有価証券報告書-第16期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/25 10:32
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127項目
1 経営成績等の状況の概要
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、全体で非常に厳しい状況が続きました。当社グループにおいても、外出自粛や経済活動の停滞により、高速道路事業においては交通量及び料金収入が、道路休憩所事業においてはSA・PAの売上高が大きく減少しました。
このような事業環境のなか、当社は、グループ一体経営を推進しつつ、経営方針である「お客さま第一」、「公正で透明な企業活動」、「終わりなき効率化の追求」、「チャレンジ精神の重視」及び「CSR経営の推進」を常に念頭に置き、お客さまに安全・安心・快適・便利な高速道路空間を提供すべく、「NEXCO東日本グループ中期経営計画(平成29年度~令和2年度)」における「安全・安心・快適・便利な高速道路サービスの提供」、「地域社会への貢献とインバウンド・環境保全への対応」、「社会に貢献する技術開発の推進」、「関連事業の収益力強化」及び「グループ全体の経営力強化」という5つの基本方針のもと、着実に事業を実施してまいりました。
当連結会計年度の営業収益は1,194,698百万円(前期比5.5%減)、営業損失が5,901百万円(前期は営業利益10,007百万円)、経常損失が2,533百万円(前期は経常利益13,752百万円)となり、この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は9,751百万円(前期は当期純利益9,972百万円)となりました。
(高速道路事業)
高速道路事業においては、安全で快適な走行環境を確保するため、道路機能の向上、清掃や点検、道路の補修等の管理を適正かつ効率的に行うとともに、高速道路ネットワークの早期整備に向け高速道路の新設及び改築に取り組んできました。
当連結会計年度末現在で管理延長は計44道路3,943㎞となっております。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大時においても、様々な感染防止対策を講じながら、安全・安心を確保しつつ、24時間365日絶えず高速道路サービスの提供に努めました。サービスの水準維持のため、作業に優先順位を設定して対応したほか、作業員詰所等の分離、テレビ会議の活用等により接触機会削減に努めるとともに、衛生対策の推進、感染者発生時の代替要員の確保等を実施しました。料金所ではマスク着用等の衛生対策を実施し感染拡大防止に努めました。なお、料金収受員が感染した横浜新道川上料金所及び横浜横須賀道路港南台料金所においては、令和2年4月3日から令和2年4月13日の間にETC限定運用により事業を継続しました。このほか、令和2年4月29日から令和2年6月14日の土日祝日において、国土交通省からの依頼に基づき休日割引の適用を除外し、ETC周遊割引「ドラ割」の販売を一時停止する等して感染拡大防止を図りました。
近年頻発・激甚化している自然災害に的確に対応し、「命の道」として、災害救助や被災地域の復興支援のために交通路を確保することは当社グループの大きな使命です。
令和2年12月に関越自動車道において短期間の集中的な降雪によって大型車両が立ち往生したことを契機に、2日以上にわたり最大で約2,100台の車両滞留が発生した際は、食料等救援物資の配布による人命最優先の対応を実施したほか、外部機関の応援も得て大規模な除雪を実施する等当該事象の解消に努めました。当該事象を踏まえ、「人命を最優先に、幹線道路上で大規模な車両滞留を徹底的に回避すること」を基本的な考え方として、タイムライン(段階的な行動計画)に基づく関係機関と連携した躊躇のない通行止めの実施や、通行止め予測の公表等も含めた出控え等の行動変容を促す呼びかけの繰り返しといった広報の強化等の取組みを実施することとしております。令和3年1月19日に東北自動車道(大衡インターチェンジ(以下「IC」といいます。)~築館IC)において突発的に発生した地吹雪により、関係車両151台(うち事故車98台)の多重事故が発生しました。26台のレッカー車を配備し事故発生から約8時間で事故車両等の退出が完了しました。その間、滞留されているお客さまに対しては、定期的な情報提供、食料等の救援物資の配布、トイレカーや大型バスによる休憩所の提供、一時避難所(宿泊施設)の手配等を行いました。今後は天候等の状況把握や交通規制を一層適切に実施するとともに、これまで実施してきた情報提供や防雪柵設置等の対策を更に強化してまいります。
令和3年2月13日に福島県沖を震源とする震度6強の地震が発生しましたが、速やかな点検・補修により東北自動車道は約11時間後に通行止めを解除しました。また常磐自動車道で大規模なのり面崩落が発生しましたが、速やかな応援体制構築により昼夜連続で復旧作業を行い、発災から約19時間後に緊急車両の通行路を確保し、約91時間後に応急復旧を完了して通行止めを解除しました。引き続き本復旧工事を進めてまいります。防災・減災の強化としては、平成28年4月に発生した熊本地震によりロッキング橋脚を有する高速道路跨道橋1橋が落橋したことを受け、橋梁の落橋・倒壊を防止する対策を実施し、全71橋の対策を概ね完了しました。
安全・安心を次の世代へ引き継ぐため、インフラ老朽化への対策として実施する大規模更新・修繕事業(高速道路リニューアルプロジェクト)については、平成27年度より事業に着手し、引き続き同事業の推進に向け、必要な各種調査・設計を進めるとともに、新技術の活用や渋滞等の社会的影響の最小化を図りながら、工事を進めております。加えて、道路構造物の劣化に多大な影響を与え、重大な交通事故を惹起するおそれのある車両制限令違反車両の排除のため、車両重量自動計測装置の整備推進等取締を強化するとともに、当該違反車両に対する大口・多頻度割引停止等措置を講じました。
さらに、高速道路の長期的な「安全・安心」の確保に向け、ICTやロボティクス等最新技術を活用した次世代インフラ総合マネジメントシステム「SMH構想」については、令和2年6月より第1期として技術開発から全社的な運用の段階へ移行しました。点検データの統計・分析にビジネスインテリジェンスツールを活用することで、保全計画検討における意思決定プロセスの標準化及び生産性の向上を目指す取組みをはじめとする、各種SMH開発ツールの定着及び深化を図るとともに、適用領域拡大を進めてまいります。円滑な交通の確保に向けては、交通容量の増加による渋滞緩和、交通の定時制・安全性の向上を目指し進めてきた京葉道路の付加車線の設置を完了させ、令和2年8月に運用を開始しました。引き続き、渋滞箇所で渋滞要因の検証を進め、付加車線設置等によるハード対策のほか、ペースメーカーライト等によるソフト対策も含め、更なる渋滞軽減に努めてまいります。
交通事故削減に向けては、高速道路での逆走事故ゼロを目指し、統一的な逆走防止のハード対策を進めたほか、ソフト対策を継続的に実施するとともに、企業等から公募した逆走検知や抑制に係る技術の中で有効なものを活用しながら更なる安全対策を図ってまいります。加えて、対面通行区間における突破・正面衝突事故の防止対策として試行検証を行ってきたワイヤロープについては、土工部・中小橋を中心に順次展開を図るとともに、トンネル・長大橋については公募による選定技術の検証を進めてまいります。
高速道路の利便性向上のため、ETCを活用した時間帯割引、ETCマイレージサービスを継続実施し、地域の観光振興を目的としたETC周遊割引「ドラ割」では、「ググっとぐんまフリーパス」において、実施期間を前年より2か月延長し令和2年11月末まで実施することで、紅葉シーズンの利用を望むお客さまニーズに応えました。また、Go To トラベル事業の対象となる宿泊セット型の企画割引を販売し、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい環境下におかれた各地の観光振興に寄与しました。このほか、福島第一原子力発電所事故により警戒区域等から避難されている方を対象として平成23年6月から国の施策に基づき開始した高速道路の無料措置(注1)を当連結会計年度においても継続するとともに、福島第一原子力発電所事故による母子避難者等を対象とした高速道路の無料措置(注2)についても継続しました。
令和2年9月25日に発表された社会資本整備審議会国土幹線道路部会の「『持続可能な国土幹線道路システムの構築に向けた取組』中間とりまとめ」において、ETC専用化等について「導入手順や概成目標時期を明示したロードマップを策定し、料金所のキャッシュレス化・タッチレス化を計画的に推進すべきである」と示されたことを踏まえ、ETC専用化等に向けたロードマップを策定し、令和2年12月17日、国土交通省と当社を含む高速道路6会社で同時に記者発表しました。今後、一部料金所でETC専用化を試行的に開始し、運用状況等を踏まえながら順次拡大してまいります。また、ETC専用化等の導入・拡大にあわせ、車載器助成やETCパーソナルカードのデポジットの下限の引下げ等によるETCの利用環境の改善や、誤進入等による非ETC車対策等に取り組んでまいります。
一方、道路建設事業においては、令和2年10月23日にスマートIC7箇所の整備を追加する高速道路事業の変更について国土交通大臣から事業許可を受けて事業を進めてきたほか、令和3年3月30日には道東自動車道(トマムIC~十勝清水IC)、秋田自動車道(北上西IC~湯田IC)、仙台北部道路(利府しらかし台IC~富谷ジャンクション(以下「JCT」といいます。))、常磐自動車道(相馬IC~新地IC)及び磐越自動車道(会津坂下IC~西会津IC、三川IC~安田IC)の4車線化事業を追加する国土交通大臣からの事業許可を受けました。
当連結会計年度においては、計5道路85㎞の区間で、開通に向け高速道路の新設事業を実施しました。
また、当連結会計年度における4車線化拡幅等事業は、計11道路293kmの区間で実施し、常磐自動車道(いわき中央IC~広野ICのうち一部区間、山元IC~亘理IC)及び仙台東部道路(亘理IC~岩沼IC)の計2道路46㎞が4車線となりました。
東京外かく環状道路(関越~東名)の新設事業では、令和2年10月に工事現場付近での地表面陥没が発生し、その後の調査により、地中の空洞を確認しました。この件に関し、東京外環トンネル施工等検討委員会有識者委員会が令和3年3月に陥没・空洞の推定メカニズムや再発防止対策等を内容とする報告書をとりまとめたことを受け、今後、実際に発生した損害にかかる原状回復及び補償について真摯に対応してまいります。
当連結会計年度の高速道路事業における営業収益は1,128,182百万円(前期比4.5%減)、営業費用は1,130,010百万円(同3.7%減)となりました。以上の結果、営業損失は1,827百万円(前期は営業利益7,600百万円)となりました。
(注)1. 福島第一原子力発電所事故により国として避難を指示又は勧奨している区域等から避難されている方を対象とした生活再建に向けた一時帰宅等の移動の支援を目的として実施している無料措置をいいます。この無料措置は特定のICを入口又は出口とする走行に対して適用され、令和4年3月31日までの予定で継続されております。
2. 福島第一原子力発電所事故により警戒区域等を除く福島県浜通り・中通り等の対象地域から避難して二重生活を強いられている母子等及び対象地域内に残る父親等を対象とした生活支援を目的として実施している無料措置をいいます。この無料措置は母子等避難先の最寄りICと父親等居住地の最寄りIC間の走行に対して適用され、令和4年3月31日までの予定で継続されております。
(受託事業)
受託事業においては、国及び地方公共団体等の委託に基づく道路の新設、改築、維持、修繕等で、経済性、効率性等から当社が行う事業と一体として実施することが適当と認められる工事等について、事業を推進してまいりました。
当連結会計年度の受託事業における営業収益は43,172百万円(前期比0.8%減)、営業費用は43,206百万円(同0.9%減)となりました。以上の結果、営業損失は33百万円(前期は営業損失70百万円)となりました。
(道路休憩所事業)
道路休憩所事業においては、当社が管理する328箇所(うち、当社の商業施設がある箇所は192箇所。)のSA・PAをより魅力ある空間として楽しんでいただけるものとするため、当社全額出資の子会社であるネクセリア東日本㈱、㈱ネクスコ東日本リテイル、㈱ネクスコ東日本エリアサポートと一体となり、高速道路商業施設運営のスペシャリストとして、業務執行の効率性を追求しながら、お客さまにご満足いただけるエリアづくりに努めてまいりました。
当連結会計年度における商業施設の運営につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、商業施設内の定期的な消毒やお客さま用消毒液の設置、ソーシャルディスタンスの確保に向けた対策等感染防止対策に徹底して取り組んでまいりました。また、緊急事態宣言の発令を踏まえた商業施設の営業休止及び営業時間の変更を実施するとともに、テイクアウト商品の拡充にも取り組んでまいりました。
商業施設の建設につきましては、令和2年9月29日に東北自動車道国見SA(下り線)を、令和2年10月28日に国見SA(上り線)を旅のドラマを演出する「ドラマチックエリア」としてそれぞれリニューアルオープンいたしました。
当連結会計年度の道路休憩所事業における営業収益は24,398百万円(前期比40.0%減)、営業費用は29,134百万円(同24.2%減)となりました。以上の結果、営業損失は4,735百万円(前期は営業利益2,203百万円)となりました。
(その他)
その他の事業においては、ホテル事業では地域の観光振興及び活性化を目的に、令和2年4月24日に東北自動車道長者原SA(上り線)に「E-NEXCO LODGE 長者原SA店」をオープンしたほか、旅行事業では、第二海堡上陸ツアー等のインフラツーリズムの実施や、Go To トラベル事業の対象となる旅行商品の販売を行う等、事業拡大に努めてまいりました。更には、カード事業、日比谷駐車場事業、仙台南及び郡山トラックターミナルで実施しているトラックターミナル事業、高速道路の高架下における占用施設活用事業等を行いました。
また、新規事業開発においては、新たな事業領域への展開、新たな技術や成長分野を踏まえたサービスの開発・拡充を図るため、ビッグデータやAI等、先端技術の利活用に関する調査検討を進めました。
国内のコンサルティング事業としましては、国土交通省が事業促進PPPとして発注した「三陸沿岸道路事業監理業務(気仙沼唐桑工区)」(10km)を平成24年6月から実施し、当連結会計年度にあっては、令和3年3月に気仙沼港ICから唐桑半島ICの7.3kmが開通し、当該業務区間は全て開通しました。
海外事業の分野においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を大きく受けたものの、インドでの路面調査業務を本格的に開始すべく、インド現地法人(E-NEXCO INDIA PRIVATE LIMITED)とともに、ひび割れ、わだち掘れ等を的確に把握できる路面性状測定車「E-NEXCO Eye」の導入準備を進めました。また、国内の高速道路事業で蓄積された技術とノウハウを活用し、海外道路事業へのアドバイザリー事業を行いました。
当連結会計年度のその他の事業における営業収益は6,672百万円(前期比36.2%増)、営業費用は6,013百万円(同29.0%増)となりました。以上の結果、営業利益は659百万円(同177.4%増、なお前期は営業利益237百万円)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、1,355,022百万円(前期比5.2%増)、負債は、1,120,706百万円(前期比6.9%増)、純資産は、234,316百万円(前期比2.5%減)となりました。自己資本比率は、17.2%(前期比1.4ポイント低下)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
未払又は未収消費税等の増加額52,933百万円に加え、減価償却費31,142百万円等の資金増加要因があった一方、売上債権の増加額47,244百万円、道路資産賃借料未払の減等による仕入債務の減少額16,734百万円、常磐自動車道(いわき中央IC~広野ICのうち一部区間)4車線化等の仕掛道路資産の増加等によるたな卸資産の増加額12,865百万円、税金等調整前当期純損失3,426百万円等の資金減少要因があったことから、営業活動によるキャッシュ・フローは11,835百万円の資金支出(前期比135,144百万円減)となりました。
なお、上記たな卸資産の増加額のうち13,086百万円は、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の増加によるものであります。かかる資産は、連結貸借対照表上は「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上され、その建設には財務活動の結果得られた資金を充てております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
社内システムのソフトウェア、管理用車両等の設備投資による固定資産の取得による支出47,208百万円等があったことから、投資活動によるキャッシュ・フローは47,454百万円の資金支出(前期比25,266百万円増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
常磐自動車道(いわき中央IC~広野ICのうち一部区間)4車線化等の開通等による債務引受けにより、道路建設関係社債の償還411,453百万円(機構法第15条第1項による債務引受額411,453百万円に相当します。)等の支出があった一方、道路建設事業費として道路建設関係社債の発行による収入369,041百万円及び長期借入れによる収入140,445百万円があったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは96,833百万円の資金収入(前期比12,799百万円減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、154,076百万円(前期比37,545百万円の増)となりました。
(参考情報)
提出会社の当事業年度(自 令和2年4月1日 至 令和3年3月31日)における、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)第6条の規定により作成した「高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表」は、以下のとおりであります。
高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表
(自 令和2年4月1日 至 令和3年3月31日)
(百万円)
1.営業収益
料金収入714,404
道路資産完成高405,811
受託業務収入4
その他の売上高1,4731,121,694
2.営業外収益
受取利息6
有価証券利息19
受取配当金2,304
土地物件貸付料299
雑収入5053,135
高速道路事業営業収益等合計1,124,829


(3) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、前記「(1) 財政状態及び経営成績の状況」においてセグメント別の業績に関連付けて記載しております。
2 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所感等の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性が内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意ください。
(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等の状況に重要な影響を与える要因について
① 高速道路事業の特性について
高速道路事業においては、機構との協定及び特措法の規定による事業許可に基づき、機構から道路資産を借り受けたうえ、道路利用者より料金を収受、かかる料金収入を機構への道路資産賃借料及び当社が負担する管理費用の支払いに充てております。
かかる協定及び事業許可においては、高速道路の公共性に鑑み当社の収受する料金には当社の利潤を含めないことが前提とされております。なお、各会計年度においては、料金収入や管理費用等の実績と当初計画との乖離等により利益又は損失が生じる場合があり、かかる利益は、高速道路事業における将来の経済情勢の変動や自然災害等のリスクに備え、積み立てることとしております。
また、高速道路事業においては、冬期における交通確保のための雪氷対策や維持修繕関係の工事が下半期に完成することが多いこと等から、上半期よりも下半期に費用がより多く計上される傾向にあります。他方、夏期の好天や長期休暇が多いこと等に伴い、料金収入は上半期のほうがより多い傾向にあります。
② 機構による債務引受け等について
既述のとおり、当社は、特措法に基づき行う高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧を事業の一つとしており、また、当社が行うべき新設、改築、修繕又は災害復旧の対象となる高速道路は、協定の定めによるところでありますが、機構は、機構法第15条第1項に従い、当社が新設、改築、修繕又は災害復旧を行った高速道路に係る道路資産が特措法第51条第2項ないし第4項の規定により機構に帰属する時において、機構法第14条第1項の認可を受けた業務実施計画に定められた機構が当社から引き受ける新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に係る債務の限度額の範囲内で、当該高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に充てるために当社が負担した債務を引き受けることとされております。
特措法第51条第2項ないし第4項の規定により道路資産が機構に帰属する場合、損益計算書においては当該資産及びそれに見合う債務に相当する額が、営業収益及び営業費用に同額計上されます。そのため、当会計年度中の当該資産及びそれに見合う債務の多寡に応じて、営業収益及び営業費用の額が同額で変動いたします。
当社と機構は、四半期分の債務引受けにつき借入金債務及び債券債務を原則として弁済期日が到来する順に当該四半期の翌四半期の最初の月の中旬までに一括して選定すること、債務引受けは併存的債務引受けの方法によること等、債務引受けの実際の運用について確認しております。なお、高速道路の更新事業にかかる財政融資資金借入債務の引渡しについては、特例として利息据置期限を弁済期日とみなして取り扱います。
なお、高速道路に係る道路資産が機構に帰属し、当該資産に対応する債務が機構に引き受けられた際には、かかる資産及び債務は当社の連結財務諸表ないし財務諸表に計上されないこととなりますが、当該債務(財政融資資金借入金債務を除く)について、当社は引き続き機構と連帯してその弁済の責めを負うこととされており、かかる債務の履行に関する主たる取扱いは機構が行うこととなります。
また、道路公団の民営化に伴い当社、機構、中日本高速道路㈱及び西日本高速道路㈱が承継した道路公団の債務の一部について、当社と、機構、中日本高速道路㈱及び西日本高速道路㈱との間に、連帯債務関係が生じております(民営化関係法施行法第16条)。
(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。かかる連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産、負債及び会計期間における収益、費用の金額並びに開示に影響を与える事項についての見積りを行う必要があります。当該見積りについては、過去の実績や現在の状況に応じ、考えられる様々な要因に基づき合理的に判断を行い、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の会計方針が、当社グループの連結財務諸表においては重要であると考えております。
① 仕掛道路資産
高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧の結果生じた資産は、当社グループの連結財務諸表において「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上されますが、かかる資産の取得原価は、建設価額に用地取得に係る費用その他の附帯費用を加算した価額に労務費、人件費のうち道路建設に要した費用として区分された費用の額及び除却工事費用等資産の取得に要した費用の額を加えた額となります。なお、仕掛道路資産の建設に充当した借入資金の利息で、当該資産の工事完了の日までに発生したものは上記建設価額に算入しております。
なお、上記「(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等の状況に重要な影響を与える要因について ② 機構による債務引受け等について」に記載のとおり、かかる資産は、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき道路資産として機構に帰属すると同時に、協定に基づき当社が機構から借り受けることとなりますが、かかる借受けについてはオペレーティング・リースとして処理し、借受けに係る資産及び負債は当社グループの連結財務諸表には計上されないこととなります。
② 完成工事高及び完成工事原価の計上基準
高速道路事業に係る道路資産完成高及び道路資産完成原価の計上は、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)に基づき、仕掛道路資産を機構に引き渡した日に行っております。
また、受託事業等に係る工事のうち、進捗部分について成果の確実性が認められる工事契約については工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を適用し、その他の工事契約については工事完成基準を適用しております。
なお、平成21年3月31日以前に着手した工事契約のうち、請負金額が50億円以上の長期工事(工期2年超)については工事進行基準を適用しております。
③ ETCマイレージサービス引当金
当社グループは、ETCマイレージサービス制度による無料走行に備えるため、連結会計年度末におけるポイント発行残高に対する将来の使用見込額を計上しております。
④ 退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び期待運用収益率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する繰延税金資産の回収可能性の判断等の会計上の見積りについては、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
(3) 財政状態及び経営成績の分析
① 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ67,086百万円増加し、1,355,022百万円となりました。仕掛道路資産が増加したことが主な要因であります。
負債は、前連結会計年度末に比べ73,312百万円増加し、1,120,706百万円となりました。道路建設関係社債及び道路建設関係長期借入金が増加したことが主な要因であります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ6,226百万円減少し、234,316百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少が主な要因であります。
自己資本比率は、前連結会計年度に比べ1.4ポイント低下し、17.2%となりました。
② 経営成績の分析
(ア) 営業収益
当連結会計年度における営業収益は、合計で1,194,698百万円(前期比5.5%減)となりました。高速道路事業については、新型コロナウイルス感染症の影響による交通量の減少等もあり、料金収入に料金引下げ措置等に対する減収補てんを加えた額は、715,409百万円(同16.6%減)となる一方で、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき機構に帰属した道路資産の額が405,811百万円(同28.4%増)となったこと等により1,128,182百万円(同4.5%減)となりました。受託事業については、国及び地方公共団体等の委託に基づく工事が減少したこと等により43,172百万円(同0.8%減)、道路休憩所事業については、新型コロナウイルス感染症の影響により店舗売上高が減少したこと等により24,398百万円(同40.0%減)、その他については、連結子会社の外販増等により6,672百万円(同36.2%増)となりました。
(イ) 営業利益
当連結会計年度における営業費用は、合計で1,200,599百万円(前期比4.2%減)となりました。高速道路事業については、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき機構に帰属した道路資産の額の増加により道路資産完成原価が405,811百万円(同28.4%増)となる一方で、協定に基づく機構への道路資産賃借料が480,937百万円(同21.3%減)となったこと等により1,130,010百万円(同3.7%減)となりました。受託事業については、国及び地方公共団体等の委託に基づく工事が減少したこと等により43,206百万円(同0.9%減)、道路休憩所事業については、直営店舗売上高の減少により売上原価が減少したこと等により29,134百万円(同24.2%減)、その他については、連結子会社の外販増等により6,013百万円(同29.0%増)となりました。
以上により、当連結会計年度における営業損失は合計で5,901百万円(前期は営業利益10,007百万円)となりました。その内訳は、高速道路事業が営業損失1,827百万円(前期は営業利益7,600百万円)、受託事業が営業損失33百万円(前期は営業損失70百万円)、道路休憩所事業が営業損失4,735百万円(前期は営業利益2,203百万円)、その他が営業利益659百万円(同177.4%増、なお前期は営業利益237百万円)であります。
(ウ) 営業外損益
当連結会計年度の営業外収益は、持分法による投資利益1,543百万円、土地物件貸付料488百万円等の計上により3,571百万円(前期比8.7%減)、営業外費用は控除対象外消費税80百万円等の計上により204百万円(同21.7%増)となりました。
(エ) 経常利益
以上の結果、当連結会計年度の経常損失は2,533百万円(前期は経常利益13,752百万円)となりました。
(オ) 特別損益
特別利益は、固定資産売却益244百万円等の計上により252百万円(前期比31.7%増)となりました。
特別損失は、固定資産除却損364百万円等の計上により1,144百万円(同85.2%増)となりました。
(カ) 親会社株主に帰属する当期純利益
法人税等を控除した親会社株主に帰属する当期純損失は9,751百万円(前期は当期純利益9,972百万円)となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性について
① 資本の財源
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況及び分析については、前記「1 経営成績等の状況の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、必要とする資金の調達は、料金の収受等の営業活動のほか、道路建設関係社債の発行及び金融機関等からの借入れを通じて実施いたします。
② 資金需要の主な内容
機構との協定に基づき、お客さまからいただく高速道路料金収入から、機構が保有する債務の返済に充てる道路資産賃借料の支払い及び高速道路の維持管理を行います。
また、道路建設関係社債の発行及び金融機関等からの借入れにより、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる道路資産にかかる投資を行います。
(上記のうち投資事業にかかる資産及び設備の概要については後記「第3 設備の状況」に記載しております。)
③ 資金調達について
前記②のとおり、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる道路資産に係る投資については、道路建設関係社債の発行及び金融機関等からの借入れにより賄っています。
資金の調達においては低利且つ安定的な調達を目指し、社債の発行及び金融機関借入金による調達バランスの最適化を図っております。また、令和2年度にあっては、政府から財政融資資金の借入れを行いました。

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