有価証券報告書-第16期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
1.経営成績等の状況の概要
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による消費の落ち込み等により非常に厳しい状況となりました。
一方、高速道路ネットワークの早期整備や、計画的な老朽化対策の推進、災害に対する強靭性・対応力の強化、地域振興の核となるサービスエリアの展開等、当社グループが果たすべき社会的使命は、一層重くなっています。
このような中、当社グループは、少子高齢化や労働人口の減少、社会インフラの老朽化、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の高度化等、今後の社会環境の大きな変化を見据え、民営化20年に向けて進むべき方向性を示した「経営計画チャレンジV 2016-2020」の最終年度を迎え、新型コロナウイルス感染予防対策を徹底しながら、4つの経営方針「高速道路の安全性向上と機能強化の不断の取組み」、「安全・快適を高める技術開発の推進」、「社会・経済の変化も見据えた地域活性化への貢献」、「社会の要請に応え続けるための経営基盤の強化」に基づく取組みを着実に進めるとともに、令和2年度までの取組みを踏まえ、令和3年度からの次期5カ年の方向性を示した「経営計画チャレンジⅤ 2021-2025」を策定しました。さらに、経営方針を実現するため、高速道路の機能強化、車の自動運転等のイノベーションに対応した高速道路の進化等を定めた「高速道路における安全・安心実施計画」に基づき、高速道路の安全性、信頼性や使いやすさの向上に取り組んでまいりました。
高速道路の安全性向上と機能強化については、平成24年12月2日に発生した中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故を受けて策定した「安全性向上3カ年計画」の成果を踏まえた今後の取組み方針「安全性向上への『5つの取組み方針』」に基づき、当社グループ一体となって「安全を最優先とする企業文化の醸成」、「道路構造物の経年劣化や潜在的リスクに対応した業務プロセスの継続的改善」、「安全活動の推進」、「安全を支える人財の育成」、「安全性向上に向けた着実かつ効率的な事業の推進」に取り組んでまいりました。また、「笹子トンネル天井板崩落事故を風化させない」、「二度とこのような事故を起こしてはならない」という安全意識の維持向上を目的として、令和3年3月、東京都八王子市に安全研修施設「安全啓発館」を設置しました。当研修施設により、リスクの感度を高め、安全を最優先して自律的に行動できる人財を育成してまいります。引き続き「安全性向上への『5つの取組み方針』」を着実に進めていくとともに、新たに事業化された暫定2車線区間の4車線化や中京圏の新たな高速道路料金の導入による交通流動の最適化等を推進し、道路ネットワーク全体としてその機能を時間的・空間的に最大限に発揮する取組みも進めてまいります。
技術開発については、高速道路の安全性向上と機能強化の取組みを更に高度化・効率化していくため、点検の高度化、老朽化した高速道路を健全にするための技術や、路上作業における安全性向上につながる技術開発及びICTやAI(Artificial Intelligence:人工知能)の導入にグループ一体となって取り組んでまいりました。また、車の自動運転の実現と普及に向け、道路と車の通信により交通規制や落下物等の道路情報をより早くより正確に提供する新たなITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)の開発に官民協働で取り組むとともに、運転制御、操作支援技術の開発や、維持管理車両の自動運転化の研究開発を進めています。
地域の活性化や課題解決への貢献については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により活動が制限される中、高速道路の利用増を地域の観光消費に直結させるドライブプラン(高速道路周遊パスと観光施設の利用券等をセットにした旅行商品)の販売等の地域観光振興、複合商業施設の運営や耕作放棄地を活用した農業事業の展開等の地域活性化、自治体への新型コロナウイルス感染予防対策支援物資の提供、災害時の協力体制の構築や地域見守り活動への参画等の地域の防災、防犯等に取り組んでまいりました。また、訪日外国人旅行者に安心して便利に高速道路をご利用いただけるよう、標識に路線番号を用いて案内するナンバリングを概成させるとともに、案内表示の多言語化や休憩施設での案内ピクトサインの整備を進めています。
経営基盤の強化については、業務プロセスの見直しや業務システムの構築、改修による業務効率化や、自律的に考え行動する人財の育成等を通して、グループ全体の生産性向上に取り組んでいます。また、新型コロナウイルス感染予防対策として、お客さまと当社グループ社員の感染防止及び事業継続計画(BCP)の観点から、リモートワークを活用した在宅勤務やサテライトオフィスでの勤務を推奨するとともに、執務室や会議室における飛沫防止対策を行う等、「新しい生活様式」に即した業務体制を確立しました。
引き続き、お客さまに安心して高速道路をご利用いただけるよう、「経営計画チャレンジⅤ 2021-2025」の4つの経営方針に基づく取組みを着実に実施していくとともに、「高速道路における安全・安心実施計画」に基づく施策を着実に進め、高速道路の更なる安全性向上に努めてまいります。また、中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故を決して忘れることなく、事故のご遺族の皆さまや被害に遭われた皆さまに真摯に対応してまいります。
そのほか、令和2年11月4日に公表した、橋梁の耐震補強工事で鉄筋が不足する施工不良事案については、令和2年11月16日に事案の原因究明のための調査と再発防止のあり方の提言を行うための外部有識者による「E20 中央道を跨ぐ橋梁の耐震補強工事施工不良に関する調査委員会」を設置しました。
当該調査委員会からの「中間とりまとめ」を受け、令和2年12月28日に「当面の再発防止策」を策定、公表するとともに、当該再発防止策に取り組んでいます。また、その後の調査により得られた新たな事実・検証結果に基づく実効性のある再発防止策について、今後も追加、改善を加えたうえで取り組んでまいります。
こうした中、当連結会計年度の営業収益は875,514百万円(前年同期比15.1%減)、営業損失は5,905百万円(前年同期は営業利益14,345百万円)、経常損失は3,810百万円(前年同期は経常利益16,323百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は6,388百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益11,167百万円)となりました。
当連結会計年度のセグメント別の業績は、以下のとおりです。
(高速道路事業)
建設事業については、経営方針の最上位である「高速道路の安全性向上と機能強化の不断の取組み」のもと、高速道路ネットワークの整備を着実かつ効率的に進め、地域の期待に応えるため、ミッシングリンクの解消や機能強化を行いました。当連結会計年度においては、新東名高速道路御殿場ジャンクション~浜松いなさジャンクション間約145㎞の6車線化事業について、令和2年12月22日に全線完成させました。また、東海北陸自動車道白川郷インターチェンジ~小矢部砺波ジャンクション間の4車線化事業について、令和2年11月7日に城端サービスエリア~福光インターチェンジ間の上下線2.3㎞を完成させるとともに、残る区間についても着実に推進しています。
当連結会計年度において推進したその他の建設事業としては、新東名高速道路伊勢原大山インターチェンジ~新御殿場インターチェンジ間、東京外かく環状道路中央ジャンクション(仮称)~東名ジャンクション(仮称)間、東海環状自動車道山県インターチェンジ~大野神戸インターチェンジ間及び養老インターチェンジ~大安インターチェンジ間の新設事業、新名神高速道路亀山西ジャンクション~甲賀土山インターチェンジ間の6車線化事業並びに東海環状自動車道土岐ジャンクション~美濃加茂インターチェンジ間及び紀勢自動車道大宮大台インターチェンジ~紀勢大内山インターチェンジ間の4車線化事業が挙げられます。また、新東名高速道路新御殿場インターチェンジ~御殿場ジャンクション間は令和3年4月10日、名古屋第二環状自動車道名古屋西ジャンクション~飛島ジャンクション間は令和3年5月1日に開通することを、令和3年2月19日及び同月26日にそれぞれ公表しています。
お客さまの利便性の向上と地域の活性化のため、6箇所のスマートインターチェンジ(東名高速道路豊田上郷スマートインターチェンジ(愛知県豊田市)、同綾瀬スマートインターチェンジ(神奈川県綾瀬市)、中央自動車道談合坂スマートインターチェンジ(山梨県上野原市)、同座光寺スマートインターチェンジ(長野県飯田市)、北陸自動車道上市スマートインターチェンジ(富山県中新川郡上市町)、首都圏中央連絡自動車道厚木PAスマートインターチェンジ(神奈川県厚木市))及び1箇所の地域活性化インターチェンジ(東海北陸自動車道一宮稲沢北インターチェンジ(愛知県一宮市))を開通させました。
また、モデル事務所においてICT活用工事や3次元モデルを活用した調査・測量・設計にも取り組む等、建設生産システム全体の生産性向上を図り、もって魅力ある建設現場を目指す「i-Construction」を推進しています。
保全・サービス事業については、近年、頻発化・激甚化する自然災害、少子高齢化や労働人口の急速な減少、ICT分野における急速な技術革新等、目まぐるしく変化する社会環境に対応するため、「安全を何よりも優先」を経営理念とし、「高速道路の安全性向上と機能強化の不断の取組み」を経営方針の最上位に掲げ、様々な取組みを行っています。高速道路は、人々の生活に深く根ざし、永く将来にわたり我が国の文化・産業の発展に寄与する重要な社会基盤です。安全を最優先に、信頼性の高い高速道路ネットワークとお客さまに満足いただけるサービスを24時間365日提供するため、高速道路の点検や、維持・補修・修繕等、次のような取組みを行いました。
道路構造物等の点検に関しては、日々の高速道路の巡回による点検を行っているほか、橋梁やトンネルについては、平成26年度に改正された道路法施行令を踏まえた「保全点検要領(構造物編)」に則り、5年に1度、近接目視等による詳細点検を行っています。また、変状が確認された構造物は、計画的に補修を進めています。
高速道路ネットワークを健全な状態で次世代に引き継ぐため、高速道路リニューアルプロジェクトにおいて、構造物を最新の技術で再施工又は補修・補強し、建設当初と同等以上の性能・機能へ回復させることによって、高速道路ネットワークの機能を長く健全に保つよう取り組んでいます。
平成28年4月に発生した熊本地震における橋梁の被災状況を踏まえ、緊急輸送道路としての機能を速やかに回復し、お客さまに安心してご利用いただけるよう、橋梁の耐震補強を計画的に進めています。
道路構造物の劣化に多大な影響を与え、重大な交通事故に繋がるおそれのある重量超過等の車両制限令に違反する車両に対しては、取締りを強化し、悪質な違反者に対する刑事告発、大口・多頻度割引停止措置等を講ずるとともに、自動計測装置の整備による常時取締りに取り組みました。
交通事故対策としては、暫定2車線区間における正面衝突事故防止のため、これまでのラバーポールに代えて一部区間で設置したワイヤーロープについて、検証結果を踏まえ、土工区間への本格整備に取り組みました。
また、逆走重大事故ゼロを実現するため、民間から公募した技術等の現地展開を進めるとともに、交通安全啓発に取り組みました。
渋滞対策として、東名高速道路(大和トンネル付近、東名三好インターチェンジ付近)、中央自動車道(小仏トンネル付近、相模湖バスストップ付近、三鷹バスストップ付近)及び名神高速道路(一宮ジャンクション付近)の付加車線設置事業について着実に推進しました。また、休憩施設における駐車場の混雑対策として、駐車マスの拡充や混雑情報提供の充実にも取り組んでいます。
大規模災害時の対応力強化については、国の「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画」等に則り、高速道路ネットワークを活用した迅速な緊急輸送ルートを確保するため、参集拠点等に大規模災害時に備えた資機材の備蓄を行っています。また、防災訓練やお客さまの安全確保を目的に避難誘導訓練を実施し、訓練により顕在化した課題への対応、関係機関との連携強化等に努めています。
大雪等荒天時の通行確保として、除雪体制の強化、立ち往生車両を早期に発見するための監視カメラの増設、救援車両の配備、大雪事前広報、関係機関との連携強化等に取り組みました。加えて、短期間の集中的な大雪時には、人命を最優先に大規模な車両滞留を回避すべく関係機関と連携し事前通行止めを実施しました。
新型コロナウイルス感染予防対策については、「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を策定し、お客さまと接する社員等は、手指の消毒やマスク着用の徹底等様々な感染予防対策を講じながら、高速道路を利用されるお客さまへの感染予防に取り組みました。
さらに、先端のICT技術・ロボティクス技術の導入等により、人口減少やデジタル技術の進展等による社会環境の変化、お客さまニーズの多様化を踏まえた情報提供の高度化等、当社グループを取り巻く環境の変化に対応しつつ、高速道路モビリティの進化に貢献する革新的なプロジェクト「i-MOVEMENT(アイムーブメント)」を推進しています。また、当プロジェクトの実現のため、コンソーシアム方式によりオープンイノベーションを推進する組織として設立した「イノベーション交流会」において、「高速道路のモビリティマネジメント」、「高速道路のインフラマネジメント」及び「現場オペレーションの高度化」の各テーマに関し、提案された技術の高速道路保全マネジメントへの適用性の実証に取り組んでいます。
こうした中、営業収益は799,861百万円(前年同期比16.2%減)、営業損失は2,108百万円(前年同期は営業利益10,054百万円)となりました。
営業収益の減少は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う料金収入の減少や、新東名高速道路御殿場ジャンクション~浜松いなさジャンクション間の6車線化事業の完成等があったもののネットワークを形成する新規開通がなかったことにより道路資産完成高が減少したことによるものです。ただし、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき機構に帰属する道路資産は、道路資産完成原価と同額を道路資産完成高として計上するため、損益に影響しません。
なお、当連結会計年度における通行料金収入は576,243百万円(前年同期比16.5%減)でした。
(休憩所事業)
休憩所事業については、地域の特色を活かした店舗づくり、魅力ある商品の販売、様々なニーズに応えるサービスの導入を進めるとともに、地域活性化や地域社会との連携強化にも取り組む等、特徴と魅力あるサービスエリアづくりを展開しました。
新型コロナウイルス感染予防対策として、緊急事態宣言に伴う自治体からの要請に基づく一部店舗の営業時間の短縮や営業休止、お客さまが安全に、安心して店舗をご利用いただけるよう、国が発表した「新しい生活様式」に対応した店舗の定期的な消毒やレジ待ち位置の明示、客席の間隔確保等の取組みを行いました。また、人との接触機会を削減するため、モバイルオーダーシステムや高速道路で初となるドライブスルー形式店舗の試行導入を行いました。
東名高速道路海老名サービスエリア(下り線)は、「EXPASA海老名(下り線)」として、グランドオープンしました。ショッピングコーナーを拡張したほか、フードコートではそば店や、ラーメン店の店舗数を増やし選ぶ楽しみを広げるとともに、利便性向上のため座席数も増やしました。また、伊勢自動車道安濃サービスエリア(下り線)と北陸自動車道小矢部川サービスエリア(上り線)も、それぞれリニューアルオープンしました。お客さまニーズを踏まえ、地元食材を使用した商品の提供や、コンビニエンスストアの新設等を行い、利便性を向上させました。このほか、東名高速道路豊田上郷サービスエリア(下り線)に、簡易宿泊施設「ファーストラウンジ豊田上郷」がオープンしました。ラウンジスペースやコインシャワー等のサービスを提供し、宿泊以外のお客さまもご利用いただけます。ラウンジ付き簡易宿泊施設の設置は高速道路で初めてです。
このほか、商業施設において、地元農産物の販売、地域食材を使用した地産地消メニューの充実、産学連携による新商品の開発・販売を行い、地域活性化や地域社会との連携強化にも取り組みました。
また、連結子会社である艾客思國際股份有限公司は、台湾のフォルモサ高速公路の清水サービスエリアの運営を行っており、日本のお土産品の販売や、名古屋めしのひつまぶし店、味噌カツ店を誘致し、好評を得ています。
こうした中、営業収益は21,057百万円(前年同期比33.7%減)、営業損失は4,060百万円(前年同期は営業利益3,855百万円)となりました。
(その他(関連)事業)
その他(関連)事業については、観光振興事業、地域開発事業、海外事業等を営んでおります。様々な事業の展開により、経営基盤の強化を進めるとともに、社会・経済の変化を見据えた地域活性化や、海外での国際交流・国際貢献等に取り組んでおります。
観光振興事業については、地方自治体と連携した高速道路の周遊エリア内が定額で乗り放題となるドライブプラン(企画割引)の販売を拡充しました。また、88の観光施設及び62の宿泊施設と連携し、高速道路と観光施設及び宿泊施設の利用券やサービスエリア・パーキングエリアのお買物券をセットにした商品を販売しました。しかしながら、国による緊急事態宣言が発出されている期間は、ドライブプランの販売を一時休止しました。
地域開発事業については、東海環状自動車道土岐南多治見インターチェンジに隣接する複合商業施設「テラスゲート土岐」の温浴施設と物販店舗は、岐阜県独自の非常事態宣言発出中は一時休業しました。宣言解除後は新型コロナウイルス感染予防対策を徹底したうえで営業を再開し、地元で有名なパン屋とホテル「よりみちの宿」を誘致し誘客に努めました。また、社宅の跡地を活用して東京都町田市、浜松市、三重県津市、三重県桑名市、愛知県豊川市及び富山県富山市で宅地分譲事業を行いました。また、川崎市で区分所有するマンションをリフォームし、販売しております。
海外事業については、ベトナム国で、フーリーバイパス事業や同国の建設会社と締結した戦略的パートナーシップ協定を起点として、同国への技術移転等を実施しました。また、フィリピン国の企業であるメトロパシフィック・トールウェイズと締結した技術協力協定に基づき、技術協力と同国における事業展開のための情報交換を実施しました。このほか、フィリピン国現地法人NEXCO-CENTRAL Philippines Inc.では、令和2年12月からダバオ市バイパス建設事業のトンネル設備工事等に参画し、米国現地法人NEXCO Highway Solutions of America Inc.では、舗装点検ソリューション等、道路管理に関するコンサルティング業務の受注に向け営業活動を行いました。このほか、昨年度に引き続き、タジキスタン国、ザンビア国等において4件のコンサルティング業務を実施するとともに、2件の新規事業を受注し、現地技術者の能力向上等に貢献しました。
また、技術外販事業では、「ETC多目的利用サービスの拡大」の実現に向けた検討を進め、ETC技術の活用に関し、運用実施会社と共働でドライブスルー店舗において決済サービスを試行しました。このほか、当社の国際・技術事業部及び総合安全推進部と当社連結子会社である箱根ターンパイク㈱は、同社の道路等の資産の適切な状態の維持、サービスレベルの向上を目的に令和3年3月に、アセットマネジメントシステム国際規格ISO55001の認証を取得しました。
また、平成27年2月25日に東海旅客鉄道㈱と締結した協定に基づき、中央新幹線事業に係る用地取得の支援業務を行っております。
このほか、持分法適用関連会社である中日本ファームすずなり㈱では、耕作放棄地の増加等の地域が抱える課題の解決及び地域活性化への貢献を目的に、浜松市内において、野菜(レタス及び枝豆等)の栽培を行っております。また、長距離トラックドライバーの労働環境改善を支援する取組みとして、新東名高速道路浜松サービスエリア(下り線)敷地内で中継物流拠点「コネクトエリア浜松」を遠州トラック㈱と共同で運営しております。
こうした中、営業収益は54,628百万円(前年同期比21.5%増)、営業利益は257百万円(同39.2%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
減価償却費25,949百万円、固定資産除却損1,028百万円等による増加があった一方、棚卸資産の増加額325,323百万円、売上債権の増加額108,716百万円等による減少があったため、営業活動によるキャッシュ・フローは、416,397百万円の資金支出(前年同期比63.9%増)となりました。
なお、上記棚卸資産の増加額は、その大部分が特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の増加によるものであります。かかる資産は、連結貸借対照表上は「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上され、その建設には財務活動の結果得られた資金を充てております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
固定資産の取得による支出34,352百万円等により、投資活動によるキャッシュ・フローは、34,548百万円の資金支出(前年同期比5.8%増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
道路建設関係社債発行による収入510,817百万円、その他の社債発行による収入290,898百万円等による増加があった一方、道路建設関係社債償還による支出277,412百万円、その他の社債償還による支出102,689百万円等による減少があったため、財務活動によるキャッシュ・フローは、520,977百万円の資金収入(前年同期比64.4%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ70,054百万円増加し、205,838百万円(前年同期比51.6%増)となりました。
(参考)
提出会社は、高速道路事業等会計規則第6条の規定により当事業年度(自 令和2年4月1日 至 令和3年3月31日)における「高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表」を以下のとおり作成しております。
Ⅰ 高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表
(3) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業が多く、事業の種類別セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、前記「(1)財政状態及び経営成績の状況」においてセグメントの業績に関連付けて記載しております。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項に記載した予見、見通し、所感等の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性が内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意下さい。
(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える要因
① 高速道路事業の特性
高速道路事業については、高速道路会社法及び機構法の規定により機構と平成18年3月31日付で締結した協定並びに特措法の規定による同日付事業許可に基づき、機構から道路資産を借り受けた上、道路利用者より料金を収受し、かかる料金収入から機構への賃借料及び当社が負担する管理費用の支払いに充てております(協定については後記「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等 (1)機構と締結する協定」をご参照下さい。)。
かかる協定及び事業許可においては、高速道路の公共性に鑑み当社の収受する料金には当社の利潤を含めないことが前提とされております。なお、各会計年度においては、料金収入や管理費用等の実績と当初計画との乖離等により利益又は損失が生じる場合があり、かかる利益は、将来の高速道路資産賃借料の確実な支払いを始めとする的確な事業運営に備えるため、配当等の社外流出を控え、可能な限り自己資本の充実に努めていきたいと考えております。
また、高速道路事業においては、ゴールデンウィーク等を含む上期は下期と比較して料金収入が多くなる一方、上期の費用は、雪氷対策や集中工事等の影響を受ける下期に比較して少なくなる傾向があります。
② 機構による債務引受け等
既述のとおり、当社は、特措法に基づき行う高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧を事業の一つとしており、また、当社が行うべき新設、改築、修繕又は災害復旧の対象となる高速道路は、協定の定めによるところでありますが、機構は、機構法第15条第1項に従い、当社が新設、改築、修繕又は災害復旧を行った高速道路に係る道路資産が特措法第51条第2項ないし第4項の規定により機構に帰属する時において、機構法第14条第1項の認可を受けた業務実施計画に定められた機構が当社から引き受ける新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に係る債務の限度額の範囲内で、当該高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に充てるために当社が負担した債務を引き受けることとされております。
当社と機構は、四半期分の債務引受けにつき借入金債務及び債券債務を原則としておおむね調達時期が古い順に当該四半期の翌四半期の最初の月の中旬までに一括して選定すること、債務引受けは併存的債務引受けの方法によること等、債務引受けの実際の運用について確認しております。ただし、高速道路の更新事業にかかる財政融資資金借入債務については、前述に関わらず、おおむね令和6年度ないし令和7年度を目途に債務引受けを予定しております。また、特定の目的で調達した債務は、前述に関わらず、対象資産に資金充当後、債務引受けを行う場合があります。
なお、高速道路に係る道路資産が機構に帰属し、当該資産に対応する債務が機構に引き受けられた際には、かかる資産及び債務は当社の連結財務諸表及び財務諸表に計上されないこととなりますが、当該債務について、当社は引き続き機構と連帯してその弁済の責めを負うこととされており、かかる債務の履行に関する主たる取扱いは機構が行うこととなります。
また、道路公団の民営化に伴い当社、機構、東日本高速道路㈱及び西日本高速道路㈱が承継した道路公団の債務の一部について、当社と、機構、東日本高速道路㈱及び西日本高速道路㈱との間に、連帯債務関係が生じております(民営化関係法施行法第16条)。
(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。また、当社の財務諸表は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号。以下「財務諸表等規則」といいます。)第2条の規定に基づき、同規則及び「高速道路事業等会計規則」(平成17年6月1日国土交通省令第65号)により作成しております。
かかる連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産、負債及び会計期間における収益、費用の金額並びに開示に影響を与える事項についての見積りを行う必要があります。当該見積りについては、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき判断を行い、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び仮定については、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
(3) 資本の源泉及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況等
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、前記「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、必要とする資金の調達は、営業活動のほか、社債の発行等を通じて実施いたしました。
② 資金調達の基本方針
資金調達の基本的な考え方は、低利安定的な調達を目指し、社債の発行による調達を優先し、補完的に金融機関からの借入金による調達を行います。ただし、金融市場の環境等により社債発行が困難な場合は、借入金の比率を高めることがあります。
③ 資金需要の主な内容
当社グループの今後の資金需要として主なものは、協定に基づく機構への賃借料に加え、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の建設資金及び事業用設備に係る設備投資資金であり、かかる資産及び設備の概要については後記「第一部 企業情報 第3 設備の状況」に記載しております。
(4) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績の分析
(収益及び損益の状況)
当連結会計年度における全事業の営業収益は875,514百万円(前年同期比15.1%減)、営業費用は881,419百万円(同13.3%減)、営業損失は5,905百万円(前年同期は営業利益14,345百万円)、経常損失は3,810百万円(前年同期は経常利益16,323百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は6,388百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益11,167百万円)となり、前連結会計年度と比較すると減収・減益となりました。
② 財政状況の分析
(「資産の部」の状況)
当連結会計年度末における資産合計は2,148,655百万円(前年同期比31.5%増)となり、514,882百万円増加しました。流動資産は、「仕掛道路資産」が増加したこと等により、1,830,308百万円(同38.2%増)となりました。固定資産は、減価償却による減少がある一方、ETC設備の更新による増加があったこと等により、316,699百万円(同2.8%増)となりました。繰延資産は1,647百万円(同32.8%増)となりました。
(「負債の部」の状況)
当連結会計年度末における負債合計は1,897,268百万円(前年同期比37.7%増)となり、518,989百万円増加しました。流動負債は、「1年以内償還予定社債」が増加したこと等により、436,437百万円(同27.4%増)となりました。固定負債は、「道路建設関係社債」が増加したこと等により、1,460,830百万円(同41.0%増)となりました。
(「純資産の部」の状況)
当連結会計年度末における純資産合計は、「利益剰余金」が減少したこと等により、251,386百万円(前年同期比1.6%減)となりました。
③ セグメントごとの分析
当連結会計年度のセグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。
(高速道路事業)
当連結会計年度における高速道路事業の営業収益は799,861百万円(前年同期比16.2%減)となりました。これは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い料金収入が減少したことや、新東名高速道路御殿場ジャンクション~浜松いなさジャンクション間の6車線化事業の完成等があったもののネットワークを形成する新規開通がなかったことにより道路資産完成高が減少したことによるものです。営業費用は、協定に基づく機構への賃借料の減少、道路資産完成原価の減少等により、801,969百万円(同15.1%減)となり、営業損失は2,108百万円(前年同期は営業利益10,054百万円)となりました。なお、管理費用等は、高速道路施設の点検や維持修繕等の業務を着実に執行したことや雪氷対策費用が増加したことから、前連結会計年度より増加しております。
当連結会計年度末における高速道路事業のセグメント資産は1,684,208百万円(同35.1%増)、セグメント負債は1,496,735百万円(同46.3%増)となりました。
(休憩所事業)
当連結会計年度における休憩所事業の営業収益は21,057百万円(前年同期比33.7%減)となりました。これは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により店舗売上が減少したことによるものです。営業費用は、店舗売上の減少に伴う売上原価の減少や商業施設の修繕費の減少等により、25,118百万円(同10.0%減)となりました。その結果、当連結会計年度における休憩所事業の営業損失は4,060百万円(前年同期は営業利益3,855百万円)となりました。
当連結会計年度末における休憩所事業のセグメント資産は170,461百万円(同3.6%減)となりました。
(その他(関連)事業)
当連結会計年度におけるその他(関連)事業の営業収益は54,628百万円(前年同期比21.5%増)、営業費用は54,370百万円(同22.1%増)となりました。これらは、国・地方公共団体から受託した工事の出来高の増加により収益及び費用が増加したことによるものです。一方、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により店舗売上が減少したこと等もあり、営業利益は257百万円(同39.2%減)となりました。
当連結会計年度末におけるその他(関連)事業のセグメント資産は21,299百万円(同11.2%減)、セグメント負債は50,504百万円(前年同期は525百万円)となりました。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による消費の落ち込み等により非常に厳しい状況となりました。
一方、高速道路ネットワークの早期整備や、計画的な老朽化対策の推進、災害に対する強靭性・対応力の強化、地域振興の核となるサービスエリアの展開等、当社グループが果たすべき社会的使命は、一層重くなっています。
このような中、当社グループは、少子高齢化や労働人口の減少、社会インフラの老朽化、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の高度化等、今後の社会環境の大きな変化を見据え、民営化20年に向けて進むべき方向性を示した「経営計画チャレンジV 2016-2020」の最終年度を迎え、新型コロナウイルス感染予防対策を徹底しながら、4つの経営方針「高速道路の安全性向上と機能強化の不断の取組み」、「安全・快適を高める技術開発の推進」、「社会・経済の変化も見据えた地域活性化への貢献」、「社会の要請に応え続けるための経営基盤の強化」に基づく取組みを着実に進めるとともに、令和2年度までの取組みを踏まえ、令和3年度からの次期5カ年の方向性を示した「経営計画チャレンジⅤ 2021-2025」を策定しました。さらに、経営方針を実現するため、高速道路の機能強化、車の自動運転等のイノベーションに対応した高速道路の進化等を定めた「高速道路における安全・安心実施計画」に基づき、高速道路の安全性、信頼性や使いやすさの向上に取り組んでまいりました。
高速道路の安全性向上と機能強化については、平成24年12月2日に発生した中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故を受けて策定した「安全性向上3カ年計画」の成果を踏まえた今後の取組み方針「安全性向上への『5つの取組み方針』」に基づき、当社グループ一体となって「安全を最優先とする企業文化の醸成」、「道路構造物の経年劣化や潜在的リスクに対応した業務プロセスの継続的改善」、「安全活動の推進」、「安全を支える人財の育成」、「安全性向上に向けた着実かつ効率的な事業の推進」に取り組んでまいりました。また、「笹子トンネル天井板崩落事故を風化させない」、「二度とこのような事故を起こしてはならない」という安全意識の維持向上を目的として、令和3年3月、東京都八王子市に安全研修施設「安全啓発館」を設置しました。当研修施設により、リスクの感度を高め、安全を最優先して自律的に行動できる人財を育成してまいります。引き続き「安全性向上への『5つの取組み方針』」を着実に進めていくとともに、新たに事業化された暫定2車線区間の4車線化や中京圏の新たな高速道路料金の導入による交通流動の最適化等を推進し、道路ネットワーク全体としてその機能を時間的・空間的に最大限に発揮する取組みも進めてまいります。
技術開発については、高速道路の安全性向上と機能強化の取組みを更に高度化・効率化していくため、点検の高度化、老朽化した高速道路を健全にするための技術や、路上作業における安全性向上につながる技術開発及びICTやAI(Artificial Intelligence:人工知能)の導入にグループ一体となって取り組んでまいりました。また、車の自動運転の実現と普及に向け、道路と車の通信により交通規制や落下物等の道路情報をより早くより正確に提供する新たなITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)の開発に官民協働で取り組むとともに、運転制御、操作支援技術の開発や、維持管理車両の自動運転化の研究開発を進めています。
地域の活性化や課題解決への貢献については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により活動が制限される中、高速道路の利用増を地域の観光消費に直結させるドライブプラン(高速道路周遊パスと観光施設の利用券等をセットにした旅行商品)の販売等の地域観光振興、複合商業施設の運営や耕作放棄地を活用した農業事業の展開等の地域活性化、自治体への新型コロナウイルス感染予防対策支援物資の提供、災害時の協力体制の構築や地域見守り活動への参画等の地域の防災、防犯等に取り組んでまいりました。また、訪日外国人旅行者に安心して便利に高速道路をご利用いただけるよう、標識に路線番号を用いて案内するナンバリングを概成させるとともに、案内表示の多言語化や休憩施設での案内ピクトサインの整備を進めています。
経営基盤の強化については、業務プロセスの見直しや業務システムの構築、改修による業務効率化や、自律的に考え行動する人財の育成等を通して、グループ全体の生産性向上に取り組んでいます。また、新型コロナウイルス感染予防対策として、お客さまと当社グループ社員の感染防止及び事業継続計画(BCP)の観点から、リモートワークを活用した在宅勤務やサテライトオフィスでの勤務を推奨するとともに、執務室や会議室における飛沫防止対策を行う等、「新しい生活様式」に即した業務体制を確立しました。
引き続き、お客さまに安心して高速道路をご利用いただけるよう、「経営計画チャレンジⅤ 2021-2025」の4つの経営方針に基づく取組みを着実に実施していくとともに、「高速道路における安全・安心実施計画」に基づく施策を着実に進め、高速道路の更なる安全性向上に努めてまいります。また、中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故を決して忘れることなく、事故のご遺族の皆さまや被害に遭われた皆さまに真摯に対応してまいります。
そのほか、令和2年11月4日に公表した、橋梁の耐震補強工事で鉄筋が不足する施工不良事案については、令和2年11月16日に事案の原因究明のための調査と再発防止のあり方の提言を行うための外部有識者による「E20 中央道を跨ぐ橋梁の耐震補強工事施工不良に関する調査委員会」を設置しました。
当該調査委員会からの「中間とりまとめ」を受け、令和2年12月28日に「当面の再発防止策」を策定、公表するとともに、当該再発防止策に取り組んでいます。また、その後の調査により得られた新たな事実・検証結果に基づく実効性のある再発防止策について、今後も追加、改善を加えたうえで取り組んでまいります。
こうした中、当連結会計年度の営業収益は875,514百万円(前年同期比15.1%減)、営業損失は5,905百万円(前年同期は営業利益14,345百万円)、経常損失は3,810百万円(前年同期は経常利益16,323百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は6,388百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益11,167百万円)となりました。
当連結会計年度のセグメント別の業績は、以下のとおりです。
(高速道路事業)
建設事業については、経営方針の最上位である「高速道路の安全性向上と機能強化の不断の取組み」のもと、高速道路ネットワークの整備を着実かつ効率的に進め、地域の期待に応えるため、ミッシングリンクの解消や機能強化を行いました。当連結会計年度においては、新東名高速道路御殿場ジャンクション~浜松いなさジャンクション間約145㎞の6車線化事業について、令和2年12月22日に全線完成させました。また、東海北陸自動車道白川郷インターチェンジ~小矢部砺波ジャンクション間の4車線化事業について、令和2年11月7日に城端サービスエリア~福光インターチェンジ間の上下線2.3㎞を完成させるとともに、残る区間についても着実に推進しています。
当連結会計年度において推進したその他の建設事業としては、新東名高速道路伊勢原大山インターチェンジ~新御殿場インターチェンジ間、東京外かく環状道路中央ジャンクション(仮称)~東名ジャンクション(仮称)間、東海環状自動車道山県インターチェンジ~大野神戸インターチェンジ間及び養老インターチェンジ~大安インターチェンジ間の新設事業、新名神高速道路亀山西ジャンクション~甲賀土山インターチェンジ間の6車線化事業並びに東海環状自動車道土岐ジャンクション~美濃加茂インターチェンジ間及び紀勢自動車道大宮大台インターチェンジ~紀勢大内山インターチェンジ間の4車線化事業が挙げられます。また、新東名高速道路新御殿場インターチェンジ~御殿場ジャンクション間は令和3年4月10日、名古屋第二環状自動車道名古屋西ジャンクション~飛島ジャンクション間は令和3年5月1日に開通することを、令和3年2月19日及び同月26日にそれぞれ公表しています。
お客さまの利便性の向上と地域の活性化のため、6箇所のスマートインターチェンジ(東名高速道路豊田上郷スマートインターチェンジ(愛知県豊田市)、同綾瀬スマートインターチェンジ(神奈川県綾瀬市)、中央自動車道談合坂スマートインターチェンジ(山梨県上野原市)、同座光寺スマートインターチェンジ(長野県飯田市)、北陸自動車道上市スマートインターチェンジ(富山県中新川郡上市町)、首都圏中央連絡自動車道厚木PAスマートインターチェンジ(神奈川県厚木市))及び1箇所の地域活性化インターチェンジ(東海北陸自動車道一宮稲沢北インターチェンジ(愛知県一宮市))を開通させました。
また、モデル事務所においてICT活用工事や3次元モデルを活用した調査・測量・設計にも取り組む等、建設生産システム全体の生産性向上を図り、もって魅力ある建設現場を目指す「i-Construction」を推進しています。
保全・サービス事業については、近年、頻発化・激甚化する自然災害、少子高齢化や労働人口の急速な減少、ICT分野における急速な技術革新等、目まぐるしく変化する社会環境に対応するため、「安全を何よりも優先」を経営理念とし、「高速道路の安全性向上と機能強化の不断の取組み」を経営方針の最上位に掲げ、様々な取組みを行っています。高速道路は、人々の生活に深く根ざし、永く将来にわたり我が国の文化・産業の発展に寄与する重要な社会基盤です。安全を最優先に、信頼性の高い高速道路ネットワークとお客さまに満足いただけるサービスを24時間365日提供するため、高速道路の点検や、維持・補修・修繕等、次のような取組みを行いました。
道路構造物等の点検に関しては、日々の高速道路の巡回による点検を行っているほか、橋梁やトンネルについては、平成26年度に改正された道路法施行令を踏まえた「保全点検要領(構造物編)」に則り、5年に1度、近接目視等による詳細点検を行っています。また、変状が確認された構造物は、計画的に補修を進めています。
高速道路ネットワークを健全な状態で次世代に引き継ぐため、高速道路リニューアルプロジェクトにおいて、構造物を最新の技術で再施工又は補修・補強し、建設当初と同等以上の性能・機能へ回復させることによって、高速道路ネットワークの機能を長く健全に保つよう取り組んでいます。
平成28年4月に発生した熊本地震における橋梁の被災状況を踏まえ、緊急輸送道路としての機能を速やかに回復し、お客さまに安心してご利用いただけるよう、橋梁の耐震補強を計画的に進めています。
道路構造物の劣化に多大な影響を与え、重大な交通事故に繋がるおそれのある重量超過等の車両制限令に違反する車両に対しては、取締りを強化し、悪質な違反者に対する刑事告発、大口・多頻度割引停止措置等を講ずるとともに、自動計測装置の整備による常時取締りに取り組みました。
交通事故対策としては、暫定2車線区間における正面衝突事故防止のため、これまでのラバーポールに代えて一部区間で設置したワイヤーロープについて、検証結果を踏まえ、土工区間への本格整備に取り組みました。
また、逆走重大事故ゼロを実現するため、民間から公募した技術等の現地展開を進めるとともに、交通安全啓発に取り組みました。
渋滞対策として、東名高速道路(大和トンネル付近、東名三好インターチェンジ付近)、中央自動車道(小仏トンネル付近、相模湖バスストップ付近、三鷹バスストップ付近)及び名神高速道路(一宮ジャンクション付近)の付加車線設置事業について着実に推進しました。また、休憩施設における駐車場の混雑対策として、駐車マスの拡充や混雑情報提供の充実にも取り組んでいます。
大規模災害時の対応力強化については、国の「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画」等に則り、高速道路ネットワークを活用した迅速な緊急輸送ルートを確保するため、参集拠点等に大規模災害時に備えた資機材の備蓄を行っています。また、防災訓練やお客さまの安全確保を目的に避難誘導訓練を実施し、訓練により顕在化した課題への対応、関係機関との連携強化等に努めています。
大雪等荒天時の通行確保として、除雪体制の強化、立ち往生車両を早期に発見するための監視カメラの増設、救援車両の配備、大雪事前広報、関係機関との連携強化等に取り組みました。加えて、短期間の集中的な大雪時には、人命を最優先に大規模な車両滞留を回避すべく関係機関と連携し事前通行止めを実施しました。
新型コロナウイルス感染予防対策については、「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を策定し、お客さまと接する社員等は、手指の消毒やマスク着用の徹底等様々な感染予防対策を講じながら、高速道路を利用されるお客さまへの感染予防に取り組みました。
さらに、先端のICT技術・ロボティクス技術の導入等により、人口減少やデジタル技術の進展等による社会環境の変化、お客さまニーズの多様化を踏まえた情報提供の高度化等、当社グループを取り巻く環境の変化に対応しつつ、高速道路モビリティの進化に貢献する革新的なプロジェクト「i-MOVEMENT(アイムーブメント)」を推進しています。また、当プロジェクトの実現のため、コンソーシアム方式によりオープンイノベーションを推進する組織として設立した「イノベーション交流会」において、「高速道路のモビリティマネジメント」、「高速道路のインフラマネジメント」及び「現場オペレーションの高度化」の各テーマに関し、提案された技術の高速道路保全マネジメントへの適用性の実証に取り組んでいます。
こうした中、営業収益は799,861百万円(前年同期比16.2%減)、営業損失は2,108百万円(前年同期は営業利益10,054百万円)となりました。
営業収益の減少は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う料金収入の減少や、新東名高速道路御殿場ジャンクション~浜松いなさジャンクション間の6車線化事業の完成等があったもののネットワークを形成する新規開通がなかったことにより道路資産完成高が減少したことによるものです。ただし、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき機構に帰属する道路資産は、道路資産完成原価と同額を道路資産完成高として計上するため、損益に影響しません。
なお、当連結会計年度における通行料金収入は576,243百万円(前年同期比16.5%減)でした。
(休憩所事業)
休憩所事業については、地域の特色を活かした店舗づくり、魅力ある商品の販売、様々なニーズに応えるサービスの導入を進めるとともに、地域活性化や地域社会との連携強化にも取り組む等、特徴と魅力あるサービスエリアづくりを展開しました。
新型コロナウイルス感染予防対策として、緊急事態宣言に伴う自治体からの要請に基づく一部店舗の営業時間の短縮や営業休止、お客さまが安全に、安心して店舗をご利用いただけるよう、国が発表した「新しい生活様式」に対応した店舗の定期的な消毒やレジ待ち位置の明示、客席の間隔確保等の取組みを行いました。また、人との接触機会を削減するため、モバイルオーダーシステムや高速道路で初となるドライブスルー形式店舗の試行導入を行いました。
東名高速道路海老名サービスエリア(下り線)は、「EXPASA海老名(下り線)」として、グランドオープンしました。ショッピングコーナーを拡張したほか、フードコートではそば店や、ラーメン店の店舗数を増やし選ぶ楽しみを広げるとともに、利便性向上のため座席数も増やしました。また、伊勢自動車道安濃サービスエリア(下り線)と北陸自動車道小矢部川サービスエリア(上り線)も、それぞれリニューアルオープンしました。お客さまニーズを踏まえ、地元食材を使用した商品の提供や、コンビニエンスストアの新設等を行い、利便性を向上させました。このほか、東名高速道路豊田上郷サービスエリア(下り線)に、簡易宿泊施設「ファーストラウンジ豊田上郷」がオープンしました。ラウンジスペースやコインシャワー等のサービスを提供し、宿泊以外のお客さまもご利用いただけます。ラウンジ付き簡易宿泊施設の設置は高速道路で初めてです。
このほか、商業施設において、地元農産物の販売、地域食材を使用した地産地消メニューの充実、産学連携による新商品の開発・販売を行い、地域活性化や地域社会との連携強化にも取り組みました。
また、連結子会社である艾客思國際股份有限公司は、台湾のフォルモサ高速公路の清水サービスエリアの運営を行っており、日本のお土産品の販売や、名古屋めしのひつまぶし店、味噌カツ店を誘致し、好評を得ています。
こうした中、営業収益は21,057百万円(前年同期比33.7%減)、営業損失は4,060百万円(前年同期は営業利益3,855百万円)となりました。
(その他(関連)事業)
その他(関連)事業については、観光振興事業、地域開発事業、海外事業等を営んでおります。様々な事業の展開により、経営基盤の強化を進めるとともに、社会・経済の変化を見据えた地域活性化や、海外での国際交流・国際貢献等に取り組んでおります。
観光振興事業については、地方自治体と連携した高速道路の周遊エリア内が定額で乗り放題となるドライブプラン(企画割引)の販売を拡充しました。また、88の観光施設及び62の宿泊施設と連携し、高速道路と観光施設及び宿泊施設の利用券やサービスエリア・パーキングエリアのお買物券をセットにした商品を販売しました。しかしながら、国による緊急事態宣言が発出されている期間は、ドライブプランの販売を一時休止しました。
地域開発事業については、東海環状自動車道土岐南多治見インターチェンジに隣接する複合商業施設「テラスゲート土岐」の温浴施設と物販店舗は、岐阜県独自の非常事態宣言発出中は一時休業しました。宣言解除後は新型コロナウイルス感染予防対策を徹底したうえで営業を再開し、地元で有名なパン屋とホテル「よりみちの宿」を誘致し誘客に努めました。また、社宅の跡地を活用して東京都町田市、浜松市、三重県津市、三重県桑名市、愛知県豊川市及び富山県富山市で宅地分譲事業を行いました。また、川崎市で区分所有するマンションをリフォームし、販売しております。
海外事業については、ベトナム国で、フーリーバイパス事業や同国の建設会社と締結した戦略的パートナーシップ協定を起点として、同国への技術移転等を実施しました。また、フィリピン国の企業であるメトロパシフィック・トールウェイズと締結した技術協力協定に基づき、技術協力と同国における事業展開のための情報交換を実施しました。このほか、フィリピン国現地法人NEXCO-CENTRAL Philippines Inc.では、令和2年12月からダバオ市バイパス建設事業のトンネル設備工事等に参画し、米国現地法人NEXCO Highway Solutions of America Inc.では、舗装点検ソリューション等、道路管理に関するコンサルティング業務の受注に向け営業活動を行いました。このほか、昨年度に引き続き、タジキスタン国、ザンビア国等において4件のコンサルティング業務を実施するとともに、2件の新規事業を受注し、現地技術者の能力向上等に貢献しました。
また、技術外販事業では、「ETC多目的利用サービスの拡大」の実現に向けた検討を進め、ETC技術の活用に関し、運用実施会社と共働でドライブスルー店舗において決済サービスを試行しました。このほか、当社の国際・技術事業部及び総合安全推進部と当社連結子会社である箱根ターンパイク㈱は、同社の道路等の資産の適切な状態の維持、サービスレベルの向上を目的に令和3年3月に、アセットマネジメントシステム国際規格ISO55001の認証を取得しました。
また、平成27年2月25日に東海旅客鉄道㈱と締結した協定に基づき、中央新幹線事業に係る用地取得の支援業務を行っております。
このほか、持分法適用関連会社である中日本ファームすずなり㈱では、耕作放棄地の増加等の地域が抱える課題の解決及び地域活性化への貢献を目的に、浜松市内において、野菜(レタス及び枝豆等)の栽培を行っております。また、長距離トラックドライバーの労働環境改善を支援する取組みとして、新東名高速道路浜松サービスエリア(下り線)敷地内で中継物流拠点「コネクトエリア浜松」を遠州トラック㈱と共同で運営しております。
こうした中、営業収益は54,628百万円(前年同期比21.5%増)、営業利益は257百万円(同39.2%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
減価償却費25,949百万円、固定資産除却損1,028百万円等による増加があった一方、棚卸資産の増加額325,323百万円、売上債権の増加額108,716百万円等による減少があったため、営業活動によるキャッシュ・フローは、416,397百万円の資金支出(前年同期比63.9%増)となりました。
なお、上記棚卸資産の増加額は、その大部分が特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の増加によるものであります。かかる資産は、連結貸借対照表上は「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上され、その建設には財務活動の結果得られた資金を充てております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
固定資産の取得による支出34,352百万円等により、投資活動によるキャッシュ・フローは、34,548百万円の資金支出(前年同期比5.8%増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
道路建設関係社債発行による収入510,817百万円、その他の社債発行による収入290,898百万円等による増加があった一方、道路建設関係社債償還による支出277,412百万円、その他の社債償還による支出102,689百万円等による減少があったため、財務活動によるキャッシュ・フローは、520,977百万円の資金収入(前年同期比64.4%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ70,054百万円増加し、205,838百万円(前年同期比51.6%増)となりました。
(参考)
提出会社は、高速道路事業等会計規則第6条の規定により当事業年度(自 令和2年4月1日 至 令和3年3月31日)における「高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表」を以下のとおり作成しております。
Ⅰ 高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表
| 令和2年4月1日から令和3年3月31日まで |
| (単位:百万円) | |||||
| 1. | 営業収益 | ||||
| 料金収入 | 576,260 | ||||
| 道路資産完成高 | 222,769 | ||||
| 受託業務収入 | 3 | ||||
| その他の売上高 | 646 | 799,680 | |||
| 2. | 営業外収益 | ||||
| 受取利息 | 26 | ||||
| 受取配当金 | 899 | ||||
| 物品売却益 | 0 | ||||
| 土地物件貸付料 | 103 | ||||
| 雑収入 | 453 | 1,483 | |||
| 3. | 特別利益 | ||||
| 固定資産売却益 | 202 | 202 | |||
| 高速道路事業営業収益等合計 | 801,366 |
(3) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業が多く、事業の種類別セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、前記「(1)財政状態及び経営成績の状況」においてセグメントの業績に関連付けて記載しております。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項に記載した予見、見通し、所感等の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性が内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意下さい。
(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える要因
① 高速道路事業の特性
高速道路事業については、高速道路会社法及び機構法の規定により機構と平成18年3月31日付で締結した協定並びに特措法の規定による同日付事業許可に基づき、機構から道路資産を借り受けた上、道路利用者より料金を収受し、かかる料金収入から機構への賃借料及び当社が負担する管理費用の支払いに充てております(協定については後記「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等 (1)機構と締結する協定」をご参照下さい。)。
かかる協定及び事業許可においては、高速道路の公共性に鑑み当社の収受する料金には当社の利潤を含めないことが前提とされております。なお、各会計年度においては、料金収入や管理費用等の実績と当初計画との乖離等により利益又は損失が生じる場合があり、かかる利益は、将来の高速道路資産賃借料の確実な支払いを始めとする的確な事業運営に備えるため、配当等の社外流出を控え、可能な限り自己資本の充実に努めていきたいと考えております。
また、高速道路事業においては、ゴールデンウィーク等を含む上期は下期と比較して料金収入が多くなる一方、上期の費用は、雪氷対策や集中工事等の影響を受ける下期に比較して少なくなる傾向があります。
② 機構による債務引受け等
既述のとおり、当社は、特措法に基づき行う高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧を事業の一つとしており、また、当社が行うべき新設、改築、修繕又は災害復旧の対象となる高速道路は、協定の定めによるところでありますが、機構は、機構法第15条第1項に従い、当社が新設、改築、修繕又は災害復旧を行った高速道路に係る道路資産が特措法第51条第2項ないし第4項の規定により機構に帰属する時において、機構法第14条第1項の認可を受けた業務実施計画に定められた機構が当社から引き受ける新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に係る債務の限度額の範囲内で、当該高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に充てるために当社が負担した債務を引き受けることとされております。
当社と機構は、四半期分の債務引受けにつき借入金債務及び債券債務を原則としておおむね調達時期が古い順に当該四半期の翌四半期の最初の月の中旬までに一括して選定すること、債務引受けは併存的債務引受けの方法によること等、債務引受けの実際の運用について確認しております。ただし、高速道路の更新事業にかかる財政融資資金借入債務については、前述に関わらず、おおむね令和6年度ないし令和7年度を目途に債務引受けを予定しております。また、特定の目的で調達した債務は、前述に関わらず、対象資産に資金充当後、債務引受けを行う場合があります。
なお、高速道路に係る道路資産が機構に帰属し、当該資産に対応する債務が機構に引き受けられた際には、かかる資産及び債務は当社の連結財務諸表及び財務諸表に計上されないこととなりますが、当該債務について、当社は引き続き機構と連帯してその弁済の責めを負うこととされており、かかる債務の履行に関する主たる取扱いは機構が行うこととなります。
また、道路公団の民営化に伴い当社、機構、東日本高速道路㈱及び西日本高速道路㈱が承継した道路公団の債務の一部について、当社と、機構、東日本高速道路㈱及び西日本高速道路㈱との間に、連帯債務関係が生じております(民営化関係法施行法第16条)。
(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。また、当社の財務諸表は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号。以下「財務諸表等規則」といいます。)第2条の規定に基づき、同規則及び「高速道路事業等会計規則」(平成17年6月1日国土交通省令第65号)により作成しております。
かかる連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産、負債及び会計期間における収益、費用の金額並びに開示に影響を与える事項についての見積りを行う必要があります。当該見積りについては、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき判断を行い、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び仮定については、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
(3) 資本の源泉及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況等
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、前記「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、必要とする資金の調達は、営業活動のほか、社債の発行等を通じて実施いたしました。
② 資金調達の基本方針
資金調達の基本的な考え方は、低利安定的な調達を目指し、社債の発行による調達を優先し、補完的に金融機関からの借入金による調達を行います。ただし、金融市場の環境等により社債発行が困難な場合は、借入金の比率を高めることがあります。
③ 資金需要の主な内容
当社グループの今後の資金需要として主なものは、協定に基づく機構への賃借料に加え、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の建設資金及び事業用設備に係る設備投資資金であり、かかる資産及び設備の概要については後記「第一部 企業情報 第3 設備の状況」に記載しております。
(4) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績の分析
(収益及び損益の状況)
当連結会計年度における全事業の営業収益は875,514百万円(前年同期比15.1%減)、営業費用は881,419百万円(同13.3%減)、営業損失は5,905百万円(前年同期は営業利益14,345百万円)、経常損失は3,810百万円(前年同期は経常利益16,323百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は6,388百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益11,167百万円)となり、前連結会計年度と比較すると減収・減益となりました。
② 財政状況の分析
(「資産の部」の状況)
当連結会計年度末における資産合計は2,148,655百万円(前年同期比31.5%増)となり、514,882百万円増加しました。流動資産は、「仕掛道路資産」が増加したこと等により、1,830,308百万円(同38.2%増)となりました。固定資産は、減価償却による減少がある一方、ETC設備の更新による増加があったこと等により、316,699百万円(同2.8%増)となりました。繰延資産は1,647百万円(同32.8%増)となりました。
(「負債の部」の状況)
当連結会計年度末における負債合計は1,897,268百万円(前年同期比37.7%増)となり、518,989百万円増加しました。流動負債は、「1年以内償還予定社債」が増加したこと等により、436,437百万円(同27.4%増)となりました。固定負債は、「道路建設関係社債」が増加したこと等により、1,460,830百万円(同41.0%増)となりました。
(「純資産の部」の状況)
当連結会計年度末における純資産合計は、「利益剰余金」が減少したこと等により、251,386百万円(前年同期比1.6%減)となりました。
③ セグメントごとの分析
当連結会計年度のセグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。
(高速道路事業)
当連結会計年度における高速道路事業の営業収益は799,861百万円(前年同期比16.2%減)となりました。これは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い料金収入が減少したことや、新東名高速道路御殿場ジャンクション~浜松いなさジャンクション間の6車線化事業の完成等があったもののネットワークを形成する新規開通がなかったことにより道路資産完成高が減少したことによるものです。営業費用は、協定に基づく機構への賃借料の減少、道路資産完成原価の減少等により、801,969百万円(同15.1%減)となり、営業損失は2,108百万円(前年同期は営業利益10,054百万円)となりました。なお、管理費用等は、高速道路施設の点検や維持修繕等の業務を着実に執行したことや雪氷対策費用が増加したことから、前連結会計年度より増加しております。
当連結会計年度末における高速道路事業のセグメント資産は1,684,208百万円(同35.1%増)、セグメント負債は1,496,735百万円(同46.3%増)となりました。
(休憩所事業)
当連結会計年度における休憩所事業の営業収益は21,057百万円(前年同期比33.7%減)となりました。これは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により店舗売上が減少したことによるものです。営業費用は、店舗売上の減少に伴う売上原価の減少や商業施設の修繕費の減少等により、25,118百万円(同10.0%減)となりました。その結果、当連結会計年度における休憩所事業の営業損失は4,060百万円(前年同期は営業利益3,855百万円)となりました。
当連結会計年度末における休憩所事業のセグメント資産は170,461百万円(同3.6%減)となりました。
(その他(関連)事業)
当連結会計年度におけるその他(関連)事業の営業収益は54,628百万円(前年同期比21.5%増)、営業費用は54,370百万円(同22.1%増)となりました。これらは、国・地方公共団体から受託した工事の出来高の増加により収益及び費用が増加したことによるものです。一方、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により店舗売上が減少したこと等もあり、営業利益は257百万円(同39.2%減)となりました。
当連結会計年度末におけるその他(関連)事業のセグメント資産は21,299百万円(同11.2%減)、セグメント負債は50,504百万円(前年同期は525百万円)となりました。