有価証券報告書-第182期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/30 9:49
【資料】
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【項目】
160項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.会社の経営の基本方針
当社グループでは、都市交通、不動産、エンタテインメント、情報・通信、旅行、国際輸送及びホテルの7つの事業を主要な事業領域と位置付け、グループ経営機能を担う当社(純粋持株会社)の下、阪急電鉄㈱、阪神電気鉄道㈱、阪急阪神不動産㈱、㈱阪急交通社、㈱阪急阪神エクスプレス及び㈱阪急阪神ホテルズの6社を中核会社として、グループ全体の有機的な成長を目指しています。
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当社グループは、鉄道事業をベースに住宅・商業施設等の開発から阪神タイガースや宝塚歌劇など魅力溢れるエンタテインメントの提供に至るまで、多岐にわたる分野において、それまでになかったサービスを次々と提供することにより、沿線をはじめ良質な「まちづくり」に貢献するとともに、社会に新風を吹き込み、100年以上の長い歴史の中で数々の足跡を残してきました。そして、これらの活動等を通じて、暮らしを支える「安心や快適」、暮らしを彩る「夢や感動」を絶えずお客様にお届けしてきました。今後も、グループの全役員・従業員が、お客様の日々の暮らしに関わるビジネスに携わることに強い使命感と誇りを持ち、そうした思いを共有し、一丸となって業務にあたっていく上での指針として、以下のとおり「阪急阪神ホールディングス グループ経営理念」を制定しています。
阪急阪神ホールディングス グループ経営理念
使命(私たちは何のために集い、何をめざすのか)
「安心・快適」、そして「夢・感動」をお届けすることで、お客様の喜びを実現し、社会に貢献します。
価値観(私たちは何を大切に考えるのか)
お客様原点すべてはお客様のために。これが私たちの原点です。
誠実誠実であり続けることから、私たちへの信頼が生まれます。
先見性・創造性時代を先取りする精神と柔軟な発想が、新たな価値を創ります。
人の尊重事業にたずさわる一人ひとりが、かけがえのない財産です。

2.サステナビリティ宣言
当社グループでは、グループ経営理念に基づき、これまでもESG(環境・社会・企業統治)に関して様々な取組を推し進めてまいりました。
そうした中で今般、SDGs(持続可能な開発目標)をはじめとする社会課題の解決に向けた今後の取組の方向性を示すものとして「阪急阪神ホールディングスグループ サステナビリティ宣言」を策定し、また当社グループがESGに積極的に取り組んでいることを対外的に明示するため、同宣言を公表することとしました。
このサステナビリティ宣言では、当社グループがサステナブル経営を進める上での基本方針や6つの重要テーマ等を定めており、これをベースに、これからもお客様や地域社会等との信頼関係を構築しながら、持続的な成長を図り、ひいては持続可能な社会の実現につなげてまいります。
<サステナビリティ宣言の概要>基本方針
~暮らしを支える「安心・快適」、暮らしを彩る「夢・感動」を、未来へ~
私たちは、100年以上積み重ねてきた「まちづくり」・「ひとづくり」を未来へつなぎ、地球環境をはじめとする社会課題の解決に主体的に関わりながら、すべての人々が豊かさと喜びを実感でき、次世代が夢を持って成長できる社会の実現に貢献します。

6つの重要テーマ取組方針
① 安全・安心の追求鉄道をはじめ、安全で災害に強いインフラの構築を目指すとともに、誰もが安心して利用できる施設・サービスを日々追求していきます。
② 豊かなまちづくり自然や文化と共に、人々がいきいきと集い・働き・住み続けたくなるまちづくりを進めます。
③ 未来へつながる暮らしの提案未来志向のライフスタイルを提案し、日々の暮らしに快適さと感動を創出します。
④ 一人ひとりの活躍多様な個性や能力を最大限に発揮できる企業風土を醸成するとともに、広く社会の次世代の育成にも取り組みます。
⑤ 環境保全の推進低炭素社会や循環型社会に資する環境保全活動を推進します。
⑥ ガバナンスの充実すべてのステークホルダーの期待に応え、誠実で公正なガバナンスを徹底します。

3.対処すべき課題
(1)長期ビジョンについて
当社グループを取り巻く事業環境は、少子高齢化等の影響による沿線人口の減少や、技術革新の進展等に伴うライフスタイルや生活環境の変化に伴って、大きく変わっていくことが予想されます。こうした中でも、持続的に成長を志向する企業グループとなることを目指して、当社グループでは、2017年に「阪急阪神ホールディングスグループ 長期ビジョン2025」を策定いたしました。
⦅長期ビジョン(全体像)⦆
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この長期ビジョンでは、「深める沿線 拡げるフィールド」というスローガンのもと、事業エリアとビジネスモデル(ストック型事業(※1)またはフロー型事業(※2))という2つの基軸をベースに上図の4つの戦略を定めており、これらの戦略を通じて持続的な企業価値の向上を図ることとしています。
※1 ストック型事業…土地建物等の固定資産を保有して営業活動を行う事業(鉄道事業、不動産賃貸事業、放送・通信事業、ホテル事業など)
※2 フロー型事業…大規模な固定資産を保有することなく、事業ノウハウ、人的資源及びブランド資産等を活用して営業活動を行う事業(不動産分譲事業、スポーツ事業、ステージ事業、情報サービス事業、旅行事業、国際輸送事業など)
(2)2019年度実績及び2020年度業績見込みについて
当社グループでは、長期ビジョンを実現するための具体的な実行計画として、まずは2018年度から2021年度までを計画期間とする中期経営計画を策定し、同計画において長期ビジョンに定める4つの戦略に則った施策を推し進めてまいりました。
その結果、当社グループの業績はこれまで概ね計画どおりに伸長し、2019年度におきましても、第3四半期決算の公表時点では、営業利益は当初計画の1,070億円の達成が見込まれ、また財務面でも、成長に向けた投資を行いながら健全性が維持できる見通しとなるなど、順調に進捗しておりました。
しかしながら、第4四半期に新型コロナウイルスの影響を多くの事業で受け、2019年度の営業利益は952億円(新型コロナウイルスの影響額は154億円)となり、当初計画を下回ることとなりました。
次に、2020年度の業績につきましては、多くの事業で新型コロナウイルスの影響を受けており、その影響が及ぶ期間や程度等によって大きく変動するものと考えられます。こうした状況のもと、通期の業績予想については、現時点では新型コロナウイルスの影響を合理的に算定することが困難であることから未定としております。
そして、当社グループでは、これからも新型コロナウイルスによる影響を最小限に留めるよう最善を尽くすとともに、長期ビジョンに定める4つの戦略に則った施策にこれまで以上に注力し、それらによりグループを挙げて持続的な企業価値の向上を図ってまいる所存でございます。