有価証券報告書-第114期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/30 11:40
【資料】
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【項目】
141項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行及び連結子会社(以下、本項目においては当行と総称)が判断したものであります。
(1)信用リスク
当行は、資産の健全性確保を経営上の最重要課題と認識し、6か月毎の自己査定の実施により、資産の正確な実態把握と不良債権の積極的な処理に取組み、現在想定される全ての不良資産について適正な処理を行っています。しかし、本邦の景気の動向、不動産価格の変動、当行融資先の経営状況、及び世界の経済環境の変動等によっては、当行の不良債権及び与信関係費用は想定以上に増加する恐れがあります。具体的には、実際の貸倒れが貸倒引当金計上時点における前提及び見積りと乖離し、貸倒引当金を大幅に超過する可能性があります。また、経済情勢全般の悪化、担保価値の下落、その他の予期せざる理由により、貸倒引当金の計上にあたり設定していた前提及び見積りを変更せざるを得なくなり、後日、貸倒引当金の積み増しが必要となる可能性があります。
(2)市場リスク
当行は、預金等による調達資金を主な原資として、国債・株式・外貨建資産をはじめとする様々な金融商品を対象に広範な投資活動を継続的に行っており、かかる活動に伴いリスクにも否応なくさらされております。本投資活動に伴う主要なリスクとしては、特に、金利、株価、為替等の相場の変動が挙げられます。例えば、①景気回復等に伴い市場金利が上昇した場合には、当行の債券ポートフォリオ(特に中長期の固定金利運用)等の価値が減少(評価損の発生、資金利鞘の縮小等)、②景気悪化等に伴い株価が大幅に下落した場合には、当行の株式ポートフォリオ等の価値が減少(減損処理、評価損の発生等)することとなります。また、③外貨建資産・負債について、ネット・ベースで資産超又は負債超のポジションが造成されていた場合に、為替相場が変動した場合には、外貨建資産・負債の財務諸表上の価値が減少(円貨建収益の減少等)する可能性があります。
(3)流動性リスク
当行は、預金等の相対的に期間の短い資金で調達を行う一方で、貸出金、有価証券等の相対的に期間の長い資金で運用を行っています。このため、万一においては当行の財務内容の悪化等により必要な資金が確保できなくなる場合や、資金の確保に通常よりも著しく高い金利で資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク(資金繰りリスク)が発生する可能性があります。また、当行自体には直接の責務がない場合においても、何らかの事由による市場の混乱等のため、市場において取引が出来なくなったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスク(市場流動性リスク)が発生する可能性があります。
(4)オペレーショナル・リスク
当行は、オペレーショナル・リスク管理が重要な経営課題の一つであると位置付けており、オペレーショナル・リスクに係る問題点等を一元的に把握・分析し、対応策を組織横断的に協議する体制を整備しております。しかしながら、以下のようなリスクが発生する可能性があります。
①法務リスク
当行は、コンプライアンスを経営の最重要課題の一つと位置付け、取締役会で決定した基本方針、コンプライアンス・プログラム等に基づき、適切な法令等遵守態勢の構築に努めております。しかしながら、業務の遂行に際して、顧客に対する過失による義務違反あるいは不適切なビジネス・マーケット慣行等による監督上の措置並びに和解等により、損害賠償金、罰金、違約金等の支払いを余儀なくされ損失を被る可能性があります。
②事務リスク
当行は、諸規程を遵守した正確な事務取扱を徹底するとともに、事務処理の集中化やコンピュータシステムの活用によるチェック機能の強化により、強固な事務処理体制の構築を進めています。しかしながら、役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を起こすことにより損失を被るリスクが発生する可能性があります。
③情報セキュリティリスク
当行は、お客さまに関する情報を含め多くの情報を保有しております。また情報を取得、蓄積する仕組みとして、かつ蓄積された膨大な情報を有効に活用するため、各種の情報システムを構築しております。これらの情報資産(情報と情報システム)を適切に保護し管理することは当行の社会的責任であり、お客さまの保護及び利便性向上の観点から極めて重要となっております。これらの状況に対応するため、情報資産の保護に向けての安全対策に関する基本方針として「情報セキュリティポリシー」を、また、より具体的な安全対策基準として「情報セキュリティスタンダード」を制定し、本部・営業店に情報セキュリティ管理責任者を設置するなど、万全の管理体制を構築するとともに、お客さまに関する情報の管理の徹底に努めております。しかしながら、以下のようなリスクが発生する可能性があります。
(ア)情報リスク
当行では、保有する膨大な情報を適切に管理するため、保護すべき情報を重要度に応じて分類し、重要度が高い情報に対してはその重要度に応じた管理方法を定めるなど、情報保護の徹底に努め、安全管理対策を積極的に実施しております。しかしながら、「情報」の喪失・改ざん・不正使用・外部への漏洩等により損失を被るリスクが発生する可能性があります。
(イ)システムリスク
当行にとってコンピュータシステムは、業務の多様化・高度化や取引量の増加に伴い欠くことのできない存在となっており、さまざまな金融サービスを提供するうえで重要な役割を果たしております。このため当行では、コンピュータセンターの被災に備えたバックアップセンターを整備するほか、システム障害発生時の詳細な対応方法やコンピュータ犯罪・事故を未然に防止するためのルールを規程化するなどの諸施策を講じております。しかしながら、予期せぬコンピュータシステムのダウンや誤作動等、「情報システム」の不備やコンピュータシステムが不正に使用されることによって損失を被るリスクが発生する可能性があります。
④人的リスク
当行は、働きやすい職場環境の確保と健全な職場環境の維持に努めています。しかしながら、予期せぬ人事管理上の問題、不適切な職場労働環境、差別的な行為等により損失を被るリスクが発生する可能性があります。
⑤有形資産リスク
当行は、様々な事故や災害等に備え、「非常事態対策マニュアル」、「コンティンジェンシープラン」及び「危機管理マニュアル」等を整備し、有形資産リスクの顕在化防止に努めております。しかしながら、自然災害、社会インフラの停止、新型インフルエンザの感染拡大、テロ等の外部事象が発生した結果、又は業務上の有形資産の毀損等により、当行の業務運営や業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)評判リスク
当行は、積極的な情報開示を進めるとともに、評判リスクの顕在化につながる又はその恐れがあるリスク情報の早期収集や顕在化防止のための対応体制を構築しております。また、万一、リスクが顕在化した場合や顕在化の恐れがある場合の対応策を定めることにより、評判リスクの抑止・極小化に努めております。しかしながら、マスコミ報道やインターネットを通じた情報等がきっかけとなり、市場やお客さまの間で事実と異なる風説・風評が流布し、当行の評判が悪化することにより損害を被るリスクが発生する可能性があります。
(6)自己資本比率
当行は、現在、海外営業拠点を有しておりませんので、連結自己資本比率、及び単体自己資本比率を「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年金融庁告示第19号)に定められる国内基準(4%)以上に維持しなければなりません。当行の自己資本比率は、現在のところこの最低基準を大幅に上回っておりますが、この法令により求められている水準を下回った場合には、金融庁長官から、業務の全部又は一部の停止等を含む様々な命令を受けることとなります。なお、当行の自己資本比率に影響を与える要因には、以下のものが含まれます。
・不良債権の処理や債務者の信用力の悪化に際して生じうる与信関係費用や信用リスクアセットの増加
・金利の上昇や株価の下落を起因とした資金利鞘の悪化並びに減損処理の発生
・為替レートの不利益な変動
・当行が将来の課税所得の予測・仮定に基づき計上している繰延税金資産の額を変更せざるを得ないと判断し、 減額した場合
・自己資本比率の基準及び算定方法の変更、並びに会計上の諸法令等の変更
・その他、本項記載の当行にとって不利益な事象が顕在化した場合
(7)当行の業績等に影響しうる他の要因
①競争に伴うリスク
近年の金融制度の規制緩和に伴い、業態を超えた競争が激化してきております。当行がこうした競争的な事業環境において競争優位を得られない場合、当行の事業、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
②当行の営業戦略が奏功しないリスク
当行は、収益力強化のために様々な営業戦略を実施していますが、以下のような要因が生じた場合には、これらの戦略が功を奏しないか、当初想定していた結果をもたらさない可能性があります。
・貸出金の量の増大が進まないこと
・既存の貸出金についての利鞘拡大が進まないこと
・手数料収入の増加が期待通りの結果とならないこと
・経営の効率化を図る戦略が期待通りに進まないこと
③特定地域の経済動向に影響を受けるリスク
地方銀行である当行には、特定の地域(京都府)を主な営業基盤としていることに起因する地域特性に係るリスクがあります。
④格付け低下のリスク
外部格付け機関が当行の格付けを引き下げた場合、当行の資本・資金調達等において不利な条件を承諾せざるを得なくなったり、一定の取引を行うことが出来なくなる可能性があります。
⑤退職給付債務に係るリスク
当行の退職給付費用及び債務は、年金数理計算上設定される前提条件に基づき算出されています。これらの前提、仮定等に変更があった場合や、実際の年金資産の時価が下落した場合などには、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥固定資産の減損会計に係るリスク
当行は、固定資産の減損に係る会計基準及びその適用指針を適用しており、所有する固定資産の収益性の低下や価格の下落等により、減損損失が発生した場合には、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦各種規制の変更に伴うリスク
将来における規制、法律、政策、実務慣行、解釈等の変更並びにそれらによって発生する事態が、当行の事業や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。