有価証券報告書-第116期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(3)【監査の状況】
① 監査委員会監査の状況
監査委員会監査の組織、人員および手続き
当社の監査委員会は、2名の社外取締役と執行役を兼務せず業務執行を行わない1名の常勤取締役で構成されています。監査委員会は、米国企業改革法ならびに関連する米国証券取引委員会規則およびニューヨーク証券取引所規則で定めるところにより、委員の全員は独立でなければならないとしており、また、原則として委員のうち1名以上は財務専門家としています。
監査委員長(社外)の島崎憲明は、企業経営についての豊富な経験を有しており、また、米国企業改革法に基づく財務専門家であり、財務および会計に関する相当程度の知見を有しております。監査委員(社外)の園マリは、長年の公認会計士としての経験から企業会計についての高い専門性を有しております。また、監査委員(常勤)の宮下尚人は、当社を含む複数の証券会社において長年法務・コンプライアンス業務に従事し、野村グループのコンプライアンス統括責任者を務めるなど、コンプライアンス分野における豊富な経験と知見を有しております。
当社は、監査委員会による監査の実効性を高めるため、執行役を兼務しない常勤の取締役を常勤監査委員または「監査特命取締役」として必要に応じて任命することができることとしております。また、監査委員会および取締役の職務を補助する専任の部署として「取締役会室」を設置しております。取締役会室の業務執行からの独立性を確保するため、同室の使用人の人事考課は、監査委員会または監査委員会が選定する監査委員が行っており、同室の使用人にかかる採用・異動・懲戒についても監査委員会または監査委員会が選定する監査委員の同意を必要としております。
監査委員会は、監査の方針、職務の分担等を定め、それに従い、野村グループの内部統制システムの構築・運用の状況を監視・検証し、取締役および執行役の職務の執行の適法性・妥当性・効率性について監査を行います。また、監査委員長は主たる子会社である野村證券の監査等委員長を兼務しており、監査委員会は、野村證券の社外の監査等委員2名を含む監査等委員会および3名の監査特命取締役と合同で監査活動を行っております。監査委員会は、社内の内部統制部門等および野村證券以外の子会社の監査等委員、監査役等とも連携するとともに、内部監査部門および会計監査人と協働して実効的かつ効率的に監査を行っており、毎年自己評価を実施し、課題を明確にすることで監査活動の高度化につなげております。また、監査委員会は、会計監査人の職務の執行状況を監視検証し、年次評価を実施しており、評価結果については会計監査人へのフィードバックを行っております。
監査委員会の活動状況
当連結会計年度において監査委員会は16回開催され、1回あたりの所要時間は平均約4時間半でした。すべて野村證券の監査等委員会と合同で開催され、うち2回は、海外地域を統括する持株子会社の監査委員長が参加するグローバル会議でした。各監査委員とも、そのすべてに出席しております。
監査委員会は、代表執行役をはじめとする執行役、執行役員、内部統制関連部署の主要な社員等および会計監査人等に延べ55回のヒアリングを実施し、常勤監査委員および野村證券の3名の監査特命取締役から監査活動の報告を受けたほか、監査委員自ら重要な会議へ出席、執行役、執行役員等および会計監査人へのヒアリング等を行い、取締役および執行役等の職務執行の状況や内部統制システムの整備・運用状況について検討いたしました。
監査委員会は、取締役会への定期的な職務執行状況報告の中で、特に重要と判断される事項については、「監査活動所見」という形で指摘または提案を行い、監査委員以外の取締役とも意見の交換を行っております。加えて、監査委員会は、会計監査人および内部監査部門と、監査委員会および定例の会議を通じ監査上の問題認識などの共有と意見の交換を緊密に行っております。
監査委員会は、当連結会計年度は1)健全な企業文化の定着、2)グループのガバナンス態勢と実効性の強化、3)中長期的な経営戦略の実現に向けた取り組み、4)堅固な内部統制システムの構築と経営管理の強化、を重点監査項目とし、とりわけ、事業基盤の再構築や業務の集約・再編成が監査項目に与える影響および、行政処分事案などを踏まえた行動規範とコンプライアンス意識の徹底への執行の取り組みを重視して監査を行いました。
監査委員会は、当連結会計年度は特に、金融機関として社会が期待する役割に応える行動規範(「コード・オブ・コンダクト」)の考え方を全社に浸透させ、健全な企業文化として定着させることが重要であるとの認識の下、以下の特例的取り組みを行いました。
野村證券で発生した東証の市場区分の見直しに関する不適切な情報伝達事案について、監査委員会は外部有識者を加えた調査を行い、調査結果を踏まえた再発防止策等の提言を取締役会に行うなど、事案への組織的対応において重要な任務を遂行しました。監査委員会は、当該提言に基づき策定された改善策の実施状況や金融庁への業務改善報告書の内容をモニタリングし、野村グループの内部管理態勢強化の状況について、注意深く監視、検証しました。
不適切な情報伝達事案や社員不祥事等の発生等を踏まえ、当該事案の問題点やコンダクト・リスクに関する認識を確認することを主眼に、営業部店および本社部署に対し、同一質問を異なる階層の社員に発し回答を求める「簡易往査」を実施しました。営業部店は92部店を、本社部署は99部室を対象に、2019年6月から10月にかけて、常勤監査委員および野村證券の3名の監査特命取締役が分担して実施しました。
また、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、年度末に向けて当社も業務運営に大きな影響を受けましたが、野村グループ危機管理員会を中心とする業務継続の取り組みについて確認するとともに、会計監査人と頻繁に連絡を取り、監査の進捗状況について確認しました。
常勤の監査委員および野村證券の3名の監査特命取締役は、他の監査委員との間で職務を分担し、内部統制委員会、経営会議、統合リスク管理会議等の重要な会議に出席または陪席しております。また、執行役・執行役員および内部統制関連部署の主要な社員等に対するヒアリング、営業部店および本社部署ならびに海外拠点への往査を行うなどの方法により、業務執行の状況等を監査し、その結果を監査委員会に報告しています。さらに、主要な子会社について当該会社の取締役または監査役を務め業務執行の状況等を監視するなどの方法により、野村グループの監査活動の充実に努めております。
② 内部監査の状況
内部監査の組織、人員および手続
当社は内部統制の有効性および妥当性を確保するため、業務執行から独立したグループ・インターナル・オーディット部を設置するとともに、傘下の国内外の主要な子会社にも同様に内部監査専任部署(人員)を設置し、総勢200名弱で野村グループにおけるビジネスやコーポレート・ファンクションを横断的に監査する態勢を構築しております。野村グループの内部監査部門では、監査資源を有効かつ効率的に活用するために、内部監査の対象となるビジネスや業務毎にリスク・アセスメントを行い、内在するリスクの種類や程度に応じて監査資源を割り当てるべく、内部監査実施計画の策定や実施に努めております。
内部監査の実施状況は、グループCEOを議長とし、監査委員も出席する「内部統制委員会」および監査委員会へ報告されており、内部統制委員会の内容は取締役会に対して報告されております。
内部監査、監査委員会監査および会計監査の相互連携ならびにこれらの監査と内部統制部門との関係
監査委員会は、内部監査を担当する執行役員または監査委員を通じて、内部監査体制の整備・運用状況、内部監査の実施状況の報告を受けるなど、内部監査部門との連携を図っており、特筆すべき事項については、監査委員会から取締役会への定期的な報告の中で報告しています。当社の社外取締役は、これらの報告を通じて内部監査における課題等を認識し、必要に応じて執行に対する助言等を行っております。
また、監査委員は執行役に対し、内部監査にかかる実施計画の変更、追加監査の実施および改善策の策定を勧告することができることとしております。
さらに、監査委員会は、内部監査が業務改善を通じた組織の価値向上と保全を推進すべく、監査範囲の適切性や監査人員の十分性について判断できるよう、内部監査部門の責任者に適宜報告を求めることができることとなっています。内部監査にかかる実施計画および予算の策定ならびに内部監査部門の責任者の選解任については、内部統制委員会の承認を必要とするとともに、内部監査部門の業務執行からの独立性強化のため、監査委員会または監査委員会の選定する監査委員の同意を必要としております。
会計監査人について、監査委員会は、会計監査人の年次監査計画を承認し、会計監査人から四半期に一度以上の頻度で会計監査に関する報告および説明を受けるほか、随時会計監査人と情報交換を行い、会計監査人の監査の方法および結果の相当性について監査するとともに、計算書類等につき検証しています。また、会計監査人に対する監査報酬については、CFOの説明を受け監査委員会として同意しております。これに加えて、会計監査人およびその関連会社が、当社および当社の子会社に対して提供する業務の内容および報酬については、米国企業改革法および関連する米国証券取引委員会(SEC)規則に基づき、CFOの申請を受け、監査委員会で協議・事前承認する手続を定めております。
また、監査委員は、必要に応じて会計監査人から直接報告を受けるほか、監査委員長と常勤の監査委員は、会計監査人および内部監査を担当する執行役員と、定例の会議を設けて監査上の問題認識などの共有と意見の交換を行っており、野村グループの監査活動の充実に努めております。
③ 会計監査の状況
a.監査法人の名称
EY新日本有限責任監査法人
b.継続監査期間
1973年以降(1978年から2002年までの他の監査人との共同監査期間を含む)
c.業務を執行した公認会計士
(注)監査年数については7年以内であるため記載を省略しております。
d.監査業務にかかる補助者の構成
(注) その他は、公認会計士試験合格者、システム監査担当者等であります。
e.監査法人の選定方針と理由
監査委員会は、会計監査人から直接、職務の執行状況を聴取したほか、社内の財務部門、内部監査部門からも意見を聴取し、会計監査人の職務執行状況等を確認、検証したところ、「会計監査人の解任または不再任の決定の方針」に該当する事実は認められず、再任するのが妥当と判断しました。
f.会計監査人の解任または不再任の決定の方針
1.会計監査人が会社法第340条第1項各号のいずれかに該当する場合、監査委員会は会計監査人の解任を検討し、解任が相当であると認められるときは、監査委員会の委員全員の同意により会計監査人を解任します。この場合、監査委員会が選定した監査委員は、解任後最初に招集される株主総会において、会計監査人を解任した旨および解任の理由を報告します。
2.監査委員会が、会計監査人に適正性の面で問題があると判断する場合、またはより適切な監査体制の整備が必要であると判断する場合は、会計監査人の解任または不再任を株主総会の提出議案とします。
g.監査委員会による監査法人の評価
監査委員会は、監査委員会が定めた評価基準に従い、会計監査人について評価を行いました。
会計監査人の関係法令等の遵守状況、独立性、監査法人が整備し運用すべきとされる品質管理システムの状況、当社の監査の状況等について確認した結果、監査委員会は、会計監査人が当社の監査を行うために必要とされる金融商品の評価や米国会計基準等に関する専門的能力とともにグローバルなネットワークを備えており、当連結会計年度において適切な監査が実施されたものと認識しております。
④ 監査報酬の内容等
a.監査公認会計士等に対する報酬
当社および連結子会社における非監査業務の内容は、公認会計士法第2条第1項に規定する業務以外の会計事項にかかる助言等の役務提供等およびコンフォートレター作成業務等があります。
b.監査公認会計士等と同一のネットワークに属する組織に対する報酬(a.を除く)
当社および連結子会社における非監査業務の内容は、税務申告サポート業務および税務コンプライアンスに関するアドバイザリー業務等があります。
c.その他の重要な監査証明業務に基づく報酬の内容
該当事項はありません。
d.監査報酬の決定方針
監査公認会計士等に対する監査報酬については、財務統括責任者(CFO)が、過年度の実績、監査の実施範囲、監査手続、監査体制、年間計画等を勘案し、品質の高い会計監査を実施するために妥当な金額であるかを検討の上、監査委員会の同意または事前承認を経て決定しております。また、EY新日本有限責任監査法人、その提携会計事務所であるアーンスト アンド ヤングならびに同一のネットワークに属している関係会社等が野村に対して提供する非監査業務の内容および報酬については、CFOの申請を受け、監査委員会で協議・事前承認する手続を定めております。
e.監査役会が会計監査人の報酬等に同意した理由
監査委員会は、財務統括責任者(CFO)、社内関係部署および会計監査人から必要な資料を入手し報告を受け、会計監査人の監査チーム体制、監査計画、監査の実施状況、監査法人の品質管理体制の整備状況および報酬見積もりの算出根拠等について確認しました。また、監査委員会は、米国企業改革法(サーベンス・オクスリー法)第202条等に基づく事前承認手続きを行っております。監査委員会は、これらの確認および手続きの結果を踏まえ、会計監査人の報酬等について検証を行い、監査品質を維持向上していくために合理的な水準であると判断し、会社法第399条第1項の同意をいたしました。
① 監査委員会監査の状況
監査委員会監査の組織、人員および手続き
当社の監査委員会は、2名の社外取締役と執行役を兼務せず業務執行を行わない1名の常勤取締役で構成されています。監査委員会は、米国企業改革法ならびに関連する米国証券取引委員会規則およびニューヨーク証券取引所規則で定めるところにより、委員の全員は独立でなければならないとしており、また、原則として委員のうち1名以上は財務専門家としています。
監査委員長(社外)の島崎憲明は、企業経営についての豊富な経験を有しており、また、米国企業改革法に基づく財務専門家であり、財務および会計に関する相当程度の知見を有しております。監査委員(社外)の園マリは、長年の公認会計士としての経験から企業会計についての高い専門性を有しております。また、監査委員(常勤)の宮下尚人は、当社を含む複数の証券会社において長年法務・コンプライアンス業務に従事し、野村グループのコンプライアンス統括責任者を務めるなど、コンプライアンス分野における豊富な経験と知見を有しております。
当社は、監査委員会による監査の実効性を高めるため、執行役を兼務しない常勤の取締役を常勤監査委員または「監査特命取締役」として必要に応じて任命することができることとしております。また、監査委員会および取締役の職務を補助する専任の部署として「取締役会室」を設置しております。取締役会室の業務執行からの独立性を確保するため、同室の使用人の人事考課は、監査委員会または監査委員会が選定する監査委員が行っており、同室の使用人にかかる採用・異動・懲戒についても監査委員会または監査委員会が選定する監査委員の同意を必要としております。
監査委員会は、監査の方針、職務の分担等を定め、それに従い、野村グループの内部統制システムの構築・運用の状況を監視・検証し、取締役および執行役の職務の執行の適法性・妥当性・効率性について監査を行います。また、監査委員長は主たる子会社である野村證券の監査等委員長を兼務しており、監査委員会は、野村證券の社外の監査等委員2名を含む監査等委員会および3名の監査特命取締役と合同で監査活動を行っております。監査委員会は、社内の内部統制部門等および野村證券以外の子会社の監査等委員、監査役等とも連携するとともに、内部監査部門および会計監査人と協働して実効的かつ効率的に監査を行っており、毎年自己評価を実施し、課題を明確にすることで監査活動の高度化につなげております。また、監査委員会は、会計監査人の職務の執行状況を監視検証し、年次評価を実施しており、評価結果については会計監査人へのフィードバックを行っております。
監査委員会の活動状況
当連結会計年度において監査委員会は16回開催され、1回あたりの所要時間は平均約4時間半でした。すべて野村證券の監査等委員会と合同で開催され、うち2回は、海外地域を統括する持株子会社の監査委員長が参加するグローバル会議でした。各監査委員とも、そのすべてに出席しております。
監査委員会は、代表執行役をはじめとする執行役、執行役員、内部統制関連部署の主要な社員等および会計監査人等に延べ55回のヒアリングを実施し、常勤監査委員および野村證券の3名の監査特命取締役から監査活動の報告を受けたほか、監査委員自ら重要な会議へ出席、執行役、執行役員等および会計監査人へのヒアリング等を行い、取締役および執行役等の職務執行の状況や内部統制システムの整備・運用状況について検討いたしました。
監査委員会は、取締役会への定期的な職務執行状況報告の中で、特に重要と判断される事項については、「監査活動所見」という形で指摘または提案を行い、監査委員以外の取締役とも意見の交換を行っております。加えて、監査委員会は、会計監査人および内部監査部門と、監査委員会および定例の会議を通じ監査上の問題認識などの共有と意見の交換を緊密に行っております。
監査委員会は、当連結会計年度は1)健全な企業文化の定着、2)グループのガバナンス態勢と実効性の強化、3)中長期的な経営戦略の実現に向けた取り組み、4)堅固な内部統制システムの構築と経営管理の強化、を重点監査項目とし、とりわけ、事業基盤の再構築や業務の集約・再編成が監査項目に与える影響および、行政処分事案などを踏まえた行動規範とコンプライアンス意識の徹底への執行の取り組みを重視して監査を行いました。
重点監査項目 | 監査の主なポイント |
1)健全な企業文化の定着 | ①高い職業倫理とコンプライアンス、コンダクト意識のグループ内への徹底 ②お客様本位の業務運営の実現 ③健康な職場環境の整備と働き方改革 ④ダイバーシティ&インクルージョンの推進 |
2)グループのガバナンス態勢と実効性の強化 | ①コーポレートガバナンス・コードに対応したガバナンス態勢の実効性向上 ②子会社等のガバナンスと内部統制整備 ③戦略投資における意思決定と投資後のモニタリング ④ステークホルダーとのコミュニケーション |
3)中長期的な経営戦略の実現に向けた取り組み | ①グループや各部門の戦略・戦術に対するPDCA ②デジタライゼーションによる新たなサービスの提供、利便性向上および業務効率化への対応推進 ③英国のEU離脱に向けた欧州大陸拠点の体制整備およびビジネス戦略策定 ④野村グループの企業ブランド向上 |
4)堅固な内部統制システムの構築と経営管理の強化 | ①不適切な情報伝達事案の改善策の実施 ②各種のリスクの適正な管理、管理手法の高度化 ③資本管理、負債管理、流動性管理などの財務関連規制への対応 ④反社会的勢力との絶縁とマネー・ローンダリング対応強化 ⑤各国監督当局からの要請への対応 |
監査委員会は、当連結会計年度は特に、金融機関として社会が期待する役割に応える行動規範(「コード・オブ・コンダクト」)の考え方を全社に浸透させ、健全な企業文化として定着させることが重要であるとの認識の下、以下の特例的取り組みを行いました。
野村證券で発生した東証の市場区分の見直しに関する不適切な情報伝達事案について、監査委員会は外部有識者を加えた調査を行い、調査結果を踏まえた再発防止策等の提言を取締役会に行うなど、事案への組織的対応において重要な任務を遂行しました。監査委員会は、当該提言に基づき策定された改善策の実施状況や金融庁への業務改善報告書の内容をモニタリングし、野村グループの内部管理態勢強化の状況について、注意深く監視、検証しました。
不適切な情報伝達事案や社員不祥事等の発生等を踏まえ、当該事案の問題点やコンダクト・リスクに関する認識を確認することを主眼に、営業部店および本社部署に対し、同一質問を異なる階層の社員に発し回答を求める「簡易往査」を実施しました。営業部店は92部店を、本社部署は99部室を対象に、2019年6月から10月にかけて、常勤監査委員および野村證券の3名の監査特命取締役が分担して実施しました。
また、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、年度末に向けて当社も業務運営に大きな影響を受けましたが、野村グループ危機管理員会を中心とする業務継続の取り組みについて確認するとともに、会計監査人と頻繁に連絡を取り、監査の進捗状況について確認しました。
常勤の監査委員および野村證券の3名の監査特命取締役は、他の監査委員との間で職務を分担し、内部統制委員会、経営会議、統合リスク管理会議等の重要な会議に出席または陪席しております。また、執行役・執行役員および内部統制関連部署の主要な社員等に対するヒアリング、営業部店および本社部署ならびに海外拠点への往査を行うなどの方法により、業務執行の状況等を監査し、その結果を監査委員会に報告しています。さらに、主要な子会社について当該会社の取締役または監査役を務め業務執行の状況等を監視するなどの方法により、野村グループの監査活動の充実に努めております。
② 内部監査の状況
内部監査の組織、人員および手続
当社は内部統制の有効性および妥当性を確保するため、業務執行から独立したグループ・インターナル・オーディット部を設置するとともに、傘下の国内外の主要な子会社にも同様に内部監査専任部署(人員)を設置し、総勢200名弱で野村グループにおけるビジネスやコーポレート・ファンクションを横断的に監査する態勢を構築しております。野村グループの内部監査部門では、監査資源を有効かつ効率的に活用するために、内部監査の対象となるビジネスや業務毎にリスク・アセスメントを行い、内在するリスクの種類や程度に応じて監査資源を割り当てるべく、内部監査実施計画の策定や実施に努めております。
内部監査の実施状況は、グループCEOを議長とし、監査委員も出席する「内部統制委員会」および監査委員会へ報告されており、内部統制委員会の内容は取締役会に対して報告されております。
内部監査、監査委員会監査および会計監査の相互連携ならびにこれらの監査と内部統制部門との関係
監査委員会は、内部監査を担当する執行役員または監査委員を通じて、内部監査体制の整備・運用状況、内部監査の実施状況の報告を受けるなど、内部監査部門との連携を図っており、特筆すべき事項については、監査委員会から取締役会への定期的な報告の中で報告しています。当社の社外取締役は、これらの報告を通じて内部監査における課題等を認識し、必要に応じて執行に対する助言等を行っております。
また、監査委員は執行役に対し、内部監査にかかる実施計画の変更、追加監査の実施および改善策の策定を勧告することができることとしております。
さらに、監査委員会は、内部監査が業務改善を通じた組織の価値向上と保全を推進すべく、監査範囲の適切性や監査人員の十分性について判断できるよう、内部監査部門の責任者に適宜報告を求めることができることとなっています。内部監査にかかる実施計画および予算の策定ならびに内部監査部門の責任者の選解任については、内部統制委員会の承認を必要とするとともに、内部監査部門の業務執行からの独立性強化のため、監査委員会または監査委員会の選定する監査委員の同意を必要としております。
会計監査人について、監査委員会は、会計監査人の年次監査計画を承認し、会計監査人から四半期に一度以上の頻度で会計監査に関する報告および説明を受けるほか、随時会計監査人と情報交換を行い、会計監査人の監査の方法および結果の相当性について監査するとともに、計算書類等につき検証しています。また、会計監査人に対する監査報酬については、CFOの説明を受け監査委員会として同意しております。これに加えて、会計監査人およびその関連会社が、当社および当社の子会社に対して提供する業務の内容および報酬については、米国企業改革法および関連する米国証券取引委員会(SEC)規則に基づき、CFOの申請を受け、監査委員会で協議・事前承認する手続を定めております。
また、監査委員は、必要に応じて会計監査人から直接報告を受けるほか、監査委員長と常勤の監査委員は、会計監査人および内部監査を担当する執行役員と、定例の会議を設けて監査上の問題認識などの共有と意見の交換を行っており、野村グループの監査活動の充実に努めております。
③ 会計監査の状況
a.監査法人の名称
EY新日本有限責任監査法人
b.継続監査期間
1973年以降(1978年から2002年までの他の監査人との共同監査期間を含む)
c.業務を執行した公認会計士
業務を執行した公認会計士の氏名 | 所属する監査法人名 |
指定有限責任社員 業務執行社員 松村 洋季 | EY新日本有限責任監査法人 |
指定有限責任社員 業務執行社員 湯原 尚 | EY新日本有限責任監査法人 |
指定有限責任社員 業務執行社員 中桐 徹 | EY新日本有限責任監査法人 |
指定有限責任社員 業務執行社員 津村 健二郎 | EY新日本有限責任監査法人 |
(注)監査年数については7年以内であるため記載を省略しております。
d.監査業務にかかる補助者の構成
公認会計士 | 29 | 名 |
その他 | 160 | 名 |
(注) その他は、公認会計士試験合格者、システム監査担当者等であります。
e.監査法人の選定方針と理由
監査委員会は、会計監査人から直接、職務の執行状況を聴取したほか、社内の財務部門、内部監査部門からも意見を聴取し、会計監査人の職務執行状況等を確認、検証したところ、「会計監査人の解任または不再任の決定の方針」に該当する事実は認められず、再任するのが妥当と判断しました。
f.会計監査人の解任または不再任の決定の方針
1.会計監査人が会社法第340条第1項各号のいずれかに該当する場合、監査委員会は会計監査人の解任を検討し、解任が相当であると認められるときは、監査委員会の委員全員の同意により会計監査人を解任します。この場合、監査委員会が選定した監査委員は、解任後最初に招集される株主総会において、会計監査人を解任した旨および解任の理由を報告します。
2.監査委員会が、会計監査人に適正性の面で問題があると判断する場合、またはより適切な監査体制の整備が必要であると判断する場合は、会計監査人の解任または不再任を株主総会の提出議案とします。
g.監査委員会による監査法人の評価
監査委員会は、監査委員会が定めた評価基準に従い、会計監査人について評価を行いました。
会計監査人の関係法令等の遵守状況、独立性、監査法人が整備し運用すべきとされる品質管理システムの状況、当社の監査の状況等について確認した結果、監査委員会は、会計監査人が当社の監査を行うために必要とされる金融商品の評価や米国会計基準等に関する専門的能力とともにグローバルなネットワークを備えており、当連結会計年度において適切な監査が実施されたものと認識しております。
④ 監査報酬の内容等
a.監査公認会計士等に対する報酬
区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
監査証明業務に 基づく報酬(百万円) | 非監査業務に 基づく報酬(百万円) | 監査証明業務に 基づく報酬(百万円) | 非監査業務に 基づく報酬(百万円) | |
提出会社 | 856 | 41 | 886 | 34 |
連結子会社 | 406 | 54 | 436 | 53 |
計 | 1,262 | 95 | 1,322 | 87 |
当社および連結子会社における非監査業務の内容は、公認会計士法第2条第1項に規定する業務以外の会計事項にかかる助言等の役務提供等およびコンフォートレター作成業務等があります。
b.監査公認会計士等と同一のネットワークに属する組織に対する報酬(a.を除く)
区分 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
監査証明業務に 基づく報酬(百万円) | 非監査業務に 基づく報酬(百万円) | 監査証明業務に 基づく報酬(百万円) | 非監査業務に 基づく報酬(百万円) | |
提出会社 | - | 3 | - | 1 |
連結子会社 | 2,035 | 530 | 1,997 | 258 |
計 | 2,035 | 533 | 1,997 | 259 |
当社および連結子会社における非監査業務の内容は、税務申告サポート業務および税務コンプライアンスに関するアドバイザリー業務等があります。
c.その他の重要な監査証明業務に基づく報酬の内容
該当事項はありません。
d.監査報酬の決定方針
監査公認会計士等に対する監査報酬については、財務統括責任者(CFO)が、過年度の実績、監査の実施範囲、監査手続、監査体制、年間計画等を勘案し、品質の高い会計監査を実施するために妥当な金額であるかを検討の上、監査委員会の同意または事前承認を経て決定しております。また、EY新日本有限責任監査法人、その提携会計事務所であるアーンスト アンド ヤングならびに同一のネットワークに属している関係会社等が野村に対して提供する非監査業務の内容および報酬については、CFOの申請を受け、監査委員会で協議・事前承認する手続を定めております。
e.監査役会が会計監査人の報酬等に同意した理由
監査委員会は、財務統括責任者(CFO)、社内関係部署および会計監査人から必要な資料を入手し報告を受け、会計監査人の監査チーム体制、監査計画、監査の実施状況、監査法人の品質管理体制の整備状況および報酬見積もりの算出根拠等について確認しました。また、監査委員会は、米国企業改革法(サーベンス・オクスリー法)第202条等に基づく事前承認手続きを行っております。監査委員会は、これらの確認および手続きの結果を踏まえ、会計監査人の報酬等について検証を行い、監査品質を維持向上していくために合理的な水準であると判断し、会社法第399条第1項の同意をいたしました。