訂正有価証券報告書-第152期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
対処すべき課題
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、4つの強み「高い技術力、高いレベルの輸送品質、グローバルな事業展開、変革を支える人材と多様性」を原動力にさまざまな資本を活用し、世界の人々の豊かな暮らしに貢献する物流・貿易の基幹インフラとして、安全・安心な海上輸送及び物流サービスを提供することによって、ステークホルダーの皆さまに価値ある存在であり続けることを目指しています。さまざまな産業分野における強固な信頼関係で結ばれた顧客基盤を活かし、海運業を母体とする総合物流企業グループとしてグローバルに事業を展開しています。
(2)中期的な会社の経営戦略
当社グループは、2017年4月に中期経営計画「『飛躍への再生』
Value for our Next Century」を策定し、「ポートフォリオ戦略転換」、「経営管理の高度化と機能別戦略の強化」、「ESGの取組み」を3つの重要課題に掲げ、グループ一丸となって取り組んでまいりました。計画初年度である2017年度では、3期ぶりに営業、経常及び当期の全段階での黒字化を達成しましたが、2018年度は当社持分法適用会社であるOCEAN NETWORK EXPRESS社(以下、「ONE社」という。)を含むコンテナ船事業で収益が大幅に悪化しました。当社創立100周年の2019年度は、2018年度に実施した構造改革効果の現出や自動車船事業における航路改変、配船効率改善や運賃修復が進んだこと、エネルギー資源セグメントを中心とした安定契約の積上げが功を奏したこと、またONE社については、貨物ポートフォリオの改善、配船効率化による収支改善により黒字化を達成し、当社グループの営業、経常及び当期純利益の全段階での黒字化を達成しました。2020年度については、引続き重要課題への取組みを継続してまいりますが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による当社グループの事業環境へ及ぼす影響が不透明であることも踏まえ、そのダメージコントロールへ注力するとともに、安全運航を維持し、本船乗組員及び全グループ役職員の安全を第一とし、社会インフラとして安定した物流サービスを継続的に提供するための施策を実施してまいります。
また、業績への影響最小化を最優先事項として、2020年度を初年度とする新中期経営計画は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による事業環境の変容を見極めながら、慎重に策定を進めてまいります。
(3)会社の対処すべき課題
① 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の今後の広がり方や収束時期に関しては不確実性が高く、先行きの情勢を見極めることが困難な状況となっていることから、2020年度業績予想については、現在未定とさせて頂いています。社会インフラとして安定した物流サービスを継続的に提供するため、以下の想定される影響への施策を着実に実施してまいります。
◆ 外部環境認識及び当社グループの事業への主な影響
現時点で当社グループの事業に影響を与える可能性のある外部環境としては、グローバル経済活動の鈍化と景気の後退が想定されます。そしてこれに伴う原材料、完成品を中心とする海上荷動き及び輸送需要の鈍化による海運市況の低迷が考えられます。このような状況により、見通しを立てることは困難ですが、業績への影響を慎重に見極め、合理的な予測を随時実施のうえ、柔軟な施策を実施いたします。
◆ 2020年度の業績影響への対応
2020年度の業績影響を最小限に止めるべく、以下の施策を着実に実施してまいります。
a 貨物減少に応じた船隊縮減、配船合理化・停船・係船による運航費削減
一時的な需要減退への対処として、船隊の縮減を実施し、運航費の低減を徹底します。
b 十分な手元流動性確保
コミットメントライン活用も含めて十分な手元資金の流動性を確保しています。
c 自己資本対策
船舶や不動産などの処分を進め、自己資本の拡充を図ります。
d 全面的な投資計画見直し
当社の強みを生かして、今後の成長分野に注力します。
◆ 安全運航・高品質サービス維持への対応
安全運航を維持し、本船乗組員及び全グループ役職員の安全を第一とし、社会インフラとして安定した物流サービスを継続的に提供するため、以下の対策を中心に着実に進めています。
⦅海上⦆ 船内の安全確保と安全運航維持のための措置
・対策マニュアルに基づく船内感染予防の徹底、防護服など必要物資の供給
・乗組員の安全確保と順次交代
各国ロックダウンによる移動制限により、乗組員交代に支障が出ているため、関係国・機関に働きかけ、早期改善を目指します。
・乗組員及び待機船員への手厚いケアの実施による、安全確保とモチベーション維持
⦅陸上⦆ 世界規模での在宅勤務徹底による通常事業継続
・在宅勤務環境の整備
大きな混乱もなく、現状通常業務を継続できています。
② 事業環境の変化に対する当社グループの経営課題
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による事業環境の変化も踏まえ、以下の課題への取組みを強化してまいります。
◆ 当社の強みの徹底的強化による競争力確保
◆ 市況影響の受けにくい事業ポートフォリオの構築
◆ 技術革新、ビジネスモデル変革による成長性の実現
③ 経営管理の高度化の推進
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、海上荷動き及び輸送需要の鈍化による海運市況の低迷など、海運業及び当社グループの事業環境が今後大きく変化する可能性がある中で、引続きポートフォリオ戦略転換を支える体制整備として、事業リスク・リターン管理による定量評価の運用の継続的な取組みを進めてまいります。
当社独自の 事業評価指標である「"K" VaCS」(株主資本コストを意識した経済的付加価値を示す収益指標)及び「"K" RIC」(資本コストを意識した企業価値向上を図る効率性指標) を活用し、事業ポートフォリオ内での課題、問題のより明確な捕捉と、自己資本、経営資源の観点から持続的成長に向けた「選択と集中」戦略の明確化に繋がっており、より投下資本、事業リスク・リターンレベルを意識した事業経営を部門レベルまで落とし込み、リスク量と投下資本コントロールなどの具体的な施策を推進してまいります。
(注)1. 「“K” VaCS」 = “K” LINE Value after Cost of Shareholders’equity
株主資本コストを意識した当社独自の経済的付加価値を示す収益指標
2. 「“K” RIC」 = “K” LINE Return on Invested Capital
資本コストを意識した企業価値向上を図る当社独自の効率性指標
④ ESGの取組み推進
上記のようなグループ価値を高める戦略実施に際して最も重要となるガバナンス体制の整備に関して、当社はユニット統括制の導入による業務執行責任体制のより一層の強化や取締役会の実効性評価を進めることなどに取り組んできました。2020年1月からのSOx規制強化においては、規制を遵守しながら本船運航を止めず、経済的影響を最小化する方針のもと対応を進めてきましたが、運航上の大きなトラブルもなく、当初の計画通りに移行が無事完了しました。環境面では、2016年から4年連続でCDP気候変動Aリストに選定され、またPanama Green Shipping Award 2019を受賞するなど、当社の積極的な環境活動が評価されています。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による、当社グループの安全且つ高品質なサービスへの影響を改めて見直し、危機管理対策の向上として、本船の安全運航継続の徹底、当社グループの従業員における安全な事業継続を念頭とした、環境・安全・ガバナンス体制整備に引き続き尽力してまいります。
◆ 環境対策とCSR
当社グループは重大海難事故ゼロの維持を命題として、『統合船舶運航・性能管理システム“K-IMS”』の開発・導入やエネルギーマネジメントシステムの構築等により、世界トップクラスの安全運航の維持に取り組んでいます。
また、当社グループは事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にするべく、環境憲章にその決意を掲げ、これに基づく環境マネジメントシステムにより、具体的な環境保全活動並びに数値目標を定め、その達成状況を基に改善を図っていくなど、環境保全のためのさまざまな取組みを行っています。例えば、省エネ型荷役機器導入や燃料節減によるCO2排出量削減、運航船のバラスト水管理のための処理装置の搭載、SOxスクラバーの搭載や低硫黄燃料使用によるSOx排出量削減、NOx排出低減のための排ガス再循環装置搭載などの環境保全対策を実施しています。これらの取組みが評価され、2019年にはCDP2019気候変動で4年連続Aリストに選定され、また『サプライヤー・エンゲージメント・リーダー・ボード』にも選定されました。また、事業以外でも会社遊休地を利用した里山保全活動など環境保護活動を積極的に実施しています。
2015年3月に様々な環境問題に取り組むべく環境指針『“K”LINE 環境ビジョン2050』を策定しましたが、5年の歳月が経過し改めて当社の環境における重要課題と目標を見直し、2020年に新たな『“K”LINE 環境ビジョン2050』を公表いたしました。今回の環境ビジョンでは、当社が2018年10月に賛同表明している気候変動タスクフォース(TCFD)提言に基づいたシナリオ分析(気候関連リスク・機会を抽出し、そこから財務上の影響の把握を行う)を盛り込み、その内容を踏まえ「脱炭素化」及び「環境影響の限りないゼロ化」をテーマに重要課題・目標の再設定を行っています。
「脱炭素化」に向けては、①LNG燃料焚き自動車船の導入、②LNG燃料供給の事業化、③技術研究組合 CO2 フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)への参画など取組みを進めているものもございますが、更なる「脱炭素化」への取組みを一層進めてまいります。
また、SBTイニシアチブ(Science Based Target Initiative)の認証を取得している「2030年までにCO2排出量25%削減(2011年比)」達成を測る指標として、国内外主要連結グループ会社の燃料消費や電気使用量などの環境負荷データを、環境データ集計システムを通じて収集・集計し、当社ホームページに掲載しています。2019年において当社グループの事業に伴う温室効果ガスの排出量は、スコープ1(化石燃料の使用に伴う直接的な排出)10,325,224トン、スコープ2(供給を受けた電力等による間接的な排出)26,220トン、スコープ3(スコープ1・2を除くその他の間接的排出)1,304,803トンという結果となりました。今後も、グループ全体の環境負荷を把握すると同時に、グループ各社での自主的な取組みを促し、必要に応じて追加施策を実施すべく、環境パフォーマンスの見える化に取り組んでまいります。更に、年間の実績データは、第三者機関によるデータ精査と認証を受けた上で社外へ開示しステークホルダーからの評価を次の施策に活かしながら、継続的な改善を図ってまいります。
また、2017年6月に当社グループ全体で環境マネジメントを推進するための体制「DRIVE GREEN NETWORK(DGN)」を構築し、運用を開始いたしました。これは、当社グループ全体で日常業務の中に環境の課題を見出し取り組むことで、グループ全体として持続可能な社会の実現を目指しています。DGNは段階的に当社グループ全体への導入を目指しており、2019年にはphase 3と位置づけ、コンテナ船事業の統合により展開が遅れていた海外関係会社の加入を推進いたしました。今後も更なる加入推進を進めてまいります。
◆ コーポレートガバナンスの強化
グループ価値を高める戦略実施に際して最も重要となるガバナンス体制の整備に関して、当社はユニット統括制の導入による業務執行責任体制のより一層の明確化・強化や重要方針の決定に向けた取締役会モニタリング体制の強化等を実行してきました。リスクマネジメントでは、危機管理委員会とその下部組織(コンプライアンス委員会・安全運航推進委員会・経営リスク委員会・災害対策委員会)がグループのリスク管理にあたり、重要な投資については、投資委員会がその審議にあたる体制としています。
(4)コンプライアンスの徹底
当社は、公正取引委員会による立入検査を受けて以降、外部専門家の協力を得て、各種コンプライアンス強化策を策定・実施していますが、これらの強化策を今後もより一層推進することにより、再発の防止に努めてまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。
当社グループは、4つの強み「高い技術力、高いレベルの輸送品質、グローバルな事業展開、変革を支える人材と多様性」を原動力にさまざまな資本を活用し、世界の人々の豊かな暮らしに貢献する物流・貿易の基幹インフラとして、安全・安心な海上輸送及び物流サービスを提供することによって、ステークホルダーの皆さまに価値ある存在であり続けることを目指しています。さまざまな産業分野における強固な信頼関係で結ばれた顧客基盤を活かし、海運業を母体とする総合物流企業グループとしてグローバルに事業を展開しています。
(2)中期的な会社の経営戦略
当社グループは、2017年4月に中期経営計画「『飛躍への再生』

また、業績への影響最小化を最優先事項として、2020年度を初年度とする新中期経営計画は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による事業環境の変容を見極めながら、慎重に策定を進めてまいります。
(3)会社の対処すべき課題
① 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の今後の広がり方や収束時期に関しては不確実性が高く、先行きの情勢を見極めることが困難な状況となっていることから、2020年度業績予想については、現在未定とさせて頂いています。社会インフラとして安定した物流サービスを継続的に提供するため、以下の想定される影響への施策を着実に実施してまいります。
◆ 外部環境認識及び当社グループの事業への主な影響
現時点で当社グループの事業に影響を与える可能性のある外部環境としては、グローバル経済活動の鈍化と景気の後退が想定されます。そしてこれに伴う原材料、完成品を中心とする海上荷動き及び輸送需要の鈍化による海運市況の低迷が考えられます。このような状況により、見通しを立てることは困難ですが、業績への影響を慎重に見極め、合理的な予測を随時実施のうえ、柔軟な施策を実施いたします。
◆ 2020年度の業績影響への対応
2020年度の業績影響を最小限に止めるべく、以下の施策を着実に実施してまいります。
a 貨物減少に応じた船隊縮減、配船合理化・停船・係船による運航費削減
一時的な需要減退への対処として、船隊の縮減を実施し、運航費の低減を徹底します。
b 十分な手元流動性確保
コミットメントライン活用も含めて十分な手元資金の流動性を確保しています。
c 自己資本対策
船舶や不動産などの処分を進め、自己資本の拡充を図ります。
d 全面的な投資計画見直し
当社の強みを生かして、今後の成長分野に注力します。
◆ 安全運航・高品質サービス維持への対応
安全運航を維持し、本船乗組員及び全グループ役職員の安全を第一とし、社会インフラとして安定した物流サービスを継続的に提供するため、以下の対策を中心に着実に進めています。
⦅海上⦆ 船内の安全確保と安全運航維持のための措置
・対策マニュアルに基づく船内感染予防の徹底、防護服など必要物資の供給
・乗組員の安全確保と順次交代
各国ロックダウンによる移動制限により、乗組員交代に支障が出ているため、関係国・機関に働きかけ、早期改善を目指します。
・乗組員及び待機船員への手厚いケアの実施による、安全確保とモチベーション維持
⦅陸上⦆ 世界規模での在宅勤務徹底による通常事業継続
・在宅勤務環境の整備
大きな混乱もなく、現状通常業務を継続できています。
② 事業環境の変化に対する当社グループの経営課題
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による事業環境の変化も踏まえ、以下の課題への取組みを強化してまいります。
◆ 当社の強みの徹底的強化による競争力確保
◆ 市況影響の受けにくい事業ポートフォリオの構築
◆ 技術革新、ビジネスモデル変革による成長性の実現
③ 経営管理の高度化の推進
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、海上荷動き及び輸送需要の鈍化による海運市況の低迷など、海運業及び当社グループの事業環境が今後大きく変化する可能性がある中で、引続きポートフォリオ戦略転換を支える体制整備として、事業リスク・リターン管理による定量評価の運用の継続的な取組みを進めてまいります。
当社独自の 事業評価指標である「"K" VaCS」(株主資本コストを意識した経済的付加価値を示す収益指標)及び「"K" RIC」(資本コストを意識した企業価値向上を図る効率性指標) を活用し、事業ポートフォリオ内での課題、問題のより明確な捕捉と、自己資本、経営資源の観点から持続的成長に向けた「選択と集中」戦略の明確化に繋がっており、より投下資本、事業リスク・リターンレベルを意識した事業経営を部門レベルまで落とし込み、リスク量と投下資本コントロールなどの具体的な施策を推進してまいります。
(注)1. 「“K” VaCS」 = “K” LINE Value after Cost of Shareholders’equity
株主資本コストを意識した当社独自の経済的付加価値を示す収益指標
2. 「“K” RIC」 = “K” LINE Return on Invested Capital
資本コストを意識した企業価値向上を図る当社独自の効率性指標
④ ESGの取組み推進
上記のようなグループ価値を高める戦略実施に際して最も重要となるガバナンス体制の整備に関して、当社はユニット統括制の導入による業務執行責任体制のより一層の強化や取締役会の実効性評価を進めることなどに取り組んできました。2020年1月からのSOx規制強化においては、規制を遵守しながら本船運航を止めず、経済的影響を最小化する方針のもと対応を進めてきましたが、運航上の大きなトラブルもなく、当初の計画通りに移行が無事完了しました。環境面では、2016年から4年連続でCDP気候変動Aリストに選定され、またPanama Green Shipping Award 2019を受賞するなど、当社の積極的な環境活動が評価されています。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による、当社グループの安全且つ高品質なサービスへの影響を改めて見直し、危機管理対策の向上として、本船の安全運航継続の徹底、当社グループの従業員における安全な事業継続を念頭とした、環境・安全・ガバナンス体制整備に引き続き尽力してまいります。
◆ 環境対策とCSR
当社グループは重大海難事故ゼロの維持を命題として、『統合船舶運航・性能管理システム“K-IMS”』の開発・導入やエネルギーマネジメントシステムの構築等により、世界トップクラスの安全運航の維持に取り組んでいます。
また、当社グループは事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にするべく、環境憲章にその決意を掲げ、これに基づく環境マネジメントシステムにより、具体的な環境保全活動並びに数値目標を定め、その達成状況を基に改善を図っていくなど、環境保全のためのさまざまな取組みを行っています。例えば、省エネ型荷役機器導入や燃料節減によるCO2排出量削減、運航船のバラスト水管理のための処理装置の搭載、SOxスクラバーの搭載や低硫黄燃料使用によるSOx排出量削減、NOx排出低減のための排ガス再循環装置搭載などの環境保全対策を実施しています。これらの取組みが評価され、2019年にはCDP2019気候変動で4年連続Aリストに選定され、また『サプライヤー・エンゲージメント・リーダー・ボード』にも選定されました。また、事業以外でも会社遊休地を利用した里山保全活動など環境保護活動を積極的に実施しています。
2015年3月に様々な環境問題に取り組むべく環境指針『“K”LINE 環境ビジョン2050』を策定しましたが、5年の歳月が経過し改めて当社の環境における重要課題と目標を見直し、2020年に新たな『“K”LINE 環境ビジョン2050』を公表いたしました。今回の環境ビジョンでは、当社が2018年10月に賛同表明している気候変動タスクフォース(TCFD)提言に基づいたシナリオ分析(気候関連リスク・機会を抽出し、そこから財務上の影響の把握を行う)を盛り込み、その内容を踏まえ「脱炭素化」及び「環境影響の限りないゼロ化」をテーマに重要課題・目標の再設定を行っています。
「脱炭素化」に向けては、①LNG燃料焚き自動車船の導入、②LNG燃料供給の事業化、③技術研究組合 CO2 フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)への参画など取組みを進めているものもございますが、更なる「脱炭素化」への取組みを一層進めてまいります。
また、SBTイニシアチブ(Science Based Target Initiative)の認証を取得している「2030年までにCO2排出量25%削減(2011年比)」達成を測る指標として、国内外主要連結グループ会社の燃料消費や電気使用量などの環境負荷データを、環境データ集計システムを通じて収集・集計し、当社ホームページに掲載しています。2019年において当社グループの事業に伴う温室効果ガスの排出量は、スコープ1(化石燃料の使用に伴う直接的な排出)10,325,224トン、スコープ2(供給を受けた電力等による間接的な排出)26,220トン、スコープ3(スコープ1・2を除くその他の間接的排出)1,304,803トンという結果となりました。今後も、グループ全体の環境負荷を把握すると同時に、グループ各社での自主的な取組みを促し、必要に応じて追加施策を実施すべく、環境パフォーマンスの見える化に取り組んでまいります。更に、年間の実績データは、第三者機関によるデータ精査と認証を受けた上で社外へ開示しステークホルダーからの評価を次の施策に活かしながら、継続的な改善を図ってまいります。
また、2017年6月に当社グループ全体で環境マネジメントを推進するための体制「DRIVE GREEN NETWORK(DGN)」を構築し、運用を開始いたしました。これは、当社グループ全体で日常業務の中に環境の課題を見出し取り組むことで、グループ全体として持続可能な社会の実現を目指しています。DGNは段階的に当社グループ全体への導入を目指しており、2019年にはphase 3と位置づけ、コンテナ船事業の統合により展開が遅れていた海外関係会社の加入を推進いたしました。今後も更なる加入推進を進めてまいります。
◆ コーポレートガバナンスの強化
グループ価値を高める戦略実施に際して最も重要となるガバナンス体制の整備に関して、当社はユニット統括制の導入による業務執行責任体制のより一層の明確化・強化や重要方針の決定に向けた取締役会モニタリング体制の強化等を実行してきました。リスクマネジメントでは、危機管理委員会とその下部組織(コンプライアンス委員会・安全運航推進委員会・経営リスク委員会・災害対策委員会)がグループのリスク管理にあたり、重要な投資については、投資委員会がその審議にあたる体制としています。
(4)コンプライアンスの徹底
当社は、公正取引委員会による立入検査を受けて以降、外部専門家の協力を得て、各種コンプライアンス強化策を策定・実施していますが、これらの強化策を今後もより一層推進することにより、再発の防止に努めてまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。