有価証券報告書-第86期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 12:57
【資料】
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【項目】
133項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループ(当行及び連結子会社)が判断したものであります。
金融業務が一段と多様化、高度化するなかで、取り巻くリスクも多岐にわたり複雑化しております。当行では、現実に存在するリスクを的確に把握し、発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努めております。
当行では、リスクを要因別に信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスクの4つのカテゴリーに分類し、それぞれにリスク主管部を定め、各々のリスク特性に応じた適切なリスク管理を行うとともに、経営管理部がこれらのリスクを統合的に管理しております。具体的には、統計的手法等によりリスク量の計測を行い、信用リスク、市場リスク、オペレーショナルリスクについてリスク資本を配賦し、経営として許容できる範囲にリスクを制御しております。統合的リスクの状況は毎月開催している経営会議、ALM会議等に報告し、必要な施策を機動的に実施する態勢としております。
(ア)信用リスク
信用リスクとは、信用供与先の財務状況の悪化等により元本や利息が回収できなくなるリスクをいいます。
当行の債権中に占める金融再生法開示債権の比率、いわゆる不良債権比率は平成26年3月末の3.22%が平成27年3月末には2.81%となりました。
業績への影響(損失の発生)は、貸倒引当金の追加、貸出金の償却及び債権の売却損の計上でありますが、当行は事前に損失が予測される部分に十分な引当を行っており、その影響は限定的なものになります。
しかしながら、取引先の経営状況の悪化や担保価格の下落等が発生した場合には、追加引当が必要になるなど、当行の業績に影響を与える可能性があります。
(イ)市場リスク
市場リスクとは金利、為替、有価証券価格等の変動により、保有するオフバランスを含む資産・負債等の価値が変動し損失を被るリスクをいいます。
当行は、国債等の債券、株式、投資信託等、また外貨建取引による資産及び負債を保有しており、将来の債券価格や株価の下落あるいは為替レートの変動等により損失が発生し、当行の業績に影響を与える可能性があります。
当行におきましては、リスクを適正にコントロールし、収益性と健全性の両立を目指した適切な対策を講じるため、総合企画部内に収益管理室を設置し、市場動向、資産・負債状況の把握・分析などALM(資産・負債の総合管理)の充実に注力しています。
(ウ)流動性リスク
当行の財務内容の悪化等により必要な資金が確保できなかったり、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク、および市場の混乱等により市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格で取引を余儀なくされることにより損失を被るリスクがあります。
(エ)オペレーショナルリスク
① 事務リスク
銀行では、預金、融資、為替等多くの事務処理を正確にかつ迅速に行う必要があります。事務ミスによる事故を回避するため、当行では規程、マニュアル等の一層の充実を図るとともに本部集合研修や臨店指導による営業現場の指導を通して、絶えず管理能力向上と事務レベルアップに努めています。
② システムリスク
金融機関においては、コンピュータの停止は社会的に大きな影響を及ぼします。当行は、このリスクを回避するため、ホストコンピュータを常時2台以上稼働させ、一方が故障しても他方でバックアップできる体制を取っています。また電源設備や営業店との通信回線等についても二重化を図っています。さらに、災害等に備えバックアップセンターを構築し、元帳・プログラム等の重要ファイルは毎日隔地保管を行うなど、万全のリスク管理体制で取り組んでいます。
さらに、現状の管理態勢については定期的に見直しを行い、ホストコンピュータ等を計画的に更改するなどの対策を実施しています。
③ リーガルリスク
当行グループは各種法令等に則り業務を遂行していますが、各種取引等において法律関係に不確実性、不備が発生した場合やコンプライアンスの欠如により、信用の毀損や損失が発生する可能性があります。
④ イベントリスク
犯罪・自然災害等の発生により、店舗等の損傷による損失の他、当行グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。
⑤ レピュテーショナルリスク
レピュテーショナルリスクとは経営内容が誤って伝えられる風評等により損失を被るリスクをいいます。
当行のような金融機関にとって、特に信用を損なう風評は不測の損失を発生させる可能性があるものと認識しております。
当リスクについては、当行では過去に悪質なデマに端を発した預金の流出がありました。デマが原因でこのような事態となったことは非常に残念なことでしたが、預金者の方々により親しまれかつ信頼される関係の構築に努めてまいりました。その結果、総預金残高は平成17年3月以降毎期連続して増加しています。
今後とも、お客さまとのリレーションの構築を通じて、収益の増強と不良債権の処理を進め、健全な銀行であることを皆さまにお伝えすることに努めてまいります。
⑥ 人的リスク
人事運営上の不公平・不公正(報酬・手当・解雇等の問題)や差別的行為(パワーハラスメント・セクシャルハラスメント等)により、信用の毀損や損失が発生する可能性があります。
(オ)自己資本比率
当行の連結自己資本比率及び単体自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づく平成18年金融庁告示第19号に定められた算式に基づき算出しており、当行は国内基準を採用しております。
当行の自己資本比率が要求される基準(4%)を下回った場合には、金融庁長官から、業務の全部又は一部の停止等の命令を受けることとなります。当行の自己資本比率に影響を与える要因としては以下のもの等が含まれます。
a.有価証券ポートフォリオの価値の低下等(上記(イ)市場リスク)
b.債務者の信用力の悪化等(上記(ア)信用リスク)に際して生じうる与信関係費用の増加
c.繰延税金資産の資産性低下又は算入制限(※)
d.自己資本比率の基準及び算定方法の変更
※ 繰延税金資産の計上は、将来の課税所得など様々な予測・仮定に基づくものであるため、当行が将来繰延税金資産の一部が回収できないと判断した場合、その一部は取り崩され、自己資本比率の低下につながる可能性があります。