有価証券報告書-第88期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大により世界規模で急激な経済停滞に陥りました。日本国内においては入国制限に伴うインバウンドの大幅な減少に加え、政府からイベントの開催や外出の自粛要請が出されるなど、観光業界にとっては極めて厳しい事業環境が続きました。 当社グループでは、お客さまと従業員の安心・安全を第一優先にした事業運営を行いつつ、未曽有の事態に対応するべく、コスト削減や組織の見直しなどの徹底した合理化を推進するとともに、従業員の雇用調整に伴う助成金制度、Go Toトラベルキャンペーンなど、政府施策に沿った対応も併せて行ってまいりました。 コスト削減策としては、従業員の一時帰休を実施するとともに休業期間を利用した従業員への教育研修を行い、雇用調整助成金制度を活用したことに加えて、4月以降複数回にわたる役員報酬の減額実施、従業員の給与・賞与の減額や不支給を行うなど人件費の削減にも着手いたしました。さらに従来、外部委託をしていた客室清掃や食器洗浄などの業務の内製化、各ホテル・店舗貸主との賃料減額交渉、計画の再精査による投資の見送りや広告宣伝費の抑制などの施策を進めてまいりました。
主なコスト削減策
営業面においては、お客さまと従業員の感染リスク回避のため、各事業所に専門の教育を受けた「環境スーパーバイザー」を配置し、環境衛生対策を徹底する体制を整えた上で、施設ごとの特長を活かした付加価値の高い商品を前面に展開し、収益の最大化に努めてまいりました。リゾート事業を中心にこれらの施策が奏功し、7月に開始されたGo Toトラベルキャンペーンにより喚起された国内観光需要を着実に取り込み、東京発着の旅行がキャンペーン対象に追加されてからはさらに回復基調となりました。しかしながら、インバウンド需要の消失や、政府による緊急事態宣言の発出を受けて実施した営業休止や営業規模縮小の影響は大きく、この数年来、収益の柱として堅調に推移してきたWHG事業を中心とする宿泊事業が、特に大きな打撃を受けました。また、婚礼・宴会事業においても延期やキャンセルが多数発生し、業績への影響は過去に例がないほど厳しいものとなりました。 これらの結果、当連結会計年度の当社グループ全体の売上高は前期比42,311百万円減収の26,648百万円となりました。また、徹底したコスト削減により営業費用を前期比で約214億円削減したものの、営業損失は前期比20,891百万円悪化の20,611百万円、経常損失は前期比21,331百万円悪化の20,930百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損失につきましては営業休止中に事業所で発生した固定費(人件費・減価償却費など)を特別損失で計上した一方で、雇用調整助成金などを特別利益で計上した結果、前期比22,141百万円悪化の22,427百万円となりました。
当連結会計年度の業績の概要およびセグメント別の営業概況は以下のとおりです。
当連結会計年度の業績の概要 (単位:百万円)
セグメント別売上高・営業利益
(注)1.調整額は、セグメント間取引消去および各セグメントに配分していない全社費用です。
2.当連結会計年度より、組織変更に伴い、営業施設の属するセグメントを一部変更しております。このため、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後のセグメント区分に組替えて比較しております。
(WHG事業)
WHG事業では、先述のとおり厳しい事業環境であるため、客室清掃などの外部委託業務の内製化を進めるとともに各ホテル建物貸主との賃料減額交渉を行い、合理化とコストの削減を行ってまいりました。また9月より神奈川県からの要請を受け、新型コロナウイルス感染症軽症者の受け入れ施設として「横浜伊勢佐木町ワシントンホテル」を提供(一棟有償借上げ)することで、逼迫する地域医療の負担軽減に努めてまいりました。また、政府による入国規制緩和の動きを見据え、レジデンストラック(入国・帰国後の14日間の自宅等待機が求められる)などでのインバウンド宿泊受け入れ態勢の強化のほか、7月15日には「ホテルタビノス浅草」(278室)を開業するなどコロナ収束後に向けた先々の集客に繋がる施策も併せて進めてまいりました。 邦人利用比率の高い「仙台ワシントンホテル」などは6月の国内移動制限解除後から回復を見せておりましたが、Go Toトラベルキャンペーンにより国内の観光需要が喚起されたこともあり、7月以降は観光需要の高い地方事業所においても回復傾向が見られ、10月以降はビジネス需要のある都内事業所の稼働率も徐々に改善してまいりました。 しかしながら、大幅な宿泊需要減退に伴う客室稼働率の低下が継続した結果、当セグメントの売上高は、前期比27,274百万円減収の10,355百万円、営業損失(セグメント損失)は、前期比15,923百万円悪化の13,669百万円となりました。
(ラグジュアリー&バンケット事業)
ラグジュアリー&バンケット事業の婚礼部門においては、3密回避などの政府からの自粛要請以降、「ホテル椿山荘東京」や「太閤園」において式の延期やキャンセルが相次ぐとともに、新規予約についても見合わせる動きが顕著となりました。そのような状況のなか、当社を含めたウエディング業界18社が発起人となり、一丸でwithコロナ時代の祝福の場の実現を目指す「New Normal for HAPPY WEDDING宣言」を策定し、オンライン打合わせの導入など新たな取り組みを実施しました。しかしながら延期やキャンセルの影響が大きく、売上高は前期比6,268百万円減収の4,052百万円となりました。 宴会部門においても同様の影響により法人を中心に需要が減退し、売上高は前期比3,524百万円減収の1,380百万円となりました。 一方で、宿泊部門においては、国内外の宿泊需要減退の影響を受けたものの、「ホテル椿山荘東京」の開業70周年(2022年)に向けた庭園プロジェクト「東京雲海」のメディア露出増に加え、1都3県を中心にした近隣顧客取り込み施策の実施や、東京発着旅行がGo Toトラベルキャンペーンの対象に追加されたことを機に客室稼働率は好調に推移し、宿泊客の増加に伴い料飲部門も回復傾向に転じました。 これらの結果、ゴルフ部門等を加えた当セグメント全体の売上高は前期比12,491百万円減収の9,897百万円、営業損失(セグメント損失)は、前期比4,651百万円悪化の4,716百万円となりました。
(リゾート事業)
リゾート事業の宿泊部門においては国内外の宿泊需要の減退により、客室稼働率が大きく低迷しましたがGo Toトラベルキャンペーン開始以降、政府による補助額(通常料金からの割引額)が大きく、かつ高付加価値で3密を回避できるプライベート感を有した「箱根小涌園 天悠」と「藤乃煌 富士御殿場」の稼働率が急激に回復いたしました。さらに、ワーケーションなどコロナ禍における新たな需要に対応したプランを展開し、8月には両施設とも開業以来最高の稼働率を記録するなど好調に推移いたしました。また箱根小涌園に隣接する明治16年創業の老舗旅館「三河屋」を取得し、「箱根小涌園 三河屋旅館」(25室)として10月2日に開業し、当該事業の核を担う箱根の再開発も着実に進めてまいりました。3月1日に営業を終了した「由布院 緑涌」(10室)を含めた当部門全体の売上高は、前期比951百万円減収の2,750百万円となりました。 日帰り・レジャー部門では、「箱根小涌園ユネッサン」において、年初より人気アニメ「エヴァンゲリオン」とのコラボレーションにより入場人員の獲得を図るとともに、入場を完全予約制にするなど感染予防対策にも努めてまいりました。3月から暫くの間は外出自粛等により入場人員が大幅に減少しましたが、7月以降は回復傾向に転じ、「下田海中水族館」を加えた当部門全体の売上高は前期比600百万円減収の875百万円となりました。 これらの結果、当セグメントの売上高は前期比1,569百万円減収の4,220百万円、営業損失(セグメント損失)は、前期比169百万円改善し769百万円となりました。第4四半期(10月~12月)における売上高は前年を上回っており、全セグメントのなかで当事業が最も早い回復を見せております。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して6,675百万円減少の96,595百万円となりました。流動資産は売掛債権等の減少により1,122百万円減少、固定資産は主に投資有価証券の売却や時価下落により5,553百万円減少いたしました。
また負債は、前連結会計年度末と比較して18,415百万円増加の95,248百万円となりました。新型コロナウイルス感染症による業績影響を鑑み、手元資金を厚くすることを目的に借入を行った結果、借入金が20,328百万円増加したことが主な要因であります。なお、当連結会計年度末の借入金残高は64,797百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末と比較して25,091百万円減少の1,347百万円となりました。利益剰余金が22,787百万円減少したことが主な要因であります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金および現金同等物は3,697百万円となり、前連結会計年度末から348百万円増加いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、17,069百万円のキャッシュ・アウト(前年同期比22,016百万円の支出増)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純損失23,173百万円を計上したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,412百万円のキャッシュ・アウト(前年同期比1,083百万円の支出減)となりました。「ホテルタビノス浅草」「箱根小涌園 三河屋旅館」などの新規開業に伴う投資を行った結果、有形及び無形固定資産の取得による支出が4,079百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、19,831百万円のキャッシュ・イン(前年同期比21,299百万円の収入増)となりました。借入金の調達による20,326百万円の収入増加が主な要因です。
④生産、受注及び販売実績
(ア) 生産実績
該当事項はありません。
(イ) 受注状況
該当事項はありません。
(ウ) 販売実績
当社グループは、WHG事業、ラグジュアリー&バンケット事業およびリゾート事業の各事業を主な内容とし、更に各事業に関連するサービス等の事業活動を展開しています。
セグメントごとの販売実績は次のとおりであります。
(注) 1 調整額は、セグメント間取引消去および各セグメントに配分していない全社費用であります。
2 当連結会計年度における販売実績の著しい変動は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う国内外の観光需要
の大幅な減退により、市場環境が悪化したことによるものです。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行っておりますが、この見積りは不確実性が伴うため実際の結果と異なる場合があり、結果として連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況」に記載しております。また、新型コロナウイルス感染症拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
②経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は26,648百万円(前連結会計年度68,960百万円)となり、42,311百万円(61.4%)の減収となりました。新型コロナウイルス感染症の影響によるインバウンドの減少、4月の緊急事態宣言発出を受けた営業休止や営業規模縮小を主因に減収となりました。
(売上原価および売上総損失)
当連結会計年度の売上原価は44,091百万円(前連結会計年度64,226百万円)となり、20,135百万円(31.4%)の減少となりました。営業休止中に発生した固定費(人件費、減価償却費)を営業休止損失として特別損失に計上した他、コスト削減により変動費が減少した結果、当連結会計年度の売上総損失は17,443百万円(前連結会計年度4,733百万円の利益)となり、22,176百万円の悪化となりました。
(販売費及び一般管理費ならびに営業損失)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は3,168百万円(前連結会計年度4,452百万円)となり、1,284百万円(28.8%)の減少となりました。当連結会計年度の営業損失は20,611百万円(前連結会計年度280百万円の利益)と前期比20,891百万円の悪化となりました。
(営業外損益および経常損失)
当連結会計年度の営業外損益は318百万円の損失(前連結会計年度120百万円の利益)となりました。この結果、当連結会計年度の経常損失は20,930百万円(前連結会計年度401百万円の利益)と、21,331百万円の悪化となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別利益は助成金収入等の計上により3,824百万円(前連結会計年度285百万円)となり、3,539百万円増加しました。
また、特別損失は営業休止損失等の計上により6,067百万円(前連結会計年度1,207百万円)となり、4,860百万円増加しました
(法人税等、非支配株主に帰属する当期純損失および親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度の法人税等は△740百万円(前連結会計年度△241百万円)となりました。これに非支配株主に帰属する当期純損失5百万円を加えた結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は22,427百万円(前連結会計年度は285百万円の損失)となり、22,141百万円の悪化となりました。
③財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は10,149百万円(前連結会計年度末11,272百万円)となり、1,122百万円(10.0%)減少しました。主に受取手形及び売掛金が減少したことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は86,446百万円(前連結会計年度末91,999百万円)となり、5,553百万円(6.0%)減少しました。主に投資有価証券の売却や時価下落により投資その他の資産が2,681百万円減少したことによるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は25,197百万円(前連結会計年度末20,768百万円)となり、4,428百万円(21.3%)増加しました。借入金が6,256百万円増加したことが主な要因です。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は70,051百万円(前連結会計年度末56,063百万円)となり、13,987百万円(25.0%)増加しました。主に長期借入金が14,071百万円増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は1,347百万円(前連結会計年度末26,438百万円)となり、25,091百万円(94.9%)減少しました。利益剰余金が22,787百万円減少したことが主な要因です。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
(ア)キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(イ)資金調達と流動性
当社グループは、事業活動のための資金確保、流動性の維持ならびに健全な財政状態を常に目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの確保に努めております。その施策の一つとして、キャッシュマネジメントシステムの導入によるグループ各社の余剰資金の一元管理を行い、資金効率の向上を図っております。また、複数の金融機関と総額で258億円の当座貸越契約およびコミットメントライン契約を締結することにより、資金調達リスクに対する補完措置がなされております。
また安定的な資金調達の一環として長期借入金の比率を高めており、当連結会計年度末の借入金残高は64,797百万円、その内訳として、短期借入金の残高は8,985百万円、長期借入金(一年以内に返済期限の到来する長期借入金を含む)の残高は55,812百万円となっております。
⑤戦略的現状と見通し
昨年度から中期経営計画(2020年~2024年)を推進してまいりましたが、前提としていた足元の事業環境が計画策定時から大きく変化し、新型コロナウイルス感染症の業績への影響が会社の存立にかかわるほどの深刻なものであり、その回復には相当な期間を要すると認識しております。そのため、会社再建のための抜本策として、構造改革の推進、事業ポートフォリオの見直し、経営管理体制の強化を柱とした事業計画を新たに策定し、中核である「事業構造改革」を中心に、既に各施策を推進しております。数値目標については、1月7日に発出された緊急事態宣言およびその延長により、現時点においては、需要回復の時期が見通せず、事業計画初年度である2021年の業績予想を合理的に試算することが困難であるため、緊急事態宣言の解除後を目途に公表することを検討しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大により世界規模で急激な経済停滞に陥りました。日本国内においては入国制限に伴うインバウンドの大幅な減少に加え、政府からイベントの開催や外出の自粛要請が出されるなど、観光業界にとっては極めて厳しい事業環境が続きました。 当社グループでは、お客さまと従業員の安心・安全を第一優先にした事業運営を行いつつ、未曽有の事態に対応するべく、コスト削減や組織の見直しなどの徹底した合理化を推進するとともに、従業員の雇用調整に伴う助成金制度、Go Toトラベルキャンペーンなど、政府施策に沿った対応も併せて行ってまいりました。 コスト削減策としては、従業員の一時帰休を実施するとともに休業期間を利用した従業員への教育研修を行い、雇用調整助成金制度を活用したことに加えて、4月以降複数回にわたる役員報酬の減額実施、従業員の給与・賞与の減額や不支給を行うなど人件費の削減にも着手いたしました。さらに従来、外部委託をしていた客室清掃や食器洗浄などの業務の内製化、各ホテル・店舗貸主との賃料減額交渉、計画の再精査による投資の見送りや広告宣伝費の抑制などの施策を進めてまいりました。
主なコスト削減策
| 従業員の一時帰休 | ・社員、契約社員、パートアルバイトなど全従業員約5,500名を対象に、月平均6日の一時帰休を実施 ・雇用調整助成金約31億円を特別利益として計上 |
| 役員報酬の減額 | ・4月より月額報酬を減額 ・9月以降は代表取締役の50%削減をはじめ、さらなる減額を実施 |
| 従業員の処遇変更 | ・夏季賞与を3分の2減額、冬季賞与支給なし ・11月以降、管理職の基本給5%減額 ・時間外、深夜等の各種割り増し手当の規定見直し |
| 委託業務内製化と 契約見直し | ・客室清掃や食器洗浄などの外注業務の内製化 ・稼働状況に合わせた契約内容の見直しにより、労務費を削減 |
| 賃料の減額 | ・WHG事業他、すべての賃貸事業所において賃料減額を交渉 |
| 投資計画の見送り | ・計画の再精査により不急の投資案件を見送り |
| その他費用の削減 | ・広告宣伝費などの抑制 |
営業面においては、お客さまと従業員の感染リスク回避のため、各事業所に専門の教育を受けた「環境スーパーバイザー」を配置し、環境衛生対策を徹底する体制を整えた上で、施設ごとの特長を活かした付加価値の高い商品を前面に展開し、収益の最大化に努めてまいりました。リゾート事業を中心にこれらの施策が奏功し、7月に開始されたGo Toトラベルキャンペーンにより喚起された国内観光需要を着実に取り込み、東京発着の旅行がキャンペーン対象に追加されてからはさらに回復基調となりました。しかしながら、インバウンド需要の消失や、政府による緊急事態宣言の発出を受けて実施した営業休止や営業規模縮小の影響は大きく、この数年来、収益の柱として堅調に推移してきたWHG事業を中心とする宿泊事業が、特に大きな打撃を受けました。また、婚礼・宴会事業においても延期やキャンセルが多数発生し、業績への影響は過去に例がないほど厳しいものとなりました。 これらの結果、当連結会計年度の当社グループ全体の売上高は前期比42,311百万円減収の26,648百万円となりました。また、徹底したコスト削減により営業費用を前期比で約214億円削減したものの、営業損失は前期比20,891百万円悪化の20,611百万円、経常損失は前期比21,331百万円悪化の20,930百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損失につきましては営業休止中に事業所で発生した固定費(人件費・減価償却費など)を特別損失で計上した一方で、雇用調整助成金などを特別利益で計上した結果、前期比22,141百万円悪化の22,427百万円となりました。
当連結会計年度の業績の概要およびセグメント別の営業概況は以下のとおりです。
当連結会計年度の業績の概要 (単位:百万円)
| 当連結会計年度 | 前期比 | 増減率 | |
| 売上高 | 26,648 | △42,311 | △ 61.4% |
| 営業損失(△) | △20,611 | △20,891 | - |
| 経常損失(△) | △20,930 | △21,331 | - |
| 親会社株主に帰属 する当期純損失(△) | △22,427 | △22,141 | - |
| (参考) | |||
| EBITDA | △16,198 | △21,409 | - |
セグメント別売上高・営業利益
| 売上高 | 営業損失(△) | |||
| 実績 | 前期比 | 実績 | 前期比 | |
| WHG事業 | 10,355 | △27,274 | △13,669 | △15,923 |
| ラグジュアリー&バンケット事業 | 9,897 | △12,491 | △4,716 | △4,651 |
| リゾート事業 | 4,220 | △1,569 | △769 | 169 |
| その他(調整額含む) | 2,175 | △976 | △1,455 | △485 |
| 合計 | 26,648 | △42,311 | △20,611 | △20,891 |
(注)1.調整額は、セグメント間取引消去および各セグメントに配分していない全社費用です。
2.当連結会計年度より、組織変更に伴い、営業施設の属するセグメントを一部変更しております。このため、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後のセグメント区分に組替えて比較しております。
(WHG事業)
WHG事業では、先述のとおり厳しい事業環境であるため、客室清掃などの外部委託業務の内製化を進めるとともに各ホテル建物貸主との賃料減額交渉を行い、合理化とコストの削減を行ってまいりました。また9月より神奈川県からの要請を受け、新型コロナウイルス感染症軽症者の受け入れ施設として「横浜伊勢佐木町ワシントンホテル」を提供(一棟有償借上げ)することで、逼迫する地域医療の負担軽減に努めてまいりました。また、政府による入国規制緩和の動きを見据え、レジデンストラック(入国・帰国後の14日間の自宅等待機が求められる)などでのインバウンド宿泊受け入れ態勢の強化のほか、7月15日には「ホテルタビノス浅草」(278室)を開業するなどコロナ収束後に向けた先々の集客に繋がる施策も併せて進めてまいりました。 邦人利用比率の高い「仙台ワシントンホテル」などは6月の国内移動制限解除後から回復を見せておりましたが、Go Toトラベルキャンペーンにより国内の観光需要が喚起されたこともあり、7月以降は観光需要の高い地方事業所においても回復傾向が見られ、10月以降はビジネス需要のある都内事業所の稼働率も徐々に改善してまいりました。 しかしながら、大幅な宿泊需要減退に伴う客室稼働率の低下が継続した結果、当セグメントの売上高は、前期比27,274百万円減収の10,355百万円、営業損失(セグメント損失)は、前期比15,923百万円悪化の13,669百万円となりました。
(ラグジュアリー&バンケット事業)
ラグジュアリー&バンケット事業の婚礼部門においては、3密回避などの政府からの自粛要請以降、「ホテル椿山荘東京」や「太閤園」において式の延期やキャンセルが相次ぐとともに、新規予約についても見合わせる動きが顕著となりました。そのような状況のなか、当社を含めたウエディング業界18社が発起人となり、一丸でwithコロナ時代の祝福の場の実現を目指す「New Normal for HAPPY WEDDING宣言」を策定し、オンライン打合わせの導入など新たな取り組みを実施しました。しかしながら延期やキャンセルの影響が大きく、売上高は前期比6,268百万円減収の4,052百万円となりました。 宴会部門においても同様の影響により法人を中心に需要が減退し、売上高は前期比3,524百万円減収の1,380百万円となりました。 一方で、宿泊部門においては、国内外の宿泊需要減退の影響を受けたものの、「ホテル椿山荘東京」の開業70周年(2022年)に向けた庭園プロジェクト「東京雲海」のメディア露出増に加え、1都3県を中心にした近隣顧客取り込み施策の実施や、東京発着旅行がGo Toトラベルキャンペーンの対象に追加されたことを機に客室稼働率は好調に推移し、宿泊客の増加に伴い料飲部門も回復傾向に転じました。 これらの結果、ゴルフ部門等を加えた当セグメント全体の売上高は前期比12,491百万円減収の9,897百万円、営業損失(セグメント損失)は、前期比4,651百万円悪化の4,716百万円となりました。
(リゾート事業)
リゾート事業の宿泊部門においては国内外の宿泊需要の減退により、客室稼働率が大きく低迷しましたがGo Toトラベルキャンペーン開始以降、政府による補助額(通常料金からの割引額)が大きく、かつ高付加価値で3密を回避できるプライベート感を有した「箱根小涌園 天悠」と「藤乃煌 富士御殿場」の稼働率が急激に回復いたしました。さらに、ワーケーションなどコロナ禍における新たな需要に対応したプランを展開し、8月には両施設とも開業以来最高の稼働率を記録するなど好調に推移いたしました。また箱根小涌園に隣接する明治16年創業の老舗旅館「三河屋」を取得し、「箱根小涌園 三河屋旅館」(25室)として10月2日に開業し、当該事業の核を担う箱根の再開発も着実に進めてまいりました。3月1日に営業を終了した「由布院 緑涌」(10室)を含めた当部門全体の売上高は、前期比951百万円減収の2,750百万円となりました。 日帰り・レジャー部門では、「箱根小涌園ユネッサン」において、年初より人気アニメ「エヴァンゲリオン」とのコラボレーションにより入場人員の獲得を図るとともに、入場を完全予約制にするなど感染予防対策にも努めてまいりました。3月から暫くの間は外出自粛等により入場人員が大幅に減少しましたが、7月以降は回復傾向に転じ、「下田海中水族館」を加えた当部門全体の売上高は前期比600百万円減収の875百万円となりました。 これらの結果、当セグメントの売上高は前期比1,569百万円減収の4,220百万円、営業損失(セグメント損失)は、前期比169百万円改善し769百万円となりました。第4四半期(10月~12月)における売上高は前年を上回っており、全セグメントのなかで当事業が最も早い回復を見せております。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して6,675百万円減少の96,595百万円となりました。流動資産は売掛債権等の減少により1,122百万円減少、固定資産は主に投資有価証券の売却や時価下落により5,553百万円減少いたしました。
また負債は、前連結会計年度末と比較して18,415百万円増加の95,248百万円となりました。新型コロナウイルス感染症による業績影響を鑑み、手元資金を厚くすることを目的に借入を行った結果、借入金が20,328百万円増加したことが主な要因であります。なお、当連結会計年度末の借入金残高は64,797百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末と比較して25,091百万円減少の1,347百万円となりました。利益剰余金が22,787百万円減少したことが主な要因であります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金および現金同等物は3,697百万円となり、前連結会計年度末から348百万円増加いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、17,069百万円のキャッシュ・アウト(前年同期比22,016百万円の支出増)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純損失23,173百万円を計上したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,412百万円のキャッシュ・アウト(前年同期比1,083百万円の支出減)となりました。「ホテルタビノス浅草」「箱根小涌園 三河屋旅館」などの新規開業に伴う投資を行った結果、有形及び無形固定資産の取得による支出が4,079百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、19,831百万円のキャッシュ・イン(前年同期比21,299百万円の収入増)となりました。借入金の調達による20,326百万円の収入増加が主な要因です。
④生産、受注及び販売実績
(ア) 生産実績
該当事項はありません。
(イ) 受注状況
該当事項はありません。
(ウ) 販売実績
当社グループは、WHG事業、ラグジュアリー&バンケット事業およびリゾート事業の各事業を主な内容とし、更に各事業に関連するサービス等の事業活動を展開しています。
セグメントごとの販売実績は次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| WHG事業 | 10,355 | △72.5 |
| ラグジュアリー&バンケット事業 | 9,897 | △55.8 |
| リゾート事業 | 4,220 | △27.1 |
| その他(調整額含む) | 2,175 | △31.0 |
| 合計 | 26,648 | △61.4 |
(注) 1 調整額は、セグメント間取引消去および各セグメントに配分していない全社費用であります。
2 当連結会計年度における販売実績の著しい変動は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う国内外の観光需要
の大幅な減退により、市場環境が悪化したことによるものです。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行っておりますが、この見積りは不確実性が伴うため実際の結果と異なる場合があり、結果として連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況」に記載しております。また、新型コロナウイルス感染症拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
②経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は26,648百万円(前連結会計年度68,960百万円)となり、42,311百万円(61.4%)の減収となりました。新型コロナウイルス感染症の影響によるインバウンドの減少、4月の緊急事態宣言発出を受けた営業休止や営業規模縮小を主因に減収となりました。
(売上原価および売上総損失)
当連結会計年度の売上原価は44,091百万円(前連結会計年度64,226百万円)となり、20,135百万円(31.4%)の減少となりました。営業休止中に発生した固定費(人件費、減価償却費)を営業休止損失として特別損失に計上した他、コスト削減により変動費が減少した結果、当連結会計年度の売上総損失は17,443百万円(前連結会計年度4,733百万円の利益)となり、22,176百万円の悪化となりました。
(販売費及び一般管理費ならびに営業損失)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は3,168百万円(前連結会計年度4,452百万円)となり、1,284百万円(28.8%)の減少となりました。当連結会計年度の営業損失は20,611百万円(前連結会計年度280百万円の利益)と前期比20,891百万円の悪化となりました。
(営業外損益および経常損失)
当連結会計年度の営業外損益は318百万円の損失(前連結会計年度120百万円の利益)となりました。この結果、当連結会計年度の経常損失は20,930百万円(前連結会計年度401百万円の利益)と、21,331百万円の悪化となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別利益は助成金収入等の計上により3,824百万円(前連結会計年度285百万円)となり、3,539百万円増加しました。
また、特別損失は営業休止損失等の計上により6,067百万円(前連結会計年度1,207百万円)となり、4,860百万円増加しました
(法人税等、非支配株主に帰属する当期純損失および親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度の法人税等は△740百万円(前連結会計年度△241百万円)となりました。これに非支配株主に帰属する当期純損失5百万円を加えた結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は22,427百万円(前連結会計年度は285百万円の損失)となり、22,141百万円の悪化となりました。
③財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は10,149百万円(前連結会計年度末11,272百万円)となり、1,122百万円(10.0%)減少しました。主に受取手形及び売掛金が減少したことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は86,446百万円(前連結会計年度末91,999百万円)となり、5,553百万円(6.0%)減少しました。主に投資有価証券の売却や時価下落により投資その他の資産が2,681百万円減少したことによるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は25,197百万円(前連結会計年度末20,768百万円)となり、4,428百万円(21.3%)増加しました。借入金が6,256百万円増加したことが主な要因です。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は70,051百万円(前連結会計年度末56,063百万円)となり、13,987百万円(25.0%)増加しました。主に長期借入金が14,071百万円増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は1,347百万円(前連結会計年度末26,438百万円)となり、25,091百万円(94.9%)減少しました。利益剰余金が22,787百万円減少したことが主な要因です。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
(ア)キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(イ)資金調達と流動性
当社グループは、事業活動のための資金確保、流動性の維持ならびに健全な財政状態を常に目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの確保に努めております。その施策の一つとして、キャッシュマネジメントシステムの導入によるグループ各社の余剰資金の一元管理を行い、資金効率の向上を図っております。また、複数の金融機関と総額で258億円の当座貸越契約およびコミットメントライン契約を締結することにより、資金調達リスクに対する補完措置がなされております。
また安定的な資金調達の一環として長期借入金の比率を高めており、当連結会計年度末の借入金残高は64,797百万円、その内訳として、短期借入金の残高は8,985百万円、長期借入金(一年以内に返済期限の到来する長期借入金を含む)の残高は55,812百万円となっております。
⑤戦略的現状と見通し
昨年度から中期経営計画(2020年~2024年)を推進してまいりましたが、前提としていた足元の事業環境が計画策定時から大きく変化し、新型コロナウイルス感染症の業績への影響が会社の存立にかかわるほどの深刻なものであり、その回復には相当な期間を要すると認識しております。そのため、会社再建のための抜本策として、構造改革の推進、事業ポートフォリオの見直し、経営管理体制の強化を柱とした事業計画を新たに策定し、中核である「事業構造改革」を中心に、既に各施策を推進しております。数値目標については、1月7日に発出された緊急事態宣言およびその延長により、現時点においては、需要回復の時期が見通せず、事業計画初年度である2021年の業績予想を合理的に試算することが困難であるため、緊急事態宣言の解除後を目途に公表することを検討しております。