有価証券報告書-第78期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 15:03
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【項目】
143項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積もり
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成されております。また、当社は、連結財務諸表を作成するにあたり、会計方針に基づいていくつかの重要な見積もりを行っており、これらの見積もりは一定の条件や仮定を前提としております。そのため、条件や仮定が変化した場合には、実際の結果が見積もりと異なることがあり、結果として連結財務諸表に重要な影響を与える場合があります。重要な会計方針のうち、特に重要と考える項目は、次の4項目です。
① 金融商品の評価
当社グループでは、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引は、時価をもって連結貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として連結損益計算書に計上しております。評価に用いる時価は、市場で取引が行われている有価証券やデリバティブ取引については当連結会計年度末時点の市場価格を、市場価格のない有価証券やデリバティブ取引については理論価格を、それぞれ使用しております。理論価格を算出する際には、対象となる商品や取引について最も適切と考えられるモデルを採用しております。
② 有価証券の減損
当社グループでは、投資有価証券等のトレーディング商品に属さない有価証券を保有しております。このうち時価のある有価証券については、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。具体的には、当連結会計年度末における時価の下落率が取得原価の50%以上の場合は、著しい下落かつ回復する見込みがないものと判断して、減損処理を行っております。時価の下落率が取得原価の30%以上50%未満の場合は、時価の推移及び発行会社の財政状態等を総合的に勘案して回復する見込みを検討し、回復する見込みがないと判断したものについては、減損処理を行っております。また、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券については、実質価額が著しく低下し、かつ、回復する見込みがないと判断した場合には、減損処理を行っております。
③ 固定資産の減損
当社グループでは、各資産グループにおいて、収益性が著しく低下した資産については、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。なお、資産のグルーピングは、継続使用資産のうち、証券店舗等の個別性の強い資産については個別物件単位で行い、その他の事業用資産については管理会計上の区分に従って行っております。
④ 繰延税金資産の状況
(ⅰ)繰延税金資産の算入根拠
当社グループでは、税務上の繰越欠損金や企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。
(ⅱ)過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)
(単位:百万円)
回次第73期第74期第75期第76期第77期
決算年月平成22年3月平成23年3月平成24年3月平成25年3月平成26年3月
連結納税グループの課税所得49,597△36,25535,498△12,72716,566

(注) 提出会社を連結納税親会社とする連結納税グループの所得を記載しております。また、記載した課税所得は法人税確定申告書上の繰越欠損金控除前の数値であり、その後の変動は反映されておりません。
なお、当連結会計年度末に係る連結貸借対照表上の繰延税金資産13,844百万円のうち、提出会社を親会社とする連結納税会社の計上額合計は2,188百万円であります。
(ⅲ)見積りの前提とした税引前当期純利益の見込額
提出会社を連結納税親会社とする連結納税グループの課税所得見積期間を3年とし、同期間の税引前当期純利益を103,604百万円と見積もっております。
(ⅳ)繰延税金資産・負債の主な発生原因
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 税効果会計関係 1」に記載のとおりであります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の営業収益は前年度比2.6%増の6,593億円、純営業収益は同1.8%減の5,322億円となりました。
受入手数料は2,911億円と、同3.6%の減収となりました。委託手数料は、株式市況が年度後半に好転したものの前年度と比べると株式取引が減少したことから、同22.0%減の699億円となりました。一方、引受業務では、企業の資金調達ニーズが引き続き旺盛である中、引受シェアを伸ばしたことで、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、同26.8%増の375億円となりました。
トレーディング損益は、債券販売が堅調であったこと等から、同0.5%増の1,572億円となりました。営業投資有価証券関連損益は、前期に比べて大型の投資案件の回収が減少したことなどにより、同57.5%減の74億円となっております。
販売費・一般管理費は同1.1%増の3,613億円になりました。これは、従前より実施してきたコスト抑制の効果により取引関係費は同0.9%減の736億円、減価償却費は同9.3%減の240億円となりましたが、円安の影響によって海外の人件費が増加したこと等により人件費が同2.7%増の1,817億円となっております。以上より、経常利益は同6.3%減の1,845億円となりました。
また、固定資産売却益等の特別利益53億円、減損損失等の特別損失80億円、法人税等及び少数株主利益を計上した結果、当期純利益は同12.4%減の1,484億円となりました。
(3) 当連結会計年度の財政状態の分析
<資産の部>当連結会計年度末の総資産は前年度末比3兆5,207億円増の23兆15億円となりました。内訳は流動資産が同3兆4,535億円増の22兆1,906億円であり、このうち現金・預金が同1兆988億円増の2兆9,857億円、トレーディング商品が同1兆1,934億円増の8兆3,043億円、有価証券担保貸付金が同8,397億円増の6兆7,282億円、有価証券が同465億円増の2兆6,298億円となっております。固定資産は同671億円増の8,109億円となっております。
<負債の部・純資産の部>当連結会計年度末の負債合計は前年度末比3兆3,395億円増の21兆5,669億円となりました。内訳は流動負債が同3兆1,991億円増の19兆3,538億円であり、このうちトレーディング商品が同7,178億円増の6兆142億円、有価証券担保借入金が同1兆2,229億円増の7兆5,531億円、銀行業における預金が同5,479億円増の2兆7,456億円、短期借入金が同1,079億円増の1兆118億円となっております。固定負債は同1,398億円増の2兆2,090億円であり、このうち社債が同699億円減の1兆1,790億円、長期借入金が同1,974億円増の9,464億円となっております。
当連結会計年度末の純資産合計は同1,812億円増の1兆4,346億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,786億円となりました。利益剰余金は当期純利益を計上したことから、同953億円増の6,237億円となっております。自己株式の控除額は前年度末比20億円減の157億円となっております。その他有価証券評価差額金は保有有価証券の時価の上昇により同478億円増の1,356億円、為替換算調整勘定は円安の進行により同282億円増の431億円、少数株主持分は同202億円増の1,878億円となっております。
(4) 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
平成26年度のマクロ経済環境
<海外の状況>世界経済は、緩やかな拡大傾向が続きました。米国経済では堅調な個人消費を中心に持続的な景気拡大が続き、世界経済の牽引役となりました。欧州経済も回復傾向となりましたが、地政学リスクの高まり等を背景にごく緩やかな景気拡大に留まっています。新興国経済は先進国の景気拡大に支えられて、総じて緩やかな回復が続きました。しかし、不動産市場の調整による中国経済の停滞や、原油安を背景とした産油国の減速など、一部の地域では成長の鈍化がみられました。実体経済の改善傾向が続いたことに加えて、各国中央銀行による緩和的な金融政策が続いたことから、株価は世界的に上昇基調となりました。
米国経済は拡大が続きました。平成26年1-3月期は記録的な寒波や干ばつなど、悪天候が経済活動の下押し要因となったため、4-6月期にはその反動によって企業部門、家計部門とも押し上げられました。続く7-9月期に関しても前期比年率+5.0%という高成長となり、米国経済は底堅い成長が続きました。ただし、年度後半に入ると内需の拡大による輸入の増加に対して輸出が伸び悩んだことから、外需寄与がマイナスに転じ、GDP成長率の下押し要因となりました。加えて、平成27年1-3月期には個人消費が大幅に減速したことを主因に実質GDPは前期比年率+0.2%となり、成長ペースが鈍化しました。一方、雇用者数は順調に増加し、失業率も低下傾向が続いており、雇用環境の改善を背景に個人消費が底堅く推移していることが年度で見れば米国経済を牽引しました。また、NYダウ及びS&P500が史上最高値を更新し続けるなど、株価の上昇傾向が続いたため、株価上昇による資産効果や消費者マインドの改善も個人消費を押し上げる要因となりました。企業活動も内需拡大を背景に順調な拡大が続きました。鉱工業生産は拡大傾向が続き、企業の景況感も改善傾向となりました。金融面では、雇用環境を中心とした国内景気の回復を受けて、FRB(連邦準備制度理事会)は平成25年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)において量的緩和第3弾(QE3)の縮小開始を決定しました。FRBによる資産買い入れ規模は順次縮小され、平成26年10月のFOMCでは買い入れの終了が決定されました。
欧州経済は、緩やかな回復傾向が続きました。継続的に財政健全化に取り組んできたことにより、財政懸念による景気の下押し傾向が弱まったことが景気回復の要因となりました。また、財政問題が徐々に鎮静化するなか、失業率の悪化に歯止めがかかったこと、消費者物価上昇率が低下傾向となったことで実質購買力が改善したことにより、個人消費も持ち直し傾向となりました。ただし、周縁国では失業率が依然高水準で推移し、景気回復も遅れており、ユーロ圏内でも国ごとに景気の改善度合いに格差が生じています。また、輸出の伸びが低位に留まっていることや、ウクライナ問題等の地政学リスクの高まりが企業景況感の下押し要因となっており、投資の低迷が続く中、景気回復は力強さに欠くものとなっています。金融面では、ECB(欧州中央銀行)は緩和的な金融政策を継続しています。景気回復が緩やかなものに留まっており、ユーロ高による輸入物価下落の影響もあってインフレ率の低下傾向が続いたことから、ECBは平成26年6月に追加利下げを行いました。また、政策金利が引き下げられたことに加えて、中銀預金金利をマイナスとするマイナス金利が初めて導入されたほか、目的を絞った長期資金供給オペ(TLTRO)の実施が決定されました。9月には追加利下げを行い政策金利は過去最低を更新したものの、消費者物価上昇率の低下傾向が続いたことから、10月にはカバード・ボンド買取のプログラム(CBPP3)を導入、11月には資産担保証券の買取プログラム(ABSP)を導入するなどの対応に迫られました。さらに、2015年1月には、ECBは量的緩和政策の導入を決定し、金融緩和の強化が続いています。
新興国経済は、総じてみれば緩やかな回復傾向が続いたものの、一部地域では成長の鈍化が見られました。平成25年には、米国での金融緩和縮小が議論され始めたことをきっかけに新興国からの資金流出が進み、多くの国では為替レートの減価や株価の下落が進むこととなりましたが、平成26年度に入り、多くの国ではこうした動きは落ち着きが見られました。中国では不動産市場の調整等を背景に、固定資産投資を中心に景気が減速傾向となっています。このような状況の中、中国人民銀行は景気の底上げを図るため平成26年11月と平成27年3月に相次いで利下げを行いました。また、平成26年後半頃から、世界経済の減速と需給悪化懸念により原油価格が急速に下落したため、資源国の景気悪化懸念が急速に高まることとなりました。特に、ロシアでは為替レートが急速に減価し、通貨防衛のために12月に大幅な利上げが行われました。
<日本の状況>日本経済は平成26年度に入り大きく落ち込むこととなりましたが、平成26年10-12月期から、徐々に持ち直しの動きが見られています。実質GDP成長率が平成26年4-6月期、7-9月期と2四半期連続の減少となったことを受け、政府は平成27年10月に行う予定だった消費税率10%への引き上げの延期を決定しました。
景気が落ち込むこととなった最大の要因は、平成26年4月の消費税増税後の個人消費の停滞です。増税直後には駆け込み需要の反動減や実質所得減少の影響が顕在化し、耐久財を中心に個人消費は大幅に落ち込むこととなりました。個人消費は4-6月期を底に徐々に持ち直しが見られたものの、回復が非常に緩慢なものとなったため、在庫調整圧力が7-9月期の鉱工業生産や実質GDPを下押しする要因となりました。しかし、雇用・所得環境の改善を受けて個人消費の回復が続いていることに加えて、在庫調整が一巡したことで、10-12月期に入って景気は改善に向かいました。また、消費税増税後低迷が続いていた住宅着工戸数に関しても、7-9月期には持ち直しが見られました。
企業の設備投資は、平成26年1-3月期に大幅に増加した反動と増税後の景気低迷により、4-6月期から10-12月期まで停滞が見られました。しかし、日銀短観2015年3月調査によれば非製造業の設備不足感は強まっており、製造業でも設備過剰感は解消傾向が続いています。一方、公共投資は平成25年度補正予算及び平成26年度予算における公共事業の前倒し執行を受け、平成26年度前半は増加傾向となりましたが、年度後半に入って減速が見られています。
外需に目を向けると、平成26年初めをピークに減少傾向にあった輸出金額は、7-9月期の円安の進行に伴う輸出価格の上昇によって増加傾向となっています。輸出数量については、海外経済の改善が緩やかなものとなる中、非常に緩やかながら増加傾向へ回復しました。貿易収支は、平成26年末にかけて原油価格が急落したこともあり赤字額は縮小しています。
金融面では、デフレ脱却を目指し、日本銀行による強力な金融緩和が続いています。「量的・質的金融緩和」が導入された平成25年4月以降、日本銀行はバランスシートの拡大を続けてきました。しかし、過去の円安の効果が剥落し、消費者物価上昇率が頭打ちとなったことに加えて、原油価格の下落が消費者物価の下押し要因となることが確実視されたことから、日本銀行は平成26年10月31日の金融政策決定会合で金融緩和の拡大を決定しました。
日本銀行による強力な金融緩和の下、国債需給の引き締まりを受けて国債利回りは低下傾向となりました。平成26年9月には米国の長期金利上昇に影響されて利回りが上昇する局面もありましたが、10月の追加緩和を受けて長期金利は一層低下することとなりました。為替市場では、ドル・円相場は7月までは安定的な推移が続いていましたが、8月以降、米国の早期利上げ観測が高まったこと、10月に日本銀行による追加緩和が行われたことで急速に円安が進行しました。ユーロ・円相場については、ECBによる累次の追加緩和によって円高・ユーロ安傾向となっていましたが、日本銀行による追加緩和後は急激に円安・ユーロ高が進みました。ただし、平成27年1月にECBが量的緩和政策を採用したことを受けて、平成27年1-3月期には急速な円高・ユーロ安が進行しました。株価については、世界的な金融緩和と実体経済の回復に加えて、10-12月期に急速に円安が進んだことにより、堅調な推移となりました。さらに、平成27年1-3月期については、企業業績の改善を主因に株価の上昇が続きました。
平成27年3月末の日経平均株価は19,206円99銭(前年3月末比4,379円16銭高)、10年国債利回りは0.400%(同0.240ポイントの低下)、為替は1ドル120円21銭(同17円23銭の円安)となりました。
(6) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① 資金流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社グループは、多くの資産及び負債を用いて有価証券関連業務を中心としたビジネスを行っており、ビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー、預金受入等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、事業の継続に支障を来すことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めております。特に近年においては、世界的金融危機及び信用危機による不測の事態に備え、市場からの資金調達、金融機関からの借入等により、手元流動性の更なる積み増しを行っております。同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
また、当社は、当社グループに適用される規制上の連結流動性カバレッジ比率のほかに独自の流動性管理指標を用いた流動性管理体制を構築しております。即ち、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、複数のストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを毎日確認しております。これにより、当社グループでは、今後1年間無担保資金調達が行えない場合でも、業務の継続が可能となるよう体制を構築しております。
なお、当連結会計年度末における当社グループの短期無担保調達資金及び流動性ポートフォリオ等の状況は次のとおりです。
(単位:億円)
銀行等からの短期借入金1,713
その他の短期借入金4,964
コマーシャル・ペーパー3,883
1年内償還予定の社債2,649
短期無担保調達資金合計13,211
現金・預金15,111
国債・政府保証債等3,493
流動性ポートフォリオ18,604
その他の債券5,636
上場株式等6,371
補完的流動性ポートフォリオ12,008
流動性ポートフォリオ等合計30,613

(注) 上記には銀行業にかかる資産及び負債は含めておりません。
当連結会計年度末における当社グループの流動性ポートフォリオの合計額は1兆8,604億円であります。また、補完的流動性ポートフォリオを含めた合計額は3兆613億円であり、この金額は同年度末の短期無担保調達資金の合計額の231.7%に相当します。
<グループ全体の資金管理>当社グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、当社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。当社は、当社固有のストレス又は市場全体のストレスの発生により新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、短期の無担保調達資金について、当社グループの流動性ポートフォリオが十分に確保されているかをモニタリングしております。また、当社は、必要に応じて当社からグループ各社に対し、機動的な資金の配分・供給を行うと共に、グループ内で資金融通を可能とする体制を整えることで、効率性に基づく一体的な資金調達及び資金管理を行っております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社グループは、資金流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社グループは機動的な対応により流動性を確保する体制を整備しております。
当社グループのコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、グループ全体のストレスを踏まえて策定しており、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
また、金融市場の変動の影響が大きくその資金流動性確保の重要性の高い大和証券株式会社、株式会社大和ネクスト銀行及び海外証券子会社においては、更に個別のコンティンジェンシー・ファンディング・プランも策定し、同様に定期的な見直しを行っております。
なお、当社は、子会社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランの整備状況について定期的にモニタリングしており、必要に応じて想定すべき危機シナリオを考慮して子会社の資金調達プランやコンティンジェンシー・ファンディング・プランそのものの見直しを行い、更には流動性の積み増しを実行すると同時に資産圧縮を図るといった事前の対策を講じることとしております。
② 株主資本
当社グループが株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、プリンシパル・インベストメント、証券担保ローン等の有価証券関連業を中心とした幅広い金融サービスを展開するためには、十分な資本を確保する必要があります。また、当社グループは、日本のみならず、海外においても有価証券関連業務を行っており、それぞれの地域において法規制上必要な資本を維持しなければなりません。
平成27年3月31日現在の株主資本は、前年度末比979億円増加し、1兆866億円となりました。また、資本金及び資本剰余金の合計は4,786億円となっております。利益剰余金は当期純利益1,484億円を計上したほか、配当金531億円の支払いを行った結果、前年度末比953億円増の6,237億円となりました。自己株式の控除額は同20億円減少し、157億円となっております。