有価証券報告書-第110期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(以下、3において「当期」という。)における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、3において「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、期初から外出を伴う個人消費が急速に減少し、中盤には各種経済政策の効果もあり一時的に景気回復の兆しが見られたものの、期の終盤にかけて感染症が再拡大するなど、きわめて厳しい状況のうちに推移しました。
このような情勢のもと、当社グループでは、消費需要の急速な減少による深刻な影響を受け、各事業において、感染予防と感染拡大の防止に取り組みつつ、事業構造改革によるコスト削減と、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた新たな収益基盤の強化に努めてまいりました。
鉄道事業では、各種費用の削減を進めた一方で、交通インフラとして事業の継続に努め、駅を中心とした業務の効率的な運営のための遠隔監視設備の設置などを進めたほか、観光需要の回復に備えて、昨年3月に運行を開始した新型名阪特急「ひのとり」の増備を進めました。また、不動産事業では、テレワークに対応したマンション・戸建住宅の分譲や、ワーケーション事業の試験運用を行いました。このほか、百貨店事業で、「あべのハルカス近鉄本店」をはじめ各店舗において、店頭での感染防止策を最大限に講じて営業するとともに、ネットショップによる販売の強化を進め巣ごもり需要の取り込みに注力するなど、各事業において、コロナ禍での新たな収益の確保とコスト削減に努めてまいりましたが、感染症が収束せず、運輸、流通、ホテル・レジャーなど各事業で大幅な減収となりました。
この結果、連結営業収益は、前期に比較して41.6%減の6,972億3百万円となり、営業損益は621億15百万円の損失、経常損益は419億59百万円の損失となりました。これに特別利益および特別損失を加減し、法人税等を控除した後の親会社株主に帰属する当期純損益は、601億87百万円の損失となりました。
各報告セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
a.運 輸
運輸業におきましては、鉄軌道部門で、激甚化する災害への対応として、施設の強靭化を進めるなど安全確保のための諸施策を着実に推進するとともに、新型コロナウイルス感染症への対応として、全車両において抗ウイルス・抗菌加工を実施するなど、お客様の安全・安心を守る取組みに最大限注力しました。観光への取組みとしては、国のGoToトラベル事業に参画し既存旅行商品の販売促進や新たな旅行商品の造成を進めたほか、運行開始1周年を迎えた新型名阪特急「ひのとり」においてYouTubeを活用した宣伝キャンペーンを行うなど、感染症予防に配慮しつつお客様の誘致に努めました。しかしながら、感染症の拡大により大幅に利用客数が減少したため、減収となりました。
この結果、営業収益は前期に比較して32.2%減の1,502億18百万円、営業損益は246億70百万円の損失となりました。
(近畿日本鉄道㈱ 運輸成績表)
(注)乗車効率の算出は、延人キロ/(車両走行キロ×平均定員)によります。
b.不動産
不動産業におきましては、不動産販売部門で、テレワークに対応したマンションや戸建住宅の分譲を進めるなど、ウィズコロナへの対応を推進したほか、当社グループのホテルを活用し、「働く」「泊まる」「遊ぶ」を融合した「近鉄・伊勢志摩ワーケーション」の試験運用を開始するなど、ライフスタイルの変化を踏まえ、新たな不動産事業のあり方について検討を進めました。しかしながら、感染症の拡大に伴い、不動産販売全般において営業活動が制限され、また、あべのハルカス展望台やゴルフ場が一時休業したことにより減収となりました。
この結果、営業収益は前期に比較して11.3%減の1,429億65百万円、営業利益は17.2%減の148億33百万円となりました。
c.流 通
流通業におきましては、百貨店部門で、ネットショップの販売強化、人気物産展のオンライン開催など、コロナ禍における巣ごもり需要の取り込みに注力したほか、感染症が収束した後の経営環境を見据え、郊外店において食料品充実、専門店導入等の店舗構造改革を行い、効率的な運営体制の整備を推進しました。しかしながら、ストア・飲食部門も含め、感染症の影響でインバウンド需要や飲食需要が急減したほか、店舗の一時休業も行ったため減収となりました。
この結果、営業収益は前期に比較して20.3%減の3,131億10百万円、営業損益は46億68百万円の損失となりました。
d.ホテル・レジャー
ホテル・レジャー業におきましては、ホテル部門で、「都シティ 大阪本町」を開業したほか、ウェスティン都ホテル京都では、京都を代表する高級ラグジュアリーホテルを目指して進めてきた改装の一環で、数寄屋風別館「佳水園」をリニューアルオープンし、また、本年4月のオープンに向けて天然温泉SPA「華頂」の開業準備を進めました。旅行部門では、参加定員を削減するなど徹底した感染症対策を行った新たな旅行商品を開発・販売し、コロナ禍における新たな旅の形を提案しました。しかしながら、感染症の拡大により旅行需要が大幅に減少し、また、ホテルやレジャー施設の営業を一時休止したこともあり、減収となりました。
この結果、営業収益は前期に比較して74.6%減の1,141億77百万円となり、営業損益は492億42百万円の損失となりました。
e.その他
その他の事業におきましては、営業収益は前期に比較して2.3%減の186億65百万円、営業利益は8.1%減の14億53百万円となりました。
資産合計は、前期末に比較して637億47百万円増加し、1兆9,550億48百万円となりました。これは、現金及び預金やたな卸資産が増加したことによるものであります。
負債合計は、前期末に比較して1,305億48百万円増加し、1兆6,165億53百万円となりました。これは、短期借入金や長期借入金が増加したことによるものであります。
純資産合計は、前期に比較して668億1百万円減少し、3,384億94百万円となりました。これは、その他の包括利益累計額で退職給付に係る調整額が増加した一方で、純損失を計上したことによる利益剰余金の減少によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当期における現金及び現金同等物の期末残高は763億21百万円で、前期末に比較して365億34百万円増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、税金等調整前当期純損失の計上に加え、たな卸資産の増減額が増加しましたため、254億70百万円の支出となりました。(前年同期は582億66百万円の収入)
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、固定資産の取得による支出により、460億13百万円の支出となりました。(前年同期は574億40百万円の支出)
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、借入金やコマーシャル・ペーパーによる資金調達により、1,078億97百万円の収入となりました。(前年同期は129億52百万円の支出)
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の状況については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しておりますが、この作成にあたり、当期末の資産及び負債並びに当期に係る収益及び費用の報告金額に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況等に応じた合理的な判断に基づき仮定及び見積りを行っております。これらのうち主なものは以下のとおりでありますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については、「第5 経理の状況」「1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
a.固定資産の減損
当社グループは、運輸業、不動産業、流通業、ホテル・レジャー業等、多くの事業を展開する特性上、多額の固定資産を保有しており、これらの固定資産の回収可能額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき見積っております。このうち賃貸施設、百貨店店舗、ホテルやレジャー施設等につきましては、不動産市況の著しい下落や消費環境の悪化による収益性の低下等のリスクをはらんでおります。従って、当初見込んでいた収益が得られない、あるいは正味売却価額が下落したことにより、将来キャッシュ・フローが減少するなど前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施する可能性があります。
b.繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得を合理的に見積もり、タックスプランニングを行った上で、税務上の繰越欠損金や将来減算一時差異のうち、将来課税所得を減算できる可能性が高いものについて繰延税金資産を認識しております。従って、今後、経営環境の変化や将来の収支予測の変更などにより将来の課税所得の見積額やタックスプランニングが変更された場合には、繰延税金資産が増額又は減額される可能性があります。
c.退職給付債務及び費用の計算
当社グループは、退職給付債務及び費用の計算について、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の前提条件に基づき行っており、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、その影響額は数理計算上の差異や過去勤務費用として累積され、将来にわたって規則的に認識されます。従って、年金資産の運用結果が長期期待運用収益率と乖離した場合のほか、割引率や長期期待運用収益率の見直しあるいは退職給付制度の変更がなされた場合には、退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。
② 当期の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績に重要な影響を与える要因)
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(経営成績の状況に関する分析)
経営成績に重要な影響を与える各要因を踏まえた当期の経営成績の状況に関する分析は、次のとおりであります。
a.営業収益及び営業損益
営業収益は、新型コロナウイルス感染症の影響で消費需要が年間を通じて大幅に減少したほか、緊急事態宣言期間中に店舗やホテル等の臨時休業もあり、運輸業、流通業、ホテル・レジャー業で大幅な減収となりましたため、前期に比較して41.6%減の6,972億3百万円となり、営業損益は、621億15百万円の損失となりました。
運輸業では、鉄軌道部門において、昨年4月から5月にかけて発出された緊急事態宣言により定期、定期外とも出控えが生じ大幅に利用客が減少しました。その後、経済活動の再開に伴い輸送人員は徐々に回復していたものの、第3四半期後半から新型コロナウイルス感染症が再流行した影響により、運輸業全体の営業収益は、前期に比較して32.2%減の1,502億18百万円となり、営業損益は246億70百万円の損失となりました。
不動産業では、ホテルの新規開業等により賃貸収入は増加したものの、マンション竣工物件が減少したほか、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うあべのハルカス展望台の一時休業等もあり、不動産業全体の営業収益は、前期に比較して11.3%減の1,429億65百万円となり、営業利益は、前期に比較して17.2%減の148億33百万円となりました。
流通業では、ストア・飲食部門において、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外食機会の減少によりスーパーマーケットの売上は増加したものの、駅ナカ店舗や飲食店舗の利用客が減少したほか、百貨店部門において昨年の緊急事態宣言に伴う自治体からの休業要請等を受け、店舗の一時休業や営業時間の短縮を実施したこと等により、流通業全体の営業収益は、前期に比較して20.3%減の3,131億10百万円となり、営業損益は46億68百万円の損失となりました。
ホテル・レジャー業では、ホテル部門において、「Go To キャンペーン」効果で一時は改善の兆しが見られたものの、新型コロナウイルス感染症の影響で宿泊需要が急減したことに加え、二度にわたる緊急事態宣言期間中に営業を一時休止したこと等により、ホテルの稼働率が著しく低下しました。また、旅行部門で新型コロナウイルス感染症の拡大により、海外旅行、訪日旅行の催行を中止していること等により、ホテル・レジャー業全体の営業収益は、前期に比較して74.6%減の1,141億77百万円となり、営業損益は492億42百万円の損失となりました。
b.経常損益
当期における経常損益は、営業外収益で、雇用調整助成金を受け入れたほか、持分法による投資利益が増加しましたが、営業損失を計上したことにより、419億59百万円の損失となりました。
c.親会社株主に帰属する当期純損益
当期における親会社株主に帰属する当期純損益は、経常損失を計上したことに加え、各社の事業構造改革費用や収益性の低下した資産に対する減損損失等を計上しましたため、601億87百万円の損失となりました。
(経営判断のために採用している経営指標とその達成状況及びその理由)
当社は、令和元年5月に、長期目標と令和5年度までの中期計画からなる「近鉄グループ経営計画」を策定し、当社グループの持続的成長を目指し、事業を推進してまいりました。
しかしながら、昨年2月以降の新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動の規制、人の移動の制限により、当社グループは甚大な影響を受けております。当期は過去最大の赤字計上により財務基盤が悪化し、計画の前提となる事業環境も大きく変化したため、当社グループの事業のあり方そのものの見直しが必要となりました。当社グループが持続的な成長軌道に戻るために、令和6年度までをコロナ禍からの回復期と位置づけ、新たな事業展開と飛躍に向けて経営基盤を再構築する必要があると考え、本年5月に令和3年度から令和6年度までの4カ年を計画期間とする「近鉄グループ中期経営計画2024」を策定しました。
本経営計画において、当社グループとしては、「営業利益」、「有利子負債残高」、「有利子負債/EBITDA倍率」、「自己資本比率」を重要な経営指標として位置づけ、コロナ禍から回復し、新たな事業展開と飛躍に向かうための経営改革に取り組んでまいります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループでは、令和6年度を最終年度とする「近鉄グループ中期経営計画2024」において、「コロナ禍から回復し、新たな事業展開と飛躍に向かうための経営改革」を基本方針とし、収益力と財務基盤の改善に取り組むこととしております。グループの持続的な成長のために必要な投資をその効果を見極めて厳選して行うとともに、原則としてグループ各社の事業活動に必要な資金を当社が一元的に調達することで、資金調達の安定と最適な財務バランスの実現を図ってまいります。
資金需要の主なものは、各事業の運営資金に加え、既存設備の維持更新及び安全関連投資といった設備投資に関するものであります。なお、設備投資については、安全の確保を最優先したうえで可能な限り抑制してまいります。
これらの資金需要に対応すべく、短期資金については、各事業が生み出す営業キャッシュ・フローに加え、当座貸越やコミットメントラインなどによる金融機関からの借入れ、コマーシャル・ペーパーの発行などにより資金の流動性を確保しております。また、長期資金については、金融機関からの借入れ、シンジケート・ローンの組成、社債の発行及びリースなどの多様な選択肢の中から最適な調達手段を採用しております。さらに、返済年限の長期化を図り、固定金利で調達することで金利上昇リスクに対応するとともに、年度別返済額を平準化することで将来の借り換えリスクの低減にも努めております。
なお、当社グループでは、当座貸越枠の拡大や長期資金の借り換えの前倒しでの調達等を実行し、資金の流動性の確保に万全を期しております。
当連結会計年度(以下、3において「当期」という。)における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、3において「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、期初から外出を伴う個人消費が急速に減少し、中盤には各種経済政策の効果もあり一時的に景気回復の兆しが見られたものの、期の終盤にかけて感染症が再拡大するなど、きわめて厳しい状況のうちに推移しました。
このような情勢のもと、当社グループでは、消費需要の急速な減少による深刻な影響を受け、各事業において、感染予防と感染拡大の防止に取り組みつつ、事業構造改革によるコスト削減と、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた新たな収益基盤の強化に努めてまいりました。
鉄道事業では、各種費用の削減を進めた一方で、交通インフラとして事業の継続に努め、駅を中心とした業務の効率的な運営のための遠隔監視設備の設置などを進めたほか、観光需要の回復に備えて、昨年3月に運行を開始した新型名阪特急「ひのとり」の増備を進めました。また、不動産事業では、テレワークに対応したマンション・戸建住宅の分譲や、ワーケーション事業の試験運用を行いました。このほか、百貨店事業で、「あべのハルカス近鉄本店」をはじめ各店舗において、店頭での感染防止策を最大限に講じて営業するとともに、ネットショップによる販売の強化を進め巣ごもり需要の取り込みに注力するなど、各事業において、コロナ禍での新たな収益の確保とコスト削減に努めてまいりましたが、感染症が収束せず、運輸、流通、ホテル・レジャーなど各事業で大幅な減収となりました。
この結果、連結営業収益は、前期に比較して41.6%減の6,972億3百万円となり、営業損益は621億15百万円の損失、経常損益は419億59百万円の損失となりました。これに特別利益および特別損失を加減し、法人税等を控除した後の親会社株主に帰属する当期純損益は、601億87百万円の損失となりました。
各報告セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
a.運 輸
運輸業におきましては、鉄軌道部門で、激甚化する災害への対応として、施設の強靭化を進めるなど安全確保のための諸施策を着実に推進するとともに、新型コロナウイルス感染症への対応として、全車両において抗ウイルス・抗菌加工を実施するなど、お客様の安全・安心を守る取組みに最大限注力しました。観光への取組みとしては、国のGoToトラベル事業に参画し既存旅行商品の販売促進や新たな旅行商品の造成を進めたほか、運行開始1周年を迎えた新型名阪特急「ひのとり」においてYouTubeを活用した宣伝キャンペーンを行うなど、感染症予防に配慮しつつお客様の誘致に努めました。しかしながら、感染症の拡大により大幅に利用客数が減少したため、減収となりました。
この結果、営業収益は前期に比較して32.2%減の1,502億18百万円、営業損益は246億70百万円の損失となりました。
| 業 種 | 単 位 | 当 期 | |
| (令和2年4月~令和3年3月) | 前期比(%) | ||
| 鉄軌道事業 | 百万円 | 99,234 | △35.0 |
| バス事業 | 百万円 | 22,605 | △33.0 |
| タクシー業 | 百万円 | 7,520 | △32.2 |
| 鉄道施設整備業 | 百万円 | 22,640 | △15.2 |
| その他運輸関連業 | 百万円 | 14,975 | △32.6 |
| 調整 | 百万円 | △16,756 | - |
| 営業収益計 | 百万円 | 150,218 | △32.2 |
(近畿日本鉄道㈱ 運輸成績表)
| 区 分 | 単 位 | 当 期 | |||
| (令和2年4月~令和3年3月) | 前期比(%) | ||||
| 営業日数 | 日 | 365 | △0.3 | ||
| 営業キロ程 | キロ | 501.1 | 0.0 | ||
| 客車走行キロ | 千キロ | 282,134 | △2.4 | ||
| 旅客人員 | 定期 | 千人 | 280,314 | △18.0 | |
| 定期外 | 千人 | 145,917 | △36.6 | ||
| 計 | 千人 | 426,231 | △25.5 | ||
| 旅客運輸収入 | 旅客収入 | 定期 | 百万円 | 39,498 | △16.6 |
| 定期外 | 百万円 | 53,899 | △45.4 | ||
| 計 | 百万円 | 93,397 | △36.0 | ||
| 荷物収入 | 百万円 | 21 | △20.3 | ||
| 合計 | 百万円 | 93,419 | △36.0 | ||
| 運輸雑収 | 百万円 | 5,814 | △12.8 | ||
| 営業収益計 | 百万円 | 99,234 | △35.0 | ||
| 乗車効率 | % | 20.1 | - | ||
(注)乗車効率の算出は、延人キロ/(車両走行キロ×平均定員)によります。
b.不動産
不動産業におきましては、不動産販売部門で、テレワークに対応したマンションや戸建住宅の分譲を進めるなど、ウィズコロナへの対応を推進したほか、当社グループのホテルを活用し、「働く」「泊まる」「遊ぶ」を融合した「近鉄・伊勢志摩ワーケーション」の試験運用を開始するなど、ライフスタイルの変化を踏まえ、新たな不動産事業のあり方について検討を進めました。しかしながら、感染症の拡大に伴い、不動産販売全般において営業活動が制限され、また、あべのハルカス展望台やゴルフ場が一時休業したことにより減収となりました。
この結果、営業収益は前期に比較して11.3%減の1,429億65百万円、営業利益は17.2%減の148億33百万円となりました。
| 業 種 | 単 位 | 当 期 | |
| (令和2年4月~令和3年3月) | 前期比(%) | ||
| 不動産販売業 | 百万円 | 60,134 | △20.5 |
| 不動産賃貸業 | 百万円 | 47,404 | △0.6 |
| 不動産管理業 | 百万円 | 40,299 | △7.5 |
| 調整 | 百万円 | △4,874 | - |
| 営業収益計 | 百万円 | 142,965 | △11.3 |
c.流 通
流通業におきましては、百貨店部門で、ネットショップの販売強化、人気物産展のオンライン開催など、コロナ禍における巣ごもり需要の取り込みに注力したほか、感染症が収束した後の経営環境を見据え、郊外店において食料品充実、専門店導入等の店舗構造改革を行い、効率的な運営体制の整備を推進しました。しかしながら、ストア・飲食部門も含め、感染症の影響でインバウンド需要や飲食需要が急減したほか、店舗の一時休業も行ったため減収となりました。
この結果、営業収益は前期に比較して20.3%減の3,131億10百万円、営業損益は46億68百万円の損失となりました。
| 業 種 | 単 位 | 当 期 | |
| (令和2年4月~令和3年3月) | 前期比(%) | ||
| 百貨店業 | 百万円 | 218,149 | △22.9 |
| ストア・飲食業 | 百万円 | 95,673 | △13.8 |
| 調整 | 百万円 | △712 | - |
| 営業収益計 | 百万円 | 313,110 | △20.3 |
d.ホテル・レジャー
ホテル・レジャー業におきましては、ホテル部門で、「都シティ 大阪本町」を開業したほか、ウェスティン都ホテル京都では、京都を代表する高級ラグジュアリーホテルを目指して進めてきた改装の一環で、数寄屋風別館「佳水園」をリニューアルオープンし、また、本年4月のオープンに向けて天然温泉SPA「華頂」の開業準備を進めました。旅行部門では、参加定員を削減するなど徹底した感染症対策を行った新たな旅行商品を開発・販売し、コロナ禍における新たな旅の形を提案しました。しかしながら、感染症の拡大により旅行需要が大幅に減少し、また、ホテルやレジャー施設の営業を一時休止したこともあり、減収となりました。
この結果、営業収益は前期に比較して74.6%減の1,141億77百万円となり、営業損益は492億42百万円の損失となりました。
| 業 種 | 単 位 | 当 期 | |
| (令和2年4月~令和3年3月) | 前期比(%) | ||
| ホテル業 | 百万円 | 20,698 | △59.9 |
| 旅行業 | 百万円 | 87,889 | △77.2 |
| 映画業 | 百万円 | 2,857 | △26.4 |
| 水族館業 | 百万円 | 2,732 | △68.3 |
| 調整 | 百万円 | 0 | - |
| 営業収益計 | 百万円 | 114,177 | △74.6 |
e.その他
その他の事業におきましては、営業収益は前期に比較して2.3%減の186億65百万円、営業利益は8.1%減の14億53百万円となりました。
資産合計は、前期末に比較して637億47百万円増加し、1兆9,550億48百万円となりました。これは、現金及び預金やたな卸資産が増加したことによるものであります。
負債合計は、前期末に比較して1,305億48百万円増加し、1兆6,165億53百万円となりました。これは、短期借入金や長期借入金が増加したことによるものであります。
純資産合計は、前期に比較して668億1百万円減少し、3,384億94百万円となりました。これは、その他の包括利益累計額で退職給付に係る調整額が増加した一方で、純損失を計上したことによる利益剰余金の減少によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当期における現金及び現金同等物の期末残高は763億21百万円で、前期末に比較して365億34百万円増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、税金等調整前当期純損失の計上に加え、たな卸資産の増減額が増加しましたため、254億70百万円の支出となりました。(前年同期は582億66百万円の収入)
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、固定資産の取得による支出により、460億13百万円の支出となりました。(前年同期は574億40百万円の支出)
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、借入金やコマーシャル・ペーパーによる資金調達により、1,078億97百万円の収入となりました。(前年同期は129億52百万円の支出)
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の状況については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しておりますが、この作成にあたり、当期末の資産及び負債並びに当期に係る収益及び費用の報告金額に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況等に応じた合理的な判断に基づき仮定及び見積りを行っております。これらのうち主なものは以下のとおりでありますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については、「第5 経理の状況」「1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
a.固定資産の減損
当社グループは、運輸業、不動産業、流通業、ホテル・レジャー業等、多くの事業を展開する特性上、多額の固定資産を保有しており、これらの固定資産の回収可能額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき見積っております。このうち賃貸施設、百貨店店舗、ホテルやレジャー施設等につきましては、不動産市況の著しい下落や消費環境の悪化による収益性の低下等のリスクをはらんでおります。従って、当初見込んでいた収益が得られない、あるいは正味売却価額が下落したことにより、将来キャッシュ・フローが減少するなど前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施する可能性があります。
b.繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得を合理的に見積もり、タックスプランニングを行った上で、税務上の繰越欠損金や将来減算一時差異のうち、将来課税所得を減算できる可能性が高いものについて繰延税金資産を認識しております。従って、今後、経営環境の変化や将来の収支予測の変更などにより将来の課税所得の見積額やタックスプランニングが変更された場合には、繰延税金資産が増額又は減額される可能性があります。
c.退職給付債務及び費用の計算
当社グループは、退職給付債務及び費用の計算について、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の前提条件に基づき行っており、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、その影響額は数理計算上の差異や過去勤務費用として累積され、将来にわたって規則的に認識されます。従って、年金資産の運用結果が長期期待運用収益率と乖離した場合のほか、割引率や長期期待運用収益率の見直しあるいは退職給付制度の変更がなされた場合には、退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。
② 当期の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績に重要な影響を与える要因)
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(経営成績の状況に関する分析)
経営成績に重要な影響を与える各要因を踏まえた当期の経営成績の状況に関する分析は、次のとおりであります。
a.営業収益及び営業損益
営業収益は、新型コロナウイルス感染症の影響で消費需要が年間を通じて大幅に減少したほか、緊急事態宣言期間中に店舗やホテル等の臨時休業もあり、運輸業、流通業、ホテル・レジャー業で大幅な減収となりましたため、前期に比較して41.6%減の6,972億3百万円となり、営業損益は、621億15百万円の損失となりました。
運輸業では、鉄軌道部門において、昨年4月から5月にかけて発出された緊急事態宣言により定期、定期外とも出控えが生じ大幅に利用客が減少しました。その後、経済活動の再開に伴い輸送人員は徐々に回復していたものの、第3四半期後半から新型コロナウイルス感染症が再流行した影響により、運輸業全体の営業収益は、前期に比較して32.2%減の1,502億18百万円となり、営業損益は246億70百万円の損失となりました。
不動産業では、ホテルの新規開業等により賃貸収入は増加したものの、マンション竣工物件が減少したほか、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うあべのハルカス展望台の一時休業等もあり、不動産業全体の営業収益は、前期に比較して11.3%減の1,429億65百万円となり、営業利益は、前期に比較して17.2%減の148億33百万円となりました。
流通業では、ストア・飲食部門において、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外食機会の減少によりスーパーマーケットの売上は増加したものの、駅ナカ店舗や飲食店舗の利用客が減少したほか、百貨店部門において昨年の緊急事態宣言に伴う自治体からの休業要請等を受け、店舗の一時休業や営業時間の短縮を実施したこと等により、流通業全体の営業収益は、前期に比較して20.3%減の3,131億10百万円となり、営業損益は46億68百万円の損失となりました。
ホテル・レジャー業では、ホテル部門において、「Go To キャンペーン」効果で一時は改善の兆しが見られたものの、新型コロナウイルス感染症の影響で宿泊需要が急減したことに加え、二度にわたる緊急事態宣言期間中に営業を一時休止したこと等により、ホテルの稼働率が著しく低下しました。また、旅行部門で新型コロナウイルス感染症の拡大により、海外旅行、訪日旅行の催行を中止していること等により、ホテル・レジャー業全体の営業収益は、前期に比較して74.6%減の1,141億77百万円となり、営業損益は492億42百万円の損失となりました。
b.経常損益
当期における経常損益は、営業外収益で、雇用調整助成金を受け入れたほか、持分法による投資利益が増加しましたが、営業損失を計上したことにより、419億59百万円の損失となりました。
c.親会社株主に帰属する当期純損益
当期における親会社株主に帰属する当期純損益は、経常損失を計上したことに加え、各社の事業構造改革費用や収益性の低下した資産に対する減損損失等を計上しましたため、601億87百万円の損失となりました。
(経営判断のために採用している経営指標とその達成状況及びその理由)
当社は、令和元年5月に、長期目標と令和5年度までの中期計画からなる「近鉄グループ経営計画」を策定し、当社グループの持続的成長を目指し、事業を推進してまいりました。
しかしながら、昨年2月以降の新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動の規制、人の移動の制限により、当社グループは甚大な影響を受けております。当期は過去最大の赤字計上により財務基盤が悪化し、計画の前提となる事業環境も大きく変化したため、当社グループの事業のあり方そのものの見直しが必要となりました。当社グループが持続的な成長軌道に戻るために、令和6年度までをコロナ禍からの回復期と位置づけ、新たな事業展開と飛躍に向けて経営基盤を再構築する必要があると考え、本年5月に令和3年度から令和6年度までの4カ年を計画期間とする「近鉄グループ中期経営計画2024」を策定しました。
本経営計画において、当社グループとしては、「営業利益」、「有利子負債残高」、「有利子負債/EBITDA倍率」、「自己資本比率」を重要な経営指標として位置づけ、コロナ禍から回復し、新たな事業展開と飛躍に向かうための経営改革に取り組んでまいります。
| 当期実績 (令和3年3月期) | 経営指標目標 (令和7年3月期) | |
| 営業利益 | △621億円 | 650億円以上 |
| 有利子負債残高 | 1兆1,822億円 | 1兆円未満 |
| 有利子負債/EBITDA倍率 | - | 8倍台 |
| 自己資本比率 | 16.4% | 23%以上 |
③ キャッシュ・フローの状況の分析内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループでは、令和6年度を最終年度とする「近鉄グループ中期経営計画2024」において、「コロナ禍から回復し、新たな事業展開と飛躍に向かうための経営改革」を基本方針とし、収益力と財務基盤の改善に取り組むこととしております。グループの持続的な成長のために必要な投資をその効果を見極めて厳選して行うとともに、原則としてグループ各社の事業活動に必要な資金を当社が一元的に調達することで、資金調達の安定と最適な財務バランスの実現を図ってまいります。
資金需要の主なものは、各事業の運営資金に加え、既存設備の維持更新及び安全関連投資といった設備投資に関するものであります。なお、設備投資については、安全の確保を最優先したうえで可能な限り抑制してまいります。
これらの資金需要に対応すべく、短期資金については、各事業が生み出す営業キャッシュ・フローに加え、当座貸越やコミットメントラインなどによる金融機関からの借入れ、コマーシャル・ペーパーの発行などにより資金の流動性を確保しております。また、長期資金については、金融機関からの借入れ、シンジケート・ローンの組成、社債の発行及びリースなどの多様な選択肢の中から最適な調達手段を採用しております。さらに、返済年限の長期化を図り、固定金利で調達することで金利上昇リスクに対応するとともに、年度別返済額を平準化することで将来の借り換えリスクの低減にも努めております。
なお、当社グループでは、当座貸越枠の拡大や長期資金の借り換えの前倒しでの調達等を実行し、資金の流動性の確保に万全を期しております。