有価証券報告書-第19期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/26 15:25
【資料】
PDFをみる
【項目】
64項目

対処すべき課題

本報告書提出日現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「Delight and Impact the World~世界に喜びと驚きを~」をミッション(普遍的に目指す姿)として掲げ、「インターネットやAIを活用し、永久ベンチャーとして世の中にデライトを届ける」ことをビジョン(長期の経営指針)としております。当社グループの考える「永久ベンチャー」とは、当社グループが社会に貢献し、歓迎されることを大前提として、常に新しい価値提供に挑戦し続けることであり、常にこの点を念頭におき、各種の経営施策に取り組んでおります。
当社グループは、創業来、インターネットオークション、ショッピングモール、モバイルオークション、モバイル広告、モバイルSNS、そしてモバイル向けゲームと、次々に新たな成長のエンジンを生み出して発展してまいりましたが、これからも、世界中の利用者に新鮮な便利さと楽しさを届け続け、企業価値の向上を図ってまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、当社グループの企業価値を継続的に高めていくことが経営上の最重要課題だと認識しており、売上収益、営業利益、EPSなどの経営指標を重視しております。また、営業上の指標として、各サービス・コンテンツにおける会員数、利用者数、課金ARPU(注1)、RR(注2)等を重視しております。
(注1)ARPU(Average Revenue Per User)とは、アクティブユーザ1人あたりの利用額をいいます。
(注2)RR(Retention Rate)とは、サービスの利用を開始したユーザの一定期間経過後の継続率をいいます。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
スマートフォンをはじめとする高機能端末の世界的な普及や技術の進化により、モバイル端末向けに続々と新しいインターネットサービスが登場し、モバイルインターネットの事業領域はますます拡大しています。
当社グループの主力事業であるモバイル向けゲームの事業領域では、開発・運営で積み上げてきたノウハウを活かしながら、新しいトレンドを作るゲームタイトルを創出することで、グローバルにユーザベースの裾野を拡大し、収益基盤を強化してまいります。
これに加え、新たな事業の柱の礎を築いてまいります。当社グループは、いち早くモバイルインターネットの可能性に着目し、時代のニーズを捉えた事業を次々に立ち上げて成長してきました。今後もインターネット、更にはAI(人工知能)を活用しつつ、当社のサービスの構築力や様々な企業との協業経験等を活かし、ゲーム事業に匹敵するような事業の創出を目指し、中長期にわたって持続的に成長する事業ポートフォリオの構築を重要な経営戦略として進めてまいります。
(4) 会社の対処すべき課題
当連結会計年度には、「新規事業・その他」のセグメント区分に属するキュレーションプラットフォーム事業において、著作権法等の法令に違反する可能性がある記事及び内容が不適切な記事が作成・公開されているという指摘を受け、当社グループは、平成28年12月7日までに、当該事業における記事の公開を停止いたしました。当社グループは、当該問題に関し、詳細な事実関係の調査及び原因の究明並びに改善策の検討が必要であると判断し、同年12月15日、当社との利害関係を有しない独立した委員のみで構成する第三者委員会を設置し、平成29年3月11日に第三者委員会から調査報告書を受領し、同年3月13日に公表いたしました。
株主の皆様をはじめ、お客様、お取引先様その他多くのステークホルダーの皆様に多大なご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。
当社グループは、これまでも企業の社会的責任を自覚し、日常の職務において関係法令を遵守し、社会的倫理に適合した行動を実践するための体制を構築してまいりましたが、第三者委員会の調査結果及び提言も踏まえ、「永久ベンチャー」を体現し続けるためには、コーポレート・ガバナンス及びコンプライアンス・リスク管理体制のさらなる強化並びに徹底した意識改革が必要であると改めて認識いたしました。
当社グループは、当該問題を厳粛に受け止め、信頼回復に向けて、コーポレート・ガバナンス及びコンプライアンス・リスク管理体制の強化並びに徹底した意識改革を図ると同時に、さらなる成長へ向けた事業ポートフォリオの強化を最重要課題として、以下のとおり取り組んでまいります。
①コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループは、経営の公正性・透明性を確保し、適切なリスクテイクをしつつ企業価値の持続的向上のための挑戦をし続ける体制の構築に努めてまいりましたが、上述の問題を受け、当社取締役会及び監査役が当社グループの内部統制システムの運用状況を適時適切に把握し、業務執行の監督・監査をさらに充実させるため、各種施策に取り組んでまいります。
具体的には、当社取締役会における重要事項の検討において、社外取締役の適切な関与・助言を得るための任意の委員会の活用及びその他の取締役の業務執行に対する監督強化並びに監査役監査の強化等に取り組んでまいります。
②コンプライアンス・リスク管理体制の強化
当社は、当社グループのコンプライアンス及びリスク管理を統括する部門を設置し、グループ全体のコンプライアンスプログラム及びリスクマネジメントの強化を図ります。
当該部門は、経営にコンプライアンス・リスク管理の視点を定着させることをミッションとし、取締役会及び経営会議等に対しリスクアジェンダを表明することができる等、より実効的なリスクマネジメント体制を構築することを基本方針とします。
この方針に基づき平成29年5月23日の当社取締役会において、「内部統制システムに関する基本方針」の変更を決議いたしました。その内容につきましては、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの状況 ①企業統治の体制 c 内部統制システム及びリスク管理体制の整備の状況」をご参照ください。
③徹底した意識改革の推進
当社グループの各事業領域において、ミッション及びビジョンの再定義を行い、お客様に対するデライトの提供を最優先とすることを徹底すべく、全ての役職員の意識改革に取り組んでまいります。お客様に本質的な価値・喜びを提供できているか、社会的価値・意義を創造し提供できているかを経営陣及び全事業部門がより適時適切に把握し、当社グループの全ての事業においてデライト観点の意識を高めてまいります。
④ゲーム事業における複数のヒットタイトルの創出及び既存の有力タイトルの強化
モバイル向けゲームの事業領域においては、スマートフォンでゲームを楽しむことが一般化したことに伴い、アプリ市場において継続的にヒットタイトルを創出し、ブラウザ市場での収益力低下を補う体制を強化することが必要な状況となっております。
当社グループでは、アプリ市場において、優良コンテンツのラインナップを充実させ、継続的にヒットタイトルを提供するための取り組みを引き続き強化する一方で、既存の有力タイトルをさらに強化するとともに、ブラウザ市場においても、ユーザの利用を維持及び活性化するための施策に取り組んでまいります。
また、任天堂株式会社との業務・資本提携におけるタイトル投入を進めるほか、外部パートナーとの協業タイトルを主軸とした海外展開を図ってまいります。
⑤成長へ向けた事業ポートフォリオの強化
当社グループは、設立以来、変化の速いインターネット市場の動向をいち早く捉えて様々な事業を創出し、中核事業を変遷させながら企業価値を向上させてきました。今後、当社グループは主力のゲーム事業の強化に加え、それに匹敵するような新たな柱の礎を築き、長期的に安定して大きな価値を創出することを目指してまいります。
そのために、当社グループは、モバイルインターネット及び当社の強みを発揮できるその他の事業領域において、これまでの事業で蓄積した知見やノウハウなどを活かし、また、AI(人工知能)など新しい技術への対応を進めつつ、他の企業との協業やM&Aなど多様な戦略オプションを用いながら事業を立ち上げてまいります。
(5) 会社の支配に関する基本方針
当社の「財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は、以下のとおりであります。
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、インターネットサービスをはじめとする当社グループの事業の全体に係る幅広い知識と豊富な経験を有し、また当社を支える株主、従業員、ユーザ、取引先、地域社会等の様々なステークホルダーとの信頼関係を十分に理解した上で、企業価値及び株主共同の利益を中長期的に最大化できる者が望ましいと考えております。
上場会社である当社の株主は、当社株式の自由な取引を通じて決定されるものである以上、特定の買付者等による買付等に応じるか否かについても、最終的には株主の判断に委ねられるべきものです。しかしながら、株式の大量買付等の中には、企業価値及び株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付等の行為について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの等、対象会社の企業価値及び株主共同の利益に必ずしも資さないと評価されるべきものもあります。
当社は、このような大量買付等を行う買付者等は、例外的に当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると判断し、法令及び定款によって許容される限度において、当社グループの企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に資する相当の措置を講じてまいります。