有価証券報告書-第20期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/25 15:10
【資料】
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【項目】
67項目

対処すべき課題

本報告書提出日現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「Delight and Impact the World~世界に喜びと驚きを~」をミッション(普遍的に目指す姿)として掲げ、「インターネットやAIを活用し、永久ベンチャーとして世の中にデライトを届ける」ことをビジョン(長期の経営指針)として、グループ全体で各種の経営施策に取り組んでおります。当社グループの考える「永久ベンチャー」とは、当社グループが社会に貢献し、歓迎されることを大前提として、常に新しい価値提供に挑戦し続けることであり、各種の経営施策の実施に当たっては、常にこの点を念頭においてまいります。
当社グループは、創業来、インターネットオークション、ショッピングモール、モバイルオークション、モバイル広告、モバイルSNS、そしてモバイル向けゲームと、次々に新たな成長のエンジンを生み出して発展してまいりましたが、これからも、世界中の利用者に新鮮な便利さと楽しさを届け続け、企業価値の向上を図ってまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、当社グループの企業価値を継続的に高めていくことが経営上の最重要課題だと認識しており、売上収益、営業利益、EPS等の経営指標を重視しております。また、営業上の指標として、各サービス・コンテンツにおける会員数、利用者数、課金ARPU(注1)、RR(注2)等を重視しております。
(注1)ARPU(Average Revenue Per User)とは、アクティブユーザ1人あたりの利用額をいいます。
(注2)RR(Retention Rate)とは、サービスの利用を開始したユーザの一定期間経過後の継続率をいいます。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
スマートフォンをはじめとする高機能端末の世界的な普及や技術の進化により、モバイル端末向けに続々と新しいインターネットサービスが登場し、モバイルインターネットの事業領域はますます拡大しています。また、世界的にAI(人工知能)の研究スピードは非常に速くなっており、それらの技術を活用した事業機会は今後さらに広がっていくと考えております。
上記の現状認識、及び当社グループのミッション及びビジョンに基づき、当社グループでは、現在の主力事業であるモバイル向けゲームの事業領域における収益基盤の強化に加え、ゲーム事業に匹敵するような新たな事業の柱を複数構築することを目指してまいります。
ゲーム事業においては、開発・運営で積み上げてきたノウハウを活かしながら、既存タイトルの強化と新規ヒットタイトルの創出に取り組むほか、外部パートナーとの協業等を中心にグローバルでのユーザベースの裾野を拡大し、成長を図ってまいります。
また、当社グループは、いち早くモバイルインターネットの可能性に着目し、時代のニーズを捉えた事業を次々に立ち上げて成長してきました。今後もインターネット、更にはAI(人工知能)を活用しつつ、当社のサービスの構築力や様々な企業との協業経験等を活かし、中長期にわたって持続的に成長する事業ポートフォリオの構築を進めてまいります。
中長期的な企業価値の向上に向けた取り組み内容等につきましては、「(4)会社の対処すべき課題」にも記載しております。
(4) 会社の対処すべき課題
当社グループは、「(1)会社の経営の基本方針」に記載の当社グループのミッション及びビジョンを実現するために、以下の課題に継続して取り組んでまいります。
①ゲーム事業における健全な収益性の確保及び新規ヒットタイトルの創出
主力のゲーム事業では、健全な収益性を確保し、既存の有力タイトルを強化するとともに、優良コンテンツのラインナップを充実させていくことにより、成長を図ってまいります。また、任天堂株式会社をはじめとした、外部有力パートナーとの提携関係に基づくタイトルの開発・運営にも引き続き注力してまいります。
アプリ市場においては、費用をコントロールしつつも、既存の有力タイトルのさらなる成長及び継続的なヒットタイトルの創出のための取り組みを強化していくほか、外部パートナーとの協業タイトル等を中心に海外展開も進めてまいります。また、ブラウザ市場においても、引き続き、ユーザの利用を維持及び活性化するための施策に取り組んでまいります。
②成長へ向けた事業ポートフォリオの強化
当社グループは、設立以来、変化の速いインターネット市場の動向をいち早く捉えて様々な事業を創出し、中核事業を変遷させながら企業価値を向上させてまいりました。当社グループは、経営資源を効率的に活用しながら、主力のゲーム事業に匹敵する新たな柱を複数構築し、長期的に安定して大きな価値を創出することを目指してまいります。
そのために、当社グループは、モバイルインターネット及び当社の強みを発揮できるその他の事業領域において、これまでの事業で蓄積した知見やノウハウを活かし、また、インターネットやAI(人工知能)等の技術を活用し、事業の創出に取り組んでまいります。事業の創出にあたっては、他の企業との協業やM&A等多様な戦略オプションを検討しながら、中長期での成功を見据えた先行投資も積極的に行ってまいります。
③意識改革の推進及び組織力の強化
当社グループにおいては、お客様に本質的な価値・喜びを提供できているか、社会的価値・意義を創造し提供できているか、といった観点から、経営陣及び全事業部門がサービスの状況やお客様の声を適時適切に把握し、各サービス単位がデライト観点でより高い意識を持ち、より多くのデライトを届けることができるよう、役職員の意識向上及び組織づくりを推進してまいります。
また、当社グループは、さらなる事業領域の拡大を推進する方針に対応して、経営陣の後継者育成、人事制度の充実並びに優秀な人材の採用及び育成強化等を通じて組織力の強化に取り組んでまいります。
④コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループは、経営の透明性・公正性を確保し、企業価値の持続的向上のための挑戦をし続ける体制の維持・強化のため、当社取締役会による取締役の職務執行に対する監督及び助言機能の一層の充実、並びに、取締役会及び監査役による、内部統制システムの運用等の業務執行の監督・監査のさらなる充実を図ってまいります。
また、当社取締役会において、取締役会や、任意の諮問機関である報酬委員会・指名委員会等について、運用状況及び実効性を分析・評価するとともに、継続的な改善を行ってまいります。
⑤コンプライアンス及びリスク管理体制の強化
当社グループの取締役、執行役員及び従業員は、当社グループのミッション及びビジョンを実現するために、グループ行動規範及び「DeNA Quality」(行動原理)を実践するとともに、事業及び業務上のコンプライアンス及びリスクマネジメントを徹底してまいります。各組織がコンプライアンス・リスク管理部門のサポートを得つつ体制を強化することを通じて、企業倫理の一層の向上、コンプライアンス体制及びリスク管理体制の充実・強化を図ってまいります。
(5) 会社の支配に関する基本方針
当社の「財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は、以下のとおりであります。
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、インターネットサービスをはじめとする当社グループの事業の全体に係る幅広い知識と豊富な経験を有し、また当社を支える株主、従業員、ユーザ、取引先、地域社会等の様々なステークホルダーとの信頼関係を十分に理解した上で、企業価値及び株主共同の利益を中長期的に最大化できる者が望ましいと考えております。
上場会社である当社の株主は、当社株式の自由な取引を通じて決定されるものである以上、特定の買付者等による買付等に応じるか否かについても、最終的には株主の判断に委ねられるべきものです。しかしながら、株式の大量買付等の中には、企業価値及び株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付等の行為について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの等、対象会社の企業価値及び株主共同の利益に必ずしも資さないと評価されるべきものもあります。
当社は、このような大量買付等を行う買付者等は、例外的に当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると判断し、法令及び定款によって許容される限度において、当社グループの企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に資する相当の措置を講じてまいります。