有価証券報告書-第18期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/25 10:00
【資料】
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【項目】
108項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループにおける財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりであります。
文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針及び見積りの概要については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
なお、上記の見積りについては継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りは不確実性を伴うため、実際の結果は異なることがあります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 営業収入
当連結会計年度における営業収入は78,932百万円(前年同期比6.4%増)となり、前連結会計年度と比べて4,727百万円の増収となりました。これは、「アミーユレジデンス」を1施設、「Cアミーユ」を15件新たに開設したこと及び当連結会計年度に開設した「Cアミーユ」において概ね計画通りの入居率で推移できたこと、加えて、開設後1年を経過した既存物件の入居率が前期に引続き一定水準を維持しており、前連結会計年度開設分が寄与したことによるものです。
② 営業総利益
営業原価は60,120百万円(同5.8%増)となりました。材料費、職員給与、地代家賃等が主な原価であり、開設施設の増加等により営業原価が増加いたしました。
この結果、営業総利益は18,812百万円(同8.1%増)となり、営業収入営業総利益率は23.8%(同0.4ポイント上昇)となりました。
③ 営業利益
販売費及び一般管理費は、11,465百万円(同6.7%増)となりました。施設開設に伴う管理者の増加による人件費の増加が主な要因であります。
この結果、営業利益は7,346百万円(同10.4%増)となり、営業収入営業利益率は9.3%(同0.3ポイント上昇)となりました。
④ 経常利益
営業外収益として、助成金収入として38百万円及び子会社における不動産賃貸料として39百万円を計上した一方で、営業外費用として支払利息(借入金及びリース)として537百万円を計上しております。
この結果、経常利益は6,966百万円(同8.0%増)となり、営業収入経常利益率は8.8%(同0.1ポイント上昇)となりました。
⑤ 当期純利益
特別利益として自社保有物件の売却に伴う固定資産売却益により284百万円を計上したこと、及び有料老人ホーム1施設を事業分離したことに伴う移転利益を50百万円計上したことにより、税金等調整前当期純利益は7,284百万円(同12.6%増)となり、法人税等合計は2,676百万円(同7.6%減)となりました。
この結果、当期純利益は、4,352百万円(同27.0%増)となりました。
また、1株当たり当期純利益は216円73銭となり、前連結会計年度より46円5銭の増加となりました。
なお、キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載しております。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
「4 事業等のリスク」記載しておりますとおり、施設及び賃貸住宅における入居率や稼働率の低下、ブランドイメージの低下、新規開設時期の遅れ、景気回復や競争激化による介護職員の採用進捗の遅れ、収益性の悪化に伴う減損会計の適用、介護保険法に基づく保健事業計画の見直しによる介護報酬改定の影響、高齢者事業特有の事故等の発生、個人情報等流出による信用力の低下などの要因により、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
(4)経営戦略の現状と見通し
総務省統計データによると、日本の高齢者人口3,296万人(平成26年9月15日現在推計)となっております。総人口に占める割合は25.9%に達しており、今後もこの高齢者人口比率は更に高まって平成47年には同比率が33%を超えると推定されております。また、要介護認定者についても約565万人(平成25年3月末時点)と年々増加傾向にあり、平成12年の介護保険制度開始時の約260万人の2倍以上となっています。この高齢者人口推移のもと、介護が必要な高齢者が安心して暮らしていける住まいは大きく不足している現況ですが、今後はますますその傾向が強まるものと見込まれます。
当社はこのような環境において、実質的な総量規制下にある介護付有料老人ホームについては、開設機会を的確に捉えて開設してまいります。
介護付有料老人ホームのような規制下にないサービス付き高齢者向け住宅(Cアミーユ)は、現在まで積極的に開設を進め、当連結会計年度末時点で117件・6,927室となり、前連結会計年度末と比較して15件・925室増加しております。また、当連結会計年度末時点で全国のサービス付き高齢者向け住宅登録数における当社シェアは棟数で2.1%、室数で3.9%となっています。サービス付き高齢者向け住宅としてのCアミーユの認知度が徐々に増す中、開設後1年を経過したCアミーユの入居率も比較的順調に推移し、同時に効率的な運用ノウハウの蓄積など事業として収益性が確保できるようになりました。これからは、室数50程度の規模の物件を中心とし、サブリース(土地のオーナー様に建物を建築して頂き、建物を一括賃借して入居者へ賃貸する)方式の開発に加え、他の事業者との業務提携による建物賃貸運営の切り離しやフランチャイズ方式等も含め、主に三大都市圏において、年間10件を目途に開設を進めてまいります。今後も、住み慣れた地域で住み続ける(地域居住:Aging in place)ことができる環境を実現するために、介護が必要な高齢者の生活を支える最も重要な土台である「安心して暮らせる住まい」として、中所得者層が無理なく利用できる価格帯をメインターゲットとして引き続き提供していく考えです。
また、一方で介護が必要となっても転居を伴うことなく自宅で住み続けることができるように生活をサポートしていくための「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」を中核とした介護サービス提供システムを引き続き研究し、実験・検証した上で確立してまいります。この他、高齢者の方がいちばん暮らしやすいのは住み慣れた自宅であり、そのご自宅へ老人ホームと同じサービスを提供することを可能とした「在宅老人ホーム®Zアミーユ」のサービス提供を平成27年2月より開始しました。24時間365日の安心できるフルパッケージサービスを月額7万円程度から提供することにより、高齢者の方ができる限り長く、自宅で自由な生活をすることをサポートしていきたいと考えています。
このように在宅におけるサービスを拡充することを、今後の成長戦略の一つとして位置付けてまいります。