有価証券報告書-第14期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/26 11:11
【資料】
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【項目】
151項目

対処すべき課題

高速道路は我が国の大動脈として生活・経済活動に欠かせない重要インフラであり、当社グループは24時間365
日、この高速道路の機能・サービスを間断なく提供する使命を担っています。当社グループは、リスクマネジメントを徹底し、高速道路の安全・安心を最優先に、お客さまの満足度を高め、地域の発展に寄与することにより、社会から信頼され成長する企業グループを目指して事業を進めています。
また、以下の重要施策をはじめとする平成28年度から令和2年度までの5箇年の中期経営計画2020を策定し、グループ一丸となって推進していきます。
・高速道路の安全・安心を長期にわたり確保するため、技術の高度化・効率化を図り、適切な点検・補修等を継続
的に進めます。また、老朽化した道路構造物の特定更新等工事を着実に実行します。
・工事中の安全管理を含めた事業リスクマネジメントの更なる強化を図っていきます。また、将来の大規模災害に
備え、耐震性の向上、対応力の強化を図っていきます。
・日本の新たな大動脈として新名神高速道路の令和5年度全線開通を目指します。また、4車線化事業などのネ
ットワーク機能強化を着実に進めます。
・お客さまと地域の皆さまに愛されるSA・PAづくりを推進します。
これらを踏まえ、以下のとおり課題に取り組んでいきます。
(災害対応力の強化)
平成30年6月の大阪府北部を震源とする地震、想定を超えた広範囲の甚大災害をもたらした平成30年7月豪雨、平成30年9月の台風21号等、数々の災害対応の経験を踏まえ、防災体制を強化するとともに、災害時における作業の標準化及び効率化を図るべく簡便に参照できる業務必携を作成しました。これにより、災害発生時にはお客さまの安全確保を第一に速やかな緊急車両通行の確保と高速道路機能の回復を行い、被災地域の復旧、復興及び救援活動に貢献します。
今後は、原発事故や火山災害などの個別事象への対応についてもBCP(災害対応計画)の見直しを行うなど、引き続き災害対応力の更なる強化に向け取り組んでいきます。また、防災活動についての社内規程等の見直しを行い、実務や訓練などを通して当社グループの危機対応能力の向上を図っていきます。
(100%の安全・安心への挑戦)
100年後もお客さまに安心してご利用いただける高速道路の実現を目指して、構造物の損傷及び劣化箇所の早期の補修実施とともに高速道路リニューアルプロジェクトに引き続き取り組んでいきます。
また、老朽化に伴い構築物の変状が増加傾向にあり、コンクリートのはく落事象や舗装路面のポットホール等によるお客さま等への被害リスクも増加していることから、事前に対処することで突発事象の発生の抑制やコストの削減を図る「予防保全」を進めます。さらに、原形復旧により機能の保持を行うことから、高耐久化・高度化やメンテナンスイージー化を図り、補修サイクル等の改善や作業効率を図る「強化修繕」を進めます。
これらにより、当社グループ一丸となり100%の安全・安心を追求していきます。
(高速道路ネットワークの機能強化)
日本の産業と社会を支え続けてきた名神高速道路を多重化し、日本の大動脈である高速道路の信頼性を格段に高めるべく、「未来につなぐ信頼の道」新名神高速道路(大津ジャンクション~城陽ジャンクション、八幡京田辺ジャンクション~高槻ジャンクション)の整備を、安全対策を確実に行いながら、計画的かつ着実に推進します。
また、高速道路ネットワークの機能を最大限発揮させるべく、鋭意事業を進めている四国横断自動車道(徳島東インターチェンジ~徳島ジャンクション)、播磨自動車道(播磨新宮インターチェンジ~山崎ジャンクション)、第二神明道路(永井谷ジャンクション~石ヶ谷ジャンクション)、大和北道路(奈良北インターチェンジ~郡山下ツ道ジャンクション)等の高速道路網が繋がっていない区間を整備していきます。また、ダブル連結トラックやトラック隊列走行の実現を見据え、物流の効率化に資する新名神高速道路(甲賀土山インターチェンジ~大津ジャンクション)の6車線化や、重要インフラの緊急点検を踏まえ、暫定2車線区間の機能強化による防災及び減災対策のため広島呉道路(坂北インターチェンジ~呉インターチェンジ)の4車線化等を推進していきます。
(工事の安全対策の強化について)
「工事安全に関する社員教育の充実」、「重大事故リスクアセスメント」、「安全協議会活動の強化」の3点を柱としてPDCAサイクルを回す「重大事故リスクマネジメントシステム」の取組みを継続的に実施し、受発注者一体となり工事の安全性を向上させ、重大事故の撲滅を目指します。
(お客さまの満足度の更なる向上)
SA・PAでは、国内外のお客さまに「楽しくにぎわいを実感いただける施設」に進化させ、新たなサービスを展開していきます。
店舗の老朽化に対応するため、計画的な建替え及び改良等の実施を行うとともに、利用しやすい店舗づくりや、地域性や交通特性を踏まえた、エリア毎のお客さまニーズにあった品揃え等により、「くつろぎ、楽しさ、にぎわい」の空間を創造し、お客さまの期待を超えた価値の提供に努めていきます。
また、海外のお客さまの受け入れ環境の整備のため、Free Wi-Fiや外国語表記対応、エリアの免税店化、QRコード等によるモバイル決済サービスの導入等、ハード、ソフト面での受入環境を整備し、インバウンド対応の高度化を目指します。
駐車場が慢性的に混雑しているSA・PAについては、駐車マスの増設、駐車場混雑案内情報板の設置などのサービス向上の取組みを進めていきます。
(働き方改革、生産性向上及び技術力向上に向けた取組み)
高速道路は我が国の大動脈として生活及び経済活動に欠かせない重要インフラであり、これまで以上の安全・安心に向けた社会的役割を果たしていくことが求められている中で、高速道路における安全・安心と社員の健康及び安全の両立が重要な経営課題です。事業執行と経営資源のバランスを図るため、事業優先順位を明らかにし、業務執行体制の更なる強化及び生産性向上への徹底した取組みを行うとともに、システムによる労働時間の正確な把握の徹底、多様な労働時間制度や休暇制度の充実等により労働安全衛生面を強化し、社員が健康的に能力を最大限発揮できる環境を整えていきます。
加えて、各業務必携や手順書を整備し業務の効率化を図るとともに、実物供試体を含む研修教材の更なる充実化を図るなどリニューアルを行った茨木技術研修センターを活用し、社員の技術力の向上に努めていきます。
また、「違いを尊重し、個々が活躍し、進化し続けるチームへ」というダイバーシティ推進ビジョンのもと、社員一人ひとりが自律・成長することにより、会社を取り巻くさまざまな環境の変化にしなやかに対応できる組織を目指して、社員の意識への働きかけと、活躍を支援する制度構築の両面から、ダイバーシティ推進に向けた取組みを継続していきます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。