有価証券報告書-第43期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/19 15:42
【資料】
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【項目】
113項目

対処すべき課題

(1)当社グループの課題
当社グループは、平成26年度にスタートした第11次中期経営計画のもと、各重点課題に取り組み、ヘルスケア領域において、株式会社アスクレップにおける臨床開発事業の譲渡、および市販後調査事業への特化により業績の巻き返しを図りました。
また、コミュニケーション領域においては、株式会社インテージにおけるi-SSP(インテージシングルソースパネル)のさらなる浸透と、これを基軸としたデータ・マネジメント・プラットフォーム((注)1)(di-PiNK(注)2)等の新サービスを開始し、新規事業領域への挑戦が実績として結実する等、本中期経営計画の初年度において一定の成果がみられました。
本中期経営計画の2年目にあたる平成27年度の事業計画においては、その基本方針として、「グループフォーメーションの最適化」、「グループ成長実現のための戦略投資」、「グループガバナンスの更なる進化」を掲げ、引き続き各重点課題の取り組みを加速させてまいります。
特に「グループフォーメーションの最適化」については、絶えず変化する市場環境に対応していくため、従来からグループ各社が保有する有力なノウハウ、営業資産等について垣根を越えて融合・発展させていくことが、多様化する顧客の事業活動の支援強化と、インテージグループの顧客提供価値の増大に繋がるものと考えており、平成27年4月1日より諸施策として順次実行しております。
具体的には、本中期経営計画におけるヘルスケア領域のビジョンにも掲げております「患者(生活者)起点」のもと、株式会社インテージにおけるコンシューマーヘルスケア分野のマーケティングリサーチ事業を株式会社アンテリオへ移管・集約し、これまで各社が蓄積してきた一般用医薬品および医療用医薬品に関するノウハウ、データ等を統合のうえ、シナジーの最大化を目指します。
また、IT基盤を活用したシステムソリューション事業についても、株式会社インテージから株式会社インテージテクノスフィアへの移管・集約により、競合優位性の確立に向け、事業基盤と差別化要素の見直しとともに、成長戦略の再構築を推進してまいります。
さらにインテージグループの中核となるマーケティングリサーチ事業においても、市場環境の変化を先取りする新たな挑戦として、米国ニールセン社との合弁により、新たな広告効果測定ソリューションの開発を担う「株式会社インテージ・ニールセンデジタルメトリクス」を設立いたしました。
また、従来、株式会社インテージにおいてマーケティングリサーチを基盤として培ってきたコンサルティング事業を「株式会社インテージコンサルティング」として分離・設立する等、両社が保有するソリューションを通じて、引き続き顧客企業のマーケティング活動を高度かつ強力に支援してまいります。
このほかにも、M&Aを含む新規事業領域の可能性の模索及び投資を積極的に実行するとともに、将来の事業発展を支える人財の育成と組織環境の整備、障害者雇用をはじめとするダイバーシティの推進等にも努めてまいります。
インテージグループでは、持株会社である当社が主体となり、その強力な推進のもと継続して資源の最適化と価値の最大化を模索し、さらなる経営基盤の強化と企業価値の向上を目指してまいります。
(注)1.データ・マネジメント・プラットフォーム(DMP、Data Management Platform)とは、インターネット上の様々なサーバーに蓄積されるビッグデータや自社サイトのログデータなどを一元管理、分析し、最終的に広告配信などのアクションプランの最適化を実現するためのプラットフォームを指します。
2.di-PiNKは、当社関連会社である株式会社ドコモ・インサイトマーケティングの登録商標です。
(2)株式会社の支配に関する基本方針について
①基本方針の内容
当社の財務及び事業活動を支配する者には、当社グループの「THE INTAGE WAY」を十分に理解し、短期的な収益の確保のみならず、中長期的な視野に立って事業の持続的な成長性を追求し、当社の企業価値と株主共同の利益を維持・向上させていくことが必要であります。
当社は、当社の経営を支配しようとする大量買付者が出現した際には、当社の企業価値と株主共同の利益の維持・向上のための事業計画、財務計画、資本政策、当社の従業員、取引先、お客様等の利害関係者の処遇方針等についての十分な情報の提供を受け、当該提案等が当社の企業価値と株主共同の利益を維持・向上できるものか否かの観点に立ち評価・検討し、株主の皆様が客観的に判断できるよう情報を適時に開示するとともに、明らかに当社の企業価値と株主共同の利益を毀損するものである場合には、かかる買付行為に対し対抗措置を講ずる責任があると考えます。
当社は、以上のような考え方を当社の財務及び事業活動を支配する者の在り方に関する基本方針としております。
②取り組みの内容
イ.基本方針の実現に資する特別な取組み
当社グループでは、中長期的な視野に立って事業の持続的な成長を実現するため、3ヵ年に渡る中期経営計画を導入しております。
平成26年4月からは、新たに第11次中期経営計画(平成26年4月-平成29年3月)がスタートしており、グループ基本方針として『"リノベーション & イノベーション" -「生活者理解」を最大の武器に、更なる成長加速へ-』を掲げ、下記重点課題に取組むことで、引き続きさらなる企業価値と株主共同の利益の向上を目指してまいります。
ⅰ)主力事業の再強化・戦列立て直しによる市場価値のV字回復
ⅱ)モバイル&シングルソース、グローバル、ヘルスケア領域の着実な成長
ⅲ)「リサーチ」のフレームにとらわれない、新たなビジネスモデルの模索と確立
ⅳ)最適化の視点による戦略立案・推進のマネジメント強化主力事業の再強化による市場価値向上
ロ.不適切な者によって支配されることを防止する取組み
当社は、平成27年6月19日開催の当社第43回定時株主総会において「当社株式の大量買付行為に関する対応策」の継続を決議いたしました。
上記対応策は、ⅰ)買付者が大量買付行為を行おうとする場合に、当社取締役会が買付者に対し、事前に当該大量買付行為に関する必要かつ十分な情報の提供を求め、それに基づいて当該大量買付行為についての評価、検討、買付者との買付条件に関する交渉又は株主の皆様への代替案の提示等を行っていくための手続(以下「大量買付ルール」といいます。)、及びⅱ)買付者が大量買付ルールに従うことなく買付を行う等、大量買付行為が当社の企業価値・株主共同の利益を害するおそれがある場合に、必要に応じて当社が対抗措置を発動することを定めるものであります。
③取締役会の判断及びその判断に係わる理由
イ. 前記②イの取組みは、当社の企業価値を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであるので、前記①の基本方針に沿い、株主の共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。
ロ. 前記②ロの取組みについては、大量買付行為に関する情報提供を求めるとともに、大量買付行為が当社の企業価値を毀損する場合に対抗措置を発動することを定めるものであり、前記①の基本方針に沿ったものであります。またその導入については、株主意思を尊重するため、株主総会での承認をその効力発生条件としております。
さらに、取締役会によって恣意的な判断がなされることを防止するために独立委員会を設置し、取締役会は独立委員会の勧告を最大限に尊重して、対抗措置の発動を決議することとしております。その判断の概要については、適時に株主の皆様に情報開示することとしているため、その運営は透明性をもって行われます。
したがって、当社取締役会は、株主の共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。