当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況は下記のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a 財政状態
当連結会計年度における総資産は、株価上昇により投資有価証券が増加した一方で、現金及び預金の減少や減損損失の計上による有形固定資産の減少などにより、前連結会計年度末に比べ209,173千円減少し、100,537,801千円となりました。
負債は、主に借入金やリース債務の減少により、前連結会計年度末に比べ5,776,759千円減少し、68,186,184千円となりました。なお、短期長期の借入金合計額と社債を合わせた額は、前連結会計年度末に比べ6,590,121千円減少しております。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べ5,567,585千円増加し、32,351,617千円となりました。
b 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、海外紛争や円安の進行、自然災害等による原材料価格高騰や物価上昇など様々な影響を受けたものの、国内外観光客の増加による消費の拡大や、社会経済活動の回復による雇用・所得環境の改善が見られるなど、緩やかな回復基調で推移しました。
このような状況のなか、当社グループは、運輸、不動産、レジャー・サービス、その他の各事業において、積極的な営業活動を行うとともに、計画的な設備投資を行うなど経営の効率化に努めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における営業収益は50,701,528千円(前期比18.1%増)、営業利益は8,151,692千円(前期比92.1%増)、経常利益は7,936,280千円(前期比98.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,571,594千円(前期比97.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(ⅰ) 運輸業
鉄道事業につきましては、外国人をはじめとする観光需要が高まり、一年を通して多くのお客様にご利用いただきました。また、富士山の世界文化遺産登録10周年を記念したキャンペーンをJR東日本と共同開催し、富士山の魅力を改めて情報発信するなど様々なイベントを開催し、集客に努めました。さらに、JR中央線直通特急「富士回遊」を7月から1往復増発し、増加する外国人観光客の利便性向上と輸送力強化に努めました。
バス事業につきましては、国内外観光客の増加を受け、高速バス営業では富士五湖発着路線において、運行本数の見直しなどにより輸送力を拡大するとともに、乗合バス営業では、河口湖駅を起点として周辺の人気スポットを巡る「河口湖・西湖周遊バス」を増発運行し、多くの外国人観光客にご利用いただきました。SDGsの取り組みとして、電気バス(EVバス)を11台導入するとともに、少子高齢化や運転士不足など地域公共交通が抱える課題解決を目的に、富士吉田市と共同で山梨県内初となる「自動運転EVバス」の公道実証実験を行いました。また、乗務員の待遇改善や物価高騰、機材更新など運行経費の増加に対応するため、運賃改定を行いました。2024年2月には、富士急モビリティ株式会社を存続会社として、富士急湘南バス株式会社を吸収合併し、運転士、車両の柔軟な運用や事務業務の効率化による更なる経営の合理化を図りました。
船舶事業につきましては、2023年2月に譲り受けた箱根芦ノ湖遊覧船事業において、「湖に浮かぶ緑の公園」をテーマに既存船を「箱根遊船 SORAKAZE」としてリニューアルし、新たな需要の創出に努め、好評を博しました。
安全対策につきましては、「運輸安全マネジメント」の安全目標、重点施策に基づき、安全会議や集合研修の充実を図り、安全意識の更なる向上に努めました。また、鉄道・バス・船舶において、地域の警察署や消防署などと連携し、自然災害や緊急時を想定した合同訓練を行いました。
以上の結果、運輸業の営業収益は17,926,738千円(前期比30.2%増)、営業利益は3,762,753千円(前期比282.5%増)となりました。
鉄道営業成績表(富士山麓電気鉄道㈱)
種別 | 単位 | 当連結会計年度 (2023年4月1日~2024年3月31日) |
| 対前期増減率(%) |
営業日数 | 日 | 366 | 0.3 |
営業粁 | 粁 | 26.6 | - |
客車走行粁 | 千粁 | 2,129 | 8.3 |
輸送人員 | 定期外 | 千人 | 3,237 | 83.1 |
定期 | 〃 | 1,072 | 6.3 |
計 | 〃 | 4,310 | 55.2 |
旅客運輸収入 | 定期外 | 千円 | 2,303,658 | 97.3 |
定期 | 〃 | 199,687 | 4.9 |
計 | 〃 | 2,503,346 | 84.3 |
運輸雑収 | 〃 | 372,392 | 54.8 |
運輸収入合計 | 〃 | 2,875,738 | 79.9 |
乗車効率 | % | 23.8 | 58.7 |
(注) 乗車効率算出方法
延人粁=駅間通過人員×駅間粁程
乗車効率=延人粁÷(客車走行粁×客車平均定員)×100
業種別営業成績
種別 | 当連結会計年度 (2023年4月1日~2024年3月31日) |
営業収益(千円) | 対前期増減率(%) |
鉄道事業 | 2,968,203 | 73.0 |
バス事業 | 11,735,888 | 20.9 |
索道事業 | 798,356 | 68.9 |
ハイヤー・タクシー事業 | 1,396,185 | 15.1 |
船舶運送事業 | 1,028,104 | 57.6 |
営業収益計 | 17,926,738 | 30.2 |
(ⅱ) 不動産業
不動産販売事業につきましては、山中湖畔別荘地において、「FUJIYAMA hill’s 山中湖」の展開を進めるとともに、新築オーダーメイドプラン「MOON HILLS」を新規提供するなど、マイカーやゴルフ、サウナなど様々な趣味や多様化するお客様のニーズに合わせたモデルプランを提案し、販売促進に努めました。
不動産賃貸事業につきましては、静岡県沼津市においてドラッグストアへ賃貸を開始したほか、既存賃貸施設の改修工事を行い、安定的な収益の確保に努めました。
以上の結果、不動産業の営業収益は3,153,888千円(前期比6.0%減)、営業利益は755,236千円(前期比18.2%減)となりました。
業種別営業成績
種別 | 当連結会計年度 (2023年4月1日~2024年3月31日) |
営業収益(千円) | 対前期増減率(%) |
売買・仲介斡旋事業 | 344,668 | △32.8 |
賃貸事業 | 2,038,139 | 0.7 |
別荘地管理事業 | 771,080 | △5.6 |
営業収益計 | 3,153,888 | △6.0 |
(ⅲ) レジャー・サービス業
遊園地事業につきましては、「富士急ハイランド」において、12年ぶりの新大型コースター「ZOKKON(ぞっこん)」をオープンし、これまでのスピードやスリルのみならず、人気アーティスト「SEKAI NO OWARI」とコラボレーションした音楽や映像による演出効果もあり、多くの利用者から好評を博しました。また、超難関攻略型アトラクション「絶望要塞」をリニューアルオープンし、更なる魅力向上を図りました。さらに、隣接するコニファーフォレストでの野外音楽イベント「サウンドコニファー229」の開催に合わせ、各公演とのコラボレーション企画を充実し、グッズや飲食等の販売が好調に推移しました。「さがみ湖リゾート プレジャーフォレスト」では、人気アニメ「パウ・パトロール ™ 」との日本初となるコラボレーションイベントを開催するとともに、「さがみ湖イルミリオン」では、国民的アニメ「ドラえもん」とタイアップしたスペシャルイルミネーションを開催し、ファミリー層を中心に多くのお客様にご利用いただきました。スノーパーク「Yeti」では、10月に屋外スキー場として25年連続で日本一早くオープンし、話題喚起に努めたほか、SDGsの一環として、富士急ハイランドのジェットコースターの廃レールや車両を再利用したスノーボード専用エリア「FUJIYAMA アイテムパーク」を設置するなど、新たな魅力の向上に努めました。
ホテル事業につきましては、「ハイランドリゾート ホテル&スパ」において、外国人宿泊者の増加や宴会・婚礼需要の回復により好調に推移しました。また、ホテル内の土産物店において、AI技術を活用した決済システムを導入し、24時間営業の無人店舗化することで、利便性向上と業務効率化に努めました。7月に開業60周年を迎えた「ホテルマウント富士」では、記念宿泊プランや記念商品販売などのアニバーサリーイベントを実施し、話題の喚起に努めました。
以上の結果、レジャー・サービス業の営業収益は24,909,266千円(前期比13.8%増)、営業利益は3,137,186千円(前期比44.4%増)となりました。
業種別営業成績
種別 | 当連結会計年度 (2023年4月1日~2024年3月31日) |
営業収益(千円) | 対前期増減率(%) |
遊園地事業 | 12,903,073 | 15.9 |
ホテル事業 | 5,805,321 | 17.5 |
ゴルフ・スキー事業 | 1,762,862 | 4.6 |
アウトドア事業 | 2,051,768 | △9.6 |
その他レジャー・サービス業 | 2,386,241 | 28.1 |
営業収益計 | 24,909,266 | 13.8 |
(ⅳ) その他の事業
株式会社レゾナント・システムズでは、2022年度に販売を開始した幼児の車内置き去り防止をサポートするシステム「かくにん君」の販売が引き続き好調に推移しました。株式会社富士急百貨店では、富士吉田富士急ターミナルビル「Q-STA」において、各種催事の開催や地域文化交流の場の提供による近隣住民の利用増や、屋上展望デッキからの富士山眺望を目的とした外国人観光客が多く訪れ、来館者数が大幅に増加しました。富士ミネラルウォーター株式会社では、5月の「G7広島サミット」でも採用された紙パック製品の需要が高まり、飲食店やホテルのほか、ECサイトでの取扱いが増加しました。
以上の結果、その他の事業の営業収益は7,764,404千円(前期比4.6%増)、営業利益は664,861千円(前期比157.1%増)となりました。
業種別営業成績
種別 | 当連結会計年度 (2023年4月1日~2024年3月31日) |
営業収益(千円) | 対前期増減率(%) |
物品販売業 | 1,039,398 | 26.2 |
建設業 | 2,169,616 | △25.2 |
製造販売業 | 3,276,415 | 34.5 |
情報処理サービス業 | 470,364 | 0.6 |
その他 | 808,608 | 1.1 |
営業収益計 | 7,764,404 | 4.6 |
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ、1,145,566千円減少し、17,840,258千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に対し、減価償却費等を加減した結果、12,998,169千円の資金収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得等により、5,703,138千円の資金支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期及び長期借入金の返済による支出等により、8,440,597千円の資金支出となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループは、運輸業、不動産業、レジャー・サービス業等、広範囲かつ多種多様な事業を営んでおり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「(1)経営成績等の状況の概要」における各セグメント業績に関連付けて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末における総資産は、株価上昇により投資有価証券が増加した一方で、現金及び預金の減少や減損損失の計上による有形固定資産の減少などにより、前連結会計年度末に比べて209,173千円減少し、100,537,801千円となりました。
負債は、主に借入金やリース債務の減少により、前連結会計年度末に比べて5,776,759千円減少し、68,186,184千円となりました。
純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べて5,567,585千円増加し、32,351,617千円となりました。
b 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度におけるわが国経済は、海外紛争や円安の進行、自然災害等による原材料価格高騰や物価上昇など様々な影響を受けたものの、国内外観光客の増加による消費の拡大や、社会経済活動の回復による雇用・所得環境の改善が見られるなど、緩やかな回復基調で推移しました。
このような状況において当社グループでは、国内はもとより、円安を追い風に訪日外国人客の需要が拡大するなか、積極的な営業活動を行うとともに、計画的な設備投資を行うなど経営の効率化に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度における営業収益は50,701,528千円(前期比18.1%増)、営業利益は8,151,692千円(前期比92.1%増)となりました。なお、セグメントごとの営業収益及び営業利益の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
経常利益は7,936,280千円(前期比98.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失に減損損失1,283,117千円等を計上し、4,571,594千円(前期比97.2%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは以下を財務戦略の基本方針とし、財務基盤の健全性・安定性の向上、及び資産効率の向上による連結ROA(総資産経常利益率)の向上に努めております。
・円滑な事業活動の推進及び経営環境の変化などの事業リスクへの備えとして、長期・安定資金の調達を図り、十分な水準の手元流動性を確保する。
・営業活動によるキャッシュ・フローの水準を勘案のうえ、減価償却費の範囲内を目途とし、企業価値の向上に資する設備投資を厳選して行う。
・株主に対する利益還元は経営の最重要課題の一つとして認識し、継続的かつ安定的な剰余金の配当を行う。
a 資金調達、及び手元流動性について
資金調達については、取引金融機関から長期借入金を中心に所要資金の借入を行うほか、社債の発行、リースの活用など市場環境や調達手段のバランスを考慮したうえで、最適な方法を選択して調達を行っております。なお、当社は取引金融機関との間に総額4,000,000千円のコミットメントラインを設定しており、緊急時の流動性についても確保しております。また、CMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)の活用による資金の一元管理により資金効率の向上を図っております。
当連結会計年度は、取引金融機関より4,780,000千円の長期資金の借入を行うなど安定資金の確保に努めました。なお、当連結会計年度末の有利子負債残高(連結)は金融機関借入・社債・リース債務等の合計で53,501,605千円となり、前連結会計年度末に比べ7,690,078千円減少いたしました。また現金及び現金同等物は、17,840,258千円となり、1,145,566千円減少いたしました。
b 設備投資について
設備投資については、企業価値の向上に資する安全・成長投資を行っております。
当連結会計年度の設備投資額(資金支出ベース)は、営業活動によるキャッシュ・フロー12,998,169千円の資金収入に対し、6,099,150千円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ955,248千円の支出の増加となりました。
c 剰余金の配当について
2024年3月期の配当金につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。
以上により、当連結会計年度末の総資産は100,537,801千円となり、前連結会計年度末に比べ209,173千円減少いたしました。また、連結ROA(総資産経常利益率)は前期より3.9ポイント改善し7.9%となりました。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち重要なものについて、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。