有価証券報告書-第16期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/23 9:17
【資料】
PDFをみる
【項目】
170項目

対処すべき課題

当行では、今後の当行グループの目指すべき方向として、平成29年3月期から平成31年3月期を対象期間とする第三次中期経営計画(以下「第三次中計」)を策定いたしました。策定に際し、経営理念に基づき、真にお客さまから必要とされる金融グループを目指すための「中長期ビジョン」を定めました。中長期ビジョンでは、持続可能なビジネスモデルの確立のためには、当行グループの経営資源の最大活用が不可欠との認識のもと、「グループ融合」により、各社が持つ顧客基盤、金融機能、サービスを真にお客さまの視点で結びつけ、従来の発想を超えた商品やサービスを開発・提供するとともに、グループレベルでの絶えざる改善・改革の実施による無駄のないオペレーションを通じ、高い生産性・効率性を実現し、金融業界において独自のポジショニングを構築することを目指してまいります。第三次中計はこの中長期ビジョンを早期に達成するための3ヵ年と位置づけ、以下の各種戦略施策や体制の強化に全力で取り組んでまいります。
1.当行グループ経営の全体戦略
第三次中計においては、全体戦略として、ビジネスについてよりメリハリの効いた経営資源配分を行うための「選択と集中」の明確化、また、効率性の追求と柔軟なビジネス運営を実現するため、変化に対して柔軟に対応できる経営インフラ体制の構築を目指してまいります。
(事業の「選択と集中」とグループ融合による価値創出)
金融サービスニーズが十分に満たされていないお客さまにお応えするため、お客さまを軸にして当行グループの業務・商品・サービスを再編し、当行グループに優位性がある、お客さまに最適な商品・サービスを提供することを目指してまいります。事業の優先順位付けを行うため、以下の四つの分野に分け、より高い成長が見込まれる分野に経営資源を配分いたします。また、グループ融合を通じて、業態を超えた新しい発想による顧客価値の創造に積極的に取り組んでまいります。
・ 成長分野:強みがあり、高い成長性・収益性が見込まれる分野
・ 安定収益分野:過当競争から距離を置き、安定的・選択的に取り組む分野
・ 戦略取組分野:将来性を期待する先行取組分野や、業態を超えた新しい発想による顧客価値の創造分野
・ 縮小分野:市場が縮小する、または新生銀行グループの差別化要因が低い分野
個別のビジネスについては、個人向け無担保ローンと、不動産ファイナンスやプロジェクトファイナンスなどで構成するストラクチャードファイナンスは当行の強みがあり、高い成長性を見込める分野として成長分野に位置付け、これまで以上に経営資源を積極的に配分してまいります。
個人向け資産運用コンサルティングは、緩やかながら成長を期待できる重要な分野として、安定収益分野に位置づけてまいります。法人向け市場ソリューションやアプラスのショッピングクレジットも安定的な収益が期待できる分野と位置付けています。法人のお客さま向けの貸出業務は、安定的な収益を引き続き期待するものの、スプレッドのタイト化が続くなど競合環境が厳しい中、エリアや対象企業、案件をよく見て選択的に取り組んでまいります。
将来性を期待して先行的に取り組む戦略取組分野については、クレジットトレーディング業務で培ってきたノウハウを活用して取り組む事業承継に加え、地域金融機関向けビジネス、決済ビジネス、中小・小規模事業者向けソリューションなどが入ります。それぞれ、当行グループのシナジーが必要な分野でもあると認識しており、グループ融合を積極的に進めてまいります。
(経営管理機能の統合によるシナジー創出)
第三次中計では、環境に応じた柔軟なビジネス運営とリーンなオペレーションを当行グループ全体で支えるためのグループ経営基盤の構築にも合わせて力を入れてまいります。事業の「選択と集中」とグループ融合による価値創出の実現のためには、その基盤となるビジネスインフラの整備が重要との認識のもと、生産性や機能性の向上や経費の削減はもとより、グループ各社の自然な連携が促されるインフラの整備や企業文化の醸成にも力を入れてまいります。
こうした取り組みをグループ全体で推進する枠組みとして、主要なグループ会社の社長で構成する「グループ経営会議」を平成27年度下半期に設置、平成28年度以降はこの会議のもとにテーマごとにグループを横断したメンバーで構成されるプロジェクトチームを配置し、推進してまいります。さらに、第三次中計を推進するため、①組織の機動性を高めることを目的とした部門制および本部制の廃止と担当役員制の導入、②グループレベルでの事業戦略、組織戦略を担当する部署として、「グループ事業戦略部」、「グループ組織戦略部」の新設、③経営企画機能、その他管理機能の再編による強化、を柱とする組織運営体制の変更を平成28年4月1日付で実施いたしました。
2.リスク管理、コーポレート・ガバナンスの強化と透明性の高い経営
当行は、グループ会社を含めた、「バーゼルⅢ」(銀行法に基づく自己資本比率規制で、当行は基礎的内部格付手法を採用)のスムーズな運用とリスク管理の高度化およびリスク・リターンの的確な把握を通じて、経営資源の最適な配分を実現し、バランスのとれた業務運営により一層努めてまいります。また、バーゼルⅢに対しては、規制上は国内基準行ではありますが、国際統一基準も意識した経営を行い、必要な体制準備や施策に取り組んでまいります。
当行は、監査役会設置会社を選択しております。このガバナンス体制のもと、①経営の最高意思決定機関である取締役会に業務執行の権限・責任を集中させ、社外取締役の監督のもとで取締役会において当行の向かう大きな方向性を示すとともに、経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備などを実施し、②業務執行および取締役会から独立した監査役および監査役会に取締役会に対する監査機能を担わせることで、適切な経営の意思決定と業務執行を実現するとともに、組織的に十分牽制の効くガバナンス体制を確立しています。
ガバナンス体制については、株式会社東京証券取引所が平成27年6月から適用している「コーポレートガバナンス・コード」において、少なくとも2名以上の独立社外取締役の選任が求められております。当行においては、一貫して社外取締役の監督機能を重視した経営を行っており、平成27年度は日常の業務執行を担う社内取締役2名に対して、社外取締役5名を配置し、社外取締役が過半数を占める取締役会の構成を取っております。さらに、社外監査役2名を含め、合計6名を独立役員として東京証券取引所に届け出ております。また、日常の業務執行の機動性を確保するため執行役員制度を導入し、取締役社長をはじめとする業務執行取締役による指揮のもと、取締役会から委任された執行役員、総括担当役員および主担当役員がそれぞれ管掌する業務を効率的に遂行する体制を確保しております。さらに、取締役会の承認に基づき、業務執行取締役、総括担当役員および主担当役員などからなる経営会議を設置し、迅速かつ効率的な業務運営を実現してまいります。
当行グループは、「財務報告に係る内部統制の評価および監査の基準」(いわゆる“J-SOX”)への対応体制を確立し、内部統制システムの運用強化とともに、金融商品取引法の規定に沿い、お客さま保護を念頭においたコンプライアンス体制の強化による法令遵守の一層の徹底に引き続き努めてまいります。加えて上場企業として、投資家の目線に立った適時、適切かつ透明性の高い情報開示に取り組んでまいります。
第三次中計の実行を支える経営インフラの整備のうち、システムの安定稼動に努めることは社会基盤の一端を担う金融機関として果たすべき当然の使命であり、重要な経営課題のひとつとして継続して取り組んでおります。現行システムの安定稼動への継続的な取り組みとして、バックアップセンターの整備や機器の更新を含めた体制の見直し、強化に取り組んでおります。さらに、銀行システム安定稼働に向けた取り組みの一環として、第三次中計期間中に基幹業務システムを更改し、一層のシステム基盤の安定化に取り組んでまいります。
3.経営健全化計画の達成
当行は、平成28年2月に新しい「経営の健全化のための計画」(以下「経営健全化計画」)を金融庁に提出いたしました。平成28年1月に公表した第三次中計を踏まえ、基本方針である持続可能なビジネスモデルの構築に向けた諸施策への取り組みを通じて、金融グループのさらなる発展を目指してまいります。
当事業年度においては、単体実質業務純益は339億円と経営健全化計画の目標と同水準となり、単体当期純利益は415億円となり、目標値を若干下回る結果となりました。
当行といたしましては、引き続き公的資金を受けている金融機関としての役割・期待を認識し、その社会的責任を全うするとともに、経営健全化計画の達成に向けて、全社員が一丸となって業務に取り組んでまいります。
今後とも、皆さまには、なお一層のご支援・ご指導を賜りますようお願い申しあげます。
(注記)3.については、子会社等を含まない記述となっております。