有価証券報告書-第21期(2025/04/01-2026/03/31)
1 経営成績等の状況の概要
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度において日本では、各国の通商政策や物価上昇等の影響により個人消費に一部足踏みがみられたものの、実質GDPが通年でプラス成長するなど、景気の緩やかな回復が続きました。
このような経営環境の中、当社グループでは、高速道路事業においては交通量及び料金収入が、道路休憩所事業においてはSA・PAの売上高が、いずれも5期連続で前連結会計年度を上回りました。交通量及びSA・PAの売上高は、過去最高となっています。
当連結会計年度の営業収益は1,284,583百万円(前期比9.6%増)、営業利益が570百万円(前期比82.1%減)、経常利益が5,923百万円(前期比13.8%減)となり、この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は6,631百万円(前期比13.7%増)となりました。
Ⅰ 高速道路事業
当連結会計年度末現在、当社が管理する高速道路の延長は計44道路3,943㎞であり、当連結会計年度における通行台数は305万台/日です。安全で快適な走行環境を確保するため、道路機能の向上、清掃や点検、道路の補修等の管理を適正かつ効率的に行っています。また、高速道路ネットワークの早期整備に向け、高速道路の新設及び改築に取り組んでおります。
(災害等への対応)
近年頻発している自然災害に的確に対応し、「命の道」として災害救助や被災地域の復旧・復興支援のために交通路を確保することは、当社グループの大きな使命です。
集中降雪に対しては、「人命を最優先に、幹線道路上での大規模な車両滞留を徹底的に回避すること」を基本的な考え方として、集中的な除雪による通行止めの早期解除を目指し、関係機関と連携した躊躇のない予防的通行止めを実施しております。当連結会計年度は、北海道、青森県、新潟県等で記録的な大雪もあり管内で計4回の予防的通行止めを実施し、大規模な車両滞留を回避しました。
予防的通行止めついては、令和7年3月に首都圏で大規模な範囲での予防的通行止めを実施した際、事前広報の効果に課題があったことを踏まえ、よりお客さまの行動変容につながる呼びかけを行いました。具体的には、テレビCM、ラジオCM、Web広告等を活用し、お客さまの理解促進に向けて積極的な広報を展開したほか、冬季レジャー利用者や物流関係者等を対象に重点的な情報発信を行うなど、効率的な情報提供に努めました。
令和7年4月に中日本高速道路㈱で発生した広域的なETCシステム障害を受けて、当社、中日本高速道路㈱、西日本高速道路㈱で再発防止策を策定するとともに、危機対応マニュアルを整備しました。当連結会計年度に発生したETCシステム障害が疑われる事象においては、当該マニュアルに基づき的確かつ迅速に対応することで、大規模渋滞によるお客さまへの影響を回避しました。
今後も引き続き、障害発生時には、マニュアルに基づいて体制を構築し、迅速な状況把握、原因の特定及び影響範囲の確認を行うことで、お客さまへの影響を最小限に留めるよう対応してまいります。
(道路構造物の老朽化・劣化への対応)
高速道路の老朽化対策は、安全・安心を次の世代へ引き継ぐためのものです。法令に基づき、道路構造物を5年に1回、近接目視等により点検し、その結果を基に、補修・補強等の必要な措置を適切に行っております。平成27年度からは、大規模更新・修繕事業(高速道路リニューアルプロジェクト)も実施しています。当連結会計年度においては、31橋の床版取替工事等を完了しました。これに加えて、令和6年1月に策定した「高速道路の更新計画」に基づくものについても、渋滞等の社会的影響の最小化を図りながら工事を進めてまいります。
このほか、道路構造物の劣化に多大な影響を与えるだけでなく、重大な交通事故を惹起するおそれのある車両制限令違反車両の排除にも取り組んでいます。車両重量自動計測装置の整備推進等、取締りを強化する方策を講じるとともに、当該違反車両に対する大口・多頻度割引停止措置を講じています。
(耐震補強対策)
令和6年1月に策定した「高速道路の耐震補強実施計画」に基づき、大規模地震発生確率が26%以上の地域における緊急輸送道路機能を確保するため、令和12年度末までの完了を目指し、橋脚の補強工事を進めています。なお、当連結会計年度末時点で、東日本管内の大規模地震発生確率が26%以上の地域における橋梁の約8割で耐震対策を完了しています。
(スマートメンテナンスハイウェイ)
高速道路の長期的な「安全・安心」の確保に向けた重点プロジェクトである「SMHプロジェクト」では、ICTやロボティクス、AI等、最新技術を活用し、当社グループ全体のインフラ管理力の効率化・高度化を図っています。当連結会計年度では、点検支援アプリの本格導入や各種SMHツールの改良に加え、ドローンを活用した高速道路上の状況把握の実現に向け、本線上(建設区間)の自動飛行(レベル3.5)の実証実験を行いました。
(交通混雑対策)
交通需要の偏在等による混雑の緩和を図るため、令和5年7月22日から東京湾アクアライン上り線(木更津→川崎方面)で、特定の時間帯の料金を変動させる社会実験を行っています。実験開始後の交通データを分析した結果、混雑緩和に一定の効果が確認されています。一方で、依然として一部の時間帯に交通が集中しているほか、実験開始直後と比較して交通分散効果の鈍化が見られます。このため、令和7年4月1日から、料金設定の見直しを行うとともに、下り線(川崎→木更津方面)でも実験を開始し、現在まで継続しています。
東京湾アクアライン以外においても、交通容量の拡大や分散利用の促進による混雑緩和、交通の定時性・安全性の向上に取り組んでいます。当連結会計年度においては、経路分散による渋滞緩和を図るべく、令和7年11月から株式会社NTTドコモと共同で新サービス「AIルートジャッジ」の実証実験を開始しました。今後も付加車線設置等のハード対策に加え、ペースメーカーライト等によるソフト対策を行うとともに、主要渋滞箇所における渋滞原因を把握し、更なる渋滞軽減に努めてまいります。
(交通事故対策)
高速道路での逆走による重大事故ゼロを目指し、統一的な逆走防止のハード対策及び安全啓発活動等のソフト対策を継続的に実施しておりますが、令和7年4月に東北自動車道で逆走による死亡事故が発生しています。このような重大事故発生箇所や、同一施設で複数回の逆走が発生している箇所、平面交差構造となっている箇所といった計65箇所を重点対策箇所として選定し、視覚的対策の強化とともに物理的対策の実施を進める実施計画を令和7年11月に策定しました。この実施計画に基づき、令和10年度までの完了に向けて対策を進めてまいります。また、企業等を対象に公募し、令和7年6月に選定された逆走検知や警告に係る19件の技術について、令和8年度末からの実用化を目指し、順次検証を進めてまいります。
対面通行区間における突破・正面衝突事故の防止対策では、土工部・中小橋部でのワイヤロープ設置に続き、トンネル・長大橋部でのセンターパイプ・センターブロックの試行設置及び検証を進めています。令和7年11月に新たに試行設置箇所として追加した計4路線11箇所を含め、引き続き対策としての有効性、適用性の検証を進めております。
(高速道路の料金サービス)
高速道路の利便性向上に資するETC時間帯割引及びETCマイレージサービス、地域の観光振興を目的としたETC周遊割引「ドラ割」の通年販売を継続しています。当連結会計年度においては、「ドラ割」について、新たにアウトレットモールの利用と組み合わせた商品の企画等、観光関連サービスとのセット販売を拡充しました。
また、観光需要の平日への分散の観点から、平日のみの「ドラ割」の利用に対してETCマイレージポイントを追加付与(販売価格の15%分)するキャンペーンを実施しています。
さらに、混雑を避けて快適に高速道路をご利用いただくことを目的として、通行する時間帯に応じてETCマイレージポイントを追加付与する新たな商品「ずらして冬トク!関越のんびりパス」を販売しました。
一方、渋滞の激化を避ける観点から、ゴールデンウィーク、お盆、シルバーウィーク、年末年始及び3連休については、休日割引を適用しないこととしています。
福島第一原子力発電所事故による警戒区域等からの避難者を対象とした無料措置(注1)及び同事故による母子避難者等を対象とした無料措置(注2)を継続しております。
(料金管理業務の高度化・効率化)
料金管理業務の高度化・効率化を図るため、ETC専用化、料金精算機の導入及び料金所の遠隔収受化に継続して取り組んでいます。当連結会計年度においては、東京外環自動車道、首都圏中央連絡自動車道等の11料金所をそれぞれETC専用料金所として運用開始しました。
(働き方改革・人材確保に向けた対応)
トラックドライバーの休息場所の確保のため、SA・PAにおける各種取組を推進しています。当連結会計年度においては、東北自動車道安積PA(下り線)及び首都圏中央連絡自動車道菖蒲PA(内・外回り)の計3箇所で既存の駐車エリアの配置見直しや駐車スペースの拡充を行い、新たに計57台分の大型車駐車マスを整備しました。また、東北自動車道のSA・PAを中心に短時間限定駐車マスを順次導入したほか、ダブル連結トラック駐車マス整備を進めました。
さらに前連結会計年度の北関東自動車道桜川筑西ICに続き、当連結会計年度においては、常磐自動車道浪江ICにおいても、IC内側の管理用敷地を臨時駐車場とする実証実験を開始しました。
建設業においても、国内の生産年齢人口の減少により担い手不足が進む中、遠隔立会の導入や、週休2日を踏まえた適正な工期の設定等を内容とする、業務効率化・簡素化のルール「工事円滑化ガイドライン」の浸透に努めています。当連結会計年度においては、工事目的物の出来形管理を簡略化・効率化するために見直した出来形調書の様式を導入しました。
作業員の確保が課題となっている除雪作業について、準天頂衛星を活用したロータリ除雪車自動化を進めています。当連結会計年度においては、車両を1台増車するとともに運用区間を拡大し、計3台を道央自動車道岩見沢IC~深川ICの一部区間で運用しました。
(次世代高速道路の目指す姿)
当社が目指す高度なモビリティサービスを掲げた「自動運転社会の実現を加速させる次世代高速道路の目指す姿(構想)」の実現に向け、31項目の重点プロジェクトを推進しています。
当該連結会計年度においては、令和8年度下半期からの東北自動車道鹿沼IC~宇都宮IC間での次世代高速道路の実証実験に向けて、可視光・遠赤外線カメラにより高速道路上の事故や落下物等の情報をリアルタイムに収集する多機能ポールの設置を行っています。
加えて、東北自動車道佐野SA~大谷PA間における自動運転トラック等の実証実験と連携し、多機能ポールで収集・処理した先読み情報をETC2.0から自動運転トラック等に提供することで、先読み情報の有効性を検証します。
走行中給電のプロジェクトでは、実験車両を開発し、東京湾アクアライン管理事務所の敷地内で、ETCシステムを活用した停止中のEV車へのワイヤレス給電実験を行いました。
(ネットワーク整備・機能強化)
道路建設事業においては、新設では計5道路85㎞の区間で、4車線化等では計11道路220㎞の区間で、着実に事業を進めております。当連結会計年度においては、首都圏中央連絡自動車道(つくば牛久IC~牛久阿見IC、阿見東IC~稲敷IC、つくば中央IC~つくばJCT)の16㎞及び道東自動車道(トマムIC~十勝清水IC間の一部区間)の4kmが4車線になりました。
スマートIC事業においては、令和7年12月5日に、東北自動車道大玉スマートICの整備について国土交通大臣から許可を受け、計24箇所で事業を実施しています。
(東京外かく環状道路の建設)
東京外かく環状道路(関越~東名)では、国のシールドトンネル施工技術検討会がまとめた「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン」を踏まえた再発防止対策が機能していることを確認しつつ、大泉JCT本線トンネル(南行)工事及び中央JCT Bランプシールドトンネル工事(中央自動車道及び東八道路IC(仮称)から東京外環自動車道南行きへのオンランプ工事)において掘進を行っております。令和7年3月には、東名JCT Hランプシールドトンネル工事(東京外環自動車道南行きから東名高速道路へのオフランプ工事)において掘進を完了しました。また、東名JCT地中拡幅工事(東京外環自動車道南行きと東京外環自動車道南行きから東名高速道路へのオフランプを接続させる工事)を進めております。引き続き、施工状況や周辺環境をモニタリングしながら細心の注意を払って進めてまいります。地表面陥没・空洞事故については、地盤の補修を行うため、対象範囲の家屋等の仮移転又は事業者による土地・家屋等の買取等のご相談をさせていただいております。令和5年8月からは仮移転等が完了した箇所の地盤補修を進めております。引き続き、住民の皆さまのご意見を伺いながら、工事中の振動・騒音の軽減に努めるとともに、安全に細心の注意を払い、責任を持って実施してまいります。
当連結会計年度の高速道路事業における営業収益は1,198,483百万円(前期比9.1%増)、営業費用は1,202,554百万円(同9.3%増)となりました。以上の結果、営業損失は4,070百万円(前期は営業損失1,536百万円)となりました。
(注)1.福島第一原子力発電所事故により国として避難を指示又は勧奨している区域等から避難されている方を対象とした生活再建に向けた一時帰宅等の移動の支援を目的として実施している無料措置をいいます。この無料措置は特定のICを入口又は出口とする走行(令和5年11月1日以降は、被災時に一部の地域に住所を有していた方について、当該走行のうち事前に申請する区間の走行)に対して適用(対象車種は中型車以下。令和7年9月1日から、中型車のうちトラックタイプの車両を無料措置対象から除外)され、令和9年3月31日までの予定で継続されております。
2.福島第一原子力発電所事故により警戒区域等を除く福島県浜通り・中通り等の対象地域から避難して二重生活を強いられている母子等及び対象地域内に残る父親等を対象とした生活支援を目的として実施している無料措置をいいます。この無料措置は母子等避難先の最寄りICと父親等居住地の最寄りIC間の走行に対して適用(対象車種は中型車以下)され、令和9年3月31日までの予定で継続されております。
Ⅱ 受託事業
受託事業につきましては、高速道路会社法第5条第4項の規定に従い、国、地方公共団体等の委託に基づく道路の新設、改築、維持、修繕等で、経済性、効率性等から当社が行う事業と一体として実施することが適当と認められる工事等を推進してまいりました。
当連結会計年度の受託事業における営業収益は48,672百万円(前期比32.0%増)、営業費用は48,037百万円(同30.6%増)となりました。以上の結果、営業利益は634百万円(同826.1%増、なお前期は営業利益68百万円)となりました。
Ⅲ 道路休憩所事業
道路休憩所事業は、当社が管理する330箇所(うち、当社の商業施設があるのは191箇所)のSA・PAを、より魅力ある空間として楽しんでいただけるようにするため、グループ一体となって業務執行の効率性を追求しながら、お客さまにご満足いただけるエリアづくりに努めております。また、令和6年6月に実施したサービスエリア事業部門の再編以降、グループ会社間の連携強化、意思決定の迅速化等により、収益力の強化も図っております。
(商業施設の運営)
令和7年6月30日には、東北自動車道矢巾PA(下り線)にコンビニエンスストア「ファミリーマート」をオープンしました。12時間営業から24時間営業への移行や、岩手県企業と連携したプライベートブランド(以下「PB」といいます。)商品「酒米スナック」の販売など、サービスの充実を図りました。
令和8年1月31日には、首都圏中央連絡自動車道坂東PA(外回り)をオープンしました。新たな休憩施設の整備にあわせて商業施設を設置することで、お客さまの安全性及び利便性の向上に寄与しました。
令和8年3月17日には、東北自動車道佐野SA(上り線)をドラマチックエリアとしてリニューアルオープンしました。上下線を行き来しながら、思い思いの時間を楽しめる「佐野パークSA」の完成に加え、地域の食や特産品を提供するなど商業施設の充実を図りました。これらの商業施設の新設やリニューアルを通じて、お客さまサービスの向上及び地域の魅力発信に取り組んでいます。
また、将来的な担い手不足への対応とサービス水準の維持を目的として、省人化に向けた取組も進めています。令和7年4月11日に実施した常磐自動車道日立中央PA(上り線)における無人決済エリアの導入に続き、令和8年3月24日には、道央自動車道輪厚PA(下り線)に無人販売店舗「輪厚GO」をオープンしました。有人エリアと無人エリアを組み合わせ、さらなる利便性と省人化を両立する店舗を目指します。
このほか、高速道路をより楽しんでいただけるよう「ENJOY!よりみち」をテーマとした、地域や季節に応じたプロモーションを展開しております。具体的には、夏休み限定の企画として「たまごっちハイウェイスタンプラリー」を開催したほか、7月には岩手県や埼玉県の企業と連携し、アルコールフリーのPB商品「和みのゼロ」を販売しました。今後も、各種販促施策を通じた収益力の向上に取り組んでまいります。
(EV急速充電器の整備)
SA・PAにおける充電インフラとして、EV急速充電器の高出力化・複数口化を推進しています。当連結会計年度においては、当社管内のSA・PAに急速充電器を44口増設し、計325口の整備が完了しました。
当連結会計年度の道路休憩所事業における営業収益は35,851百万円(前期比1.6%増)、営業費用は32,096百万円(同3.6%増)となりました。以上の結果、営業利益は3,755百万円(同12.4%減)となりました。
Ⅳ その他
その他、再生可能エネルギー事業(仙台泉太陽光発電所)、カード事業、日比谷駐車場事業、仙台南及び郡山トラックターミナルにおけるトラックターミナル事業、高速道路の高架下における占用施設活用事業、旅行事業等を行っております。
新規事業開発では、オープンイノベーションによる高速道路の新サービスの実現、地域の活性化や社会課題の解決に資する事業の創出を目的とした「ドラぷらイノベーションラボ」において、企業と実証実験等に取り組んでいます。当連結会計年度においては、新たに5件のプログラムを採択しており、前連結会計年度までに採択したプログラムも含め、採択企業と順次実証実験を行っております。
海外事業では、インド現地法人(E-NEXCO INDIA PRIVATE LIMITED)が、ひび割れ、わだち掘れ等を的確に把握できる路面性状測定車「E-NEXCO Eye」を導入し、路面調査業務を実施しております。さらに、国内の高速道路事業で蓄積された技術とノウハウを活用し、インドやバングラデシュ等において道路の運営・維持管理に関するコンサルティング事業を行っております。
当連結会計年度のその他の事業における営業収益は3,039百万円(前期比8.1%減)、営業費用は2,799百万円(同4.6%減)となりました。以上の結果、営業利益は239百万円(同35.7%減)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、2,458,458百万円(前期比13.9%増)、負債は、2,167,242百万円(同15.1%増)、純資産は、291,215百万円(同5.4%増)となりました。自己資本比率は、11.8%(同1.0ポイント低下)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
減価償却費40,171百万円、税金等調整前当期純利益5,301百万円、売上債権の減少額9,825百万円、支払利息関連で1,956百万円等の資金増加要因があった一方、建設工事未払等の減少等による仕入債務の減少額2,221百万円、首都圏中央連絡自動車道等の工事進捗等の仕掛道路資産の増加等による棚卸資産の増加額175,163百万円、未払又は未収消費税等の減少額6,177百万円等の資金減少要因があったことから、営業活動によるキャッシュ・フローは153,468百万円の資金支出(前期比123,061百万円減)となりました。
なお、上記棚卸資産の増加額のうち175,237百万円は、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の増加によるものです。かかる資産は、連結貸借対照表上は「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上され、その建設には財務活動の結果得られた資金を充てております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
料金収受機械、ETC装置等の設備投資による固定資産の取得による支出60,377百万円等があったことから、投資活動によるキャッシュ・フローは61,009百万円の資金支出(前期比13,086百万円増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
首都圏中央連絡自動車道等の機構への道路資産の帰属による債務引受等により、短期借入金の返済による支出939百万円、長期借入金の返済による支出55,447百万円及び道路建設関係社債償還による支出340,000百万円があった一方、道路建設事業費として道路建設関係社債の発行による収入513,876百万円及び長期借入れによる収入176,659百万円があったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは293,548百万円の資金収入(前期比46,180百万円増)となりました。
なお、上記支出金額の合計額のうち機構法第15条第1項による債務引受額は391,387百万円です。
以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、180,410百万円(前期比79,073百万円の増)となりました。
(参考情報)
提出会社の当事業年度(自 令和7年4月1日 至 令和8年3月31日)における、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)(以下「高速道路事業等会計規則」といいます。)第6条の規定により作成した「高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表」は、以下のとおりです。
(3) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、前記「(1) 財政状態及び経営成績の状況」においてセグメント別の業績に関連付けて記載しております。
2 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所感等の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性が内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意ください。
(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等の状況に重要な影響を与える要因について
① 高速道路事業の特性について
高速道路事業においては、高速道路会社法第6条第1項及び機構法第13条第1項の規定により機構と平成18年3月31日付けで締結した「高速自動車国道北海道縦貫自動車道函館名寄線等に関する協定」(以下「協定」といいます。)並びに特措法第3条第1項の規定による同日付けの事業許可に基づき、機構から道路資産を借り受けたうえ、道路利用者より料金を収受、かかる料金収入を機構への道路資産賃借料及び当社が負担する管理費用の支払いに充てております。
かかる協定及び事業許可においては、高速道路の公共性に鑑み当社の収受する料金には当社の利潤を含めないことが前提とされております。なお、各会計年度においては、料金収入や管理費用等の実績と当初計画との乖離等により利益又は損失が生じる場合があり、かかる利益は、高速道路事業における将来の経済情勢の変動や自然災害等のリスクに備え、積み立てることとしております。
また、高速道路事業においては、冬期における交通確保のための雪氷対策や維持修繕関係の工事が下半期に完成することが多いこと等から、上半期よりも下半期に費用がより多く計上される傾向にあります。他方、夏期の好天や長期休暇が多いこと等に伴い、料金収入は上半期のほうがより多い傾向にあります。
② 機構による債務引受け等について
既述のとおり、当社は、特措法に基づき行う高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧を事業の一つとしており、また、当社が行うべき新設、改築、修繕又は災害復旧の対象となる高速道路は、協定の定めによるところですが、機構は、機構法第15条第1項に従い、当社が新設、改築、修繕又は災害復旧を行った高速道路に係る道路資産が特措法第51条第2項ないし第4項の規定により機構に帰属する時において、機構法第14条第1項の認可を受けた業務実施計画に定められた機構が当社から引き受ける新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に係る債務の限度額の範囲内で、当該高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に充てるために当社が負担した債務を引き受けることとされております。
特措法第51条第2項ないし第4項の規定により道路資産が機構に帰属する場合、損益計算書においては当該資産及びそれに見合う債務に相当する額が、営業収益及び営業費用に同額計上されます。そのため、当会計年度中の当該資産及びそれに見合う債務の多寡に応じて、営業収益及び営業費用の額が同額で変動いたします。
当社と機構は、四半期分の債務引受けにつき借入金債務及び債券債務を原則として弁済期日が到来する順に当該四半期の翌四半期の最初の月の中旬までに一括して選定すること、債務引受けは併存的債務引受けの方法によること等、債務引受けの実際の運用について確認しております。なお、高速道路の更新事業にかかる財政融資資金借入債務の引渡しについては、特例として利息据置期限を弁済期日とみなして取り扱います。
なお、高速道路に係る道路資産が機構に帰属し、当該資産に対応する債務が機構に引き受けられた際には、かかる資産及び債務は当社の連結財務諸表ないし財務諸表に計上されないこととなりますが、当該債務(財政融資資金借入金債務を除く)について、当社は引き続き機構と連帯してその弁済の責めを負うこととされており、かかる債務の履行に関する主たる取扱いは機構が行うこととなります。
また、道路公団の民営化に伴い当社、機構、中日本高速道路㈱及び西日本高速道路㈱が承継した道路公団の債務の一部について、当社と、機構、中日本高速道路㈱及び西日本高速道路㈱との間に、連帯債務関係が生じております(民営化関係法施行法第16条)。
(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。かかる連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産、負債及び会計期間における収益、費用の金額並びに開示に影響を与える事項についての見積りを行う必要があります。当該見積りについては、過去の実績や現在の状況に応じ、考えられる様々な要因に基づき合理的に判断を行い、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の会計方針が、当社グループの連結財務諸表においては重要であると考えております。
① 仕掛道路資産
高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧の結果生じた資産は、当社グループの連結財務諸表において「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上されますが、かかる資産の取得原価は、建設価額に用地取得に係る費用その他の附帯費用を加算した価額に労務費、人件費のうち道路建設に要した費用として区分された費用の額及び除却工事費用等資産の取得に要した費用の額を加えた額となります。なお、仕掛道路資産の建設に充当した借入資金の利息で、当該資産の工事完了の日までに発生したものは上記建設価額に算入しております。
なお、上記「(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等の状況に重要な影響を与える要因について ② 機構による債務引受け等について」に記載のとおり、かかる資産は、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき道路資産として機構に帰属すると同時に、協定に基づき当社が機構から借り受けることとなりますが、かかる借受けについてはオペレーティング・リースとして処理し、借受けに係る資産及び負債は当社グループの連結財務諸表には計上されないこととなります。
② 重要な収益及び費用の計上基準
(高速道路事業)
料金収入は、顧客が当社の管理する道路を通行した時点で収益を認識しております。なお、ETCマイレージサービス制度に係る将来の無料走行に使用できるポイント等を付与した場合、当該ポイント等にて追加のサービスを顧客に提供したものとして、将来、当該サービスが顧客に移転した時に履行義務を充足するものとして収益を認識しております。道路資産完成高は、高速道路事業等会計規則に基づき、仕掛道路資産を機構に引き渡した時点で収益を認識しております。
(受託事業)
主として、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しております。発生した原価が履行義務の充足における進捗度に比例すると判断しているため、見積総原価に対する実際原価の割合(インプット法)に基づき、進捗度を測定しております。ただし、契約における取引開始日から履行義務の全部を充足すると見込まれる時点までの期間が短い等、重要性が乏しい場合は、引き渡し時点において履行義務が充足されたものとして収益を認識しております。
(道路休憩所事業)
道路休憩所事業収入は、主に高速道路のSA・PA等における商業施設及び敷地を賃貸しており、通常の賃貸借取引に係る方法により収益を認識しております。
③ 退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び期待運用収益率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響する可能性があります。
(3) 財政状態及び経営成績の分析
① 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ300,724百万円増加し、2,458,458百万円となりました。仕掛道路資産が増加したことが主な要因です。
負債は、前連結会計年度末に比べ285,764百万円増加し、2,167,242百万円となりました。道路建設関係社債及び道路建設関係長期借入金が増加したことが主な要因です。
純資産は、前連結会計年度末に比べ14,959百万円増加し、291,215百万円となりました。利益剰余金の増加が主な要因です。
自己資本比率は、前連結会計年度に比べ1.0ポイント低下し、11.8%となりました。
② 経営成績の分析
(ア) 営業収益
当連結会計年度における営業収益は、合計で1,284,583百万円(前期比9.6%増)となりました。高速道路事業については、景気の緩やかな回復が続いたこと等から、交通量が前年度に引き続き増加し、料金収入に料金引下げ措置等に対する減収補てんを加えた額は、855,662百万円(同2.1%増)となり、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき機構に帰属した道路資産の額が341,771百万円(同31.9%増)となったこと等により1,198,483百万円(同9.1%増)となりました。受託事業については、国及び地方公共団体等の委託に基づく工事が増加したこと等により48,672百万円(同32.0%増)、道路休憩所事業については、交通量の増加等による店舗売上高の増加により35,851百万円(同1.6%増)、その他の事業については、3,039百万円(同8.1%減)となりました。
(イ) 営業利益
当連結会計年度における営業費用は、合計で1,284,013百万円(前期比9.8%増)となりました。高速道路事業については、協定に基づく機構への道路資産賃借料が597,862百万円(同2.6%増)となる一方で、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき機構に帰属した道路資産の額の増加等により道路資産完成原価が342,033百万円(同32.0%増)になったこと等により1,202,554百万円(同9.3%増)となりました。受託事業については、国及び地方公共団体等の委託に基づく工事が増加したこと等により48,037百万円(同30.6%増)、道路休憩所事業については、休憩所事業を行う子会社の売上原価・販管費の増等により32,096百万円(同3.6%増)、その他の事業については、2,799百万円(同4.6%減)となりました。
以上により、当連結会計年度における営業利益は合計で570百万円(前期比82.1%減)となりました。その内訳は、高速道路事業が営業損失4,070百万円(前期は営業損失1,536百万円)、受託事業が営業利益634百万円(同826.1%増、なお前期は営業利益68百万円)、道路休憩所事業が営業利益3,755百万円(同12.4%減)、その他の事業が営業利益239百万円(同35.7%減)です。
(ウ) 営業外損益
当連結会計年度の営業外収益は、持分法による投資利益1,078百万円、土地物件貸付料658百万円等の計上により5,540百万円(前期比42.5%増)、営業外費用は控除対象外消費税75百万円等の計上により187百万円(同7.0%減)となりました。
(エ) 経常利益
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は5,923百万円(前期比13.8%減)となりました。
(オ) 特別損益
特別利益は、固定資産売却益58百万円等の計上により97百万円(前期比3.3%減)となりました。
特別損失は、固定資産除却損426百万円等の計上により720百万円(同192.8%増)となりました。
(カ) 親会社株主に帰属する当期純利益
法人税等を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は6,631百万円(前期比13.7%増)となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性について
① 資本の財源
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況及び分析については、前記「1 経営成績等の状況の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、必要とする資金の調達は、料金の収受等の営業活動のほか、道路建設関係社債の発行及び金融機関等からの借入れを通じて実施いたします。
② 資金需要の主な内容
機構との協定に基づき、お客さまからいただく高速道路料金収入から、機構が保有する債務の返済に充てる道路資産賃借料の支払い及び高速道路の維持管理を行います。
また、道路建設関係社債の発行及び金融機関等からの借入れにより、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる道路資産にかかる投資を行います。
(上記のうち投資事業にかかる資産及び設備の概要については後記「第3 設備の状況」に記載しております。)
③ 資金調達について
前記②のとおり、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる道路資産に係る投資については、道路建設関係社債の発行及び金融機関等からの借入れにより賄っています。
資金の調達においては低利かつ安定的な調達を目指し、社債の発行及び金融機関借入金による調達バランスの最適化を図っております。
また、令和元年6月以降、ソーシャル・ファイナンスによって調達した資金を道路資産に係る投資に充当してまいりました。令和6年6月には、既存のソーシャル・ファイナンスフレームワークに4車線化事業のうち大雪による車両の立ち往生や大雨によるのり面崩落発生時の道路ネットワーク代替性確保という気候変動への適応に資する事業を加えたサステナビリティ・ファイナンスフレームワークを策定し、第三者評価機関から国際資本市場協会(ICMA:International Capital Market Association)が定めるサステナビリティボンド・ガイドライン等に適合しているとのセカンドオピニオンを取得しました。当フレームワークに基づき、令和6年7月に当社初のサステナビリティボンドを発行しました。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度において日本では、各国の通商政策や物価上昇等の影響により個人消費に一部足踏みがみられたものの、実質GDPが通年でプラス成長するなど、景気の緩やかな回復が続きました。
このような経営環境の中、当社グループでは、高速道路事業においては交通量及び料金収入が、道路休憩所事業においてはSA・PAの売上高が、いずれも5期連続で前連結会計年度を上回りました。交通量及びSA・PAの売上高は、過去最高となっています。
当連結会計年度の営業収益は1,284,583百万円(前期比9.6%増)、営業利益が570百万円(前期比82.1%減)、経常利益が5,923百万円(前期比13.8%減)となり、この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は6,631百万円(前期比13.7%増)となりました。
Ⅰ 高速道路事業
当連結会計年度末現在、当社が管理する高速道路の延長は計44道路3,943㎞であり、当連結会計年度における通行台数は305万台/日です。安全で快適な走行環境を確保するため、道路機能の向上、清掃や点検、道路の補修等の管理を適正かつ効率的に行っています。また、高速道路ネットワークの早期整備に向け、高速道路の新設及び改築に取り組んでおります。
(災害等への対応)
近年頻発している自然災害に的確に対応し、「命の道」として災害救助や被災地域の復旧・復興支援のために交通路を確保することは、当社グループの大きな使命です。
集中降雪に対しては、「人命を最優先に、幹線道路上での大規模な車両滞留を徹底的に回避すること」を基本的な考え方として、集中的な除雪による通行止めの早期解除を目指し、関係機関と連携した躊躇のない予防的通行止めを実施しております。当連結会計年度は、北海道、青森県、新潟県等で記録的な大雪もあり管内で計4回の予防的通行止めを実施し、大規模な車両滞留を回避しました。
予防的通行止めついては、令和7年3月に首都圏で大規模な範囲での予防的通行止めを実施した際、事前広報の効果に課題があったことを踏まえ、よりお客さまの行動変容につながる呼びかけを行いました。具体的には、テレビCM、ラジオCM、Web広告等を活用し、お客さまの理解促進に向けて積極的な広報を展開したほか、冬季レジャー利用者や物流関係者等を対象に重点的な情報発信を行うなど、効率的な情報提供に努めました。
令和7年4月に中日本高速道路㈱で発生した広域的なETCシステム障害を受けて、当社、中日本高速道路㈱、西日本高速道路㈱で再発防止策を策定するとともに、危機対応マニュアルを整備しました。当連結会計年度に発生したETCシステム障害が疑われる事象においては、当該マニュアルに基づき的確かつ迅速に対応することで、大規模渋滞によるお客さまへの影響を回避しました。
今後も引き続き、障害発生時には、マニュアルに基づいて体制を構築し、迅速な状況把握、原因の特定及び影響範囲の確認を行うことで、お客さまへの影響を最小限に留めるよう対応してまいります。
(道路構造物の老朽化・劣化への対応)
高速道路の老朽化対策は、安全・安心を次の世代へ引き継ぐためのものです。法令に基づき、道路構造物を5年に1回、近接目視等により点検し、その結果を基に、補修・補強等の必要な措置を適切に行っております。平成27年度からは、大規模更新・修繕事業(高速道路リニューアルプロジェクト)も実施しています。当連結会計年度においては、31橋の床版取替工事等を完了しました。これに加えて、令和6年1月に策定した「高速道路の更新計画」に基づくものについても、渋滞等の社会的影響の最小化を図りながら工事を進めてまいります。
このほか、道路構造物の劣化に多大な影響を与えるだけでなく、重大な交通事故を惹起するおそれのある車両制限令違反車両の排除にも取り組んでいます。車両重量自動計測装置の整備推進等、取締りを強化する方策を講じるとともに、当該違反車両に対する大口・多頻度割引停止措置を講じています。
(耐震補強対策)
令和6年1月に策定した「高速道路の耐震補強実施計画」に基づき、大規模地震発生確率が26%以上の地域における緊急輸送道路機能を確保するため、令和12年度末までの完了を目指し、橋脚の補強工事を進めています。なお、当連結会計年度末時点で、東日本管内の大規模地震発生確率が26%以上の地域における橋梁の約8割で耐震対策を完了しています。
(スマートメンテナンスハイウェイ)
高速道路の長期的な「安全・安心」の確保に向けた重点プロジェクトである「SMHプロジェクト」では、ICTやロボティクス、AI等、最新技術を活用し、当社グループ全体のインフラ管理力の効率化・高度化を図っています。当連結会計年度では、点検支援アプリの本格導入や各種SMHツールの改良に加え、ドローンを活用した高速道路上の状況把握の実現に向け、本線上(建設区間)の自動飛行(レベル3.5)の実証実験を行いました。
(交通混雑対策)
交通需要の偏在等による混雑の緩和を図るため、令和5年7月22日から東京湾アクアライン上り線(木更津→川崎方面)で、特定の時間帯の料金を変動させる社会実験を行っています。実験開始後の交通データを分析した結果、混雑緩和に一定の効果が確認されています。一方で、依然として一部の時間帯に交通が集中しているほか、実験開始直後と比較して交通分散効果の鈍化が見られます。このため、令和7年4月1日から、料金設定の見直しを行うとともに、下り線(川崎→木更津方面)でも実験を開始し、現在まで継続しています。
東京湾アクアライン以外においても、交通容量の拡大や分散利用の促進による混雑緩和、交通の定時性・安全性の向上に取り組んでいます。当連結会計年度においては、経路分散による渋滞緩和を図るべく、令和7年11月から株式会社NTTドコモと共同で新サービス「AIルートジャッジ」の実証実験を開始しました。今後も付加車線設置等のハード対策に加え、ペースメーカーライト等によるソフト対策を行うとともに、主要渋滞箇所における渋滞原因を把握し、更なる渋滞軽減に努めてまいります。
(交通事故対策)
高速道路での逆走による重大事故ゼロを目指し、統一的な逆走防止のハード対策及び安全啓発活動等のソフト対策を継続的に実施しておりますが、令和7年4月に東北自動車道で逆走による死亡事故が発生しています。このような重大事故発生箇所や、同一施設で複数回の逆走が発生している箇所、平面交差構造となっている箇所といった計65箇所を重点対策箇所として選定し、視覚的対策の強化とともに物理的対策の実施を進める実施計画を令和7年11月に策定しました。この実施計画に基づき、令和10年度までの完了に向けて対策を進めてまいります。また、企業等を対象に公募し、令和7年6月に選定された逆走検知や警告に係る19件の技術について、令和8年度末からの実用化を目指し、順次検証を進めてまいります。
対面通行区間における突破・正面衝突事故の防止対策では、土工部・中小橋部でのワイヤロープ設置に続き、トンネル・長大橋部でのセンターパイプ・センターブロックの試行設置及び検証を進めています。令和7年11月に新たに試行設置箇所として追加した計4路線11箇所を含め、引き続き対策としての有効性、適用性の検証を進めております。
(高速道路の料金サービス)
高速道路の利便性向上に資するETC時間帯割引及びETCマイレージサービス、地域の観光振興を目的としたETC周遊割引「ドラ割」の通年販売を継続しています。当連結会計年度においては、「ドラ割」について、新たにアウトレットモールの利用と組み合わせた商品の企画等、観光関連サービスとのセット販売を拡充しました。
また、観光需要の平日への分散の観点から、平日のみの「ドラ割」の利用に対してETCマイレージポイントを追加付与(販売価格の15%分)するキャンペーンを実施しています。
さらに、混雑を避けて快適に高速道路をご利用いただくことを目的として、通行する時間帯に応じてETCマイレージポイントを追加付与する新たな商品「ずらして冬トク!関越のんびりパス」を販売しました。
一方、渋滞の激化を避ける観点から、ゴールデンウィーク、お盆、シルバーウィーク、年末年始及び3連休については、休日割引を適用しないこととしています。
福島第一原子力発電所事故による警戒区域等からの避難者を対象とした無料措置(注1)及び同事故による母子避難者等を対象とした無料措置(注2)を継続しております。
(料金管理業務の高度化・効率化)
料金管理業務の高度化・効率化を図るため、ETC専用化、料金精算機の導入及び料金所の遠隔収受化に継続して取り組んでいます。当連結会計年度においては、東京外環自動車道、首都圏中央連絡自動車道等の11料金所をそれぞれETC専用料金所として運用開始しました。
(働き方改革・人材確保に向けた対応)
トラックドライバーの休息場所の確保のため、SA・PAにおける各種取組を推進しています。当連結会計年度においては、東北自動車道安積PA(下り線)及び首都圏中央連絡自動車道菖蒲PA(内・外回り)の計3箇所で既存の駐車エリアの配置見直しや駐車スペースの拡充を行い、新たに計57台分の大型車駐車マスを整備しました。また、東北自動車道のSA・PAを中心に短時間限定駐車マスを順次導入したほか、ダブル連結トラック駐車マス整備を進めました。
さらに前連結会計年度の北関東自動車道桜川筑西ICに続き、当連結会計年度においては、常磐自動車道浪江ICにおいても、IC内側の管理用敷地を臨時駐車場とする実証実験を開始しました。
建設業においても、国内の生産年齢人口の減少により担い手不足が進む中、遠隔立会の導入や、週休2日を踏まえた適正な工期の設定等を内容とする、業務効率化・簡素化のルール「工事円滑化ガイドライン」の浸透に努めています。当連結会計年度においては、工事目的物の出来形管理を簡略化・効率化するために見直した出来形調書の様式を導入しました。
作業員の確保が課題となっている除雪作業について、準天頂衛星を活用したロータリ除雪車自動化を進めています。当連結会計年度においては、車両を1台増車するとともに運用区間を拡大し、計3台を道央自動車道岩見沢IC~深川ICの一部区間で運用しました。
(次世代高速道路の目指す姿)
当社が目指す高度なモビリティサービスを掲げた「自動運転社会の実現を加速させる次世代高速道路の目指す姿(構想)」の実現に向け、31項目の重点プロジェクトを推進しています。
当該連結会計年度においては、令和8年度下半期からの東北自動車道鹿沼IC~宇都宮IC間での次世代高速道路の実証実験に向けて、可視光・遠赤外線カメラにより高速道路上の事故や落下物等の情報をリアルタイムに収集する多機能ポールの設置を行っています。
加えて、東北自動車道佐野SA~大谷PA間における自動運転トラック等の実証実験と連携し、多機能ポールで収集・処理した先読み情報をETC2.0から自動運転トラック等に提供することで、先読み情報の有効性を検証します。
走行中給電のプロジェクトでは、実験車両を開発し、東京湾アクアライン管理事務所の敷地内で、ETCシステムを活用した停止中のEV車へのワイヤレス給電実験を行いました。
(ネットワーク整備・機能強化)
道路建設事業においては、新設では計5道路85㎞の区間で、4車線化等では計11道路220㎞の区間で、着実に事業を進めております。当連結会計年度においては、首都圏中央連絡自動車道(つくば牛久IC~牛久阿見IC、阿見東IC~稲敷IC、つくば中央IC~つくばJCT)の16㎞及び道東自動車道(トマムIC~十勝清水IC間の一部区間)の4kmが4車線になりました。
スマートIC事業においては、令和7年12月5日に、東北自動車道大玉スマートICの整備について国土交通大臣から許可を受け、計24箇所で事業を実施しています。
(東京外かく環状道路の建設)
東京外かく環状道路(関越~東名)では、国のシールドトンネル施工技術検討会がまとめた「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン」を踏まえた再発防止対策が機能していることを確認しつつ、大泉JCT本線トンネル(南行)工事及び中央JCT Bランプシールドトンネル工事(中央自動車道及び東八道路IC(仮称)から東京外環自動車道南行きへのオンランプ工事)において掘進を行っております。令和7年3月には、東名JCT Hランプシールドトンネル工事(東京外環自動車道南行きから東名高速道路へのオフランプ工事)において掘進を完了しました。また、東名JCT地中拡幅工事(東京外環自動車道南行きと東京外環自動車道南行きから東名高速道路へのオフランプを接続させる工事)を進めております。引き続き、施工状況や周辺環境をモニタリングしながら細心の注意を払って進めてまいります。地表面陥没・空洞事故については、地盤の補修を行うため、対象範囲の家屋等の仮移転又は事業者による土地・家屋等の買取等のご相談をさせていただいております。令和5年8月からは仮移転等が完了した箇所の地盤補修を進めております。引き続き、住民の皆さまのご意見を伺いながら、工事中の振動・騒音の軽減に努めるとともに、安全に細心の注意を払い、責任を持って実施してまいります。
当連結会計年度の高速道路事業における営業収益は1,198,483百万円(前期比9.1%増)、営業費用は1,202,554百万円(同9.3%増)となりました。以上の結果、営業損失は4,070百万円(前期は営業損失1,536百万円)となりました。
(注)1.福島第一原子力発電所事故により国として避難を指示又は勧奨している区域等から避難されている方を対象とした生活再建に向けた一時帰宅等の移動の支援を目的として実施している無料措置をいいます。この無料措置は特定のICを入口又は出口とする走行(令和5年11月1日以降は、被災時に一部の地域に住所を有していた方について、当該走行のうち事前に申請する区間の走行)に対して適用(対象車種は中型車以下。令和7年9月1日から、中型車のうちトラックタイプの車両を無料措置対象から除外)され、令和9年3月31日までの予定で継続されております。
2.福島第一原子力発電所事故により警戒区域等を除く福島県浜通り・中通り等の対象地域から避難して二重生活を強いられている母子等及び対象地域内に残る父親等を対象とした生活支援を目的として実施している無料措置をいいます。この無料措置は母子等避難先の最寄りICと父親等居住地の最寄りIC間の走行に対して適用(対象車種は中型車以下)され、令和9年3月31日までの予定で継続されております。
Ⅱ 受託事業
受託事業につきましては、高速道路会社法第5条第4項の規定に従い、国、地方公共団体等の委託に基づく道路の新設、改築、維持、修繕等で、経済性、効率性等から当社が行う事業と一体として実施することが適当と認められる工事等を推進してまいりました。
当連結会計年度の受託事業における営業収益は48,672百万円(前期比32.0%増)、営業費用は48,037百万円(同30.6%増)となりました。以上の結果、営業利益は634百万円(同826.1%増、なお前期は営業利益68百万円)となりました。
Ⅲ 道路休憩所事業
道路休憩所事業は、当社が管理する330箇所(うち、当社の商業施設があるのは191箇所)のSA・PAを、より魅力ある空間として楽しんでいただけるようにするため、グループ一体となって業務執行の効率性を追求しながら、お客さまにご満足いただけるエリアづくりに努めております。また、令和6年6月に実施したサービスエリア事業部門の再編以降、グループ会社間の連携強化、意思決定の迅速化等により、収益力の強化も図っております。
(商業施設の運営)
令和7年6月30日には、東北自動車道矢巾PA(下り線)にコンビニエンスストア「ファミリーマート」をオープンしました。12時間営業から24時間営業への移行や、岩手県企業と連携したプライベートブランド(以下「PB」といいます。)商品「酒米スナック」の販売など、サービスの充実を図りました。
令和8年1月31日には、首都圏中央連絡自動車道坂東PA(外回り)をオープンしました。新たな休憩施設の整備にあわせて商業施設を設置することで、お客さまの安全性及び利便性の向上に寄与しました。
令和8年3月17日には、東北自動車道佐野SA(上り線)をドラマチックエリアとしてリニューアルオープンしました。上下線を行き来しながら、思い思いの時間を楽しめる「佐野パークSA」の完成に加え、地域の食や特産品を提供するなど商業施設の充実を図りました。これらの商業施設の新設やリニューアルを通じて、お客さまサービスの向上及び地域の魅力発信に取り組んでいます。
また、将来的な担い手不足への対応とサービス水準の維持を目的として、省人化に向けた取組も進めています。令和7年4月11日に実施した常磐自動車道日立中央PA(上り線)における無人決済エリアの導入に続き、令和8年3月24日には、道央自動車道輪厚PA(下り線)に無人販売店舗「輪厚GO」をオープンしました。有人エリアと無人エリアを組み合わせ、さらなる利便性と省人化を両立する店舗を目指します。
このほか、高速道路をより楽しんでいただけるよう「ENJOY!よりみち」をテーマとした、地域や季節に応じたプロモーションを展開しております。具体的には、夏休み限定の企画として「たまごっちハイウェイスタンプラリー」を開催したほか、7月には岩手県や埼玉県の企業と連携し、アルコールフリーのPB商品「和みのゼロ」を販売しました。今後も、各種販促施策を通じた収益力の向上に取り組んでまいります。
(EV急速充電器の整備)
SA・PAにおける充電インフラとして、EV急速充電器の高出力化・複数口化を推進しています。当連結会計年度においては、当社管内のSA・PAに急速充電器を44口増設し、計325口の整備が完了しました。
当連結会計年度の道路休憩所事業における営業収益は35,851百万円(前期比1.6%増)、営業費用は32,096百万円(同3.6%増)となりました。以上の結果、営業利益は3,755百万円(同12.4%減)となりました。
Ⅳ その他
その他、再生可能エネルギー事業(仙台泉太陽光発電所)、カード事業、日比谷駐車場事業、仙台南及び郡山トラックターミナルにおけるトラックターミナル事業、高速道路の高架下における占用施設活用事業、旅行事業等を行っております。
新規事業開発では、オープンイノベーションによる高速道路の新サービスの実現、地域の活性化や社会課題の解決に資する事業の創出を目的とした「ドラぷらイノベーションラボ」において、企業と実証実験等に取り組んでいます。当連結会計年度においては、新たに5件のプログラムを採択しており、前連結会計年度までに採択したプログラムも含め、採択企業と順次実証実験を行っております。
海外事業では、インド現地法人(E-NEXCO INDIA PRIVATE LIMITED)が、ひび割れ、わだち掘れ等を的確に把握できる路面性状測定車「E-NEXCO Eye」を導入し、路面調査業務を実施しております。さらに、国内の高速道路事業で蓄積された技術とノウハウを活用し、インドやバングラデシュ等において道路の運営・維持管理に関するコンサルティング事業を行っております。
当連結会計年度のその他の事業における営業収益は3,039百万円(前期比8.1%減)、営業費用は2,799百万円(同4.6%減)となりました。以上の結果、営業利益は239百万円(同35.7%減)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、2,458,458百万円(前期比13.9%増)、負債は、2,167,242百万円(同15.1%増)、純資産は、291,215百万円(同5.4%増)となりました。自己資本比率は、11.8%(同1.0ポイント低下)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
減価償却費40,171百万円、税金等調整前当期純利益5,301百万円、売上債権の減少額9,825百万円、支払利息関連で1,956百万円等の資金増加要因があった一方、建設工事未払等の減少等による仕入債務の減少額2,221百万円、首都圏中央連絡自動車道等の工事進捗等の仕掛道路資産の増加等による棚卸資産の増加額175,163百万円、未払又は未収消費税等の減少額6,177百万円等の資金減少要因があったことから、営業活動によるキャッシュ・フローは153,468百万円の資金支出(前期比123,061百万円減)となりました。
なお、上記棚卸資産の増加額のうち175,237百万円は、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の増加によるものです。かかる資産は、連結貸借対照表上は「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上され、その建設には財務活動の結果得られた資金を充てております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
料金収受機械、ETC装置等の設備投資による固定資産の取得による支出60,377百万円等があったことから、投資活動によるキャッシュ・フローは61,009百万円の資金支出(前期比13,086百万円増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
首都圏中央連絡自動車道等の機構への道路資産の帰属による債務引受等により、短期借入金の返済による支出939百万円、長期借入金の返済による支出55,447百万円及び道路建設関係社債償還による支出340,000百万円があった一方、道路建設事業費として道路建設関係社債の発行による収入513,876百万円及び長期借入れによる収入176,659百万円があったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは293,548百万円の資金収入(前期比46,180百万円増)となりました。
なお、上記支出金額の合計額のうち機構法第15条第1項による債務引受額は391,387百万円です。
以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、180,410百万円(前期比79,073百万円の増)となりました。
(参考情報)
提出会社の当事業年度(自 令和7年4月1日 至 令和8年3月31日)における、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)(以下「高速道路事業等会計規則」といいます。)第6条の規定により作成した「高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表」は、以下のとおりです。
| 高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表 | ||||
| (自 令和7年4月1日 至 令和8年3月31日) | ||||
| (百万円) | ||||
| 1. | 営業収益 | |||
| 料金収入 | 854,778 | |||
| 道路資産完成高 | 341,771 | |||
| 受託業務収入 | 4 | |||
| その他の売上高 | 1,452 | 1,198,006 | ||
| 2. | 営業外収益 | |||
| 受取利息 | 83 | |||
| 受取配当金 | 2,333 | |||
| 土地物件貸付料 | 321 | |||
| 雑収入 | 1,461 | 4,199 | ||
| 3. | 特別利益 | |||
| 固定資産売却益 | 2 | 2 | ||
| 高速道路事業営業収益等合計 | 1,202,208 | |||
(3) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、前記「(1) 財政状態及び経営成績の状況」においてセグメント別の業績に関連付けて記載しております。
2 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所感等の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性が内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意ください。
(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等の状況に重要な影響を与える要因について
① 高速道路事業の特性について
高速道路事業においては、高速道路会社法第6条第1項及び機構法第13条第1項の規定により機構と平成18年3月31日付けで締結した「高速自動車国道北海道縦貫自動車道函館名寄線等に関する協定」(以下「協定」といいます。)並びに特措法第3条第1項の規定による同日付けの事業許可に基づき、機構から道路資産を借り受けたうえ、道路利用者より料金を収受、かかる料金収入を機構への道路資産賃借料及び当社が負担する管理費用の支払いに充てております。
かかる協定及び事業許可においては、高速道路の公共性に鑑み当社の収受する料金には当社の利潤を含めないことが前提とされております。なお、各会計年度においては、料金収入や管理費用等の実績と当初計画との乖離等により利益又は損失が生じる場合があり、かかる利益は、高速道路事業における将来の経済情勢の変動や自然災害等のリスクに備え、積み立てることとしております。
また、高速道路事業においては、冬期における交通確保のための雪氷対策や維持修繕関係の工事が下半期に完成することが多いこと等から、上半期よりも下半期に費用がより多く計上される傾向にあります。他方、夏期の好天や長期休暇が多いこと等に伴い、料金収入は上半期のほうがより多い傾向にあります。
② 機構による債務引受け等について
既述のとおり、当社は、特措法に基づき行う高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧を事業の一つとしており、また、当社が行うべき新設、改築、修繕又は災害復旧の対象となる高速道路は、協定の定めによるところですが、機構は、機構法第15条第1項に従い、当社が新設、改築、修繕又は災害復旧を行った高速道路に係る道路資産が特措法第51条第2項ないし第4項の規定により機構に帰属する時において、機構法第14条第1項の認可を受けた業務実施計画に定められた機構が当社から引き受ける新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に係る債務の限度額の範囲内で、当該高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に充てるために当社が負担した債務を引き受けることとされております。
特措法第51条第2項ないし第4項の規定により道路資産が機構に帰属する場合、損益計算書においては当該資産及びそれに見合う債務に相当する額が、営業収益及び営業費用に同額計上されます。そのため、当会計年度中の当該資産及びそれに見合う債務の多寡に応じて、営業収益及び営業費用の額が同額で変動いたします。
当社と機構は、四半期分の債務引受けにつき借入金債務及び債券債務を原則として弁済期日が到来する順に当該四半期の翌四半期の最初の月の中旬までに一括して選定すること、債務引受けは併存的債務引受けの方法によること等、債務引受けの実際の運用について確認しております。なお、高速道路の更新事業にかかる財政融資資金借入債務の引渡しについては、特例として利息据置期限を弁済期日とみなして取り扱います。
なお、高速道路に係る道路資産が機構に帰属し、当該資産に対応する債務が機構に引き受けられた際には、かかる資産及び債務は当社の連結財務諸表ないし財務諸表に計上されないこととなりますが、当該債務(財政融資資金借入金債務を除く)について、当社は引き続き機構と連帯してその弁済の責めを負うこととされており、かかる債務の履行に関する主たる取扱いは機構が行うこととなります。
また、道路公団の民営化に伴い当社、機構、中日本高速道路㈱及び西日本高速道路㈱が承継した道路公団の債務の一部について、当社と、機構、中日本高速道路㈱及び西日本高速道路㈱との間に、連帯債務関係が生じております(民営化関係法施行法第16条)。
(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。かかる連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産、負債及び会計期間における収益、費用の金額並びに開示に影響を与える事項についての見積りを行う必要があります。当該見積りについては、過去の実績や現在の状況に応じ、考えられる様々な要因に基づき合理的に判断を行い、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の会計方針が、当社グループの連結財務諸表においては重要であると考えております。
① 仕掛道路資産
高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧の結果生じた資産は、当社グループの連結財務諸表において「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上されますが、かかる資産の取得原価は、建設価額に用地取得に係る費用その他の附帯費用を加算した価額に労務費、人件費のうち道路建設に要した費用として区分された費用の額及び除却工事費用等資産の取得に要した費用の額を加えた額となります。なお、仕掛道路資産の建設に充当した借入資金の利息で、当該資産の工事完了の日までに発生したものは上記建設価額に算入しております。
なお、上記「(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等の状況に重要な影響を与える要因について ② 機構による債務引受け等について」に記載のとおり、かかる資産は、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき道路資産として機構に帰属すると同時に、協定に基づき当社が機構から借り受けることとなりますが、かかる借受けについてはオペレーティング・リースとして処理し、借受けに係る資産及び負債は当社グループの連結財務諸表には計上されないこととなります。
② 重要な収益及び費用の計上基準
(高速道路事業)
料金収入は、顧客が当社の管理する道路を通行した時点で収益を認識しております。なお、ETCマイレージサービス制度に係る将来の無料走行に使用できるポイント等を付与した場合、当該ポイント等にて追加のサービスを顧客に提供したものとして、将来、当該サービスが顧客に移転した時に履行義務を充足するものとして収益を認識しております。道路資産完成高は、高速道路事業等会計規則に基づき、仕掛道路資産を機構に引き渡した時点で収益を認識しております。
(受託事業)
主として、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しております。発生した原価が履行義務の充足における進捗度に比例すると判断しているため、見積総原価に対する実際原価の割合(インプット法)に基づき、進捗度を測定しております。ただし、契約における取引開始日から履行義務の全部を充足すると見込まれる時点までの期間が短い等、重要性が乏しい場合は、引き渡し時点において履行義務が充足されたものとして収益を認識しております。
(道路休憩所事業)
道路休憩所事業収入は、主に高速道路のSA・PA等における商業施設及び敷地を賃貸しており、通常の賃貸借取引に係る方法により収益を認識しております。
③ 退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び期待運用収益率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響する可能性があります。
(3) 財政状態及び経営成績の分析
① 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ300,724百万円増加し、2,458,458百万円となりました。仕掛道路資産が増加したことが主な要因です。
負債は、前連結会計年度末に比べ285,764百万円増加し、2,167,242百万円となりました。道路建設関係社債及び道路建設関係長期借入金が増加したことが主な要因です。
純資産は、前連結会計年度末に比べ14,959百万円増加し、291,215百万円となりました。利益剰余金の増加が主な要因です。
自己資本比率は、前連結会計年度に比べ1.0ポイント低下し、11.8%となりました。
② 経営成績の分析
(ア) 営業収益
当連結会計年度における営業収益は、合計で1,284,583百万円(前期比9.6%増)となりました。高速道路事業については、景気の緩やかな回復が続いたこと等から、交通量が前年度に引き続き増加し、料金収入に料金引下げ措置等に対する減収補てんを加えた額は、855,662百万円(同2.1%増)となり、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき機構に帰属した道路資産の額が341,771百万円(同31.9%増)となったこと等により1,198,483百万円(同9.1%増)となりました。受託事業については、国及び地方公共団体等の委託に基づく工事が増加したこと等により48,672百万円(同32.0%増)、道路休憩所事業については、交通量の増加等による店舗売上高の増加により35,851百万円(同1.6%増)、その他の事業については、3,039百万円(同8.1%減)となりました。
(イ) 営業利益
当連結会計年度における営業費用は、合計で1,284,013百万円(前期比9.8%増)となりました。高速道路事業については、協定に基づく機構への道路資産賃借料が597,862百万円(同2.6%増)となる一方で、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき機構に帰属した道路資産の額の増加等により道路資産完成原価が342,033百万円(同32.0%増)になったこと等により1,202,554百万円(同9.3%増)となりました。受託事業については、国及び地方公共団体等の委託に基づく工事が増加したこと等により48,037百万円(同30.6%増)、道路休憩所事業については、休憩所事業を行う子会社の売上原価・販管費の増等により32,096百万円(同3.6%増)、その他の事業については、2,799百万円(同4.6%減)となりました。
以上により、当連結会計年度における営業利益は合計で570百万円(前期比82.1%減)となりました。その内訳は、高速道路事業が営業損失4,070百万円(前期は営業損失1,536百万円)、受託事業が営業利益634百万円(同826.1%増、なお前期は営業利益68百万円)、道路休憩所事業が営業利益3,755百万円(同12.4%減)、その他の事業が営業利益239百万円(同35.7%減)です。
(ウ) 営業外損益
当連結会計年度の営業外収益は、持分法による投資利益1,078百万円、土地物件貸付料658百万円等の計上により5,540百万円(前期比42.5%増)、営業外費用は控除対象外消費税75百万円等の計上により187百万円(同7.0%減)となりました。
(エ) 経常利益
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は5,923百万円(前期比13.8%減)となりました。
(オ) 特別損益
特別利益は、固定資産売却益58百万円等の計上により97百万円(前期比3.3%減)となりました。
特別損失は、固定資産除却損426百万円等の計上により720百万円(同192.8%増)となりました。
(カ) 親会社株主に帰属する当期純利益
法人税等を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は6,631百万円(前期比13.7%増)となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性について
① 資本の財源
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況及び分析については、前記「1 経営成績等の状況の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、必要とする資金の調達は、料金の収受等の営業活動のほか、道路建設関係社債の発行及び金融機関等からの借入れを通じて実施いたします。
② 資金需要の主な内容
機構との協定に基づき、お客さまからいただく高速道路料金収入から、機構が保有する債務の返済に充てる道路資産賃借料の支払い及び高速道路の維持管理を行います。
また、道路建設関係社債の発行及び金融機関等からの借入れにより、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる道路資産にかかる投資を行います。
(上記のうち投資事業にかかる資産及び設備の概要については後記「第3 設備の状況」に記載しております。)
③ 資金調達について
前記②のとおり、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる道路資産に係る投資については、道路建設関係社債の発行及び金融機関等からの借入れにより賄っています。
資金の調達においては低利かつ安定的な調達を目指し、社債の発行及び金融機関借入金による調達バランスの最適化を図っております。
また、令和元年6月以降、ソーシャル・ファイナンスによって調達した資金を道路資産に係る投資に充当してまいりました。令和6年6月には、既存のソーシャル・ファイナンスフレームワークに4車線化事業のうち大雪による車両の立ち往生や大雨によるのり面崩落発生時の道路ネットワーク代替性確保という気候変動への適応に資する事業を加えたサステナビリティ・ファイナンスフレームワークを策定し、第三者評価機関から国際資本市場協会(ICMA:International Capital Market Association)が定めるサステナビリティボンド・ガイドライン等に適合しているとのセカンドオピニオンを取得しました。当フレームワークに基づき、令和6年7月に当社初のサステナビリティボンドを発行しました。