有価証券報告書-第22期(平成29年7月1日-平成30年6月30日)

【提出】
2018/09/26 15:06
【資料】
PDFをみる
【項目】
113項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「エネルギーの黒子であろう」という企業理念のもとで、「人のための省エネ、人々のための再エネ」をベースコンセプトに、効率的なエネルギー利用と自然由来のエネルギー供給を通じて現代の課題に取り組んでおります。
省エネルギーの推進と国産再生可能エネルギーの利用により、温暖化ガスの発生量の低減、一次エネルギー純輸入量の削減、人間とそれ以外の自然環境との両立を継続することを目指してまいります。当社グループの推進する木質バイオマス発電は、森林資源や林業の活用、協力が不可欠であり、バイオマス利用の積極化を推進することで資源の有効利用、地域経済の活性化に取組んでおります。
(2)経営戦略等
近年の我が国は、地震や大雨による大規模自然災害が相次ぎ、地域経済に大きな打撃を与えるとともに気候変動による生活不安や環境に関する様々な問題意識を生ずる結果となりました。エネルギーに関しては、全国の原子力発電所が定期点検を契機に停止し、石炭、石油、天然ガスといった化石燃料による火力発電への依存が高まりを見せる一方、再生可能エネルギーによる発電へのシフト期待が増加する状況が継続しています。火力発電所を運営すると燃料の輸入量が大幅に増加するとともに、老朽化した火力発電所のトラブルリスクを抱える事態に対し、長期的に安定的なエネルギー需給構造を確立するために、エネルギー政策の再構築が進められております。電力の需給構造については、安全性、安定供給、経済効率性及び環境適合に関する政策目標を同時達成する中で、徹底した省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの最大限の導入を推進することが基本方針として示されております。こうした中、当社グループでは以下の項目を中期的な戦略としております。
「省エネルギー支援サービス事業」においては単なる機器の更新だけではなく、生産・業務システムとしてのエネルギー効率改善を支援してまいります。行政の求める省エネ基準を満たし助成制度を利活用することにより、国全体のエネルギーの節約に貢献するとともに顧客にとっては初期投資額の抑制を実現する提案をサービスの要点として展開してまいります。
「グリーンエナジー事業」においては、木質バイオマス関連分野への投資を拡大してまいります。木質バイオマスを利用した発電所の建設においては、第4号機となる栃木県壬生町におけるエフオン壬生発電所の建設、稼働を平成32年までに完了し、第5号機となる和歌山県新宮市におけるエフオン新宮発電所の開発を推進してまいります。また、発電所運営に関連して、燃料調達に係る周辺事業への領域拡大を指向してまいります。これは、未利用木材の調達に際し手入れや処分に困窮する山林立木の購入やその伐採、運送、チップ加工等の商流を再構築することで地域の発展、雇用の創出、山林の自然環境の維持、整備に資するものと考えております。
これらの活動を通じて、さらなる事業の発展と社会貢献を果たしていくことを中期の経営戦略としています。
なお、経営戦略の現状と見通しについては、平成29年8月18日に公表したエフオングループ改訂第4次中期経営計画に記載の通り、木質バイオマス関連分野への投資を拡大していくことを当面の戦略としています。既存の木質バイオマス発電所3基の高稼働を維持し健全な財務基盤を確保するとともに、安定的な燃料供給のためストックヤードやチップ加工センターの整備のほか、森林資源調査、森林経営といった分野にも取組んでまいります。栃木県壬生町におけるエフオン壬生発電所の建設、稼働については、計画を着実に推進し公表数値の実現に努力してまいります。また、和歌山県新宮市におけるエフオン新宮発電所の開発については、エフオン壬生発電所の建設の進行に歩調を合わせ過度な開発速度とならぬよう留意し、グリーンエナジー事業の事業基盤の拡充とともに着実に進めていく所存です。
当社グループは、環境に優しく国産の持続可能な資源によるエネルギー創出に資するべく、既存設備については発電所のさらなるオペレーティング技術の向上、適切な設備保守、最適燃料使用比率の追及をテーマに人材育成や地元の林業、木材関係者らとの協力体制の整備、強化を図ってまいります。さらなる新たな発電所の開発については、開発案件の立地調査、燃料調達ネットワークの構築等に精力的に取組み、継続的な開発着手を実現してまいります。これらにより安定的な電力の供給と地元関連産業の活性化を推進していくことが社会貢献につながり企業価値の向上に資するものと考えております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、事業分野毎の収益性だけでなく、グループ全体での収益を最大化することが重要であると認識しております。これまで蓄積した省エネルギーや木質バイオマス発電所運営に関するノウハウを活用、展開することで、さらなる業績の拡大を目指してまいります。このため、連結での売上高及び営業利益率を重要な経営指標と考えております。
(4)経営環境
当連結会計年度の業績は、当社グループの木質バイオマス発電所が高稼働を維持し未利用木材の利用比率を向上させたことにより、当初想定の計画を上回る結果となりました。この状況を引き続き伸展させるべく、今後、さらなる国内木質チップの燃料利用の促進や森林環境保全に注力するとともに、エフオングループとして設備メンテナンス技術のほか顧客の使用するエネルギー総量自体を削減・低減する省エネルギー施策のさらなる普及になお一層まい進してまいる所存です。
平成31年6月期における各事業セグメントの事業環境及び活動予定は、次の通りです。
(省エネルギー支援サービス事業)
省エネルギー支援サービス事業の事業環境は、生産設備の老朽化対応として省エネルギーを推進した設備の導入、更新等の要望があり建設工事を含めた売上が見込まれるものの、既存オンサイト自家発電プロジェクトは当初導入より15年を経過し満期終了となる案件が増加してまいります。このため、外部顧客に対する売上高、営業利益は前年と比較して減少していくものと判断しています。一方、グループ内の発電所建設においては、建物のほか発電設備本体の建設に差掛り進行基準に基づく売上高を相当程度計上する見通しです。
これらを背景として、次期の見通しでは外部売上高は減収、内部売上高は増収、セグメント全体としては増収となるものの、利益については一定程度の水準を維持しつつも減益となる見込みです。
(グリーンエナジー事業)
グリーンエナジー事業では、未利用木材の利用率を向上することによって売上高の向上に努めるとともに、高稼働維持を目標としてきめ細やかな点検、保全の実施のほか、安定稼働を支える木質チップ燃料のさらなる供給先の開拓を推進し、原木の受入量を向上させてまいります。このほかチップ加工設備のフル稼働により安定的な未利用木材の拡充に努めてまいります。また、3基の木質バイオマス発電所の運営をもとにスケールメリットを活用し、各発電所で共通して利用できる部材を一定程度まとめて調達することや各発電所のメンテナンス情報を共有、蓄積化することでさらなるメンテナンス技術の研鑽を推進し、かつ、コストの圧縮を実現していく方針です。一方、森林資源の積極活用を目指し森林調査のほか伐採施業技術の習得に注力するため、施業技術者の確保、育成、及び原木資源の取得を実施してまいります。
次期については、電力販売単価の高い未利用木材が比較的順調に調達できているものの、設備、運営状況に大幅な変動がないものと考え前期と同等程度の業績を見込んでいます。
これらの活動を通じて平成31年6月期の業績については、連結売上高11,000百万円、連結営業利益3,100百万円、連結経常利益2,900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,400百万円を見込んでおります。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当連結会計年度においては、各木質バイオマス発電所が高稼働を維持し売上高を伸展させたことにより、当社グループの業績に大きく貢献する結果となりました。当社グループのグリーンエナジー事業では、さらに未利用木材利用率を向上させ、売上高の向上に努めるとともに、高稼働維持を目標としてきめ細やかな点検、保全の実施のほか、安定稼働を支える木質チップ燃料のさらなる供給先の開拓を推進してまいります。燃料調達の間口を広げ原木での受入やチップ加工生産量の向上、発電所の運営に関してスケールメリットを活用したコストの低減を実践することのほか、森林資源の積極活用を推進するため専門的な人員の確保、教育が重要な経営課題であると考えております。
また、エフオン壬生の新たな木質バイオマス発電所建設について、計画の進捗に最大限注力してまいります。同発電所の稼働に必要な事業環境の構築、整備について、最も重要な課題と認識しております。