有価証券報告書-第28期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2016/06/20 13:17
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)の経営環境は、平成28年の年初から日経平均株価が米国や上海株式市場の影響を受け大幅に下落、前年末比で一時3千円を超える安値となった他、中国の景気減速や設備投資の伸び悩みなど、年度後半で、景況感が悪化いたしましたが、通年では、企業収益は、国内需要の回復やインバウンド需要の増加に支えられ、堅調に推移いたしました。
このような経営環境の中、当連結会計年度の業績は、近距離無線通信関連事業が、案件の小型化や案件受注の遅れにより、計画を下回りましたが、当社企業グループ全体では、大企業、中堅企業を中心とする事業成長(事業領域の拡大、業務プロセス改革、ビジネスモデルの変革など)を目的とした「戦略的なIT投資」を背景に受注が拡大し、前年度に引き続き、増収増益となりました。
IT投資の領域では、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ、ソーシャル技術)、IoT(ロボティクス含む)、セキュリティ(標的型攻撃の防御やマイナンバー対策)への関心が高まっております。特に、クラウドとモビリティに関する領域は、パブリッククラウドやモバイル端末(スマートフォンやタブレットPCなど)の普及を背景に、検討する企業が増えており、幅広い事業領域を有する当社企業グループにとって、優位性を発揮できる機会と捉えております。
当社企業グループといたしましては、プロジェクト規模の拡大や引き合いの増加及び市場の変化に的確に対応すべく、開発体制の強化(人材の確保、育成等)、品質管理、グループ間連携に注力するとともに、先端技術の研究、新規事業の創出、各種サービス・ソリューションの拡販等に努めてまいりました。当連結会計年度に行った主な取組み実績は以下のとおりです。
◆4月1日、SAP®基幹業務パッケージシステムを中心としたシステムの連携/導入支援を主力事業とする㈱エス・アイ・サービスの全株式を取得し、子会社化。当社子会社「クレスコ・イー・ソリューション㈱」と連携し、ERP事業の更なる成長を目指す。
◆5月1日、子会社「クレスコ北陸㈱」が、スマートアプリ作成を支援するホスティングサービス『misterPARK』の販売を開始。アプリケーションやアイコン作成代行、システムの運用代行など本サービスを中核に置いた多面的なモバイルポータル事業を目指す。
◆5月12日、あらゆる「モノ」がインターネットにつながるIoTの実現手段として、インフラの提供からアプリケーション開発、運用まで幅広くサポートするセンサープラットフォーム「BeaconBridge(ビーコン ブリッジ)」を発表。
◆5月13日~15日、リードエグシビションジャパン社主催の「第6回 クラウド コンピューティングEXPO春」に当社の製品及びサービス(インテリジェントフォルダExpress、Creage[クレアージュ]、BeaconBridge 」を出展。
◆5月26日、バスツアー等の団体旅行の他、会議や研修、イベントなどに利用可能な自動点呼ソリューション『みんなのてんこ』の販売を開始。
◆5月29日、ERP事業における戦略の実現と将来に向けた更なる業務拡大を目指し、子会社「㈱エス・アイ・サービス」の資本金を1億円に増資。
◆6月19日、定時株主総会の承認を受け、監査等委員会設置会社への移行。取締役会の監督機能の強化及びコーポレートガバナンスの充実を図り、より透明性の高い経営の実現と経営の機動性の向上の両立を目指す。
◆6月30日、㈱Skeed(スキード)と共同し、「BeaconBridge」に対し、次世代技術である自律分散型P2Pネットワークを活用する取組みの開発・実験に着手することを発表。次世代のIoT基盤の共同開発を目指す。
◆7月11日、子会社「クレスコ ワイヤレス㈱」が、電池持続時間を大幅に長寿命化した単三電池2本型のビーコンの販売を開始。
◆7月30日、『IBM Watsonエコシステムプログラム』の初期エコシステムパートナーとして、Watson関連ビジネスに参入。
◆8月20日、子会社「クレスコ・イー・ソリューション㈱」と「㈱エス・アイ・サービス」が、共同でデータ連携ツール「ConnectPlus for CONCUR Expense」を開発し、10月1日から販売を開始。
◆8月24日、子会社「クレスコ北陸㈱」が、「外食ビジネスウィーク 2015」に、オーダーエントリー「クラウド型ハンディシステム『CMAC』」、 回転寿司設備「寿司皿自動精算機『TOPPAR』」を出展。
◆9月29日、子会社「クレスコ・イー・ソリューション㈱」が、SAP®ERPユーザー向けPDF配信システム『Any PDF Delivery』を開発し、10月1日から販売を開始。
◆9月30日、IoT時代の新たな企業間連携を生み出す企業連合「Kiiコンソーシアム」に参加。参加企業間におけるIoTの知見共有と社会への成果発信を機に、新たなビジネスモデル創出を目指す。
◆9月30日~10月2日、日経BP社主催の「「Cloud Days 2015」に当社の製品及びサービス(インテリジェントフォルダExpress、Creage、BeaconBridge 」を出展。
◆10月1日、Web関連開発を得意とする「メディア・マジック㈱(本社:大阪府)」の株式を65%取得し、子会社化。事業領域の拡大及び関西拠点の充実を図る。
◆10月6日、子会社「クレスコワイヤレス㈱」が、スタンプ型のビーコン(Beacon)デバイス『Switch Beacon』を顧客と共同開発。
◆11月16日~17日、子会社「クレスコ北陸㈱」が、北陸先端科学技術大学院大学が開催する、新産業の創出と人材育成への貢献を目的とした「Matching HUB Kanazawa 2015」に出展。
◆3月1日、IoTビジネスの利活用を強力にサポートする企業向けIoTプラットフォーム「KEYAKI(けやき)」の提供を開始。
◆3月4日、子会社の自己資本の増強による財務基盤の強化を図るべく、子会社「クレスコワイヤレス㈱」及び「メディア・マジック㈱」を増資。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高287億75百万円(前年同期売上高250億63百万円)、営業利益24億84百万円(前年同期営業利益20億13百万円)、経常利益28億57百万円(前年同期経常利益22億40百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は17億5百万円(前年同期親会社株主に帰属する当期純利益14億5百万円)と増収増益となりました。
セグメント別の状況は、以下のとおりであります。
①ソフトウェア開発事業
ソフトウェア開発事業の売上高は、237億67百万円(前年同期比14.8%増)となり、セグメント利益(営業利益)は、29億4百万円(前年同期比20.2%増)となりました。業種別の売上高を比較しますと、主力の金融分野においては銀行及び保険業の案件が増加し、前年同期を16億73百万円上回りました。公共サービス分野につきましても、前年同期を5億24百万円上回りました。流通・その他の分野は、前年同期を8億64百万円上回りました。
②組込型ソフトウェア開発事業
組込型ソフトウェア開発事業の売上高は、49億1百万円(前年同期比15.6%増)となり、セグメント利益(営業利益)は、6億62百万円(前年同期比16.0%増)となりました。製品別の売上高を比較しますと、通信システム分野においては、前年同期を94百万円下回りました。カーエレクトロニクス分野では、前年同期を3億93百万円上回りました。情報家電等、その他組込型分野につきましては、前年同期を3億61百万円上回りました。
③その他
商品・製品販売事業等その他の売上高は、1億6百万円(前年同期比9.6%減)となり、セグメント損失(営業損失)は、39百万円(前年同期セグメント損失30百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ34百万円減少し、54億70百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは15億43万円の収入(前年度16億81百万円の収入)となりました。
これは主に法人税等の支払額が10億円、未払消費税等の減少額が3億19百万円、売上債権の増加額が3億21百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が27億99百万円、仕入債務の増加額が2億20百万円あったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは12億87百万円の支出(前年度1億78百万円の収入)となりました。
これは主に有価証券の売却による収入が29億48百万円、投資有価証券の売却による収入が8億62百万円あったものの、有価証券の取得による支出が29億12百万円、投資有価証券の取得による支出が24億96百万円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは2億86百万円の支出(前年度8百万円の収入)となりました。
これは主に、新株予約権の行使に伴う自己株式の処分による収入が5億49百万円、長期借入れによる収入が1億50百万円あったものの、配当金の支払額が4億89百万円、長期借入金の返済による支出が3億98百万円あったことによるものです。