有価証券報告書-第206期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/20 14:41
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【項目】
113項目

事業等のリスク

当行及び当行グループ(以下、本項目においては「当行」と総称)の事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当行は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(1)震災に伴うリスク
平成23年3月11日に発生した東日本大震災とそれに伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故に関連して、当行グループの人員や有形固定資産が被った影響は軽微でありましたが、入居施設の状況により当行グループの一部営業拠点が営業できない事態が発生いたしました。今後、同様の震災及びインフラ障害が発生した場合には、資産の毀損、焼失あるいは劣化、または営業活動の停止等により、当行グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)経営統合に関するリスク
当行は株式会社荘内銀行(以下「荘内銀行」という。)と、平成21年10月1日、株式移転により共同持株会社フィデアホールディングス株式会社(以下「フィデアHD」という。)を設立し経営統合いたしました。
フィデアHD及び当行を含めたグループ企業(以下「フィデアグループ」という。)は、地域に密着した「広域金融グループ」として、お客さまの高い満足と地域の発展のために、上質な「金融情報サービス」を提供し続けることを目指し、当行及び荘内銀行のミドル・バック機能の統合・集約等、経営インフラ整備を進め、統合効果を最大限発揮すべく努力しております。
しかしながら、以下の要因等により、当初期待した統合効果を十分に発揮できず、結果として当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
① フィデアグループ内における、業務面での協調体制強化や経営資源の再配分等が奏功しないことにより、当初期待した統合効果が達成できない可能性
② 顧客との関係悪化、対外的信用力の低下等により、当初期待した収益増強が達成できない可能性
③ フィデアグループの経営統合に伴う経営インフラの統合・再編に係わり、想定外の追加費用が発生する可能性
④ 当行及び荘内銀行の事務・システム統合に係わり、不測の事態に起因して、システム障害等が発生する可能性
⑤ 経営インフラ統合・再編の遅延等により、当初期待した経費削減が達成できない可能性
(3)信用リスク(不良債権問題等)
① 不良債権の状況
当行はこれまで不良債権に対する適切な処理や適正な水準の貸倒引当金の計上などの対応を進めてきました。しかし、国内及び県内の景気動向、不動産価格及び株価の変動、当行の貸出先の経営状況によっては想定を上回る償却等をせざるを得なくなることにより、当行の不良債権及び与信関連費用が増加する恐れがあるほか、不良債権売却時の想定外の損失発生等により当行の与信関連費用が増加する恐れがあります。
また、貸出先に債務不履行等が発生した場合においても、回収の効率性・実効性等の観点から債権者として有する法的な権利のすべてを必ずしも実行しない可能性や追加貸出を行って支援する可能性があります。かかる貸出先に支援を実施した場合は、当行の貸出残高及び与信関連費用が増加する可能性があります。
② 貸倒引当金の状況
当行は、貸出先の状況、債権の保全状況及び過去の一定期間における貸倒実績率に基づき算定した予想損失額に対して貸倒引当金を計上しております。しかし、実際の貸倒れが、貸出先の状況、担保価値の下落、経済状況全般の悪化、またはその他の予期せざる理由により貸倒引当金計上時点における見積りと大幅に乖離する可能性があります。この場合、当行は貸倒引当金の積み増しをせざるを得なくなる可能性があります。
③ 特定地域の経済動向に影響を受けるリスク
地方銀行である当行は秋田県を主な営業基盤としているため、地域経済が悪化した場合、当行の業容の拡大が図れなくなるほか、不良債権が増加するなどして当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 業種別貸出状況に係るリスク
当行は、特定先や特定業種等への与信集中を排除したリスクの分散を信用リスク管理の基本方針とし、最適な与信ポートフォリオの構築に努めております。しかしながら、業種別貸出残高では地方公共団体、卸売・小売業、各種サービス業及び建設業の占める割合が、他の業種に比べて多くなっており、それらの業種の経営環境等に変化が生じた場合には、当行の貸出金額や不良債権額に影響を与える可能性があります。
(4)市場関連リスク
① 株価下落のリスク
当行は市場性のある株式を保有しております。大幅な株価の下落が発生した場合には、保有有価証券に減損または評価損が発生し、業績に悪影響を及ぼすとともに、自己資本比率の低下を招く可能性があります。
② 市場取引・投資活動に伴うリスク
当行は、デリバティブを含む様々な金融商品を取扱う市場取引及び投資活動を行っており、金利、為替レート、株価及び債券相場の変動等により、保有する資産の価値が低下し、債券ポートフォリオ等の価値に悪影響を及ぼすほか、損失を被る可能性があります。
③ 金利リスク
当行では、金利リスクを総合的に管理する体制を構築し、現状及び将来の金利予測に基づいた運営を行っておりますが、貸出取引や有価証券投資等の資金運用と、預金等による資金調達とのミスマッチが存在している中で、予期せぬ金利変動によって、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 為替リスク
当行の業務は外貨建ての取引を行っているため、為替レート変動の影響を受けます。円高が進行した場合には、外貨建て取引の円価換算額が目減りすることになります。また、外貨建ての資産と負債の額が各通貨毎に同額で相殺されない場合、あるいは適切にヘッジされていない場合には、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)流動性リスク
当行は、資金調達や資金運用の状況について客観的な基準で把握し、流動性管理に万全を期しておりますが、当行の業績が悪化した場合、あるいは市場環境が大きく変化した場合等に、必要な資金の確保が困難になり、通常より著しく高い金利による資金調達を余儀なくされる可能性があります。
(6)自己資本比率が低下するリスク
当行は国内基準適用行であり、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年金融庁告示第19号)により連結自己資本比率及び単体自己資本比率について4%以上の水準を維持することが求められております。当行では適正かつ十分な水準の自己資本比率を維持することに努めておりますが、自己資本比率の水準が上記の水準を下回った場合、早期是正措置の対象として業務の一部停止等の命令を金融庁長官から受けることになります。
① 自己資本比率に影響する要因
(a)不良債権処理に伴う与信関連費用の増加
(b)有価証券の減損処理、評価損の拡大
(c)自己資本比率の基準及び算定方法の変更
(d)リスクアセットのポートフォリオ
(e)その他の不利益項目
② 繰延税金資産
繰延税金資産は、現時点におけるわが国の会計基準に基づき、一定の条件の下で、将来における税金負担額の軽減効果として貸借対照表に計上することが認められております。当行は、現時点において想定される金融経済環境等の様々な予測・仮定を前提に将来の課税所得を合理的に見積り繰延税金資産を計上しておりますが、実際の課税所得が想定と異なること等により、繰延税金資産が減額された場合には、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、繰延税金資産について、自己資本比率算定の基礎となる自己資本の基本的項目への算入制限が導入されることとなった場合、自己資本比率が低下する可能性があります。
(7)退職給付債務増加のリスク
当行の年金資産の時価が下落した場合、当行の年金資産の運用利回りが低下した場合、または退職給付債務を計算する前提の基礎率に変更があった場合等には数理計算上の差異が発生し、費用負担が発生する可能性があります。また、退職給付制度の変更により過去勤務債務が発生し、その償却のため費用負担が発生する可能性があります。
(8)規則変更のリスク
当行は、現時点における規則に従い、また、規制上のリスク(法律、規則、政策、実務慣行、解釈及び財政の変更等の影響を含みます。)を伴って、業務を遂行しております。将来における法律、規則、政策、実務慣行、解釈、財政及びその他の政策の変更ならびにそれらによって発生する事態が、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。しかし、どのような影響が発生しうるかについて、その種類・内容・程度等を予測することは困難であります。
(9)会計制度変更に伴うリスク
将来、会計制度が変更された場合、会計制度の変更内容によってはコストの増加につながり、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)重要な訴訟等の発生に係るリスク
当行は、適切な法令等遵守の徹底に努めながら各種金融サービスを提供しておりますが、今後の事業活動の過程で、必ずしも当行の責はなくとも当行に対する訴訟等が提起された場合、当行の評価とともに、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)格付低下のリスク
格付機関により当行の格付が引き下げられた場合、当行の資本・資金調達等において、不利な条件での取引を余儀なくされる恐れや、または一定の取引を行うことができなくなる恐れ等があります。このような事態が生じた場合には、当行の市場取引関連業務及び他の業務の収益性が低下し、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)事務リスク
当行は、預金・貸出・為替などの銀行業務に加え、クレジットカード業務など幅広い業務を行っております。これら多様な業務の遂行に際して、役職員による不正確な事務、あるいは不正や過失等による不適切な事務が行われることにより、損失が発生する可能性があります。当行ではこのようなリスクが内在することを認識した上で、最大限の予防措置を講じておりますが、仮に重大な事務リスクが顕在化した場合には、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)システムリスク
当行は、預金・貸出・為替等のデータ処理を行うため、各種のコンピュータシステムを保有しております。当行では、システムの安全対策を強化し、コンピュータウィルス対策や不正アクセス対策、バックアップシステム構築などのセキュリティ対策を講じておりますが、万一、コンピュータ機器や通信回線の故障、プログラムの不具合などによるコンピュータシステムの停止または誤作動、コンピュータの不正使用または外部からの攻撃などによる情報の破壊や流出が発生した場合には、決済機能やサービス業務の停止、社会的信用の失墜などにより、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14)コンプライアンスに係るリスク
当行は、各種法令・規則等を遵守し業務を遂行しておりますが、当行の役職員による違法行為等が発生した場合、各種法令・規則等に基づく処分を受けることとなり、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(15)内部統制の構築等に係るリスク
当行は、フィデアグループ一体となって適正な内部統制の構築、維持、運営に努めておりますが、予期しない問題が発生した場合等において、財務報告に係る内部統制の評価手続の一部を実施できないことや、内部統制の重要な欠陥が存在すること等を報告する可能性もあります。そのような場合、業績及び財務状況並びにフィデアHDの株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
(16)顧客情報漏洩に係るリスク
当行においては、営業戦略上多数の顧客情報が集積されております。当行では、情報資産管理の基本方針を明文化した「セキュリティポリシー」に基づき、全店にセキュリティ管理態勢を敷くなど、顧客情報の管理には万全を期しているものの、万一、その顧客情報の漏洩等により問題が発生した場合、その後の業務展開に影響を与え、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(17)ビジネス戦略が奏功しないリスク
当行は、収益力強化のために様々なビジネス戦略を実施しておりますが、以下に述べるものをはじめとする様々な要因が生じた場合には、当初想定していた成果を生まない可能性があります。
① 貸出が期待通り増加しないこと
② 既存の貸出について期待通りの利鞘拡大が進まないこと
③ リスク管理での想定を超える市場の変動等により、有価証券運用が期待通りの成果を挙げられないこと
④ 競争状況や市場環境等により、手数料収入の増大が期待通りの成果とならないこと
⑤ 経費削減等の効率化が期待通りに進まないこと
(18)競争環境の激化によるリスク
近年は、従来の伝統的な銀行業務である預貸金業務のみならず、各種サービス等を含めた広範な分野において、他業態・他業種との競合が激化してきております。当行がこうした競争的な事業環境下において競争優位を得られない場合、投資やコストの回収ができず、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(19)業務範囲拡大に伴うリスク
規制緩和の進展等に伴い、当行は法令その他の条件の許す範囲内で、新たな収益機会を得るために従来の伝統的な銀行業務以外の分野に業務範囲を拡大することがあります。業務範囲を拡大した場合、当該業務に関するリスクについて全く経験が無いか、または限定的な経験しか有していないことがあるため、新しく複雑なリスクに晒されることになります。また、競争状況や市場環境によっては、業務範囲の拡大が当初想定していた成果を得られない可能性があります。
(20)風評リスク
当行では、風評に関する情報を早期に把握する体制を構築するとともに、情報開示などの風評発生予防策、リスク顕在化の恐れのある場合の危機対応策などを定め、風評リスクを極小化するように努めております。しかし、市場や顧客の間において、当行のネガティブな情報や風評等が発生・拡大した場合、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(21)ペイオフ発動に伴うリスク
ペイオフが全面解禁され、預金者の金融機関を選別する目は厳しくなっております。金融機関の破綻が発生しペイオフが実施された場合には、金融機関に対する信頼は著しく低下し金融機関を取り巻く環境が悪化する可能性があります。この場合、資金調達が予定通り進まない可能性または資金調達コストの上昇を招く可能性があります。
(22)災害等に係るリスク
当行は秋田県を中心に事業を展開しており、お取引先、店舗や電算センター等の施設及び人材は秋田県に集中しております。施設等につきましては各経年状況を把握しながら適切なメンテナンスに努め、またコンティンジェンシープランを制定し定期的に防災訓練を行うなど被害の回避策を講じております。しかしながら、秋田県を含む広域、あるいは局地的な災害等が発生した場合には、その程度によっては、地域経済及び当行の施設・人材に甚大な被害が及ぶ可能性があり、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。