有価証券報告書-第139期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
当社グループでは、中長期的な経営方針として、次の経営課題に取り組んでいます。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、存在意義、社会的使命として“Bringing value to life.”を企業理念に掲げています。
(2)中長期的なグループ経営戦略及び目標とする経営指標
当社グループは、2023年3月に中期経営計画“Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”を策定し、2030年に向けた新たなビジョン「総合物流企業の枠を超え、中核事業の深化と新規事業の成長で、未来に必要な価値を共創します」を掲げ、その実現を目的とする2026年度までの4年間の行動計画にもとづき事業を進めています。ESGを中核に据えた成長戦略を推進し、経営戦略としては、各事業における機会とリスクを踏まえた事業戦略の方向性(両利きの経営:AX、及び事業変革:BX)を定めるとともに、人的資本の更なる充実・グループ経営の変革・ガバナンスの強化(CX)、デジタル基盤の整備推進(DX)等のコーポレート基盤の強化に加え、脱炭素に向けた取組みの加速(EX)を推進します。事業投資計画としては、中期経営計画策定時点において2026年度までに予定していた1.2兆円規模の事業投資を1.6兆円規模に増額して実施します。当連結会計年度末時点で中期経営計画期間中の投資が決定している案件は約1.3兆円です。
(“Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”の利益・財務目標)
(株主還元策)
当社は、株主の皆様への安定的な利益還元を経営上の最重要課題の一つと位置付け、連結配当性向40%を目安に1株あたりの配当下限金額を年間200円として、業績の見通し等を総合的に勘案して利益配分を決定します。配当の詳細については「第4 提出会社の状況 3配当政策」をご参照ください。
自己株式の取得については、2025年5月8日開催の取締役会決議に基づき、2026年4月30日まで28,779,900株(取得価額の総額 約1,500億円)の取得を完了し、上記取締役会決議による自己株式の取得は終了しました。
また、取得した自己株式は全株消却いたしました。
(3)中長期的なグループ経営戦略と優先的に対処すべき課題
① 中期経営計画の遂行
地政学リスクの高まりを受け混迷を極める世界情勢の中、エネルギーや生活必需品を世界中に届け、人々のライフラインを守るべく “Bringing value to life.” を企業理念(ミッション)とし、新たに掲げたありたい姿(ビジョン)「総合物流企業の枠を超え、中核事業の深化と新規事業の成長で、未来に必要な価値を共創します」を目指して、中期経営計画 “Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -” を進めています。
両利きの経営(AX)と事業変革(BX)から成る「基軸戦略」の下、既存中核事業を深化させると同時に新規成長事業を進化させ、これを「支えの戦略」となる人材・組織・グループ経営変革(CX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)、エネルギートランスフォーメーション(EX)が支えます。
■中期経営計画 “Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -” 完遂への取組み
経営戦略であるAX~EXの2024年度の主な進捗状況は以下の通りです。2025年度についても「既存中核事業の深化」と「新規成長事業の開拓」を加速していきます。
◆脱炭素社会実現に向けたアンモニアサプライチェーン構築
当社グループは脱炭素社会の実現に向けた有力な次世代燃料の一つとしてアンモニアに注力し、製造・輸送・供給を含む燃料アンモニアバリューチェーン全体における事業開発に取り組んでいます。
アンモニア燃料船の開発に関しては、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金の助成を受ける40,000㎥級アンモニア燃料アンモニア輸送船(Ammonia-Fueled Medium Gas Carrier:AFMGC)の建造が順調に進行しており、2025年にはアンモニア燃料主機と補機の搭載も完了しました。高い環境性能と世界最高水準の安全対策を備えたAFMGCは、2026年11月の竣工後、世界最大級のアンモニアプレーヤーであるYara International ASAのグループ会社であるYara Clean Ammonia Switzerland SAに定期傭船される予定です。
また、商用燃料アンモニア輸送船に関しては、2025年12月には、当社グループのNYK Bulkship (Asia) Pte. Ltd.が株式会社JERAと、アンモニア輸送船2隻に関する定期傭船契約の基本条件合意書を締結しました。本合意に基づき、米国で製造される低炭素アンモニアを、碧南火力発電所(愛知県)へ海上輸送する計画を推進します。本計画は、商用燃料アンモニア輸送として先駆的な取組みであり、日本のエネルギートランジションの実現を後押しします。
当社は、アンモニア燃料船を中核に、将来の燃料供給・輸送需要を見据えたアンモニアサプライチェーンの社会実装を着実に進め、持続的な成長と企業価値向上を目指します。
◆バイオ燃料の長期使用・保存に関する実証を経て、本格活用の段階へ
当社は、バイオ燃料B24(バイオ由来成分を24%混合)について、複数の船種において長期使用に関する実証を重ね、安定的な運用に向けた知見を蓄積しました。また、その一環として、シンガポールの非営利団体Global Centre for Maritime Decarbonisationと共同で、船上における長期使用及び保存に関する実証を行いました。その結果、技術的な安全性並びに長期運用の実現可能性を確認しました。これらの検証結果を踏まえ、現在は自動車専用船を中心にバイオ燃料の本格的な活用を進めており、使用量を拡大しています。
さらに2026年度には、バイオ由来成分100%のバイオ燃料B100について、酸化劣化や長期保管時の品質安定性への配慮がより重要であることを踏まえ、実運航における約1年間の検証を実施する予定です。
当社は、既存船舶インフラを活用し、バイオ燃料及びLNG燃料を、燃料転換期における現実的かつ即効性のある対応手段として位置付けています。第三者認証により持続可能性及びGHG排出削減効果が客観的に担保された低・脱炭素燃料は、欧州規制対応に活用できるほか、環境価値として分離し、お客様に提供することで新たな価値の創出も可能であり、脱炭素の推進と企業価値の向上の双方に資するものとなります。これらの取組みを通じ、当社は海運業界の脱炭素化を着実にリードしていきます。
◆洋上風力発電を支える作業員輸送船の建造で3D技術を本格適用
当社は、洋上風力発電事業を支える作業員輸送船(Crew Transfer Vessel:CTV)の建造において、設計から建造まで一貫して3D技術を活用する新たな取組みを進めています。
船の構造や機器配置、作業のしやすさを事前に3D上で確認することで、設計変更や手戻りを減らし、効率的で確実な建造を実現しました。
また、建造途中でも3Dデータを活用して品質を確認し、安全性の向上につなげています。さらに、完成後の点検や保守にも活用できる「3Dデジタル完成図書」を整備することで、運航開始後の管理効率向上も期待されます。本取組みを通じて、成長が見込まれる洋上風力分野において、安全で信頼性の高い輸送サービスを支えると同時に、当社の技術力と競争力を強化していきます。
◆飛鳥Ⅲ就航
客船事業では、34年ぶりの新造客船「飛鳥Ⅲ」が2025年7月に就航しました。
「飛鳥Ⅲ」では日本のクルーズ船で初となる船位保持制御システム、ポッド推進器や陸上電源受電装置、さらに世界の中型客船で数少ないLNG燃料に対応したエンジンを搭載し、環境に配慮したクルーズを実現します。
1991年に就航した初代「飛鳥」が日本におけるラグジュアリークルーズの礎を築き、続いて2006年に「飛鳥Ⅱ」が就航し、客船文化の発展を支えてきました。「飛鳥Ⅱ」、「飛鳥Ⅲ」の2隻体制の始動により、ラグジュアリー市場における競争力をさらに高めるとともに、より多くのお客様に“最幸時間”を提供する体制を強化していきます。
◆NYKバルクシップパートナーズ株式会社発足
NYKバルクシップパートナーズ株式会社は、当社グループにおけるドライバルク船事業の中核会社として、2026年4月に発足しました。
旭海運株式会社、八馬汽船株式会社、三菱鉱石輸送株式会社の3社が事業統合し、長い歴史に裏打ちされた知見と人材を結集することで、ドライバルク輸送分野における競争力の一層の強化を図ります。海上輸送業、船舶管理業、船主業を主な事業とし、当社が100%出資する完全子会社としてグループ戦略と一体で事業を推進します。保有隻数21隻及び船舶管理隻数約90隻を基盤に、安全運航の徹底と高品質なワンストップサービスの提供を通じ、安定的かつ持続的な収益創出と顧客価値の最大化を目指します。
◆LNG輸送事業を通じた環境負荷低減と企業価値向上の両立
当社は、クリーンエネルギー需要の拡大を背景に、LNG輸送事業を重要な成長分野の一つと位置付けています。
2025年12月にはノルウェーの大手船主であるOcean Yield ASと協業し、米国の大手LNG生産事業者であるCheniere Energy Inc.の完全子会社であるCheniere Marketing International LLPに複数隻の新造LNG運搬船を長期定期傭船する契約を締結しました。長期輸送契約に基づくLNG船の運航を通じて、安定的な収益基盤を構築するとともに、グローバルなLNGサプライチェーンを支えていきます。
北米を起点とするLNG輸送は、地政学的分散やエネルギー安全保障の観点からも重要性が高まっており、当社は高度な安全運航ノウハウと豊富な実績を活かし、信頼性の高い輸送サービスを提供しています。今後もLNG需要の中長期的な成長を取り込みつつ、環境負荷低減と企業価値向上の両立を図ります。
◆バルセロナ港に次世代完成車ターミナル建設
2025年5月に自動車物流事業における欧州拠点の強化を目的として、スペイン・バルセロナ港において完成車ターミナルの27年間の運営権を取得しました。2028年に稼働予定の完全自動立体駐車場を建設し、再生可能エネルギー活用により環境に配慮した効率的な自動車輸送を実現します。本事業は、西地中海エリアにおける完成車物流需要への対応力向上を図るものであり、北欧港湾に集中する既存物流の補完的役割を担う拠点として位置付けています。バルセロナ港は、海上輸送に加え鉄道・内陸輸送との接続性を有しており、欧州域内外を結ぶ物流拠点としての利便性を備えています。当社は、完成車物流及びターミナル運営におけるこれまでの知見を活かし、安定的な運営を通じて顧客ニーズへの対応力を高めるとともに、自動車物流事業の基盤強化を進めていきます。
◆欧州物流企業Waldenグループのヘルスケア物流事業の買収
当社グループは、中核事業と位置付ける物流事業の成長を担う存在として、郵船ロジスティクスグループ(以下、YLグループ)を中心に事業基盤の強化を進めています。
その一環として、2025年12月、欧州物流企業Waldenグループのヘルスケア物流事業を買収し、同事業を担う42社をYLグループ傘下に迎え入れました。
本買収により、欧州12カ国に展開する医薬品・医療機器物流の高品質ネットワークと、YLグループが有するグローバルな物流基盤及び運営ノウハウを融合させることで、温度管理や各国規制への対応が求められる高度な物流ニーズへの対応力を一層高めています。
ヘルスケア物流は今後も着実な成長が見込まれる分野であり、本件はYLグループの一層の成長を通じ、物流事業全体の収益基盤の拡大と付加価値の向上に資するものです。今後も当社グループは、成長分野である物流事業への戦略的投資を継続していきます。
◆先進のクラウドとプラットフォームの導入による経営基盤の刷新

当社は、グローバル競争の激化や経営環境の不確実性が高まる中、データに基づく迅速な意思決定を根幹としたデータドリブン経営の実現を目的に、クラウド型の統合基幹業務システムや財務・経営管理の統合支援プラットフォームをはじめとした複数の先進的なデジタル基盤を導入し、社内システム基盤を刷新しました。
本取組みでは、本社及び国内外子会社3社と、その他船舶保有のための特別目的会社も合わせた約350社の会計基幹システムをクラウドへ移行し、財務・会計領域の主要機能を統合することで、従来分散していた会計基盤を一元化しました。これにより、業務の標準化と効率化を進めるとともに、経営管理における高度な計画・分析を可能とする体制を構築しています。また、クラウドの特長である定期的な機能更新を活用することで、稼働後も最新技術を継続して取り込める仕組みを整えました。
当社グループは今後も、業務プロセスの標準化とAI活用による定型業務の自動化を進め、より高度な分析・判断・提案を行う業務体制への転換を図ります。中期経営計画の実行を支える基盤として、データドリブン経営のさらなる高度化と企業価値向上に取り組んでいきます。
◆CX Neo ~海技者の活躍促進プロジェクト~
当社は、中核事業の深化と新規事業の開拓を両輪とする基軸戦略を支えるCXの一環として、海技者の活躍促進を目的としたプロジェクト「CX Neo」を推進しています。本プロジェクトでは、安全運航を支える高度な専門性と使命感を備えた人材が、長期にわたり情熱と誇りを持って働き続けられる会社であることを目標に、海技者に求める人物像の再定義を行うとともに、働き方、キャリアの柔軟性、船内環境といった多面的な課題の検討と改善に取り組んでいます。具体的には、船上経験を基礎とした陸上業務との往来を含むキャリアパスの整備や、就労・居住環境の改善を進めています。
また、当社は2004年から女性を海上職として採用しており、現在では30名超が海上・陸上を問わず全世界で活躍しています。2025年4月には、矢野美希一等機関士を機関長に登用しました。140年の歴史を持つ当社で女性の機関長登用は初めてです。今後も、多様な人材が活躍できる職場環境づくりと人材育成を推進していきます。
② 遵法の徹底
当社グループは、遵法の徹底を最重要事項と位置付け、当社と国内外にある様々な事業を展開するグループ会社を対象にグローバルなガバナンス体制の構築を目指しており、以下の対策を着実に実行し、法令に則った公正な事業の遂行を徹底することに全力を尽くしていきます。
・米州・欧州・東アジア・南アジアの各拠点にRegional Management Officeを設置
・ベストプラクティスの共有や課題の速やかな解決を図るため、Regional Governance Officerの下に法務担当や内部監査人を配置
・国内外グループ会社が制定している行動規準に対する誓約書の取得等の活動を継続
・独占禁止法の遵守を徹底すべく、社内各部門・グループ会社にヒアリングを実施し、これらを踏まえた独占禁止法に関する行動指針の作成、研修の実施
・コンプライアンス委員会や遵法活動徹底委員会の開催を通じ、独占禁止法対応に加え贈収賄・ハラスメント防止等、包括的な法令遵守体制の整備・強化
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、存在意義、社会的使命として“Bringing value to life.”を企業理念に掲げています。
(2)中長期的なグループ経営戦略及び目標とする経営指標
当社グループは、2023年3月に中期経営計画“Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”を策定し、2030年に向けた新たなビジョン「総合物流企業の枠を超え、中核事業の深化と新規事業の成長で、未来に必要な価値を共創します」を掲げ、その実現を目的とする2026年度までの4年間の行動計画にもとづき事業を進めています。ESGを中核に据えた成長戦略を推進し、経営戦略としては、各事業における機会とリスクを踏まえた事業戦略の方向性(両利きの経営:AX、及び事業変革:BX)を定めるとともに、人的資本の更なる充実・グループ経営の変革・ガバナンスの強化(CX)、デジタル基盤の整備推進(DX)等のコーポレート基盤の強化に加え、脱炭素に向けた取組みの加速(EX)を推進します。事業投資計画としては、中期経営計画策定時点において2026年度までに予定していた1.2兆円規模の事業投資を1.6兆円規模に増額して実施します。当連結会計年度末時点で中期経営計画期間中の投資が決定している案件は約1.3兆円です。
(“Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”の利益・財務目標)
| 2025年度実績 | 中期目標 (2026年目途) | |
| 当期純利益 | 2,117億円 | 2,000~3,000億円 |
| ROIC | 6.4% | 6.5%以上 |
| ROE | 7.1% | 8.0~10.0% |
(株主還元策)
当社は、株主の皆様への安定的な利益還元を経営上の最重要課題の一つと位置付け、連結配当性向40%を目安に1株あたりの配当下限金額を年間200円として、業績の見通し等を総合的に勘案して利益配分を決定します。配当の詳細については「第4 提出会社の状況 3配当政策」をご参照ください。
自己株式の取得については、2025年5月8日開催の取締役会決議に基づき、2026年4月30日まで28,779,900株(取得価額の総額 約1,500億円)の取得を完了し、上記取締役会決議による自己株式の取得は終了しました。
また、取得した自己株式は全株消却いたしました。
(3)中長期的なグループ経営戦略と優先的に対処すべき課題
① 中期経営計画の遂行
地政学リスクの高まりを受け混迷を極める世界情勢の中、エネルギーや生活必需品を世界中に届け、人々のライフラインを守るべく “Bringing value to life.” を企業理念(ミッション)とし、新たに掲げたありたい姿(ビジョン)「総合物流企業の枠を超え、中核事業の深化と新規事業の成長で、未来に必要な価値を共創します」を目指して、中期経営計画 “Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -” を進めています。
両利きの経営(AX)と事業変革(BX)から成る「基軸戦略」の下、既存中核事業を深化させると同時に新規成長事業を進化させ、これを「支えの戦略」となる人材・組織・グループ経営変革(CX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)、エネルギートランスフォーメーション(EX)が支えます。
■中期経営計画 “Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -” 完遂への取組み経営戦略であるAX~EXの2024年度の主な進捗状況は以下の通りです。2025年度についても「既存中核事業の深化」と「新規成長事業の開拓」を加速していきます。
◆脱炭素社会実現に向けたアンモニアサプライチェーン構築
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| アンモニア燃料アンモニア輸送船 CGイメージ図 |
当社グループは脱炭素社会の実現に向けた有力な次世代燃料の一つとしてアンモニアに注力し、製造・輸送・供給を含む燃料アンモニアバリューチェーン全体における事業開発に取り組んでいます。
アンモニア燃料船の開発に関しては、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金の助成を受ける40,000㎥級アンモニア燃料アンモニア輸送船(Ammonia-Fueled Medium Gas Carrier:AFMGC)の建造が順調に進行しており、2025年にはアンモニア燃料主機と補機の搭載も完了しました。高い環境性能と世界最高水準の安全対策を備えたAFMGCは、2026年11月の竣工後、世界最大級のアンモニアプレーヤーであるYara International ASAのグループ会社であるYara Clean Ammonia Switzerland SAに定期傭船される予定です。
また、商用燃料アンモニア輸送船に関しては、2025年12月には、当社グループのNYK Bulkship (Asia) Pte. Ltd.が株式会社JERAと、アンモニア輸送船2隻に関する定期傭船契約の基本条件合意書を締結しました。本合意に基づき、米国で製造される低炭素アンモニアを、碧南火力発電所(愛知県)へ海上輸送する計画を推進します。本計画は、商用燃料アンモニア輸送として先駆的な取組みであり、日本のエネルギートランジションの実現を後押しします。
当社は、アンモニア燃料船を中核に、将来の燃料供給・輸送需要を見据えたアンモニアサプライチェーンの社会実装を着実に進め、持続的な成長と企業価値向上を目指します。
◆バイオ燃料の長期使用・保存に関する実証を経て、本格活用の段階へ
当社は、バイオ燃料B24(バイオ由来成分を24%混合)について、複数の船種において長期使用に関する実証を重ね、安定的な運用に向けた知見を蓄積しました。また、その一環として、シンガポールの非営利団体Global Centre for Maritime Decarbonisationと共同で、船上における長期使用及び保存に関する実証を行いました。その結果、技術的な安全性並びに長期運用の実現可能性を確認しました。これらの検証結果を踏まえ、現在は自動車専用船を中心にバイオ燃料の本格的な活用を進めており、使用量を拡大しています。さらに2026年度には、バイオ由来成分100%のバイオ燃料B100について、酸化劣化や長期保管時の品質安定性への配慮がより重要であることを踏まえ、実運航における約1年間の検証を実施する予定です。
当社は、既存船舶インフラを活用し、バイオ燃料及びLNG燃料を、燃料転換期における現実的かつ即効性のある対応手段として位置付けています。第三者認証により持続可能性及びGHG排出削減効果が客観的に担保された低・脱炭素燃料は、欧州規制対応に活用できるほか、環境価値として分離し、お客様に提供することで新たな価値の創出も可能であり、脱炭素の推進と企業価値の向上の双方に資するものとなります。これらの取組みを通じ、当社は海運業界の脱炭素化を着実にリードしていきます。
◆洋上風力発電を支える作業員輸送船の建造で3D技術を本格適用
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| 作業員輸送船 本船写真(上)と 3Dモデル(下)の比較 |
当社は、洋上風力発電事業を支える作業員輸送船(Crew Transfer Vessel:CTV)の建造において、設計から建造まで一貫して3D技術を活用する新たな取組みを進めています。
船の構造や機器配置、作業のしやすさを事前に3D上で確認することで、設計変更や手戻りを減らし、効率的で確実な建造を実現しました。
また、建造途中でも3Dデータを活用して品質を確認し、安全性の向上につなげています。さらに、完成後の点検や保守にも活用できる「3Dデジタル完成図書」を整備することで、運航開始後の管理効率向上も期待されます。本取組みを通じて、成長が見込まれる洋上風力分野において、安全で信頼性の高い輸送サービスを支えると同時に、当社の技術力と競争力を強化していきます。
◆飛鳥Ⅲ就航
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| 新造客船「飛鳥Ⅲ」 提供:郵船クルーズ株式会社 |
客船事業では、34年ぶりの新造客船「飛鳥Ⅲ」が2025年7月に就航しました。
「飛鳥Ⅲ」では日本のクルーズ船で初となる船位保持制御システム、ポッド推進器や陸上電源受電装置、さらに世界の中型客船で数少ないLNG燃料に対応したエンジンを搭載し、環境に配慮したクルーズを実現します。
1991年に就航した初代「飛鳥」が日本におけるラグジュアリークルーズの礎を築き、続いて2006年に「飛鳥Ⅱ」が就航し、客船文化の発展を支えてきました。「飛鳥Ⅱ」、「飛鳥Ⅲ」の2隻体制の始動により、ラグジュアリー市場における競争力をさらに高めるとともに、より多くのお客様に“最幸時間”を提供する体制を強化していきます。
◆NYKバルクシップパートナーズ株式会社発足
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| NYKバルクシップパートナーズ株式会社 会社ロゴ | ドライバルク船「KEY HUNTER」 |
NYKバルクシップパートナーズ株式会社は、当社グループにおけるドライバルク船事業の中核会社として、2026年4月に発足しました。
旭海運株式会社、八馬汽船株式会社、三菱鉱石輸送株式会社の3社が事業統合し、長い歴史に裏打ちされた知見と人材を結集することで、ドライバルク輸送分野における競争力の一層の強化を図ります。海上輸送業、船舶管理業、船主業を主な事業とし、当社が100%出資する完全子会社としてグループ戦略と一体で事業を推進します。保有隻数21隻及び船舶管理隻数約90隻を基盤に、安全運航の徹底と高品質なワンストップサービスの提供を通じ、安定的かつ持続的な収益創出と顧客価値の最大化を目指します。
◆LNG輸送事業を通じた環境負荷低減と企業価値向上の両立
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| LNG運搬船「QUEST KIRISHIMA」 |
当社は、クリーンエネルギー需要の拡大を背景に、LNG輸送事業を重要な成長分野の一つと位置付けています。
2025年12月にはノルウェーの大手船主であるOcean Yield ASと協業し、米国の大手LNG生産事業者であるCheniere Energy Inc.の完全子会社であるCheniere Marketing International LLPに複数隻の新造LNG運搬船を長期定期傭船する契約を締結しました。長期輸送契約に基づくLNG船の運航を通じて、安定的な収益基盤を構築するとともに、グローバルなLNGサプライチェーンを支えていきます。
北米を起点とするLNG輸送は、地政学的分散やエネルギー安全保障の観点からも重要性が高まっており、当社は高度な安全運航ノウハウと豊富な実績を活かし、信頼性の高い輸送サービスを提供しています。今後もLNG需要の中長期的な成長を取り込みつつ、環境負荷低減と企業価値向上の両立を図ります。
◆バルセロナ港に次世代完成車ターミナル建設
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| 当社グループが運営する 欧州の完成車ターミナル拠点 |
2025年5月に自動車物流事業における欧州拠点の強化を目的として、スペイン・バルセロナ港において完成車ターミナルの27年間の運営権を取得しました。2028年に稼働予定の完全自動立体駐車場を建設し、再生可能エネルギー活用により環境に配慮した効率的な自動車輸送を実現します。本事業は、西地中海エリアにおける完成車物流需要への対応力向上を図るものであり、北欧港湾に集中する既存物流の補完的役割を担う拠点として位置付けています。バルセロナ港は、海上輸送に加え鉄道・内陸輸送との接続性を有しており、欧州域内外を結ぶ物流拠点としての利便性を備えています。当社は、完成車物流及びターミナル運営におけるこれまでの知見を活かし、安定的な運営を通じて顧客ニーズへの対応力を高めるとともに、自動車物流事業の基盤強化を進めていきます。
◆欧州物流企業Waldenグループのヘルスケア物流事業の買収
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| 欧州ヘルスケア物流事業 |
当社グループは、中核事業と位置付ける物流事業の成長を担う存在として、郵船ロジスティクスグループ(以下、YLグループ)を中心に事業基盤の強化を進めています。
その一環として、2025年12月、欧州物流企業Waldenグループのヘルスケア物流事業を買収し、同事業を担う42社をYLグループ傘下に迎え入れました。
本買収により、欧州12カ国に展開する医薬品・医療機器物流の高品質ネットワークと、YLグループが有するグローバルな物流基盤及び運営ノウハウを融合させることで、温度管理や各国規制への対応が求められる高度な物流ニーズへの対応力を一層高めています。
ヘルスケア物流は今後も着実な成長が見込まれる分野であり、本件はYLグループの一層の成長を通じ、物流事業全体の収益基盤の拡大と付加価値の向上に資するものです。今後も当社グループは、成長分野である物流事業への戦略的投資を継続していきます。
◆先進のクラウドとプラットフォームの導入による経営基盤の刷新

当社は、グローバル競争の激化や経営環境の不確実性が高まる中、データに基づく迅速な意思決定を根幹としたデータドリブン経営の実現を目的に、クラウド型の統合基幹業務システムや財務・経営管理の統合支援プラットフォームをはじめとした複数の先進的なデジタル基盤を導入し、社内システム基盤を刷新しました。
本取組みでは、本社及び国内外子会社3社と、その他船舶保有のための特別目的会社も合わせた約350社の会計基幹システムをクラウドへ移行し、財務・会計領域の主要機能を統合することで、従来分散していた会計基盤を一元化しました。これにより、業務の標準化と効率化を進めるとともに、経営管理における高度な計画・分析を可能とする体制を構築しています。また、クラウドの特長である定期的な機能更新を活用することで、稼働後も最新技術を継続して取り込める仕組みを整えました。
当社グループは今後も、業務プロセスの標準化とAI活用による定型業務の自動化を進め、より高度な分析・判断・提案を行う業務体制への転換を図ります。中期経営計画の実行を支える基盤として、データドリブン経営のさらなる高度化と企業価値向上に取り組んでいきます。
◆CX Neo ~海技者の活躍促進プロジェクト~
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| 矢野美希 機関長 |
当社は、中核事業の深化と新規事業の開拓を両輪とする基軸戦略を支えるCXの一環として、海技者の活躍促進を目的としたプロジェクト「CX Neo」を推進しています。本プロジェクトでは、安全運航を支える高度な専門性と使命感を備えた人材が、長期にわたり情熱と誇りを持って働き続けられる会社であることを目標に、海技者に求める人物像の再定義を行うとともに、働き方、キャリアの柔軟性、船内環境といった多面的な課題の検討と改善に取り組んでいます。具体的には、船上経験を基礎とした陸上業務との往来を含むキャリアパスの整備や、就労・居住環境の改善を進めています。
また、当社は2004年から女性を海上職として採用しており、現在では30名超が海上・陸上を問わず全世界で活躍しています。2025年4月には、矢野美希一等機関士を機関長に登用しました。140年の歴史を持つ当社で女性の機関長登用は初めてです。今後も、多様な人材が活躍できる職場環境づくりと人材育成を推進していきます。
② 遵法の徹底
当社グループは、遵法の徹底を最重要事項と位置付け、当社と国内外にある様々な事業を展開するグループ会社を対象にグローバルなガバナンス体制の構築を目指しており、以下の対策を着実に実行し、法令に則った公正な事業の遂行を徹底することに全力を尽くしていきます。
・米州・欧州・東アジア・南アジアの各拠点にRegional Management Officeを設置
・ベストプラクティスの共有や課題の速やかな解決を図るため、Regional Governance Officerの下に法務担当や内部監査人を配置
・国内外グループ会社が制定している行動規準に対する誓約書の取得等の活動を継続
・独占禁止法の遵守を徹底すべく、社内各部門・グループ会社にヒアリングを実施し、これらを踏まえた独占禁止法に関する行動指針の作成、研修の実施
・コンプライアンス委員会や遵法活動徹底委員会の開催を通じ、独占禁止法対応に加え贈収賄・ハラスメント防止等、包括的な法令遵守体制の整備・強化

















