有価証券報告書-第23期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 13:54
【資料】
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【項目】
109項目

対処すべき課題

当社グループは、不動産関連事業を取り巻く環境は明るい兆しが見え始めてはいるものの、日本経済全体ではまだ不安定な時期であるという認識の下、以下の課題に対処する必要があると考えております。
①空床率について
平成27年3月期末において、前連結会計年度の目標であった「賃貸物件の空床率1%未満」を達成できたとはいえ、今後は物流拠点の統廃合が活発になると予想され、そのためエンドユーザーの移動も活発になることが予想され、空床が増加するリスクがあります。これは不動産賃貸業では避けることができないリスクですが、当社は引き続きエンドユーザー情報の収集に励み、空床が発生する際には、いち早く新たなエンドユーザーに賃借いただけるよう、営業活動を継続して参ります。
②サブリース事業の拡大について
当社グループの収益の大部分を占める不動産賃貸関連事業のうち、当社の主力事業であるサブリース事業の収益拡大を図ることは、当社の発展のために必要不可欠であることを当然のこととして、毎年事業を進めてまいりました。近年では、2年前から用地確保専任の部門を設立し、倉庫や店舗用の土地を確保すべく情報収集に励んでまいりました。しかしながら、首都圏における用地確保は競争が激しく、具体的な取組みが進展しない状況が続いておりました。
平成21年3月期をピークに、特に倉庫物件の賃貸売上高は下降基調が継続しており、店舗もほぼ横ばいの状況です。売上高ピーク時の年間平均空床率が3.1%であったことを考えると、同空床率が0.7%であった前事業年度において売上高がピーク時に達していない原因は、約6年間、新規物件の増加による売上高が、物件の返還や賃貸料の低下による売上高の減少に追いついていなかったことが大きな要因です。また、売上総利益も、デフレ圧力の影響を受けやすい賃借料を含むコスト削減の影響を受け、新規の開発・賃借物件の利益率が従前と比較して低かったこと、及び既存賃貸物件の賃貸料の値下げ圧力が強かったことが大きな要因であると分析する一方、時代の流れを読み取って付加価値の高い商品・サービスを提供できなかった当社の商品開発力に大きな原因があったことは否めません。
この状況を打破するため、当社は事業別に機能化を進め、賃貸物件やリニューアル物件を含む新規開発案件はLRE社が専任的に取組むこととし、当社は既存のサブリース物件を維持しつつ、既存物件からの再開発を中心に現オーナー様へのサービスに努め、新規には、不動産プロパティマネジメント(PM)事業を新たな核事業として拡張していくことといたしました。
PM事業とは、大まかに言いますと、不動産ファンドにおける運用物件のリーシング(テナント付け)や建物の維持・管理など、ファンドのために、物件の価値を維持向上するための業務を事業とすることです。
PM事業は、サブリース事業と比較すると、1件当たりの売上高は低い一方、テナントの退去リスクからは解放されるため、リターンもリスクも低い事業と言えます。当社は、長年サブリース事業で培ってきた経験を低いコストでPM事業に活かせるものと判断し、PM事業への進出を決断するに至りました。また、PM事業においても、不動産ファンド内の役割として、物件のマスターレッシー(賃借人)としてサブリースと同様の取組みも可能な場合もあるので、積極的に検討していく予定です。
また、物件の購入やM&Aも賃貸・管理物件の増加を促進していくために有効な方法だと認識しており、積極的に検討していきたいと考えます。
③新たな核事業のターゲットについて
前述の通り、当社はサブリース事業の他に、新たな核事業として不動産ファンドにおけるPM事業に進出いたします。
前連結会計年度の中期経営計画で記載いたしました通り、前連結会計年度は不動産ファンド関連事業に「本腰」を入れ、当社は連結子会社であるLCP社と提携を強化し、4物件をLCP社がAMを担当する不動産ファンドに組み入れました。これら4物件においては、当社が信託受益権を含む物件の売買仲介及びPM(プロパティ・マネージャー)を担当しております。
また、平成26年11月に設立したLCL社は、不動産ファンドにおけるメザニン融資部分をクラウド・ファンディング(WEB上で申し込みや決済を行う資金調達)によって実現することを目的に設立されました。
このように、当社グループにおいて、物件の仕入、資金調達から管理までワンストップで可能にする、他に類を見ないサービスを提供することは、当社グループ独自のものであり、サブリース事業に続く新たな核事業として大きく期待するところであります。
④連結子会社について
この3年間で行ってまいりましたグループ企業の再編の結果、グループの機能を、1)不動産賃貸関連事業、2)不動産新規開発事業、3)不動産ファンド関連事業(AM事業、PM事業、クラウド・レンディング事業)の3事業に集約しました。
当社と米国子会社2社が不動産賃貸関連事業を、LRE社が新規開発事業を、当社・LCP社・LCL社が不動産ファンド関連事業を、主な事業として担当することとなっております。
また、不動産ファンド関連事業ですが、ファンドに組み入れるSPCの借入金債務に対して、借入先から当社が連帯保証を要求される場合があります。当該SPCはその後、債務が物件以外に遡及しない「ノンリコースローン」へ借入金を変換いたしますが、それまでの間、会計上で当該SPCを連結子会社として扱わねばならない場合がありますので、ご承知おきいただきたくお願い申し上げます。
このように、機能分化した企業体として、親会社や子会社の境なく、各会社が独立した企業体として健全なる成長を目指すための体制が2015年度から新たにスタートいたしました。