有価証券報告書-第140期(2024/04/01-2025/03/31)
② 戦略
A 気候変動関連のリスク・機会の特定
気候変動に伴うリスク(物理的リスク・移行リスク)と機会については、短期(3年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で、定性的な分析を行っています。
B 機会
脱炭素社会への移行や生物多様性などへの対応要請の高まりに伴い、お客さまの経営課題は多様化しており、当行では、中期経営計画でパーパス営業の深化を掲げ、多様化するお客さまの経営課題に対し、2022年10月より導入した事業性評価「つなぐプロセス」を起点にお客さまのゴールやニーズを深堀し、新たな金融商品サービスの提供や資金需要への対応など、質の高いソリューションの提供に取組んでいます。
お客さまの気候変動や自然資本への対応を積極的に支援することで、お客さまの事業基盤が強化され、結果として当行の収益機会の拡大、持続的な成長につながるものと考えています。
C シナリオ分析
物理的リスクおよび移行リスクについて、複数の温度帯シナリオを用いて分析しました。
当行財務への影響は限定的であると評価ができる結果となりました。
<物理的リスク>物理的リスクについては、気候変動に起因する自然災害の大半を占め、国内で発生確率の高い水害による影響を分析しました。
分析にあたっては、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の8.5シナリオ(4℃シナリオ)を前提に、ハザードマップを利用して推計した「当行担保不動産の価値毀損額」および「浸水に起因するお客さまの事業停滞日数」から、2050年までの当行の与信費用の増加額を試算しました。
また、新たに2024年度から、同シナリオを前提に2050年までの当行事業施設の損害額を試算しました。
<移行リスク>TCFD提言で気候関連の財務影響を受けやすいとされるセクターのうち、気候変動への影響度と当行のエクスポージャーという観点から、分析対象セクターを選定しており、2024年度は「金属・鉱業」セクターを新たに加えました。
地域の基幹産業のひとつである「自動車」セクターの分析においては、モデル企業以外の取引先についても、取扱製品等の影響度に応じた売上予想に基づいて与信費用増加額を試算するなど、分析結果の精緻化に取り組んでいます。
D 炭素関連資産の状況
当行の与信残高に占める炭素関連資産の割合は、24.8%となっております。
(2025年3月末の貸出金、支払承諾、外国為替、私募債等の合計。ただし、水道事業、再生可能エネルギー発電事業を除く)
A 気候変動関連のリスク・機会の特定
気候変動に伴うリスク(物理的リスク・移行リスク)と機会については、短期(3年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で、定性的な分析を行っています。
リスクと機会 | 概要 | 時間軸 | |||
リスク | |||||
物理的リスク | |||||
信用リスク | ・水害等に伴う不動産担保(建物)の毀損 | 短期~長期 | |||
・お客さまの事業施設が被災することによる事業停滞・業績悪化 | 短期~長期 | ||||
オペレーショナル・リスク | ・当行事業施設が被災することによる事業中断 | 短期~長期 | |||
移行リスク | |||||
信用リスク | ・気候変動に関する規制や税制等の強化によるお客さまの業績悪化 | 中期~長期 | |||
・低炭素・脱炭素製品への移行コストの増加や消費者の製品嗜好の 変化等への対応の遅れなどによるお客さまの業績悪化 | 短期~長期 | ||||
風評リスク | ・当行が十分な情報開示を行っていないと判断された場合の当行の レピュテーションの低下 | 短期~長期 | |||
機会 | |||||
ビジネス機会の増加 | ・脱炭素社会への移行を支援するための新たな金融商品やサービス の提供機会の増加 | 短期~長期 | |||
・気候変動に伴う災害対策のための公共事業や企業の設備資金需要 等の増加 | 短期~長期 | ||||
コスト削減 | ・当行事業施設の省資源・省エネルギー化による事業コストの低下 | 短期~長期 |
B 機会
脱炭素社会への移行や生物多様性などへの対応要請の高まりに伴い、お客さまの経営課題は多様化しており、当行では、中期経営計画でパーパス営業の深化を掲げ、多様化するお客さまの経営課題に対し、2022年10月より導入した事業性評価「つなぐプロセス」を起点にお客さまのゴールやニーズを深堀し、新たな金融商品サービスの提供や資金需要への対応など、質の高いソリューションの提供に取組んでいます。
お客さまの気候変動や自然資本への対応を積極的に支援することで、お客さまの事業基盤が強化され、結果として当行の収益機会の拡大、持続的な成長につながるものと考えています。
C シナリオ分析
物理的リスクおよび移行リスクについて、複数の温度帯シナリオを用いて分析しました。
当行財務への影響は限定的であると評価ができる結果となりました。
<物理的リスク>物理的リスクについては、気候変動に起因する自然災害の大半を占め、国内で発生確率の高い水害による影響を分析しました。
分析にあたっては、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の8.5シナリオ(4℃シナリオ)を前提に、ハザードマップを利用して推計した「当行担保不動産の価値毀損額」および「浸水に起因するお客さまの事業停滞日数」から、2050年までの当行の与信費用の増加額を試算しました。
また、新たに2024年度から、同シナリオを前提に2050年までの当行事業施設の損害額を試算しました。
シナリオ | IPCC/RCP8.5(4℃シナリオ) 想定される主な動き:規制の導入が鈍く、地球温暖化がさらに進む | |
分析対象 | 国内に本店を置く融資先中小企業 | 当行事業施設 |
分析内容 | ハザードマップを利用して推計した当行 担保不動産(建物・マンション)毀損額・ お客さまの業績悪化による売上減少額から、与信費用への影響を推計 | ハザードマップを利用して推計した当行事業施設(建物・設備等)損害額および浸水被害が発生する拠点割合を推計 |
分析結果 | 2050年までの与信費用増加額 :最大で43億円 | 2050年までの損害額:最大で2億円 浸水被害が発生する拠点割合:19% |
<移行リスク>TCFD提言で気候関連の財務影響を受けやすいとされるセクターのうち、気候変動への影響度と当行のエクスポージャーという観点から、分析対象セクターを選定しており、2024年度は「金属・鉱業」セクターを新たに加えました。
地域の基幹産業のひとつである「自動車」セクターの分析においては、モデル企業以外の取引先についても、取扱製品等の影響度に応じた売上予想に基づいて与信費用増加額を試算するなど、分析結果の精緻化に取り組んでいます。
シナリオ | NGFS/NetZero2050(1.5℃シナリオ)、IEA/NZE2050(1.5℃シナリオ)、IPCC/RCP2.6(2℃シナリオ) 想定される主な動き:気温の上昇を抑制するために、必要な規制や技術革新が導入 される |
分析対象 | 「自動車」「エネルギー(電力、石油・ガス)」「トラックサービス」「金属・鉱業」 |
分析内容 | ・セクターに対して想定される事業インパクトを定性的に評価 ・定性分析に基づき、セクターごとにモデル企業を選定してシナリオの予測データや公開情報等を基に将来の業績変化を予想 ・上記分析結果をセクター全体に展開し、与信費用の増加額を試算 |
分析結果 | 2050年までの与信費用増加額:累計で198億円 |
D 炭素関連資産の状況
当行の与信残高に占める炭素関連資産の割合は、24.8%となっております。
エネルギー | 運輸 | 素材・建築物 | 農業・食料・林業製品 | 合計 | |
与信額 | 770億円 | 3,079億円 | 11,412億円 | 1,888億円 | 17,149億円 |
割合 | 1.1% | 4.5% | 16.5% | 2.7% | 24.8% |
(2025年3月末の貸出金、支払承諾、外国為替、私募債等の合計。ただし、水道事業、再生可能エネルギー発電事業を除く)