有価証券報告書-第183期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.会社の経営の基本方針
当社グループでは、都市交通、不動産、エンタテインメント、情報・通信、旅行、国際輸送及びホテルの7つの事業を主要な事業領域と位置付け、グループ経営機能を担う当社(純粋持株会社)の下、阪急電鉄㈱、阪神電気鉄道㈱、阪急阪神不動産㈱、㈱阪急交通社、㈱阪急阪神エクスプレス及び㈱阪急阪神ホテルズの6社を中核会社として、グループ全体の有機的な成長を目指しています。

当社グループは、鉄道事業をベースに住宅・商業施設等の開発から阪神タイガースや宝塚歌劇など魅力溢れるエンタテインメントの提供に至るまで、多岐にわたる分野において、それまでになかったサービスを次々と提供することにより、沿線をはじめ良質な「まちづくり」に貢献するとともに、社会に新風を吹き込み、100年以上の長い歴史の中で数々の足跡を残してきました。そして、これらの活動等を通じて、暮らしを支える「安心や快適」、暮らしを彩る「夢や感動」を絶えずお客様にお届けしてきました。今後も、グループの全役員・従業員が、お客様の日々の暮らしに関わるビジネスに携わることに強い使命感と誇りを持ち、そうした思いを共有し、一丸となって業務にあたっていく上での指針として、以下のとおり「阪急阪神ホールディングス グループ経営理念」を制定しています。
2.サステナビリティ宣言
当社グループでは、2020年5月に発表した「阪急阪神ホールディングスグループ サステナビリティ宣言」に基づき、ESG(環境・社会・企業統治)に関する取組を加速させております。
このサステナビリティ宣言では、当社グループがサステナブル経営を進める上での基本方針や6つの重要テーマ等を定めており、これをベースに、これからもお客様や地域社会等との信頼関係を構築しながら、持続的な成長を図り、ひいては持続可能な社会の実現につなげてまいります。
なお、サステナブル経営の推進にあたり、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」(※1)及び「国連グローバル・コンパクト」(※2)への対応として、2021年5月に賛同の意を表明しております。
※1 「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」…2015年に、G20の要請を受け、金融安定理事会の作業部会として設置されたものであり、投資家等の適切な投資判断に資するよう、企業等に対して、気候変動を想定した中長期的な事業戦略・計画への財務的な影響等を開示することを推奨しています。
※2 「国連グローバル・コンパクト」…1999年の世界経済フォーラムで提唱された企業の行動規範であり、企業等に対し、人権・労働・環境・腐敗防止の4分野において、10原則を遵守し実践するよう要請しています。
<サステナビリティ宣言の概要>基本方針
3.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(1) ホテル事業の立て直しに向けた構造改革とホテル跡地の街づくりについて
当社グループのホテル事業につきましては、従前より事業環境が厳しく、そうした中で新型コロナウイルスによる影響を受けることとなり、今後の収益の回復には相応な期間を要すると考えられることから、「事業面」「人事面」「財務面」のすべての面から抜本的な構造改革を推進することといたしました。具体的には、コロナ禍からの売上回復や収支改善に向けた取組に加え、不採算ホテルからの撤退と固定費の削減等を推し進め、事業構造の強靭化を図ってまいります。
また、当社グループの重要な事業拠点である大阪梅田や千里中央エリアに立地するホテルにつきましては、跡地の高度利用・有効活用を行うことで、両拠点の価値を向上させ、より良い街づくりに貢献すべく検討を進めてまいります。
具体的には、大阪新阪急ホテルにつきましては、建物の老朽化が進み、かねてから近いうちに営業を終了することを検討しておりました。代替施設として隣接地に同規模のホテル阪急レスパイア大阪が開業し、さらには2022年春に梅田1丁目1番地計画が竣工することから、2024年度末頃に同ホテルの営業を終了し、次の大規模プロジェクトとして跡地の高度利用を検討してまいります。
加えて、千里阪急ホテルにつきましても、建物の老朽化が進んでいることから2025年度末頃に営業を終了することといたしましたが、現在、同ホテルの隣の街区である千里中央駅前地区で進められている再整備計画の内容や進捗等をみながら、跡地開発について検討してまいります。
(2) 長期ビジョン2025の進捗等とそのアップデートについて
当社グループでは、2017年に「阪急阪神ホールディングスグループ 長期ビジョン2025」を公表し、その実現に向け、まずは2018年度から中間目標年度である2021年度までを計画期間とする中期経営計画を策定するとともに、同計画の達成に向けてグループを挙げて推し進めてまいりました。その結果、新型コロナウイルスの感染発生前までは、概ね想定どおりに進捗しておりましたが、感染拡大後は前提となっていた事業環境が大きく変わり、計画の達成は全く不可能な状況となりました。
このような状況を踏まえ、2021年度については、これまでの「長期ビジョンの実現に向けた中間目標年度」という位置づけを見直し、各事業が新型コロナウイルスの影響からできる限り早期に回復すべく、全力を尽くすための「緊急回復期間」といたしました。具体的には、収支面では、収益力の回復に注力するとともに、固定費の削減や変動費化を推し進めていくほか、投資面では、現在進捗中の大規模プロジェクトに係る成長投資は継続していくものの、維持更新投資を引き続き抑制することで、財務体質の悪化を最小限に留めるよう努めてまいります。
さらに、コロナ禍をきっかけとした新しい社会経済環境(ニューノーマル時代)の到来に向け、それに必要な取組を各事業で推し進めていくことといたします。具体的には、業務の効率化・省力化や生産性の向上等によってコストの抑制を図ることで既存事業の強化を図るとともに、グループを挙げてDX(デジタル・トランスフォーメーション)への対応に注力し、リアルとデジタルを両輪とした事業展開を実現させることで、持続的な成長を目指してまいります。
以上の方針のもと、2021年度につきましては、多くの事業で利益の回復を見込み、営業利益は230億円となるほか、親会社株主に帰属する当期純利益も60億円の黒字を計上できる見通しです。また、株主還元につきましては、安定的な配当を維持することとし、年間配当金は前期と同水準の1株当たり50円(中間配当金25円、期末配当金25円)を予定しております。
今後につきましては、ニューノーマル時代の到来やSDGs(持続可能な開発目標)への意識の高まりなど、長期ビジョンの策定以降に生じている事業環境の変化に対応するため、長期ビジョンのアップデートに着手し、2022年春には、2030年頃における当社グループの絵姿を公表することを予定しております。
1.会社の経営の基本方針
当社グループでは、都市交通、不動産、エンタテインメント、情報・通信、旅行、国際輸送及びホテルの7つの事業を主要な事業領域と位置付け、グループ経営機能を担う当社(純粋持株会社)の下、阪急電鉄㈱、阪神電気鉄道㈱、阪急阪神不動産㈱、㈱阪急交通社、㈱阪急阪神エクスプレス及び㈱阪急阪神ホテルズの6社を中核会社として、グループ全体の有機的な成長を目指しています。

当社グループは、鉄道事業をベースに住宅・商業施設等の開発から阪神タイガースや宝塚歌劇など魅力溢れるエンタテインメントの提供に至るまで、多岐にわたる分野において、それまでになかったサービスを次々と提供することにより、沿線をはじめ良質な「まちづくり」に貢献するとともに、社会に新風を吹き込み、100年以上の長い歴史の中で数々の足跡を残してきました。そして、これらの活動等を通じて、暮らしを支える「安心や快適」、暮らしを彩る「夢や感動」を絶えずお客様にお届けしてきました。今後も、グループの全役員・従業員が、お客様の日々の暮らしに関わるビジネスに携わることに強い使命感と誇りを持ち、そうした思いを共有し、一丸となって業務にあたっていく上での指針として、以下のとおり「阪急阪神ホールディングス グループ経営理念」を制定しています。
阪急阪神ホールディングス グループ経営理念 | |
使命(私たちは何のために集い、何をめざすのか) | |
「安心・快適」、そして「夢・感動」をお届けすることで、お客様の喜びを実現し、社会に貢献します。 | |
価値観(私たちは何を大切に考えるのか) | |
お客様原点 | すべてはお客様のために。これが私たちの原点です。 |
誠実 | 誠実であり続けることから、私たちへの信頼が生まれます。 |
先見性・創造性 | 時代を先取りする精神と柔軟な発想が、新たな価値を創ります。 |
人の尊重 | 事業にたずさわる一人ひとりが、かけがえのない財産です。 |
2.サステナビリティ宣言
当社グループでは、2020年5月に発表した「阪急阪神ホールディングスグループ サステナビリティ宣言」に基づき、ESG(環境・社会・企業統治)に関する取組を加速させております。
このサステナビリティ宣言では、当社グループがサステナブル経営を進める上での基本方針や6つの重要テーマ等を定めており、これをベースに、これからもお客様や地域社会等との信頼関係を構築しながら、持続的な成長を図り、ひいては持続可能な社会の実現につなげてまいります。
なお、サステナブル経営の推進にあたり、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」(※1)及び「国連グローバル・コンパクト」(※2)への対応として、2021年5月に賛同の意を表明しております。
※1 「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」…2015年に、G20の要請を受け、金融安定理事会の作業部会として設置されたものであり、投資家等の適切な投資判断に資するよう、企業等に対して、気候変動を想定した中長期的な事業戦略・計画への財務的な影響等を開示することを推奨しています。
※2 「国連グローバル・コンパクト」…1999年の世界経済フォーラムで提唱された企業の行動規範であり、企業等に対し、人権・労働・環境・腐敗防止の4分野において、10原則を遵守し実践するよう要請しています。
<サステナビリティ宣言の概要>基本方針
~暮らしを支える「安心・快適」、暮らしを彩る「夢・感動」を、未来へ~ 私たちは、100年以上積み重ねてきた「まちづくり」・「ひとづくり」を未来へつなぎ、地球環境をはじめとする社会課題の解決に主体的に関わりながら、すべての人々が豊かさと喜びを実感でき、次世代が夢を持って成長できる社会の実現に貢献します。 |
6つの重要テーマ | 取組方針 |
① 安全・安心の追求 | 鉄道をはじめ、安全で災害に強いインフラの構築を目指すとともに、誰もが安心して利用できる施設・サービスを日々追求していきます。 |
② 豊かなまちづくり | 自然や文化と共に、人々がいきいきと集い・働き・住み続けたくなるまちづくりを進めます。 |
③ 未来へつながる暮らしの提案 | 未来志向のライフスタイルを提案し、日々の暮らしに快適さと感動を創出します。 |
④ 一人ひとりの活躍 | 多様な個性や能力を最大限に発揮できる企業風土を醸成するとともに、広く社会の次世代の育成にも取り組みます。 |
⑤ 環境保全の推進 | 低炭素社会や循環型社会に資する環境保全活動を推進します。 |
⑥ ガバナンスの充実 | すべてのステークホルダーの期待に応え、誠実で公正なガバナンスを徹底します。 |
3.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(1) ホテル事業の立て直しに向けた構造改革とホテル跡地の街づくりについて
当社グループのホテル事業につきましては、従前より事業環境が厳しく、そうした中で新型コロナウイルスによる影響を受けることとなり、今後の収益の回復には相応な期間を要すると考えられることから、「事業面」「人事面」「財務面」のすべての面から抜本的な構造改革を推進することといたしました。具体的には、コロナ禍からの売上回復や収支改善に向けた取組に加え、不採算ホテルからの撤退と固定費の削減等を推し進め、事業構造の強靭化を図ってまいります。
また、当社グループの重要な事業拠点である大阪梅田や千里中央エリアに立地するホテルにつきましては、跡地の高度利用・有効活用を行うことで、両拠点の価値を向上させ、より良い街づくりに貢献すべく検討を進めてまいります。
具体的には、大阪新阪急ホテルにつきましては、建物の老朽化が進み、かねてから近いうちに営業を終了することを検討しておりました。代替施設として隣接地に同規模のホテル阪急レスパイア大阪が開業し、さらには2022年春に梅田1丁目1番地計画が竣工することから、2024年度末頃に同ホテルの営業を終了し、次の大規模プロジェクトとして跡地の高度利用を検討してまいります。
加えて、千里阪急ホテルにつきましても、建物の老朽化が進んでいることから2025年度末頃に営業を終了することといたしましたが、現在、同ホテルの隣の街区である千里中央駅前地区で進められている再整備計画の内容や進捗等をみながら、跡地開発について検討してまいります。
(2) 長期ビジョン2025の進捗等とそのアップデートについて
当社グループでは、2017年に「阪急阪神ホールディングスグループ 長期ビジョン2025」を公表し、その実現に向け、まずは2018年度から中間目標年度である2021年度までを計画期間とする中期経営計画を策定するとともに、同計画の達成に向けてグループを挙げて推し進めてまいりました。その結果、新型コロナウイルスの感染発生前までは、概ね想定どおりに進捗しておりましたが、感染拡大後は前提となっていた事業環境が大きく変わり、計画の達成は全く不可能な状況となりました。
このような状況を踏まえ、2021年度については、これまでの「長期ビジョンの実現に向けた中間目標年度」という位置づけを見直し、各事業が新型コロナウイルスの影響からできる限り早期に回復すべく、全力を尽くすための「緊急回復期間」といたしました。具体的には、収支面では、収益力の回復に注力するとともに、固定費の削減や変動費化を推し進めていくほか、投資面では、現在進捗中の大規模プロジェクトに係る成長投資は継続していくものの、維持更新投資を引き続き抑制することで、財務体質の悪化を最小限に留めるよう努めてまいります。
さらに、コロナ禍をきっかけとした新しい社会経済環境(ニューノーマル時代)の到来に向け、それに必要な取組を各事業で推し進めていくことといたします。具体的には、業務の効率化・省力化や生産性の向上等によってコストの抑制を図ることで既存事業の強化を図るとともに、グループを挙げてDX(デジタル・トランスフォーメーション)への対応に注力し、リアルとデジタルを両輪とした事業展開を実現させることで、持続的な成長を目指してまいります。
以上の方針のもと、2021年度につきましては、多くの事業で利益の回復を見込み、営業利益は230億円となるほか、親会社株主に帰属する当期純利益も60億円の黒字を計上できる見通しです。また、株主還元につきましては、安定的な配当を維持することとし、年間配当金は前期と同水準の1株当たり50円(中間配当金25円、期末配当金25円)を予定しております。
今後につきましては、ニューノーマル時代の到来やSDGs(持続可能な開発目標)への意識の高まりなど、長期ビジョンの策定以降に生じている事業環境の変化に対応するため、長期ビジョンのアップデートに着手し、2022年春には、2030年頃における当社グループの絵姿を公表することを予定しております。