有価証券報告書-第20期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度の売上高は、主に海外子会社の新規連結寄与及び国内の求人サイト並びに人材紹介の増加により、56,848百万円(前期比16.7%増)となりました。総費用は、海外の新規連結子会社の費用増及び中長期的な事業成長に向けた先行人員増に伴う人件費、HR-Tech事業におけるプロモーション費用の積極投下等により、45,843百万円(前期比23.7%増)となりました。
これらの結果、営業利益は11,005百万円(前期比5.6%減)、経常利益は11,057百万円(前期比6.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、7,125百万円(前期比12.5%減)となりました。
(単位:百万円)
① 売上高
国内の求人サイトは、人材紹介会社向けサイト及び派遣会社向けサイトの伸長により、前連結会計年度を上回る売上高となりました。
国内の人材紹介は、主に子会社のエンワールド・ジャパン株式会社の伸長により、前連結会計年度を上回る売上高となりました。
海外事業は、インドのIT派遣会社 Future Focus Infotech社(以下FFI社)の新規連結化、注力国であるベトナムの伸長により、前連結会計年度を上回る売上高となりました。
HR-techは、当連結会計年度より「engage」の一部有料化を開始し、四半期毎に売上高が拡大いたしました。
これらの結果、売上高は前連結会計年度比16.7%増の56,848百万円となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、IT派遣事業を展開するFFI社の新規連結化に伴い、派遣人員の労務費及び業務委託費が加わったことから、前連結会計年度比123.2%増の10,451百万円と大幅な増加となりました。
販売費及び一般管理費は、中長期的な事業成長に向けた先行人員増に伴う人件費、これに関連した地代家賃及びサイト運用関連費用等が増加しました。また、広告宣伝費はHR-Tech事業において積極的な投資を行ったものの、国内求人サイトにおいて売上高に連動したコストコントロールを行った結果、微増となりました。
これらの結果、販売管理費及び一般管理費全体では、前連結会計年度比9.3%増の35,392百万円となりました。
③ 営業利益
売上高が増加したものの、次年度以降の本格的な売上成長を目的として、人材紹介において先行投資となる人員増加を図ったこと、HR-techの「engage」にプロモーションを中心とした積極的な先行投資を行ったこと等により総費用の増加が上回ったことから、営業利益は前連結会計年度比5.6%減の11,005百万円となりました。
④ 経常利益
営業利益が減少したこと、営業外費用として非連結子会社への貸付金に対し、貸倒引当金を計上したこと等から、経常利益は前連結会計年度比6.6%減の11,057百万円となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
経常利益が減少したこと、特別損失として投資有価証券の評価損を計上したこと等から、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比12.5%減の7,125百万円となりました
当社グループの報告セグメントは、「採用事業」と「教育・評価事業」に区分しておりましたが、当連結会計年度より、「人材サービス事業」の単一セグメントに変更しております。このため、主要な事業の概況について、管理会計ベースの数値を用いて下記に記載いたします。
主要な事業の概況
(単位:百万円)
※各事業の売上高合算と連結売上高との差異は、事業間調整及び連結調整等によるものであります。
(国内求人サイト)
「エン転職」は、当期の戦略方針に基づき、顧客企業に対する効果面の優位性を活かして、採用予算が大きい顧客企業内のシェアを拡大したことから、平均掲載単価の上昇に繋がりました。一方で、中小顧客企業においては、想定よりも競合企業による掲載期間延長及び価格割引が強まったことを受け、掲載件数が減少しました。第4四半期においては「engage」とのセット販売等により、掲載件数は回復基調となりましたが、通期の売上高は前年を若干下回りました。
人材紹介会社向け求人サイトは、「ミドルの転職」において、下期に景況感悪化懸念に伴い、顧客の人材紹介会社の成約数が弱まったものの、課金体系の変更及び顧客企業のサイト活用度の向上により、通期では順調な売上高の増加となりました。若手ハイキャリア向けサイト「AMBI」は、ブランド認知の向上及びターゲット会員・企業双方が順調に増加したことから、大幅な増収となりました。
派遣会社向け求人サイトは、「エン派遣」が大手派遣会社内における高いシェアを維持し、安定的な売上高成長、「エンバイト」が介護領域等の拡大による大幅な売上高成長となりました。
なお、各求人サイトともに3月から新型コロナウイルスの国内拡大による事業への影響を受けたものの、2020年3月期における業績影響は限定的でありました。
これらの結果、国内求人サイトの売上高は前期比2.3%増の32,126百万円となりました。
(国内人材紹介)
子会社のエンワールド・ジャパン株式会社は、期中に景気減速懸念からメーカーを中心とした顧客の需要減が見られたものの、他業界へのシフト等を進めていたことから第4四半期は再び増収へ転じました。
エン・ジャパンの人材紹介「エン エージェント」は、期初に増員した人員の業績貢献が高まったことや、組織・運用体制の構築が進んできたことから、第4四半期に反転増収となりました。
なお、両人材紹介サービスともに3月から新型コロナウイルスの国内拡大による事業への影響を受けたものの、2020年3月期における業績影響は限定的でありました。
これらの結果、国内人材紹介の売上高は前期比6.5%増の11,878百万円となりました。
(海外事業)
海外事業は、非注力国において前期を下回る売上高となったものの、注力国であるベトナム及びインドは、通期で想定を上回る売上高となり、好調に推移いたしました。また、インドにおいては当連結会計年度よりIT派遣事業を展開するFFI社の業績が反映されております。
なお、海外子会社は3ケ月遅れて業績を取り込んでいるため、新型コロナウイルスによる、2020年3月期の業績影響はありません。
これらの結果、海外事業の売上高は前期比131.8%増の10,745百万円となりました。
(HR-Tech)
人事・採用プラットフォームの「engage」は、積極的なプロモーション活動を行ったことにより、利用社数は27万社(2020年3月現在)と順調に増加いたしました。また、2019年4月より開始した有料プランは、有料利用社数が順調に増加したこと、応募数の増加施策が奏功したことから売上高は前四半期比で116.4%増の大幅増収となり、通期の売上高は475百万円となりました。
なお、「engage」は新規サービスであり、新型コロナウイルスによる業績影響を比較分析することが困難でありますが、上述の通り四半期売上高は順調に増加しており、影響は無かったと判断しております。
(新型コロナウイルスによる当社業績への影響)
2020年3月期においては、新型コロナウイルスによる当社業績への影響は限定的でありました。
次期、2021年3月期の現時点における当社見通しは下記の通りです。
短期的には新型コロナウイルスに起因した顧客企業の採用需要減少や採用の見合わせにより、当社業績は大きな影響を受けることが想定されます。構造的な人手不足要因等により、コロナ収束後は徐々に採用需要が回復するものとみておりますが、新型コロナウイルスに関しては、その収束時期を予想することは極めて困難であり、現時点で当社の通期業績計画を合理的に算定することも極めて困難であります。
以上のことから、直近の動向を踏まえて、第1四半期連結会計期間のみの業績予想を開示することが最も適切であると判断いたしました。第1四半期連結会計期間の売上高は10,000百万円(前年同期比△27.3%)、営業利益は115百万円(前年同期比△96.0%)、経常利益は142百万円(前年同期比△95.1%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は3百万円(前年同期比△99.8%)を予想しております。
売上高については、国内求人サイトが前年同期比44%程度の減収、国内人材紹介が前年同期比10%程度の減収、海外子会社が前年同期比20%程度の減収を想定しております。これらは主に新型コロナウイルスに起因した、経済活動の停止による企業の採用ニーズ減少及び採用プロセス長期化が影響しております。HR-Techに関しては前年同期比約8倍の増収を想定しております。
費用に関しては、売上高の状況及び広告効率の改善により、広告宣伝費や業務委託費等の変動費を中心に抑制を図りますが、業務委託費関連の本格的なコスト削減は、第2四半期連結会計期間からとなる予定です。
以上のことから、第1四半期連結会計期間においては、売上高の減少に対する費用の減少は限定的であり、営業利益は大幅な減益を想定しております。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当社グループの主たるサービスは、求人サイトの運営及び人材紹介であるため、生産に該当する事項がありません。よって、生産実績に関する記載はしておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績を示すと、次のとおりであります。
(注)1.当社グループの事業は単一セグメントであります。
2.金額には、消費税等は含まれておりません。
3.関係会社間取引については相殺消去をしております。
4.派遣形態は、サービスの提供量に応じて対価を得るため受注実績には含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注)1.当社グループの事業は単一セグメントであります。
2.金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,043百万円増加し、51,896百万円となりました。
このうち流動資産は190百万円減少し、37,065百万円となりました。これは現金及び預金が328百万円減少し、貸倒引当金が112百万円増加したこと等によるものであります。また、固定資産は2,234百万円増加し、14,830百万円となりました。これは、投資有価証券が988百万円、のれんが382百万円、ソフトウエアが281百万円増加したこと等によるものであります。
(負債)
負債合計につきましては、前連結会計年度末に比べ1,137百万円減少し、13,247百万円となりました。このうち流動負債は1,511百万円減少し、11,762百万円となりました。これは未払金が1,228百万円、未払法人税等が189百万円減少したこと等によるものであります。また、固定負債は374百万円増加し、1,485百万円となりました。これはリース債務が224百万円、長期未払金が146百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ3,181百万円増加し、38,648百万円となりました。これは利益剰余金が4,092百万円、資本剰余金が594百万円増加したものの、自己株式が1,457百万円増加したこと等によるものであります。
なお、当社グループでは各セグメントの資産情報を資源配分や業績評価のために使用することはないことから、セグメント別資産情報は作成しておりません。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べて1,175百万円減少し、28,766百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、8,044百万円のプラス(前連結会計年度は10,680百万円のプラス)となりました。これは、税金等調整前当期純利益10,608百万円、法人税等の支払額3,599百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、4,127百万円のマイナス(前連結会計年度は4,556百万円のマイナス)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出1,590百万円、投資有価証券の取得による支出1,459百万円、定期預金の預入による支出1,111百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、5,036百万円のマイナス(前連結会計年度は2,237百万円のマイナス)となりました。これは、配当金の支払額3,012百万円、自己株式の取得による支出1,586百万円があったこと等によるものであります。
当社グループでは、主として営業活動によるキャッシュ・フローにより、必要とする資金を調達しております。また、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行1行と当座貸越契約(極度額1,000百万円)を締結しておりますが、当連結会計年度末日における借入実行残高はございません。
上記に加え、取引銀行1行とコミットメントライン契約(極度額5,000百万円)を当連結会計年度末日後に締結しております。
なお、重要な設備の新設等の計画はございません。
② 財務方針
当社グループは、財務の安全性を担保した上で中長期的な利益成長の観点から、事業ステージに応じた適切な投資を図りつつ、M&Aや出資など戦略的な投資も行っていくことを基本方針としております。これとともに、株主の皆様への還元を重要な施策と捉えていることから、「配当性向50%」を基本方針としております。また、財務状況、戦略投資の進捗状況及び株式市場動向等を総合的に踏まえ、自己株式の取得を適宜検討いたします。
なお、今後の景気動向及び業績動向により、上述の財務方針は変更される場合もございます。
③ 資金使途
主に人件費及び広告宣伝費を中心とした運転資金、法人税の支払い、配当金の支払いに資金を充当しております。また、テクノロジー分野を中心としたM&A及び出資を強化する方針に基づき、資金を充当しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
① 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、事業用資産等について継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分に基づきグルーピングを行っており、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しています。
固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
② 投資有価証券及び関係会社株式
当社グループでは、その他有価証券のうち、取得原価に比べ時価又は実質価額が著しく下落したものについては、回復可能性があると判断される場合を除き、減損処理を行っております。
時価のあるものについては、決算日現在の時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には回復可能性はないものと判断し、30%以上50%未満下落した場合には、個別銘柄ごとに株価の推移、市場環境の動向、最高値・最安値と購入価格との乖離状況、発行会社の業績の推移等を総合的に勘案し、回復可能性を判断しております。
時価のないものについては、発行会社の実質価額が取得原価に比べて50%以上低下した場合には、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除き、減損処理を行っております。
経営者は、回復可能性の判断が適切なものであると判断しておりますが、回復可能性ありと判断している有価証券についても、将来、時価の下落又は投資先の財政状態及び経営成績の悪化により、減損損失が発生する可能性があります。
③ 繰延税金資産
当社グループでは、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は各社、各納税主体で十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、その評価には、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されております。
経営者は、当該計上額が適切なものであると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う各社、各納税主体の経営悪化により、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加で設定する可能性があります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度の売上高は、主に海外子会社の新規連結寄与及び国内の求人サイト並びに人材紹介の増加により、56,848百万円(前期比16.7%増)となりました。総費用は、海外の新規連結子会社の費用増及び中長期的な事業成長に向けた先行人員増に伴う人件費、HR-Tech事業におけるプロモーション費用の積極投下等により、45,843百万円(前期比23.7%増)となりました。
これらの結果、営業利益は11,005百万円(前期比5.6%減)、経常利益は11,057百万円(前期比6.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、7,125百万円(前期比12.5%減)となりました。
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 増減 | 増減率 | |
| 売上高 | 48,733 | 56,848 | 8,115 | 16.7% |
| 営業利益 | 11,661 | 11,005 | △655 | △5.6% |
| 経常利益 | 11,834 | 11,057 | △776 | △6.6% |
| 親会社株主に帰属する 当期純利益 | 8,144 | 7,125 | △1,018 | △12.5% |
① 売上高
国内の求人サイトは、人材紹介会社向けサイト及び派遣会社向けサイトの伸長により、前連結会計年度を上回る売上高となりました。
国内の人材紹介は、主に子会社のエンワールド・ジャパン株式会社の伸長により、前連結会計年度を上回る売上高となりました。
海外事業は、インドのIT派遣会社 Future Focus Infotech社(以下FFI社)の新規連結化、注力国であるベトナムの伸長により、前連結会計年度を上回る売上高となりました。
HR-techは、当連結会計年度より「engage」の一部有料化を開始し、四半期毎に売上高が拡大いたしました。
これらの結果、売上高は前連結会計年度比16.7%増の56,848百万円となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、IT派遣事業を展開するFFI社の新規連結化に伴い、派遣人員の労務費及び業務委託費が加わったことから、前連結会計年度比123.2%増の10,451百万円と大幅な増加となりました。
販売費及び一般管理費は、中長期的な事業成長に向けた先行人員増に伴う人件費、これに関連した地代家賃及びサイト運用関連費用等が増加しました。また、広告宣伝費はHR-Tech事業において積極的な投資を行ったものの、国内求人サイトにおいて売上高に連動したコストコントロールを行った結果、微増となりました。
これらの結果、販売管理費及び一般管理費全体では、前連結会計年度比9.3%増の35,392百万円となりました。
③ 営業利益
売上高が増加したものの、次年度以降の本格的な売上成長を目的として、人材紹介において先行投資となる人員増加を図ったこと、HR-techの「engage」にプロモーションを中心とした積極的な先行投資を行ったこと等により総費用の増加が上回ったことから、営業利益は前連結会計年度比5.6%減の11,005百万円となりました。
④ 経常利益
営業利益が減少したこと、営業外費用として非連結子会社への貸付金に対し、貸倒引当金を計上したこと等から、経常利益は前連結会計年度比6.6%減の11,057百万円となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
経常利益が減少したこと、特別損失として投資有価証券の評価損を計上したこと等から、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比12.5%減の7,125百万円となりました
当社グループの報告セグメントは、「採用事業」と「教育・評価事業」に区分しておりましたが、当連結会計年度より、「人材サービス事業」の単一セグメントに変更しております。このため、主要な事業の概況について、管理会計ベースの数値を用いて下記に記載いたします。
主要な事業の概況
(単位:百万円)
| 売上高 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 増減 | 増減率 |
| 国内求人サイト | 31,399 | 32,126 | 727 | 2.3% |
| 国内人材紹介 | 11,152 | 11,878 | 726 | 6.5% |
| 海外事業 | 4,635 | 10,745 | 6,110 | 131.8% |
| HR-Tech | ― | 475 | 475 | ― |
| その他事業・子会社 | 2,021 | 2,113 | 91 | 4.5% |
※各事業の売上高合算と連結売上高との差異は、事業間調整及び連結調整等によるものであります。
(国内求人サイト)
「エン転職」は、当期の戦略方針に基づき、顧客企業に対する効果面の優位性を活かして、採用予算が大きい顧客企業内のシェアを拡大したことから、平均掲載単価の上昇に繋がりました。一方で、中小顧客企業においては、想定よりも競合企業による掲載期間延長及び価格割引が強まったことを受け、掲載件数が減少しました。第4四半期においては「engage」とのセット販売等により、掲載件数は回復基調となりましたが、通期の売上高は前年を若干下回りました。
人材紹介会社向け求人サイトは、「ミドルの転職」において、下期に景況感悪化懸念に伴い、顧客の人材紹介会社の成約数が弱まったものの、課金体系の変更及び顧客企業のサイト活用度の向上により、通期では順調な売上高の増加となりました。若手ハイキャリア向けサイト「AMBI」は、ブランド認知の向上及びターゲット会員・企業双方が順調に増加したことから、大幅な増収となりました。
派遣会社向け求人サイトは、「エン派遣」が大手派遣会社内における高いシェアを維持し、安定的な売上高成長、「エンバイト」が介護領域等の拡大による大幅な売上高成長となりました。
なお、各求人サイトともに3月から新型コロナウイルスの国内拡大による事業への影響を受けたものの、2020年3月期における業績影響は限定的でありました。
これらの結果、国内求人サイトの売上高は前期比2.3%増の32,126百万円となりました。
(国内人材紹介)
子会社のエンワールド・ジャパン株式会社は、期中に景気減速懸念からメーカーを中心とした顧客の需要減が見られたものの、他業界へのシフト等を進めていたことから第4四半期は再び増収へ転じました。
エン・ジャパンの人材紹介「エン エージェント」は、期初に増員した人員の業績貢献が高まったことや、組織・運用体制の構築が進んできたことから、第4四半期に反転増収となりました。
なお、両人材紹介サービスともに3月から新型コロナウイルスの国内拡大による事業への影響を受けたものの、2020年3月期における業績影響は限定的でありました。
これらの結果、国内人材紹介の売上高は前期比6.5%増の11,878百万円となりました。
(海外事業)
海外事業は、非注力国において前期を下回る売上高となったものの、注力国であるベトナム及びインドは、通期で想定を上回る売上高となり、好調に推移いたしました。また、インドにおいては当連結会計年度よりIT派遣事業を展開するFFI社の業績が反映されております。
なお、海外子会社は3ケ月遅れて業績を取り込んでいるため、新型コロナウイルスによる、2020年3月期の業績影響はありません。
これらの結果、海外事業の売上高は前期比131.8%増の10,745百万円となりました。
(HR-Tech)
人事・採用プラットフォームの「engage」は、積極的なプロモーション活動を行ったことにより、利用社数は27万社(2020年3月現在)と順調に増加いたしました。また、2019年4月より開始した有料プランは、有料利用社数が順調に増加したこと、応募数の増加施策が奏功したことから売上高は前四半期比で116.4%増の大幅増収となり、通期の売上高は475百万円となりました。
なお、「engage」は新規サービスであり、新型コロナウイルスによる業績影響を比較分析することが困難でありますが、上述の通り四半期売上高は順調に増加しており、影響は無かったと判断しております。
(新型コロナウイルスによる当社業績への影響)
2020年3月期においては、新型コロナウイルスによる当社業績への影響は限定的でありました。
次期、2021年3月期の現時点における当社見通しは下記の通りです。
短期的には新型コロナウイルスに起因した顧客企業の採用需要減少や採用の見合わせにより、当社業績は大きな影響を受けることが想定されます。構造的な人手不足要因等により、コロナ収束後は徐々に採用需要が回復するものとみておりますが、新型コロナウイルスに関しては、その収束時期を予想することは極めて困難であり、現時点で当社の通期業績計画を合理的に算定することも極めて困難であります。
以上のことから、直近の動向を踏まえて、第1四半期連結会計期間のみの業績予想を開示することが最も適切であると判断いたしました。第1四半期連結会計期間の売上高は10,000百万円(前年同期比△27.3%)、営業利益は115百万円(前年同期比△96.0%)、経常利益は142百万円(前年同期比△95.1%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は3百万円(前年同期比△99.8%)を予想しております。
売上高については、国内求人サイトが前年同期比44%程度の減収、国内人材紹介が前年同期比10%程度の減収、海外子会社が前年同期比20%程度の減収を想定しております。これらは主に新型コロナウイルスに起因した、経済活動の停止による企業の採用ニーズ減少及び採用プロセス長期化が影響しております。HR-Techに関しては前年同期比約8倍の増収を想定しております。
費用に関しては、売上高の状況及び広告効率の改善により、広告宣伝費や業務委託費等の変動費を中心に抑制を図りますが、業務委託費関連の本格的なコスト削減は、第2四半期連結会計期間からとなる予定です。
以上のことから、第1四半期連結会計期間においては、売上高の減少に対する費用の減少は限定的であり、営業利益は大幅な減益を想定しております。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当社グループの主たるサービスは、求人サイトの運営及び人材紹介であるため、生産に該当する事項がありません。よって、生産実績に関する記載はしておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績を示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 人材サービス事業 | 56,630 | +16.4 | 7,205 | △2.9 |
(注)1.当社グループの事業は単一セグメントであります。
2.金額には、消費税等は含まれておりません。
3.関係会社間取引については相殺消去をしております。
4.派遣形態は、サービスの提供量に応じて対価を得るため受注実績には含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 人材サービス事業 | 56,848 | +16.7 |
(注)1.当社グループの事業は単一セグメントであります。
2.金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,043百万円増加し、51,896百万円となりました。
このうち流動資産は190百万円減少し、37,065百万円となりました。これは現金及び預金が328百万円減少し、貸倒引当金が112百万円増加したこと等によるものであります。また、固定資産は2,234百万円増加し、14,830百万円となりました。これは、投資有価証券が988百万円、のれんが382百万円、ソフトウエアが281百万円増加したこと等によるものであります。
(負債)
負債合計につきましては、前連結会計年度末に比べ1,137百万円減少し、13,247百万円となりました。このうち流動負債は1,511百万円減少し、11,762百万円となりました。これは未払金が1,228百万円、未払法人税等が189百万円減少したこと等によるものであります。また、固定負債は374百万円増加し、1,485百万円となりました。これはリース債務が224百万円、長期未払金が146百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ3,181百万円増加し、38,648百万円となりました。これは利益剰余金が4,092百万円、資本剰余金が594百万円増加したものの、自己株式が1,457百万円増加したこと等によるものであります。
なお、当社グループでは各セグメントの資産情報を資源配分や業績評価のために使用することはないことから、セグメント別資産情報は作成しておりません。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べて1,175百万円減少し、28,766百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、8,044百万円のプラス(前連結会計年度は10,680百万円のプラス)となりました。これは、税金等調整前当期純利益10,608百万円、法人税等の支払額3,599百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、4,127百万円のマイナス(前連結会計年度は4,556百万円のマイナス)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出1,590百万円、投資有価証券の取得による支出1,459百万円、定期預金の預入による支出1,111百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、5,036百万円のマイナス(前連結会計年度は2,237百万円のマイナス)となりました。これは、配当金の支払額3,012百万円、自己株式の取得による支出1,586百万円があったこと等によるものであります。
当社グループでは、主として営業活動によるキャッシュ・フローにより、必要とする資金を調達しております。また、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行1行と当座貸越契約(極度額1,000百万円)を締結しておりますが、当連結会計年度末日における借入実行残高はございません。
上記に加え、取引銀行1行とコミットメントライン契約(極度額5,000百万円)を当連結会計年度末日後に締結しております。
なお、重要な設備の新設等の計画はございません。
② 財務方針
当社グループは、財務の安全性を担保した上で中長期的な利益成長の観点から、事業ステージに応じた適切な投資を図りつつ、M&Aや出資など戦略的な投資も行っていくことを基本方針としております。これとともに、株主の皆様への還元を重要な施策と捉えていることから、「配当性向50%」を基本方針としております。また、財務状況、戦略投資の進捗状況及び株式市場動向等を総合的に踏まえ、自己株式の取得を適宜検討いたします。
なお、今後の景気動向及び業績動向により、上述の財務方針は変更される場合もございます。
③ 資金使途
主に人件費及び広告宣伝費を中心とした運転資金、法人税の支払い、配当金の支払いに資金を充当しております。また、テクノロジー分野を中心としたM&A及び出資を強化する方針に基づき、資金を充当しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
① 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、事業用資産等について継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分に基づきグルーピングを行っており、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しています。
固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
② 投資有価証券及び関係会社株式
当社グループでは、その他有価証券のうち、取得原価に比べ時価又は実質価額が著しく下落したものについては、回復可能性があると判断される場合を除き、減損処理を行っております。
時価のあるものについては、決算日現在の時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には回復可能性はないものと判断し、30%以上50%未満下落した場合には、個別銘柄ごとに株価の推移、市場環境の動向、最高値・最安値と購入価格との乖離状況、発行会社の業績の推移等を総合的に勘案し、回復可能性を判断しております。
時価のないものについては、発行会社の実質価額が取得原価に比べて50%以上低下した場合には、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除き、減損処理を行っております。
経営者は、回復可能性の判断が適切なものであると判断しておりますが、回復可能性ありと判断している有価証券についても、将来、時価の下落又は投資先の財政状態及び経営成績の悪化により、減損損失が発生する可能性があります。
③ 繰延税金資産
当社グループでは、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は各社、各納税主体で十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、その評価には、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されております。
経営者は、当該計上額が適切なものであると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う各社、各納税主体の経営悪化により、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加で設定する可能性があります。