有価証券報告書-第118期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
(3)【監査の状況】
① 監査委員会監査の状況
監査委員会監査の組織、人員および手続き
2022年3月31日現在、当社の監査委員会は、2名の社外取締役および執行役を兼務せず業務執行を行わない1名の常勤取締役で構成されています。監査委員会は、米国企業改革法ならびに関連する米国証券取引委員会規則およびニューヨーク証券取引所規則で定めるところにより、委員の全員は独立でなければならないとしており、また、原則として委員のうち1名以上は財務専門家としています。
監査委員長(社外)の島崎憲明は、企業経営についての豊富な経験を有するとともに、米国企業改革法に基づく財務専門家であり、また、監査委員(社外)の園マリは、長年の公認会計士としての経験を有しており、それぞれ財務および会計に関する相当程度の知見を有しております。2021年6月21日まで監査委員(常勤)を務めた宮下尚人は、当社を含む複数の証券会社において長年法務・コンプライアンス業務に従事し、野村グループのコンプライアンス統括責任者を務めるなど、コンプライアンス分野における豊富な経験と知見を有し、また、2021年6月21日に監査委員(常勤)に就いた小川祥司は、グループ・インターナル・オーディット担当を務めるなど、野村グループのガバナンス、内部統制および内部監査分野における豊富な経験と知見を有しております。
なお、企業経営および金融業についての豊富な経験を有し、法律、規制およびコーポレート・ガバナンスに関する高い専門性を有するVictor Chu[ビクター・チュー]が2022年6月20日に監査委員に就任し、その後の監査委員会の構成は、3名の社外取締役と執行役を兼務せず業務執行を行わない1名の常勤取締役となっております。
当社は、監査委員会による監査の実効性を高めるため、執行役を兼務しない常勤の取締役を常勤監査委員または「監査特命取締役」として必要に応じて任命することができるとしております。また、監査委員会および取締役の職務を補助する専任の部署として「取締役会室」を設置しております。取締役会室の業務執行からの独立性を確保するため、同室の使用人の人事考課は、監査委員会または監査委員会が選定する監査委員が行っており、同室の使用人にかかる採用・異動・懲戒についても監査委員会または監査委員会が選定する監査委員の同意を必要としております。
監査委員会は、監査の方針、職務の分担等を定め、それに従い、野村グループの内部統制システムの構築・運用の状況を監視・検証し、取締役および執行役の職務の執行の適法性・妥当性・効率性について監査を行います。また、監査委員長は主たる子会社である野村證券の監査等委員長を兼務しており、監査委員会は、野村證券の社外の監査等委員2名を含む監査等委員会および3名の監査特命取締役と連携して監査活動を行っております。監査委員会は、社内の内部統制部門等および野村證券以外の国内外の子会社の監査委員、監査等委員、監査役等とも連携するとともに、内部監査部門および会計監査人と協働して実効的かつ効率的に監査を行っており、毎年自己評価を実施し、課題を明確にすることで監査活動の高度化につなげております。
また、監査委員会は、会計監査人の職務の執行状況を監視・検証し、年次評価を実施しており、監査委員会が定めた「監査法人に関する評価基準」に基づき、会計監査人の法令等の遵守の状況、独立性および審査体制を含む品質管理体制、監査の有効性等について確認し、常勤監査委員が会計監査人の品質管理の責任者との面談も行っております。その結果、会計監査人は当グループの監査に必要な体制および監査品質を維持しており、監査委員会の定める「会計監査人の解任又は不再任の決定の方針」に該当する事実は認められないため、2023年3月期について会計監査人を再任することを監査委員会で決定しております。
監査委員会の活動状況
監査委員会は、グループワイドかつグローバルおよびリスク・ベースという観点から、1)健全な企業文化の定着、2)グループのガバナンス態勢と実効性の強化、3)中長期的な経営戦略の実現に向けた取り組み、4)堅固な内部統制システムの構築と経営管理の強化、を重点監査項目とし、監査を行いました。特に、2021年3月に発生した米国顧客との取引に起因する多額の損失事案について、監査委員会は、外部法律事務所を起用して調査を実施し、調査結果を踏まえ、リスク管理態勢の更なる強化の必要性について意見および提言を取締役会に報告するとともに、当社がリスク管理フレームワークの総合的な検証を実施し、社外専門家の意見も取り入れつつ、グループ一体となってリスク管理の高度化に取り組んでいることを確認いたしました。
当連結会計年度は、前期に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大により、直接の対面による会議やヒアリング、および訪問による国内外の往査等の実施が困難だったため、書面による質疑応答や電話会議またはWeb会議等を活用し、監査の実効性に支障を来すことなく、監査計画に沿った活動を行いました。
当連結会計年度において監査委員会は、野村證券の監査等委員会との合同開催を含め、24回開催され、単独で開催したうちの2回は、海外地域を統括する持株子会社の監査委員長が参加するグローバル会議でした。各監査委員とも、そのすべてに出席しております。
監査委員会は、代表執行役をはじめとする執行役、執行役員、内部統制部門等の主要な社員等および会計監査人等に延べ50回のヒアリングを実施し、常勤監査委員および野村證券の3名の監査特命取締役から監査活動の報告を受けたほか、監査委員自ら重要な会議への出席、執行役、執行役員等および会計監査人へのヒアリング等を行い、取締役および執行役等の職務執行の状況や内部統制システムの整備・運用状況について検討いたしました。
監査委員会は、取締役会への定期的な職務執行状況報告の中で、特に重要と判断される事項については、「監査活動所見」という形で指摘または提案を行い、監査委員以外の取締役とも意見の交換を行っております。また、監査委員会は執行との双方向のコミュニケーションを図り、「監査活動所見」に対する執行の対応を監視・検証いたしました。
加えて、監査委員会は、会計監査人および内部監査部門と、監査上の問題認識などの共有と意見の交換を緊密に行っております。会計監査人には、当社の事業の状況および監査委員の問題意識について理解を深められるよう、執行役、執行役員等の考えを聞く機会を提供しており、会計監査人は監査委員会の主なヒアリングに陪席しております。また、監査委員長および常勤監査委員は、会計監査人および内部監査部門担当執行役員との三様監査の月次会議を行っており、その中で、会計監査人の海外メンバーファームの監査チームのメンバーとも意見交換を行っております。さらに、前期と同様に当連結会計年度の期末監査において、コロナ禍対応としてのリモートワークなどが監査実務に影響し従来以上に関係者間の緊密な調整を要するという認識のもと、常勤監査委員は会計監査人および内部監査部門担当執行役員と週次の会議を行い、会計監査人より監査上の主要な検討事項および監査の進捗状況、内部監査部門担当執行役員より内部統制評価の状況について報告を受け、協議を行いました。
なお、当連結会計年度に監査委員会が聴取した主な内容は、次のとおりです。
また、当連結会計年度の各監査委員の重要な会議への出席または陪席および会計監査人との連携の状況は、次のとおりです。
(*)宮下尚人または小川祥司
常勤の監査委員および野村證券の3名の監査特命取締役は、他の監査委員との間で職務を分担し、上記の他にも経営会議、グループ・リスク管理委員会、リスク管理高度化推進委員会等の重要な会議への出席または陪席、執行役・執行役員および内部統制関連部署の主要な社員等に対するヒアリング、営業部店および本社部署ならびに海外拠点へのヒアリングを行うなどの方法により、業務執行の状況等を監査し、その結果を監査委員会に報告しています。
さらに、常勤の監査委員、野村證券の3名の監査特命取締役、および取締役会室員は、主要な子会社について当該会社の取締役または監査役等を務め業務執行の状況等を監視するなどの方法により、野村グループの監査活動の充実に努めております。
当連結会計年度において常勤の監査委員、野村證券の監査特命取締役、または国内子会社の監査役を務める取締役会室員は、執行役、執行役員、それらの傘下の国内外の主要な社員等および会計監査人等との延べ270回のヒアリング等を行った他、営業部店および本社部署あわせて46部室店へのヒアリング、海外4拠点へのヒアリングを行いました。
② 内部監査の状況
内部監査の組織、人員および手続き
当社は内部統制の有効性および妥当性を確保するため、業務執行から独立したグループ・インターナル・オーディット部を設置するとともに、傘下の国内外の主要な子会社にも同様に内部監査専任部署(人員)を設置し、総勢200名弱で野村グループにおけるビジネスやコーポレート・ファンクションを横断的に監査する態勢を構築しております。野村グループの内部監査部門では、監査資源を有効かつ効率的に活用するために、内部監査の対象となるビジネスや業務毎にリスク・アセスメントを行い、内在するリスクの種類や程度に応じて監査資源を割り当てるべく、内部監査実施計画の策定や実施に努めております。なお、内部監査の実施状況は、監査委員会へ報告されております。
内部監査、監査委員会監査および会計監査の相互連携ならびにこれらの監査と内部統制部門との関係
監査委員会は、内部監査を担当する執行役員または監査委員を通じて、内部監査体制の整備・運用状況、内部監査の実施状況の報告を受けるなど、内部監査部門との連携を図っており、特筆すべき事項については、監査委員会から取締役会への定期的な報告の中で報告しています。当社の社外取締役は、これらの報告を通じて内部監査における課題等を認識し、必要に応じて執行に対する助言等を行っております。
また、監査委員は執行役に対し、内部監査にかかる実施計画の変更、追加監査の実施および改善策の策定を勧告することができることとしております。
さらに、監査委員会は、内部監査が業務改善を通じた組織の価値向上と保全を推進すべく、監査範囲の適切性や監査人員の十分性について判断できるよう、内部監査部門の責任者に適宜報告を求めることができることとなっています。内部監査にかかる実施計画および予算の策定については、監査委員会または監査委員会の選定する監査委員の承認を得るものとし、内部監査部門の責任者の選解任については、監査委員会または監査委員会の選定する監査委員の同意を必要としております。
会計監査人について、監査委員会は、会計監査人の年次監査計画を承認し、会計監査人から四半期に一度以上の頻度で会計監査に関する報告および説明を受けるほか、随時会計監査人と情報交換を行い、会計監査人の監査の方法および結果の相当性について監査するとともに、計算書類等につき検証しています。また、会計監査人に対する監査報酬については、CFOの説明を受け監査委員会として同意しております。これに加えて、会計監査人およびその関連会社が、当社および当社の子会社に対して提供する業務の内容および報酬については、米国企業改革法および関連する米国証券取引委員会(SEC)規則に基づき、CFOの申請を受け、監査委員会で協議・事前承認する手続きを定めております。
また、監査委員は、必要に応じて会計監査人から直接報告を受けるほか、監査委員長と常勤の監査委員は、会計監査人および内部監査を担当する執行役員と、定例の会議を設けて監査上の問題認識などの共有と意見の交換を行っており、野村グループの監査活動の充実に努めております。
③ 会計監査の状況
a.監査法人の名称
EY新日本有限責任監査法人
b.継続監査期間
1973年以降(1978年から2002年までの他の監査人との共同監査期間を含む)
c.業務を執行した公認会計士
(注)監査年数については7年以内であるため記載を省略しております。
d.監査業務にかかる補助者の構成
(注) その他は、公認会計士試験合格者、システム監査担当者等であります。
e.監査法人の選定方針と理由
監査委員会は、会計監査人から直接、職務の執行状況を聴取したほか、社内の財務部門、内部監査部門からも意見を聴取し、会計監査人の職務執行状況等を確認、検証したところ、「会計監査人の解任または不再任の決定の方針」に該当する事実は認められず、再任するのが妥当と判断しました。
f.会計監査人の解任または不再任の決定の方針
1.会計監査人が会社法第340条第1項各号のいずれかに該当する場合、監査委員会は会計監査人の解任を検討し、解任が相当であると認められるときは、監査委員会の委員全員の同意により会計監査人を解任します。この場合、監査委員会が選定した監査委員は、解任後最初に招集される株主総会において、会計監査人を解任した旨および解任の理由を報告します。
2.監査委員会が、会計監査人に適正性の面で問題があると判断する場合、またはより適切な監査体制の整備が必要であると判断する場合は、会計監査人の解任または不再任を株主総会の提出議案とします。
g.監査委員会による監査法人の評価
監査委員会は、監査委員会が定めた評価基準に従い、会計監査人について評価を行いました。
会計監査人の関係法令等の遵守状況、独立性、監査法人が整備し運用すべきとされる品質管理システムの状況、当社の監査の状況等について確認した結果、監査委員会は、会計監査人が当社の監査を行うために必要とされる金融商品の評価や米国会計基準等に関する専門的能力とともにグローバルなネットワークを備えており、当連結会計年度において適切な監査が実施されたものと認識しております。
④ 監査報酬の内容等
a.監査公認会計士等に対する報酬
当社および連結子会社における非監査業務の内容は、公認会計士法第2条第1項に規定する業務以外の会計事項にかかる助言等の役務提供等およびコンフォートレター作成業務等があります。
b.監査公認会計士等と同一のネットワークに属する組織に対する報酬(a.を除く)
当社および連結子会社における非監査業務の内容は、税務申告サポート業務および税務コンプライアンスに関するアドバイザリー業務等があります。
c.その他の重要な監査証明業務に基づく報酬の内容
該当事項はありません。
d.監査報酬の決定方針
監査公認会計士等に対する監査報酬については、財務統括責任者(CFO)が、過年度の実績、監査の実施範囲、監査手続、監査体制、年間計画等を勘案し、品質の高い会計監査を実施するために妥当な金額であるかを検討の上、監査委員会の同意または事前承認を経て決定しております。また、EY新日本有限責任監査法人、その提携会計事務所であるアーンスト アンド ヤングならびに同一のネットワークに属している関係会社等が野村に対して提供する非監査業務の内容および報酬については、CFOの申請を受け、監査委員会で協議・事前承認する手続を定めております。
e.監査役会が会計監査人の報酬等に同意した理由
監査委員会は、財務統括責任者(CFO)、社内関係部署および会計監査人から必要な資料を入手し報告を受け、会計監査人の監査チーム体制、監査計画、監査の実施状況、監査法人の品質管理体制の整備状況および報酬見積もりの算出根拠等について確認しました。また、監査委員会は、米国企業改革法(サーベンス・オクスリー法)第202条等に基づく事前承認手続きを行っております。監査委員会は、これらの確認および手続きの結果を踏まえ、会計監査人の報酬等について検証を行い、監査品質を維持向上していくために合理的な水準であると判断し、会社法第399条第1項の同意をいたしました。
① 監査委員会監査の状況
監査委員会監査の組織、人員および手続き
2022年3月31日現在、当社の監査委員会は、2名の社外取締役および執行役を兼務せず業務執行を行わない1名の常勤取締役で構成されています。監査委員会は、米国企業改革法ならびに関連する米国証券取引委員会規則およびニューヨーク証券取引所規則で定めるところにより、委員の全員は独立でなければならないとしており、また、原則として委員のうち1名以上は財務専門家としています。
監査委員長(社外)の島崎憲明は、企業経営についての豊富な経験を有するとともに、米国企業改革法に基づく財務専門家であり、また、監査委員(社外)の園マリは、長年の公認会計士としての経験を有しており、それぞれ財務および会計に関する相当程度の知見を有しております。2021年6月21日まで監査委員(常勤)を務めた宮下尚人は、当社を含む複数の証券会社において長年法務・コンプライアンス業務に従事し、野村グループのコンプライアンス統括責任者を務めるなど、コンプライアンス分野における豊富な経験と知見を有し、また、2021年6月21日に監査委員(常勤)に就いた小川祥司は、グループ・インターナル・オーディット担当を務めるなど、野村グループのガバナンス、内部統制および内部監査分野における豊富な経験と知見を有しております。
なお、企業経営および金融業についての豊富な経験を有し、法律、規制およびコーポレート・ガバナンスに関する高い専門性を有するVictor Chu[ビクター・チュー]が2022年6月20日に監査委員に就任し、その後の監査委員会の構成は、3名の社外取締役と執行役を兼務せず業務執行を行わない1名の常勤取締役となっております。
当社は、監査委員会による監査の実効性を高めるため、執行役を兼務しない常勤の取締役を常勤監査委員または「監査特命取締役」として必要に応じて任命することができるとしております。また、監査委員会および取締役の職務を補助する専任の部署として「取締役会室」を設置しております。取締役会室の業務執行からの独立性を確保するため、同室の使用人の人事考課は、監査委員会または監査委員会が選定する監査委員が行っており、同室の使用人にかかる採用・異動・懲戒についても監査委員会または監査委員会が選定する監査委員の同意を必要としております。
監査委員会は、監査の方針、職務の分担等を定め、それに従い、野村グループの内部統制システムの構築・運用の状況を監視・検証し、取締役および執行役の職務の執行の適法性・妥当性・効率性について監査を行います。また、監査委員長は主たる子会社である野村證券の監査等委員長を兼務しており、監査委員会は、野村證券の社外の監査等委員2名を含む監査等委員会および3名の監査特命取締役と連携して監査活動を行っております。監査委員会は、社内の内部統制部門等および野村證券以外の国内外の子会社の監査委員、監査等委員、監査役等とも連携するとともに、内部監査部門および会計監査人と協働して実効的かつ効率的に監査を行っており、毎年自己評価を実施し、課題を明確にすることで監査活動の高度化につなげております。
また、監査委員会は、会計監査人の職務の執行状況を監視・検証し、年次評価を実施しており、監査委員会が定めた「監査法人に関する評価基準」に基づき、会計監査人の法令等の遵守の状況、独立性および審査体制を含む品質管理体制、監査の有効性等について確認し、常勤監査委員が会計監査人の品質管理の責任者との面談も行っております。その結果、会計監査人は当グループの監査に必要な体制および監査品質を維持しており、監査委員会の定める「会計監査人の解任又は不再任の決定の方針」に該当する事実は認められないため、2023年3月期について会計監査人を再任することを監査委員会で決定しております。
監査委員会の活動状況
監査委員会は、グループワイドかつグローバルおよびリスク・ベースという観点から、1)健全な企業文化の定着、2)グループのガバナンス態勢と実効性の強化、3)中長期的な経営戦略の実現に向けた取り組み、4)堅固な内部統制システムの構築と経営管理の強化、を重点監査項目とし、監査を行いました。特に、2021年3月に発生した米国顧客との取引に起因する多額の損失事案について、監査委員会は、外部法律事務所を起用して調査を実施し、調査結果を踏まえ、リスク管理態勢の更なる強化の必要性について意見および提言を取締役会に報告するとともに、当社がリスク管理フレームワークの総合的な検証を実施し、社外専門家の意見も取り入れつつ、グループ一体となってリスク管理の高度化に取り組んでいることを確認いたしました。
重点監査項目 | 監査の主なポイント |
1)健全な企業文化の定着 | ①高い職業倫理とコンプライアンス、野村グループ行動規範のグループワイドな浸透 ②リスク・カルチャーの定着 ③第1線管理の強化、お客様本位の業務運営の実現 |
2)グループのガバナンス態勢と実効性の強化 | ①グループ全体ならびに各地域ガバナンス態勢の適切な構築と運営 ②委託先の適切な管理 ③戦略投資における意思決定と投資後のモニタリング ④開示拡大への対応、非財務情報の適切な開示 |
3)中長期的な経営戦略の実現に向けた取り組み | ①ビジネス領域をパブリックからプライベートへ広げる経営方針に沿った施策の実行 ②各事業のリスク・リターンや事業間のシナジー効果等の検証、課題への迅速な対処 ③コーポレート・トランスフォーメーションやデジタル・トランスフォーメーションへの対応 ④本業を通じたサステナビリティへの取り組み強化と推進 ⑤次世代を見据えた人材確保のための採用、育成・キャリア開発と適切な評価 |
4)堅固な内部統制システムの構築と経営管理の強化 | ①全社的なコンダクト・リスク管理態勢の整備ならびに強化 ②野村グループのリスク管理態勢およびリスク・ガバナンスの整備、リスク管理フレームワークの進化 ③資本管理、負債管理、流動性管理などの財務関連規制への対応 ④反社会的勢力との絶縁とマネー・ローンダリング防止、不正行為の防止 ⑤サイバー攻撃への防御レベルの向上 |
当連結会計年度は、前期に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大により、直接の対面による会議やヒアリング、および訪問による国内外の往査等の実施が困難だったため、書面による質疑応答や電話会議またはWeb会議等を活用し、監査の実効性に支障を来すことなく、監査計画に沿った活動を行いました。
当連結会計年度において監査委員会は、野村證券の監査等委員会との合同開催を含め、24回開催され、単独で開催したうちの2回は、海外地域を統括する持株子会社の監査委員長が参加するグローバル会議でした。各監査委員とも、そのすべてに出席しております。
単独・合同の別 | 主な内容 | 回数 | 平均所要時間 |
単独開催 | ・監査活動等に関する審議 ・執行役、執行役員等からの報告 ・各地域監査委員長とのディスカッション ・常勤監査委員等からの監査活動報告 | 10回 | 約1時間15分 |
野村證券監査等委員会との合同開催 | ・監査基本計画、内部監査にかかる実施計画および予算の承認、会計監査人の解任または不再任、会計監査人の報酬に関する同意、取締役会への職務執行状況報告、監査報告書作成等の決議事項の審議 ・執行役、執行役員等からの報告 ・会計監査人からの報告 ・常勤監査委員等からの監査活動報告 | 14回 | 約3時間30分 |
合計 | 24回 | 約2時間30分 |
監査委員会は、代表執行役をはじめとする執行役、執行役員、内部統制部門等の主要な社員等および会計監査人等に延べ50回のヒアリングを実施し、常勤監査委員および野村證券の3名の監査特命取締役から監査活動の報告を受けたほか、監査委員自ら重要な会議への出席、執行役、執行役員等および会計監査人へのヒアリング等を行い、取締役および執行役等の職務執行の状況や内部統制システムの整備・運用状況について検討いたしました。
監査委員会は、取締役会への定期的な職務執行状況報告の中で、特に重要と判断される事項については、「監査活動所見」という形で指摘または提案を行い、監査委員以外の取締役とも意見の交換を行っております。また、監査委員会は執行との双方向のコミュニケーションを図り、「監査活動所見」に対する執行の対応を監視・検証いたしました。
加えて、監査委員会は、会計監査人および内部監査部門と、監査上の問題認識などの共有と意見の交換を緊密に行っております。会計監査人には、当社の事業の状況および監査委員の問題意識について理解を深められるよう、執行役、執行役員等の考えを聞く機会を提供しており、会計監査人は監査委員会の主なヒアリングに陪席しております。また、監査委員長および常勤監査委員は、会計監査人および内部監査部門担当執行役員との三様監査の月次会議を行っており、その中で、会計監査人の海外メンバーファームの監査チームのメンバーとも意見交換を行っております。さらに、前期と同様に当連結会計年度の期末監査において、コロナ禍対応としてのリモートワークなどが監査実務に影響し従来以上に関係者間の緊密な調整を要するという認識のもと、常勤監査委員は会計監査人および内部監査部門担当執行役員と週次の会議を行い、会計監査人より監査上の主要な検討事項および監査の進捗状況、内部監査部門担当執行役員より内部統制評価の状況について報告を受け、協議を行いました。
なお、当連結会計年度に監査委員会が聴取した主な内容は、次のとおりです。
監査活動 | 主な内容 |
執行役、執行役員等からの報告 | ・グループCEO、中国委員会主席、営業部門長、ホールセール部門長、インベストメント・マネジメント部門長、未来共創カンパニー長、コーポレート統括兼CCO、CFO、CRO、CSO等の職務執行状況 ・グループCEO、CFOからの年次報告書(フォーム20-F)に添付される宣誓書、有価証券報告書に関する確認書および内部統制報告書についての報告 ・CFOからの四半期決算概要 ・内部監査部門報告(内部監査にかかる実施計画および予算の申請を含む。) |
会計監査人からの報告 | ・監査および四半期レビュー計画(日本基準および米国基準) ・四半期レビュー結果 ・会社法監査結果 ・CAM/KAM(監査上の主要な検討事項) ・内部統制に関する統合監査の状況および結果 ・日本公認会計士協会の品質管理レビューおよび公認会計士・監査審査会検査の結果等 ・先端デジタル技術を活用した監査の推進状況 |
また、当連結会計年度の各監査委員の重要な会議への出席または陪席および会計監査人との連携の状況は、次のとおりです。
監査活動 | 主な内容 | 監査委員長(社外) | 監査委員 (社外) | 監査委員 (常勤)(*) |
重要な会議への出席または陪席 | ・取締役会 | 12回/12回 | 12回/12回 | 12回/12回 |
・リスク委員会 | 4回/4回 | ― | 4回/4回 | |
・内部統制委員会 | 5回/5回 | ― | 5回/5回 | |
会計監査人との連携 | ・会計監査人および内部監査部門担当執行役員との月次会議(三様監査定例) | 12回/12回 | ― | 12回/12回 |
(*)宮下尚人または小川祥司
常勤の監査委員および野村證券の3名の監査特命取締役は、他の監査委員との間で職務を分担し、上記の他にも経営会議、グループ・リスク管理委員会、リスク管理高度化推進委員会等の重要な会議への出席または陪席、執行役・執行役員および内部統制関連部署の主要な社員等に対するヒアリング、営業部店および本社部署ならびに海外拠点へのヒアリングを行うなどの方法により、業務執行の状況等を監査し、その結果を監査委員会に報告しています。
さらに、常勤の監査委員、野村證券の3名の監査特命取締役、および取締役会室員は、主要な子会社について当該会社の取締役または監査役等を務め業務執行の状況等を監視するなどの方法により、野村グループの監査活動の充実に努めております。
当連結会計年度において常勤の監査委員、野村證券の監査特命取締役、または国内子会社の監査役を務める取締役会室員は、執行役、執行役員、それらの傘下の国内外の主要な社員等および会計監査人等との延べ270回のヒアリング等を行った他、営業部店および本社部署あわせて46部室店へのヒアリング、海外4拠点へのヒアリングを行いました。
② 内部監査の状況
内部監査の組織、人員および手続き
当社は内部統制の有効性および妥当性を確保するため、業務執行から独立したグループ・インターナル・オーディット部を設置するとともに、傘下の国内外の主要な子会社にも同様に内部監査専任部署(人員)を設置し、総勢200名弱で野村グループにおけるビジネスやコーポレート・ファンクションを横断的に監査する態勢を構築しております。野村グループの内部監査部門では、監査資源を有効かつ効率的に活用するために、内部監査の対象となるビジネスや業務毎にリスク・アセスメントを行い、内在するリスクの種類や程度に応じて監査資源を割り当てるべく、内部監査実施計画の策定や実施に努めております。なお、内部監査の実施状況は、監査委員会へ報告されております。
内部監査、監査委員会監査および会計監査の相互連携ならびにこれらの監査と内部統制部門との関係
監査委員会は、内部監査を担当する執行役員または監査委員を通じて、内部監査体制の整備・運用状況、内部監査の実施状況の報告を受けるなど、内部監査部門との連携を図っており、特筆すべき事項については、監査委員会から取締役会への定期的な報告の中で報告しています。当社の社外取締役は、これらの報告を通じて内部監査における課題等を認識し、必要に応じて執行に対する助言等を行っております。
また、監査委員は執行役に対し、内部監査にかかる実施計画の変更、追加監査の実施および改善策の策定を勧告することができることとしております。
さらに、監査委員会は、内部監査が業務改善を通じた組織の価値向上と保全を推進すべく、監査範囲の適切性や監査人員の十分性について判断できるよう、内部監査部門の責任者に適宜報告を求めることができることとなっています。内部監査にかかる実施計画および予算の策定については、監査委員会または監査委員会の選定する監査委員の承認を得るものとし、内部監査部門の責任者の選解任については、監査委員会または監査委員会の選定する監査委員の同意を必要としております。
会計監査人について、監査委員会は、会計監査人の年次監査計画を承認し、会計監査人から四半期に一度以上の頻度で会計監査に関する報告および説明を受けるほか、随時会計監査人と情報交換を行い、会計監査人の監査の方法および結果の相当性について監査するとともに、計算書類等につき検証しています。また、会計監査人に対する監査報酬については、CFOの説明を受け監査委員会として同意しております。これに加えて、会計監査人およびその関連会社が、当社および当社の子会社に対して提供する業務の内容および報酬については、米国企業改革法および関連する米国証券取引委員会(SEC)規則に基づき、CFOの申請を受け、監査委員会で協議・事前承認する手続きを定めております。
また、監査委員は、必要に応じて会計監査人から直接報告を受けるほか、監査委員長と常勤の監査委員は、会計監査人および内部監査を担当する執行役員と、定例の会議を設けて監査上の問題認識などの共有と意見の交換を行っており、野村グループの監査活動の充実に努めております。
③ 会計監査の状況
a.監査法人の名称
EY新日本有限責任監査法人
b.継続監査期間
1973年以降(1978年から2002年までの他の監査人との共同監査期間を含む)
c.業務を執行した公認会計士
業務を執行した公認会計士の氏名 | 所属する監査法人名 |
指定有限責任社員 業務執行社員 松村 洋季 | EY新日本有限責任監査法人 |
指定有限責任社員 業務執行社員 湯原 尚 | EY新日本有限責任監査法人 |
指定有限責任社員 業務執行社員 津村 健二郎 | EY新日本有限責任監査法人 |
指定有限責任社員 業務執行社員 桒田 俊郎 | EY新日本有限責任監査法人 |
(注)監査年数については7年以内であるため記載を省略しております。
d.監査業務にかかる補助者の構成
公認会計士 | 29 | 名 |
その他 | 126 | 名 |
(注) その他は、公認会計士試験合格者、システム監査担当者等であります。
e.監査法人の選定方針と理由
監査委員会は、会計監査人から直接、職務の執行状況を聴取したほか、社内の財務部門、内部監査部門からも意見を聴取し、会計監査人の職務執行状況等を確認、検証したところ、「会計監査人の解任または不再任の決定の方針」に該当する事実は認められず、再任するのが妥当と判断しました。
f.会計監査人の解任または不再任の決定の方針
1.会計監査人が会社法第340条第1項各号のいずれかに該当する場合、監査委員会は会計監査人の解任を検討し、解任が相当であると認められるときは、監査委員会の委員全員の同意により会計監査人を解任します。この場合、監査委員会が選定した監査委員は、解任後最初に招集される株主総会において、会計監査人を解任した旨および解任の理由を報告します。
2.監査委員会が、会計監査人に適正性の面で問題があると判断する場合、またはより適切な監査体制の整備が必要であると判断する場合は、会計監査人の解任または不再任を株主総会の提出議案とします。
g.監査委員会による監査法人の評価
監査委員会は、監査委員会が定めた評価基準に従い、会計監査人について評価を行いました。
会計監査人の関係法令等の遵守状況、独立性、監査法人が整備し運用すべきとされる品質管理システムの状況、当社の監査の状況等について確認した結果、監査委員会は、会計監査人が当社の監査を行うために必要とされる金融商品の評価や米国会計基準等に関する専門的能力とともにグローバルなネットワークを備えており、当連結会計年度において適切な監査が実施されたものと認識しております。
④ 監査報酬の内容等
a.監査公認会計士等に対する報酬
区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
監査証明業務に 基づく報酬(百万円) | 非監査業務に 基づく報酬(百万円) | 監査証明業務に 基づく報酬(百万円) | 非監査業務に 基づく報酬(百万円) | |
提出会社 | 963 | 50 | 966 | 66 |
連結子会社 | 391 | 53 | 394 | 64 |
計 | 1,354 | 103 | 1,360 | 130 |
当社および連結子会社における非監査業務の内容は、公認会計士法第2条第1項に規定する業務以外の会計事項にかかる助言等の役務提供等およびコンフォートレター作成業務等があります。
b.監査公認会計士等と同一のネットワークに属する組織に対する報酬(a.を除く)
区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
監査証明業務に 基づく報酬(百万円) | 非監査業務に 基づく報酬(百万円) | 監査証明業務に 基づく報酬(百万円) | 非監査業務に 基づく報酬(百万円) | |
提出会社 | - | 0 | - | 0 |
連結子会社 | 2,088 | 294 | 2,437 | 340 |
計 | 2,088 | 294 | 2,437 | 340 |
当社および連結子会社における非監査業務の内容は、税務申告サポート業務および税務コンプライアンスに関するアドバイザリー業務等があります。
c.その他の重要な監査証明業務に基づく報酬の内容
該当事項はありません。
d.監査報酬の決定方針
監査公認会計士等に対する監査報酬については、財務統括責任者(CFO)が、過年度の実績、監査の実施範囲、監査手続、監査体制、年間計画等を勘案し、品質の高い会計監査を実施するために妥当な金額であるかを検討の上、監査委員会の同意または事前承認を経て決定しております。また、EY新日本有限責任監査法人、その提携会計事務所であるアーンスト アンド ヤングならびに同一のネットワークに属している関係会社等が野村に対して提供する非監査業務の内容および報酬については、CFOの申請を受け、監査委員会で協議・事前承認する手続を定めております。
e.監査役会が会計監査人の報酬等に同意した理由
監査委員会は、財務統括責任者(CFO)、社内関係部署および会計監査人から必要な資料を入手し報告を受け、会計監査人の監査チーム体制、監査計画、監査の実施状況、監査法人の品質管理体制の整備状況および報酬見積もりの算出根拠等について確認しました。また、監査委員会は、米国企業改革法(サーベンス・オクスリー法)第202条等に基づく事前承認手続きを行っております。監査委員会は、これらの確認および手続きの結果を踏まえ、会計監査人の報酬等について検証を行い、監査品質を維持向上していくために合理的な水準であると判断し、会社法第399条第1項の同意をいたしました。