四半期報告書-第20期第3四半期(平成28年7月1日-平成28年9月30日)

【提出】
2016/11/10 16:37
【資料】
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【項目】
14項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 経営成績の分析
当社グループは、経営者が意思決定する際に使用する社内指標(以下、Non-GAAP指標)及びIFRSに基づく指標の双方によって、連結経営成績を開示しています。
Non-GAAP営業利益は、IFRSに基づく営業利益(以下、IFRS営業利益)から、当社グループが定める非経常的な項目やその他の調整項目を控除したものです。経営者は、Non-GAAP指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当社グループの恒常的な経営成績や将来見通しを理解する上で、有益な情報を提供できると判断しています。なお、非経常的な項目とは、一定のルールに基づき将来見通し作成の観点から除外すべきと当社グループが判断する一過性の利益や損失のことです。その他の調整項目とは、適用する基準等により差異が生じ易く企業間の比較可能性が低い、株式報酬費用、子会社取得時に認識した無形資産の償却費等のことです。
(注) Non-GAAP指標の開示に際しては、米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission)が定める基準を参照していますが、同基準に完全に準拠しているものではありません。
当第3四半期連結累計期間の経営成績(Non-GAAPベース)
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、米国の金融政策正常化の影響等について留意する必要があるものの、緩やかな持ち直し基調が継続しました。日本経済は、弱さもみられるものの、雇用・所得環境の改善傾向が続くなか、緩やかな回復を続けました。
このような環境下、当社グループは、2016年2月に発表した中期戦略「Vision 2020」を踏まえた施策を強力に進めています。インターネットサービスの主力である国内ECにおいては、顧客満足度向上のための取組、積極的な販促活動、スマートデバイス(スマートフォン及びタブレット端末)向けのサービス強化、楽天経済圏のオープン化戦略等を実施し、売上収益の更なる成長に努めています。海外インターネットサービスにおいては、米国Ebates Inc.(以下、Ebates社)の順調な成長に伴い業績は改善基調にあります。FinTechにおいては、『楽天カード』の会員基盤が一層拡大し手数料収入が増加したほか、楽天銀行のサービスが拡大した結果、証券サービスが株式市況の影響を受けたにもかかわらず、売上収益及び利益が堅調に増加しています。
この結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間における売上収益は559,357百万円(前年同期比8.7%増)となりましたが、積極的な販促活動による費用増及び株式市況悪化等の影響により、Non-GAAP営業利益は88,613百万円(前年同期比9.0%減)となりました。
(Non-GAAPベース)
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第3四半期
連結累計期間)
(当第3四半期
連結累計期間)
売上収益514,711559,35744,6468.7%
Non-GAAP営業利益97,40888,613△8,795△9.0%


Non-GAAP営業利益からIFRS営業利益への調整
当第3四半期連結累計期間において、Non-GAAP営業利益で控除される無形資産の償却費は6,098百万円、株式報酬費用は5,270百万円となりました。また、欧州において事業戦略を見直したため、これに伴う費用2,042百万円を非経常的な項目としています。なお、前年同期における非経常的な項目3,920百万円は、本社移転に伴う費用です。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額
(前第3四半期
連結累計期間)
(当第3四半期
連結累計期間)
Non-GAAP営業利益97,40888,613△8,795
無形資産償却費△6,007△6,098△91
株式報酬費用△4,523△5,270△747
非経常的な項目△3,920△2,0421,878
IFRS営業利益82,95875,203△7,755

当第3四半期連結累計期間の経営成績(IFRSベース)
当第3四半期連結累計期間における売上収益は559,357百万円(前年同期比8.7%増)、IFRS営業利益は75,203百万円(前年同期比9.3%減)となりましたが、法人所得税費用の減少により四半期利益(親会社の所有者帰属)は43,942百万円(前年同期比3.0%増)となりました。
(IFRSベース)
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第3四半期
連結累計期間)
(当第3四半期
連結累計期間)
売上収益514,711559,35744,6468.7%
IFRS営業利益82,95875,203△7,755△9.3%
四半期利益
(親会社の所有者帰属)
42,65543,9421,2873.0%


(2) セグメント別業績
各セグメントにおける業績は次のとおりです。なお、IFRS上のマネジメントアプローチの観点からセグメント損益をNon-GAAP営業損益ベースで表示しています。また、当第3四半期連結会計期間から、当社グループにおける社内カンパニー制の導入に伴い、内部報告管理体制を変更しており、「その他」セグメントを構成していた事業を「インターネットサービス」セグメントを構成する事業と一体化して管理しています。その結果、従来の3つの報告セグメントを、「インターネットサービス」及び「FinTech」の2つの報告セグメントに変更しています。前第3四半期連結累計期間及び前第3四半期連結会計期間のセグメント情報については変更後の区分方法により作成しています。詳細は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 4.セグメント情報 (1) 一般情報」をご参照ください。
(インターネットサービス)
当第3四半期連結累計期間のインターネットサービスセグメントは、主力サービスの国内ECにおいて、売上収益の更なる成長を目指し、新規ユーザー獲得や長期的なロイヤルカスタマーを育成するための積極的な販促活動の実施、顧客満足度向上のための取組、スマートデバイス向けのサービス強化、楽天経済圏のオープン化戦略等を積極的に展開しました。この結果、販促費は増加しているものの、国内ECの売上収益は堅調に推移しました。海外ECにおいては、Ebates社が業績の拡大に大きく貢献しています。また、コンテンツサービスにおいては、2015年4月に子会社化したOverDrive Holdings, Inc.の貢献によりグローバル電子書籍事業の業績は改善基調にあります。MVNO(仮想移動体通信事業者)サービス『楽天モバイル』においては、前第2四半期連結会計期間より本格化した積極的な販促活動が奏功し、売上収益が大幅に増加しています。メッセージング及びVoIPサービス『Viber』においては、将来の成長に向けた戦略投資を継続しており、ユーザーID数は順調に増加しています。
この結果、インターネットサービスセグメントにおける売上収益は394,726百万円(前年同期比13.4%増)となったものの、セグメント利益は40,380百万円(前年同期比22.5%減)となりました。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第3四半期
連結累計期間)
(当第3四半期
連結累計期間)
セグメント売上収益348,134394,72646,59213.4%
セグメント損益52,07240,380△11,692△22.5%

(FinTech)
当第3四半期連結累計期間のFinTechセグメントは、クレジットカード関連サービスにおいては、『楽天カード』会員の増加に伴いショッピング取扱高が前年同期比20.4%増となりました。リボ残高も順調に積み上がったことにより売上収益及び利益が増加しています。銀行サービスにおいては、ローン残高の伸長に伴い貸出金利息収益が増加しており、加えて費用効率化が奏功し、マイナス金利政策の環境下にも関わらず利益拡大が継続しています。証券サービスにおいては、市況変動の影響が大きく、売上収益及び利益共に前年同期を下回りました。
この結果、FinTechセグメントにおける売上収益は218,790百万円(前年同期比7.1%増)、セグメント利益は49,166百万円(前年同期比2.6%増)となりました。
(単位:百万円)
前年同期当期増減額増減率
(前第3四半期
連結累計期間)
(当第3四半期
連結累計期間)
セグメント売上収益204,376218,79014,4147.1%
セグメント損益47,93949,1661,2272.6%

(3) 財政状態の分析
(資産)
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は4,278,402百万円となり、前連結会計年度末の資産合計4,269,953百万円と比べ、8,449百万円増加しました。これは主に、証券事業の金融資産が107,869百万円減少、銀行事業の有価証券が84,705百万円減少した一方で、銀行事業の貸付金が103,012百万円増加、現金及び現金同等物が96,383百万円増加、カード事業の貸付金が70,209百万円増加したことによるものです。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末の負債合計は3,657,422百万円となり、前連結会計年度末の負債合計3,605,940百万円と比べ、51,482百万円増加しました。これは主に、仕入債務が37,891百万円減少、証券事業の金融負債が34,666百万円減少した一方で、銀行事業の預金が105,842百万円増加、社債発行等により社債及び借入金が47,438百万円増加したことによるものです。
(資本)
当第3四半期連結会計期間末の資本合計は620,980百万円となり、前連結会計年度末の資本合計664,013百万円と比べ、43,033百万円減少しました。これは主に、当第3四半期連結累計期間における親会社の所有者に帰属する四半期利益を43,942百万円計上した一方で、外国為替相場の変動等によりその他の資本の構成要素が83,114百万円減少したことによるものです。
(4) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ96,383百万円増加し、597,412百万円となりました。このうち、銀行事業に関する日銀預け金は、前連結会計年度末に比べ77,030百万円増加し、425,104百万円となりました。当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、60,247百万円の資金流入(前年同期は29,555百万円の資金流入)となりました。これは主に、銀行事業の貸付金の増加による資金流出が103,012百万円、カード事業の貸付金の増加による資金流出が70,513百万円となった一方で、銀行事業の預金の増加による資金流入が105,842百万円、税引前四半期利益による資金流入が72,272百万円、証券事業の金融資産及び同負債が変動したことによるネットの資金流入が73,071百万円(金融資産の減少による資金流入が106,353百万円、金融負債の減少による資金流出が33,282百万円)となったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、10,412百万円の資金流入(前年同期は150,930百万円の資金流出)となりました。これは主に、銀行事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流入が83,195百万円(有価証券の売却及び償還による資金流入が264,486百万円、有価証券の取得による資金流出が181,291百万円)となった一方で、ソフトウエア等の無形資産の取得による資金流出が30,657百万円、子会社の取得による資金流出が24,719百万円となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、34,056百万円の資金流入(前年同期は161,705百万円の資金流入)となりました。これは主に、長期借入れによる資金流入が133,500百万円となった一方で、長期借入金の返済による資金流出が75,728百万円、短期借入金の減少による資金流出が52,765百万円となったことによるものです。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(6) 研究開発活動
当社の研究開発活動は、当社及び当社グループの開発業務への貢献を目的とし、個々の事業とは別に研究を行っています。なお、研究開発活動の状況については、前連結会計年度より重要な変更はありません。
当第3四半期連結累計期間における、当社グループが支出した研究開発費の総額は7,150百万円です。
(7) 従業員数
当第3四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(8) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績及び受注実績
当社グループは、インターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、生産及び受注に該当する事項が無いため、生産及び受注実績に関する記載はしていません。
② 販売実績
当社グループは当第3四半期連結累計期間において、販売実績の著しい増減はありません。
(9) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。