有価証券報告書-第63期(2025/05/21-2026/05/20)

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2026/07/30 15:31
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2025年5月21日から2026年5月20日まで)におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下でインバウンド需要の増加等もあり、景気は緩やかな回復基調で推移しております。一方、不安定な国際情勢を背景とした原材料価格・エネルギー価格の高騰および世界的な金融政策の不確実性による影響が懸念され、通商政策などのアメリカの政策動向が個人消費に及ぼす影響等もあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当社グループは、2025年7月に公表しました中期経営計画(2026年5月期~2029年5月期)の目標達成に向け、リテール事業の再成長と新たな価値提供領域の確立を掲げ施策を進めてまいりました。しかしながら、2025年10月19日に発生した当社を標的としたランサムウェア攻撃により、物流システム等が被害を受けシステム障害が発生したことで、当社のWEBサイトでお客様からのご注文の受付を一時的に停止することとなりました。
一刻も早くサービス復旧を果たすべく、被害を受けた物流システム等の再構築を迅速に進めると共に、復旧までの期間についても、物流システムを介さず手作業でお客様へ商品をお届けするフローを構築して社会インフラとしての責務に取り組みました。主要なサービスレベルがシステム障害発生前の水準まで復旧した2026年2月以降は、2027年5月期の業績回復の基盤となるお客様数の回復に向けて、価格施策を含む過去最大規模の販売促進活動等の施策を推進してまいりました。なお、当該システム障害に関連した費用として、主に、物流システムが被害を受けた事により休止した固定資産の減価償却費およびソフトウエア償却費を、営業外費用の休止固定資産減価償却費に12億69百万円、発生した復旧費用等を、特別損失のシステム障害対応費用に51億8百万円それぞれ計上しております。また、特別損失として株式会社AP67に係るのれんおよび顧客関連資産の減損損失48億23百万円を計上しております。
この結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高4,001億99百万円(前期比16.8%減)、営業損失174億45百万円(前期は営業利益140億4百万円)、経常損失190億62百万円(前期は経常利益138億16百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失221億50百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益90億68百万円)となりました。
セグメント別の経営成績につきましては、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率
売上高472,231393,084△79,146△16.8%
ASKUL事業358,463282,948△75,514△21.1%
LOHACO事業36,84228,084△8,757△23.8%
グループ会社・内部取引消去76,92582,051+5,126+6.7%
営業利益又は営業損失(△)14,255△16,270△30,526-

(注)売上高はセグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。
当連結会計年度のeコマース事業については、システム障害の発生を受け、当社のWEBサイトでお客様からのご注文の受付を一時的に停止した影響により、売上高は3,930億84百万円(前期比16.8%減)、営業損失は162億70百万円(前期は営業利益142億55百万円)となり、減収減益となりました。
売上高、営業損失の状況は、主に以下のとおりです。
1)売上高
a. ASKUL事業
・システム障害の発生を受け、当社WEBサイト「ASKUL」および「ソロエルアリーナ」等のご注文の受付を一時的に停止したことにより前期比21.1%の減少
・システム障害発生直後の11月度(2025年10月21日から2025年11月20日まで)は前年同月度比94.5%減まで落ち込むも、迅速に物流システムを再構築して順次サービス復旧を進めたことにより、当第4四半期連結会計期間(2026年2月21日から2026年5月20日まで)では前年同期比11.4%の減少まで回復
b. LOHACO事業
・システム障害の発生を受け当社WEBサイト「LOHACO」を一時的に停止した影響により前期比23.8%の減少
・2026年1月20日にサービスを再開し、当第4四半期連結会計期間では前年同期比2.5%の伸長
c. グループ会社・内部取引消去
・株式会社アルファパーチェス、フィード株式会社の売上高が堅調に推移し、前期比6.7%の伸長
2)営業損失
営業損失は162億70百万円(前期は営業利益142億55百万円)となりました。主に、売上総利益率が22.9%と前期比で1.9ポイント低下したこと、売上高販管費比率が27.0%と前期比で5.2ポイント増加したことによるものであり、要因は以下のとおりです。
・サービス復旧の過程で、利益率は低いもののお客様のニーズが高い商品(コピーペーパー等)の出荷を優先して進めたこと、サービスレベル復旧後に価格施策を含む大規模な販売促進活動を推進したこと等により、売上総利益率が低下
・システム障害の発生に伴う売上高の減少により売上高固定費比率が上昇したこと、一時的な手作業による入出荷業務をはじめとする物流効率の低下等により、売上高販管費比率が増加
・2025年6月の「ASKUL関東DC」の稼働により、立ち上げに係る一時コストや減価償却費等の固定費が増加(合計21億11百万円)
<ロジスティクス事業>ASKUL LOGIST株式会社の当社グループ外の物流業務受託について、当社システム障害の発生を受け一時的に当該事業を停止した影響により、減収減益となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は62億76百万円(前期比23.6%減)、営業損失は11億99百万円(前期は営業損失2億99百万円)となっております。
<その他>嬬恋銘水株式会社での飲料水の販売が猛暑の影響もあり堅調に推移しておりましたが、当社システム障害の発生により当社WEBサイトが一時的に停止したことで、当社WEBサイトにて販売しておりました飲料水の売上が減少したこと等から減収減益となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は19億81百万円(前期比2.4%減)、営業利益は10百万円(前期比89.0%減)となっております。
財政状態の状況は以下の通りであります。
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産は2,299億7百万円となり、前連結会計年度末と比べ21億25百万円増加いたしました。これは主に、「ASKUL関東DC」の稼働によりリース資産が84億53百万円、繰延税金資産が84億28百万円、未収消費税等が40億75百万円、建物及び構築物が26億33百万円、商品及び製品が14億92百万円増加した一方、建設仮勘定が111億44百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が53億66百万円、のれんが40億61百万円、ソフトウエア仮勘定が22億16百万円、顧客関連資産が18億21百万円減少したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は1,784億52百万円となり、前連結会計年度末と比べ319億24百万円増加いたしました。これは主に、手元資金の流動性を担保する為に借入を実行したことにより短期借入金が269億円、リース債務が93億11百万円、未払金が27億75百万円増加した一方、電子記録債務が23億85百万円、長期借入金(1年内返済予定を含む)が20億96百万円、支払手形及び買掛金が12億77百万円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は514億55百万円となり、前連結会計年度末と比べ297億99百万円減少いたしました。これは主に、自己株式の取得、消却および処分等により自己株式が16億27百万円減少(純資産は増加)した一方、親会社株主に帰属する当期純損失の計上が221億50百万円、自己株式の消却が77億94百万円、配当金の支払いが17億76百万円あったことにより、利益剰余金が317億22百万円減少したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は20.8%(前連結会計年度末は34.2%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は486億24百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億1百万円増加いたしました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、108億2百万円の支出(前期は129億8百万円の収入)となりました。これは、減価償却費、ソフトウエア償却費、のれん償却額および顧客関連資産償却額の合計136億58百万円、売上債権の減少額53億55百万円、システム障害対応費用51億8百万円、減損損失48億23百万円があった一方、税金等調整前当期純損失297億90百万円、仕入債務の減少額42億13百万円、システム障害対応費用の支払額27億60百万円、未収消費税等の増加額25億96百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、142億16百万円の支出(前期は165億79百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出82億49百万円、ソフトウエアの取得による支出45億81百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、252億21百万円の収入(前期は96億49百万円の支出)となりました。これは、自己株式の取得による支出64億45百万円、長期借入金の返済による支出60億96百万円があった一方、短期借入金の純増額269億円、セール・アンド・リースバックによる収入130億43百万円があったこと等によるものであります。
③ 生産、仕入および販売の状況
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)
その他 (注)11,454+1.5
合計1,454+1.5

(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、水の製造を行っております。
2 金額は、製造原価によっております。
3 eコマース事業およびロジスティクス事業につきましては、生産業務を行っていないため該当事項はありません。
b. 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(百万円)前期比(%)
eコマース事業303,733△14.6
その他 (注)176△14.5
合計303,810△14.6

(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、水の製造を行っております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
3 金額は、仕入価格によっております。
4 ロジスティクス事業につきましては、物流・小口貨物輸送サービスの提供が主要な事業であるため、記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)
eコマース事業393,081△16.8
ロジスティクス事業6,276△23.6
その他 (注)1840+27.4
合計400,199△16.8

(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、水の製造を行っております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日(2026年7月30日)現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積りを用いております。この会計上の見積りには、その性質上不確実性があり、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、当連結会計年度の連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得を慎重に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、新たに減損処理が必要となる可能性があります。
(のれんおよび顧客関連資産の減損)
当社グループは、のれんおよび顧客関連資産について、その効果の発現する期間にわたって均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定していた収益が見込めなくなった場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a. 経営成績等
「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
b. キャッシュ・フローの分析
「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループが属するeコマース市場は、引き続き成長が期待される一方で、競争環境は一層激化しており、競合他社の動向が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このような環境のもと、主要なASKUL事業においては、当社独自のビッグデータとAIを活用し、マーケティングおよび営業活動の高度化を推進するとともに、お客様生涯価値(LTV)の最大化に取り組んでまいります。また、中期経営計画において重点ターゲットと位置付ける医療・介護、飲食、宿泊業などの「対人サービス業種」に対し、業種特性に応じた品揃えの拡充や営業・マーケティング施策の強化を進めることで、お客様基盤の拡大を図ってまいります。
その他、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通りです。
④ 資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要の主なものは、物流センターの新設・増強やWEBサイトの刷新等の設備投資資金、各事業の成長を加速させるためのシナジー効果のある事業者の買収資金等があります。
設備投資資金や買収資金等の資金については、金利コスト等を勘案しながら、自己資金または金融機関からの借入金、リース契約等により調達しております。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2025年7月4日に2029年5月期を最終年度とする4年間の中期経営計画で掲げた、連結売上高5,400億円、連結営業利益率3.7%、連結株主資本利益率(ROE)20%を経営上の目標としております。
なお、当連結会計年度においては、ランサムウェア攻撃の影響により、連結売上高4,001億円、連結営業利益率△4.4%、連結株主資本利益率(ROE)△35.3%となっております。

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