有価証券報告書-第147期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)
対処すべき課題
(1)中長期的なグループの経営戦略
当社グループは、2015年3月に以下の3つの重要テーマを掲げた新たな中期経営計画「
Value for our Next Century」を策定しました。
◆ 更なる財務体質の強化による「安定性」の確保
◆ 「安定性」を基盤とした「成長性」の強化
◆ ステークホルダーとの対話と協働
※: 上記のテーマについては、次項(2)で詳述しています。
※: 「
Value」は「ケイラインバリュー」と読み、当社ファンネルマークを使用したグループ独自の企業
価値を表すシンボルです。
(2)会社の対処すべき課題
中期経営計画「
Value for our Next Century」においては3つの重要テーマを掲げています。各テーマの詳細は次のとおりです。
① 更なる財務体質の強化による「安定性」の確保
緩やかな世界経済の回復による物流需要の拡大が望める一方、船腹供給圧力に伴なう不安定な需給バランスより、当社グループ事業の中心である海運事業のボラタイルな環境は継続するものと思われます。そのため、まず当社グループの更なる財務体質強化による安定性の確保に取り組みます。具体的な目標としては、以下を定めています。
◆ 2017年度での自己資本比率40%達成と有利子負債削減の継続
◆ その後も安定性を維持するために、フリーキャッシュフローの黒字維持、自己資本比率40%・DER 80%の
維持
② 「安定性」を基盤とした「成長性」の強化
人口増加を背景とした新興国を中心とする物流需要の安定的拡大や世界のエネルギー需要拡大は、当社グループにとって成長機会であり、戦略的投資による成長分野での新たな事業展開と市況ボラティリティへの耐性を高めた安定収益体制の拡充により、リスクを低減した事業ポートフォリオの実現を目指し、安定性と成長性のバランスを重視した事業運営を行ってまいります。
具体的には、2015年度からの5年間の戦略的投資では、成長の見込まれるLNG船・LPG船事業の拡大、海洋資源開発事業の拡充、アジア地域等でのターミナルを含む物流事業の取り込みや、当社の強みである中長期契約を核としたケープ船・電力炭船事業の拡大を計画し、総額1,200億円の投資を予定しています。また、ボラティリティへの耐性を高めた安定収益体制の拡充では、14,000TEU型大型コンテナ船10隻、7,500台積み大型自動車船10隻、省エネ型バルカーへの代替推進などによる高い競争力を持った船隊整備に1,700億円の投資を計画しています。
③ ステークホルダーとの対話と協働
当社グループは、ステークホルダーとの対話と協働による持続的成長と企業価値の向上を重要な経営方針として掲げており、以下の取組みを進めています。
◆ 企業の社会的責任(CSR)遂行によるステークホルダーとの協働
CSR基本方針として、「事業活動の影響に対する配慮」、「新たな価値の創出」を定め、特に安全運航・環境保全・人材育成に取り組む方針としています。CSR推進組織としては、社会・環境委員会とその下部組織として環境専門委員会・CSR専門委員会を設け、グループ全体の取組みを進めると共に、主体的な情報開示・発信を強化していくこととしています。
環境保全については、2015年3月に当社グループの2050年に向けた環境保全への長期指針「“K”LINE 環境ビジョン2050 『青い海を明日へつなぐ』」を定めました。これは、人々の豊かな暮らしを支える基幹産業としての責務を果たすために当社グループが目指すべき方向性を多角的な視点から特定したものです。
◆ コーポレート・ガバナンスの強化
新たに定めた企業理念・ビジョンへの取組みを確実にし、持続的成長と企業価値向上に向けて、グループ内統治体制整備を含む、コーポレートガバナンスの強化を進めてまいります。リスクマネジメントでは、危機管理委員会とその下部組織(コンプライアンス委員会・安全運航推進委員会・経営リスク委員会・災害対策委員会)がグループのリスク管理にあたり、重要な投資については、投資委員会がその審議にあたる体制としています。
◆ 安定配当方針による株主還元
中期経営計画「
Value for our Next Century」では、2019年度でのROE 10%以上を目標としており、安定性と成長性のバランスを両立させながら、安定配当の実施と一定利益水準を超える部分に対しての総還元を目指すこととしています。
コンプライアンスの徹底
当社は、公正取引委員会による立入検査を受けて以降、外部専門家の協力を得て、各種コンプライアンス強化策を策定・実施していますが、これらの強化策を今後もより一層推進することにより、再発の防止に努めてまいります。
(3) 株式会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容の概要
当社は、株主の皆さま、顧客、取引先、従業員、地域社会など当社を巡るステークホルダー(利害関係者)との共存・共栄をはかり、当社の企業価値・株主共同の利益の確保を目指す者が、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として望ましいと考えます。従いまして、この考え方に反する行動を取る者は望ましくないと考えています。
当社は、当社株式について大規模買付行為がなされる場合、これが企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。しかし、株式の大規模買付行為の中には、企業価値・株主共同の利益に資さないものも存在します。従いまして、そのような大規模買付行為を抑止するための枠組みが必要であると考えます。
② 基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
当社取締役会は、当社の企業価値・株主共同の利益を向上させるための取組みとして、下記(イ)「経営計画による企業価値向上への取組み」を実施しています。これらの取組みの実施を通じて、当社の企業価値・株主共同の利益を向上させ、それを当社の株式の価値に適正に反映させていくことにより、当社の企業価値・株主共同の利益を著しく毀損するおそれのある大規模買付行為は困難になるものと考えられ、これらの取組みは、基本方針に資するものであり、当社の企業価値・株主共同の利益に合致し、また、当社役員の地位の維持を目的とするものでもないと考えています。
(イ)経営計画による企業価値向上への取組み
当社は、平成24年4月に期間を3か年とした中期経営計画『“K”LINE Vision 100 -Bridge to the Future-』を策定し、「2012年度経常損益の黒字化」「安定収益体制の構築」「財務体質の強化」を最重要課題に挙げて取り組んでまいりました。平成27年3月期の最終年度にはこれらの重要課題をほぼ達成しました。平成27年3月には更なる企業価値向上を目指した企業理念とビジョンの見直しを行うとともに、平成31年の当社創立100周年に向けた新中期経営計画『
Value for our Next Century』を策定しています。
新中期経営計画では、以下の3つを重要テーマとして掲げています。
◆ 更なる財務体質の強化による「安定性」の確保
◆ 「安定性」を基盤とした「成長性」の強化
◆ ステークホルダーとの対話と協働(持続的成長と企業価値向上に向けて)
当社は株主の皆さまをはじめとするステークホルダーとの対話と協働により、上記に掲げた重要テーマの実現に向けてグループ一丸となって取り組んでまいります。
(ロ)コーポレート・ガバナンスに関する取組み
当社は、その社会的責任を果たし、株主等ステークホルダーの負託に応え、持続的に成長していくためにも、コーポレート・ガバナンス体制の強化とリスク・マネジメント体制の整備強化に取り組み、グループ全体に企業倫理を徹底しつつ、有機的かつ効率的にガバナンスの仕組みを構築し、収益・財務体質の強化と相まってコーポレート・ブランド価値を高めるよう、継続的に努力してまいります。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要
当社は、平成18年6月開催の定時株主総会において、当社株式の大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)を導入し、平成21年6月及び平成24年6月開催の定時株主総会において、その方針に所要の変更を加えたうえで更新しています。平成27年6月24日の定時株主総会(本定時株主総会)終結の時をもって有効期間の満了を迎える本方針の取扱いについて、買収防衛策を取りまく環境や国内外の機関投資家等の声も参考にしつつ、企業価値・株主共同の利益の確保・向上の観点から慎重に検討しました。その結果、本方針の更新時と比較すると経営環境の変化により本方針の当社における必要性が相対的に低下しているものと考えられることから、平成27年5月21日開催の取締役会において、有効期間が満了する本定時株主総会終結の時をもって本方針を更新しないことを決議いたしました。
当社は、今後とも企業価値・株主共同の利益の確保・向上に取り組んでまいります。同時に今後も、大規模買付行為を行おうとする者に対しては、大規模買付行為の是非を株主の皆さまが適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆さまの検討のための時間の確保に努める等、金融商品取引法、会社法その他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。
当社グループは、2015年3月に以下の3つの重要テーマを掲げた新たな中期経営計画「

◆ 更なる財務体質の強化による「安定性」の確保
◆ 「安定性」を基盤とした「成長性」の強化
◆ ステークホルダーとの対話と協働
※: 上記のテーマについては、次項(2)で詳述しています。
※: 「

価値を表すシンボルです。
(2)会社の対処すべき課題
中期経営計画「

① 更なる財務体質の強化による「安定性」の確保
緩やかな世界経済の回復による物流需要の拡大が望める一方、船腹供給圧力に伴なう不安定な需給バランスより、当社グループ事業の中心である海運事業のボラタイルな環境は継続するものと思われます。そのため、まず当社グループの更なる財務体質強化による安定性の確保に取り組みます。具体的な目標としては、以下を定めています。
◆ 2017年度での自己資本比率40%達成と有利子負債削減の継続
◆ その後も安定性を維持するために、フリーキャッシュフローの黒字維持、自己資本比率40%・DER 80%の
維持
② 「安定性」を基盤とした「成長性」の強化
人口増加を背景とした新興国を中心とする物流需要の安定的拡大や世界のエネルギー需要拡大は、当社グループにとって成長機会であり、戦略的投資による成長分野での新たな事業展開と市況ボラティリティへの耐性を高めた安定収益体制の拡充により、リスクを低減した事業ポートフォリオの実現を目指し、安定性と成長性のバランスを重視した事業運営を行ってまいります。
具体的には、2015年度からの5年間の戦略的投資では、成長の見込まれるLNG船・LPG船事業の拡大、海洋資源開発事業の拡充、アジア地域等でのターミナルを含む物流事業の取り込みや、当社の強みである中長期契約を核としたケープ船・電力炭船事業の拡大を計画し、総額1,200億円の投資を予定しています。また、ボラティリティへの耐性を高めた安定収益体制の拡充では、14,000TEU型大型コンテナ船10隻、7,500台積み大型自動車船10隻、省エネ型バルカーへの代替推進などによる高い競争力を持った船隊整備に1,700億円の投資を計画しています。
③ ステークホルダーとの対話と協働
当社グループは、ステークホルダーとの対話と協働による持続的成長と企業価値の向上を重要な経営方針として掲げており、以下の取組みを進めています。
◆ 企業の社会的責任(CSR)遂行によるステークホルダーとの協働
CSR基本方針として、「事業活動の影響に対する配慮」、「新たな価値の創出」を定め、特に安全運航・環境保全・人材育成に取り組む方針としています。CSR推進組織としては、社会・環境委員会とその下部組織として環境専門委員会・CSR専門委員会を設け、グループ全体の取組みを進めると共に、主体的な情報開示・発信を強化していくこととしています。
環境保全については、2015年3月に当社グループの2050年に向けた環境保全への長期指針「“K”LINE 環境ビジョン2050 『青い海を明日へつなぐ』」を定めました。これは、人々の豊かな暮らしを支える基幹産業としての責務を果たすために当社グループが目指すべき方向性を多角的な視点から特定したものです。
◆ コーポレート・ガバナンスの強化
新たに定めた企業理念・ビジョンへの取組みを確実にし、持続的成長と企業価値向上に向けて、グループ内統治体制整備を含む、コーポレートガバナンスの強化を進めてまいります。リスクマネジメントでは、危機管理委員会とその下部組織(コンプライアンス委員会・安全運航推進委員会・経営リスク委員会・災害対策委員会)がグループのリスク管理にあたり、重要な投資については、投資委員会がその審議にあたる体制としています。
◆ 安定配当方針による株主還元
中期経営計画「

コンプライアンスの徹底
当社は、公正取引委員会による立入検査を受けて以降、外部専門家の協力を得て、各種コンプライアンス強化策を策定・実施していますが、これらの強化策を今後もより一層推進することにより、再発の防止に努めてまいります。
(3) 株式会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容の概要
当社は、株主の皆さま、顧客、取引先、従業員、地域社会など当社を巡るステークホルダー(利害関係者)との共存・共栄をはかり、当社の企業価値・株主共同の利益の確保を目指す者が、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として望ましいと考えます。従いまして、この考え方に反する行動を取る者は望ましくないと考えています。
当社は、当社株式について大規模買付行為がなされる場合、これが企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。しかし、株式の大規模買付行為の中には、企業価値・株主共同の利益に資さないものも存在します。従いまして、そのような大規模買付行為を抑止するための枠組みが必要であると考えます。
② 基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
当社取締役会は、当社の企業価値・株主共同の利益を向上させるための取組みとして、下記(イ)「経営計画による企業価値向上への取組み」を実施しています。これらの取組みの実施を通じて、当社の企業価値・株主共同の利益を向上させ、それを当社の株式の価値に適正に反映させていくことにより、当社の企業価値・株主共同の利益を著しく毀損するおそれのある大規模買付行為は困難になるものと考えられ、これらの取組みは、基本方針に資するものであり、当社の企業価値・株主共同の利益に合致し、また、当社役員の地位の維持を目的とするものでもないと考えています。
(イ)経営計画による企業価値向上への取組み
当社は、平成24年4月に期間を3か年とした中期経営計画『“K”LINE Vision 100 -Bridge to the Future-』を策定し、「2012年度経常損益の黒字化」「安定収益体制の構築」「財務体質の強化」を最重要課題に挙げて取り組んでまいりました。平成27年3月期の最終年度にはこれらの重要課題をほぼ達成しました。平成27年3月には更なる企業価値向上を目指した企業理念とビジョンの見直しを行うとともに、平成31年の当社創立100周年に向けた新中期経営計画『

新中期経営計画では、以下の3つを重要テーマとして掲げています。
◆ 更なる財務体質の強化による「安定性」の確保
◆ 「安定性」を基盤とした「成長性」の強化
◆ ステークホルダーとの対話と協働(持続的成長と企業価値向上に向けて)
当社は株主の皆さまをはじめとするステークホルダーとの対話と協働により、上記に掲げた重要テーマの実現に向けてグループ一丸となって取り組んでまいります。
(ロ)コーポレート・ガバナンスに関する取組み
当社は、その社会的責任を果たし、株主等ステークホルダーの負託に応え、持続的に成長していくためにも、コーポレート・ガバナンス体制の強化とリスク・マネジメント体制の整備強化に取り組み、グループ全体に企業倫理を徹底しつつ、有機的かつ効率的にガバナンスの仕組みを構築し、収益・財務体質の強化と相まってコーポレート・ブランド価値を高めるよう、継続的に努力してまいります。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要
当社は、平成18年6月開催の定時株主総会において、当社株式の大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)を導入し、平成21年6月及び平成24年6月開催の定時株主総会において、その方針に所要の変更を加えたうえで更新しています。平成27年6月24日の定時株主総会(本定時株主総会)終結の時をもって有効期間の満了を迎える本方針の取扱いについて、買収防衛策を取りまく環境や国内外の機関投資家等の声も参考にしつつ、企業価値・株主共同の利益の確保・向上の観点から慎重に検討しました。その結果、本方針の更新時と比較すると経営環境の変化により本方針の当社における必要性が相対的に低下しているものと考えられることから、平成27年5月21日開催の取締役会において、有効期間が満了する本定時株主総会終結の時をもって本方針を更新しないことを決議いたしました。
当社は、今後とも企業価値・株主共同の利益の確保・向上に取り組んでまいります。同時に今後も、大規模買付行為を行おうとする者に対しては、大規模買付行為の是非を株主の皆さまが適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆さまの検討のための時間の確保に努める等、金融商品取引法、会社法その他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。