前期比(%)
売上高901,22198.4
営業利益22,54294.6
経常利益21,72594.2
親会社株主に帰属する当期純利益14,298101.7

当連結会計年度における当社グループの連結業績は、百貨店事業、食品事業の主力事業において、個人消費の減退に加えて、店舗再編による建て替え工事や店舗閉鎖等の影響もあり、売上高、営業利益、経常利益ともに前年割れとなりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は、3期連続で過去最高となりました。
中期計画の重点施策のひとつである「経営効率の向上」に向け、食品事業では組織再編を行い、生鮮・加工食品の共同調達や相互供給の拡大など再構築に取り組みました。また、「関西エリアにおける生活総合産業の構築」では、お買い物だけでなく、電車やバスなどの交通利用、観劇や野球観戦でも共通のポイントがたまるSポイントサービスを平成28年4月より開始し、その早期実現に向け、様々なインフラ整備も行ってきました。
百貨店事業は、前連結会計年度に引き続き、都市部の店舗における大規模改装を進め、ターゲットとする顧客層の需要を喚起しましたが、昨年の年明け以降に円高が進み、上半期において企業業績の悪化やインバウンド需要の落ち込みによる個人消費の減退があり、通期の売上高は前連結会計年度実績にわずかに及びませんでした。
一方、食品事業では、イズミヤが既存店の改装による営業力強化や建て替えに伴う店舗一時閉鎖を当初計画から前倒しして実施するとともに、阪急オアシスも既存店改装や新店出店などに取り組みました。こうした営業力の強化や、コスト構造の見直しなど、様々な取り組みを積極的に行った結果、売上高は最小限のマイナスに留めることができました。
それらの結果、当社グループの連結売上高は、901,221百万円、前期比98.4%、営業利益は、22,542百万円、前期比94.6%、経常利益は、21,725百万円、前期比94.2%となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、イズミヤのGMS店舗や堺 北花田阪急などの店舗等閉鎖損失として2,921百万円を計上しましたが、土地売却益など4,295百万円を特別利益に計上したことに加えて、繰延税金資産の計上額が増加したこともあり、14,298百万円、前期比101.7%となりました。
各セグメントの概況は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントを従来の「百貨店事業」、「スーパーマーケット事業」、「イズミヤ事業」、「その他事業」の4区分から、「百貨店事業」、「食品事業」、「不動産事業」、「その他事業」の4区分に変更しております。また、前連結会計年度実績につきましては、変更後の報告セグメント区分により作成することは困難なため、セグメント区分に変更がない「百貨店事業」を除くセグメントにつきましては前期比の記載をしておりません。
① 百貨店事業
≪百貨店事業の業績≫
金額(百万円)前期比(%)
売上高427,64499.2
セグメント利益(営業利益)15,99396.2

株式会社阪急阪神百貨店では、阪急うめだ本店が、昨年度から婦人ファッションの大規模なリニューアルを進めており、平成28年9月には、新たに5、6階の婦人服を改装し、広域への情報発信を継続的に強化いたしました。その結果、当初の想定どおり、ファッション感度の高い顧客の来店が増えるとともに、買いまわりがさらに活発化し、阪急メンズ大阪を含めた阪急本店の売上高は、220,515百万円、前期比101.0%となりました。
また、阪神梅田本店は、定評のある食品や婦人服飾品が堅調に推移いたしましたが、建て替え工事に伴い、入店客数が減少し、売上高は55,830百万円、前期比94.8%となりました。
一方、支店におきましては、近隣の商業施設のオープンによりさらに街全体の魅力が高まった博多阪急や、積極的なリニューアルにより魅力を高めた西宮阪急が順調に売上を伸ばしましたが、他の郊外店舗におきましては前連結会計年度実績を下回る結果となりました。
② 食品事業
≪食品事業の業績≫
金額(百万円)前期比(%)
売上高409,454
セグメント利益(営業利益)3,977

イズミヤ株式会社につきましては、店舗運営と不動産の管理・開発の役割の明確化を図るため、平成28年7月1日付で小売事業を担うイズミヤ株式会社(新設)と不動産事業を担う株式会社エイチ・ツー・オー アセットマネジメントに分社化いたしました。
イズミヤ株式会社(新設)では、我孫子店(大阪府)などの建て替えを含めた店舗再編を進める一方で、白梅町店(京都府)や天下茶屋店(大阪府)など6店舗において、生鮮品や惣菜売場の拡充を中心とした店舗改装を実施し既存店の強化に取り組みましたが、衣料品や住関連商品の売上が苦戦し、既存店ベース売上は96.5%となりました。しかしながら、販促施策や業務委託契約の見直しなど様々なコスト削減を図るとともに不採算店舗の閉鎖にも取り組んだ結果、営業利益は想定通りに推移しました。
株式会社阪急オアシス(平成28年6月1日付で株式会社阪食から商号変更)では、吹田穂波店(大阪府)をはじめ4店舗を新規出店するとともに、デリカ・ベーカリー部門の直営化や店舗改装を進め、既存店ベースでは前期比99.5%と前期並みを確保いたしましたが、新規出店の影響もあり営業利益は減益となりました。
また、食品製造業において、惣菜の製造等を行う株式会社阪急デリカと株式会社デリカ・アイフーズを合併し、業務の効率化と生産性の向上を図りました。
③ 不動産事業
≪不動産事業の業績≫
金額(百万円)前期比(%)
売上高9,970
セグメント利益(営業利益)5,038

不動産事業を担う株式会社エイチ・ツー・オー アセットマネジメント(平成28年7月1日付でイズミヤ株式会社から小売事業を分社化し、商号を変更)では、保有する不動産物件の収益力向上を図るため、イズミヤ店舗の耐震工事や改装等の再編計画の策定及び実施に取り組みました。
商業施設の管理・運営を行う株式会社阪急商業開発では、運営するショッピングセンターでの空床率が低下しテナント収入が増加したものの、新規受託物件の準備費用の増加などにより営業利益は減益となりました。
④ その他事業
≪その他事業の業績≫
金額(百万円)前期比(%)
売上高54,151
セグメント利益(営業利益)2,863

株式会社大井開発では、運営する「阪急大井町ガーデン」のホテル部門におきまして、都内の観光需要が落ち着いてきたものの、客室稼働率が93.8%と引き続き高い水準を維持し、堅調な商業施設部門とあわせて好調に推移し、増収増益となりました。
小売専門店業態におきましては、化粧品専門店を展開するエフ・ジー・ジェイ株式会社や100円パン事業を手掛ける株式会社阪急B&Cプランニング等が新規出店により順調に事業規模の拡大を図りました。また、株式会社家族亭では、店舗のスクラップアンドビルドを進めるとともに、店舗環境の見直しやメニューの改編などによりさらなる顧客獲得に取り組みました。
事業別セグメントの業績及び連結業績
(単位:百万円)
百貨店事業食品事業不動産事業その他事業調整額連結
売上高427,644409,4549,97054,151901,221
営業利益15,9933,9775,0382,863△5,33022,542

<ご参考>前期のセグメント区分に基づく当期の業績
(単位:百万円)
百貨店事業スーパー
マーケット
事業
イズミヤ
事業
その他事業調整額連結
売上高427,644124,069300,18449,322901,221
前期比(%)99.2104.994.2103.698.4
営業利益15,9931,7675,7593,776△4,75322,542
前期比(%)96.277.4121.5113.894.6


(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度の「現金及び現金同等物の期末残高」は、83,462百万円(前期末比34,969百万円増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、38,742百万円の収入(前期比14,202百万円の収入増)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入が5,827百万円あった一方、有形固定資産・無形固定資産の取得による支出が合わせて27,324百万円、投資有価証券の取得による支出が5,178百万円あったことなどにより、25,325百万円の支出(前連結会計年度は5,852百万円の収入)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、新規借入により40,000百万円の収入があった一方、有利子負債の返済が12,877百万円あったことなどにより、21,703百万円の収入(前連結会計年度は26,207百万円の支出)となりました。