有価証券報告書-第19期(平成27年1月1日-平成27年12月31日)
有報資料
(1) 事業の概要
当社グループは、インターネットサービスと、FinTechという2つの事業を基軸とした総合インターネットサービス企業です。インターネットサービスの主力の国内EC事業においては、取扱高においてシェア1位(※1)を保持しているリーディングカンパニーです。
(※1:通販・e-コマースビジネスの実態と今後 富士経済)
(2) 経営成績の分析
(売上収益)
当連結会計年度における売上収益は713,555百万円となり、前連結会計年度の598,565百万円から114,990百万円(19.2%)増加しました。これは、インターネットサービスセグメントにおいて、国内の既存事業の堅調な成長に加えて、Ebates社の売上収益が順調に増加していることや、新しく連結対象となった連結子会社による貢献等によるものです。加えて、FinTechにおける『楽天カード』会員の増加に伴う手数料収入の増加、ローン残高の伸張に伴う貸出金利息収入の増加等も売上収益の増加に寄与しています。
(営業費用)
当連結会計年度における営業費用は601,001百万円となり、前連結会計年度の491,279百万円から109,722百万円(22.3%)増加しました。これは、事業の拡大に伴い、商品及び役務提供に係る原価、従業員給付費用、広告宣伝費及び販売促進費が増加したこと等によるものです。
(その他の収益)
当連結会計年度におけるその他の収益は26,991百万円となり、前連結会計年度の6,724百万円から20,267百万円(301.4%)増加しました。当社グループは、新しい技術や革新的なビジネスモデルを持つ企業への投資を行っており、これらについて、有価証券評価益を計上したこと等によるものです。
(その他の費用及び減損損失)
当連結会計年度におけるその他の費用及び減損損失は44,856百万円となり、前連結会計年度の7,613百万円から37,243百万円(489.2%)増加しました。これは、のれん等の減損損失が35,834百万円増えたこと等によるものです。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は94,689百万円となり、前連結会計年度の106,397百万円から11,708百万円(11.0%)減少しました。これは、インターネットサービスセグメント及びFinTechセグメントにおいて既存事業の利益が順調に増加し、新規事業の収益性も改善した一方で、のれん等の減損損失を計上した影響によるものです。
(税引前当期利益)
当連結会計年度における税引前当期利益は91,987百万円となり、前連結会計年度の104,245百万円から12,258百万円(11.8%)減少しました。これは、営業利益で説明したものに加え、借入金の増加に伴う金融費用の増加等によるものです。
(法人所得税費用)
当連結会計年度における法人所得税費用は47,707百万円となり、前連結会計年度の33,142百万円から14,565百万円(43.9%)増加しました。当連結会計年度における実効税率は51.9%と、日本国内における法定実効税率を上回りました。これは、減損損失及び海外子会社から発生する損失等を計上し、これらについて繰延税金資産の認識が認められないこと等によるものです。
(当期利益)
以上の結果、当期利益は44,280百万円となり、前連結会計年度の71,103百万円から26,823百万円(37.7%)減少しました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は44,436百万円となり、前連結会計年度の70,614百万円から26,178百万円(37.1%)減少しました。
(3) 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は4,269,953百万円となり、前連結会計年度末の資産合計3,680,695百万円と比べ、589,258百万円増加しました。これは主に、カード事業の貸付金が140,934百万円増加、銀行事業の貸付金が122,167百万円増加、有価証券が100,731百万円増加、現金及び現金同等物が72,394百万円増加、その他の資産が37,234百万円増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は3,605,940百万円となり、前連結会計年度末の負債合計3,252,609百万円と比べ、353,331百万円増加しました。これは主に、銀行事業の預金が229,589百万円増加、社債及び借入金が59,268百万円増加したことによるものです。
(資本)
当連結会計年度末の資本合計は664,013百万円となり、前連結会計年度末の資本合計428,086百万円と比べ、235,927百万円増加しました。これは主に、公募増資等により資本金及び資本剰余金が182,135百万円増加、当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益を44,436百万円計上したこと等により利益剰余金が52,038百万円増加したことによるものです。
(4) キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ72,394百万円増加し、501,029百万円となりました。このうち、銀行事業に関する日銀預け金は、前連結会計年度末に比べ101,663百万円増加し、348,074百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、78,245百万円の資金流入(前連結会計年度は111,860百万円の資金流入)となりました。これは主に、カード事業の貸付金の増加による資金流出が140,933百万円、銀行事業の貸付金の増加による資金流出が122,167百万円となった一方で、銀行事業の預金の増加による資金流入が229,626百万円、税引前当期利益を91,987百万円計上したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、224,078百万円の資金流出(前連結会計年度は261,085百万円の資金流出)となりました。これは主に、有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流出が62,044百万円(有価証券の取得による資金流出が69,706百万円、売却及び償還による資金流入が7,662百万円)、子会社の取得による資金流出が60,607百万円、銀行事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流出が34,634百万円(銀行事業の有価証券の取得による資金流出が378,355百万円、売却及び償還による資金流入が343,721百万円)、無形資産の取得による資金流出が34,560百万円となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、221,831百万円の資金流入(前連結会計年度は189,512百万円の資金流入)となりました。これは主に、公募増資等の株式の発行による資金流入が182,550百万円、長期借入金によるネットの資金流入が92,521百万円(長期借入金による資金流入が158,352百万円、長期借入金の返済による資金流出が65,831百万円)となったことによるものです。
(5) 収益の認識および表示方法
当社グループは、インターネットサービス、FinTech及びその他のサービスを有する総合インターネットサービス企業であり、EC(電子商取引)事業を中心に複数のビジネスを行っております。これらのビジネスから生じる収益は顧客との契約に従い計上しており、変動対価等を含む売上収益の額に重要性はありません。また、約束した対価の金額に重要な金融要素は含まれておりません。
インターネットサービス
インターネットサービスセグメントにおいては、『楽天市場』、『楽天トラベル』、『Ebates』、『ケンコーコム』、『楽天ブックス』等のサービスを提供し、主な収益を下記の通り認識しております。
楽天市場及び楽天トラベル
マーケットプレイス型ECサービスである『楽天市場』や、旅行予約サービスである『楽天トラベル』等においては、取引の場を顧客に提供することをその基本的な性格としております。当社グループは、これらのサービスの運営にあたり、出店者・旅行関連事業者への出店サービス及びシステム利用に関するサービス、当社グループを通じた販売拡大のための広告関連サービス、出店者・旅行関連事業者と消費者の決済に関する決済代行サービス等を提供しております。また、これらのサービスは諸規約に基づき、サービス内容や当事者間の権利と義務が定められており、サービスの内容の区分可能性や顧客への移転パターンに基づき、主な履行義務を下記の通りに識別して、収益を認識しております。
システム利用に関するサービスについて、当社グループは規約に基づき、出店者・旅行関連事業者に対して出店者・旅行関連事業者と主として楽天会員との間での個々の取引の成立に関するサービスの提供を行う義務を負っております。当該履行義務は、出店者・旅行関連事業者と主として楽天会員との個々の取引の成立時点で充足されるものであり、当該履行義務の充足時点で、流通総額(出店者・旅行関連事業者の月間売上高)にサービス別・プラン別・流通総額の規模別に定められている料率を乗じた金額にて収益を計上しております。当該金額は、履行義務の充足時点である取引成立時点から概ね3ヶ月以内に支払を受けております。
広告関連サービスについて、当社グループは広告規約に基づき、出店者・旅行関連事業者に対し期間保証型の広告関連サービスを提供しており、契約で定められた期間に渡り、広告を掲示する義務を負っております。当該履行義務は時の経過につれて充足されるため、当該契約期間に応じて期間均等額で収益を計上しております。広告料金の支払いは、原則として広告掲載開始日が属する月の翌々月末までに行われます。
決済代行サービスについて、当社グループは、カード決済規約に基づき、楽天グループのサービスを利用する消費者と出店者・旅行関連事業者との間での決済代行サービスを提供しております。当該サービスにおいては、クレジットカードによる取引代金決済のための取引承認、代金決済情報やキャンセル等のデータを送受信・処理する義務を負っております。当該サービスについては、主に消費者のカード利用取引が生じた時点が履行義務の充足時点となると判断し、同時点で手数料収益を計上しております。当該手数料の支払いは、履行義務の充足後、支払区分に基づいた請求締切日から1ヶ月半以内に受領しております。
『楽天市場』への出店サービスについて、当社グループは規約に基づき出店者に対し契約期間に渡り、楽天グループのマーケットプレイス型ECウェブサイトへの出店サービス及び出店コンサルティングサービス等を提供する義務を負っております。当該履行義務は、契約期間に渡り時の経過につれて充足されるものであり、収益は当該履行義務が充足される契約期間において、出店形態別に定められた金額に基づき、各月の収益として計上しております。なお、取引の対価は3ヶ月、半年あるいは1年分を履行義務の充足前である契約時に前受けする形で受領しております。
Ebates
『Ebates』においては、Ebates会員に対するキャッシュバックを通じ、Ebates会員による小売業者(顧客)のウェブサイトでの購入を促進するサービス(以下「キャッシュバックサービス」)、ウェブサイトにおける広告掲示、個人向けターゲティングメールサービス等を提供しております。主なサービスであるキャッシュバックサービスに関しては、契約に基づきEbates会員による小売業者のウェブサイトでの購入を促進する義務を負っており、当該履行義務はEbates会員による購入時点が履行義務の充足時点となると判断しております。Ebates会員の購入を確認した時点で購入金額に一定の料率を乗じた金額を手数料として収益計上しており、同時にEbates会員に対するキャッシュバック費用を計上しております。当該サービスの提供により生じる収益及び費用は、『Ebates』が顧客及びEbates会員とのそれぞれに対して価格設定を含む取引の裁量権を有していることから総額にて計上しており、手数料は履行義務の充足時点である注文確定月の月末から概ね3ヶ月以内に支払を受けております。
ケンコーコム及び楽天ブックス
インターネットサービスのうち、当社グループが主に楽天会員に対して商品を提供するインターネット通販サイト『ケンコーコム』及び『楽天ブックス』等のサービスにおいては、当社グループが売買契約の当事者となります。これらの直販型の取引においては顧客に商品が到着した時点で収益を計上しております。また、履行義務の充足時期である商品到着後、概ね2ヶ月以内に支払を受けております。なお、楽天ブックスのうち、国内における書籍(和書)販売については、再販売価格維持制度を考慮すると代理人取引としての性質が強いと判断されるため、収益を関連する原価と相殺のうえ、純額にて計上しております。
FinTech
FinTechセグメントにおいては、『楽天カード』、『楽天銀行』、『楽天証券』、『楽天生命』等の金融サービスを提供し、主な収益を下記の通り認識しております。
楽天カード
『楽天カード』においては、主としてクレジットカード関連サービスを提供しております。主にクレジットカード利用者と加盟店間の資金決済を通じて得られる加盟店手数料、クレジットカード利用者から得られるリボルビング払い手数料、分割払い手数料及びキャッシング手数料を得ております。加盟店手数料に関しては、カード会員のショッピング取引後、加盟店から当社へ売上データが送信されたタイミングにおいて、決済サービスの提供という履行義務が充足されるため、同時点でクレジットカードの決済金額に一定の料率を乗じた手数料収益を計上しております。また、取引価格の1%分の通常ポイントをカード会員に付与しており、これらのポイント費用は加盟店手数料から控除しております。当社はカード会員から基本的に1ヶ月に1回所定の日にカード利用代金の回収を行うため、履行義務充足後、概ね2ヶ月以内に実質的に支払を受ける事となります。リボルビング払い手数料及び分割払い手数料と融資収益に含まれるキャッシング手数料に関しては、リボルビング残高、分割支払回数及びキャッシング残高に対してそれぞれ一定の料率を乗じた利息収益を、IFRS第9号に従いその利息の属する期間に認識しております。
楽天銀行
『楽天銀行』においては、インターネットを通じた銀行業務(預金、貸出、為替)およびその他様々なサービスを提供しております。貸出については、個人向けローンである「楽天スーパーローン」及び住宅ローンである「楽天銀行住宅ローン(金利選択型)」等を取り扱っており、貸出金利息収入を得ております。また、資金運用から生じる有価証券利息等の利息収入も得ております。貸出金利息や有価証券利息等の資金運用収益は、IFRS第9号に従い、その利息の属する期間に収益を認識しております。為替手数料等については、取引が行われた時点で履行義務が充足されるため、同時点において手数料収益を認識しております。
楽天証券
『楽天証券』においては、金融商品取引業務とその他の付随業務を提供し、これら取引に付随して発生する手数料やトレーディング損益、利息等を収益の源泉としております。金融商品取引業務には、国内株式取引に加え、外国株式取引、投資信託の販売等、様々な取引が存在し、それぞれの手数料体系は異なっております。現物株式に関する委託取引、信用取引及び投資信託の販売取引等に関連して発生する手数料に関しては、約定日等の取引成立時において履行義務が充足されるため、同時点において手数料収益を計上しております。現物株式取引から生じる手数料については、原則として履行義務の充足後3営業日以内に、信用取引及び先物取引から生じる手数料は建玉の決済が行われる半年から概ね1年以内に受領しております。また、IFRS第9号に従い、外国為替証拠金取引については、公正価値で測定された利得及び損失が売上収益及び営業費用にそれぞれ計上され、国内株式信用取引の建玉に対する金利収益については、その利息の属する期間に収益を認識しております。
楽天生命
『楽天生命』においては、生命保険業務を行っており、主たる商品である個人向け保障性生命保険契約からの保険料等収入及び有価証券利息を中心とした資金運用収益を計上しております。保険料等収入を構成する保険料は、IFRS第4号に従い、個別契約ごとに予め定められた保険料率により算定された金額を収益として計上しております。また、資金運用収益については、IFRS第9号に従い、その発生期間に収益を認識しております。
その他
その他セグメントにおいては、通信事業等の各種サービスを提供し、主な収益を下記の通り認識しております。
楽天コミュニケーションズ
『楽天コミュニケーションズ』においては、中継電話事業を中心とした電話関連サービス及びインターネット接続サービス等を提供しております。電話関連サービスについては、契約に基づき、契約者に対して常時利用可能な回線を提供し、当該回線を利用した通話サービスの提供を行う事を履行義務として識別しております。常時利用可能な回線を維持する履行義務については時の経過に基づき、通話サービスの提供については回線の利用に応じて履行義務が充足されると判断しております。したがって、回線の提供については契約期間に渡って期間均等額により収益として計上するとともに、通話サービスの提供については回線の利用状況に応じた回線使用料を各月の収益として計上しております。また、インターネット接続サービスについては、契約期間に渡り、契約者へのインターネット回線の提供を行う事を履行義務として識別しており、回線使用料を各月の収益として計上しております。各月の収益として計上された金額は、利用者により選択された決済手段に従って、クレジット会社等が別途定める支払条件により履行義務充足後、短期のうちに支払いを受けております。
東北楽天ゴールデンイーグルス
『東北楽天ゴールデンイーグルス』においては、プロ野球チームの運営を通じて、チケットの販売や関連グッズ等の商品販売、スタジアムにおける広告の掲載等のサービスを提供しております。チケットの販売に関しては、試合が行われる毎に履行義務が充足されると判断しており、当該時点において収益を認識しております。チケット代金は、予約申込成立後、購入者が選択した決済方法に従って、クレジット会社等が別途定める支払条件により支払いを受けております。商品販売につきましては、商品の引渡時点において履行義務が充足されると判断しており、当該引渡時点において収益を認識しております。商品代金は履行義務の充足時点である商品引渡時に受領しております。広告サービスについては、契約で定められた期間に渡り、広告を掲示する義務を負っております。当該履行義務は時の経過につれて充足されるため、当該契約期間に応じて期間均等額で収益を計上しております。広告料金の支払いは、原則として契約期間の開始後4ヶ月以内に行われます。
(6) 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、それらが利用される将来の課税所得を稼得する可能性が高い範囲内で、全ての将来減算一時差異及び全ての未使用の繰越欠損金及び税額控除について認識しております。当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり行っている見積りは合理的であり、繰延税金資産が回収可能な額として計上されていると判断しています。ただし、これらの見積りは当社グループとしても管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化などにより回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には、将来当社グループが繰延税金資産を減額する可能性もあります。
(7) 公正価値で測定する金融資産
当社グループの証券事業の金融資産は、主に短期間で決済されるものであり、公正価値は帳簿価額に近似していることから、当該帳簿価額を公正価値としております。
当社グループの有価証券、銀行事業の有価証券及び保険事業の有価証券については、これらのうち、上場株式の公正価値については連結会計年度末日の市場の終値、非上場株式の公正価値については類似業種比較法等、適切な評価技法を用いて算定しております。債券等の公正価値については、売買参考統計値、ブローカーによる提示相場等、利用可能な情報に基づく合理的な評価方法により算定しております。
当社グループのデリバティブ資産のうち、為替予約については、先物為替相場等に基づき連結会計年度末日の公正価値を算定しております。また、金利スワップの公正価値は、将来のキャッシュ・フローを満期までの期間及び連結会計年度末日の金利スワップの利率により割り引いた現在価値により算定しております。なお、金利スワップ契約の取引相手先は高格付けを有する金融機関に限定しており、信用リスクは僅少であるため、公正価値の算定にあたり考慮しておりません。
なお、その他の金融資産は、主に短期間で決済されるものであり、公正価値は帳簿価額に近似しております。
当社グループは、インターネットサービスと、FinTechという2つの事業を基軸とした総合インターネットサービス企業です。インターネットサービスの主力の国内EC事業においては、取扱高においてシェア1位(※1)を保持しているリーディングカンパニーです。
(※1:通販・e-コマースビジネスの実態と今後 富士経済)
(2) 経営成績の分析
(売上収益)
当連結会計年度における売上収益は713,555百万円となり、前連結会計年度の598,565百万円から114,990百万円(19.2%)増加しました。これは、インターネットサービスセグメントにおいて、国内の既存事業の堅調な成長に加えて、Ebates社の売上収益が順調に増加していることや、新しく連結対象となった連結子会社による貢献等によるものです。加えて、FinTechにおける『楽天カード』会員の増加に伴う手数料収入の増加、ローン残高の伸張に伴う貸出金利息収入の増加等も売上収益の増加に寄与しています。
(営業費用)
当連結会計年度における営業費用は601,001百万円となり、前連結会計年度の491,279百万円から109,722百万円(22.3%)増加しました。これは、事業の拡大に伴い、商品及び役務提供に係る原価、従業員給付費用、広告宣伝費及び販売促進費が増加したこと等によるものです。
(その他の収益)
当連結会計年度におけるその他の収益は26,991百万円となり、前連結会計年度の6,724百万円から20,267百万円(301.4%)増加しました。当社グループは、新しい技術や革新的なビジネスモデルを持つ企業への投資を行っており、これらについて、有価証券評価益を計上したこと等によるものです。
(その他の費用及び減損損失)
当連結会計年度におけるその他の費用及び減損損失は44,856百万円となり、前連結会計年度の7,613百万円から37,243百万円(489.2%)増加しました。これは、のれん等の減損損失が35,834百万円増えたこと等によるものです。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は94,689百万円となり、前連結会計年度の106,397百万円から11,708百万円(11.0%)減少しました。これは、インターネットサービスセグメント及びFinTechセグメントにおいて既存事業の利益が順調に増加し、新規事業の収益性も改善した一方で、のれん等の減損損失を計上した影響によるものです。
(税引前当期利益)
当連結会計年度における税引前当期利益は91,987百万円となり、前連結会計年度の104,245百万円から12,258百万円(11.8%)減少しました。これは、営業利益で説明したものに加え、借入金の増加に伴う金融費用の増加等によるものです。
(法人所得税費用)
当連結会計年度における法人所得税費用は47,707百万円となり、前連結会計年度の33,142百万円から14,565百万円(43.9%)増加しました。当連結会計年度における実効税率は51.9%と、日本国内における法定実効税率を上回りました。これは、減損損失及び海外子会社から発生する損失等を計上し、これらについて繰延税金資産の認識が認められないこと等によるものです。
(当期利益)
以上の結果、当期利益は44,280百万円となり、前連結会計年度の71,103百万円から26,823百万円(37.7%)減少しました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は44,436百万円となり、前連結会計年度の70,614百万円から26,178百万円(37.1%)減少しました。
(3) 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は4,269,953百万円となり、前連結会計年度末の資産合計3,680,695百万円と比べ、589,258百万円増加しました。これは主に、カード事業の貸付金が140,934百万円増加、銀行事業の貸付金が122,167百万円増加、有価証券が100,731百万円増加、現金及び現金同等物が72,394百万円増加、その他の資産が37,234百万円増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は3,605,940百万円となり、前連結会計年度末の負債合計3,252,609百万円と比べ、353,331百万円増加しました。これは主に、銀行事業の預金が229,589百万円増加、社債及び借入金が59,268百万円増加したことによるものです。
(資本)
当連結会計年度末の資本合計は664,013百万円となり、前連結会計年度末の資本合計428,086百万円と比べ、235,927百万円増加しました。これは主に、公募増資等により資本金及び資本剰余金が182,135百万円増加、当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益を44,436百万円計上したこと等により利益剰余金が52,038百万円増加したことによるものです。
(4) キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ72,394百万円増加し、501,029百万円となりました。このうち、銀行事業に関する日銀預け金は、前連結会計年度末に比べ101,663百万円増加し、348,074百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、78,245百万円の資金流入(前連結会計年度は111,860百万円の資金流入)となりました。これは主に、カード事業の貸付金の増加による資金流出が140,933百万円、銀行事業の貸付金の増加による資金流出が122,167百万円となった一方で、銀行事業の預金の増加による資金流入が229,626百万円、税引前当期利益を91,987百万円計上したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、224,078百万円の資金流出(前連結会計年度は261,085百万円の資金流出)となりました。これは主に、有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流出が62,044百万円(有価証券の取得による資金流出が69,706百万円、売却及び償還による資金流入が7,662百万円)、子会社の取得による資金流出が60,607百万円、銀行事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流出が34,634百万円(銀行事業の有価証券の取得による資金流出が378,355百万円、売却及び償還による資金流入が343,721百万円)、無形資産の取得による資金流出が34,560百万円となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、221,831百万円の資金流入(前連結会計年度は189,512百万円の資金流入)となりました。これは主に、公募増資等の株式の発行による資金流入が182,550百万円、長期借入金によるネットの資金流入が92,521百万円(長期借入金による資金流入が158,352百万円、長期借入金の返済による資金流出が65,831百万円)となったことによるものです。
(5) 収益の認識および表示方法
当社グループは、インターネットサービス、FinTech及びその他のサービスを有する総合インターネットサービス企業であり、EC(電子商取引)事業を中心に複数のビジネスを行っております。これらのビジネスから生じる収益は顧客との契約に従い計上しており、変動対価等を含む売上収益の額に重要性はありません。また、約束した対価の金額に重要な金融要素は含まれておりません。
インターネットサービス
インターネットサービスセグメントにおいては、『楽天市場』、『楽天トラベル』、『Ebates』、『ケンコーコム』、『楽天ブックス』等のサービスを提供し、主な収益を下記の通り認識しております。
楽天市場及び楽天トラベル
マーケットプレイス型ECサービスである『楽天市場』や、旅行予約サービスである『楽天トラベル』等においては、取引の場を顧客に提供することをその基本的な性格としております。当社グループは、これらのサービスの運営にあたり、出店者・旅行関連事業者への出店サービス及びシステム利用に関するサービス、当社グループを通じた販売拡大のための広告関連サービス、出店者・旅行関連事業者と消費者の決済に関する決済代行サービス等を提供しております。また、これらのサービスは諸規約に基づき、サービス内容や当事者間の権利と義務が定められており、サービスの内容の区分可能性や顧客への移転パターンに基づき、主な履行義務を下記の通りに識別して、収益を認識しております。
システム利用に関するサービスについて、当社グループは規約に基づき、出店者・旅行関連事業者に対して出店者・旅行関連事業者と主として楽天会員との間での個々の取引の成立に関するサービスの提供を行う義務を負っております。当該履行義務は、出店者・旅行関連事業者と主として楽天会員との個々の取引の成立時点で充足されるものであり、当該履行義務の充足時点で、流通総額(出店者・旅行関連事業者の月間売上高)にサービス別・プラン別・流通総額の規模別に定められている料率を乗じた金額にて収益を計上しております。当該金額は、履行義務の充足時点である取引成立時点から概ね3ヶ月以内に支払を受けております。
広告関連サービスについて、当社グループは広告規約に基づき、出店者・旅行関連事業者に対し期間保証型の広告関連サービスを提供しており、契約で定められた期間に渡り、広告を掲示する義務を負っております。当該履行義務は時の経過につれて充足されるため、当該契約期間に応じて期間均等額で収益を計上しております。広告料金の支払いは、原則として広告掲載開始日が属する月の翌々月末までに行われます。
決済代行サービスについて、当社グループは、カード決済規約に基づき、楽天グループのサービスを利用する消費者と出店者・旅行関連事業者との間での決済代行サービスを提供しております。当該サービスにおいては、クレジットカードによる取引代金決済のための取引承認、代金決済情報やキャンセル等のデータを送受信・処理する義務を負っております。当該サービスについては、主に消費者のカード利用取引が生じた時点が履行義務の充足時点となると判断し、同時点で手数料収益を計上しております。当該手数料の支払いは、履行義務の充足後、支払区分に基づいた請求締切日から1ヶ月半以内に受領しております。
『楽天市場』への出店サービスについて、当社グループは規約に基づき出店者に対し契約期間に渡り、楽天グループのマーケットプレイス型ECウェブサイトへの出店サービス及び出店コンサルティングサービス等を提供する義務を負っております。当該履行義務は、契約期間に渡り時の経過につれて充足されるものであり、収益は当該履行義務が充足される契約期間において、出店形態別に定められた金額に基づき、各月の収益として計上しております。なお、取引の対価は3ヶ月、半年あるいは1年分を履行義務の充足前である契約時に前受けする形で受領しております。
Ebates
『Ebates』においては、Ebates会員に対するキャッシュバックを通じ、Ebates会員による小売業者(顧客)のウェブサイトでの購入を促進するサービス(以下「キャッシュバックサービス」)、ウェブサイトにおける広告掲示、個人向けターゲティングメールサービス等を提供しております。主なサービスであるキャッシュバックサービスに関しては、契約に基づきEbates会員による小売業者のウェブサイトでの購入を促進する義務を負っており、当該履行義務はEbates会員による購入時点が履行義務の充足時点となると判断しております。Ebates会員の購入を確認した時点で購入金額に一定の料率を乗じた金額を手数料として収益計上しており、同時にEbates会員に対するキャッシュバック費用を計上しております。当該サービスの提供により生じる収益及び費用は、『Ebates』が顧客及びEbates会員とのそれぞれに対して価格設定を含む取引の裁量権を有していることから総額にて計上しており、手数料は履行義務の充足時点である注文確定月の月末から概ね3ヶ月以内に支払を受けております。
ケンコーコム及び楽天ブックス
インターネットサービスのうち、当社グループが主に楽天会員に対して商品を提供するインターネット通販サイト『ケンコーコム』及び『楽天ブックス』等のサービスにおいては、当社グループが売買契約の当事者となります。これらの直販型の取引においては顧客に商品が到着した時点で収益を計上しております。また、履行義務の充足時期である商品到着後、概ね2ヶ月以内に支払を受けております。なお、楽天ブックスのうち、国内における書籍(和書)販売については、再販売価格維持制度を考慮すると代理人取引としての性質が強いと判断されるため、収益を関連する原価と相殺のうえ、純額にて計上しております。
FinTech
FinTechセグメントにおいては、『楽天カード』、『楽天銀行』、『楽天証券』、『楽天生命』等の金融サービスを提供し、主な収益を下記の通り認識しております。
楽天カード
『楽天カード』においては、主としてクレジットカード関連サービスを提供しております。主にクレジットカード利用者と加盟店間の資金決済を通じて得られる加盟店手数料、クレジットカード利用者から得られるリボルビング払い手数料、分割払い手数料及びキャッシング手数料を得ております。加盟店手数料に関しては、カード会員のショッピング取引後、加盟店から当社へ売上データが送信されたタイミングにおいて、決済サービスの提供という履行義務が充足されるため、同時点でクレジットカードの決済金額に一定の料率を乗じた手数料収益を計上しております。また、取引価格の1%分の通常ポイントをカード会員に付与しており、これらのポイント費用は加盟店手数料から控除しております。当社はカード会員から基本的に1ヶ月に1回所定の日にカード利用代金の回収を行うため、履行義務充足後、概ね2ヶ月以内に実質的に支払を受ける事となります。リボルビング払い手数料及び分割払い手数料と融資収益に含まれるキャッシング手数料に関しては、リボルビング残高、分割支払回数及びキャッシング残高に対してそれぞれ一定の料率を乗じた利息収益を、IFRS第9号に従いその利息の属する期間に認識しております。
楽天銀行
『楽天銀行』においては、インターネットを通じた銀行業務(預金、貸出、為替)およびその他様々なサービスを提供しております。貸出については、個人向けローンである「楽天スーパーローン」及び住宅ローンである「楽天銀行住宅ローン(金利選択型)」等を取り扱っており、貸出金利息収入を得ております。また、資金運用から生じる有価証券利息等の利息収入も得ております。貸出金利息や有価証券利息等の資金運用収益は、IFRS第9号に従い、その利息の属する期間に収益を認識しております。為替手数料等については、取引が行われた時点で履行義務が充足されるため、同時点において手数料収益を認識しております。
楽天証券
『楽天証券』においては、金融商品取引業務とその他の付随業務を提供し、これら取引に付随して発生する手数料やトレーディング損益、利息等を収益の源泉としております。金融商品取引業務には、国内株式取引に加え、外国株式取引、投資信託の販売等、様々な取引が存在し、それぞれの手数料体系は異なっております。現物株式に関する委託取引、信用取引及び投資信託の販売取引等に関連して発生する手数料に関しては、約定日等の取引成立時において履行義務が充足されるため、同時点において手数料収益を計上しております。現物株式取引から生じる手数料については、原則として履行義務の充足後3営業日以内に、信用取引及び先物取引から生じる手数料は建玉の決済が行われる半年から概ね1年以内に受領しております。また、IFRS第9号に従い、外国為替証拠金取引については、公正価値で測定された利得及び損失が売上収益及び営業費用にそれぞれ計上され、国内株式信用取引の建玉に対する金利収益については、その利息の属する期間に収益を認識しております。
楽天生命
『楽天生命』においては、生命保険業務を行っており、主たる商品である個人向け保障性生命保険契約からの保険料等収入及び有価証券利息を中心とした資金運用収益を計上しております。保険料等収入を構成する保険料は、IFRS第4号に従い、個別契約ごとに予め定められた保険料率により算定された金額を収益として計上しております。また、資金運用収益については、IFRS第9号に従い、その発生期間に収益を認識しております。
その他
その他セグメントにおいては、通信事業等の各種サービスを提供し、主な収益を下記の通り認識しております。
楽天コミュニケーションズ
『楽天コミュニケーションズ』においては、中継電話事業を中心とした電話関連サービス及びインターネット接続サービス等を提供しております。電話関連サービスについては、契約に基づき、契約者に対して常時利用可能な回線を提供し、当該回線を利用した通話サービスの提供を行う事を履行義務として識別しております。常時利用可能な回線を維持する履行義務については時の経過に基づき、通話サービスの提供については回線の利用に応じて履行義務が充足されると判断しております。したがって、回線の提供については契約期間に渡って期間均等額により収益として計上するとともに、通話サービスの提供については回線の利用状況に応じた回線使用料を各月の収益として計上しております。また、インターネット接続サービスについては、契約期間に渡り、契約者へのインターネット回線の提供を行う事を履行義務として識別しており、回線使用料を各月の収益として計上しております。各月の収益として計上された金額は、利用者により選択された決済手段に従って、クレジット会社等が別途定める支払条件により履行義務充足後、短期のうちに支払いを受けております。
東北楽天ゴールデンイーグルス
『東北楽天ゴールデンイーグルス』においては、プロ野球チームの運営を通じて、チケットの販売や関連グッズ等の商品販売、スタジアムにおける広告の掲載等のサービスを提供しております。チケットの販売に関しては、試合が行われる毎に履行義務が充足されると判断しており、当該時点において収益を認識しております。チケット代金は、予約申込成立後、購入者が選択した決済方法に従って、クレジット会社等が別途定める支払条件により支払いを受けております。商品販売につきましては、商品の引渡時点において履行義務が充足されると判断しており、当該引渡時点において収益を認識しております。商品代金は履行義務の充足時点である商品引渡時に受領しております。広告サービスについては、契約で定められた期間に渡り、広告を掲示する義務を負っております。当該履行義務は時の経過につれて充足されるため、当該契約期間に応じて期間均等額で収益を計上しております。広告料金の支払いは、原則として契約期間の開始後4ヶ月以内に行われます。
(6) 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、それらが利用される将来の課税所得を稼得する可能性が高い範囲内で、全ての将来減算一時差異及び全ての未使用の繰越欠損金及び税額控除について認識しております。当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり行っている見積りは合理的であり、繰延税金資産が回収可能な額として計上されていると判断しています。ただし、これらの見積りは当社グループとしても管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化などにより回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には、将来当社グループが繰延税金資産を減額する可能性もあります。
(7) 公正価値で測定する金融資産
当社グループの証券事業の金融資産は、主に短期間で決済されるものであり、公正価値は帳簿価額に近似していることから、当該帳簿価額を公正価値としております。
当社グループの有価証券、銀行事業の有価証券及び保険事業の有価証券については、これらのうち、上場株式の公正価値については連結会計年度末日の市場の終値、非上場株式の公正価値については類似業種比較法等、適切な評価技法を用いて算定しております。債券等の公正価値については、売買参考統計値、ブローカーによる提示相場等、利用可能な情報に基づく合理的な評価方法により算定しております。
当社グループのデリバティブ資産のうち、為替予約については、先物為替相場等に基づき連結会計年度末日の公正価値を算定しております。また、金利スワップの公正価値は、将来のキャッシュ・フローを満期までの期間及び連結会計年度末日の金利スワップの利率により割り引いた現在価値により算定しております。なお、金利スワップ契約の取引相手先は高格付けを有する金融機関に限定しており、信用リスクは僅少であるため、公正価値の算定にあたり考慮しておりません。
なお、その他の金融資産は、主に短期間で決済されるものであり、公正価値は帳簿価額に近似しております。