有価証券報告書-第117期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 15:26
【資料】
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【項目】
169項目

対処すべき課題

(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「まちづくりを通じて社会に貢献する」という基本使命のもと、「人を、想う力。街を、想う力。」というブランドスローガンを掲げ、企業グループとしての成長と、様々なステークホルダーとの共生とを高度にバランスさせながら、「真の企業価値の向上」を目指しています。
(2) 中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び会社の対処すべき課題
当不動産業界においては、各種経済対策の効果や海外経済の改善に伴って、徐々に市況が持ち直すことが期待されますが、足元では3回目となる緊急事態宣言が発出され、更に延長されるなど、経済活動が抑制されるリスクは今後も想定され、そのために回復の動きが停滞する懸念もあります。オフィス賃貸市場においては、借室需要が弱含みの中、市況の軟化傾向が続いておりますが、1年以上に及ぶコロナ禍を経て、リアルなオフィスの価値を再評価する動きもあり、引き続き企業のオフィス戦略やワークスタイルの変化を注視していく必要があります。分譲マンション市場では、立地条件等による需要の二極化や顧客ニーズの多様化が進むことが想定される中、工事費の変動、金利動向、政府の緊急事態宣言(外出自粛要請)に伴う販売・施工面への影響等も注視していく必要があります。不動産投資市場においては、感染症の収束時期が依然として見通せない中、投資家の慎重な姿勢が続くと見られますが、中長期的には安定したリターンが見込まれる不動産投資商品への期待は大きく、経済活動が正常化に向かう動きを見据えながら、マーケットのファンダメンタルズの変化を慎重に見極めていく必要があります。昨年の後半以降緩やかな回復が見られた商業施設やホテル市場においては、まん延防止等重点措置や3回目の緊急事態宣言の発出・延長を受けて、回復が遅れる懸念があります。また、海外の政策動向や経済情勢を踏まえた海外投資資金の動向には留意する必要があります。
当社グループと致しましては、2020年代の環境激変をチャンスに変えて持続的な価値を提供する企業グループに変革を続けていくために、2020年1月に、2030年までを見据えた「長期経営計画2030」を策定しました。
長期経営計画を通じて、「幅広いお客様により深く価値を届けるための事業機会の最大化」と「上場企業に求められる高効率で市況変化に強いポートフォリオへの変革」を目指し、丸の内を中心とする国内の大型開発パイプラインの着実な推進を図ると共に、海外事業においては開発事業へのシフトとアジア新興国への注力を進めていきます。あわせて、ノンアセットビジネスの拡大とサービス・コンテンツ領域への進出を通じ、新たな全社における利益成長の柱にすると共に、全社資産効率の改善に向けたドライバーとすることを目指していきます。
なお、本項における将来に関する事項は、当年度末現在において当社グループが判断したものであります。
○各機能グループ及び事業グループとコーポレートの戦略
・コマーシャル不動産事業
開発中プロジェクトの順次稼働による賃貸利益の伸長を実現すると共に、丸の内NEXTステージ戦略に基づいて個人のクオリティオブライフ向上と社会的課題の発見・解決を生み出すまちづくりの推進を図ります。
・住宅事業
国内分譲事業を着実に推進する一方で、ストックビジネス領域において多様化するニーズにも対応し、管理・リフォームなどのフィービジネスにも注力します。
・海外事業
米国、欧州、アジアエリアにおける開発・バリューアド投資機会の拡充と、新興国における開発主導案件の積極拡大を展開します。
・投資マネジメント事業
日・米・欧・アジアにプラットフォームを広げ、クロスボーダーな投資ニーズの拡大を背景とした持続的な拡大を図ります。
・設計監理事業
大規模設計監理業務の継続受注と、コンサル・CM等の成長分野や海外事業の強化及び三菱地所グループ技術支援を推進します。
・不動産サービス事業
幅広いサービスメニューと全国に広がる支店網、三菱地所グループの総合力を活用し、法人仲介・不動産コンサルティングのトップ企業を目指します。
・営業機能
グループ全体の営業窓口として、顧客企業とのリレーション強化並びに顧客ニーズに対応した企業提案や中長期的な開発案件、事業連携等の事業機会創出を図ります。
・新事業創出機能
全社横断的な新事業創出機能を担い、優良なベンチャービジネス及びベンチャーキャピタルへの出資や社内における新事業創出に向けた施策の実施等を通じ、ビジネスモデル革新の推進を図ります。
・コーポレート
わが国におけるESGの先進企業としての地位を確立し、ステークホルダーとの共生と長期的な企業価値向上を目指します。
計数目標は次の通りです。当社グループとしては、丸の内エリアの優位性や各事業領域における当社グループの強み・ノウハウを発揮することで着実な利益の拡大を図ります。
<経営指標/長期経営計画2030ベース(2020年1月公表)>
2020年度
実績
長計目標
(2020年1月公表)
2021年度
業績予想
ROA(事業利益/総資産)3.8%5.0%4.0%
計数目標(参考)事業利益 *12,247億円3,500~4,000億円2,453億円
ROE7.6%10.0%7.6%
EPS101.34円200円106.70円

(注)*1. 事業利益=営業利益+持分法投資損益