有価証券報告書-第108期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(以下、「当期」という。)における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期のわが国経済は、雇用情勢が着実に改善し緩やかな景気回復基調のうちに推移しましたが、地震や台風などの自然災害が国内経済に大きな影響を与えたほか、期末にかけては、米中間の通商問題等に起因する世界経済の減速が企業収益にも影響を及ぼすなど、景気の先行きに対する不透明感が次第に強まりました。
このような情勢のもと、当社グループでは、当期を最終年度とする「近鉄グループ経営計画」に基づき、阿部野橋ターミナルビル「あべのハルカス」の収益基盤強化、インバウンドをはじめとする観光需要の取り込みのための諸施策の実施、不動産業の強化を引き続き推し進めました。「あべのハルカス」におきましては、近鉄百貨店「あべのハルカス近鉄本店」で積極的に売場改善を行ったほか、「大阪マリオット都ホテル」、「あべのハルカス美術館」など各施設へのお客様の誘致にも鋭意努めた結果、年間の来館者数は開業初年に迫る約4,200万人となり、累計来館者数が2億人に達しました。インバウンド・観光につきましては、鉄道、百貨店、ホテル、旅行、レジャーなど各事業において、訪日旅行者のさらなる誘致と受入れ態勢の整備を図り、自然災害の影響により関西での需要が一時的に落ち込んだものの堅調に推移しました。また、新型名阪特急の車両新造や、さらなる高級ラグジュアリーホテルを目指したウェスティン都ホテル京都の大規模リニューアルに着手するなど、観光需要の創出、獲得に向けた取組みを推し進めました。不動産業においては、首都圏エリアでオフィスビルを相次いで取得したほか、保有地を活用した賃貸レジデンス事業を推進するなど、事業エリアの拡大とアセット事業の強化に注力しました。さらに、当社グループの経営資源とベンチャー企業のテクノロジーや斬新なアイデアとの融合による事業の創出や領域拡大を図るため、「近鉄ベンチャーパートナーズ株式会社」を設立し、ベンチャー企業との協業に取り組みました。以上のとおり、グループ全般にわたって、事業基盤の整備、強化を図り、収益の確保と業績の向上に努力を傾けてまいりました。
この結果、連結営業収益は、前期に比較して1.2%増の1兆2,369億5百万円となり、営業利益は4.9%増の677億79百万円、経常利益は9.5%増の671億29百万円となりました。これに特別利益および特別損失を加減し、法人税等を控除した後の親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比較して21.4%増の359億62百万円となりました。
各報告セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
a.運 輸
運輸業におきましては、鉄軌道部門で、南大阪線列車運行管理システム更新等の諸工事を推進したほか、大阪阿部野橋駅の一部ホームに昇降ロープ式ホームドアを設置するなど、安全・安心のためのさらなる施策強化を図りました。また、駅業務の省人化を進めつつお客様の利便性の維持・向上を図るため、お客様案内業務を一括して行う総合案内センターを開設するとともに、モニター画面を通じて同センターのオペレーターによる案内や遠隔操作ができるリモートサポート付き定期券・特急券自動発売機の運用を開始しました。訪日旅行者への取組みとしては、駅の無料Wi-Fiサービスを拡充したほか、案内サインや案内放送の多言語化等を進め、受入れ態勢整備に努めました。しかしながら、大阪北部地震や相次いで上陸した台風などの自然災害の影響が大きく、減収となりました。
この結果、営業収益は前期に比較して0.6%減の2,267億54百万円、営業利益は退職給付費用の減少もあり、12.8%増の329億43百万円となりました。
(近畿日本鉄道㈱ 運輸成績表)
(注)乗車効率の算出は、延人キロ/(車両走行キロ×平均定員)によります。
b.不動産
不動産業におきましては、不動産販売部門で、需要の多い都心部を中心にマンション分譲を進めるとともに、近鉄沿線の学研奈良登美ヶ丘等で戸建分譲を推進しました。不動産賃貸部門では、主要賃貸物件が堅調に推移したほか、首都圏エリアでのオフィスビル取得や、京都駅高架下商業施設「みやこみち」のリニューアル等を実施し、賃貸事業の強化を図りました。
この結果、営業収益は前期に比較して9.8%増の1,642億45百万円、営業利益は14.7%増の186億98百万円となりました。
c.流 通
流通業におきましては、百貨店部門で、旗艦店である「あべのハルカス近鉄本店」の収益力のさらなる強化を図るとともに、郊外店では地域のお客様や取引先と連携した「地域共創型百貨店」を目指し、それぞれの地域の特性に合わせたリニューアルに取り組みました。ストア・飲食部門では、企画戦略機能の強化のため、事業会社を統括する「近鉄リテールホールディングス株式会社」を設立し、駅ナカショッピングモールやスーパーマーケットの改装を推進するとともに、新規事業の開発や既存事業の統廃合に取り組みました。しかしながら、不採算のスーパーマーケットを閉鎖したことにより、流通業全体としては減収となりました。
この結果、営業収益は前期に比較して0.5%減の3,936億70百万円となりましたが、営業利益は9.9%増の77億83百万円となりました。
d.ホテル・レジャー
ホテル・レジャー業におきましては、ホテル部門で、「都ホテル」「都シティ」「都リゾート」の3つのカテゴリーでホテルブランドを新たに構築したほか、宿泊主体型ホテルの「都シティ 東京高輪」を開業し、市場環境の変化への対応と新規顧客の獲得に努めましたが、既存ホテルの改装工事に伴う販売客室数の減少もあり減収となりました。旅行部門では、地域旅行会社と訪日旅行・団体旅行等の専門会社を基軸とする新しい営業体制に移行し、商品造成力・販売力の強化とウェブ販売の拡大に注力した結果、増収となりました。
この結果、営業収益は前期に比較して0.7%増の4,818億18百万円となりましたが、営業利益は35.8%減の61億85百万円となりました。
e.その他
その他の事業におきましては、営業収益は前期に比較して10.9%増の181億74百万円、営業利益は7.5%減の14億91百万円となりました。
資産合計は、前期末に比較して219億37百万円増加し、1兆9,364億17百万円となりました。これは、団体旅行前払金の支出等により流動資産が増加し、また、固定資産で、事業用固定資産が減価償却や減損損失計上による減があったものの、設備投資により増加したことによるものであります。
負債合計は、前期末に比較して31億25百万円増加し、1兆5,233億67百万円となりました。これは、借入金の返済を進めたものの、未払金等が増加したことによるものであります。
純資産合計は、前期末に比較して188億12百万円増加し、4,130億50百万円となりました。これは、その他の包括利益累計額で退職給付に係る調整額が減少しましたが、利益剰余金が純利益の計上から配当を差し引き増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物は520億89百万円で、前期末に比較して6億74百万円減少いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得た資金は、1,023億19百万円で、マンション販売の進捗等で販売土地及び建物の資金回収が進んだほか、法人税等の支払が減少しましたため、前期に比較して135億21百万円収入額が増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は641億48百万円で、固定資産の取得による支出の増加等により、前期に比較して133億51百万円支出額が増加しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は389億5百万円で、社債による調達が収入に転じましたが、借入金の純返済額が増加しましたため、前期に比較して20億13百万円支出額が増加しました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の状況については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しておりますが、この作成にあたり、当期末の資産及び負債並びに当期に係る収益及び費用の報告金額に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況等に応じた合理的な判断に基づき見積りを行っております。これらのうち主なものは以下のとおりでありますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
a.固定資産の減損
当社グループは、事業の特性上、多額の固定資産を保有しており、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しております。従って、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施する可能性があります。
b.繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得や税務計画を合理的に見積っております。従って、将来の課税所得の見積額や税務計画が変更された場合には、繰延税金資産が増額又は減額される可能性があります。
c.退職給付債務及び費用の計算
当社グループは、退職給付債務及び費用の計算について、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の前提条件に基づき行っており、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、その影響額は累積され、将来にわたって規則的に認識されます。従って、これらの前提条件や退職給付制度が変更された場合、退職給付債務及び費用の計算に影響を及ぼす可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績に重要な影響を与える要因)
a.沿線人口の変動
少子高齢化や人口移転等による近鉄沿線の就労人口や通学人口の変動等は、運輸業、流通業や不動産業の収益に影響を及ぼす要因となります。
当連結会計年度は、少子高齢化により鉄軌道部門の通学定期は引き続き減少傾向にありますが、雇用環境の改善による就業者数の増が通勤定期の増加に寄与したため、定期旅客収入は増収となりました。
b.景気・個人消費動向等の変動
運輸業、流通業及びホテル・レジャー業は、一般消費者を顧客としており、景気動向、個人消費動向等の経済情勢のほか、冷夏、暖冬などの異常気象、天候不順、大規模災害や国際情勢不安等の影響により、収益が変動する可能性があります。
当連結会計年度は、昨年6月の大阪北部地震やその後の度重なる台風などの自然災害及びこれに起因する関西国際空港の閉鎖などが国内や訪日旅行客の動向に大きく影響を及ぼし、鉄軌道部門、百貨店部門やホテル部門など各部門において減収要因となりましたが、雇用情勢の着実な改善などもあり、全体として景気は緩やかな回復基調のもと推移したため、小幅な減収にとどまりました。
c.不動産市況や地価の変動
不動産市況や地価の変動に伴うマンション等の販売や不動産賃料収入の変動等により、不動産業の業績が影響を受ける可能性があります。
当連結会計年度は、前期に引き続き土地の仕入価格や建築コストが上昇基調にあったものの、都市部を中心にマンション販売は概ね堅調であったことに加え、大阪地区のオフィス空室率が低水準で推移するなど、当社グループを取り巻く賃貸市況も良好に推移しました。
d.労働需給等による人材確保の状況
少子高齢化や労働需給等により、事業運営に必要な人材確保の状況に変化が生じた場合、運輸業、流通業及びホテル・レジャー業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度は、雇用環境の改善等に伴う労働需要のひっ迫により、競合他社や業界間での人材獲得競争が激化し、人件費の増加等が各事業の収支に影響を与えました。
e.原油等の資源価格の変動
原油等の資源価格の変動に伴う電気料金や燃料油脂費の動向は、当社グループ各事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度は、電力料金の引き下げにより鉄軌道部門の動力費が減少したものの、原油価格が引き続き高水準にあったことから、バス部門等で燃料油脂費が増加しました。
f.市場金利の変動や格付の変更
景気の急激な変動や金融市場の混乱等により、市場金利が変動した場合や、信用格付業者による格付の変更が行われた場合には、調達金利の変動により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度は、前期に引き続き金利が低水準で推移するなど、概ね良好な調達環境が持続しました。
(経営成績の状況に関する分析)
経営成績に重要な影響を与える各要因を踏まえた当連結会計年度の経営成績の状況に関する分析は、次のとおりであります。
a.営業収益及び営業利益
営業収益は、運輸業で、大阪北部地震や台風等の自然災害の影響により鉄軌道部門が減収となりましたが、不動産業で、マンション販売戸数が増加したことや、主要賃貸物件が堅調に推移し賃貸料が増加した等により増収となったほか、ホテル・レジャー業において、旅行業が海外旅行の販売が好調であったため増収となりましたため、前期に比較して1.2%増の1兆2,369億5百万円となり、営業利益は、不動産業の増収に加え、鉄軌道部門における費用の減少もあり、ホテル部門での改装に伴う客室の一部売り止めや費用の増加を吸収し、前期に比較して4.9%増の677億79百万円となりました。
運輸業では、鉄軌道部門において、昨年6月の大阪北部地震や、7月から9月にかけて相次いで上陸した台風など自然災害の影響が大きく、一昨年10月の台風接近の反動増はあったものの、運輸業全体の営業収益は、前年に比較して0.6%減の2,267億54百万円となりました。営業利益は、鉄軌道部門における退職給付費用、修繕費や動力費等が減少したこともあり、前期に比較して12.8%増の329億43百万円となりました。
不動産業では、不動産販売部門で、都市部を中心にマンション販売戸数が増加したほか、不動産賃貸部門で、主要賃貸物件が堅調を維持し賃貸料が増加したことに加え、保有資産の売却もありましたため、不動産業全体の営業収益は、前期に比較して9.8%増の1,642億45百万円となり、営業利益は、前期に比較して14.7%増の186億98百万円となりました。
流通業では、ストア・飲食部門でのコンビニエンスストアやスーパーマーケットの店舗の閉鎖や改装に伴う休業により、流通業全体の営業収益は、前期に比較して0.5%減の3,936億70百万円となりましたが、営業利益は、百貨店部門で、インバウンドに訴求力のあるショップの拡充や特選ブランドの低層階への集積等の施策により「あべのハルカス近鉄本店」が堅調に推移しましたため、前期に比較して9.9%増の77億83百万円となりました。
ホテル・レジャー業では、ホテル部門で、昨年1月に「沖縄都ホテル」を売却したほか、「ウェスティン都ホテル京都」の大規模リニューアル工事による客室の一部売り止め等により減収となりましたが、旅行部門で、海外旅行の販売が好調に推移しましたため、ホテル・レジャー業全体の営業収益は、前期に比較して0.7%増の4,818億18百万円となりました。営業利益は、ホテル部門での減収や改装費用等の増加に加え、旅行部門での商品販売の競争激化により個人旅行部門の利益率が低下したこともあり、前期に比較して35.8%減の61億85百万円となりました。
b.経常利益
当連結会計年度における経常利益は、営業外収益で、持分法による投資利益が増加したほか、営業外費用で、借入金・社債の削減や金利の低下により支払利息が減少しましたため、前期に比較して9.5%増の671億29百万円となりました。
c.親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失で固定資産除却損の計上額が増加しましたが、子会社の事業再編に伴い税負担が減少したこと等もあり、前期に比較して21.4%増の359億62百万円となりました。
(経営判断のために採用している経営指標とその達成状況及びその理由)
当社は、平成27年度から平成30年度までの4か年を計画期間とする「近鉄グループ経営計画(2015~2018年度)」に基づき、財務健全性を確保しながら、グループの業績向上を図ってまいりました。
本経営計画において、当社グループとしては、「営業利益」、「経常利益」、「有利子負債/EBITDA倍率」、「ROE」、「D/Eレシオ」を重要な指標として位置付けております。
計画期間の最終年度となる当連結会計年度は、度重なる自然災害の影響はあったものの、経営計画の重点テーマである「あべのハルカス」の収益基盤強化、インバウンド・観光による収益増大、不動産事業の強化の取り組みを着実に推進し、すべての経営指標目標を達成いたしました。
なお、令和元年度よりスタートする5ヶ年の中期計画における連結経営指標につきましては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループでは、令和5年度を最終年度とする「中期計画(2019~2023年度)」において、「成長への礎づくり」を基本方針とし、収益力と財務基盤のさらなる強化に取り組むこととしております。グループの持続的な成長のために必要な投資をその効果を見極めて厳選して行うとともに、原則としてグループ各社の事業活動に必要な資金を当社が一元的に調達することで、資金調達の安定と最適な財務バランスの実現を図ってまいります。また、将来を見据えて、万博・IR関連事業等の新3大プロジェクトを推進するため、今回新たに戦略投資枠を設定いたしましたが、これは各事業が生み出すキャッシュ・フロー等を財源といたします。
資金需要の主なものは、各事業の運転資金、販売用不動産など棚卸資産の取得に加え、既存設備の維持更新、安全関連投資、鉄道車両の新造、不動産賃貸物件の取得及び所有不動産の建替や改装といった設備投資に関するものであります。
これらの資金需要に対応すべく、短期資金については、各事業が生み出す営業キャッシュ・フローに加え、当座貸越やコミットメントラインなどによる金融機関からの借入れ、コマーシャル・ペーパーの発行などにより資金の流動性を確保しております。また、長期資金については、金融機関からの借入れ、シンジケート・ローンの組成、社債の発行及びリースなどの多様な選択肢の中から最適な調達手法を採用しております。さらに、返済年限の長期化を図り、固定金利で調達することで金利上昇リスクに対応するとともに、年度別返済額を平準化することで将来の借り換えリスクの低減にも努めております。
当連結会計年度(以下、「当期」という。)における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期のわが国経済は、雇用情勢が着実に改善し緩やかな景気回復基調のうちに推移しましたが、地震や台風などの自然災害が国内経済に大きな影響を与えたほか、期末にかけては、米中間の通商問題等に起因する世界経済の減速が企業収益にも影響を及ぼすなど、景気の先行きに対する不透明感が次第に強まりました。
このような情勢のもと、当社グループでは、当期を最終年度とする「近鉄グループ経営計画」に基づき、阿部野橋ターミナルビル「あべのハルカス」の収益基盤強化、インバウンドをはじめとする観光需要の取り込みのための諸施策の実施、不動産業の強化を引き続き推し進めました。「あべのハルカス」におきましては、近鉄百貨店「あべのハルカス近鉄本店」で積極的に売場改善を行ったほか、「大阪マリオット都ホテル」、「あべのハルカス美術館」など各施設へのお客様の誘致にも鋭意努めた結果、年間の来館者数は開業初年に迫る約4,200万人となり、累計来館者数が2億人に達しました。インバウンド・観光につきましては、鉄道、百貨店、ホテル、旅行、レジャーなど各事業において、訪日旅行者のさらなる誘致と受入れ態勢の整備を図り、自然災害の影響により関西での需要が一時的に落ち込んだものの堅調に推移しました。また、新型名阪特急の車両新造や、さらなる高級ラグジュアリーホテルを目指したウェスティン都ホテル京都の大規模リニューアルに着手するなど、観光需要の創出、獲得に向けた取組みを推し進めました。不動産業においては、首都圏エリアでオフィスビルを相次いで取得したほか、保有地を活用した賃貸レジデンス事業を推進するなど、事業エリアの拡大とアセット事業の強化に注力しました。さらに、当社グループの経営資源とベンチャー企業のテクノロジーや斬新なアイデアとの融合による事業の創出や領域拡大を図るため、「近鉄ベンチャーパートナーズ株式会社」を設立し、ベンチャー企業との協業に取り組みました。以上のとおり、グループ全般にわたって、事業基盤の整備、強化を図り、収益の確保と業績の向上に努力を傾けてまいりました。
この結果、連結営業収益は、前期に比較して1.2%増の1兆2,369億5百万円となり、営業利益は4.9%増の677億79百万円、経常利益は9.5%増の671億29百万円となりました。これに特別利益および特別損失を加減し、法人税等を控除した後の親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比較して21.4%増の359億62百万円となりました。
各報告セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
a.運 輸
運輸業におきましては、鉄軌道部門で、南大阪線列車運行管理システム更新等の諸工事を推進したほか、大阪阿部野橋駅の一部ホームに昇降ロープ式ホームドアを設置するなど、安全・安心のためのさらなる施策強化を図りました。また、駅業務の省人化を進めつつお客様の利便性の維持・向上を図るため、お客様案内業務を一括して行う総合案内センターを開設するとともに、モニター画面を通じて同センターのオペレーターによる案内や遠隔操作ができるリモートサポート付き定期券・特急券自動発売機の運用を開始しました。訪日旅行者への取組みとしては、駅の無料Wi-Fiサービスを拡充したほか、案内サインや案内放送の多言語化等を進め、受入れ態勢整備に努めました。しかしながら、大阪北部地震や相次いで上陸した台風などの自然災害の影響が大きく、減収となりました。
この結果、営業収益は前期に比較して0.6%減の2,267億54百万円、営業利益は退職給付費用の減少もあり、12.8%増の329億43百万円となりました。
| 業 種 | 単 位 | 当 期 | |
| (平成30年4月~平成31年3月) | 前期比(%) | ||
| 鉄軌道事業 | 百万円 | 156,444 | △1.0 |
| バス事業 | 百万円 | 34,636 | △0.1 |
| タクシー業 | 百万円 | 11,537 | 0.3 |
| 鉄道施設整備業 | 百万円 | 28,347 | 2.5 |
| その他運輸関連業 | 百万円 | 21,426 | △2.7 |
| 調整 | 百万円 | △25,637 | - |
| 営業収益計 | 百万円 | 226,754 | △0.6 |
(近畿日本鉄道㈱ 運輸成績表)
| 区 分 | 単 位 | 当 期 | |||
| (平成30年4月~平成31年3月) | 前期比(%) | ||||
| 営業日数 | 日 | 365 | 0.0 | ||
| 営業キロ程 | キロ | 501.1 | 0.0 | ||
| 客車走行キロ | 千キロ | 286,014 | △0.3 | ||
| 旅客人員 | 定期 | 千人 | 342,481 | 0.2 | |
| 定期外 | 千人 | 235,556 | △0.4 | ||
| 計 | 千人 | 578,037 | △0.1 | ||
| 旅客運輸収入 | 旅客収入 | 定期 | 百万円 | 47,605 | 0.1 |
| 定期外 | 百万円 | 101,687 | △0.7 | ||
| 計 | 百万円 | 149,292 | △0.4 | ||
| 荷物収入 | 百万円 | 33 | △9.3 | ||
| 合計 | 百万円 | 149,326 | △0.4 | ||
| 線路使用料 | 百万円 | - | △100.0 | ||
| 運輸雑収 | 百万円 | 7,118 | 3.9 | ||
| 営業収益計 | 百万円 | 156,444 | △0.6 | ||
| 乗車効率 | % | 29.3 | - | ||
(注)乗車効率の算出は、延人キロ/(車両走行キロ×平均定員)によります。
b.不動産
不動産業におきましては、不動産販売部門で、需要の多い都心部を中心にマンション分譲を進めるとともに、近鉄沿線の学研奈良登美ヶ丘等で戸建分譲を推進しました。不動産賃貸部門では、主要賃貸物件が堅調に推移したほか、首都圏エリアでのオフィスビル取得や、京都駅高架下商業施設「みやこみち」のリニューアル等を実施し、賃貸事業の強化を図りました。
この結果、営業収益は前期に比較して9.8%増の1,642億45百万円、営業利益は14.7%増の186億98百万円となりました。
| 業 種 | 単 位 | 当 期 | |
| (平成30年4月~平成31年3月) | 前期比(%) | ||
| 不動産販売業 | 百万円 | 77,725 | 13.8 |
| 不動産賃貸業 | 百万円 | 47,374 | 3.3 |
| 不動産管理業 | 百万円 | 43,408 | 6.0 |
| 調整 | 百万円 | △4,262 | - |
| 営業収益計 | 百万円 | 164,245 | 9.8 |
c.流 通
流通業におきましては、百貨店部門で、旗艦店である「あべのハルカス近鉄本店」の収益力のさらなる強化を図るとともに、郊外店では地域のお客様や取引先と連携した「地域共創型百貨店」を目指し、それぞれの地域の特性に合わせたリニューアルに取り組みました。ストア・飲食部門では、企画戦略機能の強化のため、事業会社を統括する「近鉄リテールホールディングス株式会社」を設立し、駅ナカショッピングモールやスーパーマーケットの改装を推進するとともに、新規事業の開発や既存事業の統廃合に取り組みました。しかしながら、不採算のスーパーマーケットを閉鎖したことにより、流通業全体としては減収となりました。
この結果、営業収益は前期に比較して0.5%減の3,936億70百万円となりましたが、営業利益は9.9%増の77億83百万円となりました。
| 業 種 | 単 位 | 当 期 | |
| (平成30年4月~平成31年3月) | 前期比(%) | ||
| 百貨店業 | 百万円 | 282,220 | 0.1 |
| ストア・飲食業 | 百万円 | 112,647 | △2.3 |
| 調整 | 百万円 | △1,198 | - |
| 営業収益計 | 百万円 | 393,670 | △0.5 |
d.ホテル・レジャー
ホテル・レジャー業におきましては、ホテル部門で、「都ホテル」「都シティ」「都リゾート」の3つのカテゴリーでホテルブランドを新たに構築したほか、宿泊主体型ホテルの「都シティ 東京高輪」を開業し、市場環境の変化への対応と新規顧客の獲得に努めましたが、既存ホテルの改装工事に伴う販売客室数の減少もあり減収となりました。旅行部門では、地域旅行会社と訪日旅行・団体旅行等の専門会社を基軸とする新しい営業体制に移行し、商品造成力・販売力の強化とウェブ販売の拡大に注力した結果、増収となりました。
この結果、営業収益は前期に比較して0.7%増の4,818億18百万円となりましたが、営業利益は35.8%減の61億85百万円となりました。
| 業 種 | 単 位 | 当 期 | |
| (平成30年4月~平成31年3月) | 前期比(%) | ||
| ホテル業 | 百万円 | 57,389 | △6.2 |
| 旅行業 | 百万円 | 411,821 | 1.6 |
| 映画業 | 百万円 | 3,618 | 2.1 |
| 水族館業 | 百万円 | 9,175 | 1.8 |
| 調整 | 百万円 | △186 | - |
| 営業収益計 | 百万円 | 481,818 | 0.7 |
e.その他
その他の事業におきましては、営業収益は前期に比較して10.9%増の181億74百万円、営業利益は7.5%減の14億91百万円となりました。
資産合計は、前期末に比較して219億37百万円増加し、1兆9,364億17百万円となりました。これは、団体旅行前払金の支出等により流動資産が増加し、また、固定資産で、事業用固定資産が減価償却や減損損失計上による減があったものの、設備投資により増加したことによるものであります。
負債合計は、前期末に比較して31億25百万円増加し、1兆5,233億67百万円となりました。これは、借入金の返済を進めたものの、未払金等が増加したことによるものであります。
純資産合計は、前期末に比較して188億12百万円増加し、4,130億50百万円となりました。これは、その他の包括利益累計額で退職給付に係る調整額が減少しましたが、利益剰余金が純利益の計上から配当を差し引き増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物は520億89百万円で、前期末に比較して6億74百万円減少いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得た資金は、1,023億19百万円で、マンション販売の進捗等で販売土地及び建物の資金回収が進んだほか、法人税等の支払が減少しましたため、前期に比較して135億21百万円収入額が増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は641億48百万円で、固定資産の取得による支出の増加等により、前期に比較して133億51百万円支出額が増加しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は389億5百万円で、社債による調達が収入に転じましたが、借入金の純返済額が増加しましたため、前期に比較して20億13百万円支出額が増加しました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の状況については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しておりますが、この作成にあたり、当期末の資産及び負債並びに当期に係る収益及び費用の報告金額に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況等に応じた合理的な判断に基づき見積りを行っております。これらのうち主なものは以下のとおりでありますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
a.固定資産の減損
当社グループは、事業の特性上、多額の固定資産を保有しており、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しております。従って、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施する可能性があります。
b.繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得や税務計画を合理的に見積っております。従って、将来の課税所得の見積額や税務計画が変更された場合には、繰延税金資産が増額又は減額される可能性があります。
c.退職給付債務及び費用の計算
当社グループは、退職給付債務及び費用の計算について、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の前提条件に基づき行っており、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、その影響額は累積され、将来にわたって規則的に認識されます。従って、これらの前提条件や退職給付制度が変更された場合、退職給付債務及び費用の計算に影響を及ぼす可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績に重要な影響を与える要因)
a.沿線人口の変動
少子高齢化や人口移転等による近鉄沿線の就労人口や通学人口の変動等は、運輸業、流通業や不動産業の収益に影響を及ぼす要因となります。
当連結会計年度は、少子高齢化により鉄軌道部門の通学定期は引き続き減少傾向にありますが、雇用環境の改善による就業者数の増が通勤定期の増加に寄与したため、定期旅客収入は増収となりました。
b.景気・個人消費動向等の変動
運輸業、流通業及びホテル・レジャー業は、一般消費者を顧客としており、景気動向、個人消費動向等の経済情勢のほか、冷夏、暖冬などの異常気象、天候不順、大規模災害や国際情勢不安等の影響により、収益が変動する可能性があります。
当連結会計年度は、昨年6月の大阪北部地震やその後の度重なる台風などの自然災害及びこれに起因する関西国際空港の閉鎖などが国内や訪日旅行客の動向に大きく影響を及ぼし、鉄軌道部門、百貨店部門やホテル部門など各部門において減収要因となりましたが、雇用情勢の着実な改善などもあり、全体として景気は緩やかな回復基調のもと推移したため、小幅な減収にとどまりました。
c.不動産市況や地価の変動
不動産市況や地価の変動に伴うマンション等の販売や不動産賃料収入の変動等により、不動産業の業績が影響を受ける可能性があります。
当連結会計年度は、前期に引き続き土地の仕入価格や建築コストが上昇基調にあったものの、都市部を中心にマンション販売は概ね堅調であったことに加え、大阪地区のオフィス空室率が低水準で推移するなど、当社グループを取り巻く賃貸市況も良好に推移しました。
d.労働需給等による人材確保の状況
少子高齢化や労働需給等により、事業運営に必要な人材確保の状況に変化が生じた場合、運輸業、流通業及びホテル・レジャー業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度は、雇用環境の改善等に伴う労働需要のひっ迫により、競合他社や業界間での人材獲得競争が激化し、人件費の増加等が各事業の収支に影響を与えました。
e.原油等の資源価格の変動
原油等の資源価格の変動に伴う電気料金や燃料油脂費の動向は、当社グループ各事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度は、電力料金の引き下げにより鉄軌道部門の動力費が減少したものの、原油価格が引き続き高水準にあったことから、バス部門等で燃料油脂費が増加しました。
f.市場金利の変動や格付の変更
景気の急激な変動や金融市場の混乱等により、市場金利が変動した場合や、信用格付業者による格付の変更が行われた場合には、調達金利の変動により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度は、前期に引き続き金利が低水準で推移するなど、概ね良好な調達環境が持続しました。
(経営成績の状況に関する分析)
経営成績に重要な影響を与える各要因を踏まえた当連結会計年度の経営成績の状況に関する分析は、次のとおりであります。
a.営業収益及び営業利益
営業収益は、運輸業で、大阪北部地震や台風等の自然災害の影響により鉄軌道部門が減収となりましたが、不動産業で、マンション販売戸数が増加したことや、主要賃貸物件が堅調に推移し賃貸料が増加した等により増収となったほか、ホテル・レジャー業において、旅行業が海外旅行の販売が好調であったため増収となりましたため、前期に比較して1.2%増の1兆2,369億5百万円となり、営業利益は、不動産業の増収に加え、鉄軌道部門における費用の減少もあり、ホテル部門での改装に伴う客室の一部売り止めや費用の増加を吸収し、前期に比較して4.9%増の677億79百万円となりました。
運輸業では、鉄軌道部門において、昨年6月の大阪北部地震や、7月から9月にかけて相次いで上陸した台風など自然災害の影響が大きく、一昨年10月の台風接近の反動増はあったものの、運輸業全体の営業収益は、前年に比較して0.6%減の2,267億54百万円となりました。営業利益は、鉄軌道部門における退職給付費用、修繕費や動力費等が減少したこともあり、前期に比較して12.8%増の329億43百万円となりました。
不動産業では、不動産販売部門で、都市部を中心にマンション販売戸数が増加したほか、不動産賃貸部門で、主要賃貸物件が堅調を維持し賃貸料が増加したことに加え、保有資産の売却もありましたため、不動産業全体の営業収益は、前期に比較して9.8%増の1,642億45百万円となり、営業利益は、前期に比較して14.7%増の186億98百万円となりました。
流通業では、ストア・飲食部門でのコンビニエンスストアやスーパーマーケットの店舗の閉鎖や改装に伴う休業により、流通業全体の営業収益は、前期に比較して0.5%減の3,936億70百万円となりましたが、営業利益は、百貨店部門で、インバウンドに訴求力のあるショップの拡充や特選ブランドの低層階への集積等の施策により「あべのハルカス近鉄本店」が堅調に推移しましたため、前期に比較して9.9%増の77億83百万円となりました。
ホテル・レジャー業では、ホテル部門で、昨年1月に「沖縄都ホテル」を売却したほか、「ウェスティン都ホテル京都」の大規模リニューアル工事による客室の一部売り止め等により減収となりましたが、旅行部門で、海外旅行の販売が好調に推移しましたため、ホテル・レジャー業全体の営業収益は、前期に比較して0.7%増の4,818億18百万円となりました。営業利益は、ホテル部門での減収や改装費用等の増加に加え、旅行部門での商品販売の競争激化により個人旅行部門の利益率が低下したこともあり、前期に比較して35.8%減の61億85百万円となりました。
b.経常利益
当連結会計年度における経常利益は、営業外収益で、持分法による投資利益が増加したほか、営業外費用で、借入金・社債の削減や金利の低下により支払利息が減少しましたため、前期に比較して9.5%増の671億29百万円となりました。
c.親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失で固定資産除却損の計上額が増加しましたが、子会社の事業再編に伴い税負担が減少したこと等もあり、前期に比較して21.4%増の359億62百万円となりました。
(経営判断のために採用している経営指標とその達成状況及びその理由)
当社は、平成27年度から平成30年度までの4か年を計画期間とする「近鉄グループ経営計画(2015~2018年度)」に基づき、財務健全性を確保しながら、グループの業績向上を図ってまいりました。
本経営計画において、当社グループとしては、「営業利益」、「経常利益」、「有利子負債/EBITDA倍率」、「ROE」、「D/Eレシオ」を重要な指標として位置付けております。
計画期間の最終年度となる当連結会計年度は、度重なる自然災害の影響はあったものの、経営計画の重点テーマである「あべのハルカス」の収益基盤強化、インバウンド・観光による収益増大、不動産事業の強化の取り組みを着実に推進し、すべての経営指標目標を達成いたしました。
| 当連結会計年度実績 (平成31年3月期) | 経営指標目標 (平成31年3月期) | |
| 営業利益 | 677億円 | 600億円 |
| 経常利益 | 671億円 | 550億円 |
| 有利子負債/EBITDA倍率 | 8.8倍 | 9倍程度 |
| 自己資本利益率(ROE) | 9.6% | 8%台 |
| D/Eレシオ | 2.8倍 | 3倍未満 |
なお、令和元年度よりスタートする5ヶ年の中期計画における連結経営指標につきましては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループでは、令和5年度を最終年度とする「中期計画(2019~2023年度)」において、「成長への礎づくり」を基本方針とし、収益力と財務基盤のさらなる強化に取り組むこととしております。グループの持続的な成長のために必要な投資をその効果を見極めて厳選して行うとともに、原則としてグループ各社の事業活動に必要な資金を当社が一元的に調達することで、資金調達の安定と最適な財務バランスの実現を図ってまいります。また、将来を見据えて、万博・IR関連事業等の新3大プロジェクトを推進するため、今回新たに戦略投資枠を設定いたしましたが、これは各事業が生み出すキャッシュ・フロー等を財源といたします。
資金需要の主なものは、各事業の運転資金、販売用不動産など棚卸資産の取得に加え、既存設備の維持更新、安全関連投資、鉄道車両の新造、不動産賃貸物件の取得及び所有不動産の建替や改装といった設備投資に関するものであります。
これらの資金需要に対応すべく、短期資金については、各事業が生み出す営業キャッシュ・フローに加え、当座貸越やコミットメントラインなどによる金融機関からの借入れ、コマーシャル・ペーパーの発行などにより資金の流動性を確保しております。また、長期資金については、金融機関からの借入れ、シンジケート・ローンの組成、社債の発行及びリースなどの多様な選択肢の中から最適な調達手法を採用しております。さらに、返済年限の長期化を図り、固定金利で調達することで金利上昇リスクに対応するとともに、年度別返済額を平準化することで将来の借り換えリスクの低減にも努めております。